人狼物語 三日月国


47 【半再演RP】Give my regards to Jack-o'-Lantern【R18】

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魔王軍幹部 フォルクスは、メモを貼った。
(a0) 2020/10/21(Wed) 10:11:40

魔王軍幹部 フォルクスは、メモを貼った。
(a1) 2020/10/21(Wed) 10:12:42

―― ウィンドラース修道院 ――

[...が目覚めれば其処は何時もと変わらぬ光景であった。
 部屋の壁は全てが剥き出しの石。
 床には辛うじてふわふわした絨毯が敷かれているが、
 修道院全体が石造りであるために何処を歩いても固い足音が聞こえる。

 カーテンの隙間から差し込む光は朝を告げるものだ。
 窓の外からは相変わらずの風音と空高くから猛禽類の鳥の声が聞こえてくる]


  ……いつもの夢、ね。
  何も変わらないわ、何も……。


[...は頭から布団を被り込んだ。
 視界は再び闇の中であるが夢で見た光景は見えないでいる。
 魔砲少女も、魔法猫も、全ては夢だった。
 領地から遠い峻峰の地は年中怒ったかのように強い風の吹きすさぶ要害の地である。
 壁に囲まれた修道院には各地から曰く付きの子女が送られ、
 子女を世話する者たちが一緒に住んでいる。
 修道院の大きさに比べて人数は余り多くはないのは、
 今現在帝国内は絶賛内乱の最中にあるからだ]

  お父様は今日も無事……ね、きっと。


[でも兄や姉はどうだろう。
 思い浮かぶのは殺しても死ななさそうな面々の顔であった]


  フッ、馬鹿らしい。


[...は瞼を閉じた。
 スピネル選定候の末娘は一等可愛がられた末に、
 元々仲の良かった家に政略結婚に送られた。
 そこまでは良くある話だ。
 ただ、結婚相手がナイチチは嫌だと浮気をし、
 それを知ったスピネル王が激怒した。
 そこまでも良くある話だ。
 普通はその後落とし前をつけさせて解決を図る。

 普通ではなかったのはスピネル王がシオン可愛さに
 相手の領土に攻め入り滅亡させて併合してしまったことにある。
 皇帝は慌てたが時既に遅し。
 報復だなんだのと戦火が広まり今に至る]

  お父様に勝てる相手なんて少ないのにね。
  選定候でも数人……あとは隣の王様くらいか。
  ああ……どうでも良いこと考えたらお腹空いた。
  あの子早く起こしに来ないかしら。


[...は溜息をついた。
 修道院では良家の子女――ここでは王族や貴族だが、
 は自分から起きることはない。
 起こしにくるまでは待つのがシキタリというものだった。

 だからあの子が来るのを待つのだ。
 夢の中でもずっと逢っているあの子を**]

── 修道院 ──

[至る所、灰色だらけの世界。
 壁も、窓の桟も、空さえも灰色い。

 焼かれた日記帳のページの色。
 はたまた、主人を失った蜘蛛の巣の色。

 世界はこんなにも灰色に覆われているのに
 どうして、夢の中はあんなにも色鮮やかなのだろう]

["夢は記憶の整理だ"と人は云う。

 それも一理、あるのかもしれない。

 なぜならば
 夢の中で相対するヒトを私はよく知っている。

 現にもいる相手。
 夢と同じ名を持ち、面影を残すヒト。
 
 けれど、彼女を夢に見る
 その理由が私にはよくわからない。

 夢に見るほど、思うほど
 深いつながりなどない──そのはず、だから]


  ……なんでかしらね

  あぁ、でも猫になりたい
  それぐらいならあるかもしれないけど


[井戸端でぽつり。
 水を汲んだ木桶を持ち上げれば、あかぎれた手指に鈍い痛みが走る。
 ぎしり、と食い込む持ち手の重たさに眉間に皺を作りつつ]


  ────       。
 

[目当ての部屋の前まで来たなら、ノックをまず三度。
 次いで扉を開け、先に汲んだ木桶の水を洗面台へと移し替える。
 部屋の主人が朝の支度をできるよう、そうやって準備を整えてから]


  おはようございます、シオン様
  朝の用意が整いました


[言葉だけは丁寧に。
 けれど、揺り起こすことはしない。
 
 寝台から三歩離れた距離を保ち
 部屋の主人が目覚めるのをいつものように待った*]

【人】 魔王軍幹部 フォルクス



────ツ!!

