人狼物語 三日月国


203 三月うさぎの不思議なテーブル

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…………私もさ。
二人きりになりたいな。って、思ってたから。



[なんて、照れを滲ませてそっと告げ。]

[さて、玲羅の住まいは駅から少し歩いた住宅街の中にある。
単身者用のオートロックマンションの3階。
彼を伴ってエレベーターに乗り、自宅の鍵を開けた。

広さは1DK。
こうなることを見越して事前に掃除していたので
部屋の中は綺麗な筈だ。
右手がダイニングキッチン、左手が寝室である。]

いらっしゃい。
どーぞ、適当に座って。

[玄関を入って寝室側に案内すれば。
テレビボードや棚に小物類が並び
ローテーブルの下にはラグが敷かれ、
クッションが幾つか置いてある。
奥の方にはシングルサイズのベッドとオープンクローゼット。

全体的にナチュラルな配色の
明るい色味の家具で揃えられている。

彼が座ってくれれば菓子の入ったビニール袋をその辺に置いて
ダイニングキッチンに移動して飲み物でも淹れてこようか。]


なんか淹れるね。
お茶と珈琲と紅茶、どれがいい?


[自分の分はティーパックのお茶である。
マグカップを二つ出し、ケトルでお湯を沸かして。
彼から希望が返ってくれば注いで淹れて持っていこうか。**]

[伝わっているのなら、不満はない。
 
 自身が口数が足りないことは知っている。
 伝えきれていない部分もきっとあるし、
 彼が注意深く拾っていたとしても、
 俺の不器用さから、届かせきれないこともあるだろう。

 でも、数少ない言葉を拾って、
 小さな癖を見つけて、受け止めてくれるから。

 言葉で言い表せない代わりに、熱を、分ける。

 触って、触れて、身体を擦り寄せて。
 
もっと、知ってほしい。

 
 俺があなたを知っていく度に感じる愛しさを、
 彼にも、同じように。
返して欲しいから。

[言葉足らずな誘い文句に乗った
 浮かんだ笑みに、悲哀の色はもう滲んでいない。

 身体を起こすのに、助けるように身を引けば。
 腕を引かれて、]


  ……―― ゎ、


[ぽすんと、ソファに身が沈む。
 入れ替わった位置、抱き上げられる身体に。
 少し、いや、かなり動揺した。]


  
ちょ、 ……っ、



[誘いはしたが、まさか。
 こんな運び方をされると思わなかった。
 華奢な方ではないと思う、決して。]

[ソファからベッドまでの短い距離とはいえ、
 簡単に持ち上げられたことに。
 かぁ、と一気に顔に血が集まって熱を帯びた。

 寝具に降ろされたら、ソファと同じ匂いがする。
 微笑む彼を見上げる視線には、
 男として、少し悔しさも滲んだものだったかも
 しれないけれど、それ以上に羞恥が勝った。

 ――敵わない。

 先に惚れた方が負けだとか、よく言うけれど。
 恋をしてしまえば、誰もが敗北を感じる時がある。

 
ああ、もう、溺れそうだ。

 
[その後、きっと。

 ソファに転がっていた時よりも
 駄目になった姿を見せてしまっただろう。
 
 そんな姿を見せても良いと思える程に、
 ――心は近づいていく。少しずつ。少しずつ。]

 

 

 

     [ 夜明けに一人、目が覚めた。
       隣で眠っている彼の寝息を聞く。
        
         腰元の傷跡に、
         慈しむように、口づけを落とした。* ]

 

[――目覚ましの音で醒めない朝は貴重だ。

 代わりに聞こえたのは、穏やかな声。
 まだくっついていたい瞼を重そうに持ち上げて、
 薄っすらと視界を開けていく。]


  ……ん、


[仄かに香るコーヒーの香りに刺激されて、
 シーツから顔を覗かせたなら、彼の姿が映る。]


  
……はよ、……ンッ、


  ……おはよ、 ございます……。


[一度、掠れた声を飲み込んで言い直して。
 気だるさの残る身体を起こせば、
 重力に従って肩からシーツが滑り落ちていく。]

[朝は、正直。弱い方。
 こし、と瞼を指の腹で擦りながら、
 まだ思考の巡らない頭の中。
 
 少し遅れてきて伝達された問い掛けに。


  飲む……、


[それだけ応えて、小さな欠伸を洩らした。*]



 普段着?


[普段着とは。
普段着?

仕事着は、厨房に立つ日と、打ち合わせ用の清潔かつ地味なもの。
そして黒と赤と銀のパンクファッション。
以上。クローゼットの内訳はその3パターンに、最近お出かけ用のお茶会服が一揃い増えただけ]


 パジャマとか?

