【人】 厨房担当 ゲイザー― 某日 ― [速崎璥はその日、アパートの自室から、スマートフォン越しに話をしていた。] ……ごめん。飛行機夜の便で取っちゃった。 なるたけお店出ておきたいから、うん。 夜の早退は店長に連絡してきたとこ。 (26) 2023/03/05(Sun) 7:41:47 |
【人】 厨房担当 ゲイザーうん、店長にもさ、お昼だけでもいいし、 残ってる有給使ってもいいとは言われたけど。 ……無理はしないよ、大丈夫、大丈夫。 XXXXインに泊まる。もう取ってる。 そっち着くの大分遅くになるし、 夜中にピンポン待ちとか疲れるでしょ。 ……うん。うん。ちゃんとうちには寄ってく。 じゃ、またね、おかーさん。 (27) 2023/03/05(Sun) 7:48:59 |
【人】 厨房担当 ゲイザー[速崎璥にとって3月とは、自分の誕生月であり。 ついこの前には、「ツユリん」の誕生月>>1:569であるとも知り。 また、自分の今の居場所のひとつである『Madam March Hare』の名にも冠された月であり。 そして、母方の祖父>>1:62の命月でもある。] フォーマルフォーマル、っと。 [実家の母に電話したこの日の前日の出勤時に、御堂には、件の日>>0>>1の通し勤務は夜の途中で早退する旨を伝えている。 速崎は2年前の3月にも忌引で休んだ日があったから、法事の件は御堂も既に予想していたかもしれない。 飛行機の行き先は、実家のある地方の、小さな空港。 到着した夜の次の日に、祖父の三回忌が執り行われる。] (28) 2023/03/05(Sun) 8:26:26 |
厨房担当 ゲイザーは、メモを貼った。 (a7) 2023/03/05(Sun) 8:34:00 |
【人】 厨房担当 ゲイザー― 今日の夜の開店に至るまで ― [今日も午前に『うさぎ』に出勤してきた速崎は、いつもの鞄の他に黒いスーツケースを一つ携えてきた。 いつも通りの調子で出勤しつつも、店長や他のスタッフと顔を合わせた際には、今夜の早退の旨を改めて伝えておく。 着替えの際、ロッカーにスーツケースを入れてみたが、扉が上手く閉まらない。 無理やり閉めれば扉がクラッシュするのが目に見えていたので、スーツケースをしまうのは諦めた。 このスーツケースは後で、バックヤード側のスタッフ通用口の近くに置かれることになるのだが] …………うん?? [ロッカーの底に落ちていた置き手紙>>1:648に気づいたのは、この時だった。 速崎は私服のまま、それが何なのかを、拾い上げて確かめる。] (43) 2023/03/05(Sun) 10:53:22 |
【人】 厨房担当 ゲイザーうん。 ……うん。 [ひとりごちるのは、こんな、相槌めいた声だけ。 置き手紙はいつもの鞄の中に仕舞いこみ。 今日も、いつも通りの白いカッターシャツの袖に腕を通す。] (46) 2023/03/05(Sun) 10:53:54 |
【人】 厨房担当 ゲイザー[大咲もその場にいると判っていながら、店長に試作品の件ではっきりと「否」を告げたこと>>1:647。 その後特にいざこざが起きたりしなかったことの一因に、「既に大咲自身が店長に宣言していたから」というのがあったとは、速崎は知らない。 そしてあの夜、店に帰ってきた神田があの「うさぎ」の写真>>1:600>>1:658を大咲に渡したことも、それが何に繋がった>>1:671のかもまた、知らない。 それでも。] ( 私の、あんな言葉で、 あの子が、完全に折れた訳じゃなかった。 ) ( 準備して、待ってるよ、マシロ。 ) [たとえその「勇気が出た時」が、今日でなかったとしても――] (49) 2023/03/05(Sun) 10:54:10 |
