(t1) 2021/05/31(Mon) 9:04:44
ポルクス
「そうか、なら上がらせてもら、」
言葉の途中でも引かれるままに、抵抗もせず
あなたの腕の中に収まった。
彼らから向けられていた執着も愛も知っていた。
もちろん狂気だって理解はしていたけれど、
そこから離れることはあまり想像できなくて。
……長くともにいたからこそ、
彼の様子が違うことも分かってしまうから、
そっと抱き締め返して背をとんとんと優しく叩いた。
「……いなくなったのか、カストルは」
中庭にやってきた。
シェルタンは『そうでなくなった』らしいが、
依然としていない者はいる。
まあ、私もそうなのだが。
個々人の事情なんて、わからない。
でも、動かなければ人を救えない。
だから、とりあえず中庭に来た。
昨日はここに人が集まったから。
表の担当がシェルタンならば、
私の担当はこちらだろう。
笛を吹くような風流な真似はできないので、
とりあえず食べられそうな草を物色していた。
みんなを支えられたらそれでいいと思おうとしている。
「………」
無意識のうちに、シェルタンの部屋の前に足を運んでいた。
今の自分が会っていいものなのかも、分からないけれど。
メレフは、扉をノックした。
中庭 スピカ
「……ごきげんよう、スピカ。
今日も会えてうれしいわ。」
イクリールは、今日も変わらず中庭に居る。
まだ部屋から出てはいけないと言われてはいるけれど、
大人達だって四六時中イクリールに掛かり切りとはいかない。
『イクリールは、大人達のお気に入りだ』
そんな噂が流れるのは、何も今に始まった事ではない。
そして、単なる噂と断言する事もできはしない。
だって、イクリールは現に大人達ととても仲が良くて、
そして何より、その噂はそもそもの話
イクリールから、子ども達を遠ざける為のものだ。
それでも、イクリールにはそんな事は関係無い。
恐れるものなど、やはり無い。
野草を物色するスピカを見て、少し困ったように笑うだけ。
シェルタン
「…よお」
お節介野郎、とは続かなかった。
顔色の悪い少年がドアの外に立っている。
多くの感情、と多くの罪悪感。
目の前を塗りつぶされそうな感覚に襲われた。
君しかいないんだよ。
部屋には散乱した文章、いくつかの本、お菓子、お茶。
大きな兎のぬいぐるみ。
纏めかけられている、荷物。
「に、にいさんがいなく、なるわけ……
か!鏡、鏡の中」
「」
「どうして、僕を呼んで、」
「どうして」
治ってしまった双子は、優しく聡明で、無論ポルクスだってそうである。
気弱な分、細やかに所に勘付き、勉学では兄より少し優れていて。集中力もあり、やさしく。多くを重んじるっことができた。
張り巡らされた狂気が目減りしている以上、盾としては使えないが……
ルヘナとカストルと、ルヴァは(?)別だ。
「ごめん、ごめんなさい」
めそめそしながらもルヘナを片手にお茶を入れようとする。間違いなく手遅れだった。
取り合えずベッドの上に座らせて、お茶を飲む。
「」
知ってるよ。
「何年の付き合いがあると思ってるんだ、それくらいわかる。
お前だって俺のこと、少しくらいは分かっているんだろ?」
ずっと彼ら『二人分』の狂気を受け取っていたのだ、
明らかに目減りしたそれに気付かない訳もない。
……それはきっと、自分だけではないだろうけど。
謝られる間も片手に確保されているため
お茶を入れる手伝いができない。
とはいえこれもある種いつものことではあった。
三人でお茶会をする時はいつも、二人が用意してくれていて、
自分が用意したのはテーブル上を片付けるくらいだったから。
ベッドの上、彼を見上げながらお茶を一口飲む。
「……正直、つい最近までお前達がどうして
『そうだった』のかを俺自身忘れていたからな。
お前の口から聞きたいよ、お前の……事件も、悪性も。
それ以外でもいい、お前が話したいことならなんでも」
「こんにちは、イクリールさん」
まあ、実際のお目当てはイクリールだった。
スピカから見て、もっともわからない子、
それがイクリール。
「ねえ、私ずっと疑問だったの。
こうなった子って、多かれ少なかれ変わるものじゃない?
私だって、多少は変わってると思う。
だけど、あなたは変わらない」
「他人からの扱いなんて関係ないかのように振る舞うし、
今日もこうして、まるで『いる』ように、ここにいる」
「みんな救いたい、なんていうけど、
あなたに関してはとっかかりも、問題も掴めない」
これは詰問とか、そういう意図はないんだけど、
と前置きして。
「ねえ、あなた、一体何を抱えてるの?」
スピカ
「なんだと思う?」
その疑問の向けられた先が自分だった事に、
ほんの一瞬だけ、イクリールは瞠目した。
てっきり、スピカは手を差し伸べるべき『誰か』を
探しに来たものだと、そう思っていたから。
けれどそれも一瞬の事で、
その後にはいつものように穏やかな笑みを浮かべていた。
「ここに居る子は……ギムナジウムに居るわたしたちは。
かならずしも『何か』を抱えていなければならないのかしら?
