人狼物語 三日月国


203 三月うさぎの不思議なテーブル

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視点:


[ お茶をときどき、傾けては、
 ふわふわのたまごの中、もぐる具材に
 感動してみたり。

 ちまちまと食べ進めていた炊き込みご飯は
 じっくりと時間を掛けて、頂いた。

 最後のひとくち、にたけのこが
 残ったあたり、好きなものは最後に
 食べる方、を体現していたことだろう。

 それも食べ終わってしまったなら、 ]

 ……なくなっちゃった

[ 珍しく、さみしげな顔を見せただろう。
 それくらい、美味しかったということで、
 しかしそれも、タルトが差し出される
 までのこと。 ]

[ その日、初めて俺は一言断りを入れて、
 その皿に、スマホを向けた。

 その時仕入れた最高の食材を使った
 とっておきの料理を食べる、がこの店の
 最大の、目玉と思っている。

 いつ頼んでも作ってもらえるかどうかは
 素材の機嫌次第と、知っていたからこそ、

 約束を意味するように、飾られた
 その皿を、今日の日という日付とともに、
 残しておきたくなってしまったから。 ]

 ……誰かのこと、何も言えないな
 泣いてしまいそうだ

[ 守れた約束が在る、
 守れなかった約束も在る。

 これから先も、叶えたい約束がある。
 叶えて欲しい、約束がある。 ]

[ それを思えばこそ、写真に残したいし、
 食べるのを躊躇う気持ちを払拭したかったから。

 いついつまでも眺めているなんて、
 作った側の本望ではないだろう。

 それでも、やっぱりどうしても
 最初の一口は、描かれた四葉を避けて
 フォークを入れた。

 いつだって思えばそう、口にしていたけれど
 それでも今日ほどの、熱量はなかっただろう。 ]

 ……幸せの、味がする

[ ゼラチン質の白と、瑞々しいマンゴーのオレンジ
 クコの実の赤がまた、彩り華やかで。
 それを囲う甘い茶色が、額縁のように、
 そのタルトを飾っていた。

 マンゴーの香りに、さっぱりとした杏仁豆腐の
 甘さが心地よく調和して、くどさを感じさせないまま
 最後の一口まで、導かれていくようだった。 ]

[ タルトの生地に絡むチョコレートがまた、
 絶品で。胃袋だけじゃ飽き足らず、
 心まで掴まれているというのに、
 これ以上どうしろというのか。

 名残惜しい最後の一口をゆっくり運び、
 少しぬるくなったお茶を流し込む頃、

 諸事情によって、席を立つことになっただろうか。 ]

 また。

[ 店に足を運ぶことの意味も込めて。
 そして、待ち合わせの日の意味も同時に。

 急になにか変わることも、変えられることもないので
 いつも通りに、会計へと向かっていった。* ]

―― 約束の日まで ――

[ 仕事帰りの日、いつも世話になっている
 バイク用品店に顔を出した。

 ――タンデムシート、持ってなかったもので。

 たしか三代目の愛車を購入したときに、
 勧められたのだが、

 乗せる相手いないんで、とざっくり
 断ったため、改めて探しに来たというところ。

 一時間半は決してバイク乗りにとって
 長い時間ではないけれど、初めてなら
 なるべく衝撃の少ない方が楽しめるだろうし

 ……これから何度も、使うだろうし。

 メットは予備というか気分で変えてる
 うちのどれか、で良いだろう。

 ――と、思ってたんですけどね ]

 なにこれいいじゃん

[ 強度も問題なさそうな、ネイビーのそれ
 バックの留具付近にはウサギのマークが
 散っている。 ]

 これもください

[ 即決だった。
 ――相当浮かれてんだよ、俺。

 決して現役時代のような、年収ではない。
 それこそ、週に二度、好きなものを好きなように
 外食できて、年に何回か愛車のメンテするのを
 全く戸惑わず行える程度、それってほぼ一般の方と
 変わらないと思うのだが。

 反響に寄る臨時収入が、浮かれた俺を
 後押ししたもので。

 結局、新品のヘルメット一つ、
 俺より愛車に詳しい店主に寄って選ばれた
 シートを購入し、その場で取り付けてもらう
 ことにした。

 ついにお前も女乗せるのかと揶揄う店主に
 うっせーよ、と笑って、店を後にする。
 約束の日までは、あとどれくらいだっただろうか。** ]

メモを貼った。

[炊き込みご飯を出した後は、少し話せたかどうか。
 一皿ずつ味わうように食べていく所作を
 時折視界の端に入れながら、
 『お父さんごっこ』を続けていたかもしれない。

 連絡先の話が出た後は、
 妙に口数が少なくなったような気がするのは
 気のせいだろうか?

 やっぱり撤回とか、言い出したら。
 ああ、そうだったのか。と返す他ないけれど。

 そう、考えた時。
 ちくんと、どこかが針を指すような感覚。]


  ……――?


[胃の辺りを抑えて、小さく首を傾げる。
 痛みの原因は、目が充血したときのように。
 何が起因か解らなくて。]

[一瞬感じた痛みはすぐに消えていく。
 慣れないイヤーカフのせいかもしれない。

 気を取り直して、デザートを差し出した。
 写真の有無を聞かれたから。


  どうぞ。


[神田は毎回のように撮っているし、
 同じようにSNSが当然の社会になっている今、
 写真に撮りたがる人は多い。

 ただ、高野がカメラを向けるのは少し珍しい気がした。
 プレートに描いたクローバーに落ちる視線。

 料理の下に隠したものを見透かされたようで、
 少し居た堪れなくなってしまう。]

[泣いてしまいそうだと零した音は、
 微かに震えたような気がした。

 その音に、ぎゅっと心臓を掴まれたような。
 そんな心地がした。
 先程感じた微かな痛みよりも確かな痛み。

 なのに。

 それを皮切りに、――――鼓動が跳ねる。]


[描いた四葉はほんの思いつきだった。
 そのとき、無意識に頭に浮かんだものを。
 ただ、良いことだと思って、描いて。
 喜んでもらいたくて、提供しただけ。

 だけど、妙に心が騒がしい。
 フォークをタルトに差し込む姿に
 思わず視線を外してしまう。

 イヤーカフで隠れた耳朶が熱を持って、
 うまく呼吸が出来ないみたいに、
 隙間を作って、解けた唇が酸素を求めるみたいに。

 ほつりと落とされた感想が。
 また、胸を苦しくさせるから。

 カッと熱に染まっていく頬を腕の甲で表情を隠した。]




   ――まるで 
心臓
を 食べられているみたいだ。



 
  

[そう、顔を隠したまま。呟いて。

 逃げるみたいにオープンキッチンから離れた。

 胸が焼けるように熱い。
 急に沸騰する湯沸かし器みたいに。

 店内でこんな動揺を見せたのは、初めてかもしれない。
 
 どうして。急に。
 こんな。知らない。

 何。
 
 纏まらない思考が落ち着かない。
 さっきまで普通に話せていたはずなのに。

[その後は、彼から距離を取るように。
 厨房の仕事を進んで選んでいたかもしれない。

 同じ頃に来店した葉月の酔いが回って
 彼の対応する高野が退店間際にも。

 挨拶のために待っていてくれた時も。
 妙に、視線が合わなかったかもしれない。]


  ……また、お待ちしています。


[絞り出せたいつもの挨拶。
 それが、出来ただけでも褒めて欲しい。]




[それから、少しだけ時間は掛かったけれど。
 『約束』を交わした住所は、
  
       無事、高野のもとに、送られることになる。**]

 

メモを貼った。

メモを貼った。

メモを貼った。

[誰かと付き合ったことがない、訳じゃない。
 告白されて、付き合ってくださいと言われて。
 じゃあ、と付き合ってきた子たちは、
 俺よりも背が低い女の子だった。

 学生時代を経て、社会に出てからもそれは変わらない。
 いつか男から男への告白のシーンを見た時も
 そういう対象の人もいるのか、と。
 どこか他人事のように思えていた。

 あれは、結局俺の勘違いだったようだけど。

 『デート』と銘打った次の約束。
 家の住所と、最寄り駅を送ったメッセージ。]



[彼が誘った意味には、
 俺が女性に抱いてきたような。

 『抱きたい』とか、もしくは。
 『抱かれたい』とか、

 そういう感情が含まれているのだろうか。]


 

[ベッドに転がって、スマホの液晶画面を撫でる。
 指紋を認証して開かれる画面。

 いくつか、操作をすれば。
 やり取りしたいくつかのメッセージが並ぶ。

 あの時、感じた熱みたいな感情。
 数日、時間が経てば落ち着いてきたけれど。


 ああ。
 もし、それを言葉にするなら――、]



  …………――――、



[ぱたり、スマホをシーツの上に落として横になる。]




[『約束』の日まで、――もう、あと数日。**]



 

―― ちなみに、 ――

[俺に大きな息子ができて、
 胸が妙に騒がしくなったあの日、

 何やら物言いたげな大咲を見つけたなら、]


  ……大咲も混ざりたいの?


[可愛い妹のような大咲が、
 それはまた可愛らしいヤキモチを焼いているとは、
 気づけなかったけど。

 聡い彼女に機嫌がいい理由を指摘されていたら、
 それはとても動揺しただろうから、
 口に出されなくて良かったと思う。**]

[ 送られて来た住所。
 家の近くでも、近くのコンビニとかでも
 良かったわけだけど。

 自分を狙ってる男、すくなくともそう取れる
 言葉だったと思うし、彼も承知してるだろう。

 に、無警戒に住所、送ってくるの
 少し驚いた。
 たしかにあの時住所とは言ってたけれど
 最寄り駅でもコンビニでもわかりやすい
 目印があれば事足りたのに。

 調べれば自分の家からはバイクで
 二十分程度、と言ったところか。

 送られたら送り返す、って決めていた
 わけではないけど、いつもそうしていたから
 自分の住所も送り、ついでに
 
 『機会があったら遊びにきて
  何も楽しいものはないかもしれないけど』 ]

[ と添えておいた。さすがにここに下心の文字はない。
 あまりにも直球なので。どうみてもそうにしか
 見えないので。
 
 ないかあるかでいえば。
 そら、なくはないのだが。


 ルームシェアをしているような家と比べれば
 狭いだろう俺の住処は、
 住宅の多い地域の駅近くのマンション。
 現役時代から使っている部屋。 ]

[ 思いを告げたとはとても言えない、
 お粗末な言葉を投げかけた日、

 沈黙が多くなってしまったのは、
 照れていた、というのがまずいちばん。

 そして過ごした中で一番、
 愛おしい夜だったから。

 その日の食事の内容は
 忘れることはないだろう。

 どれも、本当に美味しかった。

 常ではない相手の姿に、
 戸惑う気持ちもあったのだが。 ]

[ もし、よく考えた結果、
 これから先、何かを変えるのも
 俺が変わってしまうのも、嫌になって
 しまったとしても、

 この日のことが、嫌な思い出だけに
 なってしまわないよう、振る舞った。と思う。

 でもきっと、そういう類のものではない。
 それはただの勘とか、予感めいたもの。
 あの言葉の意味と、
 逃げるように去っていったことについては

 わからないままだった。
 帰り際、いつものように、また
 言われた時、目線が合わなかったことには

 残念に思ったけれど ]

 ………男から好意寄せられてますって
 だいぶ、あれだろうし

[ そうやって自分を納得させることにした。 ]

[ それからいくらかメッセージのやり取りは
 あったし、一度くらいは、
 お店で会うことも、あったはず。

 ところで、俺は諸々開き直っているので、
 迷惑にならない範囲で――

 あの彼、男に言い寄られてるわ、
 迷惑してるのかしら
 と思われない程度に
 
 ――好意も隠さなかった。

 『楽しみだね』
 『天気予報では晴れるみたいだ、嬉しい』
 『眠れなくてぐだぐだしそうだから
  いっそ、さっさとベッドに入ることにする』

 等々。まだいくらもあるかもしれない。

 それが単なる友人に向けたものじゃないことは
 君だけが、知ってくれればいいので。 ]

―― 遠乗り日和 ――

 日頃の行いかな

[ それはどちらの、か。
 『時間通り到着しそうだよ』の連絡は既にした。

 約束の時刻は午前中。

 シートに加えて二人乗りに必要なものは
 すべて揃えてあるが、それでも少し緊張しつつ
 グローブを外し『着いたよ』の文字を打ち込む。

 如何にも、なライダースタイルよりかは
 幾分か、軽装で。

 持ち物は、財布、スマホ、それから
 安全運転に気をつける心。

 目的地までのルートは頭に入っている。
 もう何度も通っている道だからね。

 愛車も昨日念入りに、磨いてある。
 黒の、アドベンチャー。
スズ○の隼に近いもの

 
――あんなに高級車ではないけどね。
]

 おはよう
 ……なんかこの挨拶、新鮮。

 体調、万全?

[ やがて待ち合わせの相手が現れたなら
 挨拶と、体調の確認を。 ]

 いい天気だよね
 メット、つけたことある?

[ 問いながら、新品のヘルメットと、グローブを
 手渡し、装着方に難色を示すようなら
 手伝いを申し出て、 ]

 不安があったら教えてね
 声は、聞こえないかもしれないから
 どっか叩くなりして。

[ 乗り方もわからないようなら指南して、
 準備ができたなら、 ]

 ……わりと夢だったんだよな
 
好きな子、乗せんの


 いこうか。

[ そう声を掛けて、出発しよう。* ]

メモを貼った。

―― ラジオ局 ――

 こんばんは、高野景斗です。
 少し暖かくなりましたね。

 そうそう、今日誕生日のスタッフがいるんです。
 音響の牧野さん、それから今日お誕生日の皆さん
 おめでとうございます。

 ケーキとか食べるのかな?いいね。
 私も最近、一生忘れないだろうなってくらい
 おいしいタルトを頂きました。写真はあるけど
 見せません、私だけの宝物です。いいでしょ。

 この時間に食べ物の話って、NGかもしれないけど
 たまにはいいんじゃないって無責任なこと
 言っておきますね。

 最近ずいぶん暖かくなり
 梅の花が見頃らしいですね、
 もう少しで、桜も見頃でしょうか。

[ 今日も今日とて、恙無く仕事は進行している。 ]

 はい、皆さんお待ちかねのコーナーですね………
 なんで待ちかねてるんだろうね………
 毎週たくさんのお手紙!ありがとう!ね!!!

 届いたお手紙、もちろん私も拝見させて
 いただいてるんだけど、一つ紹介していい?

 「毎週、運転中に聞いていますトラック運転手です
  運ちゃんって呼んでください」 
 
 うん、運ちゃんありがとう。今夜も聞いてくれてるかな
 運転気をつけて、頑張ってね。

 「……――というわけで、年下の部下に慕われたい
  気持ちでいっぱいです。嘘でもいい俺を好きだと
  言ってくれ。」

 仕事大変だよね、運ちゃんの気持ちが痛いほど
 分かるのか、同世代の構成作家が張り切っちゃったみたいです。

 僕、まだまだ先輩には敵わないけど
 いつか、……いつか見合う男になります!!

 いつも僕に優しく厳しく、してくれる先輩のこと
 尊敬してるんで。

 だから それまで、……それまで待っててください!
 絶対、絶対ですよ!!!

[ そして件のコーナーは、いつも通り。
 苦笑いを一つ、合図のジングルが流れれば、
 表情、声色、はスイッチが入るように切り替わる。 ]

 懐かしいなぁ、昔はこういう役も
 やらせていただいたな、覚えてる人いるかなぁ。

 運ちゃん、喜んでくれているかな。
 どうぞくれぐれも、運転気をつけてね。

 それではまた来週、お相手は高野景斗でした。


[ その放送は、デートの二日ほど前に
 放送されることになった。** ]

メモを貼った。

メモを貼った。

メモを貼った。

――たけのことアスパラの日――
 
[まずはいつものように撮影する。
最初こそ店長に許可を取ったが、そこからは自由に撮っている神田である。

自分の行動を見て「良いんだ」と解釈した客が撮る姿も何度か見かけたが、高野が撮っているのは珍しいので「へえ」と思わず見てしまった。
自分より早く来店していた彼のオーダーは既にデザートの段階。
タルトに添えられた装飾が「彼への特別」であることは他の皿を見ればわかる。
それを見た高野の顔が――

 (あっ これは僕見ちゃ駄目なやつ)

察して目を逸らした。]

[さて自分の目の前にある二皿だ。
どちらから食べようかと思案して、まずはてんぷらからにする。

箸で摘まめば、さく、と音を立てる揚げたての衣。
穂先多めのリクエストに応えて貰ったから、細長くて食べやすい。
強く噛まなくても柔らかく歯が通るたけのこには下味がついていて、後から天つゆにつける必要がない。
衣のさくさく感が好きだからこれはありがたい。

使われているつゆは店のオリジナルらしい。
今度はそのつゆを出してもらってそばをリクエストすることを決意した。
だから仕入れておいてください、店長。

対して横の大葉は水気を纏っていたらしんなりしてしまいきれいに葉を広げた状態で揚げるのが困難になる。
だから味はついていないと判断し、少し塩を振らせて貰った。]


 僕、大葉の天ぷらも大好き……無限にさくさくしたい……
 ポテトチップスと同じ棚に袋で売ってないかなっていつも思ってる。

[恐らく時間が経つとさくさく感が失われてしまうので今後も商品としてスーパーのお菓子売り場には並ばないとは思う。]

[鶏肉で巻かれた野菜の色どりが目にも美味しい。
ごぼうは冬の煮物でも太目が活躍するが、春先に出回る春ごぼうは柔らかくて甘味があるのが特徴だ。
アスパラとにんじんを一緒に巻いていても、噛みにくいということはない筈だ。]

 あっ好きこの味付け。

[思わず声が零れた。
天ぷらでふんわりと上品な味を楽しんだ後にやってくる、日本人のDNAに刻まれたみりん醤油砂糖酒の黄金カルテット。
鶏肉にはしっかりその味が浸みこんでいるが、中身の野菜には到達していないから、野菜の旨味も損なわれることなく感じられる。]


 しいたけ途中で食べるとまた煮汁がガツンと来て食感も違っていいな。
 いや〜それにつけてもアスパラは流石おすすめ食材!
 レストランで食べてもアスパラって繊維が気になることがあるけど、
 新鮮だから?それとも調理法?
 ぜんっぜん気にならないや。

[ゆっくり食べないと真白の退勤までただ座席を温めるだけの客になってしまうのだが、食べ始めるとそんな当初の予定は忘れてしまう。
これはデザートまでにまだ何か頼まないと。

鶏のにゅうめんだって?!
麺は控え目でスープ多めで貰おうかな!]