【人】 厨房担当 ゲイザー― 夜営業前:速崎さん、お呼び出しです ― おは―――… 〜〜〜〜?? [これから『うさぎ』裏で素手喧嘩が始まる――なんてことは決してない明るく澄んだ響きで告げられる、にっこにこの大咲からのお呼び出し>>36。 まさに開口一番だった故に――懐かしい呼称が出てきたこともあって――速崎は一瞬戸惑うも、「ツラ貸して」にそのまま従う形でその用件>>37を聞いた。] ……あー、うん。 [ちょっと間の抜けた調子の返事になってしまったのは、お呼び出しの時の勢いとはまるで違う声色で言われたから、というのもあったけれど。 「なんだ、そのことか」、という納得も過ったから。] (54) 2023/03/05(Sun) 11:31:07 |
厨房担当 ゲイザーは、メモを貼った。 (a14) 2023/03/05(Sun) 12:05:45 |
【人】 厨房担当 ゲイザー―――…、うん、そうだね。 作った後悔のほうが、断然いい。 だから、そのもう一回の「最初の一歩」、 マシロの隣でさ、私も、一緒に踏み出すよ。 [大咲が言葉を終えた後、大分間を置いてからになったが、速崎は再び声を返して笑う。 「もうあのことは気にしない」と直接言いこそしなかったが、気にしない、という意からの言葉。] (130) 2023/03/05(Sun) 14:42:33 |
【人】 厨房担当 ゲイザー[さて、その「最初の一歩」の計画>>78を告げるにんまりとした笑みに、穏やかだった速崎の表情に少しばかり高揚が滲む。 はしゃぎすぎないよう、努めて声量は落としながらも] ブッラータ挟んだワッフルクッキーにいちごとか、 美味しくない訳ないじゃん! プラスでコーヒー味のアイスボックスクッキー、 うん、いいと思う。やろやろ! [そうと決まれば早速、オススメ食材からブッラータといちごを、バックヤードから製菓用のコーヒー粉を持ち出して。 大咲と自分の名が記されたブラックボードへの追加メニューを目に留めながら、いざ二種のクッキー制作へ! さて、この二種のクッキーは、葉月からのオーダー内容>>98とも合致することになるのだが、その話はもう少し後にして――。] (131) 2023/03/05(Sun) 14:43:14 |
【人】 厨房担当 ゲイザー[ワッフルクッキー用のバターを常温に戻し、柔らかくしてから砂糖を加えて、ふわっふわに混ぜ合わせて――。 そんな作業を進める合間に、速崎は小声で(調理中なのだから、唾が飛ぶような大声は飛ばせない)呟きを落とす。] あのさ、マシロ。 なんかさ、私もちょっとマシロに救われた。 自分が言ったこと、ちゃんと「正解だった」って 教えて貰えることって、あんまりないから。 (133) 2023/03/05(Sun) 14:43:44 |
【人】 厨房担当 ゲイザー私、もともと「言いすぎる」ところあるんだ。 言いすぎるどころか、言いっぱなし、とか。 それで縁がバッサリ切れたこともあったし…… そういうのは、子供とか学生ならともかく、 社会人としてダメってのは解ってる。 [ふわっふわになったバターホイップに卵を割り入れ、少々のバニラエッセンスを。] そりゃ、マシロの目の前で「商品化向かない」って 言ってからも、マシロが別に私を避けたりとか そういうことしないのは解ってた、けど。 [別のボウルには、ふるいにかけた小麦粉とベーキングパウダーを、それに甘味を引き立てる僅かな塩も。] (136) 2023/03/05(Sun) 14:44:20 |
【人】 厨房担当 ゲイザー自分でもさ、言っていいことと言っちゃいけないこと、 どこで線引きできるか、自信なかったりはするよ。 それでも少なくとも、あの日の私が言ったことは、 マシロの脚を止めちゃったりはしなかった。 逆に、こうやって、前進できてるし。 [「作れない」は「作りたくない」だった>>76のだと、今の速崎は知っている。 何が大咲をそうさせたのかには触れない――少なくとも、今触れる必要なんて、ない。] だから、なんっていうのかな……。 ありがと、マシロ。 うん、今はそれだけで、いっか。 [オーダーのことも、早退時刻のことを鑑みても、またバターの溶け具合の問題でも。 あまり悠長にお喋りして作業をダレさせることはできない、と。 ぽつりぽつりと零した呟きを止め、クッキー制作の続きへと。*] (137) 2023/03/05(Sun) 14:45:05 |
