人狼物語 三日月国


185 【半突発R-18】La Costa in inverno【飛び入り募集】

情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:


シュゼット9人が投票した。

シュゼットは村人の手により処刑された。

月が姿を変え、新たな一日が始まった。村人は集まり、互いの姿を確認する。
犠牲者はいないようだ。殺戮の手は及ばなかったのだろうか?

優しい光が村人たちの姿を映し出す……。人狼に怯える日々は去ったのだ!

村の更新日が延長されました。

村の更新日が延長されました。

【人】 大富豪 シメオン

後日譚エピローグ

[深い井戸の底のよう場所で意識が揺蕩っている。
意識があるということはまだ生きているということだろうか、それともすでに事切れていて魂だけになったのか。

そうだとしても後悔はない。

女との競演は人生で最高の時間だったと言える。
死線を潜り抜け、勇者と称されるようになったときよりも、ずっと。
あれほど満たされた時間は他にない。

ならば、もう………いいではないか。

約束通りそして文字通りこの命をに捧げた。
仮にあと10年掛けても届かぬ筈の『美』に指先が触れられた。

もう、思い残すことなど─── ]
(0) 2022/11/28(Mon) 11:56:05

【人】 大富豪 シメオン

[ゆっくりと浮かび上がる感覚。
意識が浮上しようとしているのか。
死を受け入れたつもりになってはいたのだが、どうやら死に損なったらしい。

目を覚ませばそこは見慣れた部屋。
日当たりのいい窓辺から差し込む陽光は柔らかく、換気のためだろうか、窓は少しだけ開けられていて涼やかな風が心地良い。

そっと手を伸ばす。
出来得るならば、柔らかで淡い髪色のそれを手に掬う。]


 イルム……


[彼女はそこに居た。
眠っているのか、それとも佇んでいるのか。
どちらにせよ、ただそこに居るだけで、その姿がとても美しいと感じられた。]
(1) 2022/11/28(Mon) 11:57:18

【人】 大富豪 シメオン

[──無いはずだった。
『美』を愛し、『美』を求め、そして辿り着いたのだから、思い残すことなどある筈も無かったのに。

足りないのだと疼く。
もっと欲しいと、もっとお前が欲しいと欲が飢える。
お前を求めて止まない。

命までも捧げたつもりで、それでもまだ渇望していた。
お前という『美』がもっと欲しい。]


 ……強欲なのは私も同じだな。


[そんなことはとっくに理解っていた筈だった。
だからこそ互いに惹かれ合ったのだから。*]
(2) 2022/11/28(Mon) 11:58:35

【人】 奏者 イルムヒルト

― 後日譚エピローグ ―

[寝台で眠る壮年の男を、女は見ていた。
時折サイドテーブルに置かれたハンカチで汗を拭き
時に柔らかな小夜曲をリュートで奏で

あの美の競演から数日
かの人は未だ目覚めない。

刃の美、音の美。美へ飽くなき欲を持つ者同士の交わりは
互いの美を喰らいあい、昇華しあった夢のような時間。
あれ程に昂り、鮮やかで、満たされる時間を
過ごせた幸運を噛みしめ。

持病があるのだろうか、或いは。
満足そうな顔をし、体調を崩し未だ眠る男もまた
そうであったのだろうか。満足する時間を――……]

……まだ、ですわ。
  
目を覚まして

  まだ、満足してませんの。
  
ただ、一緒にいたいのです



[もしも美の女神がいるのなら。1つ願いが叶うなら願うのは。]
(3) 2022/11/28(Mon) 19:47:08

【人】 奏者 イルムヒルト

[幾夜、付き添い看病をしていたからか。
貴方の寝台に上半身を突っ伏して
転寝をしかけていた己の意識を浮上させたのは、

名を呼ぶ声と、髪に触る指の感触で。]

 ――……シメオン、さま。

[思わず縋るように、
抱きしめることは許してもらえるでしょうか。

視界が潤むままに、
おはようございます。
と囁く私の声はきっと
震えながらも、嬉しそうな音で。

――まだあなたから、すべての美を頂いていません。
これからのあなたの、美しい生き様を。

だから、強欲な私はまだまだ満ち足りませんの。
貴方もそうであると聞けたなら。
眦に溜まった雫が一筋、頬を流れたことでしょう。*]
(4) 2022/11/28(Mon) 19:47:49

【人】 踊子 リリー

 

  ──そうね、貴方が望んでくれる限りは。


[ 求められなくなる、その日まで。>>2:117
  金糸雀が歌い続けるのと同じように、
  女も彼のために踊り続ける。

  ゆるやかに重ねられた唇を受け入れて、
  戯れのような口付けではなく
  互いの舌を絡ませ合う深い口付け。
  ──背筋に奔る甘い痺れがどうにも慣れなくて、
  自然と瞳に涙が滲み、溶けていく。 ]


  ……っふ、 ぅ…?


[ ぼんやりと靄がかったような頭では
  彼の紡いだ言葉を、即座に理解することは出来ずに。
  けれど半ば無意識で、命じられる儘に頷いた。 ]
 
(5) 2022/11/28(Mon) 20:01:37

【人】 大富豪 シメオン

[未だ意識がぼんやりとしていたからだろうか、不意を突くようにし抱きしめられていた。柔らかな髪がふわりと舞う。

震える声。
潤んだ瞳。
強く抱かれる。

なんて強欲な女。
命を懸けて見せたというのに、まだそれでも足りないというのか。
もっとと私を求めるのか。

男は目を細めそっと髪を撫でつける。]
(6) 2022/11/28(Mon) 21:42:59

【人】 大富豪 シメオン

[満ち足りぬのは己も同じ。

歳も違う。
扱うものも剣と弦。
男と女、生まれも、境遇も違う。

同じところを探すのが困難なほどに違うというのに。

それだけまるで鏡写しの様。
その渇望、互いを求め合う、その強欲。

ぴたりと寄り添うように嵌まり込む。]
(7) 2022/11/28(Mon) 21:44:16

【人】 大富豪 シメオン

[だから───]



 もう泣くな、私はここにいる。



[この美しい女の名を今一度呼ぼう。]
(8) 2022/11/28(Mon) 21:44:38

【人】 奏者 イルムヒルト

[足りません。まだまだ、足りないのです。

命だけでなく、未来も。あなたのすべて。
頂くまでは足りません。

貴方だって、足りないでしょう。
私の時間を未だ、全て渡せていない。
まだ喰らう物は、残っているのです。

――強欲愛しいな貴方。]


 ……寝坊、なんて。
   よくお休みになっておられたから。


   寂しかったわ?


[生まれも、境遇も。歩んだ道程も、性別さえ
違う私達の共通点が。

私達の魂を屈み映しにしたかのように
あなたでないとだめなのだと、訴える。]
(9) 2022/11/28(Mon) 21:57:22

【人】 奏者 イルムヒルト

 だって、だって。

[溢れる雫が子供のように、止まらないわ。
――寂しさじゃなく、嬉しさで。

その感情の名前を、今迄抱いたことがなかったそれを
――名付けたのは果たして、何方が先なのでしょう]
(10) 2022/11/28(Mon) 21:57:34

【人】 大富豪 シメオン

[男にとって女は喰らうべき『美』であった。
そらは己が『美』を磨くために必要なピースの一片。

男にとって女は貪る『美』であった。
欲望の熱が求めるままに犯しつくすための獲物。

男にとって女は『美』の弟子であった。
己が美にかける情念、そして執念のその後継者。

男にとって女は『美』の娘であった。
この手で育み、花開かせた宝のような存在。]
(11) 2022/11/28(Mon) 22:54:01

【人】 大富豪 シメオン

[だが、男にとってはただ一人の愛する女だった。

女は誰よりも男を理解し、男は誰よりも女を理解していた。
その生き方も美への想いも、お互いを喰らい合いながら、理解し、求め合い、いつしかお互いでなければならないほどに───]
(12) 2022/11/28(Mon) 22:54:15