[そして見事にお腹がいっぱいになってしまったので、タルトは持ち帰る羽目になる。
真白がまかないをパスするなら、彼女の分も二切れ。

店内で食べるなら神田ブレンドのコーヒーがお供になるが、家の場合ティーバッグになる。
もう少し良いものを買っておくんだったと少し後悔した。*]

― 白うさぎと紺色うさぎの幕間 ―



[ 大咲が神田からオーダーを受け取り、
  横を通り過ぎる際にも、つい。
  物言いたげな視線を向け、かつ、それを拾われるなら ]


  …………混ざりたいというか。
  私、三年目じゃないですか。瑞野さんと。

  ……知らないうちに瑞野さんに息子が出来てて、
  ちょっと、複雑な気持ちなだけです


[ もうちょっと可愛い妹扱いしてくれても良いんですよ?
  大咲はいつでも歓迎ですよ?
  息子もいいけど妹も良いと思いませんか〜!?

  …なんてことは言わないが。
  男同士の気安さとかもあるかもしれないし、
  仲良きことは美しきかな、ここは譲ってあげ── ]

 

 


  ( いやちょっと待って
原酒と原酒のカクテル!?

    作ったの? そんで
出したの!?
 )


[ 葉月が酔い潰れた原因の事実を後程知れば、
  いややっぱ譲れませんけど!? と思う羽目になる。

  ……無事の帰宅(?)が叶って何よりだ。
  本当に。いやマジで。* ]

 

 ― 引き続き、白うさぎの夜 ―



[ そんな閑話休題と指導計画はともかくとして、
  種類は違えど大咲のやきもちは彼に見えていたか。
  あの日、しれっと過去の交際経験を仄めかされ
  ちょっとだけもやもやしていたことは内緒である。

  いや、嘘だ。大分気にした。
  元恋人たちとどんな風に感じていたかどうかは二の次で、
  "どんな人で、どうして付き合ったのか"は気に掛かった。
  好きだから? なんとなく?
 
その人にも、かわいいって言ったのかな。


  そりゃいたよね、神田さんなら。と思う反面
  いや私の受け取り違いなら良いのになぁ、とか。 ]

 

 

  たけのこと言えば、和食が多いかなぁと思って。
  他には応用しづらいけど、案外何とかなりますよ。


[ まあそれでも余れば賄いになるだけである。強制的に。
  多くは用意していないし、実際出たから問題ない。
  小さな拍手には、ちょっとだけ気恥ずかしげに笑って ]


  ……………… あの、


[ い、意地が、わるい。
  分かっていて作ったことまで理解されている笑顔だ。
  小声で問われて、思わず頬を赤くし、
  それから同じだけの声量で答えを返した。 ]

 

 

  ……呼ぶのは、二人の時が良いです



[ しれっと料理名で呼ぶことも考えはした、けど。
  そんな風に思ってもいたことだから
  この場は貴方に折れて貰おう。

  白うさぎはそのままお泊りの許可を取り付け
  一転して穏やかな笑顔で「おいで」と言ってくれた彼の
  浮かれた言葉と約束へ、ふにゃり、咲い
  幾分か軽くなった心を弾ませた。 ]

 

 

[ 彼のことを知る前は豊富な語彙力程度に捉えていた感想も
  知った後ならなるほど納得の言葉遣いだ。
  作った人を自然と嬉しい気持ちにさせてくれる、
  そんな非凡ではない確かな才能。
  プライベートの神田として来店していると言っていたし
  実際そうなのだとは分かるけれども。

  美味しいを、言動にしてちゃんと伝えてくれる
  そんな貴方だからこそ、好きになったことを実感して ]


  ふふ。アスパラの繊維は、ちょっと分かります。
  店長の仕入れ先か調理法かは企業秘密ですけど。
  ……しいて言うなら、神田さんへの想いの量かな。

  あ、瑞野さんが作ったスープ、美味しいですよ!


[ すっごく丁寧に仕込んでたので、と笑いかけ
  オーダーが入るならその通りにご用意を。
  そんな風に、三月うさぎの店の夜は更けていく。 ]

 

 

[ 賄いは、今日は食べずに帰ろう。
  彼が持ち帰るタルトが二つに増えるなら、一つ分の代金は
  「一緒に食べたいです」と伝票から引いておいて。

  じゃあ今度は、二人で茶葉でも見にいきましょうか。
  家にティーバッグしかないことを知れるなら
  そんな未来の約束も出来ますね。
  クローズ作業を終え、制服から私服へ着替え直す。

  モカブラウンのだぼついた袖口がお気に入りのニットと、
  オフベージュのアシンメトリーフレアスカート。
  ウエストをリボンできゅ、と結んで、髪を直し、
  桜のようなピンクのリップを薄く塗って。

  少し迷った末、二つ結びを解き
  低めの位置でゆるくポニーテールへ結び直した。
  白いリボンは、今からは後頭部にひとつだけ ]

 

 

  神田さん、お待たせしました
  ……手。繋いでいいですか?


[ どうしても待たせてしまうのは申し訳ないけれども
  出来る限り可愛い私で、いたいので。

  今からは巣穴を飛び出し、ただの私と貴方になる
  手を繋ぐのはその合図。
  単に繋ぎたいだけ? ……言わないでください* ]


 

 ― 巣穴を出る前に ―



[ 速崎から視線を向けられることは、無かった。
  或いはタイミングが悉く合わないだけなのか。
  失恋の瞬間と葉月との会話にも鉢合わせた大咲は、
  尚更なんと声を掛ければいいか分からなくて
  結局その日も、後ろ姿へ指先を伸ばしかけるばかり。

  バックヤードの事務用品置き場から紙とペンを拝借し
  置手紙を書き記す。
  まるでいつかの再来だ。

  今度は此方から送る番。
  店長へ「けいちゃんが大丈夫そうな時、渡してください」と
  言付けてから、しっかり預けた。 ]

 

 


   『  けいちゃんへ


      ちゃんと話し合えたの、見てたよ
      私も一度、けいちゃんと話したいことがある

      でもまだ少し整理できないんだ。
      言葉を押し付けることはしたくないから
      整理してから、話したい。
      避けないし、離れないって約束する

      だからちょっとだけ、待ってて


                  真白  』


 

 


     [  ──いつ届くかは、さて。*  ]


 

メモを貼った。

[時間配分も満腹具合も見誤る。
酔いつぶれた葉月を笑えない体たらく。

会計後にタルト1つ分の計上がされていないことに気づいて「あっ」と声を上げたが、もうひとつ分払うとレジ前でごねるのもみっともないか。
真白の方が上手だった。
苦笑してレシートを畳み、「彼女の分も払う男」になる機会は次に持ち越すことを内心誓う。]

メモを貼った。


 ……ちょっと動こ。

[クローズから彼女が出てくるまでの間、腹と胸を落ち着かせる為に近くをうろついた。
もう何度かこうして彼女が上がるのを待って一緒に彼女の家まで歩いたり一緒に電車に乗ったりしているが、いまだに待つ間にドキドキしてしまう。

これが初恋という訳でも初交際という訳でもない。
過去には恋人もいたが、こんなに強く求めてしまう想いが自分の中にあることを今初めて経験している。
そのことを彼女に話す機会があるかどうか。
言葉端に滲んだ過去にもやもやしてしまう程に自分の言葉に敏感でいてくれる彼女を安心させるには、話すのと話さないの、どちらが良いのだろうか。

不安を感じる隙も無いくらいに愛を実感してもらいたい。
今のところ、自分が負けっぱなしな気もするが。]

[今日、これから、彼女が泊りに来る。
焦らすつもりがあったのかなかったのか、
二人きりになって、名前を呼ばれることを想像しただけでじっとしていられない。

あまり激しく動き回ったら、ナギのスープや想いで繊維質を消すマジックのかけられたアスパラが勿体ないことになりそうなので、あくまでウォーキングレベル。

しかし、店から出て来た彼女が疑問に思う程度には、出迎えた自分は息が上がっていたことだろう。]


 お疲れ様。
 タルト、冷蔵庫借りててごめんね、持つよ。

 ……うん、僕も繋ぎたい。

[同じ気持ちだとはっきり言葉に出して手を差し出す。
繋いだら、そこからはもう白うさぎを独り占めする時間。]


 この服袖が広いんだ?
 手首まで掴めちゃいそ。

[繋いだ手から指を伸ばして少し悪戯。
ふふ、と笑って見下ろした彼女の唇の美しさに動揺したのは指の跳ね方で伝わるか。]

 今日のスカートも可愛いな〜
 このまま誰にも見せずに僕の家に連れて帰りたいけど、
 お泊りセット、買うでしょ?

[営業時間がうさぎよりも長いドラッグストアは駅前にある。

店に来る前から泊りを計画していたなら持っているかもしれないが、恐らくそうではないだろう。
布団はあるし寝る時の服は貸せるけれど、その他今の自分の家には女の子に必要な諸々は何もないので。

茶葉はさすがに置いてなさそうなので、大人しく次のデートを待ちます。*]

[白状しよう。

 住所をそのまま伝えたのは、
 伝えたところで自宅に押しかけるような
 人柄ではないことぐらい、十分に理解していたからだ。

 男の一人暮らし。
 誰かが押しかけてきたとてそれなりの重さの鍋と、
 毎日厨房に立つ立ち仕事。

 ジムに通っていなくても、
 刃物など振り回されない限りはなんとか出来る心持ちはある。
 魅せる為の身体をしているか、といえば別の話だが。

 高野の知り合って見てきたものの中で、
 そういった行動に出ることは微塵も思いつかなかった。

 まあ、それはそれとして。
 自宅に来る、というのなら。

 断る理由もないか、と思ったのも一つ。]

[寧ろ、後日返信で送られてきた住所に、
 真顔で首を傾げたものだった。

 少なくとも『芸能界』に携わる人間が、
 そんなにあっさりと住所を渡してもいいんですか。

 ……俺が流出したら、
 どうするつもりだったんだろう、この人。


 行けなくはない距離の地名を見ながら、
 小さくため息をつく。そんなつもりは毛頭ないが。
 
 だけど。

 自身も、同じように信用されているのだとしたら、
 悪い気はしなかった。]

[胸が火傷したような熱さを覚えたあの日以降も。
 メッセージのやりとりは続いた。

 待ち合わせの場所、時間。
 もう一度、シフトの確認。

 短いやりとりの中に挟まれる、
 期待が滲んでいる言葉。

 遠足を前の日にする子供のようだな、と。
 微笑ましくなって液晶を撫でる。

 時間が経つとともに火傷は落ち着いて、
 そんな日々を重ねながら、
 一度店に高野が来店した時には、
 いつものように接することが出来ただろう。

           

             ――そのラジオを聞くまでは。]

[いつもの深い夜、風呂上がりの缶一本だけのビール。
 同じ時間にAIに呼びかけられば、
 部屋にサウンドが流れ始める。

 タオルで濡れた髪を拭き取りながら、
 今日も始まったラジオ。

 その日は誰かの誕生日を祝うメッセージから始まった。
 そういえば、速崎もそろそろ誕生日の時期で。
 あれから、彼女を祝うミニパーティの話は、
 進んでいるような、いないような。

 速崎から直接聞いた大咲との話。
 口を挟まないと決めたからには、
 大咲に振るわけにもいかず。

 二人の間がぎこちないまま過ぎていく今では、
 その話題も立ち消えになっていくのだろうか。]


[そんな考えを巡らせていた時に、
 不意に聞こえたタルトのキーワードに
 ラジオに意識が引き戻された。

 一生わすられない味。
 写真にも残した、宝物。]


  …………、


[忘れもしないあの日の。]
 


 

  ……ふ、


[吐息を吐き出すように、笑いが零れた。

 今までとは違う一人称の原因は、それだろうか。
 妙に畏まっているような。
 なのに、心踊っているような。
 
 天気予報を度々見るほどに。
 楽しみにしているというのは嘘じゃないらしい。

 ラジオは今日は生放送なのか。
 この前のように録音なのか。

 ベッドに投げたスマホを手にとり、
 メッセージアプリを開く。]




             『もうすぐですね。

              待ち合わせ場所は――、』**

 

―― サクラサク ――

[指定したのは自宅から徒歩で行ける公園の入り口。
 入り口の防護柵に腰を掛けて待っていれば、
 もうすぐ着くというメッセージが届いた。

 寒くない格好で、と言われて結局選んだのは、
 白地のトレーナーの上に、
 オフホワイトのパーカー付きボアフリース。
 更に紺のマウンテンパーカージャケットを着込んで。
 下はよく分からなかったから、
 いつものように黒のジーンズという出で立ち。
 
 到着したというメッセージに腰を上げて
 交通量の多い道の方へと向かっていく。

 背丈からすぐにその姿は見つけられたので。
 ゆっくりと、向かって。]


  おはようございます。

  そうですね、この時間に会うのは。


[いつもとは違う挨拶を交わして、
 体調の確認には軽く頷いて応える。]

[彼が報告してくれていた通り、
 天気は晴れやかな日が射していて、
 着込んでいたら、少し暑いぐらいだ。

 渡されたヘルメットとグローブ。
 触れるのは初めてだが眼にしたことはあるから。]


  ないですけど、見様見真似で。


[そうして視線を手元に落とせば、
 ヘルメットにはうさぎのマーク

 カラーが眼についたのは、
 自身がよく見ている色だからか。]


  これ、元からですか?


[トン、と指でうさぎを指して、問いかけて。]

[グローブを装着して、帽子より窮屈なヘルメットを被る。
 確かに外の音は、ぼわっとしていつもより聞き取りづらい。

 先に慣れた仕草でバイクに跨るのを見て、
 真似るように高野の肩に手を添え。
 捕まるようにして後ろに跨る。

 小さな声は聞き取れなくて、]


  …………?
  どこ、掴まったらいいですか?


