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人狼物語 三日月国


203 三月うさぎの不思議なテーブル

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視点:


 

  ──い、いいんですか?


[ いつか一緒に住もうね、とか。
  そういう未来の約束が結べたりするのかもと
  期待していなかったといえば噓になるが。
  気の早さ選手権、エントリーは二名、敗北者は大咲。 ]


  私、ご存知の通り仕事も夜遅くまでだし……
  コスメとか服とか、かわいいアクセサリーとか。
  つい集めちゃうから 場所も取ってしまうかも、ですよ?


[ いや、そうなったら彼が言う通り
  一緒に"お引越し"の物件を探せば良いだけなのか?
  幸い買い物以上に仕事の時間が多いから
  貯蓄はあるし、家具の買い足しも余裕だけれど。 ]

 

 

  えっと、その、
  とりあえず今日は、お泊りセットの残り…置いていきます
  ……私 本気にします、よ?


[ 大咲のスキンケアやコスメはいわゆるライン使いだ。
  薄桃にオフホワイトカラーのパッケージに
  リボンやクリスタルが飾られた、
  百貨店のコスメ売り場で人気のブランドのひとつ。

  結構、その、お部屋をメルヘンに変えてしまいそうですが
  本当に良いんですか、と確認して ]

 

 

[ 車で送ってくれるという提案は、有難く受け取った。
  もう少しだけでも二人でいたくて。
  下地だけでも持ち歩いておくんだった…と後悔しつつ
  家を出る前に、お願い一つ。

 
何故か二択を迫られた。

  選ぶ? 偉ぶってなにをですか!? わたしが!?
  スウェットか夜綿さんかを!? ]


  え、え、あの
  それは両方欲しいので、選べないです……?


[ 動揺が伝染してなぜか語尾に疑問符がつきましたが
  こちら、大咲の本音です。* ]

 

メモを貼った。

メモを貼った。

["恋人"を始めるための最初の願いは、叶えられる。
 いつか耳にした台詞よりも、

 ずっと身近に感じられるような。
 純粋で素直な言葉に。

 また一つ、ラジオでは聴けない彼を知る。

 最後まで言葉が紡がれたか、どうか。
 語尾は掠れて――……、]


  
……――――、



[掌とは違う柔らかさを唇に感じたなら。
 ゆっくりと瞬きを一つして。
 ふわりと、同じくらいの柔らかな笑みを浮かべる。

 僅かに苦味の走るブラックのコーヒーの味は、
 自身だけではなく、彼の唇にも残して。]

[彼の手元には宝物がまた一つ、増える。
 俺もくださいね、とさらりと共有を申し出て。 
 
 落ちてきた夕陽が湖に溶けていく。
 その頃には、風も少し出てきていただろうか。

 帰ろうの、一言に。
 少し名残惜しさを感じながらも、後に続く。

 砂利を歩きながら、夢と語る内容に。
 最高だと、笑う横顔に。

 小さく、息を呑んだのは。
 その横顔に少し見惚れたから。]


  ……一度だけじゃないんでしょう?
  

[息を吐くように、そう相槌を返す。

 叶えた夢は、これからは二人の現実リアルにして欲しい。
 一度じゃなく、何度でも。
 紺色のうさぎのヘルメットに埃が被らないように。]



[バイクに二つ並ぶように備え付けられた、
 黒のメタリック、紺のうさぎのヘルメット。
 これからは、もっと活躍を目にすることだろう。

 四季を巡って、来年の同じ時期にもまた。
 道々で桜を探しながら、此処へ訪れられるように。

[陽が落ちてくれば温度も下がる。
 来た時よりも腰に回す腕に躊躇いはなくなっていた。

 コンビニに立ち寄った時には、
 頬が風に当たりすぎて少し冷えていただろうか。

 照明の明るさで表情を確認しながら、
 夕飯と誘いの声。

 その後に、少しだけ独占欲が見えたらなら。
 また、ついと笑みが零れてしまう。

 どうやら彼と居ると表情筋が緩むらしい。]

 

  いいですけど。
  飯、どうします?

