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【人】 秋月壮真[ペットボトルを一旦小脇に挟んで鍵と扉を開けた。 いま飛び出したりなんかしてこられたら 咄嗟には捕えられないだろう。 ただ玄関も内側から鍵を使って開ける必要があるから 鍵束さえ奪われなけれは問題はないのだけれど 彼女が出て行こうとしたとして 無理矢理引き止めるのはどうなんだろう。 確固たる意思で睡眠薬まで盛ったのに わからなくなってしまった……。] (9) 2024/05/26(Sun) 17:07:13 |
【人】 秋月壮真[扉から顔と半身を覗かせる。 彼女はベッド、ではなく椅子に座っていた。] えっ [耳と目を疑って、一度バタンと扉を閉めた。 すごくかわいい顔で、 おかえりを言われた気がする。 夢?] (10) 2024/05/26(Sun) 17:07:39 |
【人】 秋月壮真[もう一度開けて中に入る。 間違いなく自分の部屋に、華音がいた。 簡素な部屋に咲いた一輪の花だ。 もたつく手で鍵穴に鍵を刺すのを 何度も失敗しながら施錠して向き直る。 出た時と雰囲気と態度ががらっと変わっていて……、 疑いたくはないんだけれど 何かを企んでいたりするのだろうか。 だけど、例えそうだったとしても 彼女のことが好きな想いは変わらないし 帰したくない方向に一気に気持ちが傾いた。 欲望に忠実な自分が嫌になる。] えっと……、ただいま……? [声音にすると、ひどく懐かしい挨拶だった。 最後に口にしたのは一体いつだっただろう。 こんなにもホッとするものだったのか……。 それはきっと、対の言葉をきみが投げてくれたから。] (11) 2024/05/26(Sun) 17:08:17 |
【人】 秋月壮真……俺はいつも朝はこれだけなんだけど よかったら 足りなければ何か買ってくる あと水も [彼女の傍にある机の上に二つともどうぞと置いた。 別に手をつけなくても気にしない。 薬を盛ってきた人間の運ぶものが 信用されないのは当然だ。] (12) 2024/05/26(Sun) 17:08:22 |
【人】 秋月壮真改めて……、嫌なことをして悪かった きみのためなんて言ったけど 俺がしたいだけだったんだと思う 華音のことがもうずっと前から好きだから [眉尻を下げて謝罪した。 彼女に想って貰えていた暁ソウマは 画面の外には存在しない。 ボロボロで、犯罪者で、今更少し悔やんでいて だけど浅ましくて、 帰って良いと自分から言うことも出来ない、 何も持ってはいない、 ただきみのことが好きなだけの秋月壮真だ。*] (13) 2024/05/26(Sun) 17:09:41 |
【人】 初波華音えっ [開かれかけた扉が、なぜかすぐに閉まった。 扉の隙間から顔を覗かせた彼は こちらを見て驚いていた気がする。 なになに、私何か変なこと言ったかしら!?] お、おかえり、なさい……?? [一拍置いてまた開いた扉に、 もう一度同じ言葉を投げかける。 別に隙を突いて部屋を飛び出そうとはしないし、 ソウマくんの手元の鍵束を奪おうともしない。 きっちりと椅子に座って、両手を膝上に置いて また鍵を施錠しようとしている彼をじっと見つめる。 何か焦っているのか、……何に怯えているのか。 さっきの毅然とした態度とは打って変わって、 ただ鍵穴に鍵を差し込むだけの作業にも 手こずっている様子の彼を。 ただいま、と素直な挨拶が返れば 少しだけ肩の力が抜けた。] (14) 2024/05/27(Mon) 0:04:40 |
【人】 初波華音[机の上に置かれたスムージーと水を見る。 ソウマくん自ら用意してくれたスムージーなのに 今の私は、すぐに飲もうって気にはなれない。 彼がまた、私の名前を呼ぶ。 心臓は勝手に跳ね上がって脈打つ。 喉から手が出るほど欲しかった言葉に 頬もひとりでに紅潮してしまう。 だからこそ、泣き出したくなる。 感情の処理が追い付かないから。] 私、も…… ソウマくんのことが、好き 初めて配信を観たときから、ずっと好き でも、……私はソウマくんの ほんとの名前が何なのかも、知らない [教えて。私を想ってくれる、君は誰?] (15) 2024/05/27(Mon) 0:05:05 |