[指定があるなら、その場所を。
 ないのなら、腰元に手を回すつもりで。*]

メモを貼った。

 私服、見るの初めてだ。
 いいね

[ トレードマークの帽子はなく、
 もちろん眼鏡もない。
 
 いつもの姿を見慣れていても
 近づく姿はすぐに見つけることが出来た。

 天気良好、体調良し、を確認できれば
 装着具を渡す。 ]

 そんなに難しいものでもないから
 大丈夫だと思う

[ 見様見真似、それが出来るのって
 センスと能力でも在ると思う。
 それなら、と見守るだけに留めて ]

 ……特にカスタムはしてないよ。

[ はしゃいで買いました、はちょっと
 言いづらく。なので、その問いには
 そう答えた。 ]

 一応ベルトで留めるけど、
 どこでもいいよ この辺とか。

[ 見様見真似にしては、まごつかず、
 グローブとメットを被り、シートに乗り込む君に、
 どこ>>と聞かれたら、腰のあたりを
 叩いて教えた。 ]

[ ………自分の体に回される手に、
 一瞬言葉を失うも、地面を軽く蹴り、
 バイクは走り出す。

 寒くないように、とそういったのは
 立ち止まっているなら、暑く感じても
 ずっと風を浴び続けるとそれなりに、
 寒く感じるから。

 理想的と言えるスタイルをしてくれたと思う。

 目的地まで、危険な道はない。
 山を一つ通るけど、行きも帰りも緩やかなものだ。

 中心部を抜ければ、穏やかな田園地帯が続く。 ]

 ああ、 最高

[ 故に信号もそれなりに少なくなる。
 余暇にバイクを走らせることも、
 それを共有できるのも。

 思わず漏れた声は、漏れたにしては
 それなりに大きな声。

 本音を言うと、叫びたいくらいには、
 そんな気持ちだったんだ。* ]

―― 友人へ ――

 『いーよ、体調平気なら』

[ そのメッセージに気づいたのは
 お使いに出た時のこと。

 メッセージからは声色は測れない、
 が、この分ならただの二日酔いだろう。

 頼まれれば買い出しくらいは
 引き受ける所存だが、いい大人だし
 大丈夫だろう。

 そのうち、もしかしたら同居人も
 増えるかもしれないし、それなら尚更。

 次に会う時には、遠慮なくご馳走になるとしよう。
 酔っ払いって重たいし、そもそも成人男性だし

 貸し借りは頻繁に作るもんじゃない
 友達なら、尚更ね。* ]

 

[ 
「 ねえ、恋ってどんな感じだと思う? 」


  あれは確か、高校三年生の冬。
  家のことで同じように荒れていた友人から不意に問われ、
  大咲は「んー……」と思い悩んだことがある。

  恋。誰かを想って、その人の特別になりたがる感情。
  関係が壊れることを恐れることがあってもなお
  「特別同士になりたい」と思う、こころ。暖かい春。 ]


  分かんないよ、そんなの
  ……恋人いる子に聞きなよ。


[ 遠い世界のことだな、と思った。
  自分にとって恋やら愛だのといったものは種類が無くて
  漫然と、親の手料理くらい、遠いものだった。 ]

 

 

[ それがまあ、今となっては。
  一言一句聞き逃さないよう、常に神経を張り巡らせたり
  滲んだだけの"可能性"に一喜一憂したりとか。
  スマホの通知音が鳴ると、真っ先に名前を見てしまって
  貴方からなら嬉しくなるような。

  勝てないなあ、と思っているのがお互いさまなんて
  知らないまま、少しずつ、雪が解けていく。 ]


  ……?


[ 名前の件は、焦らす魂胆なんて全然なかったから
  出迎えた彼の息が何故か上がっているのを見れば
  なんで……? と疑問符を頭に浮かべ、首を傾げた。

  彼氏の家に、彼女が泊まる。
  それも、初めてそこで名前を呼ぶという約束付きで。
  大咲はその緊張感を察せるほど、慣れてはいないのだ。 ]

 

 

[ 同じ言葉で返してくれる彼へ、頬を緩めて手を繋ぐ。
  タルトの箱はお言葉に甘えて持って貰うことにして、
  ……繋いだ手から悪戯に伸ばされた指先の感覚へ
  「ひゃぅ、」と油断しきっていたが故の声を零した。 ]


  い、悪戯禁止です!!


[ 赤い顔で見上げる先、月明かりに照らされる彼の顔。
  その瞬間に何故か自分の肌の上で跳ねた貴方の指が、
  "動揺"という心のゆれを教えてくれた。

  あ、もしかして今、思惑は成功しましたか。
  リップを塗り直した時の、ほんのすこしの狙い撃ち
  ふふ と笑い、お泊りセット購入には
  「買いたいです」と頷いて。 ]

 

 

  神田さんにしか見せない格好も、ありますよ
  ……寝る時のとか……?


[ デート服は流石にだって、デートなので。
  お家デートの時も、家へ来るまでに誰かには見られる。
  となれば必然的に寝る前の姿しかない。
  今度お気に入りのブランドでパジャマを新調しよう、と
  密かに誓って駅前のドラッグストアへ寄り道だ。

  お泊り用に小分けされたスキンケアセットや歯ブラシ、
  その他、必要なものを籠へ入れていく。
  女子は急遽のお泊りに必要なものが多いので
  暇をさせたり、神田にも買い足すものがあるのなら
  いったんは別行動で。 ]

 

 

[ 買い終えた必要なお泊りセット一式を手に、
  桜を眺めながら手を繋いで歩く帰り路。
  ポニーテールに纏めた髪がふわふわ揺れていくのも
  まるで少し浮かれた心を表しているみたいだ。

  それはきっと、貴方の家へ到着する間際。
  不意にちらりと伺うように瞳を見つめ、問いかける。 ]


  ……この家に泊まるの、何番目ですか?


[ 恋人として。と、付け加え。

  初めてなら満足したように笑うだろうし
  そうじゃないなら
  次からはちょっと、何か置いて帰ってやろう、なんて。* ]

 

メモを貼った。

―― うさぎのじゃれ合いは続く ――

[同僚になって三年、仲が悪いわけではない。
 たまには同僚同士で飲みに行くこともあれば、
 大咲とも店のグループチャットで
 やりとりすることもあっただろう。

 なんというか。
 時折、彼女から感じていたのは。
 背伸びをしたい妹のような。
 どこかに必死さと焦燥が見え隠れしていたけれど。

 複雑だと、珍しく素直に心情を吐露されれば。
 おや、と数度瞬いて彼女を見つめた。

 何の心境の変化があったのか。
 数週間前に慌てて早退して以降の大咲は、
 少し、雰囲気が柔らかくなったような気がする。]

[彼女の変化の元となったのが神田であることは、
 その時はまだ知らなかったので。

 神田が腹ごなしに歩いているのを横目に、
 大咲へと視線を戻す。

 
……やっぱり混ざりたかったんだろ?


 そんな言葉を飲み込んで、いつかのように。
 ぽんと、大咲の頭に手を置く。]

 
 
  大咲も、何かあったら
  オニイチャンを頼っていいよ。
  話を聞くぐらいしかできないけどさ。


[父子のような実際のつながりはなくても、
 三年紡いできた絆があるように。

 速崎からも話を聞いていたから
 彼女にも同じように。聞き役として。]

 
 
  まあ……、
  俺にもできることとできないことがあるけど。


[大咲につられるように流した視線の先、
 何やら店員の視線が新人のカクテルに集中しているが。

 俺はあまりカクテルには詳しくないので。
 そこは可愛い妹に頼るところ。**]
  

メモを貼った。

メモを貼った。

メモを貼った。

 

  寒くないようにって聞いたんで。
  春先にはちょっと、暑いかと思ったんですけど。


[私服を指摘されたら、何となく自身を見下ろした。
 パーカーはフリースとジャケットで二重になっている。
 持っている服は、大体、黒とか白とか、紺とか。

 トレードマークにした紺のキャスケットも。
 新しく新調した訳じゃない。
 自宅であまり使われずに埃を被りそうに
 なっていたものを使うようにしただけ。

 オシャレ、というより無難な感じ。
 一方、軽装でも着こなしている彼は、やはり。
 人の目を引いていただろうか。]

[カスタムはしていない。
 ということは、元から持っていたものか。
 あまり普段見慣れないものだから、
 新品かどうかも分からない。

 けれど。]


  ……俺と同じだ。


[偶然か、必然か分からないけれど。
 彼の持ち物の中にあるうさぎに、少し目を細めた。]

[二輪のバイクは四輪の車よりも
 バランスを取るのが難しい。
 今は彼の足が支えているけれど。

 叩かれた腰元に両手を回せば、自然と距離も近づいて。
 背中に身を寄せて、これでいいかというように、
 振り返る視線と目を見合わせた。

 体格はあまり変わらないだろうか。
 いや、背丈がある分、彼のほうが締まっているか。
 肉付きは、俺のほうがいいかもしれないけれど。
 
 ヘルメットを被った高野が前を向けば、
 ゆっくりとバイクが走り出す。


 風が、当たる。
 そよぐ風が、強くなり、駆けるように。]

[時折、かかる声は前と後ろの距離と。
 ヘルメットを被っているせいで少し大きい。
 
 最高、と零す声に、静かに笑った。

 同じように声を張ることはないけれど。
 緑が増えてきた風景を抜けていく中で、
 早咲きの桜を見つけたら。

 コン、とヘルメット同士をぶつける。

 腰に回した手を一瞬外して、桜の方を指せば。
 彼も気づくだろうか。

 そんな、やりとりを挟みながら。
 見慣れない道路を進んでいく。*]

[ドラッグストアの明るい光が眩しくて眇になる。
照らされてしまうと自分の姿も彼女の姿もはっきりして、歩いている内に落ち着き始めた心臓が忙しなくなる。

繋いだ手から伸びた指はきちんと収めた。
先程何気なく悪戯して返って来た反応に蹲りたくなる程の衝撃を受けたので、後は帰るまでの我慢です。]


 うん、それは本当、そうして。
 友達とお泊り会とかあったら違うパジャマにして。

[
寝る時のとか!


この子は僕の理性を試すのが本当に上手いなと脳がグラグラする。
彼女の友人関係は尊重したいから、今後泊りや旅行があっても反対はしない。
けれど、自分にだけ見せる姿を作ってくれるなら、違うパジャマを持って行くか旅先のホテルナイティにしておいて、自分の前で着るものとは別にして欲しい。]


 あー……
 うん、ゆっくり見ておいで。
 僕は入口で待ってるね。

[買い物につきあうのは好きだけれど、つきっきりで買いにくいものがあるかもしれないので見送った。
店内の照明に照らされた項を直視出来ないなんて、中学生かよ、と苦笑する。
ポニーテールが揺れて角を過ぎるのを待って、自分も簡単に買い物を済ませる。

別行動の流れになって良かったね僕!
]

[彼女の袋は彼女に持ってもらう。
タルトの箱で片手が埋まっているもので。
そうして手を繋いで歩く道には、既に桜が綺麗に咲いている。]

 あー……

[鍵を取り出したところで目が合う。
過去を気にしているのだなと知れば、誤魔化したり嘘を言ったりはしない。]

 ここに住んで1年くらいなんだよね。
 「彼女」が来てくれるのは、マシロちゃんが初めてです。

[「泊まり」ではなくその前段階の「来訪」も含めて。
1年くらいは相手がいないというのも伝わるか。

何でも置いて帰っていいよ。
引っ越す時には一緒に持って行くから。]

[散らかってるけど、と前置きをした。
私物がそうある訳ではないけれど、職業柄雑誌やアルバムの類は森のように大量に置かれた突っ張り本棚にびっしり詰まっている。

小さなテーブル、仕事に使うのでPCのスペックは高性能のもの。
デュアルモニター。

辛うじてバストイレは別だけれど狭い。

寝室は和室。
客間はない。]

 荷物、好きなとこに置いといて。
 タルトは一旦冷蔵庫、と。
 湯、沸かすね。

[自分のリュックも無造作にPC机前の椅子に投げ、ジャケットも背凭れにかける。]

[そうして、彼女の荷物の置き場所が決まったなら、腕を広げた。]

 ぎゅってしていいですか?

[今日、予定外に自分との夜を求めてくれた彼女の内心を思う。

言うか言わないかは彼女に任せる。

彼女が自分の腕を必要としているのはきっと読み違いではないと思うから、まずはその心が甘える場所をあげたくて。*]

 うん、ちょうどいいよ。
 走ると風浴びるからね。

 気温高くても、思ったより寒いから。

[ 柔らかそうなボアフリースに、ジャケットは
 は立ち止まっていれば暑いくらいだろうけど
 散策する際には脱げばいいだろうし。

 こちらも決して重装備ではないが、
 レザーパンツに、ロングTシャツ、
 黒のライダースジャケット。

 なので、防寒性は似たようなもの。
 人の目はどうだったかな。
 少なくとも声を掛けられることは、なかったけれど。 ]

 ソウダネ。
 気に入った?

[ 同じだと気づかれたら。
 いやそもそも気づかれるとは思ってたんだけども。

 どうしてだろうか、私服という見慣れない
 姿だからか、その表情に、どきっとしてしまって。
 声が少々ぶれてしまった。それが更に、
 動揺に拍車を掛けたが、出発前に
 長話をするのも、なんなので、
 誤魔化すように、微笑んで見せる。 ]

[ 一度振り返り、目を合わせる。
 頷いて、再び前を向き、ゆるやかに
 バイクを走らせる。

 たった一度だけ、人の運転する
 バイクの後ろに乗ったことが在るのだが
 後ろの方が、思いの外衝撃や揺れが
 ダイレクトに伝わるもので。

 不調が出るようなら、と気遣ったが
 今のところ、それらしい合図はない。

 背中に感じる体温に、表情が緩むのは
 どうしようもなく。

 いやだって、好きな人乗せてるんですよ。 ]

 あっちいくと、海の方に出る
 ここのラーメン、旨いよ、たまにいく

[ いつものルート。いつもの余暇が
 こんなにも、楽しい。 ]

[ コン、とヘルメットが鳴る、
 どうした、と問おうとすれば、

 指先が左前方を指差した。

 早咲きの桜を目に入れて、
 うなずくと、またヘルメットが触れ合い、
 コン、と音が鳴る。

 田園風景の緑に、その色は
 とても目立つ。春の訪れを知らせる
 色を横目に、田園地帯を抜け、
 山に向かう緩やかな上り坂を、バイクは駆ける。

 幸運にも、渋滞にも飲まれず、
 一つ目の目的地まで到着できそうだ。
 
 対抗道路から降りてくる、ライダーに
 知った顔が居れば、挨拶代わりに
 ピースサインを作って応える。

 ――どういう意味に捉えられるかは別として
 いつもしている、文化なもので。
 
あいつ中指立ててなかった?野蛮だな。
]

[ そうして走らせること、一時間程。

 大型トラックが数台止まっている、
 駐車場へと入り、エンジンを停止、

 とんとん、と腰に回った手に合図をし ]

 先に降りてね ゆっくり

[ 声を掛けた、無事彼が降りたのを確認してから
 自分もバイクを降り、ヘルメットを外す。 ]

 どうだった?初バイク。

[ 次の目的地まではあと三分の一程
 あるのだけれど、沢の音が心地よい
 このドライブインで、暫し、休息を取るつもり。

 どきどきしながら、聞いて。
 山の中でしか味わえない空気を、
 ぐっと吸い込んだ。* ]

メモを貼った。

[指先で紺のうさぎを撫でる。
 愛でるように優しく。

 そうしてヘルメットを被ろうとして
 気に入ったか、と聞かれたなら。
 被る前に応えただろう。]


   うん。


[店では使わない敬語の取れた頷き。
 気の緩みからか、春の空気がそうさせたのか。

 意識したものではなかったから、
 自分では気づけないまま、無自覚のうちに
 彼に気を許していることが一つ、増えていく。]

[風に流されながら交わす会話は、
 時折、聞き漏らしそうになりながら耳を傾けた。

 運転に慣れているからか、
 気を回してくれているのか、
 ときどき緩まるスピードが衝撃を和らげる。

 景色を通り過ぎていく度に、
 投げかけられる声に、声で応える代わりに
 頷いたり、首を振ったりすることで応えながら。

 彼のルーツを知っていくようで、面白い。]

[ヘルメットの合図は伝わったようで、
 彼の首が桜の方向に向いた。
 返すみたいに、コン、とまた一つ鳴ったから
 指し示した指先を下ろしていく。

 再び腰元に戻っていく腕は、
 彼の胴に周った後、先程より少しだけ。
 抱きつく腕に力を篭めた。]


  綺麗だ。


[遠くの桜を眺めながら、そう呟いた。
 こんな景色を彼は普段から知っているのか。

 顔見知りと交わす挨拶を横目に見ながら
 俺にも手を上げてくれるから。
 応えたいけれど、腕は腰に回したまま。

 また、頷くことで応えて。]

[やがて、辿り着いた目的地は話していたドライブイン。
 スピードが緩やかに落ちていく。

 腕を叩かれたなら、頷いて。
 バイクを倒さないように
 気をつけながら、足に地を着けた。

 ヘルメットを脱げば塞がっていた耳が
 解放されて外気にホッとする。
 少し、癖づいた前髪を弄りながら。]


  車や電車より、景色が近い感じがしますね。
  ……あと、思ったより寒かった。


[後者は我慢できない程じゃないけれど、
 そんな冗談も交えながら、固まった身体を伸ばす。]

 

[少し休んで、旨いと言っていたうどんを食べたなら、
 本来の目的地まで、もう少し。*]

【人】 店員 ミスミ

[女王様になるんだぜ>>42という速崎の言葉に思わず笑ってしまったのは、ちゃんと意味を理解しているからですよ。
そんな遊びのある言葉にのんきに笑っていた時間が今となっては懐かしい]

…そうします…。

[父親もばあちゃんも潰れているのを見たことがなかったので、多分自分もその血筋なのだろう。
あれよあれよという間に酩酊の世界に漕ぎ出す葉月>>8>>9を高野氏が介抱しながら去っていくのをこの店に来て一番の落ち込みぶりとともに見送った。
そんなおっかない脅し文句>>17一生忘れるはずがない。
というか脅しじゃなくてそうなんだろうな、日本って。

深いため息とともにもう今日はクローズまで皿洗いに徹したい気分だった。
まあ、賄いのお時間になればちゃんと作りましたよ、フリットミスト*]
(123) 2023/03/09(Thu) 23:46:12