厨房担当 ゲイザーは、メモを貼った。 (a21) 2023/03/05(Sun) 14:50:39 |
【人】 厨房担当 ゲイザー[白磁の皿の外側に散らすベビーリーフは、ロメインレタスに水菜、仄かに苦いルッコラ。緑の中の彩りに、半球状に切った赤いミニトマトも添えて。 それから、予め塩締めしていたサーモンの身をスライスして、皿の中央部に並べていく。 ちょうど、ベビーリーフがサーモンを取り囲む構成だ。 その後で漸く、今日の主役のブッラータをサーモンの上――皿のいちばんの中央に載せる。 こうして盛り付けた具材の上に、岩塩を散らし、黒胡椒を塗し。 さっとオリーブオイルを回し掛けすれば出来上がり ――ではなく、もう少しだけ続きがある。 最後の最後、袋状のブッラータの真ん中にナイフで切り込みを入れれば、切り口から流れ出るのは、濃厚な生クリームとモッツァレラだ。] (157) 2023/03/05(Sun) 16:06:57 |
【人】 厨房担当 ゲイザーハヅキん、お待たせしました〜! こちらブッラータとサーモンのサラダになります。 チーズたっぷり絡めながら、食べちゃってくださいね〜。 [カウンターにサラダの皿>>157を差し出しながら、葉月から一つ分空いた席に着く神田をちらっと見遣る。 オーダー主はあくまで葉月だったが、加熱していないブッラータのサラダを神田とシェアするのなら>>117>>139。] それじゃ、ごゆっくりん。 [そう笑いながらさっとカウンターに差し出すのは、取り皿2枚。 1枚にはクラブが、もう一枚にはダイヤが、皿の縁に細やかに描かれている。*] (170) 2023/03/05(Sun) 16:18:54 |
厨房担当 ゲイザーは、メモを貼った。 (a26) 2023/03/05(Sun) 16:25:46 |
厨房担当 ゲイザーは、メモを貼った。 (a28) 2023/03/05(Sun) 16:29:57 |
【人】 厨房担当 ゲイザー[牛のモモブロックをフライパン上で転がしたり休ませたりしている間に、一つ空いていたと思っていたカウンター席に綺麗に華麗に滑り込みしてきたお客様がいらっしゃったことに気づく>>161>>182。 なおこの調理奔走中、神田さんがすってんころりんしていた>>179ことに速崎は全く気付いていなかった。 幸運に違いない。 ]あ、クリリンいらっしゃいませ〜! ……………ローストビーフ要る? [何故かいきなりこんなことを自分から言い出したのは、丁度それの調理中というのもあった訳だが。 微妙な何か>>183を察したが故のフォローめいた何か、でもあったのかもしれない。*] (184) 2023/03/05(Sun) 16:58:39 |
【人】 厨房担当 ゲイザー[色々と慌ただしい中でも、ローストビーフの準備は進んでいく。 余分な脂のない綺麗な赤身の牛の、モモ肉のブロック。 塩を振った状態で冷蔵庫に入れていたそれは、ローストビーフの需要を見越して、少し前から常温に戻している。 調理を始める頃には、火がちゃんと均等に通る程度の状態に。 水気を切ったブロックを、薄く油を引いたフライパンで弱火に。表面を思いっきり焼き上げるのではなく、あくまで優しく、やさしく。 ブロックを転がして底面を変えては、じっくりと加熱して、また転がして、加熱して――全体の色が変わったところで取り出し、コンロの近くで暫くお休み。 火にかけていない間も、余熱がじんわりとブロックの中に。 やがてこのモモブロックは、予熱していたオーブンへと移される。また火を入れ、取り出して、金串で火の通り具合を見て――。 「オーケー」と胸の内呟いてから、暫く粗熱を取るために置いておく。 ……もう少し早い時間に仕込みをしておけば良かったか、と思いながらも、作業の無い待ち時間は、ローストビーフ用のソースや二種のクッキーの為に。] (199) 2023/03/05(Sun) 17:25:33 |