[ 滴る汗、声にならない悲鳴。引きつるような音。 ]
(48) 2020/10/21(Wed) 23:21:42

【人】 魔王軍幹部 フォルクス




[ 見上げるのは白い天井、視界の端にも同色の壁。
 狭い寝台に横たえられている身体の脇の腕を、繋ぐもの。
 天を突く如く伸びる鉄や硝子の箱。

 考える前に身体が動いた。
 拘束から逃れ、この部屋から早く────]
(49) 2020/10/21(Wed) 23:22:09

【人】 魔王軍幹部 フォルクス



 「おい、やめろ暴れんな!
  フォークこの野郎また寝ぼけてやがるのか、
  いい加減にしねーと担当降りるぞ!」

[ ややくぐもって届く罵声、慌てて駆け寄ってきた不可思議な姿。
 長方形に海を切り取り持ってきたように、不自然に水が独立している。
 その中に泳ぐ様々な種の魚たちの向こう側、見える痩せた男。

 冷え切った両腕が伸びて、肩を掴み揺さぶった。
 冷たすぎて痛い程で、気泡より細かく早く投げつけられる罵詈雑言が
 これが現実であることを何よりも示す。 ]
(50) 2020/10/21(Wed) 23:22:23

【人】 魔王軍幹部 フォルクス



すまん、すまんオルフェウス、申し訳無い許してくれ。
大丈夫だから本当に悪かったからやめてくれ、酔う……っ。

[ オルフェウスは城に勤める水人族出身の研究員、
 陸上で生活する為に自身の周囲を水で覆っている。

 エルフ族同様の、竜族に次ぐ高知性高魔力の長命種族。
 しかし代償の如く非力で、歴史上人類に狩られた記録は少なくない。
 彼らは水人を人魚と呼び、その肉を喰らえば不死になると思い込んだ。

 とはいえ寝起きの相手の視界を存分に乱す程度の腕力はある。
 初めて会った時も暴れに暴れてぶん殴られた。 ]
(51) 2020/10/21(Wed) 23:22:45

【人】 魔王軍幹部 フォルクス



[ 丈の長いシャツのような白い装束を
 質素な服装の上に釦を留めずに羽織るこいつの姿が、

 教会の使徒達の聖衣とよく似ていたから。 ]
(52) 2020/10/21(Wed) 23:23:08

【人】 魔王軍幹部 フォルクス

──魔王城・地下研究施設──


[ 手首から伸びる透明な管と、その先に繋がり吊るされた袋を眺めた。
 描かれている魔法陣が仄かに光るのは中の液体の鮮度を保つ為、
 これは血だ。人類のものと比べ、やけに明るい赤色をしているが。

 ────拘束だなどととんでもない寝惚け方をしたものだ。
 これは、自分が自分であり続ける為に必要な行為だというのに。

 病んだ血液を排出する、瀉血と呼ばれる医療行為は存在したが
 専門職ではなく刃物に長ける散髪屋がする仕事であり、
 殆どの場合聖魔法や薬草を用いたのがあの頃の人類。

 女神が与えた器の血を、他の器に移し替える行為は冒涜である。
 試みて背信者として追われた者も、結局は患者を死なせたという。

 その程度の知識と道具しか、ありはしなかった。
 これは教会に意図された世界文明の停滞の一つ。** ]
(53) 2020/10/21(Wed) 23:23:28
―― 修道院・自室 ――

[此処は監獄だ。
 入った者は外に出ることは叶わず、
 死した後も敷地内に埋葬される。
 送られてくる子女は曰くつきの者が多いから、
 当然と言えば当然であろう。

 灰色だらけの世界とは良く言ったものだ。
 季節に応じた草花や天候の変化があり、
 各々の家からは旬の食べ物が送られてくる。
 それでもその全ては味気ない。
 無味乾燥したもののように感じてしまう]