【人】 店員 ミスミ

……はぁ。

[青少年の溜息は深い。
件の翌日、スマホに届いていたLINE>>102は返事をしていいのか、するならどうするのか迷って結果的に既読スルー状態だ。
ドリンクづくりは今のところ自主的に休業している。

でっかいはづきさんをべろんべろんに酔い潰してしまったあのお酒、ちゃんと計算したら18度弱ぐらいのカクテルらしい。
18度ってどのくらいだと思ったら清酒が平均15度で赤ワインだと12~16度らしいので、そこまで強くはないんじゃないか。

いや、この発想がいけないのだ。
自分のアルコール許容量は、血統譲りの規格外なんだと肝に改めて命じながらさっきまで人参ケーキの乗っていた皿を洗うしグラスも洗う。
この間のやらかしが包丁を握る手にもちょっとだけストップをかけてしまっている、そんな自覚はまああります*]
(129) 2023/03/09(Thu) 23:56:46
店員 ミスミは、メモを貼った。
(a24) 2023/03/09(Thu) 23:59:43

[ 愛車もヘルメットも、ジャケットも
 気づくと選び取る色は黒だった。

 手帳も、スマホも。ついでに言えば
 家具類なんかも。

 そこに一つ増えた紺色を、彼は気に入って
 くれたようで、ほっとした。

 身の回り、実は黒じゃない色を
 選び取ることも、最近は増えていることは、
 まだもう少し、言わないまま。 ]

[ 好きなことをして過ごしていた人生の中、
 欠けていたものの存在に、気づいた。

 これをして、あれをして、あれを買って。
 望まれるままに、していたと思う。

 それなりに相手のことだって、好きだった筈なのに。

 言えないこと、――例えばあの日の気持ちだとか
 見せたくないもの、――例えば火傷の痕残る体とか

 そういうものを求められる度、辟易していた。
 欲しがられる言葉を言うのは簡単だけど
 
 いつだってそこに熱はないし、指先は冷えてた。

 結局俺はほんとうの意味での特別も、
 好きも、恋も知らなかった。 ]

[ 淡い桜色が視界を通り過ぎた頃、
 指差すために動いた腕が再び、腰に回る。

 先程より、少しだけ強く。

 気の所為かもしれない、でも少しくらいなら
 浮かれてもいいのかもしれないな。

 呟きは自分の耳には届かない。

 誰かと何かしたいと思うことも、
 誰かに何かを望むことも、初めてのこと。 ]

 生きててよかったな

[ いつか友人から送られたメッセージに
 応えるような、呟き。

 ――あの事故の現場を通り過ぎたあたりで
 呟いた言葉はこの速度では君には聞こえまい。 ]

 そうだね、風とか匂いとか
 そのまま感じるれるから、好きなんだ。

[ ドライブインに着いて、バイクを降り、
 那岐のヘルメットを預かり、バイクに固定しながら ]

 あったかくしてきて、良かったでしょ

[ 思ったより寒かったと言われれば
 声を上げて笑って、答える。

 食事をしながら、話すのはこのあたりの
 観光地の話とか。

 目的地よりもう少し走ると、温泉宿があり
 いつか行きたいと思っているのだが
 まだ行けていない、とかそんな事も話した。 ]

 急カーブはないけど、
 一応山道だから、さっきまでより
 もっと揺れるかも。

[ そうしてまた、愛車に乗り込み
 車道へ出る。

 こちらに取っては当然なのだが、
 今日、財布出させること、ありませんのでよろしく。
 デートなのでね* ]

メモを貼った。

 

  は、はい……それは、もちろん……?


[ 彼とのお泊り用のパジャマを新調するつもりだったから、
  全く問題はないのだけれども。
  予想外の反応につい語尾に疑問符がついて、
  友達とお泊り会、という言葉に、ふと速崎が思い浮かぶ。
  ……話し合って 仲直りしたら。
  そんな未来もあるだろうか。

  少しの感傷を抱いたまま、見送られては買い物を済ませ
  こんな時間でもそこそこ客で溢れた店内を出る。
 
集中してスキンケアのブランドを吟味したのもあり
神田が買い物をしていたことは全く気付かなかった。
 ]

 

 

[ 手は繋ぎたいし、何でも持って貰うタイプでもないので
  お互い片手を埋めたまま、もう片方を繋ぎ合う。
  咲いた桜を眺めながら
  そういえば、まだ教えていない好きと嫌いがあることを
  ぼんやり思い出していた。

  好きな季節は冬。 一人の寂しさを寒さのせいに出来る。
  嫌いな季節は春。 暖かいのに、ずっと寒いままだった。

  でも貴方のおかげで、四季の美しさを知れたから
  今は春も好きになれそうです、って。 ]


  ……ん。
  なら、良いです。……うれしい。


[ 嘘や誤魔化されるかもなんて不安は最初からないので
  回答へ満足そうに微笑み、「来訪」も初めてと悟れば
  尚更心は浮き立つものだ。 ]

 

 

[  前置きには「急にお願いしたのは私なので」と答え、
  けれど言葉のように物が多いわけではない室内を見渡す。
  取り立てて目に入るのは本棚に隙間なく詰まった、
  雑誌と──アルバム? だろうか。
  彼の職業を思い出し、なるほど、と一人納得して。

  いかにも性能が良さそうなPCと一枚ではないモニター。
  凄い。絶対大咲には使いこなせない。
  二枚以上のモニターなんてドラマ以外で初めて見た。 ]


  あ、はい!
  ありがとうございます。


[ 無造作に椅子へ投げられたリュックと、
  ジャケットを背もたれへ掛ける動作があまりにも自然で
  今更ながら、ここが彼の家だと実感を覚えては
  意識しすぎないよう、邪魔にならない場所へ荷物を。 ]

 

 

[ それから広げられた腕と、掛けられた甘やかしの言葉へ
  一も二もなく抱き着いた。 ]


  ぎゅって、してほしいです
  ……その。色々ちょっと、考えて、疲れちゃって……


[ ぶわ、と桜が散る時のように
  大咲の頭を悩ませ続けている速崎との記憶が蘇る。

  抱いていた一度目のクッキーの否定理由は
  ただ、大咲が「私が知っているけいちゃんなら」という
  思い込みに過ぎない。
  大咲の知っていた速崎。あの時確かに聞こえた失言。

  傷付く権利があるのは当事者二人でしかないのに。
  恋の実が落ちて、それでも最後まで逃げなかった、
  彼女の姿もちゃんと見たのに。 ]

 

 

  私なりに解決出来たら、全部、ちゃんと言います
  ──ううん。聞いて欲しいです。

  突き詰めれば多分 私の自業自得なところもあるんです。
  だから今日お店に来てくれた時、ほっとしました
  ──自分で自分を責めて、嫌いになっちゃったら
  それこそ全部終わりだって気付いたから。

  その、……神田さんの、顔を見たときに。


[ 全部自分が悪い、なんてことはないし
  全部向こうが悪い、なんてことも、きっとない。
  少なくとも この二人の間なら。

  大咲はそれ以上、これに関しては語らなかった。
  話した内容も相談というよりは独白めいて、
  少しずつ、彼を寄る辺に、心を整理していくような。 ]

 

 

  [ 全部自分が悪いと思う癖があった。

    遠藤には「残されたご飯」を怒って良いと言ったのに
    自分は最後まで、母へ怒る権利もないと思っていた。
    だって、大咲から見れば、母もある種の被害者だ。

    お金を渡すだけの、関心もない存在。
    母の日のケーキを捨てるくらい嫌いな存在。
    そんな子供を高校まで行かせて、お金を渡し続けて。

    でも、心のどこかで怒りたかった。
    怒ることも一種の甘えなのだと知らなくて
    壊したくないから、自罰で流し続けて。 ]

 

 

[ 料理を謙遜しないのは、
  美味しいと食べてくれる人を否定することになるから。
  自分自身となるとどうにも難しいその考えは
  けれど、貴方のおかげで、一歩ずつ変わっている。

  甘えたいと示せるようになっただけ、大きな変化。
  貴方が好きでいてくれる私自身を
  私も、自分なりに、大事にしていきたいから。 ]


  …………ん。よし、リセットできました。
  あの、後一個、今のうちにお願いして良いですか?


[ とはいえまだまだ遠慮も線引きも探してしまうので、
  一緒に手を繋いで、付き合ってくださいね。
  面倒な性格の自覚はあるけど、それさえ受け入れてくれた
  貴方じゃなきゃ駄目になってしまったみたいです。 ]

 

 

  今日、一緒に……んと、くっついて、寝たいです
  ──夜綿さん。

  …………だめ ですか?


[ これは大咲の想定では、友人同士のお泊り会のような
  そんなお気楽なお願いだったのだけれども。

  ぽん と咲いた、約束通りの名前呼び。
  お願いと言いつつも「イエス」以外を想像していない顔で
  へにゃりと頬を緩め、小首を傾いだ。** ]


 

[ 緩やかな山道を抜けるまでの間に、
 自然公園へ向かう道と、
 観光牧場に向かう道、
 そして湖に続く道へと、行き先が分かれる。

 ほとんどが前者二つへ向かう道に
 流れるので、自然と前後の車両は減る。

 ここまで来たら、あと十分程。
 申し訳程度のやや整備が雑な駐車場には
 今日は、トラックが一台。
 カーテンを引くように、運転席が隠れて
 いるので、お休み中だろう。

 自販機が二台、公共トイレの設置もあるが
 他にはなにもない。それを気に入っている。
 自分の、とくべつな場所。 ]

 何か飲む?

[ 問いかけて、自分は水を一つ買い、
 ジャケットの前を開いて、湖の方を指差した。 ]

 なんもないでしょ

[ 湖の近くに行っても、なにもないことは
 変わらない。昔はボートのレンタルなんかも
 やってたのかなって思えるような小さな小屋、
 ベンチもたった一つだけ。かなりボロいやつ。 ]

 俺のお気に入りの場所へようこそ

[ あの日、夢想した、
 この景色の中に佇む君、という絵が
 今完成した。ときどき、跳ねる水の音。
 鳴くような虫はまだ居ないだろうけど、
 ひらり、と目の前を名前も知らない蝶が横切った。* ]

メモを貼った。

メモを貼った。

【人】 店員 ミスミ

[洗い物が一折片付いたタイミングでドアが開いた>>134ものだから思わず顔を上げてしまった。
アッ、これ逃げられないやつじゃん]

…お、お久しぶりです。
この間は無茶なもの出してしまってすみませんでした、

[LINEで送りそびれていた謝罪も、当人>>136が目の前に現れてしまえばもう逃げ場もなくて、カウンターから出ると座るその人の前で頭を下げた。
味は悪くなかったらしいが、遠藤さんの脅し文句がまだ喉に引っかかった魚の骨のようにぐいぐいとハートを抉ってくる。
気にしないでと言われても、流石にそれはちょっと無理だ]

はい、初鰹です。
…タタキですね、かしこまりました。
えーと、今日の気分は和食ですかね?洋食っぽいタタキとかもできますけど。
……えっ、俺ですか?……俺かぁ…

[予想外のオーダー>>136にうーん、とオーダーをとるペンがくるくると回ったり、それを握ったり。
いくら落ち込んでいるとはいえ、それでも練習はしたしレシピも色々調べたりはしている。
それでもつい、ちらりと真白さんのほうを見てしまうのは、どう思います?っていう無言の確認*]
(141) 2023/03/10(Fri) 0:32:31
[互いに。
 溶けるような呟きは、風の中に消えていく。

 俺がラジオを聞き始めた頃には、
 既に彼がよくメディアに
 駆り出されていた頃ではなかったから。

 深夜のラジオ。
 パーソナリティとリスナー。
 最初は顔も知らなかった声だけの存在。
 こんなに身近なところで知り合うとは
 思ってもいなかった"別世界の人"。

 ファンという程には深くない。
 彼がトレードカラーは今も根強く残っているけれど、
 『帰ってきた』と言われる理由の原因火傷を語られる頃には、
 彼を知るには遅すぎた。

 今も調べれば出るかもしれない情報を、
 自らの手で調べることがないのは。

 彼本人が、――そのことを語ることをしないから。]



 
[ 彼のトレードカラーの下に隠された
  傷の名残を知らないまま、通り過ぎていく。 ]



 

 

  ああ、身体で感じるから。


[好きな理由を耳にしたなら。
 体験を元にすれば、理解できる気がした。
 時期は選びそうだけれど。

 声を立てて笑う様子に、双眸を緩めて頷く。

 目的だったうどんは、
 オーソドックスにきつねうどんにした。

 厚揚げに染み込む薄い色のつゆは、
 この辺りでは珍しく西寄りのものだろうか。
 つゆを染み込ませるように沈めてから、
 箸でつまんで齧れば、甘い味が口内に広がる。

 麺は細打ち、添えられた青ネギを絡ませて。
 二枚だけ添えられたかまぼこは、桜色。

 この近くに温泉宿があることは知らなかったから、
 行ってみたいですね、なんて相槌を打って。

 自分で払うつもりだった会計を、
 すっと先に伝票を取り上げられたから
 帰りのガソリン代はこちらが払うつもり。]

[宣告通り、ドライブインを抜けた後は、
 少し道が悪くなったのか、揺れるようになった。
 落ちないようにと、また回す腕に力が籠もる。

 道が別れていく度に、
 後ろから追いかけてくる車や、
 前に見えていたトラックが見えなくなっていく。

 溢れ返る程の緑を抜けて、
 少し視界が開けた場所に出たと思えば
 砂利道で出来た駐車場だった。

 申し訳ない程度の、自販機と公共トイレ。
 木々の先には水の気配がする。

 凝り固まった身体を伸ばしたら。
 飲み物のリクエスト。]


  じゃあ、コーヒーを。
  ……これくらいは自分で。


[今度は先手を打たれないように。
 先にICカードを使おうか。]

[駐車場から少し歩けば、一面に湖が広がって。
 さわさわと風と水が音を立てていた。

 街から余り出ることがないから、
 自然に触れるのは久しぶりなような気がする。
 
 お気に入り、その言葉に振り返って笑って。]


  ……いいですね、空気が新しく感じる。


[目を閉じて、音を聞いたなら。
 深く、鼻から吸い込んで、口から吐き出した。
 
 風に流された蝶が眼の前を泳いでいくのを、
 何気なく、視線で追いかけて。]




  
  連れてきてくれて、ありがとうございます。


[彼だけの特別な場所。
 踏み込むことを許されたなら、まずは感謝を。*]

【人】 店員 ミスミ

洋風のタタキは…うーん、洋風のタタキです…。

[別に意地悪を言っているつもりはないのだが、いろいろありすぎて一概には言えない、というのが実際のところ。
ちえさん>>143の言葉を察するに、やっぱりタタキは土佐風のにんにくに生姜と玉葱が中心で、あとは茗荷なんを合わせるのが世の中一般的なのだろう。
でも、はづきさん>>146も洋風が気になるようなので、かしこまりましたの一言共に今日は初鰹の洋風タタキからスタートです]

俺が強いかどうかはううん…まあ、弱くはないんだと思いますけど

[オーダー用のペンをにぎにぎしながら、返す言葉は苦い。
自分基準で18度のカクテル出した人間が弱いだなんて謙遜でも言えるわけがなかろう。

うーんうーん、出してもよさそうなカクテルレシピはあるけれど。
だいじょぶ?俺が出してもほんとに大丈夫ですかね、真白さぁん]

…わかりました、ちょっと、頑張ります。

[少なくともリキュール一本勝負なんてヤバい酒を錬成しなければいいだけだ。
そう、きっとね**]
(148) 2023/03/10(Fri) 1:11:41
店員 ミスミは、メモを貼った。
(a28) 2023/03/10(Fri) 1:14:24

メモを貼った。

 いいのに。

[ それくらい。とは思うものの、
 先程のドライブインでは、さらっと会計を
 させてもらったし、自分で、と言うなら
 それ以上の問答はしなかった。

 帰りのガソリン代を払うつもりなのは、
 まだ知らないが。

 はた、と、ああそうかこれが当たり前
 ではないのがと思い当たる。

 デートであることと、自分が会計を持つが
 イコールでないのだ。

 一人勝手に思い当たると、ペットボトル片手に、
 湖へ向かう道を進む。 ]

[ 振り返る彼に返したのは、微笑みだけだった。

 言いたいことや、聞きたいこと
 まだいくらもあるけれど、どうにも、

 君のその、笑顔を見ると、
 胸が詰まって、一つも出てこない。

 君は、初めてばっかり、教えてくれる。 ]

 こちらこそ、来てくれてありがとう。

[ いつもの余暇のように、なにもしないを
 するつもりだった。けれど、
 それはどうにも、できそうにない。

 いつの日かになら、これもまた
 普通になるのかもしれないが、

 今はまだ、君がいるだけでこの時間は
 特別で代え難いものだから。 ]

 結構美味しかったでしょ

[ 寄ったドライブインで、自分はいつも
 天ぷらの乗ったうどんを食べる。

 エビと、紫蘇と、茄子の乗っている
 シンプルなもの。

 やっぱり今日も妙に美味しかったし、
 カウンター越しじゃなく、
 向かいの席で食事しながら、した会話もまた、
 楽しかった。

 温泉宿いってみたいと言われた時、
 自然といいでしょ、だとか返しながら、

 少し引っかかるものも、あった。
 良い意味でも、悪い意味でも。 ]