【人】 大富豪 シメオン

[それは遠くない未来。
いつか先に逝くことになるだろう。
それは人の身であれば避けられない未来。
だけど今は未だ、女の側に居たいと願ってしまった。]


 私はここにいる、お前の元にな。


[溢れて零れる雫を拭いとりながら、男は女の頬をそっと撫でる。
全てを、お前が私の全てを喰らい尽くすまで、きっと私はお前の側に居るだろう。]


 イルム……


[男は女の顎に手を掛けるとこちらを向かせる。]
(13) 2022/11/28(Mon) 22:56:23

【人】 大富豪 シメオン

[それは誓いを求めるように。
そして、まるで女にその覚悟を問うように。*]
 
 
(14) 2022/11/28(Mon) 22:58:56

【人】 奏者 イルムヒルト

[貴方に、飢餓を自覚させられた。
私の音。飽くなき美への渇望を。

貴方に、美を見た。
その鮮烈な、ただひとつを極める道を歩む崇高さ。

貴方に、花開かれた。
女であることを、身をもって知った。

女は、そして限りない欲を男へ向ける。
心のまま求めたのは、貴方だけ。

その心の名は。]
(15) 2022/11/28(Mon) 23:06:11

【人】 奏者 イルムヒルト

[その心が生まれたのも、育まれたのも、
貴方であったこそだった。


喰らいながら喰らわれて。
それに歓びを見出だしたのは、
自分の美を磨かれるだけではなく。

貴方に見つめられ、触れられるからでもあったのだと。

頬を撫でる手に、自覚する。

何時か貴方は私のもとを去るのは理解している。
年の差は、神様でさえどうしようもない。
でも、貴方の残りの人生ごと

私は、ほしい。]
(16) 2022/11/28(Mon) 23:06:51

【人】 奏者 イルムヒルト

……いて、ください。
ずっと。傍に。


貴方のいない夜を、貴方の目覚めぬ夜を
遠くにしてください。


…… 、から。
(17) 2022/11/28(Mon) 23:08:16

【人】 影街の魔女 ブランシュ

ー2日目夜 ヴンダーカマーー

魔女は、人間となった彼の思い出と思うところ>>2:113を黙って、しかし興味深そうに聞いていた。
何があったかは、深く話されなければわかりはしないけれど。
まあ、彼にだけわかることもあるだろう。

「お礼ねえ……
あまり気にすることないんじゃないかと思うけど。
人間、出会った相手のことなんてそう一々ずたとは覚えてないものよ。

特にこの街の人間は、美しいものを追い求めるのに夢中だし、それぞれ大切なものもあるんだから。

でも、心の底にあなたとの思い出は残るだろうし、何かの拍子に思い出すこともあるかもだけど。

……ま、いいわ。私としては、満足してしっかり報酬が貰えればなんでも。
寿命もらってもいいわけね?」

もう一度ユスターシュに向かって>>2:116問いかけ、
(18) 2022/11/28(Mon) 23:08:26

【人】 影街の魔女 ブランシュ

「うん。確かに対価の分の寿命はいただいたわ。
良い取引ができました。

私の方はこれでおしまい。
残りの寿命はあなたのもの。
数日か、数週間か…あるいは一日あるかどうか。
あなたの生命と気持ち次第といったところかしら。

何がしたいのかは知らないけれど。
まあ、やり残しがあるなら急ぐものから済ませておくことね。」

魔女は簡潔にそう伝えた*
(19) 2022/11/28(Mon) 23:10:12

【人】 奏者 イルムヒルト

[顎を持つ指に、己の手を添えたなら
そのまま顔を寄せ、唇触れ合わそうと

私の、方から。*]
(20) 2022/11/28(Mon) 23:10:19

【人】 大富豪 シメオン

[近づく唇を避ける訳もない。
迎えて、重なる唇と唇。

あと幾度、こうして口付けを交わすことができるだろうか。
あと幾度、女の『美』を堪能できるだろうか。

いつまでもこうして、お前の欲を満たし続けていたい。
いつか終わりが来るその時まで。

だから覚悟を問うた。
それは己が覚悟を決めるため。
お互いが鏡合わせであるのだから。

終わりの、その次を始めるために。]
(21) 2022/11/28(Mon) 23:38:12

【人】 人造生物 ユスターシュ

――回想/此処に来るまで――

[生まれたときの最初の記憶は、冷たい石の床の上。
床の上の僕を取り囲むように描かれた赤い模様と、薄暗い蝋燭の灯。

そして、赤い模様の向こう側に見える背の高い男の人の姿。
その姿を一目見たときに思った。
ああ、このひとが、僕の主様なのだと。

あるじさま、と。
不安定な身体を蠢かせながらそう呼ぼうとしたとき。]


「―――…失敗作、か」


[彼の口から吐き捨てられたのは、
思わず身を竦ませるような、そんな冷たい声だった。

その声につられて視線を上げたとき、幾つかの目が
彼の二つの双眸と合ったように思う。

…あのとき、僕を見た主様は、
いったいどんな気持ちだったのだろう。

己の命を、己の魂を、己の人生の全てを賭して
産み出したはずの存在が、己の望みから遠くかけ離れた、
何一つ『美』など持たない存在だと知ったとき。

きっと、僕は主様を心底絶望させてしまったのだと思う。]
(22) 2022/11/28(Mon) 23:46:46

【人】 人造生物 ユスターシュ

[冷たい眼差しのまま、此方に背を向けて此の場を去ろうとする彼を追いかけようとしたところで。
部屋の外…否、建物の外から罵声と怒号が響いた。
同時に、遠くから響く大きな衝撃音。

何が起こっているのかわからないまま、部屋の外へ駆け出す主様を追いかけようとしたけれど、上手く動けなくて。
物陰に隠れながら、建物の中に入ってきた人たちをどうにかやり過ごした。

訳が分からなかった。
ただ屋敷に入ってきた人たちの殺気が恐ろしくて、怖くて。
必死になって主様を探していたそのときだった。

―――廊下の奥、開かれた扉のその向こうで、
主様が、知らない男に剣で胸を貫かれるところを見たのは。

どうして、この人たちは主様に敵意を向けるのか。
どうして、あの人は主様の命を奪ったのか。
何もわからなくて、ただ怖くて、そして悲しかった。]
(23) 2022/11/28(Mon) 23:48:18

【人】 人造生物 ユスターシュ

[そうしているあいだに、主様を襲った別の誰かが建物に火を放ったのだろう。
赤い焔と煙はどんどんと、僕らがいた建物を覆っていって、
何もわからないまま、僕は建物を出ると人間たちの目を掻い潜って森の中に潜んだ。


屋敷を焼き尽した炎が漸く消えたのは、それから夜が明けた頃。

焼け焦げた残骸の外に、其処にあるものは何もなかった。
そのはず、だったけれど。

…僕が其れを見つけたのは、本当に偶然だった。
瓦礫に埋もれた地下への入口。
狭い石造りの階段を這って下りた先にあったのは、屋敷にあった其れとは別の、書斎めいた部屋だった。

其処は、主様の『思い出』が遺された部屋。
魔法や錬金術に関する研究ノートや、彼の日々の記録が綴られた日記。
これだけでも恐らく一財産になるだろうそれを見つけてからはそれを読み解くことが、僕の生きる目標になった。]
(24) 2022/11/28(Mon) 23:49:38