【人】 初波華音……ソウマくんだけが悪いわけじゃ、ないよ。 でももしソウマくんが 本当に悪かった、って 思ってくれてるならさ…… 足りなければ買ってくる、じゃなくて 一緒に買いに行けない? ダメ?? [彼の顔を下から覗き込んでみる。 配信では絶対に見られなかった角度だ。美。 一瞬怯む。いや怯むな華音。] (16) 2024/05/27(Mon) 0:07:03 |
【人】 初波華音もし私が逃げるかも、って心配してるなら ほら、こうやって 手、ずっと繋いでて。 私は逃げないし、ちゃんとここに帰ってくるから。 ソウマくんが私を守ろうとしてくれるなら、 私も絶対にソウマくんのこと守るから。 安心して。 それで……ね もっと色々お話してみよ? で、 一緒に幸せになれる方法、考えてこ? [口で言っても信用ならないかもしれない。 聴いてくれるかどうかもわからない。 でも、言葉にしなければ何も伝わらない。 手を取ってくれたなら握り返して、 用意してくれた一杯を思い切って口にする。 これで自分の身にまた異変が起きるようなら そのときはもう、彼に身を委ねるしかない。*] (17) 2024/05/27(Mon) 0:08:13 |
初波華音は、(:3(:3[布 (a0) 2024/05/27(Mon) 5:58:56 |
【人】 秋月壮真[頬を染める華音がかわいい。] ……え、…… [まだ彼女は自分のことを好きだと言ってくれた。 ずっと好きだと。 どうして? 望まないことをしたのに。 やっぱりこれは夢なのか。] (18) 2024/05/27(Mon) 16:57:44 |
【人】 秋月壮真[下から覗き込まれる。かわいい。 見惚れる。……そんな場合じゃなかった。 そちらから出されると思っていなかった手を 恐る恐る取れば握られて、瞬いた。 視線の先でグラスが傾いて、 自分はその場に膝をついてしまった。 勿論変なものは入れていない。 田中さんが買ってきてくれた小松菜とりんご。 手早く栄養とカロリーがとれる、ただそれだけの。] (19) 2024/05/27(Mon) 16:58:13 |
【人】 秋月壮真[膝と膝の間にお行儀よく揃えられた爪先がある。 目線の高さが逆転して 繋いだままの手は彼女の膝の上。 まるで縋り付くみたいな体勢になった。 事実、自分の心は彼女に縋り付いていた。] 一緒に何かするなんて 考えたこともなかった 本当に手を繋いでていいの……? 帰ってきてくれる……? そんな、 [都合の良い話があっていいのかって、 彼女が行動で示してくれても まだ少し疑ってしまっている。 彼女は、想像していたより芯が強い人だった。 益々惹かれていくから、過ぎた幸福に震えてしまう。] (20) 2024/05/27(Mon) 16:58:35 |
【人】 秋月壮真[繋いだままの手を握る。 彼女の手は冷んやりとして気持ちが良い。 不思議と力は全然込められなかった。 強くしたら壊してしまうから丁度良いけれど。] 嫌われるのが怖い、けど…… 一緒に出掛けたり、色々……はな……話す 大好きな華音と、一緒に、幸せになりたい [望んでも許されるなら。] かわいくてきれいで妖精さんみたいで ピアノの演奏には静かに耳を傾けてくれて 弾き終わると元気にはしゃいで感想を聴かせてくれて 全部がかわいくて本当に本当に大好きなんだ こんな俺を見限らないでくれて優しいし 芯がしっかりしていて益々すき…… [喋るのは苦手だけど、 好きな人のことを話す時だけ矢鱈饒舌だった。 でも、急に熱く語ったのがいけなかったのか……。] (21) 2024/05/27(Mon) 17:00:20 |
【人】 秋月壮真……そういえば、まだ名乗ってなかった 俺は秋月壮真 四季の秋に、夜に浮かぶ月 壮観の壮に、まことの……? [ぐらり。世界が揺れる。 違う、揺れたのは自分。] (22) 2024/05/27(Mon) 17:01:46 |
【人】 秋月壮真……? 、? [身体が重くて、怠い。 力が入らなくて、ずるずると床に蹲ってしまう。 フローリングが冷たくて気持ちいい。 ……そう感じるのは、発熱してるからだって、 理解するのは、きっともう少し先。 意識とともに手を離してしまった。 服のポケットから覗く鍵束が、きらりと輝いた。**] (23) 2024/05/27(Mon) 17:03:22 |
