98 【身内】狂花監獄BarreNwort【R18G】
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視点:人 狼 墓 恋 少 霊 九 全 管
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願いは届いた。
胴体に走る衝撃に顔が歪む。続いて火を付けられたかのように痛みが肉体に燃え広がっていく。
"すまない、ダビー"。
男の声を拾う。
目の前のターコイズが濁るのを見た。仄暗い色に、よくない熱が胸の中で育っていくのを自覚する。
やっぱり、駄目なんだ。
きっと正常な人間はここで貴方を慰めたりするのだろうか。共に悲しみに暮れて寄り添うのだろうか。
ああ、でも、結局自分は歪んでいるのだと認識する。
苦しむ貴方が、傷つく貴方が。たいへんに魅力的に見えて、美しいものに感じてしまって、狂おしいほどに愛おしくなってしまうのだ!
己を殺すと言ったのに、内側から込み上げる甘やかな幸福に笑みが溢れそうになる。でも笑ってはいけない、けれどいつものように口元を手で隠すことも叶わない。必死に耐えなければ。
「……アマノ。違う。貴様が謝ることはない。
謝るべきは、俺だ。だって、何故なら、元はと言えば──」
だから、貴方は悪くないと。
それが当然であるかのように言いながら。
厚かましいと、そんな資格はないと知っていながら、腕を捉える手で貴方を優しく撫でて。
男は、慰めるように優しく、そっと呟いた。
「《杭よ》」
傷口から溢れ出す生命に告げる。
赤い雫は呼応して、音もなく肉体を貫く杭へと姿を変える。
狙う先は──自分と、相手。二人まとめて。
終わらない。
「もう一度」
更に血が流れ出るように傷を作って、繰り返す。
大地に撒き散らされた血に命じる。
晴れやかな空の青、爽やかな草の緑を、アマノのターコイズを。
何もかもを、汚していく。
まるで自分が許せないと言わんばかりに己の肉体諸共相手を貫く。串刺刑は執行される。
失血してもいい量の血は既に失われた。自分はもう戦えないだろうから、託すならチャンドラか……止める義務などないけれど、巻き込んでしまうけれど、メサあたりだろうか。トラヴィスは、どうなのだろう。
それは極力防ぎたいと、自分で終わりにしようと、知性の犯罪者の機械化した部位を中心に杭は伸びたことだろう。
| 「…………」 各々の戦いを覧じ、各々の言葉を聴く。
約束を交わした彼も、 まだ言葉を多く交わせていない彼も、 皆、願いをもってそこにいるのだろう。 間違えようと、答えがわからなかろうと。
「…少し、羨ましくもあります」 見届ける。魂の行き場を、未だ知り得ていないまま。 (131) 2021/10/12(Tue) 12:21:00 |
| >>130 チャンドラ 当たったと認識できたのなら。2発。3発。4発。あなたが倒れるか、あなたが銃弾か、この行動を止めるまでは。 今しかない。きっとその判断はあなたにも伝わるだろう。 (132) 2021/10/12(Tue) 12:45:37 |
部屋の中、何が起きているのかは分かる。
遮るものの無い音は、明確に聞こえてくる。
謝罪の声も、肉を貫く鋭利な音も。
「……は、はは……」
力なく笑う。
ずるり、壁にもたれかかったまま崩れ落ちるように床に座る。
「余計な事したのは僕なのに。勝手に被害者ぶって、勝手に勘違いして、勝手に行動して。……」
持ちだした拳銃で、今すぐ自身のこの脳髄を撃ち抜きたいという衝動に駆られる。なんて自分勝手な考えだろう。
「情けねえ、なあ……」
キンウは、銃弾より遅い。
飛び出したチャンドラより早くない。
「……トラヴィス様」
ーーー彼は癒しの能力をチャンドラに使えるのだろうか?
チャンドラはそれを受け入れるのだろうか?
トラヴィスの力の代償はなんなのだろうか?