【人】 人造生物 ユスターシュ

[とはいっても、生まれたばかりの僕は字が読めなかったから。
闇に紛れて森の向こうの人間たちの村にこっそり忍び込んでは人間の言葉や習慣を学んだ。

村の教会で、神父様が子供たちに読み書きを教えているのを屋根裏から覗いたり。
子供たちが遊んでいるのを遠くから眺めたり。
羊飼いやお百姓たち、パン屋に仕立て屋。
森で見かけた、仲睦まじい、若い恋人たち。

きっと、人間たちにとっては何気ない日常だろうその光景は、僕にとっては遠いもの。
だけど、いつしかそれらの景色は、僕にとってどうしようもなく眩しいものになっていた。]
(25) 2022/11/28(Mon) 23:52:20

【人】 人造生物 ユスターシュ

[読み解きのほうも進んでいた。
主様の人となり、過去に何があって、誰を憎んで、そして僕を造るに至ったかを知った。

「全てを滅ぼせ」と主様は願った。
そしてその望みに足らないだろう僕は、あの人にとって失敗作だった。

実際、僕は失敗作だと思う。
僕は、自分の知ってる人間たちを…村の彼らを滅ぼしたくなかった。

たとえ主様を殺した人たちだとわかっていたって
僕は、村の穏やかな風景と、其処に暮らす人たちが好きだった。
たとえその人たちに自分が「化け物」と呼ばれても、仕方ないと思っていた。

だって、僕の姿は何もかもが人間とかけ離れている。
主様だって一目見て失敗作だと断じるくらい、僕は人間からは程遠い生き物。
好きになってもらえなくても
傍にいられなくても
仕方ない。

―――でも、主様のことは可哀想だった。

最愛の人も、親友も、名誉も何もかもを失くして
失意の末に造り出した存在にさえ、裏切られたら、
…それはどんなに、悲しくて苦しくて、辛いことだろう。]
(26) 2022/11/28(Mon) 23:55:24

【人】 人造生物 ユスターシュ

[主様の願いを叶えてあげたい気持ちと、
村人たちの穏やかで平和な日々を望む気持ちと。
そんな気持ちの板挟みになりながら過ごしていたある日のこと。


その日は、何やら朝から村が騒がしかった。

遠巻きに様子を伺っていると、村の外に出稼ぎに行っていた男たちが帰ってきたのだという。

村の広場に集まって再会を喜ぶ人たち。
今まで見たこともないくらい賑やかな村人たちの輪の中の、その中心にいたのは。
あの日、僕の目の前で主様を殺した男だった。>>23]
(27) 2022/11/28(Mon) 23:56:23

【人】 人造生物 ユスターシュ

[―――殺さなければ、と思った。


僕の目の前で主様を殺したあの男。
たとえ「失敗作」と蔑まれ嫌われたとしても、僕にとってはたった一人の大切な人を奪った男。

あの男がいなければ、主様は死なずにすんだかもしれない。

もし、主様が生きていてくれたら。
あの人に、あんなふうに殺されずにすんだならば。

…もし、僕の知ってる何かが違っていたならば。
―――こんな気持ちに、ならずに済んだのかなぁ…


生まれて初めて内側から湧いてきた真っ黒な気持ちに、
心の中がこんがらがって。ぐちゃぐちゃに沸き上がって。
どうにかなってしまいそうだった。

具体的にどうすればいいかなんて、あのときは何も考えてなかった。

ただ、殺さなくてはいけない、と。
身体の奥の芯が痺れて、うまく考えもまとまらないまま、沸き上がってくる真っ黒な気持ちを制して、男の大きな影を追った。]
(28) 2022/11/28(Mon) 23:58:36

【人】 人造生物 ユスターシュ

[広場から離れ、仲間や村人たちと別れた男が向かったのは、村の外れにある小さな一軒家。
その粗末な家の扉をノックするその背中を、物陰から見つめた。


…扉を開けたのは、小さな女の子だった。
ちょうど、あの子によく似た年頃の女の子>>0:225


男の顔を見たときの女の子の顔を、僕はよく覚えている。
一瞬驚いた表情で男を見つめた後、笑って男に抱きついて。
それから安心したのかわぁわぁと、少し離れた此方からも聞こえるような、大きな声で泣き出した。

女の子の泣き声を聞いて駆け付けたらしいその子の母親も、やっぱり同じように喜びと涙が切り混じった表情を浮かべていて。
そんな二人を、あの男はそっと自分の許に抱き寄せていた。

……温かい、家族の絆がそこにはあった。]
(29) 2022/11/29(Tue) 0:01:41

【人】 人造生物 ユスターシュ

[それからどこをどうしたのか覚えていない。

気がつけば、僕は男たちの家から離れて森を抜けて、主様の屋敷跡まで逃げていた。
…あのとき、誰にも見つからずに済んでいたのは本当に運が良かったと思う。]


……。


[屋敷の地下に潜り込んでも、
相変わらず、頭の中はうまくまとまらない。

あの小さな女の子を見るまで、沸々と沸き上がっていたはずの黒い気持ちは今はしんと静まり返って。
ただ、身体と気持ちだけがずん、とタールのように重く、身動きを取れなくさせている。]
(30) 2022/11/29(Tue) 0:02:37

【人】 人造生物 ユスターシュ



……ぼく、は。


[まとまらない、頭の中。
それでも、ただ漠然と理解できたのは。]


……僕は。


[あの男を……あの人たちを、殺せない。]
(31) 2022/11/29(Tue) 0:03:01

【人】 奏者 イルムヒルト

[終わりがなければ次はない。
永遠に続く命はないのを知っている

だからこそ、貴方との一瞬が。
ひとつひとつがいとおしい。

終わりの続きも、貴方とならば。
貴方とだけ。

私は紡いでゆきたいのです。]
(32) 2022/11/29(Tue) 0:06:54

【人】 人造生物 ユスターシュ

[――認めたくない気持ちを、理解してしまった途端。
堰を切ったように蛋白石の瞳から水が溢れてくる。
ぽろぽろと、溢れた水は地瀝青の体表を伝って石の床に滴り落ちていった。


殺せない。
殺したくない。
あんなに、殺したかったはずなのに……それでもできない。


―――だって。
あの男が死んだら、あの小さな女の子はきっと悲しい想いをする。
……あの日、僕がそうだったように。

主様を殺されて、僕が悲しかったように。
あの子だって、父親を殺されたら同じように悲しい。

だから…あの子の父親は殺せない。
僕と同じ想いを、誰かにさせたくはないから。]
(33) 2022/11/29(Tue) 0:07:16

【人】 人造生物 ユスターシュ

[―――同時に、こうも思う。

あの日、主様がいったように僕は「失敗作」だ。
主様の願いも叶えられず、主様の仇を討つこともできなかった。
そしてたぶん、これからもきっと、そのどちらもできない。

何もできないのに、何の役にも立てないのに、どうして僕は生きているんだろう。
だったらいっそ、主様と一緒にこの屋敷で朽ちてしまえばよかったのに。
なのに、襲ってくる人たちや火が怖くて逃げてしまった。

それから、ずいぶん長いあいだ考えた。
ただひたすらに考えて、考え抜いて。そうして、思った。

……ラ・コスタに。
主様にとってかけがえのない人たちのいた街へ。
主様の愛憎が向けられた、美しい街へ行こう。

其処にいって、村の人たちと同じくらい
美しくて、温かくて、優しいものを、この眼に沢山焼きつけて。そしたら、主様と同じところへ行こう。

そう、決意して。
僕は、主様が愛し憎んだラ・コスタへへと向かうことにした。]*
(34) 2022/11/29(Tue) 0:08:58
「怪人」 ファントムは、メモを貼った。
(a0) 2022/11/29(Tue) 0:13:40

【人】 人造生物 ユスターシュ

―― 2日目夜/ヴンダーカマー ――


そう、なんです…?