  キッチン借りれるなら、何か作りましょうか?
  コンビニで揃えられるものなら、
  少し手を抜いたものになりますけど。


[昼食を食べて以降食事はしていないから。
 そろそろ美味しいものが恋しくなる頃。

 ああ、今日のうさぎたちは
 どう過ごしているだろうか。

 紺のキャスケットは今日は出番がない。
 その代わりに、出来たばかりの恋人に。
 胃袋を掴んだという手料理を、ご馳走しようか。*]

メモを貼った。

[どんどん自分の心臓と理性を摺りつぶすのが上手くなる彼女に負けないように理性を鍛えるにはどうすれば良いのか。

「やだ」って!!

言われたら勿論、漏れなく僕が握られたゴムのアヒルみたいな声を出すだけです。
君への恋心の大きさ以外は何もかも平均的な平凡な男でも、大好きな子には格好いいと思われたいというささやかな願いはある訳で。
それを言ってしまう時点で格好良さから離れているのは気づかない振り。]

[なにで、って――
言葉にしてしまえばそれこそそれを聞いた彼女の反応で此方が削られ切ってしまうのがわかりきっているので、ぐっと堪えましたとも。

無防備に無自覚に煽っておいて、
いざそれを自覚すると急にもじもじするところとか、
(臨界点越えると少し舌足らずになるの堪んない)

自分が必死に直接ぶつけないように抑えている慾を
向けられそうでも寧ろ嬉しそうなところとか、
(「嫌じゃない」って顔に出てるんだもんなぁ)


それをそもそも風呂上りの乾かしたての髪
(下ろしてるのも似合う。可愛い)

自分のスウェットを上だけ着て
(ちょっとよろけたらうっかり見えてしまうのでは?)

湯上りの肌を真っ赤に染めて
(化粧落とした顔にも惚れ直しちゃう)


脳内で挙げているだけで、血液の流れが偏ってしまいそうなので、深呼吸。]


 僕、結構わかりやすく恋してたと思ってたんだけど、
 マシロちゃんに気づかれないくらい隠せていたんなら、

 こんなにマシロちゃんが欲しくて堪んないって顔、
 ちゃんと君にだけ見せられてるってことだね、

[彼女自身が恋を知らなければ、向けられる感情を受け取る心の器を持っていなければ、どんなに強く想っても零れていくばかりだっただろう。
受け止めてほしいと願いながら視線を向けていたら、彼女が自身の器を手に取ってくれた。
だから今、自分はこうして受け止めてもらえている。

持ってみたら彼女もそろそろわかってきた頃だろう。
注ぐ想いに慾に、器はどんどん重さを増すばかり。

彼女が自分を好いてくれている限り、きっと器は増えていき、
いっぱいになった器は落として壊れてしまう前に、
自分達の「テーブル」を彩るように置いていこう。]

[ 欲しがられるまま。
 脚本を与えられ、演じるように吐く台詞、
 仕草ではない。

 剥き出しの、心ひとつの受け渡しは
 水の跳ねる音と共に行われた。

 瞬き、いくつか分の時を経て、
 もう一度、君の瞳に自分が映る。

 そこに写ったのは、ただ幸せそうに笑う男が一人。

 少し遅れて、やってきた苦味
 癖になってしまいそうな、味がした。 ]

[ これからきっと、積み重なっていく宝物達。
 その二つ目は、すぐに君の宝箱にも入るだろう。 ]

 そう甘やかすと、毎度、ドライブデートになるかも
 しれないよ。

 でもそうだな、連休取れたらいこうか温泉。

[ 一度だけじゃないと君が言う。
 甘えたいタイプ、という割に、そう
 甘やかすような事を言うから。

 新品のヘルメットが、替え時を迎えるくらい
 これから何度も、活躍してもらうとしよう。 ]

[きちんと言葉にしてくれるところ、本当に大好きなんだけれど。
焦らしている自覚があるならこれ以上煽らないで!
と悲鳴のような声を上げつつも、キスだけで止まれた自分はそろそろ表彰されても良いと思う。

寂しげな吐息を食べたら、一晩中
さに苛まれる羽目になった。*]

[ 行き道と同じく、すれ違うライダーに
 挨拶をする、親指を立てられたら、同じように
 返して。

 行きにも眺めた桜を、
 行きとは少し変わった気持ちで、眺めた。

 夏にはあの辺り、確かひまわりが咲く。
 秋には色付いた赤が、あった。

 それも一緒に、見れたら良いとか
 行きには"
きっと
"の遠い夢だったものが
 帰りには"つぎの"という近い現実となる。 ]