人狼物語 三日月国


77 【ペアRP】花嫁サクリファイス 弐【R18/R18G】

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【人】 鬼の花嫁 千




 この名前に、覚えがあるんじゃないか

[見せたのはその全てではなく、火傷の跡がある流れ者の男が山の僧侶に拾われ、共に贄に選ばれてしまったという記述。

余所者であり村から離れて暮らした男についてはあまり書かれていない、ただ長年寺で過ごしていたらしい僧の名前がそこにはあった。

許可を貰いこの部屋を調べた時、見つけた石版から読み書きが出来ることは知っている。
それでももし難しい様子なら、声に出して読み聞かせるが。**]
(24) 2021/06/30(Wed) 1:40:12

【人】 鬼の花嫁 千


[己の過去の断片を前に、変わらず強く静かに振る舞い
惑う手に温度と言葉をくれた鬼が、声を詰まらせる。

その様子を見ても、躊躇い無くその名前を声で教えた。

“何も恐れることなど無い“のだから。>>-111]


 ああ、旦那様
 俺はあんたを見つけてやれたんだな

[既に確信に近かった真実だ、改めて告げられても千に揺らぎはない。

稚気で頼りない反応や朧な声に、振り返り触れてやりたい想いが過るが
それはきっと今するべきことでは無かったから、ただ一言返し震えた声の唯一の傍聴者となった。]
(34) 2021/06/30(Wed) 23:40:20

【人】 鬼の花嫁 千



 …………まるで紅鉄様みたいな人だな

[全てを漏らすことなく聞き遂げて、小さく息を吐いて口を開く。

死を望む者を立ち直らせる真っ直ぐな心、
己を犠牲にするかのように誰かの為に独り生きる様。
やはり鬼の心はかつて大切だった者達が創り上げたもの。

変えられない過去を嘆いたり、人間であった頃の鬼の無力さを否定するよりも
きっと大切だったのだろうその記憶を分かち合うことを、千は選んだ。]

 俺は少しばかり埃塗れになっただけだぜ
 頑張ったのはあんただ、そうだろう
 ──なあ、よく戻ってきてくれたな

[余所者の妖怪との戦いで怪我をしたあの日に似た台詞。
鬼の身体は今はずっと傍にあった。だが、心は過去を視た。

その上で常のように呼び掛けてくれる鬼のままで在るのが、とても喜ばしかったのだ。]
(35) 2021/06/30(Wed) 23:40:35

【人】 鬼の花嫁 千



 ……なんだい、随分先の話だなァ
 そんなことを先に言われると、気になっちまうよ

 どうせ俺があんたの言うことを拒むわけがないんだから、
 そこは安心して、他の問題について考えな

[暫くの沈黙の後に、握り、離れてゆく手。切り出された話。
取り戻した記憶が鬼に何かを決意させたのだと千にも分かった。

少しの間を空け首だけが軽く見上げるようにして振り返り、態と茶化すように軽く応え口角を上げる。

本当はその重みを分けてくれと、出来ることは無いのかと言いたかった。
それでも、たかが二十年と少しを生きた人間には背負えぬものだと察して、想いは押し留める。

きっと互いに受け取れない荷と受け取れる荷があるのだ。鬼には握り飯を作るのが難儀だったように。
ならば只、巡る季節の先で来る時を待つだけだろう。]
(36) 2021/06/30(Wed) 23:40:50

【人】 鬼の花嫁 千



なあ旦那様。今日も朝から寒いなァ
だからまだ……このままでいようぜ

[痛い程の力は、しかし抱えた人の子を潰すものではない。
かつて人であり今は鬼である男の、不安や決意、自分への想いが込められた強さ。

だから千は咎める代わりに、もう少し紅鉄坊の時間を奪うことを選んだのだ。*]
(37) 2021/06/30(Wed) 23:41:04
 ありがとぉ、

[茅が笑う。

天狗さまが、好きにしろと言うから。

天狗さまの腕から降りた子天狗の、
高下駄の歯が触れた大地に、
波紋が広がった。]