[出会った相手のことなんてそう一々覚えていない>>18
彼女の言葉に首を傾げて。

でも、それならそれで少しほっとする。
僕がこの街で出逢った人たちに何かを返したいと思うのは僕が勝手にそう望んだことで。
それで誰かが煩わしい想いをさせずにすむのならよかったと思う。]


はい。


[再びの問いかけに強く頷く。

後悔はない。
寧ろ対価として安すぎるのではないかと思うのは人の姿を得て、陽の光が照らす温かな世界を見た今も変わらない。]
(35) 2022/11/29(Tue) 20:54:29

【人】 人造生物 ユスターシュ

[強烈な眩暈と脱力感に首を横に振ってどうにか正気を取り戻せば、それまでと変わらない彼女の声が聞こえた>>19

さっきと同じように自分の胸元に手を触れる。
「自分の中のなにかがなくなった」という感覚はやっぱり消えはしないけれど。それでも、後悔はなかった。]


僕のほうこそ、ありがとうございました。


[今更ながら、先程間近で見た彼女の顔を思い出して。
頬を朱く染めながら頭を下げる。

もしもの話。
ラ・コスタへの道中、彼女の噂を耳にすることがなかったら。
彼女に人の姿を与えてもらえていなかったら。
僕は化け物のままこの街の美しさも温かさを知らないで死んでいったはずだから。]
(36) 2022/11/29(Tue) 20:57:36

【人】 人造生物 ユスターシュ

――とある女の話――

[ある女がいた。
とある小さな村の、その中でも特に貧しい家の末っ子として女は生を受けた。

幼い頃、女は愛というものを知らずに育った。
酒癖が悪い父親と高圧的で支配的な母親。
末子である女を厄介者扱いし暴力を振るう兄姉たち。

そんな家族に囲まれて育った女であったが、
成長するにつれ次第にその美しさが花開きはじめた。

そして十三歳の頃。
女の評判を聞きつけたとある男にその身を買われ、村を出ることになった。

女を買い取ったのは、当時「ラ・コスタ」という街で劇場を営んでいた好事家。
新進気鋭の女優や歌手を幾人も輩出する遣り手として名の知れたその男はまだ幼さの残るやせぎすの少女に才能を見出した。

かくして女は師となった好事家の許でその美と才能を磨き上げていった。

思えば、女にとってあの頃が一番幸せだったろう。
師の許では彼女の美貌も女優としての才も歌声の美しさも、
磨けば磨くだけ輝きを増していったのだから。
師亡き後は、高貴な人たちの望むまま、渡り鳥のように劇団を移り。
そうして、気がつけば街一番の劇団の花形として名を馳せるようになっていた]
(37) 2022/11/30(Wed) 9:41:55

【人】 人造生物 ユスターシュ

[美しい女を求める者は数多いたが、その中に二人の男がいた。

嘗ての大侵攻で魔物たちの侵入を防いだ『北の勇者』。
そのうちの二人、『剣王』と『賢者』と呼ばれた男たち。

切欠は、ごく些細なものだった。
女が落としたハンカチを拾ったのが『賢者』と呼ばれた男だった。それだけの、些細な出会いだったのに。
気がつけば、賢者と会って話をする機会が増えていた。
そして、次に彼と会うのを楽しみにしている自分に気づくのにそう時間はかからなかった。

『北の賢者』という大層な肩書きとは裏腹に、その男は不器用で、口下手で、そして愚かなほどにひたむきで一途だった。]
(38) 2022/11/30(Wed) 9:42:29

【人】 人造生物 ユスターシュ

[―――俺にはあいつと違って魔法の才しかないが、
それでも、俺は君と添い遂げたい。君を、幸せにしたい。

女にとって、忘れられないプロポーズ。
美や機知からは程遠い、いっそ泥臭いその台詞は、
けれども舞台の上のどんな美しい台詞より女の心を打った。

女は、愛に…幸せな家庭というものに憧れていた。
それは、女が生まれ育った家にはなかったものだった。
この人とならば幸せになれるかもしれない、
温かな家庭が作れるかもしれない、と。
賢者が生まれて初めての恋にのぼせ上がったように、
女もまた、これからの未来に幸せな夢を見ていた。]
(39) 2022/11/30(Wed) 9:43:41

【人】 人造生物 ユスターシュ

[女は、プロポーズを受けた際、賢者に一つ、願いを告げた。


―――Something old,something new,

   (なにかひとつ古いもの、なにかひとつ新しいもの)

―――Something borrowed,something blue,

   (なにかひとつ借りたもの、なにかひとつ青いもの)

―――And a sixpence in her shoe.

   (そして靴の中に6ペンス銀貨を)


当時、ラ・コスタの街で流行っていた恋歌の一つ。>>2:60
パトロン付の高名な詩人が作った詩に、これまた名のある作曲家が旋律をつけたもの。
「結婚式の当日に歌に挙がった物を身に着けると幸せになれる」
そんな噂も歌の流行と共に街に流れていて。
そうして、女は賢者に四つの品物を強請った。
特段高いものは望まなかった。
ただ、愛した男が自分のためにしてくれることが嬉しかった。]
(40) 2022/11/30(Wed) 9:44:18

【人】 人造生物 ユスターシュ

[数日後、賢者は四つの品物を集めてきた。

青いものは、青金剛石の指輪。
嘗て親友の『剣王』と共に巨大な魔獣を倒した際
その地の領主から賜った青金剛石を加工したものを。

古いものは、母親の形見のブレスレット。
母曰く、嘗て仕えていた家の貴族の娘から下賜されたものを。

新しいものは、真新しい絹のハンカチ。
上等の真っ白な絹に美しい白薔薇の刺繍が施されたものを。

そして、最後の品物について、賢者は悩んだ末に親友に切り出した。

「お前の持っているピン留めを一つ貸してほしい」と。
男は親友の気持ち>>2:9に気づいていなかった…否、
気づいていてもなお目を逸らしていたのかもしれない。
自分たちの友情は、これからも変わらず有り続けると、
愚かにもそう、思い込んでいた。

そうして、賢者は親友からマント留めのピンを一つ借り受けた。
そうして、全ての品物が揃い、賢者は女にそれらを渡した。]
(41) 2022/11/30(Wed) 9:45:03

【人】 人造生物 ユスターシュ

[――それから間もなくして。
女と会う約束をしていたその日の夜。

約束の刻限に家を訪ねても女は姿を現さなかった。
何度扉を叩いても、家の中にいるはずの女が応じる気配はない。

嫌な予感がした賢者は、扉を開けて家の奥へと足を踏み入れた。

女の寝室へと近づくたび、それまで嗅いだことのない噎せるような香の匂いに不安と苛立ちが募る。
…果たして、嫌な予感は的中した。

女の寝室へと足を踏み入れたとき、そこで繰り広げられていたのは見知らぬ青年たちと仲睦まじく身体を重ねる女の姿だった。

――…それを見たときの賢者の心情は、如何ばかりであったか。
少なくとも、気も狂わんばかりだったのは間違いない。

その後、騒ぎを聞いて駆け付けた憲兵が見たのは、賢者が放った魔法の炎と斬撃とで、もはやぴくりとも動かない、瀕死の青年たちの姿だったのだから。]
(42) 2022/11/30(Wed) 9:46:06

【人】 人造生物 ユスターシュ

[賢者の受難は続いた。
彼が瀕死にした青年たちは、何れも当時の街の有力者の息子たちだった。

彼等の親は皆、我が子の醜聞を隠蔽するのと同時に、賢者に対する報復として、街からの永久追放を言い渡した。
弁明の機会は与えられず、そのまま、賢者は町を追われることになる>>0:338


