162 【身内】奇矯の森【R18G】
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| >>21 モノ 渡された赤を両手に乗せ、強く握りしめる。 泣く権利がないのは、きっとリディ自身。 それなのに、涙が止まらなくて。 力のせいで不自由な体が腹立たしくて。 「 ありがとう、ございます……………… 」 震える声で告げたお礼は、酷く弱々しいものだった。 逃げるように去っていくノル( >>22)の姿は、見えなかった。 言葉はきっともう、 届かない。 (23) 2022/07/21(Thu) 3:05:48 |
| 『ひとごろしは、許されない。』 許されたくない。 事切れたクローディオのすぐそばに、力無くしゃがみ込むと今になって目から涙が溢れてきた。 足元にも結晶は散らばっていただろうから、誰にも見つからぬように一つ、手の中に握り込む。 そんな資格、あるわけないのに。 ノルは何処かに行ってしまったから、いま、ひとごろしはここに自分ひとりだけ。 モノオキが結晶を掃除し終わってからも、暫くはそこで動かずにいるだろう。 (24) 2022/07/21(Thu) 3:09:55 |
| モノオキは、残りの結晶は全て持って、少しこぼしながらここをあとにした。 (a22) 2022/07/21(Thu) 3:22:31 |
| 「……僕、部屋にかえる。から」
ゆっくりと立ち上がり、誰に言うでもなく呟く。
間違えたことなんてしていない。はずだ。 そうじゃなかったら?
手を握り締めたまま扉を出て、一階の自室のある方へ。 これでクローディオへ直に、危害を加えた者は大広間から居なくなった。 (25) 2022/07/21(Thu) 7:19:06 |
| リーディエは、重い体をようやく起こし、僅かにふらつきながらも立ち上がる。 (a23) 2022/07/21(Thu) 10:49:14 |
| リーディエは、枯れた涙のあとを拭い、クローディオを見下ろしている。 (a24) 2022/07/21(Thu) 10:50:48 |
| 大広間が静まり返って、随分な時間が経って。 ふら、と亡霊のように立ち上がる。 〔 ▙ ▜▓▗ _ クロ……兄…………〕 ふら、ふら、と近寄って、ぺしゃ、と貴方のすぐ側、血溜まりの中にまた座り込んで。 〔 ▙ ▜▓▗ _ クロ兄……こんな、顔、だったんだね…………。〕 袖口で、顕になった顔に付着した血液を何度もなんども拭う。 〔 ▙ ▜▓▗ _ 運……ばなきゃ……〕 このまま、ここに、寝かせたままでいる訳にはいかないと。 いつだって現実的に、目の前のやることを見据えていた貴方のように、抱き上げて移動させようとする。 だって、今ここにいる子たちの中で、貴方の次に力があるのは僕だから。 (26) 2022/07/21(Thu) 11:55:48 |
| ユングフラウは、多分、座り込んだのは、結晶の散らかっていた場所。今は綺麗に片付いている。 (a25) 2022/07/21(Thu) 12:31:33 |
| ユングフラウは、拭ったのは、塵のように細かい破片だったかもしれない。 (a26) 2022/07/21(Thu) 12:32:12 |
| クローディオを見つめる視線はいまだに逸らされず。 ユングフラウ( >>26)を映しているようで、そうでないような。 「都合が、いい。…こんな時は動けるんですね」 どうせ思考は届く。だからこそ呟くように声にして。 「ユンが誰かのためになんて言って、クロに狂気を向けて。 そのくせ、逃げるようにユンをおいてどこかへ行く」 言葉を止めない。止まらない。例え何を言われようとも。 感情が溢れて 止められない 。 結晶を握りこんだまま徐々に握る力は増し。 「………… 秋は来ないわ 」 吐き捨てるように告げた後、何処かへ向けて歩き出した。 体を引き摺るようにあるから、歩く速度は決して速くないが。 庭へと向かおうとしていると、気づけるものもいるかもしれない。 (27) 2022/07/21(Thu) 12:50:53 |