「チャンドラ様、」
わからない。
ただ名前を読んで、トラヴィスの手を握る。
こんなにも声は震えるものなのだと、キンウは初めて知った。
| 折角、忠告を与えてくれていた彼の言を振り払ってまで、更なる戦いに身を投じようとしていたのに。 >>124避けようと思えどこの一瞬に振り解けるわけもなく、この一瞬ですら遠吠えに侵食されて何もできやしない。 >>+44『協力者』の資格を失ったのだとどこか遠くで思う。これはきっと、この一瞬への現実逃避だ。 >>128そうして男は、男の長く続いた苦痛によって弾けそうになっていた戦意は、三日月に裂かれて。 >>123>>130対峙する彼の囁きに、身とともに精神をも裂かれたような激しい苦痛を覚え、もう取り繕いもできなくなる。 >>c66腕を撫でる手の優しさが、ひどく痛い。この優しさを受け取る資格など、きっと私にだけはないというのに。 >>+46ここにいない彼の姿を何故か見出してしまった。 「君は君の存在を間違いだと思うかね?」と問いかけた己に、 肯定を示したあの柘榴色が頭に過る。 ▼ (133) 2021/10/12(Tue) 13:04:48 |
| それからは、見ての通り、聞いての通りだ。 男は対峙する相手ごと杭で穿たれ、悲鳴とも慟哭ともつかぬ叫びをあげる。逃れることも叶わぬ苦痛が思考を焼く。 ああ、焼かれろ、焼かれてしまえ、こんな知性は望んでいない。 男は再度、眼前の男と杭で貫かれ、……今度は声を上げようもなかった。どこが、何が痛いのか、分からない。 痛みに従って零れる涙が、何に由来するものなのかも分からない。 串刺刑に処された男の驚異的な身体能力の実現に貢献する機械化した部位はその悉くを破壊され、肉体の損傷もまたやがて死に至るそれであるのだろう。 男はもう立つこともままならず。能力を扱うことも叶わない。あとはもう、この青々とした空の元、生き生きとした生命の緑の上で、汚らしい赤の海に溺れることになるのだろう。 >>+48▼ (134) 2021/10/12(Tue) 13:05:06 |
| ――そう、なってしまう一瞬前。 男は空へ一筋の雷光を届けた。 それはきっとこの隔離エリアの照明にほんの一瞬の悪戯を…… 一瞬の明滅を、届けるのだろう。 (135) 2021/10/12(Tue) 13:05:48 |
| >>132 ルヴァ 「…っ、ぁ……邪魔、するなぁぁあアっ!!」 鳴かない筈の兎は吼えるように。 自らが狙われていると分かった上で、自身のその先。 二人に振りかからぬよう、弾丸をその身に受けたままで駆ける。 紅の消え去った三日月は新月の色へと変わり、貴方の首を狙って斬払われるだろう。 (136) 2021/10/12(Tue) 13:18:44 |
ミズガネ
「…………、ミズガネ」
あなたはまだ、この不死兎の目に見える範囲に居ただろうか。
否、きっと居る事にして欲しい。不死兎はあなたが心配なのだ。
あなたを見つけてからは、位置を把握し続けていた。
「…………、よしよし」
不死兎は否定も肯定もしない。ただ寄り添うだけだ。
ただ傍に居よう。必要ならば頭を撫でる事も出来る。
大丈夫だとも、大丈夫じゃないとも、言いはしない。
ただ"存在している"、その"全て"を認めよう。
「…………、」
そして新たに分かった事もあるな。
不死兎は思考を止めない。
そして新たに疑問に思う事もあるな。
不死兎は思考を止めない。
ただ"存在している"、その"全て"の本質を見定めるために。
串刺刑の執行を、放たれる弾丸の行先を、ただ見守る。見守ることしかできない。ロボを抱えたままの両手が震える。
「……分からへん、分からへんよ」
ぽつり、と困惑の言葉をこぼす。
自らが傷つくこと。苦しむこと。殺されること。痛みをもって己の罪と向き合うこと。
それしか贖罪の方法を知らない囚人は、それを否定する者達が理解できない。
「こんな、いろんな人巻き込んで、怪我して、怪我さして……そうまでして、欲しいもんなんやろか」
ここまで暴れないと、手に入らないのだろうか。彼らが求めるものは。
| 「欲しいさ」
トラヴィスは微笑んだ。