[くふくふと機嫌良さそうに笑う玲羅
腕を組んだ距離は近い。そりゃ顔も赤くなるよね。
そして買い物の内容聞くのやめてあげようね?
栗栖くん年こそ1個下だけど、初カノだよ???
スマートさとか求められても応えられない。
でも……]


…………えい。


[デコを少し突いときました。
玲羅も楽しそうだから。良いかなって。
楽しそうだから、許しちゃう。目も細まる。]

[そしたら小さな呟きが聞こえて来たから。


人の事言えないじゃん。



[今度は俺が胸の奥で笑って。
腕を組む玲羅に微かに体重をかけると、顔を覗き込んだ。
ほんのり照れた顔可愛いね。
ここで『可愛い』とか言うと、また反撃が来るのかな?
それもきっと楽しそうだ。
彼女といる時間は、何で何時もこんなに楽しい。
思わず疑問を浮かべる程。初めての恋に俺は浮かれていた。]

[お邪魔したお宅はオートロックのマンション。
それだけでちょっとびっくりすると共に、安心した。
びっくりしたのはお高そうってこと。
安心したのは、玲羅の身が少しでも安全そうだってこと。]


おじゃましま〜す。


[案内された部屋は可愛らしい。
明るい色見のナチュラルな風合い。
女の子の部屋って感じがする。
女の子の部屋入った事無いけど。
勧められるまま、ラグの上に、クッションを抱えて座って。
玲羅はお茶を淹れてくれるらしい。こういう時どうするの?]

えっと……


[淹れて貰って良い物?
もう分かんないや。
混乱し過ぎて笑っちゃった。]


俺ここで座ってて良い物?
手伝わなくて良いのかな。よく分かんない。
ふふっ。

リクエストして良いなら、そうだな〜……
背伸びして、紅茶。
あんまり飲んだこと無いし、なんだかお洒落なイメージ。


[分からない事は聞いちゃえ。
不慣れ感丸出しで、スマートさは皆無だけど、玲羅に尋ねて。
家でもうさぎの穴でも供されるのはお茶だから。
珈琲や紅茶にはあまり馴染みがない。
よりお洒落そうで、女子受けしそうな方を選んだ今の俺はちょっとあざといぞ。悲しい程ちょっとだけどね。]

[お茶が入った頃合いかな?
手伝えることは手伝った上で。
鞄に手を伸ばして……]


そだ。俺もお家に訪問するお土産買ってきたよ。


[がさごそと。長方形の箱を取り出しました。]


じゃーん!!
ポッキー
です!!!



[取り出したら。可笑しくなって。吹き出した。
くすくす笑いながら。もうキスならしたのにね。
でもコンビニで見かけて思い出したら、買わずにはいられなかった。
なんだかんだで。思い出のお菓子だったから。**]

[ 足りないと思ったことは、ない。

 言葉だけで全てが伝わり合うなんてのは
 幻想だと思っているし、

 いつだって君の言葉は、実直で
 飾り気がなくて。
 真心ってこういうものなんだろうなって思う。

 そうしてと頼めば叶えてくれるような
 気がするけれど、今はまだしない。

 
――叶えてくれそうだと思えるだけで、
 興奮してしまうのはまた別の話だけど。


 まだ見ぬ日の君よりも、今は
 擦り寄ってくる今日の君に、意識が向いているから。

 向いているどころではないのだが。 ]

[ その触れ方にそういう意図がなくても
 もう、遅いかな。
 躊躇する時間すら、惜しいくらいには。 ]

 
やだった?


[ 少なくとも驚かせた事は間違いないだろう
 そういう反応だった。

 成人男性である君の体は、軽々と
 持ち上げられるわけではないけど、
 ソファとベッドの短い距離、手を引く暇と
 秤にかけて、即決した。鍛えておいて良かったね。

 誰かさんのおかげでだいぶ、焦れていたので。 ]

 ごめんね、みっともないけど
 限界で、

[ 羞恥の色濃い表情に、にっ、と笑って。
 先程君がしてくれたように、額に、頬に、
 唇を落として、君の手を導くように強く引く。 ]

[ 裾から肌に直接触れれば、分かるだろう。
 すっかり痕になってしまった、皮膚が。

 治りきったその箇所は、他より少し
 敏感になることも。

 躊躇しないで、触れて欲しい、
 その願いを叶えてくれたなら、

 あとは手を取り合い、溺れるだけだった。 ]

 ふふ、まだ眠そう。

[ 眠たげな姿は、普段より少し幼く見える。
 盗み見した寝顔と同じくらい。 ]

 うん、落とさないでね

[ 二つのカップを手に、君の元へ。
 寝具のすぐ側、ベッドに背を預けるようにして
 座り、下から見上げて、指先を眠たそうな
 君の鎖骨の下に伸ばし、とんとん、と二度つついた。 ]

 ――ところで、もしかして俺
 また誘われている? 乗って良い?