【人】 厨房担当 ゲイザーっと、シャミーおかえり〜。 [フードを脱いで声を掛けてきた遠藤>>194の身に、出勤の間に一大事あったことを知らない。それで表から共に来た栗栖に支えられてきたのだ、ともまた気づかないまま。 ローストビーフの語をここで遠藤から聞けば、まるでいつかの賑やかで豪華な賄いタイムのことまでつい思い出されてしまった、けれども。 ジェスチャーの後に小声で頼まれたことに、意識ははっと現に戻る。] オーケー。 こっち任せて、ゆっくり支度してきて。 [遠藤に合わせた小声でささやき、うんと頷いてから、意識はカプレーゼ用のトマトへと。 この時、ローストビーフはただいま休ませ中。] (209) 2023/03/05(Sun) 17:40:38 |
【人】 厨房担当 ゲイザー[ホール内でのあれやこれやの騒動の中で、それは完成する。 粗熱を取った後にスライスされたローストビーフ>>199は、装飾の無い白皿に扇上に並べられる。 その赤色の鮮やかさは、店長の見立て通りの肉質の良さを確かに示すもの。 付け合わせとして、新玉ねぎの千切りの白色と、サラダ用のほうれん草の緑色を。 ローリエで風味をつけバターを加えた赤ワインソースが、皿をさっと一回りする形でかけられている。] お待たせしました〜。 こちらローストビーフに、これまた本日のオススメ、 新玉ねぎとほうれん草を添えてお出ししちゃいます。 ハヅキんのはこちらに、クリリンのはこっちに。 [カウンターの上、それぞれに皿を差し出して。] (231) 2023/03/05(Sun) 18:19:32 |
【人】 厨房担当 ゲイザーローストビーフはまだまだあるから、 欲しいお客様いらっしゃったら、 すぐにお出ししちゃいますぜい! [遠藤の取り分をひとまず冷蔵庫に置いているが、それを差し引いてもまだ余裕はある。] (232) 2023/03/05(Sun) 18:20:15 |
【人】 厨房担当 ゲイザー[―――こつ、こつ、こつ。 少し早いタイミングだが、オーダーのあった葉月の分のクッキーはここで焼き上げてしまう。 先程サラダでブッラータを出したので、クッキーはアイスボックスクッキーの方を選ぶ。] (248) 2023/03/05(Sun) 18:59:24 |
【人】 厨房担当 ゲイザー[プレーンの淡色の生地と、コーヒー粉を混ぜ込んだ濃色の生地で、市松模様に整形する。周りにも薄くコーヒー色の生地を巻き、丁度四角を縁取る形に。 それを少し分厚めに切り、オーブンで焼き上げる。 粗熱を取ってから、焼いたうちの数枚を小皿に盛り付ける。 白い小皿に描かれているのは、チェスの駒のポーンを描いた黒色のシルエット。 チェス盤めいたクッキーを彩る味は、白い生地の香ばしい甘さと、黒い生地のほろ苦さ。] はーい、ハヅキん、お待たせしましたー! こちら本日の、サキサキコンビの特別メニュー、 二種のクッキーのうちのアイスボックス編でーす! ちょーーーーっとまだ早いかもしれないけれど、 冷めても全然美味しいやつだから、 急がず慌てず、食べちゃってくださいねん。 [実際、この時がどの辺りのタイミングであったかは分からないが、兎も角。 速崎は屈託ない笑みを満面に広げて、最後のオーダーの品をカウンターに出す。] (249) 2023/03/05(Sun) 19:00:05 |