「だから民衆は君たちを閉じ込める。君たちを閉じ込めて安心できるようになるまで、閉じ込め続ける。君たちが暴れても、嫌がっても、思想を変えても、思考を奪っても」
「平穏が欲しい。幸福が欲しい。安全が欲しい。 脅かされない日常が欲しい。安定した生活が欲しい」
「だからこれは生存競争だ」
「……私は、どちらにも立てずに彷徨ってばかりだがね」
握られたままの手を見下ろした。 悪魔はどちらか?成し遂げた方だ。
ならば彼らを幽閉することに成功した人類こそが悪魔なのだろう。 (137) 2021/10/12(Tue) 13:39:14 |
アマノ
男の叫びを浴びた。傷つけたのは自分なのに、苦しめたのは自分なのに、ああ、哀れで可愛らしいと思う。無表情の多かった貴方の剥き出しの感情が、愛おしくて仕方がない。
杭の顕現は長くは持たなかった。二人を穿ち貫いていたそれは砂のように崩れて消えていく。
支えの代わりにもなっていたであろうそれを失って、体の力も命ごと流れ出ていくけれど、それでも男はほんの少しだけ倒れまいと踏みとどまった。体を動かすのは最早意地だ、精神というあやふやな概念だ。
目の前の男を抱き止めて、うつ伏せにならないよう寝かせるだろう。
一つの動作を行うたびに、傷口が開いてあちこちから残りの血がとめどなく溢れ出したけど、もう何も感じることはなかった。
ニア
青年は目の届く範囲にいるだろう。
耳のいいあなたには、もたれながら座る音も、小さく呟かれた声も、聞こえていただろうから。
「…………、」
彼はあなたを拒まない。
寄り添われ、撫でられると共に、認められると共に。
どうしようもない自罰的な衝動を、抑えようとする。
>>だれか、こえをひろってくれるひと
「……誰、か。誰か」
声だってもうまともに出ない。それでも、出入り口にいる誰かに届いてほしいと願いながら血の気の引いた唇を震わせる。
「アマノを、頼む」
囚人を管理するのは、看守の務めだ。役割は全うしなければならない。それだけだった。
そうでなくてもこの囚人は色んな者と知り合いだろうから、きっと誰かが助けてくれるだろうけど。
あとは……あとは、何が必要なのだったか。
視界が暗い。やり残したことがあるなら、やらなければならないのに。
かすみ始めた意識ではまだ思考できている、でいているような気がしていたけれど。
新人看守の体はもう、血の海に沈んでいた。
| アマノは、ダビーの知情意を朧気ながら受け取って、血の海に沈みながら青空を眺めるだろう。 >>+54 (a47) 2021/10/12(Tue) 13:50:53 |
| >>120 >>127 ナフ アンタレス 多少の反撃代わりに背後に向けた鋏が、ナフに届くことなく氷に突き刺さる。タイミングとしては遅すぎるように見えるだろうか。 飛び跳ねるナフの動きを上回る反応はできない。 真正面からでは望む結果にならないからこうしてアンタレス に抱き寄せられることにしたのだ。 「……これは、あとどれくらい使える?無限じゃないんだろ、動力源は知らないが」 アンタレスへ向けた言葉と同時に、ナフへ顔を向ける。 突き刺した鋏を引き抜くふりをして捻り、壁のヒビを広げる。 ナフを向いた口は、発音はせずに『壊せ』と動いた。 (138) 2021/10/12(Tue) 13:51:29 |
ミズガネ
「…………、辛いな
」
不死兎にだって感情はある。
人が悲しむ姿を見れば悲しいと思うもの。
本心を全て汲み取れなくとも、考えた末に、同調する事は出来る。
それでも優しく撫でる事だけを選んだ。
それ以外を構築するべきは、きっとこの兎ではないから。
ダビー
「…………、!」
そしてその不死兎は耳を立て続けている。
後輩を撫でて、一度抱きしめた後……
「少し待っててね、」と残し、その場を離れるだろう。
向かうは素直で律儀で真面目で、
己のやるべき事を果たそうとした、彼の元へ。
って思ったんだけど兎、非力だから……
男性二人を運び出すの、無理だと思った。今更だけど。
「誰か手を貸してくれる者は、居ないかい?」
「…………、なに、ちょっとした大掃除だよ」
周りに呼びかける。言いつつそれは……
トレーニングルームの中へと瞬時に、跳び翔けるのだが。