  ……それはきっと、私たちがそうだから。
  終わった年代史に花を添えても意味はないもの。


[...は小さく欠伸をする。
 風は強く空気は冷たい。
 こんな寒い日は部屋の中に籠るに限る。

 ...は生きている。
 心臓は動き、身体は動き、食事をしては寝る]

  ただ生きているだけの生に意味はあるのかしら。
  とは言え、バツイチの行き遅れなんて不要でしょうしね。


[平均寿命が40歳に満たない世界である。
 女は20歳になれば年増であり、30歳になれば婆だった。
 売れ時は10代前半。
 そこで戻ってきてしまえば普通は瘤でしかない。
 普通でも瘤なのにスピネルの末娘は火薬庫でもあった。
 だから修道院の中でも腫れもの扱いで――]


  ……おはよう、カザリ。
  もう随分と暖かくなったわね。


[...はノックの音の後、物音を耳にしていた。
 声が掛かればそこで漸く布団から頭を出して身体を起こし、
 暗に遅かったと告げる。

 別に虐めているわけではないのだ。
 貴女は私にとっては唯一話が出来る相手なのだから。
 夢にまで出てくる存在なのだから]

  ……着替えは?
  早く脱がせてくださる?


[...はベッドから起き上がると三歩離れた距離にいるカザリへと声を掛けた。
 着る衣装は修道院の服だ。
 地味で質素、紺色の修道女の服。
 尤もシオンのそれは内側がえらく精緻に編み込まれたレースを使っていたり色合いが派手なものがあるのだがそれはそれ]


  ほら、早く〜。


[これは我儘なのだ。
 深いつながりはない。
 強い絆もない。
 それはまるで蜘蛛の糸のようなものだけれど、
 灰色だらけの世界で唯一見える色は存在を誇張して見せられてしまうのだ。

 例えそれが錯覚であったとしても、
 縋るものなど存在しないのだから――**]

── 修道院 ──

[監獄のような場所。
 此処での生は死と同然だと云う者もいる。
 此処に来たことで、全ては終わったのだと。

 けれど、それならば私はどうなのだろう。
 この修道院の門前に捨てられていた私は、ここより他を知らない。
 始まるより先に終わった生、なのだろうか。

 わかっている。考えること自体が無駄なこと。
 終わりを嘆く彼等が羨ましいだけなのだと。

 だから、今日もこうして]


  そうでしょうか?
  木桶の水はまだ汲んだ時のまま
  かわらずに冷えておりますが


[遅いと言われているのはわかっている。
 当たり前だろう、敢えて回り道をしているのだから。
 けれどそれは、単に困らせるためだけではなく]


  たまにはご自分でされては?

  暇をつぶすという意味ならば
  その方がよほど


[繰り返される毎日。
 仕事を一つ片付ければ、また次の仕事が現れる。

 けれど、全て片付けてしまったなら後には空白が広がるだけ。それが何よりも恐ろしいから]


  ……かしこまりました


[回り道も、反発も元を辿れば同じ。
 後に広がる空白の時間を少しでも遅らせるためのもの。
 だから結局は要求通り、彼女の服へと手をかけて]
 
  今日の色は、紫ですか?
  こちらの色は、青が強いようですが

 
[ぷつり、とボタンを外していけば裏地に使われたレースの色が目に入る。
 修道服に相応しくない艶やかな色、夢に見た色に近いと目を細めた*]
 

―― 修道院 ――

[此処は現世に現れた地獄のような常世の世界。
 煌びやかな世界を知る子女にとってはそう映る。

 だが、平民はどうだろうか。
 動乱を知る平民にとっては此処は楽園なのかもしれない。
 日々に食事に困ることはなく。
 暖かな寝床が用意されている。

 その差が一層と子女たちを浮世離れさせて見せているのだろう]


  そうよ。
  それにね、今は冬前よ?
  温めてないなら冷えたままで当然でしょう。


[一日は長い。
 だから此処での生活に於いて遅れることをとやかくと詰める必要はない。
 必要がないことをしているのは時間を弄ぶからだ。
 未だ十代の身にとって一日はとても長く感じるものだった]

  私にフォークより重たいものを持てと?
  そんな事を言うんだ?