 
      あは。

            こわぁい。
 

【人】 鬼の花嫁 千


  ─ 必然の冬 ─


 寺の中を暖めながら待ってるさ
 精々あんたに怯えた迷子の捕まえ方でも考えとけよ、ひひ

[口角を歪めた笑みで可愛げのない事を言い、千は鬼を見送った。
自分など気にせず、子供を見つけることに集中出来るように。

その目立つ姿が白に消えるまで、中に戻ることなく見つめていた。

こんな寒い日に迷惑な子供だと思う。だが、雪が物珍しい気持ちは、分からなくもない。
村人が門前まで訪ねて来るまでは、千と鬼も外の景色を寄り添って眺めていた。]
(53) 2021/07/01(Thu) 1:57:45

【人】 鬼の花嫁 千



[朽ちた穴を板で塞いでいるような廃寺の中はとても寒い。
座敷牢は、陽が入らないがしっかりとした家の中だった。

それでも、千にとってはこの場所のほうが好ましい。

いつも共に食事を摂る、かつて像が置かれ経を唱える為に使われていた広い部屋の中。
長らくしまいこんでいたあの白い着物を纏った上に、更に外套を羽織り
燃えた石炭を、灰が入った火鉢の中へと火箸で移していく。

鉄瓶で湯を沸かすのは、鬼が帰ってきてからだ。
時折灰をならし新しく炭を運びながら、火鉢の前で手を擦りその時を待っていた。]
(54) 2021/07/01(Thu) 1:57:59

【人】 鬼の花嫁 千



[──待てども待てども、その時は来ない。
陽は既に暮れようとしていた。

まさか自分のように子供が襲われてしまったのだろうか。
見つかっていないなんてことは、まさか無いだろう。

いくら送って行くとしても、怯えられたとしても遅すぎる。
鬼にとっては庭に等しい筈の山、理由の分からない不安。

今更飛び出すことも出来ず、もどかしさが胸に渦巻くばかり。]
(55) 2021/07/01(Thu) 1:58:12

【人】 鬼の花嫁 千



[そんな時に戸口が開く音がすれば、何の思考もなく喜んでしまう。

立ち上がり、直ぐに迎えに行ってしまう。


最初から迷子などいなかったなど、鬼すら知る由もないことだ。]
(56) 2021/07/01(Thu) 1:58:23

【人】 鬼の花嫁 千



 紅鉄様……!随分遅く……

[その時の千は、鬼子であった男は

まるでらしくなく、ただの人間みたいに笑みを浮かべていたのだろう。]
(57) 2021/07/01(Thu) 1:58:36
[力を与え深くで繋がった天狗にはわかる
茅の足元から広がる妖力の波紋は静かに村中に広がっていく]

 ほぉ

[この村を好いていた茅らしい方法と、関心の声を上げる
自ら手を下すのではなく、それは]

 こわいのぉ

 こんなもん抱えて、よくまあ今まで平然としていたもんよ
 それを解き放ってやったんじゃ、茅はようやった

[躊躇いも憂慮もない笑顔で寄り添う子天狗を、褒めるかのように頭を撫でる]

[かつてヒトであった青年は、何も知らなかった
村のヒト達からどう思われていたか、真実にはまるで気づいていなかった

村のため、皆のため、と言われれば諾々と従い
嫌と言わずとも恩着せがましく今までの世話を口にされた

青年には何もわかっていなかった
醜い人々の胸の内、ヒトならざる力の一片を得て初めて
一度たりとて、青年を大事になど思っていなかったことを知る
知ってしまった

ああ醜い、ヒトというものはこんなにも醜い
そして愚かだ、ヒトであった自分を含め──


だから
それならば
いっそ────、]

 
 ――……こんな村、滅びてしまえ
 

 
――……こんな村、滅びてしまえ

【人】      千








──二〇██年六月 ██県██市█町 歴史資料館
            
          
            