| 「……私より……ダビーを先に……」 あれだけのことを行った看守のことだ、自分よりも失血は多いだろうしそれだけ死に近いに違いない。 息も絶え絶えに、うわ言のように囁いた。不死兎にも当然聞こえることだろう。 (139) 2021/10/12(Tue) 14:01:53 |
| 死に体が二つ転がっている。 願いが叶うと信じているのか? 不意に噴き上がった感情のままに、トラヴィスは立ち上がった。苛々する。露悪的な心。破壊が足りない。侮辱が足りない。貴様らは もっとできたはずだ 。 それは余裕か? 許しがたい、舞台の侮辱のように思えた。 柔らかな芝生を踏む。ヒールが刺さるのも構わずに進む。 暗示を解くつもりはない。手は離したが、彼らを癒すつもりなどどこにもなかった。 「貴様らに、祈りなど」 後輩の傷を蹴り付け、その頭を踏みつけた。 >>+56囚人の杭跡に踏み込み、そのままヒールで強く抉った。 >>134「中止など許されない。許さない。一切! 私の言葉を聞き入れない癖に、止められるなどという終わりを、選ぶと、いうのか! 」 死体は応えない。 (140) 2021/10/12(Tue) 14:03:48 |
トラヴィス
「生存競争……」
看守の言葉を繰り返す。
愚かな囚人には、美しく思慮深い墓守の思いを半分も汲み取ることはできなかっただろうが。
何を求めて、何故戦うのか。少しは理解できたような気がした。
「生きるために欲しいもんが違うから、取り合いになる。……それは、立場が違う人間がぶつかり合いになるんも、仕方ないんやろね。やって、そうせえへんと生きられへんのやから」
その言葉は直接看守に向けたものではないけれど、あなたの言葉を確かに聞いたという意思表示であった。
「…………、墓守、」
不死兎は、墓守を止めたりはしない。
噴き上がる感情、言葉、行動。
その全てを見届ける。疑問を抱く。
彼は今……"本当"は何を想っているのだろう?
否、この行動こそが、彼の"本当"の表れなのかも、と。
憶測は憶測でしかない。情報が足りない。
故に、墓守の鼓動、その行く先を。
紅水晶が、傍で見つめる。
「ダビーはん……!」
ごく小さな声で嘆くように呟くと、か弱い兎に手を貸そうと(
)駆け出しかけて。
墓守の気迫に怯んで()、半端なところで止まった。
| アマノは、応える言葉も術もない。されるがままに肉が動き、瞳に溜まっていた涙が垂れていくだけだ。 >>140 (a48) 2021/10/12(Tue) 14:15:03 |
| 「情など捨てろ。貴様らが上がった舞台から降りるな。 貴様らが始めた生存競争だろう。 なぜ降りる。なぜ 負ける !」 片手で顔を覆ってふらついた。 「 どうせ響かない 。なにも変わらない。 だったらこれくらい言っても構わないだろう?」 2つを睥睨し、地面の青に靴の血を拭った。 爆発的な怒りは過ぎ去り、まとわりつくような不機嫌が残った。2つがどうなろうが、あとは知らない。 (141) 2021/10/12(Tue) 14:17:18 |
何も返さない。先輩の思うまま体が揺れている。無事であってもそう受け入れていただろうけど。
ミンに向かって唇を動かした『ありがとう』、音には……今はしない。
| 「 」
少年は口を開く。唇を震わせる。 言の葉は紡がれない。
その前に夜の月が貴方がその首を、声帯ごと切り裂いたから。
少年は認識していた。あなたが此方に向かってくることも。
避ける力は少年には無かった。
重力のまま倒れる。同じく芝生に赤を作る。
血が身体から失われていく。指が、手足が、腕が、視界が、嗅覚が、聴覚が、身体が制御を失っていく。人体は死には抗えない。 仰向けに倒れる。その存在しない視界は空。表情は初めから最後までと同じ笑顔のまま、見るものが見れば晴れやかなまま。
少年は動かない。
血に漬かった端末が彼の能力で少しだけ動いているが、このままなら直に。 (142) 2021/10/12(Tue) 14:19:01 |
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