| リーディエは、壁伝いに廊下を歩く。…考えていることが必要となるかは、分からない。 (a27) 2022/07/21(Thu) 12:53:36 |
| >>27 リーディエ 何も言い返せなくて、ただ俯く。だって、全てその通りだから。 制止することもなく、自分の手を汚すことも無く、何も しなかった 自分が一番浅ましい。 謝罪すら、赦されることではないと思うのに、また声が零れ落ちる。 クロをそっと横抱きにしたまま、貴方を見送ろうとして。 その方角が庭であることに気がつく。 〔 ▙ ▜▓▗ _ 待って…………っ!〕 貴方が足を止めなかったとしても、来るなと言われたとしても、勝手についていく。 その歩調に合わせながら、抱きかかえたクロと一緒に。 (28) 2022/07/21(Thu) 15:20:06 |
ーーー気が付いたら、庭にいた。
いつもいた、畑の前にいた。
……サクッとあっさり逝けないくらい未練があったのか。笑えてしまう。
割れてしまったはずの骨の頭も戻っているから、表情なんて見えやしないけど。 どうせ誰も見ないだろうけど。
そんなに未練があったのに、抵抗もせず一言以外何も言わなかったのは。無意味としたのもあったけど。
「……アイツら、気に病んでないかなぁ……」
加害者二人が、先に害意を示してしまったから。
クローディオを殴ってしまったから。
何か言って、彼らがその場で間違いに気付いたら?
殴った事実も狂気も、消えやしないのに?
だから最後に間違いを指摘して咎めて、その中に俺は許すよって気持ちだけ込めて。
それだけが精一杯だった。
青々と、野菜が育っている。
葉が、茎が、風にそよいでいる。
でもそれに触れることもできない。
「なんにもなくなっちゃったな」
| (a28) 2022/07/21(Thu) 23:31:46 |
| ノルは、そこにあった死体を見て、触って、死んでしまっているのを確かめて。 (a29) 2022/07/21(Thu) 23:33:30 |
| (a30) 2022/07/21(Thu) 23:33:47 |
| (a31) 2022/07/21(Thu) 23:52:46 |
庭へ、出てくる。
頭の骨の割れて外れた、抜け殻になった身体を抱えて歩く。
引き摺るように歩くリーディエが先導。やがて彼女は、目に付いた大きなスコップを手にする。随分と、不似合いな。
二人だけの葬列。時を前後するか、見守る者がいるかは、知らない。
無意味な謝罪の音を垂れ流す。
だって、同行の彼女は許さない。
一番伝えたい相手には、伝わらない、筈、の。
畑のそばにずっといた。だから、庭から音がするのはすぐにわかった。
歩くのが少し難しい。ふわふわと浮いてしまいそうで。
そして向かった先、自分の死体と二人の姿を見る。
あぁ、そのスコップ、リディには大きいって。
指、痛めちゃうよ。折角綺麗な手なのに。
ユングだって、いいのに、俺重いだろ。
あぁでも、邪魔になるか、そんな身体でもきっと皮膚と肉は腐るものなぁ。
届かないと思っている。だから、思うだけ。離れた位置から二人を見て。
「……別に、いーのに」
君の発した謝罪の言葉に、思わずぽつりと声が出た。
「……………」
「死ぬってこんな感じなんですね〜」
*のんきでした。
自分のそれを見る前か後か。
分からないけど、随分呑気な声が聞こえて、勢いよくそっちを向いた。
「フィラー!?」
なんで。
……なんでって、そりゃ、答えは一つしかないんだろうが。
「………………?」
「……………………」
*電球の彼は、あなたを認めて。
「…………………」
「
死んでも幻覚って見えるものなんですね〜
」
*察しがとても悪いようでした。
| リーディエは、皆が寝静まるであろう時間に部屋を抜け出し、庭へ。 (a32) 2022/07/22(Fri) 1:11:57 |
〔▙ ▜▓▗
_ よくない……っ〕
思わず、聞こえた声に反論を。
それから、きょろきょろ、と周囲を見回して。
それから、腕の中の兄の抜け殻を見下ろす。
フィラメント
「………幻覚じゃないよ」
いや、じゃあなんだと言えば、幽霊とか言うしかなくなるが。
幽霊だよって自分で言うの、なんか違くない?