【人】 初波華音[自分から差し出しておいて、 取られた手が溶けそうに熱かった。 吸い込まれそうなシアンの瞳と まともに視線がぶつかるものだから、 至近距離の美の圧にも折れそうになった。 悲鳴を上げなかった私を褒めてあげたい。 ソウマくんが持ってきてくれた謎ドリンクは、 ヘルシーこの上ないさらりとした一品だった。 推定小松菜の苦みをりんごの甘さが和らげている。 見た目よりも飲みやすくて、結構美味しい。 バナナや桃を加えたらもっと美味しくなるかしらね? なんて考えながら一気飲みしている間に ソウマくんは、その場で膝をついていた。 自然と目線の位置が逆転して 彼を見下ろす格好になる。] (24) 2024/05/27(Mon) 22:13:21 |
【人】 初波華音考えたこともなかった、か ソウマくんは、 私と一緒に何かするのは……嫌? ……私は、 二人でいるのに私を置き去りにして 独りよがりでいられる方が、ずっといや そんなの、さみしい (25) 2024/05/27(Mon) 22:13:25 |
【人】 初波華音[握った手に力を込める。 上半身を少し前に倒す。 本当だよ、って言葉にする代わりに 彼の額にこつりと自分の額をくっつける。] 繋いでて欲しいの。帰ってくるから ソウマくんを大好きな私を舐めないで? [口では啖呵を切ってみせながら、 やっぱりまだ恥ずかしさの方が勝って 触れているところ全部が熱かった。] (26) 2024/05/27(Mon) 22:13:38 |
【人】 初波華音ソウマくんに嫌われるのは 私もすごく、……すごく、怖いの ……でも せっかく一緒にいられるなら、 いろんなことを話して、一緒に経験して、 一緒に出掛けたりもしたいな きっと……ううん、ぜったい 一緒に幸せになれるよ! [他ならぬ君がそう望んでくれるなら、 嫌いになるどころかもっと好きが増えてゆくのだと思う。 現にほら。] (27) 2024/05/27(Mon) 22:14:07 |
【人】 初波華音ま、待って 待って、待って……!??!? その声で一息に褒められたら流石に ちょっと正気でいられないっていうか ほ、本当に……!!??!!?? …………あ、りがと 嬉しい [ボイスレコーダーがこの場にないのがもどかしい。 一言一句大切に録音して永久保存したいのに。 あまりに嬉しいと、言葉がうまく出てこないものね。 触れ合っている掌だってどんどん熱くなってしまう。] (28) 2024/05/27(Mon) 22:16:24 |
【人】 初波華音そっか、 ソウマくんは壮真くんだったのね うう〜〜〜本名もかっこい……秋月? どこかで聞いた、ような………… [両親が好きでよく聴いていたクラシックのCD。 世界にその名を轟かせた天才ピアニスト。 あの人も確かそんな名前じゃなかったかしら? 名前は確か、 喉元まで出かかっている名前を思い出したとき 突然、ゆらりと視界が開けた。] ……ん? 壮真くん? [繋いだ手はまだ熱い。 というか、そういや妙ね。 いくらなんでも熱すぎる。] (29) 2024/05/27(Mon) 22:17:25 |
【人】 初波華音──っ、 壮真くん!!! どうし……うわ熱ッ もしかして熱出てる……!? [椅子から滑り降りて顔色を確かめてみれば そうしている間にももう、 意識が朦朧としている様子で] ど、どうしよ…………!! とにかくベッド行こ!?!!? 壮真くん、壮真くん立てる!!? 誰かお家の方は──居なさそう、か ……ごめん、ちょっと触るね あと少しだけがんばって……! (30) 2024/05/27(Mon) 22:17:36 |
【人】 初波華音[つい数分前の会話の掌を返すようだけれど 緊急事態だ。許されたい。 返事があっても、なくても 彼の片腕を自分の肩に回させて、 担いで引きずるようにして身体を持ち上げ ベッド上に無理矢理押し倒す。 室内を見渡して目に留まったのは さっき彼が持ってきてくれたペットボトルの水。 封を開け、その水でハンカチを軽く濡らして 取り急ぎの応急処置として彼の額に置いた。] ……全然気付けなかった…… ごめんなさい、ごめんね壮真くん 冷却シートとか体温計とか解熱剤とか、 どこかにあると良いのだけど…… ──あっ [ポケットの端に鍵束が見えた。 彼をここに一人置いて行って良いものかどうか。 でも……、躊躇う時間も今は惜しい。] (31) 2024/05/27(Mon) 22:18:41 |