或る夜間巡視警備員の独白
(102) 2021/07/02(Fri) 23:05:44

【人】      千



 温暖化による異常気象で、六月から蒸し暑い日々が続いていた。
 すっかり初夏といっていい有り様であるのに、
 梅雨は忘れることなくやって来るのだから、うんざりする。

 今日も夕方まで降り続いていた雨の名残か、 
 高い湿度が生暖かい嫌な空気を屋内に漂わせていた。

 着込んだ制服が温度に釣り合っておらず、額に汗が滲むのが分かる。
 暦上は夏本番は未だ遠い現状、とっくに閉館時間を迎えた夜
 冷房の使用が許されるのは休憩室だけだ。

 節電という掲げられた名目はあるものの、
 実のところ、雇われの厳しさを感じるばかり。
 少しばかり人付き合いが不得意な身には有り難い仕事であったが、
 特にこの季節はあまり快いとは言えなかった。
(103) 2021/07/02(Fri) 23:05:58

【人】      千



 どこぞの酔狂な金持ちの寄付によって、
 ここ数年の内に建て替えられたというこの建物は

 規模と需要に反した、真新しく清潔な内装が目を引く
 まさしく金の無駄遣いであると、
 望んで働いているわけではない一般庶民には思えてならないが

 無駄に大きな窓から差し込む月の光に関しては、
 巡回中いつも有り難く感じていた。

 夜の資料館は不気味に思えてならない。

 今の時代を生きる存在は自分一人きり、
 犇めく過去が黙して暗がりからこちらを見ている。
 そこには独特の居心地の悪さがあった。

 中にはきな臭く鬱蒼としたものも収められていて、
 そんなものを置いているからいつでも客足が少ないのではと
 思えてならないが、当然口を出せる立場でもない。
(104) 2021/07/02(Fri) 23:06:11

【人】      千



 一人分の靴音だけが、反響し静かな空間に響く
 丁度この先にあるコーナーが、きな臭い展示物のある場所だった。

 不気味であっても、怖いと感じているわけじゃない。

 自分は既に親に結婚を急かされる年齢の男で、
 真夜中に展示物が動き出し警備員を巻き込み騒動を起こすのは
 映画やゲームの話でしかないのだから。


 何も起きやしない。いつもと変わらず時間が過ぎ、帰宅する。


 その筈なのに────

 あるわけがない風の流れを、温い空気の中確かに感じた。
(105) 2021/07/02(Fri) 23:06:25

【人】      千


「いーや、怪しくはあるだろうこの状況
 でも俺達はただ、里帰りしているだけだぜ。
                 だが、ああ……あんた」
(112) 2021/07/02(Fri) 23:10:03

【人】      千




 歪む笑みを浮かべる口から、牙が覗いた。
(113) 2021/07/02(Fri) 23:11:18

【人】 異形 千



「視えるんだなァ?可哀想になァ?
        はは……、────
ひひひひっ!
(114) 2021/07/02(Fri) 23:11:37

【人】      千




 不気味な笑いを耳にしながら、意識が遠のいていく。
(115) 2021/07/02(Fri) 23:12:02

【人】      千

 

 




 
(116) 2021/07/02(Fri) 23:12:48

【人】      千



 どうやら気絶していたらしい。

 すっかり静けさを取り戻している空間。
 不審者も恐ろしい異形も、何処にもいない。

 ふらつきながら窓に近づき、外を見下ろしても

 その先、資料館の傍らで咲き誇る純白の梔子が見えて、
 芳しい香りが風に乗り届くばかりだった。

 湿度の高い夜、あれはよく香るから────
(117) 2021/07/02(Fri) 23:13:10

【人】 吸血鬼 千




 まるで、本当に────
(118) 2021/07/02(Fri) 23:14:26
 よい眷属を、嫁を得て、茅と出会えて
 ワシは、本当に
しあわせ
じゃぁ……

[そう呟いて、愛しい子天狗へと顔を寄せる
生まれて初めて「しあわせ」を口にして**]