[ 昼食はうどん。

 いつもの食事量を思えば、
 腹ごなしが必要な程ではないから

 座って、君を見ていた。 ] 

 少し、話さない?
 あ、いや、話したい、が正しいな。

 これでも結構緊張しているから、
 わからないことがあったら、聞いて。

 
[ 時折、目を合わせながら。
 また居心地悪そうに視線を反らしながら
 少し長い、ひとり語りが始まる。 ]

 この話をするのは、それを知らないままでは
 言いたいことを、言えないからなんだけれど。

 常連客で、好き嫌いはほとんどなくて、
 趣味はバイクで、よく食べる。

 それ以外のこと、ほとんど知らないよね俺のこと。
 
 名前、検索ボックスに入れると、
 わんさかあることないこと、出てくる人種……

 昔、俳優やってたんだ。
 最近また、そちらの仕事を請け負ったんだけど
 7年ぶりくらいに。

 離れた理由は、怪我で
 今日、通ってきたとこなんだけど。

 下り坂で、スピード殺しきれなかった
 トラックが衝突してきて、運悪くて炎上しちゃって。

 このあたり、から膝のあたりまで
 大きく痕、残ってて。

[ 左脇腹を指差して、笑う ]

 バイク乗ってりゃそんなこともあるし、
 生きてるし、俺自身はあんまり気にしてなかったんだけど
 その瞬間、俳優高野景斗の席はなくなって

 今は細々と、所属してた事務所の
 雑用とか、養成所の研究生に、
 指導とか、してるんだ。

 あとは、ラジオ聞いてるって言ってたから
 言いにくかったんだけど、ラジオ番組を二つ持ってる。

[ 何か聞かれるようなことがあれば、都度
 答えつつ、話はまだもう少し続く。 ]

 そういう生活、結構気に入っているし、
 自分を不幸と思ったことはないんだ。

 バイクも変わらず大好きだし……
 ってそれは今日、伝わったかな

 ここまでの通り道も、そういやここで
 転がったな、とか思うくらい。

 でも、君のことを意識しはじめて
 少し、考えたんだ。


 ――俺は、俺はね

 好きな人が幸せなら別に隣にいるのは
 自分じゃなくてもいいってずっと思ってた

[ ペットボトルの蓋を空ける音。
 静寂の中では、大きく聞こえる気がする。
 ひとくち、冷えた水を流し込んで ]

 これからもそうなんだろって思ってた。
 けど、どうもそうじゃないみたいだ。

 君がもし、好きな人がいるんだと
 そう言ったら、俺はきっと、それを
 応援することも、祝福することも、
 できないと思う。

 誰かの幸せより、自分の欲を優先する
 っていうのかな、今ちょっと実感してる。

 なので、こういうことも込みで

[ 跳ね除けられることがなければ、
 君の手を取って、隙間なく、握り ]

 君の隣にいる権利が欲しい。
 
 これを言うには、どうしても
 昔のこととか、知っておいてもらわないと
 フェアじゃないよなって思って。

 あと今少し話題になってるから、
 迷惑もかかるかもしれないし。

 ――あと今更だけど、男の子に
 そう思うのは初めて。

 俺も自分で戸惑ってるんだけど。

[ じ、っと君の顔を見る。 ]

 最初は、良い顔みたな得した
 笑顔いいな、とかそんな普通の気持ち
 だったんだけど。

 あと胃袋掴まれてるからか?って
 思ってた時期もある。
 おいしいんだもん、那岐くんの作るご飯。

 そのうち、後輩の面倒見てるの
 優しいなぁとか、食べ終わったのよく
 気づくなぁとか。よく目で追うようになって。

 名前、教えてくれたときに確信した。

[ 繋がれたままならその手を、
 そうじゃなければ自分の手を、
 忙しい音を鳴らす、心臓の上に。
 肉と血とそれを通しても、生きてる

 伝わるだろう。 ]

 もっと知りたいと思うこれが、
 恋なんだなって。

 今すぐ俺を好きになって欲しいとは
 言わないけど、少し意識してくれないかな。
 
言って良いなら言うけどね

 

 ああでも、……こないだ店いった時
 帰り際、困らせたかなって少し、思った

 それは本意じゃない。

 俺の好き、は那岐くんの迷惑になるかな。
 もしそうなら遠慮なく。

 それで消えやしないけど、
 役者だからね、上手に演じてかくして見せるよ。

[ 長い話はこれで終わり。
 最後に向けたのは、
 役者らしからぬ、弱々しい笑みだった。** ] 

メモを貼った。

[「荒れていた」と彼女自身がまとめた時代に彼女にどんな経験があったのかは知らない。
友達はその頃からの子が多いらしいが、どういった会話をしていたのかも知らない。
恋を知らずとも、誰かと過ごす夜は、と気になった一瞬もあったけれど。

どうやらその心配はしなくて良さそうなのかなと思うことが時々ある。
「全部食べて」もそう、
「寝る時」も、純粋に何の計算もなく言っているのだろう。

これまで実は危険だったことも結構あったのでは?
これから他の人がその無防備な可愛さを知る機会は全部自分が摘み取ることにする。]

[季節それぞれにおいしいものはたくさんあるから、食べ物に紐づいた好みで言えば、好きな季節は「全部」となる。

敢えて言うなら冬には自分の誕生日があるものの知り合いから忘れられがちなところもあるので、後で気まずい空気になるくらいなら誕生日はなくても良いかなと思っているので冬はなくて良いかもしれない、くらい。
店で誕生日を祝われる人がいればいつだって周りと一緒ににこやかに歌う自分の誕生日は、彼女以外はスタッフも客も誰も知らない。

けれど彼女の誕生日も冬ならば、これからは冬がたくさん来ても良い。

祝いたい。
祝われたい。

好きな人が出来て、好きなものが増えるのが――
相手の好きなものを増やせるのが自分であることが嬉しい。]

[胸板に彼女の身体が飛び込んでくる。
眼下でポニーテールがふわり揺れ。
その身体をぎゅっと抱き締めた。]

 うん、お疲れ様。

 ……うん。
 うん。

[零された言葉は具体的な内容ではない。
「私なりに解決出来たら」という言葉に強い意思が籠る。

解決したい、
解決するために頑張りたい。]

 応援してる。

[腕に力を込めた。
どういうことかよく知らないのに、頭から「自業自得じゃないよ」なんて全肯定する言葉は出さない。
彼女にとって自分が自罰感情の沼から救う存在と認識されている、その信頼が嬉しい。]


 疲れたらこうしてぎゅっとして、
 「大丈夫」に戻してあげる。
 踏み出す足が震えそうだったら思い出して。

 
「マシロちゃんが好きだよ」



[頑張りたい時にも頑張れない時にも傍に居る。
話すこと、また話さないことで「壊れたりしない」。
この腕は物理的には特別強くはないけれど、
彼女にとって一番最適な止まり木だという自信がある。]

[ケトルの中で湯が湧きたつ音がし始める頃、真白が「リセット」と言葉にした。
それを合図に少し腕の力を緩めて、少し下にある彼女の顔を見る。
お願い?と小首を傾げて]

 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっ?!



[ケトルより先に、自分の体温が沸点に達した。

ここで!
名前呼びは!!
ずるい!!!!!]

[今日だけで何度この無防備な可愛さにやられたことか。
ああもう同じ角度に首傾けちゃって!!

かわいい!!!!!!!!!!
]


 だめなわけないでしょ。
 布団くっつけて、くっついて寝よ。

 ――ずっと手繋いでる。


[その想定が友人同士のお泊り会の感覚だということはわかってはいるんだ。
今から食べるマンゴー杏仁タルトに、理性を強く保てる材料は入っていますか、ねえナギちゃん―――――*]

【人】 店員 ミスミ

説明ヘッタクソですみません…。
なんていうんですかね…イタリアンっぽいのもあるし、フレンチっぽいのもあるし…みたいな…全部ひっくるめて洋風ってだけなんですけど

[ちえさん>>150の言葉に、まあそりゃそうだなと納得しながら少しだけ補足をした。
味はまあ、店に来る前から作っているレシピなので大丈夫だろう]

かっこいいんですかね?
俺の場合はまあ…血な気もしますけど、カレッジのときの同級生が割と飲むの好きな人多かったんでそのせいかな…。

[同級生=同学年でないあたりがミソだが、おそらく酒のあれこれを学んだのはその時の飲みに違いない]
(187) 2023/03/10(Fri) 12:53:49

【人】 店員 ミスミ

はい、そういうわけで洋風のタタキです。

[彼>>155が過去に食べていたメニューは何だったか。
ちゃんと覚えていれば味の傾向もわかるのだが、はてさて。
今不安なのは料理よりも正直アルコールである]

…大丈夫です、今回はちゃんと割るんで!

[前回学んだ、とっても大事なことだ。
速崎>>168にペンを握りしめながら返せば、カウンター内に引っ込めば探し物。
お目当てを探し当てると、きゅっと口元を絞って頭の中のレシピを反芻する。
本日の助っ人は酢橘と桜の塩漬けであります**]
(189) 2023/03/10(Fri) 12:54:55
[微笑みを交わして、返ってきたのは同じ言葉。
 行きたいと言ったのはこちらの方。
 だから、ゆっくりと首を振り返して湖へと視線を移す。
 海よりも穏やかな波。
 漢字は違えど、凪とはこういうものかと感じながら。

 昼食の話になれば、同意するように一度、頷いて。
 彼が座れば、水際から戻って隣へ並ぶように腰を落ち着けた。
 
 話を切り出す声に、視線を一度交えた後に、また湖へ。
 隣合うから、自然と同じ方向を向いた。
 聞いて欲しいという時だけは目を見合わせてまた頷きを。
 ゆっくりと紡ぎ出される話に、耳を傾けていく。]

[メッセージで聞いたような
 自己紹介から始まったその話は、彼の過去。
 改めて彼の口から語られる職業と事故の話。
 知っていたことと、初めて耳にすること。

 先程、通ったばかりの道で
 彼の人生を変えてしまうほどの
 出来事があったと聞いた時には、
 目を瞠り、思わず指を指し示した身体を見つめて
 顔を見合せた。]

[バイク事故に遭った人の話を聞いたことがある。
 その人は、バイクの怖さを知って、
 もう二度とハンドルを握ることは無くなったけれど。
 彼と同じように九死に一生を得たのだと言っていた。

 今でもバイクに乗る彼は、
 恐れよりも愛しさの方が勝ったのか。
 幸か不幸か、まだハンドルを握っているようだけれど。

 身体で感じれる風の気持ちよさを、
 教えてもらったばかりだから。

 否定することも危険だと伝えることもしない。
 それは、彼自身が誰よりも知っていることだろう。]

[不意に、話の質が変わる。
 ペットボトルの開封の音が妙に響いて、
 水を嚥下する横顔を見つめて。

 遅れるようにしてつられるように、缶を開けて。
 コーヒーを一口。
 砂糖もミルクも入っていないコーヒーは、
 彼を同じブラック。

 苦さを口に含んで、腹の底に押し込んで。]

[俺の好きな人を気にするように、伺う視線。
 伸ばされた指が、自身の手に触れ、捉えられた。

 少し、冷たい中に、確かに伝わる温度が残っている。
 彼が、生きている証。
 熱がゆっくりと覆われた掌から
 伝わってくるのを感じながら。
 
 向けられた視線を受け止めるように、
 手元に落とした視線を上げる。

 自身と同じように異性が好きだった人。
 戸惑う心に、少し共感するように微かに微笑んで。

 やがて彼の視点から話される自身の話になれば、
 少し面映ゆかったが、
 握り込まれたままの手を振り払うことはしない。]

[改めて告げられた、彼の願いは、
 先程、誰にも奪われたくない欲を口にした時より、
 幾分かは控えめなものだった。

 強引さはない、その優しさに思わず目を細めた後。

 話題が、あの気まずい日に変われば
 思わず視線を伏せたけれど。

 それから、ゆっくりと口を開いた。]

  
  あれは……、高野さんが悪いわけじゃなくて、
  戸惑ったんです。

  向けられた好意にじゃなくて。
  タルトを食べた高野さんに。


[視線を上げられないまま、
 重なっていない方の手の甲で口許を隠して。]

  


  食べたのを見た時、
  フォークで身体を暴かれたみたいに、
  心臓が、
くなったから。



[あの熱を伝えるには言葉で表現するには拙いけれど。
 それすら伝えるのも、恥ずかしさで。
 耳朶も、頬も熱くなるのを、隠し続けたまま。]

[たったそれだけ伝えるのに唇が乾くのを覚えて、
 湿らせるように一度、唇を噤んで。息を吐き出す。
 腕を下ろす頃には少し、熱は引いただろうか。]


  事故のことは初めて聞きましたけど、
  高野さんの仕事のことは、少しだけ。
  ……知っているんです。

  決まった曜日の、深夜。
  仕事が終わった後に、
  いつも、あなたのラジオを聴いていたから。


[今度こそ、目を見合せたなら。
 ずっと伝えたかったことを、口にする。]


 
  俺は女性としか付き合ったことがありません。

  でも、ラジオから聞こえる
  高野さんの柔らかな声に惹かれた。
  好意を伝えてくれたことには、
  嬉しくは思っても、嫌悪は感じません。


[温度を分ける手を裏返して、掌を合わせる。
 彼に応えるように、少し力を込めるのは。
 バイクに乗った時に、回した腕の力と同じくらい、強く。]

 
 
  まだ、知らないことは多いけど、
  これから、時間をかけて。

  あなたに応えられるように、
  好きになっていきたい。


[目を見合わせて、微笑みを浮かべたなら。
 重ねた手の隙間に指を絡めて、
 トン、と隣合う肩を寄り添うようにぶつけて。
 肩口に頭を預けるようにして、視線を向ける。]





    恋人には甘えたい方なんですけど、
    それでも、いいですか?

                      **

――朝ごはん――

[昨晩、小鍋に昆布と煮干しと水を入れて冷蔵庫に入れておいた。
それに新じゃがのくし切りを入れて火をつける。
沸いてから新玉ねぎも少し入れて、味噌を溶く。

朝は最近マーマレード消費の為にパンやホットケーキの事が多かったが、今日のように白米の時には予約炊飯をすることにしている。
炊飯完了の音楽の後、しゃもじでほぐして蒸らしておく。

きゅうりは斜め薄切りにして塩昆布とごま油で和えて白ごまを振る。

本当は焼き魚が欲しいところだが、最近はマーマレード(以下略)で冷蔵庫に買っておく習慣がない。
少し考えて、冷蔵庫から卵を取り出した。]


 マシロちゃん、起きれそう?
 ごはんできたけどもうちょっと寝る?

[揃いの食器はない。
どれも一人暮らし用の1つきりしかないから、テーブルに並んだ時に統一感は出せないが、「お揃い」を増やす楽しみがあるということで。

自分のスウェットを着た真白の起床を待って一緒に手を合わせよう。]

[『スターゲイジー味噌汁』
『カニカマの淡雪仕立て』

今日の更新に、
#独身男性の優雅な朝食
というハッシュタグはついていない。
スターゲイジーパイの中身をイメージして作った味噌汁と、ふわふわの真っ白な卵白が特徴の皿。
一緒に食べて「おいしい」と思えば縁起を担げる気がして。

  #信じてる

それだけをタグづけした。**]

メモを貼った。

[ 武勇伝でもなんでもない、
 けれど、人によっては自分語りとか
 そういう類の長い、話。

 思えば過去、誰にも
 こういう話はしたことがなかった。

 例えばうさぎの穴でも。
 肩書を知らず、自分の名前も知らず
 そんな女の子から声がかかる事はあった。

 テレビもラジオも、昨今は避けられがちな
 傾向があるから。

 彼女はいるんですか いないよ
 じゃあ――…… そんな風に知り合うことは
 あっても、そのうち、縁は遠くなっていった。

 それは女の子のせいだけじゃなく、
 自分のせいも大いにあろう。

 知らなかったと大騒ぎされることもあれば、
 知れば、心配している健気な私の皮を被り
 根掘り葉掘り、聞こうとされる事もあった。 ]

[ 自分の欠点を晒すことも、傷痕を晒すことも
 したことがなかったから。

 話の順序が合っているかどうか、
 時々反応を伺いながら。

 事故の話の後、火傷痕のある所を
 見つめられたら ]

 もう痛くはないんだよ
 少しみっともないけどね。

[ そう言いながら小さく笑う。 ]

[ 振り払うようなことはないだろう、という
 確信はあった。その後のことを予見していた
 わけではなくて、

 お客さんのことを、よく覚えていて
 『今度は是非、デザートもどうぞ。』
 『お祝いデザート、何か考えるんで。』

 ただのお客さんとのやり取りを、忙しいからと
 切ることなく、続けてくれて、

 仲間の異変に気づき、手を差し伸べる事を厭わず
 好意を寄せられてると知って尚、今日この場に
 来ることを選んでくれた、君だから。 ]

[ 繋がれた手は、振り払われる事がないままで
 こちらの話は一旦、終わる。

 今じゃなくてもいい、いつかきっと、
 だとか、そんな不確かなものでも良かった

 性別の壁は、大きい。
 理解が深められて来ているとは言え、
 男女のカップルが当たり前に、やれることを
 戸惑う場面や、人目を避ける場面は多いだろう。

 ――相手が好奇の目で見られるような職種なら
 なおさら。

 特に自分たちは、今までそれを
 考える必要のなかった、二人だから。

 わかるよ、と言いたげな微笑み
 それを決定づけているようだった。 ]

 ……俺に?