【人】 初波華音壮真くん、借りるわ すぐ戻ってくるから待ってて! [起こしてしまわないようにそっと鍵を開けて 階下へと向かって駆け出した。 十数分後には、 思い付く限りの看病グッズを両腕いっぱいに抱えて 部屋に戻ってくるはずだ。*] (32) 2024/05/27(Mon) 22:19:43 |
【人】 秋月壮真嫌じゃ、ない…… 自分が誰かと何かをする想像が 出来なかっただけで…… 華音がさみしい? それは……嫌だ [彼女が自分を変えてくれる。 世界が広がって、音色だってまた変わるだろう。 センセイはそれが嫌で俺を閉じ込めたのかな。 ] (33) 2024/05/28(Tue) 18:47:18 |
【人】 秋月壮真[自分なら閉じ込められたとしても きみがいるならそれだけで良い。 寧ろ他の誰にも邪魔をされずに きみにだけおはようを言って きみのことだけを見て きみの吐息で肺を満たして きみの爪や髪がどれだけ伸びたかに気づいて きみにだけおやすみと伝えて眠る そんな生活に憧れてすら……。 でも、きみがさみしいなら望むことが誤り。] (34) 2024/05/28(Tue) 18:47:22 |
【人】 秋月壮真[額同士が重なれば 近すぎてピントが合わず二度、三度と瞬きをして 左の目、右の目と順番に見た。 すごくきれいで、宝石みたいだった。 こんなに近い……、って意識する前から顔が熱い。] …………は、い [舐めないでと言う彼女は凛々しくて 思わず敬語になってしまった。 かわいい上に格好いい。だいすき。 ……どちらかと言うと彼女が何処かへ行くなら 自分のような強引な手段をとる自分以外の 悪い虫がつくことが心配事になりそうだが 目の前の光景を網膜に焼き付けるのに忙しくて それを考える余裕は今はない。] (35) 2024/05/28(Tue) 18:48:03 |
【人】 秋月壮真[頭の上から足の先まで愛おしさが 詰まりに詰まったきみのこと 万が一にも十万が一にも億が一にも 嫌ってしまう日がくる筈がないのに 自分にそうされるのが怖いときみは言う。 きみがどれだけ魅力的なひとか 言葉にし尽くせないけれど その一端くらいは知るべきだ。] 余り外出しない方だから 不便をかけてしまうと思うけど…… ……うん [自分はもうとっくに幸せを感じていて きみがくれる幸せをきみにも貰って欲しい。 閉じ込めて自分だけのものにしたい欲は 正直な所まだ完全に消えた訳じゃない。 だけどきみが自分のことを慮ってくれるから 部屋以外で過ごす未来にも光が見えた気がして……、 ぎこちなく微笑んだ。] (36) 2024/05/28(Tue) 18:48:56 |
【人】 秋月壮真[慌てるその表情もその声もみんなかわいかった。 動画に収めて何万再生もしたいのに (勿論許可をとってから) スマートフォンを取り出すのも億劫なくらい 腕が、身体が重かった。] ……………………? [床の冷たさが心地よくて、 永住しても良いなんて馬鹿なことを考えた。 だけど、なにかぐいぐいされてるような……? 最後に測った時は七十何kgだっただろう、 折り畳んだ自分の巨体を支えようとしてるのが 朧げながら判れば、運ぼうとしてくれている方向に 鉛のように重い身体を持ち上げた。] (37) 2024/05/28(Tue) 18:51:46 |
【人】 秋月壮真[額に何か冷たいものが載せられ 謝る声が聴こえた。 気付けなかったって、何に? 頭が重い……。] (……もしかして俺は体調が悪いのか? そのことを言ってる?) [本人も漸く気付いた位だから 気に病むことはないのに、優しい人。 その気配が離れていこうとするから 朦朧とした意識が失われる前 心は不安で塗りつぶされた。 置いていかないで────] (38) 2024/05/28(Tue) 23:27:45 |
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