[...は口角をあげた笑みを浮かべた]


  今夜のお風呂、連れていってあげないわよ。
  その手……痛いのでしょう?


自分のために作らせているあかぎれの手指を視線で示す。
 この修道院での娯楽は限られている。
 その中に地中より湧き出る湯があった。
 それを張った湯舟が地下にある。

 温かいと言っても色付きなので洗濯や飲料には向かないが、
 身体を温めることはできる。
 子女は従者を伴い其処に行く。
 時間は分けられているので混むことはない。

 臭いもあるので頻繁に入る子女は少ないが、
 ...は毎日のように其処へと通っていた]

  い〜のよ、見つかっても見ぬ振りなのだもの。
  少しくらいはお洒落をしないとね。


...が折れることはない。
 手を広げて着替えしやすいようにして脱がされるまま、
 着せられるままにしている。
 誰かにしてもらうことに慣れていると言っても良い。
 甘やかして育てられた王族の末娘に自分でを期待する方が酷だろうに――]


  そうそう、そろそろハロウィーンでしょう?
  皆全然乗り気ではないのよね。

  だから――。


[...は楽し気に笑う。
 夢の中での笑いのように、一寸変わらず少しでも世を楽しもうと空元気を振る舞う]


  今年は私たちだけでするわ。
  お部屋を飾って、衣装はお父様にお願いしましょう。
  衣装は貴女も着るのよ?


[...は着替えさせてもらいながら小首を傾げて貴女を見つめる**]

【人】 ヤドリギの勇者 フォルクス

──終わりに至る始まりの先──


[ 神託を受けた始まりの勇者は、世界に光を取り戻した。
 しかし魔の根絶に至らず、生き残った邪悪なる者達は
 氷雪に閉ざされし不毛の地へと逃げ延びたという。

 志を果たせず倒れた勇者、しかしその死は無駄ではなかった。
 女神の降臨と共に彼の身に浮かんだものと同じ痣のような紋様が、
 喪われた友の命に嘆く青年に宿ったのだ。

 ────人類は既に諦観を忘れた。
 女神に見捨てられてなどいないことを、新たな勇者が知らしめた。

 これが、女神暦1年の出来事であると、
 聖木を守り勇者を育むことこそが我々の役割であると、教会は語る。 ]
(129) 2020/10/22(Thu) 23:20:45

【人】 ヤドリギの勇者 フォルクス

[ しかし、希望の訪れから永い時が経っても
 人魔の争いに決着はつかず、数え切れない勇者達が死んでいった。

 闇より出る不浄の化身達は、牢獄の如く極寒に追いやられて尚
 絶望的な程に強力な異能を持ち合わせていたのだ。

 苦しい戦いを強いられた人類を、女神は見ていたのだろう。
 遥かなる大樹が世界の中心より根を伸ばし、力を与えるようになった。

 勇者は聖都から旅立った後代々、
 各地で地表から露出する十三の聖木の根を巡ることも務めだ。

 しかし根を孕む土地は、勇者を阻む為か強力な魔物が多く
 時には魔族が現われることすらある大変危険な環境だ。

 故に周辺の教会は、魔法の素質を持つ人材や、優秀な騎士を育て
 最も優れた者を“勇者の仲間”として引き合わせるのが義務とされる。 ]
(130) 2020/10/22(Thu) 23:21:04

【人】 ヤドリギの勇者 フォルクス


[ 神託を受け、聖木の根から力を授かる勇者達は
 代を重ねる毎に強くなり、魔族の土地に────魔王の首に近づく。

 それは死した勇者の器が地に還り、再び聖木に戻るから。

 お前は彼らの未練と力を受け取るのだ。
 そして例え念願叶わずとも、お前の想いも次代に受け継がれる。

 誇りに思うべきだと、変わらない優しげな微笑で使徒は言った。 ]
(131) 2020/10/22(Thu) 23:21:24

【人】 ヤドリギの勇者 フォルクス

[ 田舎者でも知っているようなこの世界の理、
 勇者となった身にはこれからの試練と未来を示す内容。

 旅立ちを前に、改めて聞かされながら。
 歪に作られた人形みたいに、ただ何度も何度も頭を垂れた。
 頷くというにはきっと、酷く不格好な仕草だった。

 聞いているのかいないのか、自分でも分からないその時間に
 教会前で家族と語らい、抱いた決意を思い返していた。
 他のことを考えないように、したかったのだと今は思う。