[ 肩から滑り落ちたシーツ
 朝からだいぶ、刺激的だよね。* ]

─ 溶けるアイス ─


 ……なるほど

 そうだね、怒る……怒ろうか


[賄いに、料理に消極的になってしまった理由。
それは好きではなくなった、とか自信を無くした、ではなく、もう少し意図的なものだったらしい
心配していてくれたからこそではないのかと思うけれど。

ぽつりと滴を作って落下していく甘いキウイ。

それがとても大切なもののような気がして、咄嗟に手を出せば。
中指の先に落ちて、爪をグリーンに染めた]



 他の人を誘わせようとしてたの?
 そんな理由で


[たとえばゲイザーなら接客も料理も100点。そんな理由。
そうかもしれない。

援助が必要と思った時点では、漠然と、人手が足りない、としか考えていなかった。
職能的にチエが十分こちらの需要に応えると判断したけれど、もっと役に立つ人材は、確かに他にいたかもしれない。

フォンを引ける人。難易度の高い揚げ物をできる人。美しい盛り付けをできる人。同時に複数の品を作り上げられる人]



 ……他の人か

 でも、無駄だったと思うよ
 チエを誘ってはいけないと思ったら
 もう

 他の子に声をかける気がなくなっちゃったから

── 報告会 ──

[神田さんの返事は、やっぱり大人だなーって思う。
優しいし、頼りになるよなーって。]


…………うん。

でも俺あんまり悲観してない!
から。きっと大丈夫。

無理はしないって、約束するね。
ありがと。

ふふっ。神田さんやっぱお兄ちゃんみたい。


[そう言って笑うと神田さんにじゃれた。]

[お仕事の話しは色んなところから漏れ聞こえたんだと思う。
店員さんとの話題に上がることもあったし。
嫌でも聞こえてきたりするし。
現に高野さんの事も、話した事無くても名前知ってるし。

趣味が観察な話しについては……]


それじゃあ、趣味が活かせる仕事に就いたんだね。
天職だったりして。


[なんて笑った。
ところで何でどもってるんですか?
大咲さんも神田さん一筋でしょうし。
俺も
玲羅一筋
ですよ???]

[ラム肉は子羊の肉らしい。
同士大咲さんもありがとう。
神田さんの話しぶりだと、マトンが成人した羊かな。
ふと、眠りの森の美女を思い出した。
王子様の母親怖すぎでしょ。でもお肉は美味しそうだった。]


…………???


[尊敬とまで呼ばれる事を、俺は何かしただろうか?
自分の良いところは、見え辛いものだね。]


まあ。それくらいすぐ失敗するから?……かな?


[首を傾げながら笑って。
俺はお兄ちゃんに大人しくご馳走されました。
自分も何か1品お肉頼んだけどね。
揚げ出汁大根も美味しいね。美味しい。
お出汁じゃなくてコンソメでも美味しいんじゃないかな。
思った俺は、また近いうち牛肉が黒板にかかれる事を知らない。]

惚気話しようぜ!!



大咲さん、ちょっと遠慮がちなとこあると思ってたけど。
神田さんにはそうなんだ。へぇ〜〜……。

さっき天然鈍感同盟断られたの。
神田さんの影響かも??

いいねぇ〜。影響し合ってるって。
俺も玲羅に何か影響を与えてたら良いなぁ〜。
俺はね〜。影響受けまくり。
俺は玲羅が初めての恋人なんだけどね?
恋がこんなに楽しくて幸せだなんて知らなかった!

玲羅も幸せ感じてくれてたら嬉しいなぁ〜。へへ〜。


[お肉と共にとろとろ幸せに融けた栗栖くん。
今度高野さんに紹介してもらう約束をして。
楽しい夜は過ぎて行くのでした。**]

[笑っていると軽く額を突かれる。
彼も何だかんだで目が笑っているし
言うほどの痛さはないけれど。]

………む。

[揶揄うような台詞と顔を覗き込む仕草に
ささやかな仕返しめいたものを感じて。
一度拗ねたように唇を尖らせてすぐに表情を緩め。
甘えるようにきゅ、と腕の力を強めた。]


そ。いっしょだよ。



[だって私だって、負けないくらい君が大好きだからね。]

 


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