【人】 厨房担当 ゲイザー[肉の信望者――もとい、肉がご馳走だった>>0:288>>0:289肉好きの、栗栖からのストレートな感想に振り向く。 多くない語彙とサムズアップと、涙滲んで見えるかのようなその面持ち>>241>>242が、確かな幸福を伝えてくれる。] うん、やっぱり、嬉しいなー。 クリリン、ちゃんと夢叶って、 貧乏で可哀想な思いしなくて済んでるなって――…。 [魚のパイを食べてくれたあの日>>0:290には、速崎はあまり多くの言葉は返せないままでいたのだけれど>>0:339。 この時、時間に追われる「うさぎ」の内心の焦りの所為で、つい正直な言葉が漏れた。 この店の賑わいの中、当人にも他の客にも、どの程度聞き拾われるかは知れなかったが――。] (254) 2023/03/05(Sun) 19:19:45 |
【人】 厨房担当 ゲイザー――――…すみませ、 わたし、ちょっと、ここで帰る、 帰ります。 [この時、早退の時刻だったのは事実。 電車一本乗り過ごせば空港で眠る羽目になる過密スケジュール。 パニックを起こした速崎はそのまま、わき目も振らずにバックヤードへと駆けていく。*] (257) 2023/03/05(Sun) 19:20:35 |
厨房担当 ゲイザーは、メモを貼った。 (a32) 2023/03/05(Sun) 19:33:57 |
厨房担当 ゲイザーは、メモを貼った。 (a33) 2023/03/05(Sun) 19:35:39 |
【人】 厨房担当 ゲイザー― 夜の駅への道すがら ― [3月の夜に冬の厳しさはもう無くとも、それでも結局は3月。 フード付きのパーカーもジャンパーも未だ現役な程に冷え込む夜道を駆ける速崎は、白のカッターシャツの上にはジレ以外何も羽織っていない。 薄手の長袖越しに寒気が肌を刺す――寒さの感覚も鈍麻したまま、駅を目指す。] ( いけない、いけない、遅く なっちゃう ) [自分の声色で脳内にストリーミング再生される、時計ウサギの焦り声。 徒歩5分の筈の目的地を異様に遠く感じたのは、街の喧騒に面した表口ならぬ裏口から飛び出したためか。 裏通りから表通りに出て程ないところで――はたと速崎の脚が止まった。] (468) 2023/03/06(Mon) 9:23:51 |
【人】 厨房担当 ゲイザー( あれ、 何か、言ってた、っけ ) [速崎がカウンターからバックヤードに駆け込んだ時、栗栖の呼び掛け>>264には振り向かなかった。 まるであたかも、何も話を聞いていないかのように。 それこそ、「もう用は無い」と誰かさんを置いて帰った、高校時代のあの日>>1:432のように。 実際、店を出るまでの間の記憶は、気が動転していた速崎の頭からはぶっ飛んでいた――この時までは。] ( ……そうだ クリ 、ス ……さん ) [当時の速崎の頭では、すぐに自分の周りの物事を処理できなかっただけで。 背中越しに掛けられた栗栖の声は、言葉は――必死さは、ちゃんと届いていた。] (469) 2023/03/06(Mon) 9:24:08 |
【人】 厨房担当 ゲイザー( だいじょうぶ、だって だいじょうぶ、 だって よかった ………ううん、全然、良くない よくない ) [相手の言葉に耳をまるで貸さない態で、背を向けて立ち去ったことに変わりはなく。 そして、今はもう、ここで店に引き返すだけの時間の猶予などないのだから。 意味もなく足が竦んで、訳も分からずに、涙が滲む。] ( …………泣いてる。私。 ) (470) 2023/03/06(Mon) 9:24:40 |
【人】 厨房担当 ゲイザー[先ほどのパニックが衝動的な行動を引き起こしたものなれば、今のパニックは逆に、身体を硬直させるもの。 荷物も置いて店を飛び出した葉月が速崎の背中に追いついた>>274のは、丁度そんな時だった。 喧騒の波がふっと凪ぎ、通りの人が疎らになった瞬間に。 再び背中越しに、今度は葉月の声>>275>>276を聞く。 混乱の所為で――涙の自覚もあって、速崎は通りに立ち尽くしたまま、振り返ることができなかった、けれど。] ……………、うれし、かったの、かなあ。 [弱弱しい、頼りない声での呟きが、ぽろっと口から零れる。 『うさぎ』のオープンキッチンではまず零すことのない涙声だった。] (471) 2023/03/06(Mon) 9:25:24 |