[ 口元を手の甲で隠した君
 顔を隠したまま、言葉を続ける。

 暴かれたみたいに、
 熱くなったから、

 それを聞くとこちらも僅かに、恥ずかしくなる。
 そうなの、と言いながらも
 熱が上がっていくようだった。 ]

[ 息を吐き、腕をおろして続けられた言葉には
 正直、すごく、驚いて ]

 え、あ、深夜の方の、

[ 少しだけ知っているんです
 そこまでは範疇内だった。MVの人気は
 衰えることなく加速しているし、
 それに伴うように、公開録音の事は
 記事になるし、友人も外で見ていたし、
 その話を店内でもしていたから。 ]

[ 深夜の方、つまり
 アレとかコレとか
 ソレとか、聞かれていた、と。

 
………マジで?????


 驚きはわかりやすく表情に出ていた。 ]

 うん、

[ 合わされた手に、力が籠もる。
 続けられる言葉に、一つ一つ頷いて
 君がくれる言葉を、大事なものを
 抱えるような気持ちで、聞いた。 ]

[ 心のどこかで。

 だけどお客さんとしては大事です、だとか
 友達として、お友達から、とか

 そんな言葉が返ってくるのではないかと
 思っていた。それが正しいとも。

 指が絡み、
 とん、と肩がぶつかる。

 『好きになっていきたい。』

 ――今、なんて言った? ]

 はい……大歓迎です……

[ ぶつかる視線。
 驚きすぎて、呼吸するのをわすれるくらい。
 
 なんとか言葉を返すも、あまりの距離の近さに
 気の利いた事を言えるでもなく。

 いや、近いな!? ]

[ 何もされないと思っているのか、
 されてもいいと、思っているのか。

 どっちだって、いい。もう手遅れなので。
 絡まる指ごと持ち上げて、顎に触れ、
 僅かに向きを変える。

 君の瞳に映る自分の姿ったら、ない。
 ぐずぐずに煮溶けた果実よりも、甘そうだと
 他人事のように、思ったのはひととき。
 
 すぐに見えなくなってしまったので。 ]

 こんなに距離縮められると、
 何されても文句言えないと思う。

[ それこそこのまま攫われてしまっても。 ]

 それでも文句あるなら、聞くけどね。
 
[ これ以上ないくらい、そう例えば
 一生忘れないだろうなと評する、タルトを
 食べた時のような、幸せな顔でわらう。

 特別な時間、特別な場所、
 特別な景色の中に、君がいる。

 
――そういえば肉食だとか、誰かが言ってたな。
]

 そういえば、アレ聞いてて、
 普通に接してくれてたの……。

 めっちゃくちゃ恥ずかしいな

[ 特に第一回のアレ。
 彼女に言ってみました、とかいうお便りもくるアレ。
 
 実践したカップルが
(大変身近に)

 居たらしいが
 それは俺の預かり知らぬところ。 ]

 一枚だけ、いいかな記念に
 ここ、来たときはいつも一枚だけ撮ってるから

[ それからしばらく、なにもしないを満喫したか
 ぽつぽつと話をしたか、どちらにしても
 夕方になる前には、帰り支度をしようと
 したはずで、その前に、スマホ片手に問いかける。

 ――いつもは自分、映さないんだけどね。

 叶うなら、湖を背景に、君と二人、顔を並べて。** ]

 

[ 荒れていた頃の話は、特段面白いものでもない。
  少し夜遅くまで行き場所も居場所もない者同士、
  友人たちと他愛ない話を交わしていただけだ。
  そんな誰かと過ごす夜も特に心震わせるなにかもなく、
  ただ、ぼんやり生きているなあ、と思う程度の。

  好意を寄せられたことがない、……と嘘は言えまい。
  が、当時は「友達として好きだよ」だとか。
  店員になってからは、お客様、と敢えて呼んだりとか
  そんな手段で回避してきた。
  だから彼の内心の心配事は無用だったりするのだけれども

  例えそれを知っても大咲は
  彼が抱えてくれる独占欲に、擽ったそうに笑うだけだ。 ]

 

 

[ 誕生日を祝うという習慣がない大咲でも、
  これから先、彼の誕生日は忘れまい。
  うさぎの穴で「ハッピーバースデー」もしっかり覚えた。
  祝うなら。せっかくなら、二人きりがいい。
  "特別な人"に祝われる未来は薄らとしか想像出来ないけど
  きっと泣きたいくらい素敵な日になるのだろう。

  好きなものが少しずつ増えていく。
  してみたいこと、知りたいこともそれ以上に溢れて
  両腕だけじゃ抱えきれないかもしれない。

  始まりたての今でさえ、そんな風に考えてしまって
  ──でも、生まれて初めて
  誰かとの未来を考えるのが楽しくて、胸がきゅ、となる。

  これが
なんだなぁって
  いつかの日、投げられた問いへの答えを
  大咲はようやく得られたような気がした。 ]

 

 

[ 飛び込んだ先で零した拙い話を
  彼は抱き締める腕に力を込めながら、ただ聞いてくれた。
  そうして紡がれた「応援してる」という言葉へ
  うん、と確かに頷いて返す。

  速崎を理解出来ていなかったなら、また知り直したい。
  あの日どうして自分まで傷付いたのか。
  きっとそれは、何てことはない出勤途中の雑談の最中
  彼の親へ抱いた想いが大咲の本心だったからだ。
  お金が無くても子供がお腹を空かせることがないように、
  そうやって大事にされてきたことを、知っていたから。

  自分の目には些か眩しい、素敵な家族。
  内心抱いた親への共感と 彼への羨望。
  「かわいそう」が、羨ましがった自分への刃に聞こえて ]

 

 

[ でもあの日、栗栖が言っていたように
  速崎は一線を超えないことが出来る人だ。
  そしてそれをちゃんと言葉にした栗栖も、
  大咲にはやっぱりあの日と変わらず強く映る。

  だから。大咲も、頑張りたい。
  ──結局、クッキーの連作も実質未完成なのだし? ]


  ……ふふ。ありがとう、ございます。
  私も、そうやって傍にいてくれる
  神田さんのこと、…すき、です…。


[ 少しの間、安心出来る腕の中で言いたいことを整理して。
  抱き締めたまま傍で待ってくれる彼を、
  ようやく整え終えたこころのまま、見上げてから。 ]

 

 


     [ くちびるから
いた、名前は。 ]


 

 

[ 無防備に見えるのならそれはきっと
  向ける相手が貴方だからなのでは、ないだろうか。
  二人して同じ角度に首を傾いでいることへ気付けば
  お揃いですね、と囁くように、仕草を示し。

  それから──
  ケトルのお湯よりも先に熱くなった体温に
  「不意打ち成功」とばかり、わらって ]


  約束、しましたからね。


[ 夜綿さん。
  ──と、もう一度、形を得るように名前を呼び。 ]

 

 

  手、繋いでてくれるんですか?
  うれしい。


[ 断られる想定をしていないのに敢えて問いかけるのは、
  ちょっとだけ狡かったかもしれないけれど。
  目論見通り返ってきた了承へ、はにかんで。

  それから、それから。
  二人で食べた瑞野の杏仁マンゴータルトは美味しくて、
  タルト生地はフィエのだな、と気付いたり。
  艶を与えるナパージュがフルーツを傷めていないから
  そんな情報だけで、瑞野の掛けた手間が伝わってくる。

  食べ終えれば、お風呂と──彼の服を貸してもらった。
  薄付きのメイクを落とし、スキンケアと髪を乾かし終え
  不意に はた 、と気付いたのは ]

 

 


  ( ……いやちょっと待って、 あの、
    これ冷静に考えたら結構すごい状況では…? )


[ 今更か。今更ですごめんなさい夜綿さん。
  少し前の別れ際に告げられた懺悔を思い出し
  自分の今の状態を振り返って考えてみる。

  彼氏の家。今夜は一緒に寝たいと言い出した自分。
  お風呂上がり、借りたスウェットは当然大きくて、
  上だけでワンピースのようになるから、と
  それだけ着ている。所謂これ、彼シャツですか? ]

 

 

[ 約20cmの身長差、平均より華奢な骨格の大咲。
  普段好んでいるだぼついた袖も今だけは気恥ずかしく、
  何食わぬ顔でお風呂を借りた礼を言おうとしたのに
  いざ対面した時の大咲は、
  風呂上がりとは言い訳出来ない顔の赤さ。 ]


  …………ぁ、あの、……
  まだあります、か。
……したごころ……



[ 声は紡ぐにつれか細くなっていく。
  いやでは、ない。こわいとも思わない。
  ほんとに自分と「そういうコト」がしたいと考えているのか
  窺うようにちら、と見上げて。 ]

 

 


  ……その。
  なんだろう、えっと、…夜綿さんになら わたし
  別に、どんなことされても、いいんですけど。


[ 寧ろそんな欲を抱くくらい好きでいてくれているなら、
  うれしいとも、思うのだけど。
  せっかくなら 最高に可愛い自分でデートして
  その思い出のまま、とかは、贅沢でしょうか。

  そんな風に言葉を途切れ途切れ、続けてから。 ]

 

 

[ 近寄って、くい、と控え目に彼の指先を引いた。
  乾かしたばかりの髪がさらりと肩から流れて
  微かにシャンプーの甘いにおいがする。 ]


  
…… "すこしだけ"、は、だめですか。



[ キスしたいですと、明け透けに言えない代わり。
  リップが落ちてもなお薄桃に色付くくちびるを、
  そ と貴方へ指し示したけれど。

  ……果たして、結果は。* ]

 

メモを貼った。

[痛みはなくとも、一生残るであろう傷跡は。
 見る度に過去を思い出させるだろう。

 それは、例え今の生活を気に入っているとしても。
 途切れた輝かしい未来の先を、
 きっと一度は想像しただろうから。

 みっともないとは思わない。

 けれど演じる者としては、
 役を制限されてしまうであろうこと。

 その言葉を選んだことから、分かる。
 負い目と感じていること。

 今も演技に関わる仕事を続けているのだ。
 出来ることなら、消したいだろうに。]

[その場では掛ける言葉が見つからなくて、
 押し黙ってしまった。

 彼のように言葉を尽くせるような俺じゃない。
 言葉にするにはどうしても時間が掛かってしまう。

 だから、代わりに。
 先に伝えたかったリスナーであることを話せば、
 僅かに見開かれた目に笑った。

 微かな動揺が、はっきりと見えるぐらいに。
 徐々に見えていたとしても。

 今は、それよりも。
 掌から伝えられる温度を分け合いたかったのと、
 此方からも言いたいことがあったから。
 揶揄うこともなく、目を細めただけ。]

[一瞬だけ、時を止めたように落ちた沈黙。
 彼との間の沈黙が苦しくないことは、
 今までにも何度か経験したから知っている。

 問い掛けに返された応えは、
 何故か、敬語だったから。
 ふ、と息を吐き出すようにまた、笑って。

 顎に指をかけられたなら、見上げる角度が変わる。
 瞳に相手の姿しか映らない程の距離。

 身を引くことはしないまま。
 溜息にも似た吐息と共に零された言葉に、
 小さく歯を見せたなら。]


  文句はないですけど、

  
[春を運ぶ風が吹く。
 さらりと揺れた前髪は、彼のものと重なって。]



  さっき言いかけたこと、言っていいんで。
  ちゃんと、聞きたいです。


数多のリスナーに向けてではない。
 誰かにリクエストされた訳でもない。

 他の誰にも真似できないものを。
 彼自身が選んだ言葉で。俺だけに。
 文句の代わりに、まずは最初のおねだりを一つ。]



 
   
聞かせて。



[吐息が掛かるほどの距離。
 囁く声は、甘く蕩けるデザートのように。

 いつもの優しくて落ち着いた声を待ちながら。
             視界を
に、染めていった。]

[写真は普段から映る方ではなかったけれど。
 記念、と言われたら応じただろう。

 静かな湖畔は、
 ゆっくりとオレンジに移り変わっていく。
 
 手先が器用なことを昔、褒められたこと。
 その従姉妹が杏であること。
 彼女を慕って、Madam March Hareを選んだこと。
 好きなものはサーモンと苺だということ。

 少しずつ、自身のことを話して。
 互いを、知っていく。
 これからまでも。そして、これからも。  **]  

 ― そして、朝 ―



[ 仕事柄、朝には強い──つもりだったのだけれども。
  急遽の休日出勤や速崎への蟠りへの疲労ゆえか
  それとも好きな人と手を繋いで眠ることへの、安心感か。
  今日も夜シフトだということもあって
  結論を言えば、大咲は盛大に体内時計が狂っていた。

  起こしてくれる声がする。
  夢心地の中──というか実際に夢だと思い込みながら
  寝ぼけた顔でのんびりと起き上がった。 ]


  ……ん、む……?


[ 無意識に繋いで寝たはずの手の温もりを探し、
  数瞬だけ指先を彷徨わせ。
  あれ、私今起こされた? と思い至った瞬間

  大咲の意識はすぐさま覚醒した。 ]

 

 

  ── … お、はよ、ございます
  ぇと もう起きます……。


[ お願いしてお泊りしたことは覚えている。
  だから思わず声に滲んだ戸惑いは、この状況にではなく
  誰かが一緒にいる朝の慣れなさへ。
  顔を洗い、まだ眠りたいと訴える頭も起こし
  朝食が並べられたテーブルを見ては、ぽかん、と。 ]


  …………作ってくれたんですか?
  私のために、……一緒に食べるために……?


[ 結んだ約束がまたひとつ、叶えられていく。

  朝起きた時、ひとりじゃなくて。
  昨日作ったままの状態で残されたご飯ではない、
  特別な人が、自分の為に用意してくれた、温かいご飯。 ]

 

 


  はじめて、です
  朝起きた時ひとりじゃないのも、朝ごはんがあるのも
  一緒に食べてくれる人がいるのも。

  ……それが、夜綿さんで、うれしい……。
  ありがとうございます、夜綿さん。


[ 気付けば目元が熱くなって、頬が濡れていた。
  揃いではない食器が何故か逆に愛おしく映って
  そこからは少しだけ、泣き止むのを待ってもらう時間。

  彼の家、彼のスウェット、彼が作ってくれたご飯。
  程無くして泣き止んだ大咲は照れたようにはにかみ
  いただきます、と一緒に手を合わせた。 ]

 

 


  ─────── …おいしい、


[ いつもの、静寂で空虚な味ではない。
  玉ねぎと新じゃがという素材に、春、を感じたり。
  ……それに、いつか聞いた速崎の
  スターゲイジーパイ伝説が頭を過るお味噌汁。
  敏い彼にはきっと何かしら悟られている、と分かっては
  けれど"料理"で示すことへの心遣いも理解っている。

  ふわふわの、真っ白な卵白も用意されているとなれば。
  ──導かれた脳内での答えに、また滲みかけた涙を
  さっぱりとした味付けのきゅうりを噛んで、
  どうにか泣かないよう努め また「おいしい」と咲った ]

 

 

[ 彼のように豊富な語彙も、表現する言葉もない。
  何せ自分の感じていたことさえ碌に形作れない体たらくだ。
  代わりに、彼の想いとこころと温もり
  全てを受け取るように、愛おしさを声音に込めて。

  今日の更新されたSNSのことは知らずとも
  目に見える今が、大咲にとっての全てだ。 ]


  ……好きな人がいて、美味しいご飯を作ってくれて。
  なんか、そんなの一度経験しちゃったら、
  帰りたくなくなっちゃいそうです。


[ なんて。
  でも、いつか、帰る場所が同じになればいいだとか。
  そんな話は気が早いと思われてしまうでしょうか。 ]

 

 

[ けれども今日は夜からシフトがあるし、
  フリーのライターとはいえ彼にも納期やらがあるのでは?
  突然我儘で泊まらせて貰ったのもあって
  あんまり長居するのも気が引けた。 ]


  夜綿さん、あの
  一着だけ……スウェットとか、貸してくれませんか。

  家で、ひとりで寂しくなった時とかに
  ……夜綿さんを感じられたら、いいな、とか……
  その あの 思っちゃった、というか……


[ もちろん、余裕があればで良いんですけど!!