それは、全てが全て、解決しなければならないもの?
わたしたちの中に、けっしてあってはいけないものかしら」
ねえ、スピカ。
イクリールは、問いに問いを返す事を恐れない。
だって、自分が答えた分、相手だって答えても良いはずだ。
「わたしは……なにも、ではないけれど。
それでも、みんなと比べたらずっと。
悩みごとは、少ないはずよ。不便なことだって、一つも。
だから、みんなのことを気にかけてあげたいの
『せんせい』も、きっとそれを望んでいるわ。」
それでもまだわからないことがあるのなら、
これからもっと知っていけばいいわ。
そう言って、イクリールはもう一度、スピカに笑い掛けた。
少なくとも、それがイクリールにとっての『真実』だ。
| アルレシャは、 が向けてくれたお辞儀に、笑顔 を返した。 (t2) 2021/05/31(Mon) 15:08:07 |
イクリール
「ああ、確かにイクリールさんの言う通り。
手を施さなくてもいい病気だってある。
それが病気かどうかすらわからない子も。
ただ、大人から見たら異常というだけで、
ここにいる子もいますものね」
自分だってそうだ。
こんなところに押し込められるという点で、
スピカはこの病気が嫌いだったが、
今はもうそうではない。
彼の盾になれるから。
「オーケー。私が間違ってるわね、確かに。
いない子と向き合うのに、
偏見を持っていたらどうしようもないわ」
「……あなたに余裕があるのなら。
イクリールさんも手伝ってくれる?
私に何ができるかなんてわからないけど、
でも、こうやって私たちが日常を過ごすだけで。
人を受け入れられると示すだけで。
助かる子たちがいるはずなのよ」
そう、ルヘナに教えてもらったから。
スピカ
「うん…わたしのこと、わかってくれてうれしいわ、スピカ。
でも……レヴァティのいうように、
きっと、それを受けいれられないことだって
誰かには、受けいれられてもいいはずなのよね。」
でも、と続く言葉はぽつり、独り言のように。
人には誰だって許せない事と許したい事があって、
間違ってしまう事だって、何度でもあって
知らなかったのなら、知った上でそうしたいと思うなら。
自身の誤ちを、正したいと思えるなら。
誰かの事を、好きになりたいと思えたなら。
つまりまったく、それでいいのだ。
「いいわ。わたしにできることなら、なんだって。
なにができるかは、わたしにもまだわからない。
だから、これから一緒に考えましょう?」
大丈夫。
あなたはもう、
弱くて小さな、独りぼっちのスピカではない。
一緒に手を取って、戦ってくれる人が
こうして確かに居るのだから。
「」
「だよね、カスト……
」
いつか虚空に話しかけていたブラキウムを、思い出した。
どんな気持ちだったかなんて想像するのも難しいけど。
「少しは知っているつもり、だけど。
」
ブラキウムは、凄い人だ、今なら尊敬できる。
今なら少しルヴァが怖がった理由も、ちょっとだけ。
それにイクリールだって、そうだ。
シトゥラ。良くしてもらってたのに、たまに名前を間違える。
メレフは僕ら普通に叱ってくれた。
他の子の、名前や良いところも今なら分かる。
ヘイズの名前くらいは。デポラが言っていたこと。
「それは僕が悪いと思う。確証は持てないけど」
「認識の伝搬……みたいな。」
「例えば、
風紀委員のスピカはご飯いっぱい食べて
森に行ってキノコを食べる
のは、まあそういうものとして認識するだろ?」
スピカを抱きしめた。また傷付けてしまった、のだろう。
「これ、普通におかしい
んだよ。何もかも。
ここの風紀ってそもそもなんだ?
」
兄とルヘナだけにしか興味はなかった。
いる子、いない子の意味も分からないくらいに。
「……改めて考えて、この後も考えると、本当に
『僕らお前?!』
とも思う。
思うよ。いやだ、やだ。いえないよ。いやなんだ。」
「」
「……たまにそこから雑に手を引いたり、ごまかしたり。
視野から隠して、他の子に罪を作ったり。塗ったり。
」
「うわぁ……こわすぎる
」
「」
まだまだ余罪もある。
狂気と愛情の災害めいた奴に手を出そうとする奴は子供大人関係なく。
そして一部には有益な部分をチラつかせて。
ヤバそうなやつがいるときは、ほどほどに
それらしく
しておいて。
ああ、手を出すも、出さないもないなぁ。
「」
発言はただのアホなのが、さらに問題だったのかもしれない。
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