【人】 厨房担当 ゲイザー[いつか聞かせた「テンちゃん」の昔話。 もうニガさも苦しさも摩耗して消えてしまったと思っていた思い出の中の、その人のことを。 昔話の外にいる葉月なりに、それでも、自分の身に置き換えながら伝えてくれた予想と思い。] わかん、ない、や。 わかんない、けど。 (472) 2023/03/06(Mon) 9:25:44 |
【人】 厨房担当 ゲイザーありがと、ハヅキ ……さん。 少なくとも、俺は、って、教えてくれて。 それに、心配、してくれて。 [引き止めてごめん、と言ったその人に、振り返りはできないまま、それでも伝える。 混乱で過熱していた頭を冷やしたのは、追いかけてでも葉月が真正面から(速崎には顔は見えないが)届けてくれた言葉。そして、「お店で待ってる」と伝えてくれたこと。] 今日は、もう、行かなきゃ。 でも、お店、また、戻ってくるから。 [涙滲んだままなりになんとか笑えた口元は、互いに背を向けた状態では葉月に見えはしないだろう。 それでも「戻ってくるから」の語には、努めて声に力を籠めた。はっきりと伝わるように。 こうして速崎は、再び一歩踏み出して――駆けていく。] (473) 2023/03/06(Mon) 9:26:32 |
【人】 厨房担当 ゲイザー[実際のところ、栗栖や葉月の他にも、飛び出していく速崎の背に向けられた声はあったのだが――。 それを速崎が思い出すのは、電車に飛び乗ってからもう少しだけ後の話。 なお、スタッフや客に予め知らせておいた早退時刻は、制服から私服への着替えの時間も勘案して伝えたもの。 その着替えの時間を結果的に短縮したお陰で、ここで一時立ち止まってもなお、「オレンジのうさぎ」のままの速崎が電車を乗り過ごすことはなかった。 ……派手なサイバーマフの変なウェイターがいる、などと乗客からは思われていたかもしれないが。**] (474) 2023/03/06(Mon) 9:28:43 |
厨房担当 ゲイザーは、メモを貼った。 (a65) 2023/03/06(Mon) 9:32:44 |
【人】 厨房担当 ゲイザー[速崎が口にした自分の誕生日の話題に、今度は栗花落のほうからお祝いの言葉が返ってきた。 確かにまだ少し早いその言葉に瞬くも、それでも嬉しくなったことに変わりはなかった。] へっへへ〜ありがとうございます〜! 私は誕生日、31日ですねー。 ギリギリだけど3月仲間ってことで、どうかひとつ〜。 [同月故に、近いといえば近いが、やや離れているといえば離れているともいえたかもしれない日付。だがその辺りは深く気にしない速崎だった。 「私の誕生日には是非お店に来てください」という営業までは流石にしなかったが、誕生日当日にせよ前後する日にせよ『うさぎ』で祝って貰える分にはやはり嬉しく思う。そんな、学校の春休み時期生まれの速崎だった。 なお、この3/31の日付は後に、魅惑の賄いパーティーナイトで誕生日の件が話題に上がった際>>34>>84>>107>>116に店の面々に告げることになる。] (514) 2023/03/06(Mon) 15:20:59 |