  ……そんな必死の補足は
  照れ隠しなのは、多分、もうきっとバレてしまうかも。* ]

 

[二人きりの部屋にケトルが沸騰間際にがたがた揺れる音。
駅にも程近い自宅には、遠く電車の音も聞こえる。
それよりも小さな筈の彼女の呼吸音が耳に絡んでくらくらする。

「神田さん」と呼ばれた時には、名前呼びの約束のことは頭から抜けていた。

だから完全不意打ちで、心の準備もあったものでもない。
身体の内側に真っ白な閃光が走り抜ける。]

 ……心臓、もたないから、不意打ちは控え目で。

[此方がこんなお願いをすることになろうとは。
大げさではなく早鐘を打つ鼓動は、離れ切っていない胸板から伝わるだろう。]

[懺悔しよう。
杏仁マンゴータルト、食べた筈なのに味を殆ど覚えていない。
カメラロールを見返してみたら写真は残っているから食べたのは確かなのだけれど。

薄い素材は心許ないだろうと自分にも少しオーバーサイズのスウェットを準備したら、入浴後の彼女はワンピース姿だった。
狙った訳ではないとわかっていても、余った袖や裾から伸びた足にぐっときてしまうのは赦してほしい。

真っ赤な顔、ああ漸く気づいたのかな、と苦笑する。]

 「まだ」って何?
 今日だけでもー何回も理性ごりっごりに削られてるよ。

[リュックからはまだドラッグストアの不透明袋を取り出していない。
一応、と自分に言い訳をして買うくらいには、抑えておく自信なんてなかった。

けれど。]


 ……すっごい殺し文句だなぁ。
 うん、そう思ってくれてるの、嬉しい。

[続いた言葉の最初は、とんでもなく煽られるものだったけれど。
「それ」を前提として、彼女には希望があって。]

 僕はね、マシロちゃんを幸せにしたいんだ。

[自分を一番幸せにしてくれる彼女に、一番の幸せを。]


 今日が「その時」じゃないって思ってること、
 教えてくれてありがとう。

 割と、こう、ぶっちゃけ、
 今の格好だって最高に可愛いから正直グラグラしてるけど、
 僕が君を一番幸せにする日は今日じゃないって、
 ちゃんと言ってくれたからね。

 嬉しいよ。


[所謂「据え膳」のシチュエーションであることに気づいても、「嫌われたくないから」と男の意のままになることを選ぶ子ではなくて良かった。
「今は違う」と言っても、自分が彼女を嫌わないと信じていなければ出ない言葉だと思う。
こんな甘え方を彼女が他ならぬ自分にしてくれるのが嬉しい。]

[宣言通り手を繋いで寝ようと手を差し出そうとしたところで、指先が引かれる。

ああその「少しだけ」で終われると思われている自分の信頼が首を絞める音がする!]


 ああもう、敵わないな。
 なんでこんな可愛いかなあ?!

 

[勇気を長引かせるつもりなんてない。
瞼を軽く伏せながら顔を近づける。
シャンプーの香りに喉が鳴ったのは気づいても気づかない振りをしていてほしい。

合わせた目線でそっと同時に閉じるように合図をして。]


[触れた先の柔らかさを、自分はきっと一生忘れないだろうと思った。]

 


 ……マシロちゃんのうさぎクッキー、
 粉砂糖が白くて、「白うさぎさん」だなって思ったら、
 キスしたくなったこと思い出した。

[触れ合わせた後の空気がくすぐったくて、くつくつと笑ってしまう。
数秒触れていたのに離したら寂しくて、何度かつい啄んでしまった。
先程より赤味が増した唇に、「味見が大口でごめんね?」と親指で触れて艶を拭う。

おやすみ、と手を繋ぎ直して布団に入った。
眠れたかは、自分だけの秘密だ。*]

メモを貼った。

 ― ところでうさぎのじゃれ合いは続く ―



[ アリスブルーの新人うさぎと事故物件(疑惑)の話は横目。
 
すみません白状します、混ぜてほしかったです。
  だって私、そんな風に言われたことないもん!


  とは、問われない限り出て来ない本音だが。
  時折スタッフ同士で飲みに行くことも、
  グループチャットで会話することもあった三年間の中。
  茶化さず、素直に心情を吐露したのは
  そういえばこれが初めてのような気がした。

  数度瞬いて自分を見つめる瑞野に返す視線は、
  完全に兄を取られた妹気分の拗ねた色。
 
じきにその対象はひとり増えることになる。
 ]

 

 

[ ぽん、と置かれた手の先は。
  あの騒動の時みたいに肩ではなく、今度は頭。 ]


  ……えへ。
  はぁい、瑞野お兄ちゃん。

  代わりに妹の大咲にも、相談とか
  してくれていいんですからね?
  例えば…………恋とかの……?


[ 速崎から既に話を聞いているとは知らないけれど。
  「オニイチャン」という自称へ満足げに笑い、
  お返しとばかり投げた言葉は
  つい、MVを何気なく見せた時の瑞野の顔を思い出して。

  言い詰まったのは、わざとじゃないです、本当に。
  大咲はしれっとした顔を貫き通しました。えらい。 ]
 

 

[ 続けられた言葉と、流された視線の先。
  入社早々、既にある意味大物の気配がする新人うさぎ。 ]


  ……もしかして、カクテル教育係、私ですか?
  ちょっと……いや、うん、頑張りますけどね……?
 

[ 足すか掛けるかじゃなく割ることを覚えて頂きたい。
  早速頼られますよ、ええ、任せてくださいお兄ちゃん。

  しかし大咲も谷底に子ライオンを落とす親ライオン。
  教育方法はしっかり兄の背を見て育つので
  後日、 徹底指導した後輩くんの縋りには
  にこにこ、教育の成果を見せて貰うことになった。* ]

 

メモを貼った。

[ 傷も過去も、あるから今がある。
 なかったことにするなんて、
 自分で自分を恥じているようで、
 嫌いになってしまいそうだったから。

 自分自身がそこそこ気に入っている
 俺という人間を、選んでほしかった。

 見てくれとか、よそ行きの大人ぶった
 気さくな青年、ではなく。
 
 言葉をかけられることはなくとも
 がっかりしているようでなければ、良かった。

 代わりに返された情報については
 後ほど、詳しく聞くとしよう。

 言葉を交わし合うように、
 触れ合った指先から熱が伝わり合えば
 目を細める君につられ、微笑んだ。 ]

――「いただきます」――

 あは。ちょっと寝惚けてる?
 初めて見る顔だ。
 可愛いけど、顔は洗いたいよね?
 行っといで〜。

[朝からハイなのはお察しというやつだ。
彼女の方は初めての家の慣れない布団でもぐっすり眠れたようで良かった。
来客用の布団、浮かれて買った甲斐があった。

洗面所に彼女が向かう間にお茶を入れる。
湯呑はないのでマグカップだ。]

[ 肝心なときに、決まらない俺を
 君が笑う。

 格好付かないけれど、君が笑うなら
 今はそれでよかった。

 のに、な。

 逃げも止めもしないばかりか、
 小さく歯を見せて
 ねだるように言葉を口にする
 鼻先が触れ合うほどの距離、
 囁く声が、鼓膜を震わせ、心臓まで
 蕩かせそうに、甘く。 ]

 すきだよ 那岐くん
 ずっとずっと、俺の隣にいて。
 友達じゃなくて、恋人として。

[ 紡ぎ終わると同時に、
 二人の距離はゼロになる。 ]

[二人分の朝食を作ることは、彼女のお泊りが決定した時から決めていた。]

 明日二人で何食べようって考えるの楽しかったよ。

[呆気にとられたような彼女に向かって微笑む。

約束したから、というのもあるけれど。
約束がなくても、こうしたかった。

彼女が自分の目の前で「いただきます」と同時に手を合わせるのを、恥ずかしながらずっと妄想していたもので。]

 ありがとう、これも宝物にする

[ 応じてくれたなら、最高の一枚を
 スマホで撮り、嬉しそうにスマホを
 仕舞い込んだ。 ]

 じゃ、帰ろうか
 夜はもっと冷えるから。

 今朝さ、聞こえなくてもいいやって
 思ったんだけど。

 夢、今日一つ叶ったんだ。
 
 好きな子、乗せて走って見たかったんだ。
 だから今日、……今、すげー、最高の気分
 
[ 帰り道も安全運転を約束し、
 走り出す。――行きと同じ道、
 夕日に照らされて、また違う景色に見える
 いつもの道が、夢見るように、鮮やかだった。 ]


 うん。
 朝ごはんは自分で作る主義だけど、
 こんなに喜んでもらえたの、初めて。

 あー……やばい僕、すっごい浮かれてる。

[夜が過ぎ、朝となっても真白は自分を名前で呼んでくれる。
それだけでなんだか胸がいっぱいで頬が緩みっぱなしで。
彼女が泣き止むのを待つ間、自分もゆっくり表情筋を躾けていった。]

[ 帰りはドライブインには寄らない代わりに、
 コンビニに一度バイクを止めて、 ]

 予約はしてなかったけど、
 夕飯もどっかで、って思ってたんだけど
  
 離れ難いんで、ウチ、来ない?

[ そう問いかけたが答えはどうだったか。
 君の職場に行くルートも少し、考えてたんだけど ]

 もう少しだけ、独り占めさせてよ

[ あそこ行ったら、皆のお兄ちゃんに、
 なっちゃうからね。* ]

[出汁に使った昆布は途中で取ったが、煮干しは入れたままだ。
そもそも煮干しは出汁に使うなら頭とワタを取った方が良いのだろうが、これはスターゲイジーパイを模しているので。]

 インパクト重視で一旦そのままにしたけど、
 煮干しは食べにくいから取っちゃうね。

[手を合わせる前に彼女の器から顔を出していた煮干しを抜き出す。
言わなくてもきっと意図は伝わっているし、
そもそも自分の推察が的外れだった場合は、単に「味噌汁おいしいね」で済ませれば良い話だ。

「いただきます」と声を重ねて向い合せで箸を持つ。]



 おいしい?良かった。
 好きな子が料理人だと緊張すんね!


[そっと零された言葉に身体を振るわせて安堵の溜息を吐く。
勿論味見はしたし、自分の舌には自信があるが、それとこれとは別の話だ。

メインも芙蓉蟹のジェネリックとばかりカニカマを使っている。
次に作る時には鮭とか鯖とかを用意しておこうと思うが、食卓に込めた願いを思えば今日はこれで良いと自分に言い聞かせた。]


 帰んなくていーよ。

[思いの外真剣な響きになってしまった。]

 ていうか、「ここ」に帰っておいでよ。

[言ってから、それを切望している自分を実感する。
単なる徹夜ハイの譫言ではなく]

 住んでみて窮屈だったら別の部屋探すから、
 完全な「お引越し」はちょっとだけ待ってもらうことにして。

[気の早さを競おうか。]


 今日は昨日買ったお泊りセットの残りを置いて帰って、
 それがなくなる前には「いつもの」をこっちに持ってきてもらって。

 新しい衣装ケース……クローゼット?は
 次の休みにでも。

[彼女がもし「ちょっと言ってみただけ」なら、引かれてしまうだろうか。
使われないなら衣装ケースは新しい本棚として使おう。
そんな計画。]

[夜から仕事だという彼女を車で送っていくことにした。
少しでも独り占めの時間を長引かせたくて。
荷物を纏めて出ようとしたら、彼女から思いもよらないお願いが。]


 へっ?!
 ス、スウェットでいいの?
 寂しくなったら僕がいるけど、  って自分のスウェットに嫉妬してどうする僕、
 えーと、

[ちゃんと毎回洗濯はしているけれど、臭くないかな。
少し焦る。
夜に着ていたものをそのまま持って帰る?
いやそっちは僕が欲しいな?!


えーと、
えーっと、]

 じゃあ、選ぶ……?

[てんぱった結果、変なことを口走った気がする。
彼女に二択を迫るのか?!*]

メモを貼った。

――鴨肉の日――

[ひとつの恋が成就しようとしている時、「やあ、空いてる?」と来店する。
テーブル席は良い雰囲気。

「えっあの二人まだつきあってないの?」なんて、空気の読めないことは言わない。]

 店長、こないだそば入れといてって頼んでたからあるよね?
 あるでしょ?!

 鴨!と来たら!

 鴨南蛮そば!!くださいな!!

―― 初鰹の日 ――

 鰹かぁいいね
 え?鴨肉もあるの?

 鴨、好きなんだよなぁ

[ 珍しく、悩んでしまったので、
 注文はまだしていない。手元には
 とりあえず、の定番ビールがあるだけ。

 なにやら春めいた匂いのするテーブルには
 顔見知りの姿

 ああ、デートってお肉の彼だったの
 ふぅん、って楽しげな視線と、会釈だけは
 投げた。

 だってずいぶんめかし込んでいるからね。
 気づいちゃってもしょうがないでしょ。 ]

 ロースト、……南蛮……

[ まさに今来た彼の言うように、
 南蛮そばにも心惹かれる俺はまだ、
 メニューを悩んでいる。* ]

 

  やだ、……って言ったら、どうします?


[ 少し遠くに、まだ終電を迎えていない電車が走る音
  帰れない時間ではないことを今更実感したけれど
  その時はまだ お泊りへの情緒は中学生より下だった。
  だからかもしれない。
  早鐘を打つ心臓に気付いていながら、
  差し出されたお願いへ、そんな意地悪を言えたのは。

  杏仁マンゴータルトの味もしっかり記憶でき、
 お風呂を上がるまでは至って普通の顔で過ごしていたが。
  恋と女心というものを知れても、
  彼の理性を己が危ぶませていることは分からなかった。
 
何せこちらは初恋で、初めてのお付き合いなので。
 ]

 

 

[ 浮かべられた苦笑に、いよいよ顔が沸騰しそう。
  手を頬へ宛がい、うさぎ林檎のような顔を隠そうとして、
  ろくな言葉も出て来やしなかった。 ]


  り、りせい、


[ 削ってるんですか。私が。一体なにで。
  あ、いえ答えなくていいんです、しんでしまう予感がする。
 
  理性が何を言わんとしているかくらいは分かります。
  でも、私、やっぱり少しおかしいかもしれません
  ……理性を削られてくれるくらい、
  好きでいてくれるのがうれしいと 思ってしまう、ので ]

 

 

[ でも、彼からの言葉は、きちんと聞き続けた。
  いやじゃない。こわくもない。
  そういうコトを、したくないってわけでも、ない。

  自分から据え膳のお皿へ乗っかりに行ったようなものなのに
  彼は肝心なところで鈍感な自分の、
  我儘を「嬉しい」と言ってくれる。
  他の誰でもない、"大咲真白"を幸せにしたいから、と。 ]


  ……ううん。私の方こそ、ありがとうございます。
  その……全然、気付いてなくて
  本当に脈無しだと思ってた分、夜綿さんが
  私をそう見てくれる実感がなかった、と、いうか……


[ 寧ろ、恋にケリをつけるくらいの気持ちだったから。
  うさぎのクッキーを「美味しい」とさえ言って貰えれば
  この恋が結ばれなくても、前を向いて生きていけるって。

  いつの間にか心に住んでいた、特別な人
  ──ああ、恋ってほんとうに私をばかにするのかも。 ]

 

 

[ 仕事終わりの──連勤明けで疲れた私じゃなくて
  お休みの日に、最高に可愛い私を見せたいんです。
  髪型もメイクも服もちゃんと納得行くまで仕上げてから
  胸を張って 貴方の彼女です、と言えるように。
 
私だって他の子を牽制したい気持ち、あるんですよ。


  そんな我儘は、貴方だから自然に出てきたこと。
  きっと嫌いも面倒くさがったりもしないって分かってる。
  ちゃんと言わせてくれる優しさが、あたたかい。 ]


  ……店長に、近いうちに二日間、お休み貰います。
  それまでは……その
  ぐらぐらして、私のことばっかり考えててください

  その代わり、……というとアレかもしれませんけど…。


[ 上手く言葉が出てくれなくて、でも、
  精一杯、精一杯。

  指先を引く前に。 ]

 

 


  わがままで、今日は待たせちゃうので
  ……一番幸せにしてくれる日は
  夜綿さんの すきに して、ください

  私も、それがいちばん、しあわせ です…。



[ 言いたいことはちゃんと言いましょうって
  私も過去に散々教訓は得ていますからね!

  ……キスしたいですとか、そういう率直な物言いは
  経験不足なので代わりの仕草でどうにか、こうにか。
  今はまだ、ご勘弁願えればと思いますが。
  指先を引いてお願いした「少しだけ」の信頼ひとさじ、
 なぜか貴方の"かわいい"のコップが溢れたらしい ]

 

 


  …………私のことかわいく見えるのは
  夜綿さんと過ごす私だから……かな……?