その頃、女は悲嘆に暮れていた>>1:10
あの夜、女は愛する賢者と共に過ごしていたはずなのに。
気がつけば、賢者は街の有力者の息子たちに暴行を加えた罪で、街を追われることになっていたのだから。

だが、そのときのことを思い出そうとしても、なぜか事件前後の記憶だけが酷く曖昧で思い出せない。
結局、女も同じく弁明できぬまま、賢者は町を出て行ってしまった。

愛する者と引き裂かれ、女は悲嘆に暮れた。
だが、その後その悲しみを払拭するかのように女は女優としての仕事に邁進し、その年の『フェス』にて女神の心を射止めるまでに至った>>1:10]
(43) 2022/11/30(Wed) 9:46:58

【人】 人造生物 ユスターシュ

[――…女は知らなかった。

あの夜、友人から贈られてきた香を焚いた後、自分の家を訪ねてきたのは、賢者ではなく彼女に懸想した青年たちだったことも。
あの時焚いていた香が、強い幻覚を齎すものだったことも。
その香を贈ってきた友人――賢者の親友だった男が、悪意を持って青年たちを女の家に誘い込んだことも。

愛する男と幸福な時を過ごしていた、そう信じていたのに、
実際には知らない内に見知らぬ男たちに身体を弄ばれていたのだと。
後にその事実を知ったとき、女は悲嘆にくれ…そして堕落の道を辿った。>>1:11

役者の道から遠のき、強い酒とあの夜のそれより更に強い薬に溺れた。
それを用いて、女は屋敷に連れ込んだ男娼と身体を重ねた。
薬に溺れ現実と幻覚の境を見失った女には、もはや自分と身体を重ねる男は全て、嘗て自分が愛した男の姿に見えていた。
否、男は全て同じ顔に見えてしまっていると言ってもいい。
あれから長い年月が経っているのに、女の中では今でも男の姿は変わらないまま。

そうして、壊れていった女は次第に影街へと追いやられていき。
今はもう影街の景色の一部と化している。]*
(44) 2022/11/30(Wed) 9:51:12

【人】 「怪人」 ファントム

ーーその魂は、いつも星のよく見える海岸に立ちつくしている。
その髪の色と同じ、青く星の瞬く夜空を見上げ続ける。

「しばらくだね。」

彼女と初めて会った時、彼女には記憶が無かった。
生前の自分に酷く嫌悪感を持つ魂は、そうなりやすい。
思い出したくもない、というものだ。

けれど、彼女はこうも言っていた。
『自分のことは覚えていないけれど、一つだけ心残りがある。
その為に、主の御許に昇らないのだ。』と。

「そんなまさか、と。
頭の片隅にも置いていなかったんだが、あとになって考えると、あまりにも君の話と重なる事が多くてね。
色々と調べたんだよ。」
(45) 2022/11/30(Wed) 14:15:40

【人】 「怪人」 ファントム

「君が自分の命より大切にしていたリリーは無事だ。
今は母の呪縛から解き放たれて、自由に舞い踊っている。
だから、君はもう神の御許で待っていてあげてほしい。

ーーーさぁ、行こうか。
ステラ。」
(46) 2022/11/30(Wed) 14:16:07

【人】 「怪人」 ファントム

ーーそれから、海岸に彼女はもう居ない。
きっと、あの夜空に昇って、大切な妹を見守るのだろう。
(47) 2022/11/30(Wed) 14:16:15

【人】 大富豪 シメオン

─ とある男の話 ─

[剣王シメオンの最も優れた能力スキルとは何か。
男と共に『北の勇者』と呼ばれた者たちは口を揃えてこう言う。

「瞬時に本質を見抜く力」

と。
敵の弱点を即座に見抜き、敵の意図を瞬時に判断する。
その力こそが剣王の持つ最たる能力、彼らはそれを『心眼』と呼んだ。

ラ・コスタへ移住してより、その力は『美』に対して向けられた。
才能豊かな、しかし伸び切れない眠れる『美』を見出しては、彼らの飛躍に必要なものを与え、世に送り出した。

端役で燻るダンサーはそれによってプリマバレリーナとなった。
場末で小銭を稼いでいた歌い手は大劇団のプリマドンナとなった。
路上で似顔絵を描いていた者は流行りの画家となり、土産物の工芸品を作っていた者は街を代表する工芸家として名を馳せた。

シメオンによって見出され『美』の担い手として有名になった者は数多い。]
(48) 2022/11/30(Wed) 17:07:08

【人】 大富豪 シメオン

[だが、男は余りにも『美』に偏っていた。
ただ一瞬の輝きのために破滅に追いやられた者もやはりら数多くいた。
『美』の頂点に立ち、名を残したからといって本人が幸せだったとは限らない。

その一人が女優のドナータだった。

賢者の求愛を受けた女は幸せの絶頂にあった。
だが、それは賢者の親友に乗っては『美』が失われようとしていると受け止められた。だから、男は手を回した。


 「幸せな結婚生活を続けるには必要なものがある」


男はそう言って女に流行りの歌を聞かせた。
女はそれを大層気に入って愛しい男にそれらを強請った。

男はそれを理解っていた。
賢者が男に何かを借りに来るとを。この街で賢者にはそれを頼める者が男しかいないのだから。]
(49) 2022/11/30(Wed) 17:07:56

【人】 大富豪 シメオン

[男は女の幸せを願っていた。
親友の幸せを願っていた。
ただ、それよりも男には譲れないものがあった。
そらだけのことで、それが全てだった。

ドナータは才能豊かな女優だった。
見目の美しさはもちろん、その演技は見るものを魅了した。
しかし、足りなかったのだ、男には女がもっと輝けることを、もっと美しくなることがわかっていた。

彼女に必要なもの。
男が見抜いたそれは『絶望感』だった。

ドナータの師は彼女を磨いた。
それが間違っていたわけではないが、彼女の『美』の本質は生まれの苦しさからくるものだった。あの頃には戻りたくないと、自分を磨くその想いこそが彼女の『美』の本質。
だが、幸せな日々を過ごす中でそれが曇っていくのを男は見過ごさなかった。見過ごせるわけがなかった。

そしてそれは見事に花開く。
悲劇的な別れ、体を汚され、愛する者を失ったその絶望がドナータをさらに美しく磨き上げた。]
(50) 2022/11/30(Wed) 17:08:51

【人】 大富豪 シメオン

[彼女は自分の幸せと引き換えに『美』の頂点に立った。
しかし、彼女の成功を知るとかつて彼女を弄び汚した男たちが再び女に近づいてきた。
男たちは当時のことをペラペラと女に聞かせた。
どれだけ楽しんだかということ、女もまた男たちに抱かれ快楽に悦んでいたということ、そして、女のもとへ向かわせた者の存在も。

その翌日、男たちの首は街の大通りに晒されていた。

人々は噂する。
彼らはドナータに手を出そうとして、彼女のパトロンが彼らを粛清したのだと。そのパトロンこそが賢者が去ってより彼女を庇護していた男、シメオン・ジョスイであった。

この街で知らない者はいない。
ジョスイの『美』に手を出してタダで済む訳がないことを。
故に、殺された男たちの親たちの辿った道は二つに一つだった。
黙して諦めるか、報復を画して返り討ちにあったか。]
(51) 2022/11/30(Wed) 17:09:56

【人】 大富豪 シメオン

[男はかつての親友に向けて呟いた。
 

 「甘いんだよお前は。
  敵は徹底して滅ぼさなければならない。
  俺たちは、北で身をもって知ったはずだ。」


結局、その出来事でシメオン・ジョスイが罪に問われることはなく、そのことがこの男にとっての伝説の一端となった。

そんな街の出来事を他所に、ドナータはただただ堕ちていき、男はそんな女を見て、その醜さに苦虫を噛み潰したような顔をしていたという。*]
(52) 2022/11/30(Wed) 17:12:22