【人】 厨房担当 ゲイザー[その後速崎がひとりごちた、アニメの『ラスト・サタデー』。 「知ってるの?」と栗花落に問われた時、独り言を聞かれてしまったことに軽くばつの悪さが過りながらも、すぐさまにうんと頷いた。] 配信のほうでなんですけど、見てたんですよ〜。 地上波放送に合わせて第一話配信されてて、 ループものかーって思って見てみたら面白くって、 そのまま最後までハラハラしながら見ちゃいました。 時々入ってくるコメディ部分もなかなか良かったですね……。 [ドラマやアニメ・映画等の定額制配信サイトで現在も試聴できるこの作品は、今でも「人気の作品」一覧によく浮上してくるタイトルだ。 放送当時のみならず現在に至るまでファンがSNS等で作品を盛り上げていること(そして『有栖川春人』のファンコミュニティも存在すること)は、SNSをほとんどやっておらず見てもいない速崎の知るところではなかったが。 そんな、自分もハマった人気作と「そっくりだね」と笑われてしまった時>>1:570は、軽いばつの悪さと苦笑が顔に浮かんだだけで済んだ、けれど。] (515) 2023/03/06(Mon) 15:29:04 |
【人】 厨房担当 ゲイザー[この場で栗花落が紡いだ台詞は、その声色や抑揚や息遣いまで含めて、まさにあの『有栖川春人』だった――。 イヤーマフ越しの速崎の耳に、はっきりと、そう捉えられた。] ツユリん、 [顔は苦笑い気味の笑みの形のまま、驚きで大きく目を見開いた。 ものすごく間の抜けた声であだ名を紡いだ後――ひとまず平常を取り戻して、笑顔で言葉を続ける。] 上手いですね〜春人の台詞! ループで繰り返しこの場面出てくるたびに せつねぇ〜ってなりますけど…… いいですよねん、このシーン。 声の響かせ方とか〜普通に声自体もー。 [至って他愛ない調子で続ける感想には。さらっと声優本人に対しての感想も混じったが、話し口はあくまで自然体で。 ブラウニーを渡した主人公が春人に返した(各ループ毎の)台詞を、この場で素人演技で返してみる程の度胸は、流石の速崎にも無かった。] (516) 2023/03/06(Mon) 15:31:00 |
【人】 厨房担当 ゲイザーそれじゃ、ごゆっくり〜。 [表情はあくまでいつも通りのゲイザーの笑顔で、内心も努めて平静を保って。 こうして速崎は、何事もなかったかのような態度で、この日の閉店までの業務に就いたのだった。 なお、この日眼鏡で勤務していた瑞野に対し栗花落が浮かべていた顔>>1:565を、速崎は見落としている。 後日、速崎が定額制動画配信サイト>>1:79のマイリストから『ラスト・サタデー』を再生し、クレジットを確認したところ。 主人公の親友としてキャスト一覧の上位に挙げられていた『有栖川春人』には、「セロ」という名前がしっかりと記載されていた。*] (518) 2023/03/06(Mon) 15:36:47 |
【人】 厨房担当 ゲイザー― 今夜、経由駅にて ― [その「セロ」――栗花落セロの姿を、速崎は今日の営業で目にしていない。 それもその筈。速崎がバックヤードに駆けていった丁度その時に、栗花落が『うさぎ』の扉を開けたのだから>>269。 帰ると告げたきり何も言わずに飛び出した、その背中に向けられた眼差しに速崎は気付いていない。] ( セロ、 ツユリ、さんは、 ……いなかった、よね ) [扉の方からの「こんばんは」の一言は、他の面々が掛けた声やいつもの店内のBGM>>2:310に紛れる形で霞み、速崎の頭では思い出せない。 思い出せないなりに、その声色の印象が記憶の中に落ちる。 そんな、イヤーマフを付けたウェイター姿の乗客はひとり、空港に向かう路線に乗り換える。**] (519) 2023/03/06(Mon) 15:37:59 |
厨房担当 ゲイザーは、メモを貼った。 (a69) 2023/03/06(Mon) 15:55:01 |
厨房担当 ゲイザーは、メモを貼った。 (a71) 2023/03/06(Mon) 19:24:30 |