全然現実的じゃないし。
「なんでフィラーも死んでんの」
素っ気ない物言いは死んでも治らなかったらしい。
ユングフラウ
「…………ん?」
聴こえるとは思ってなかった。
こっちではなく死体の方を見るのは少しだけ寂しいが、気付くまでは教えないでおいてやろうと。
「いーんだよ。
……や、俺より怒ってるの、いるだろうけど」
改めて、謝罪はいらないと告げる。そして付け足した。
あんなに怒ってくれた、すぐそこにいるリーディエの思いを知っている。
だから少しだけ歯切れ悪く。
「あ〜……現実逃避してはみましたが、なるほど」
*何がなるほどなのでしょうか。
*うんうんと頷いてから、あなたに向き直ります。
「犯人に殺されちゃいました」
*こっちはこっちであっさりでした。
「………満足してなかったんだ」
殺す理由がわからないから、もしかしたら表現が違うかもしれない。
でも、主人を殺すだけじゃ済まなかった、ということなんだろう。
「誰、って聞いていいやつ?」
こっそりでもいいよ、と耳を差し向けてみた。
耳とはいっても骨に覆われているわけだが。
クロ
一瞬足を止めたリーディエ。だけど、一言口を動かして、それからまた歩み出す。
取り残されるように立ち尽くして。
おかしくなっちゃったのかな。
疑問符のついた声が、妙にリアリティを感じさせて可笑しくて。
〔▙ ▜▓▗
_ だからって……クロが責めない理由に、ならない……っ!〕
幻聴の君かもしれないけど、交わせるなら言いたいことが沢山あって、流れ出したら止まらない。
〔▙ ▜▓▗
_ 許さないでよ……痛かったハズの、君が……!悔しかった筈の、君が……
僕が、下手くそだったから……引鉄を、引いちゃったのは、僕でしょ……〕
〔⿻▫__ じゃあ、どうすれば良かったかなんて、わからないけど……〕
〔▙ ▜▓▗
_ 教えてよ、クロ兄…… 僕達、これからどうすればいいの……?〕
〔▙ ▜▓▗
_ ごめんなさい、ごめんなさい……〕
ユングフラウ
リーディエには聞こえないらしい。きっとそれが当たり前だ。
けれど、リーディエにだけは聞こえない方がいいだろう。きっともう一度辛い思いをさせる。
「そうだな」
一言。君の溢れる思いに、まず返したのはたった一言。
「死んだ人のために出来ることなんて何もないよ。
だから俺も、生きてるみんなのために動いたつもりだったよ」
少し長めに喋って、休む。長く沢山話すのは苦手だから。
「まぁ、そう。ユングのことはずるいなぁって思ったけど。
嘘はつくなよ、誰のためにもならないから。ワルゴがすごく怒ってたから、ちゃんと説明しろよ、手遅れになる前に」
君のためにも、家族のためにも。
生きていても死んでいても、あんまり変わらないかもしれない。だってほとんど動きも表情も分かりにくいクローディオだから。
「生きてる人のために、死んだ人ができることも、ないよ」
「でも、生きて。生きろ、ちゃんと前見て生きろ、俺が違うよってことだけユングには教えてあげるから」
はー、と息を吐く。こんなに喋ることなんてなかった。
死んでからの方が喋ることが多いとか、笑い話にもならない。そこでちょっと黙った。
「ふむ、そうですね〜」
「教えてもいいのですが」
*人の顔でいう顎の部分を撫でながら考えます。
*ふむー、と一息。
「恐らく、すぐに分かると思いますよ」
「メモは遺しましたが、それとは別に遺したモノがありますから」
「見守っていれば、わかりますよ」
「……ふぅん?」
見守るつもりはあった。というか、だから未練がましくこんなふうに残ってしまったのだと思っている。
骨の頭の表情は変わらないが、どこか悪戯っぽく語尾を上げて。
「わかった。じゃあ、見守る」
クローディオ
「ええ、そうしましょう」
「皆はきっと、気付いてくれるはずですから」
「…………」
「これで何も気付かれなかったら、私めちゃくちゃ恥ずかしいですね〜!」
*締まりませんでした。
フィラメント
「……フィラーは俺と違って一言多いんだよなぁ……」