 ────神託の後、顔を合わせた者達は
 皆嬉しそうにしていて、時には感動を身体で示す如く抱きしめられて。

 あの部屋で起きたことについて口にする機会は、一度も無かった。** ]
(132) 2020/10/22(Thu) 23:21:45

【人】 ヤドリギの勇者 フォルクス



[ あの時間が嘘だったかのように、旅は順調だった。
 当然のように戦いばかりの日々であっても、自分には“神託の力”があり
 仲間を引き入れながら一つ一つ、着実に聖木の根を巡った。

 高度な擬態で人里に紛れ、夜な夜な人間を襲う獣人を
 狙われそうな村人の家を監視することで発見し、倒して。

 砂漠の国では野垂れ死にそうなところを助けられ、
 お礼に無償で魔族に拐われた姫を助け出し。

 魔物退治は一行にとって日課であり、結果的に多くの人々を救った。
 海の国に至る頃には“刃の勇者”の異名だけが既に到着していたらしく。
 立派な船を譲渡してもらうことが出来たのだ。 ]
(144) 2020/10/23(Fri) 9:44:21

【人】 ヤドリギの勇者 フォルクス



[ ある時、比較的弱い魔物しかいない筈の村で
 民が恐怖し家に閉じ籠もる程の脅威であり、
 村長が必死に討伐を頼み込んできた巨大な魔物だけが ]

嘘だろ……俺の、見間違えか?
        あれは、どう見ても

[ 描かれた筋書きのイレギュラーだったに違いはない。 ]
(145) 2020/10/23(Fri) 9:44:40

【人】 ヤドリギの勇者 フォルクス




   「ねえフォーク、まだ本は読み終わらないの?
    久しぶりの街なのにつまらないわ、わたし。」

[ ────その出来事から習慣が増えた。

 人里に立ち寄る度、貴族や長老の家に足を運んで
 歴史、勇者、それに教会が関わる本を読ませてもらう。

 世界を背負う勇者様のお願いだ、
 先人から学び、自身が魔王を倒したいと語る若者だ。
 誰もが快く受け入れ、自ら棚を漁り望んだ本を見つけてくれたけれど
 仲間達にとっては退屈だったのだろう、いつも不満を漏らしていた。 ]
(146) 2020/10/23(Fri) 9:45:15

【人】 ヤドリギの勇者 フォルクス


[ 女神に選ばれし者は本来、勇者もしくはヤドリギの勇者と呼ばれるが
 危険な旅路に生きる彼らの命は非常に儚く、
 民一人の一生の中で何度も代替わりが行われる。
 故に神託により身に宿った異能を元にした名を、
 人々は生まれ散ってゆく勇者達の識別名のように使う。

 フォルクスと語感が似ているから、
 フォークを床に落とした時に初めて力が表に出たから。
 仲間達に付けられた愛称のほうが自分にとっては身近だったけれど。

 食器の名前で呼ばれるのはあまり良いことじゃないと思う。
 実際、嫌がってみせたことはあった筈だ。

 でも、楽しそうに笑っているから
 勇者ではなく自分自身への呼び名だから、やめさせなかった。 ]
(147) 2020/10/23(Fri) 9:45:43

【人】 ヤドリギの勇者 フォルクス


[ 仲間達も決して、楽な立場ではない。
 十三の根、十三の教会。
 それぞれで仲間を得れば大所帯になる筈の一行は、
 多くて七人、少なくて三人。殆どは四人か五人程度。

 ……多くが旅路の途中で倒れ、或いは心が折れ故郷へ戻り
 時に立ち寄った土地で出会った民をそこに留まり守ることを、
 決断する者も中にはいたのだ。

 勇者を騙ったり、自らが取って代わろうとする者が現れないのは
 教会の管理が徹底されていることや背信行為である部分よりも、
 どれ程鍛錬しても神託の異能には届かない事実が大きい。 ]
(148) 2020/10/23(Fri) 9:46:00