【人】 厨房担当 ゲイザー― 今夜、空港にて ― [電車を乗り継いで辿り着いた先、国内線の出発ロビーで思い返す。 『うさぎ』のロッカーに置いてきた右前のピーコートの代わりに、フォーマルの黒のジャケットを羽織って。 そのジャケットと入れ替えるように、オレンジのイヤーマフをスーツケースに押し込んで。] ( チエ、 ) [最後まで言い切れないまま、呼びかける声があった>>349。 その人のいつも通りの、「ケイちゃん」と呼ぼうとしている声だった。] ( シャミー、 ) [やはり、途中で霞んでしまったような呼び声もあった>>273 それはいつもの「ゲイザー」ではない、けい、の名を呼ぶ声だった。] (554) 2023/03/06(Mon) 20:06:54 |
【人】 厨房担当 ゲイザー[あの時場を同じくしていた誰もが、速崎が起こしたこの騒動に気づいていたか否か、それは速崎には分からない。 同じキッチンにいた瑞野なら、流石にこの退出には気付いただろうと思えども。 何か呼び掛けるような声が聞こえたわけではない>>309。 はっきりとした記憶には残らなかった栗花落の挨拶と同様に、貝沢の声>>283はほとんど聞こえていない。 神田に何か言われたような記憶もない>>372。 それでも、なんとなく覚えてはいるのだ。 ふたり分の手で手掛けたクッキーを楽しみにしてくれた「カッチ」の声があり>>267、 作り手ですら綴れない程の細やかな言葉で綴られる「カンちゃん」の評があったのだ>>334、と。 バックヤードで御堂とすれ違った記憶は未だ飛んだままだったが、記憶が飛んでいるなりに、想像はできる。 申告済みの早退なれど、その帰り方がこんな有様では。 間違いなく、ヘルプ出動以上の心配をかけさせていると>>419。] (555) 2023/03/06(Mon) 20:07:06 |
【人】 厨房担当 ゲイザー[速崎は客に対してのみならず、スタッフの素性に対してもあまり深入りしてこなかった節がある。 履歴書を覗き込みでもすれば>>0:307判ることもあろうが、そういうことも、自分からはあまりしてこなかった。 だからあの場で、自分が栗栖に零した言葉で、他に傷つけてしまった人がいたかもしれない。 そこまで速崎の思考と想像力が回るようになったのは、飛行機を待つロビーで身を落ち着けられたその時になってから。 それでも、「なんで」の後に何の言葉が続けられようとしていたのか、そこまでの想像は速崎にはできなかった。 できなかったなりに、やっと一歩進めたのに二歩後ろに戻されたような、そんな余韻ばかりが残る。] (561) 2023/03/06(Mon) 20:07:44 |
【人】 厨房担当 ゲイザー[ロビー内にアナウンスが響く中、速崎はスマートフォンでショートメッセージを送信する。 宛先は、御堂宛ての電話番号。] 『心配おかけしてると思います。ごめんなさい。 明後日にはうさぎに戻ります。必ず、戻ってきます。 速崎』 [搭乗に追われる形で急いで送ったメッセージは拙い文章だったけれども、早くに伝わるならそれに越したことはないと。] (562) 2023/03/06(Mon) 20:08:00 |
【人】 厨房担当 ゲイザー( みんなに、心配かけさせてる。 ハヅキ、さんだって、待ってるって言ってくれた。 それに、戻らなきゃ、 クリス、さんにも、マシロ、にも、謝れない。 ) [こうして速崎璥は、飛行機で星空の下を飛んでいく。] (563) 2023/03/06(Mon) 20:09:44 |
【人】 厨房担当 ゲイザー[ 「ゲイザーの誕生日」のメニューの話まで出て来て あれだけ盛り上がった、いつかの賄いの夜の騒がしさは、 夜の最終便の機内の静寂の中、どこか、遠い。 **] (565) 2023/03/06(Mon) 20:13:12 |
厨房担当 ゲイザーは、メモを貼った。 (a74) 2023/03/06(Mon) 20:17:48 |
(a75) 2023/03/06(Mon) 20:17:59 |
[|<] [<<] [<] [1] [2] ... [>] [>>] [>|]
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新