なんとも言えず気の抜けた声で呟いた。
クローディオ
「クロは逆に言葉足らずなところがありますからね〜」
*言わなくてもいいことを言うところは、死んでしまっても治らないようです。
「……でもまぁ、これでもそこそこにはショックなんですよ」
「色々と可能性は考えていたのですが、どれもこれも杞憂であって欲しかったんですよ、私は」
「館の中に犯人なんかいなくて、物取りや異常者の仕業であれば、それが一番良かったなんて、思っていたのですがね」
*ですが、それは。
「……夢っていうのは儚いものですね〜」
フィラメント
「……それはそうなんだろうなぁ。だからこのザマだよ」
死んだって性質は変わりっこないみたいだ。お互い。
「夢なんてみても楽にはならないからね」
恐らく家族の中で最も現実的で夢がなくて、浪漫もないクローディオだ。期待してないってことでもある。
「みんなそう思っただろうな。でも、殴りかかってくるくらいにはみんな夢見てられなかったんだ」
クローディオは、ずーっと、
「みんなこれからちゃんと生きられると思う?
解決して、ちゃんと寝て飯も食ってさ。ちゃんとおっきくなれるかな」
先の現実ばかりを見ている。もう自分のこの先はなくとも。
クローディオ
〔▙ ▜▓▗
_ ぅ……うん。〕
飾り気の無い肯定に、らしいなぁって。
痛いような呻きを上げながら、ほっとしたような返事。
〔▙ ▜▓▗
_ ワルゴ……に……ぁぅ、そうします……。〕
思わず言葉が畏まってしまったのは、正しい説教だなって思って。
こんなことになっても、なんか変わらないなぁって泣き笑いのような変な顔になる。
〔▙ ▜▓▗
_ うん……うん……。
クロ、まだ、居てくれる? ずっと……僕たちと一緒に。〕
教えてくれるってことは、見ててくれるってことなのかなって都合よく解釈して。
そもそも、貴方の声が聞こえる理屈もよく分かってないのだけど。
死者に喉は無くても心はあるから、だからこその体質による混信かもしれない、なんてのはきっと、後から至る推測。
〔▙ ▜▓▗
_ あ、リディ…… 待って、待って……っ!〕
すっかり距離が離されてしまったことに気がついたなら。
今は貴方の願いに従うように、生きてる姉の方へと駆け……るには貴方の身体は重いな。のたのたと追い掛けて行くだろう。
| (a33) 2022/07/22(Fri) 11:52:30 |
| ハグベリーは、息苦しい。吐いた空気が上に昇っていくのを見た。 (a34) 2022/07/22(Fri) 13:21:42 |
クローディオ
「……ふぅむ、どうでしょうねぇ」
*電球の彼は、頭を少し明滅させます。
*さて、どうだろうかと。
「……私やクローディオであれば、割と図太く生き残ったと思うんですけどね〜」
「死んじゃいましたけど」
*やっぱり一言多いです。
「……しかし、そうはいかない子もいますから」
「特に、モノオキやワルゴはとても心配です。
……誰か、導いてくれる子が一緒にいてくれればいいのですが」
*誰もが一人で生きていけるとは、とても思えませんから。
*せめて、ここで生き残ったあと、誰かと一緒に生きてくれればと願うばかりなのです。
ユングフラウ
「うん」
そうします、って素直に言うならそれ以上は言うことはない。
自分が死んだ引き金になったとか、そういうことを責めるつもりも咎めるつもりもなかった。
「さぁね。わかんない」
いるつもりだ。でも、ずっとかは分からない。
変な期待を持たせるわけにもいかない。だから先にすっぱりと。
「でも見届けるつもり」
そんなふうに付け足して。
あぁ、やっぱり重いよな、とか思いながら。
でも、しようと思ってここまで運んでくれたものを、やんなくていいよとはどうしても言えなくて。
ただ見送る。見送った。 離れた場所から、見ているだろう。
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