【人】 「怪人」 ファントム

―全てが終わって―


すっかり脱力してしまった彼女の身体を、抱き留めていた腕から離して、ゆっくりとベッドへ横たえる。
――もし、今の彼女を見てこのまま行為を続ける事を考える者もいるのかもしれないが、生憎自分はそこまで貪欲になれるタイプではない。
そっと腰を抜いて、一通り彼女の衣服を整える。

「――彼女を頼んでもいいかな?
貴方になら、任せられる。」

屋敷で仕えている魂の1人へと、彼女を託した。
リリーは彼女を知らないが、彼女はリリーを知っている。
何せリリーはイルムヒルトの友人だ、彼女が邪険にするはずはない。
――リリーは、もしかしたら彼女にイルムヒルトの事を聞かれるかもしれないが。

「おやすみ、私の舞姫。」

再び、その額に口づけを落とす。
自由を得た彼女が、より美しい舞を魅せてくれる事を願いながら。*
(53) 2022/11/30(Wed) 19:23:06

【人】 人造生物 ユスターシュ

―― 影街にて ――

[店主さんに礼を言って店を出た後、
夜も更けてより一層人気の絶えた影街の通りを歩いていたときだった。

不意に目の前を白い人影が通り過ぎていく。
ふらふらと彷徨うように歩みを進めるその女からは余りにも生気を感じなくて。一瞬、幽鬼の類かと思ってしまった。
ぼろぼろのショールやスカートから覗くやせ細った手足や
ぼさぼさの長い髪も相まっていっそう不気味に思えたけれど。

その姿以上に驚いたのは]


『―――Something old,something new,

   (なにかひとつ古いもの、なにかひとつ新しいもの)

 ―――Something borrowed,something blue,

   (なにかひとつ借りたもの、なにかひとつ青いもの)』


[その幽鬼のような女が口ずさむ歌に覚えがあったから。]
(54) 2022/11/30(Wed) 20:41:40

【人】 人造生物 ユスターシュ



――…待って!待ってください!!


[咄嗟に女に声をかける。
その声が聞こえたか、暗闇にぼぅと白く浮かぶ女の顔が
ゆっくりと此方を振り向いた。]


『…ユ……シュ……』

え…?

『ユスターシュ…!』


[名前を呼ぶのと同時に、女は此方に駆け寄って僕に縋りつく。そのやせ細った腕の何処にそんな力があるのかと思うくらい、強く強くしがみつかれて]
(55) 2022/11/30(Wed) 20:42:30

【人】 人造生物 ユスターシュ



『ごめんなさい…ごめんなさい……!!
ずっと謝りたかった、貴方に謝りたかった!!
愛してたのに!愛して、いたのに……!!』


[影街の暗夜の通りに、ただ女の啜り泣きが響く。
僕に縋りつきながら譫言のように綴られる声にはもはや正気の色はない。

ただ、悲嘆と悔恨が入り混じった泣き声に、僕は身動きが取れなくなってしまった。]


……貴方は…。


[こんなことって、あるんだろうか。

もしかしたら、と思うことはあった。
この街にくれば会えるかもしれないと。
会ってみたいと思うことは確かにあったけれど…でも、本当は怖かった。

主様を裏切り、陥れたという彼女に出会ってしまったら
あのときのような黒い気持ちに飲み込まれてしまいそうで恐ろしかった。
今度こそ、主様の望んだような生き物になってしまいそうで苦しかった。
だから、心のどこかで彼女や、彼のことを考えないようにしていた。]
(56) 2022/11/30(Wed) 20:43:37

【人】 人造生物 ユスターシュ

[だけど、目の前の女が僕を見て、主様の名前を呼んで。
そして、口にしたのは謝罪だった。
…訳が、わからなかった。

とはいえ、このままじっとしているわけにもいかなくて。
少し思案した後、しがみつく彼女をどうにか制して
影街近くの移住区にある安宿に滑り込む。

その安宿の主人と思しき老人は、ちらりと僕と女を一瞥した後、
手にしていた新聞に視線を戻して、一言呟いた]


『その女はやめとけ。
どの途長くは持たないし、面倒なことになるだけだ』


[どういうことかと問いかければ。
嘆息と共に老人は女の素性について教えてくれた。

女が嘗てはこの街一番の劇場の花形女優だったこと。
男絡みのトラブルがきっかけで酒と薬に溺れ、パトロンだった男からも見放されて影街にやってきたこと。
此処に流れてきたときには既に病に犯されていて、もう長くは持たないこと。それでも時々体調が良い時は昼夜問わず歌いながら辺りを徘徊しているのだ、と。]
(57) 2022/11/30(Wed) 20:44:11

【人】 人造生物 ユスターシュ

[結局、その夜は老人の宿に一泊させてもらうことになった。
そうして翌朝、老人に教えられた女の家へと向かう。

荒れ果てた小屋のようなその家には、藁を敷いたベッドの外には家具らしい家具も殆どなくて。これが、嘗てこの街一の花形と謳われた女性のものかと、なんとも言えない気持ちになる。

そっと彼女をベッドに寝かしつけたところで、ふとベッドの下に何か箱のようなものが隠されていることに気づく。
手を伸ばした先にあったのは、部屋に似つかわしくない上質な造りの、やや大きめの宝石箱。
ベッドで眠る彼女の顔をそっと一瞥してから、鍵のかけられていないそれを開けてみた。

…中に入れられていたのは、小さな銀貨と青い石の嵌められた白金の指輪。
美しい刺繍の施されたやや古い絹のハンカチ、銀と真珠のブレスレット。
少し無骨なピン留めと―――やや分厚めの封筒。
封筒の中に入っていたのは、束の間、正気を得たときに書かれたものだろう、女の絶望が綴られた手紙だった。>>50>>51]
(58) 2022/11/30(Wed) 20:46:55

【人】 人造生物 ユスターシュ

[手紙を読み終えたとき。
…確かに、悲しくはあったのだけど。
でも、それ以上に胸に去来したのは安堵だった。


――…よかった。
主様は裏切られていなかった。
一人ぼっちではなかった。
……主様の大事な人を、殺さなくて本当によかった。


主様たちに、思うところがないわけではない。
それでも、今はただ。
ベッドで寝息を立てる彼女に寄り添うことを選んだ。]
(59) 2022/11/30(Wed) 20:47:59

【人】 人造生物 ユスターシュ

[それから一週間。
僕は彼女の傍に寄り添った。

店主さんに貰ったお金を遣り繰りして、パンや生活に必要な品物を買い揃える。
それでも足りなければ主様の地下室から持ち出した宝石類を売りに出して。

部屋を掃除して、清潔なシーツをベッドに敷いて。
なんとか食べられるものを作って匙で掬っては彼女の口に運ぶ。

僕と出逢ってから、彼女は見る見るうちに弱っていった。
一度ベッドに寝かせて以降、彼女はベッドから起き上がれなくなっていた。
立ち上がることも、身体を起こすこともできないまま、ただ、ぼんやりと歌を唄って、主様の名前を呼んで何かを思い出したように微笑うだけ。

あの夜、主様と同じ顔を見て、謝罪を口にして。
そうして、心残りが消えて安堵してしまったのかもしれない。
…そう思うのは、僕の命も決して長くはないからか。



彼女と出会って、一週間経った日の午後。
彼女…ドナータは、自室のベッドの上で眠るように亡くなった。]
(60) 2022/11/30(Wed) 20:49:50

【人】 人造生物 ユスターシュ

[死に顔は、穏やかなものだった。

年齢で言えば決して若くはない。
嘗ては美しかっただろう容姿は酒と薬でボロボロになり、
手も足もやせ細り、頬もこけて瞳も落ちくぼんでいたけれど
文字通り転寝をしているみたいな穏やかな顔だった。