[ 好きな人を好きだと思っているだけなので。
  でも、よく言うじゃないですか。

  人が一番きらきらしたり、輝く時って
  好きなものを見つめている時なんだよ、って。
  あれ、わりと真理かもしれません。

  桃色に染め上げた私の顔に影が差す。
  合図を受け取り、桜が落ちる時のように穏やかに瞼を閉じ
  聞こえてしまう喉の音が、我慢を示すようで。 ]

 

 



       [  
さで心が満たされる。  ]



 

 

[ 初めてのキスはレモンの味がするという噂話は、
  どうやら嘘の様子。
  耳まで真っ赤になった私は、彼がくつくつと笑う声へ
  満足に反応も出来ないまま。 ]


  ……白って、何色にも染まるんです、よ


[ 今は貴方のおかげでまっかです。
  しかも何度か甘さとやわさを教えられてしまえば
  最後はつい、「ぁ…」と寂し気な声さえ零れ落ちるのに。

  親指が私の唇へ触れれば、もう、大咲は敗北です
  ──ほんとに理性とやらはぐらついてるんですか?
  全然余裕ありげに見えて、なんだか悔しいような
  味見だけにさせたのは私なのに
  …………最後まで食べて欲しいと思う、のも、ああもう ]

 

 


  ……お、おやすみなさいっ!


[ 恋って滅茶苦茶な感情ばっかり!

  変なことを口走らないよう、手を繋いで布団へ潜り込む。
  疲れ切った体は少しの間の後
  静かな寝息を立てて、眠りの海へ。* ]

 

[ ――ところで。

 別に態度をいつもとなにか
 変えているわけではないのだけど、
 杏の姿を見かけたら
 いや、見かける度、

 ちょっと落ち着かない表情をしていた
 男が一人、居たそうな。

 あちら、ご存知なのでしょうか。
 ご存知でしたら挨拶すべきでしょうか。
 
 そんな風にそわそわしているの
 どう見られていただろう。* ]

 ― いただきますと、それから ―



  ぅ……ちょっと、ねむくて
  かお、あらいます……


[ 自宅なら二度寝を決め込んでいるかもしれない。
  しかしここは彼の家だし、起こして貰った立場なので
  朝から元気な彼に後押しされ、顔を洗う。
  尚、テンションの理由は「朝に強い」と思い込んでいた。
  徹夜してもペースが変わらないタイプである、
  ……それも想像に至らない理由のひとつかもしれない。

  初恋の大咲には。
  据え膳を前にしても人は別に眠れるという
  考えがまだ、堂々頭の中に存在するのだ。 ]

 

 

  浮かれてるのは、私もです
  ──……うれしい。好きです。


[ 自然と、好き、が零れ落ちた。
  泣き止むのを待ってくれる彼に甘え、少しの時間を貰い
  一緒に手を合わせてからご飯を食べる。

  インパクト重視。
  そんな優しい嘘をつけるところが、すきです。
  まだ言わない私と、尊重しながらも示してくれる貴方

  ──私、ちゃんと向き合っていきたいです。
  けいちゃんにも、自業自得の私自身にも、
  こうやって道をそっと照らしてくれる貴方にも。 ]

 

 

[ 料理人だと緊張する、と言われれば
  ふふ と微かな笑い声を零し ]


  特別な人が作ってくれたものなら、なんだって。
  美味しくないわけ、ないですよ


[ それに、料理人の自分も二回目のうさぎクッキーは
  情けないくらい緊張して震えてしまったのだし?
  うさぎの穴の先輩面子に比べればまだまだひよっこ。
 
カクテル作りは自信ありますけどね!


  思わず言ってしまった「帰りたくなくなる」という言葉へ
  返って来たのは、存外、真剣な響き。
  ぱちぱちと瞳が瞬いた。 ]

 

 

  ──い、いいんですか?


[ いつか一緒に住もうね、とか。
  そういう未来の約束が結べたりするのかもと
  期待していなかったといえば噓になるが。
  気の早さ選手権、エントリーは二名、敗北者は大咲。 ]


  私、ご存知の通り仕事も夜遅くまでだし……
  コスメとか服とか、かわいいアクセサリーとか。
  つい集めちゃうから 場所も取ってしまうかも、ですよ?


[ いや、そうなったら彼が言う通り
  一緒に"お引越し"の物件を探せば良いだけなのか?
  幸い買い物以上に仕事の時間が多いから
  貯蓄はあるし、家具の買い足しも余裕だけれど。 ]

 

 

  えっと、その、
  とりあえず今日は、お泊りセットの残り…置いていきます
  ……私 本気にします、よ?


[ 大咲のスキンケアやコスメはいわゆるライン使いだ。
  薄桃にオフホワイトカラーのパッケージに
  リボンやクリスタルが飾られた、
  百貨店のコスメ売り場で人気のブランドのひとつ。

  結構、その、お部屋をメルヘンに変えてしまいそうですが
  本当に良いんですか、と確認して ]

 

 

[ 車で送ってくれるという提案は、有難く受け取った。
  もう少しだけでも二人でいたくて。
  下地だけでも持ち歩いておくんだった…と後悔しつつ
  家を出る前に、お願い一つ。

 
何故か二択を迫られた。

  選ぶ? 偉ぶってなにをですか!? わたしが!?
  スウェットか夜綿さんかを!? ]


  え、え、あの
  それは両方欲しいので、選べないです……?


[ 動揺が伝染してなぜか語尾に疑問符がつきましたが
  こちら、大咲の本音です。* ]

 

メモを貼った。

メモを貼った。

【人】 店員 ミスミ

[カツオのたたきの基本は、炙りにするべきそのさくをよくよく冷やしておくことだ。
血合いを綺麗に取り除いておいてくれたのは誰の仕事か。

浮いた水分をきっちりとペーパータオルで取り除いてから、皮目の側に粗塩を振って串を打ったそいつを、藁には及ばないけれどフライパンよりは火力の高い業務用のそれで皮目から焼いていく。
それから、その皮目に焼き目が付き始めれば身のほうを炙るようにひっくり返す。

たたきの神髄は、薄く香ばしく熱の通った焼き目と中のもっちりとしたレア感。

それを損なうことがあってはならないのは重々承知なので、焼きあがったさくが水っぽくなりすぎないないように、よく堅く絞ったキッチンペーパー越しに保冷剤をあてて冷やして粗熱をとったら、さてここからが洋風アレンジのスタートだ]
(290) 2023/03/10(Fri) 23:48:50

【人】 店員 ミスミ

(…えーと)

[まず薄めのタタキにまず必要なのは旨味を出すための少し醤油。
それに香ばしく炙ったスライスガーリックとオリーブオイル、ブラックペッパーとバルサミコでカルパッチョのように。

その次に程よい厚みのタタキを綺麗にうず高く盛り付けた上に細かく刻んだバジルとパセリ、フライパンで乾煎りした渋皮付きのクルミを砕いて、最後に風味付けの粉チーズとほんのり絞ったレモン。
イメージするのはジェノベーゼ。

最後に用意するのは太白胡麻油。
豆板醤をベースにコチュジャンとポン酢。
ごくごくわずかに黒蜜を足したら、最後によくさらした粗みじんの玉ねぎと一緒にダイスのタタキを和えた上に白のすり胡麻。

日本人おなじみのにんにく生姜醤油に茗荷と玉葱を添えたベーシックなカツオのたたきも口休め的に合わせ盛りにした大皿の中、小鉢へと寄せて]
(292) 2023/03/10(Fri) 23:51:02

【人】 店員 ミスミ

お待たせしました、メニュー名はうーん…タタキ世界一周?ですかね?

[少なくとも和風ではないカツオのたたき達だが、イタリア、イタリア、その次に韓国からの日本なのでメニュー名を伝えた本人すら世界一周した気はしていない。
洋風のタタキに興味があるらしい彼>>193>>194の口に果たして合うのだろうか。

それが終われば、塩抜きしていた桜の塩漬けと巣立ちの出番*]
(293) 2023/03/10(Fri) 23:51:45
["恋人"を始めるための最初の願いは、叶えられる。
 いつか耳にした台詞よりも、

 ずっと身近に感じられるような。
 純粋で素直な言葉に。

 また一つ、ラジオでは聴けない彼を知る。

 最後まで言葉が紡がれたか、どうか。
 語尾は掠れて――……、]


  
……――――、



[掌とは違う柔らかさを唇に感じたなら。
 ゆっくりと瞬きを一つして。
 ふわりと、同じくらいの柔らかな笑みを浮かべる。

 僅かに苦味の走るブラックのコーヒーの味は、
 自身だけではなく、彼の唇にも残して。]

[彼の手元には宝物がまた一つ、増える。
 俺もくださいね、とさらりと共有を申し出て。 
 
 落ちてきた夕陽が湖に溶けていく。
 その頃には、風も少し出てきていただろうか。

 帰ろうの、一言に。
 少し名残惜しさを感じながらも、後に続く。

 砂利を歩きながら、夢と語る内容に。
 最高だと、笑う横顔に。

 小さく、息を呑んだのは。
 その横顔に少し見惚れたから。]


  ……一度だけじゃないんでしょう?
  

[息を吐くように、そう相槌を返す。

 叶えた夢は、これからは二人の現実リアルにして欲しい。
 一度じゃなく、何度でも。
 紺色のうさぎのヘルメットに埃が被らないように。]



[バイクに二つ並ぶように備え付けられた、
 黒のメタリック、紺のうさぎのヘルメット。
 これからは、もっと活躍を目にすることだろう。

 四季を巡って、来年の同じ時期にもまた。
 道々で桜を探しながら、此処へ訪れられるように。

[陽が落ちてくれば温度も下がる。
 来た時よりも腰に回す腕に躊躇いはなくなっていた。

 コンビニに立ち寄った時には、
 頬が風に当たりすぎて少し冷えていただろうか。

 照明の明るさで表情を確認しながら、
 夕飯と誘いの声。

 その後に、少しだけ独占欲が見えたらなら。
 また、ついと笑みが零れてしまう。

 どうやら彼と居ると表情筋が緩むらしい。]

 

  いいですけど。
  飯、どうします?

  キッチン借りれるなら、何か作りましょうか?
  コンビニで揃えられるものなら、
  少し手を抜いたものになりますけど。


[昼食を食べて以降食事はしていないから。
 そろそろ美味しいものが恋しくなる頃。

 ああ、今日のうさぎたちは
 どう過ごしているだろうか。

 紺のキャスケットは今日は出番がない。
 その代わりに、出来たばかりの恋人に。
 胃袋を掴んだという手料理を、ご馳走しようか。*]

メモを貼った。

【人】 店員 ミスミ

[桜の塩漬けからどれぐらい塩を抜くかはニュアンスのラインなのだが、塩が多すぎてはいけないのは事実だ。
ごく薄くスライスした酢橘まで準備できたら、コリンズグラスに氷を少なめに積み上げたあとバースプーンで一回、二回、くるくるとグラスと氷を馴染ませる。
程よく冷えたそのグラスに注ぎ入れるのは香りの柔らかなスコッチウイスキー、バースプーンで今度はうウイスキーと氷を馴染ませてその上に注ぎ足すのは濃いピンク、桜のエクストラクト。

春っぽい色目が重要なのでいまは馴染ませることなくうえから静かにソーダを足して、ソーダがグラスの3/5を満たしたら、そこに塩を抜いた八重桜をそっとスプーンで押し込み、グラスの淵へとスライスした酢橘をひと回しさせて酸味のアクセント付けと薫りづけ。
それが終われば、酢橘も八重桜と同じくグラスの中へ。
琥珀色の上に濃いピンクが重なるそのグラデーションがぐちゃりと崩れないように慎重にステアは縦にバースプーンを動かして二回だけ]
(299) 2023/03/11(Sat) 0:06:56

【人】 店員 ミスミ



………お待たせしました。

[お客様>>194へと久しぶりにお出しした一杯は、桜と酢橘のハイボール。
どうだろう、と思っている間にご指名>>227のオーダーが聞こえて息をついている暇もない]

鴨!?

[はい、でもJa!でもない。
その響きは、雛を呼ぼうとして鶏がコケと啼いた、それくらいの間抜けさがあった*]
(300) 2023/03/11(Sat) 0:07:10
店員 ミスミは、メモを貼った。
(a56) 2023/03/11(Sat) 0:09:49

【人】 店員 ミスミ

[かも。カモ。鴨。
鴨は何と啼くのだったか。
鴨が啼かない代わりにレシピが泳ぐ。
ちなみに俺、パクチー>>237爆盛でもいいんですけど一回スープかけて半分火を通してくれたらいいなって思ってます。
沢山食べたいってだけですよ、他意はないです。

ご指名>>233、という遠藤さんの声で改めて鴨の飛ぶ速さで現実に戻ってきたが]

鴨、かも。
カモ…うーん……。

[いくらか唸り倒した後、名指しでオーダーしてくれたその人にちょっと暑苦しい勢いで確認する]

あの、和食お好きですか。
あともう一つついでにお伺いしますが、もちもち食感はどうでしょう。
今めっっちゃめちゃ作りたい鴨料理があるんですけど、それに苦手なものが入っていたら大変なので、食べたくないものと体質的に食べられないものがあればお伺いできると助かります。

[鴨といえばジビエのイメージが強いが、あの鳥は古くから愛されてきた数少ない和食に縁深い食肉でもある。
前回はリゾットをお出しした記憶がある美声のその人>>227に当社比控えめに確認した。
まあ、他者比ちょっと食い気味である点は認めよう*]
(302) 2023/03/11(Sat) 0:22:22
[どんどん自分の心臓と理性を摺りつぶすのが上手くなる彼女に負けないように理性を鍛えるにはどうすれば良いのか。

「やだ」って!!

言われたら勿論、漏れなく僕が握られたゴムのアヒルみたいな声を出すだけです。
君への恋心の大きさ以外は何もかも平均的な平凡な男でも、大好きな子には格好いいと思われたいというささやかな願いはある訳で。
それを言ってしまう時点で格好良さから離れているのは気づかない振り。]

[なにで、って――
言葉にしてしまえばそれこそそれを聞いた彼女の反応で此方が削られ切ってしまうのがわかりきっているので、ぐっと堪えましたとも。

無防備に無自覚に煽っておいて、
いざそれを自覚すると急にもじもじするところとか、
(臨界点越えると少し舌足らずになるの堪んない)

自分が必死に直接ぶつけないように抑えている慾を
向けられそうでも寧ろ嬉しそうなところとか、
(「嫌じゃない」って顔に出てるんだもんなぁ)


それをそもそも風呂上りの乾かしたての髪
(下ろしてるのも似合う。可愛い)

自分のスウェットを上だけ着て
(ちょっとよろけたらうっかり見えてしまうのでは?)

湯上りの肌を真っ赤に染めて
(化粧落とした顔にも惚れ直しちゃう)


脳内で挙げているだけで、血液の流れが偏ってしまいそうなので、深呼吸。]


 僕、結構わかりやすく恋してたと思ってたんだけど、
 マシロちゃんに気づかれないくらい隠せていたんなら、

 こんなにマシロちゃんが欲しくて堪んないって顔、
 ちゃんと君にだけ見せられてるってことだね、

[彼女自身が恋を知らなければ、向けられる感情を受け取る心の器を持っていなければ、どんなに強く想っても零れていくばかりだっただろう。
受け止めてほしいと願いながら視線を向けていたら、彼女が自身の器を手に取ってくれた。
だから今、自分はこうして受け止めてもらえている。

持ってみたら彼女もそろそろわかってきた頃だろう。
注ぐ想いに慾に、器はどんどん重さを増すばかり。

彼女が自分を好いてくれている限り、きっと器は増えていき、
いっぱいになった器は落として壊れてしまう前に、
自分達の「テーブル」を彩るように置いていこう。]

[ 欲しがられるまま。
 脚本を与えられ、演じるように吐く台詞、
 仕草ではない。

 剥き出しの、心ひとつの受け渡しは
 水の跳ねる音と共に行われた。

 瞬き、いくつか分の時を経て、
 もう一度、君の瞳に自分が映る。

 そこに写ったのは、ただ幸せそうに笑う男が一人。

 少し遅れて、やってきた苦味
 癖になってしまいそうな、味がした。 ]

[ これからきっと、積み重なっていく宝物達。
 その二つ目は、すぐに君の宝箱にも入るだろう。 ]

 そう甘やかすと、毎度、ドライブデートになるかも
 しれないよ。

 でもそうだな、連休取れたらいこうか温泉。

[ 一度だけじゃないと君が言う。
 甘えたいタイプ、という割に、そう
 甘やかすような事を言うから。

 新品のヘルメットが、替え時を迎えるくらい
 これから何度も、活躍してもらうとしよう。 ]

[きちんと言葉にしてくれるところ、本当に大好きなんだけれど。
焦らしている自覚があるならこれ以上煽らないで!
と悲鳴のような声を上げつつも、キスだけで止まれた自分はそろそろ表彰されても良いと思う。

寂しげな吐息を食べたら、一晩中
さに苛まれる羽目になった。*]

[ 行き道と同じく、すれ違うライダーに
 挨拶をする、親指を立てられたら、同じように
 返して。

 行きにも眺めた桜を、
 行きとは少し変わった気持ちで、眺めた。

 夏にはあの辺り、確かひまわりが咲く。
 秋には色付いた赤が、あった。

 それも一緒に、見れたら良いとか
 行きには"
きっと
"の遠い夢だったものが
 帰りには"つぎの"という近い現実となる。 ] 

 


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