その安らかな表情は、どこか無邪気な少女を思わせるもので。今更ながらに、主様が愛した女性の面影を彼女に見ることになった。

彼女を看取った後、どうにか安宿の老人に頼み込んで居住区の共同墓地に埋葬してもらうようお願いした。
彼女…ドナータがただ、名も無き影街の住人として存在を忘れられてしまうのが、嫌だったから。

彼女の棺に嘗て主様が贈った品物を共に入れて。
彼女が、主様と同じ場所にいけますようにと祈った。
主様も、僕が行くより愛し合った彼女に一緒にいてもらったほうが、きっといいだろうから。]


…。
(61) 2022/11/30(Wed) 20:51:33

【人】 人造生物 ユスターシュ



…。


[永い永い祈りの後、僕はある場所へ向かった。
まだ、やるべきことが残っているから。]*
(62) 2022/11/30(Wed) 20:58:48

【人】 人造生物 ユスターシュ

―― ジョスイ邸にて ――

[向かったのは、主様の嘗ての親友が暮らす屋敷。

屋敷の前までやってきて、当然のように門番に止められれば。]


この家のご主人にお伝えください。
僕の主…『北の賢者』が借りていたものを返しに来た、と。


[そう門番に告げて小さな包みと封筒を門番に託そうとする。

包みの中身は、嘗て賢者が剣王より借り受けたピン留め。
北の地で互いに背を預け、共に此の地へやってきた
掛け替えのない親友から借りたもの。>>41]
(63) 2022/11/30(Wed) 21:38:48

【人】 人造生物 ユスターシュ

[もう一つの手紙には、差出人こそ書かれていないが賢者が愛したドナータが影街で息を引き取ったこと。
数年前に賢者が遠い地で命を落とした経緯について事細かに記されていた。]


『――貴方を許せと言われたら、それはできない。

ですが、僕は貴方に復讐するつもりはないし、
貴方を害そうとも思いません。

この街に来て、僕は色々な人や物を見てきました。
その中には貴方に支えられてここまできたという人もいました。>>48

僕は、貴方の人となりを全く知りません。
主様は、貴方のことを強欲な人だったと記していました。

でも、その強欲さがこの街に活気をもたらしたこと、
そして、貴方の強欲さに掬い上げられた人たちがいたこと
僕は僕自身の目でそれを見てきました。』
(64) 2022/11/30(Wed) 21:39:55

【人】 人造生物 ユスターシュ

『主様の命に反しますが、僕は、復讐を望まない。
人間は、一人だけでは生きていけなくて。
誰かの命が失われるということは、
その人に連なる誰かが悲しむということだから。』


[主様が殺されたとき。
ドナータが息を引き取ったとき。
あのとき感じた張り裂けそうな悲しみや苦しみを、他の誰かに感じてほしくない。

それは、僕の願い。
僕自身が生きて、この街で生きる人たちに触れて思ったこと。

主様の親友にとって『美』こそが己の全てを賭して全うすべき道だというならば。
復讐を選ばない、誰かを悲しませないことが僕にとって選ぶべき道だ。]
(65) 2022/11/30(Wed) 21:41:33

【人】 人造生物 ユスターシュ

『貴方が突き進んできた『美』を貫く道に
破滅させられた人もきっとたくさんいたと思います。
僕の主様やドナータのように。

でも、貴方の『美』への姿勢に掬いあげられた人、
救われてきた人、貴方を愛した人だって
きっと同じくらいいたのではないかと思います。

あらためてほしい、とは言いません。
だけど、時折でいいから自分の進んできた道を省みてほしい。
貴方の人生に関わった人たちに思いを馳せてほしい。

そして、そのなかに貴方を愛する人がいたならば
――どうか、その愛を大切にしてあげてほしいです。』


[もし、この手紙を読んだとして。
彼がこの言葉に耳を傾けてくれるかはわからない。
それでも、なにかしら石を投じたかった。

僕にとっての大切な人を、忘れないでほしかった。
彼に向けられた愛が切り捨てられることのないよう、願った。
そこに関して杞憂なのは知る由もないけれど


何れにせよこの手紙が屋敷の主の許に届く頃には、
包みと手紙を持ってきた者は既にその場を後にしているはず]*
(66) 2022/11/30(Wed) 21:42:21

【人】 影街の魔女 ブランシュ

ー後日 ヴンダーカマーー

フェスが終わり、数日も経たないうちに影街はいつもの通り淀みの中に沈み、魔女はいつも通りの生活に戻る。もうずっと、この街の誰も生まれていなかった頃からそうだったように。

店を訪れる者がいれば、魔女はいつも通り応対し、多少馴染みの顔があれば少しは深い話も交わすだろう。

「久しぶりね。顔は覚えているけれど、少し感じが変わったかしら。前に来たのは…いつだったか。

私?私はいつも通り。客にはあれこれと言われるけれどね。
女神とか…悪魔とか…ねえ。
そりゃ若さはいただくけれど、私は別に善でも悪でもないのよ。あるのは善い客と悪い客…
いえ、正確には善い取引と悪い取引かしら?

人間ってのも色々よね。
奇跡みたいなことを願うのに、寿命もかけられない程度の気持ちで軽々しく頼んでくるなってのよ…」
(67) 2022/11/30(Wed) 22:17:40

【人】 影街の魔女 ブランシュ

「この間もね、どこぞの富豪のお嬢さんが来て、永久に続くような白さを頼んだから叶えてあげたのに、後であれこれ難癖つけてきて…

しょうがないから私も折れて、改めて叶えてあげたけどね?
風雪にも色褪せずむしろ一層増す、永遠の美白ってやつを。」
(68) 2022/11/30(Wed) 22:19:18

【人】 影街の魔女 ブランシュ

「ま、この街も色々あるし、多少落ち込むこともある(?)けどね。私は元気です。

考え方は色々あるだろうけど、私はいい女が一番美しいと思うのよ。
どんなって?…他人に依らず輝き続けられること…かしら。
まあ、他人の若さに頼ってる私が偉そうに言えることでもないんだけど。

ま、妹みたいに世間を離れればいいんだろうけど、それはつまらないものね。私は飽きるまではここでずっといるつもり。

…さて、何かお望みはあるかしら。
よーくくよく考えて取引に来てくださいな。
返品はきかないのだもの。
限られた命、大切にしなければ、ねえ?」


魔女はそうして、ずっと楽しそうに話していた。
(69) 2022/11/30(Wed) 22:19:44

【人】 影街の魔女 ブランシュ




…それとは全く関係ない話だが、街から遠く離れた渓谷の底で、ある冒険者が一体のスケルトンを見つけたが、武器も持たず、襲ってくる様子もなく、ただ一体で彷徨するだけであったため何もせずに去った。


冒険者はコスタの酒場でその話をしたが、日々舞い込む美の話にすぐに忘れ去られ、スケルトンは今も谷底を彷徨い続けているのだという**
(70) 2022/11/30(Wed) 22:20:06

【人】 大富豪 シメオン

[真夜中、イルムが寝入ったころにベッドから抜け出した。

水を持ってくる様に使用人を呼ぶと、水と共に一通の手紙と包みを持ってきた。そしてその差出人の名を聞いて男は薄笑みを浮かべた。

男は知っている。
かつての親友がとうに死んだことを。
復讐に囚われ自分すらも見失うほどの怒りと憎しみを携えていたことも。
いつかその炎が己を焼き尽くしにくるのだと予感していたが。

どうやらその予感は外れたらしい。

男はランプに火を灯すと、その炎で手紙を焼いた。
たったの一文字も目を通すことなく。

本当は生きていたのか、それとも偽物か、男にはどちらでもいいことだった。そしてこの手紙が本物なのかそうではないのかも。]
(71) 2022/11/30(Wed) 22:44:09

【人】 大富豪 シメオン

 

 ……過去の亡霊に用はない。


[そう口にした言葉とは裏腹に、男は一抹の寂しさを感じてながら、灰となって消えるそれをただじっと見つめていた。*]
(72) 2022/11/30(Wed) 22:44:54

【人】 画術師 リュディガー

[フェスの一日目は、結局ほとんどスカリオーネの店で時間を過ごす事になってしまった。]**
(73) 2022/11/30(Wed) 22:56:27

【人】 人造生物 ユスターシュ

―― 後日譚/街の何処か ――

[主様の親友に手紙を渡した日の夕暮れ時。

この数日間ですっかり好きになった馴染みの宿屋の屋根の上。
陽が傾き始めて遠くの海が柑橘類の色に染まるのを見つめていた。]


…。


[――歌いたければ、またいつでも呼ぶといい>>0:225
あの日、彼はそう言っていたけれど。
今は、大丈夫だろうか?
今は歌いたいというのとは少し違うし、もしかしたら忙しいかもしれないけれど。

ただ、彼にお願いしたいことがあったから]
(74) 2022/11/30(Wed) 23:50:13

【人】 人造生物 ユスターシュ



――…ファントム。
聞いてほしいことがあるんです。


[この街の神出鬼没な彼の名を呼んだ。]

[果たして、彼は現れてくれただろうか。
もし、姿を見せてくれたならば]


今晩は。突然呼び出してごめんなさい。
それと、来てくれてありがとうございます。


[嬉しいけれど、それと同時に少しだけ胸が痛くて
浮かべた笑い顔ははにかむような、微苦笑めいたもの。]
(75) 2022/11/30(Wed) 23:51:08

【人】 人造生物 ユスターシュ



えっと、今日はお願いがあって貴方を呼んだのですが
どこから話せばいいのか。

えっと……僕、人間じゃないんです。


[そこから話すのは自分が何者であるかと、この街にやってきた理由。
残りの寿命も恐らくあと幾日もないだろうこと。
そして。]


あのとき、話しかけてもらえて嬉しかったです。
一緒に歌を歌えたこと、忘れられない思い出になりました。
本当に、ありがとうございました。


[この街で優しくして貰えてうれしかったことへの感謝。

一通り前提を話し終えれば既に日は沈みかけていて。
橙から深い藍へと空は目まぐるしく色を変えていく]
(76) 2022/11/30(Wed) 23:52:58

【人】 人造生物 ユスターシュ



それで、お願いなんですが。
…僕が持っている賢者の石と魔法具を
貴方に受け取ってほしいんです。


[言いながら、自分の左腕を胸へと添えると
そのまま徐に身体の中へと腕を沈ませる。

まるで水の中に潜るように左腕は身体の中へ入り込み、
そうして次に腕を取り出したときには、
心臓ほどの大きさの赤く輝く石が左腕に握られていた。]
(77) 2022/11/30(Wed) 23:55:04

【人】 人造生物 ユスターシュ



僕は…、この石の力も、主様がくれた力も
うまく使いこなせなかったけれども。

貴方なら、この力を街の人たちのために
使ってくれるんじゃないかって、
そう、思ったから…。


[勿論、賢者の石や魔法具たちをどう使うかは譲った彼次第。

だけど、彼はこの力を決して悪いようにはしないだろうと
短い時間なりに彼と接してそう、思ったから。

このまま自分の命が尽きて、主様が遺した物が
見知らぬ誰かに渡ってしまうよりも、誰かに託したい。
叶うなら、僕が信頼できる人に。]*
(78) 2022/11/30(Wed) 23:55:27

【人】 「怪人」 ファントム

―― 後日譚/街の何処か ――


「――いつ呼んでくれるかとわくわくしていたよ。」

彼の呼びかけに応じて、その背から声を掛ける。
礼を告げる声には、「なんの」とだけ片手を振り応じた。
(79) 2022/12/01(Thu) 0:25:19

【人】 画術師 リュディガー

[目を覚ましたのはどれくらいだったか。けっこう長い間、こうしていた気がする。起きあがろうとしたが強い倦怠感と異物感によって阻まれたので、そのまま横たわっている事にする。]

…………すっごかった…………

[芸術家として貴重な経験であったし、「女」としてもなんだか沢山階段を登ってしまった。


それに、やっと。
探し求めていたものが見つかったのだ。
空虚な自分に足りなかった、「美しいもの」を手に入れる事ができた。

これからけして離さない様にしようと、静かに決意する。]
(80) 2022/12/01(Thu) 0:25:43

【人】 「怪人」 ファントム

―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―

「なるほど、事情は把握したよ。
――だが、その頼みは聞けないね。」

彼の左腕を、彼の胸の中へと押し戻す。
自分は自由を愛し、迷える魂にのみ味方する。
自分のやりたいように振舞う。
誰かを救って回るなど、まっぴらごめんだ。

「それはそれとして、私も君に相談があってだね。
私の屋敷には働き手がいなくてね。
『彼女』はよくやってくれているが、ブラック領主だパワハラ仮面だなどと、心にもない事を言われてね。
私もなんとかせねばならんという訳だ。

――それに、君とならリリーも打ち解けてくれるだろう。」

元々、自分と契約して働ている魂たちには必要最小限の労働を申し付けているだけだ。
彼らが心残りに決着をつけ、主の御許と昇るまで。
その間を取り持っているだけにすぎない。
そのせいでイルムヒルトの母には、随分無茶をさせてしまっている。
(81) 2022/12/01(Thu) 0:26:08

【人】 画術師 リュディガー

[暫くして店の主人の姿を見かけた。流石に気恥ずかしくて、目を合わせる事は出来なかったけど。]

お、おはよう〜……色々と、ありがとう……

好き。

[もっと色々言いたい事はあるはずなのに、最初に出た言葉はこれだった。

それから寝ている間に画材道具の所在をどうしたか、着替えはどうするのか質問したのち、魔女が今どうしているかを尋ねるだろう。]*
(82) 2022/12/01(Thu) 0:26:36

【人】 「怪人」 ファントム

「――君には身体を捨て、魂となって私の元で働いて貰いたい。
労働条件は…そうだな、
『その石と魔道具をより多くの人の為に使う事』
だ、あとたまに私の屋敷の掃除。
嫌とは言うまいね?嫌と言っても連れて行く気まんまんだが。

安心しなさい、君は私と初めて出会った時から立派に
『人間』
であったよ。

――早いところ、私の屋敷に帰ろう。
リリーにも、『彼女』にも君を紹介しなくては。」

くるりと踵を返して、自らの屋敷へと歩み出す。
彼がどのように選択するかはわからないが、もしついて来てくれるなら、屋敷の住人が1人増えた事だろう。*
(83) 2022/12/01(Thu) 0:26:47

【人】 「怪人」 ファントム

―それからの話―


彼女が「私だけの舞姫」となってから、随分と経つ。
彼女が舞うたび、私は舞の虜となる。
そして、私は彼女の舞に負けぬよう、声を響かせる。

立派な劇場でも豪華なステージでもない、ただの街中の路地や少し開けたスペース、そこで私達には十分だった。

――今宵もまた、街のどこかで怪人の声が響く。
彼だけの舞姫の為に、強く、のびやかに歌い続ける。
(84) 2022/12/01(Thu) 2:35:51

【人】 大富豪 シメオン

[───1年。
  それが男に残された時間だった。

あの夜。
イルムと共演したあの剣舞によって文字通り男は命を燃やした。
失った時間を巻き戻すように若さを取り戻すという行為、紙の摂理に逆らうその代償は決して小さくはなかった。
しかし男はそれで満足だった。
あと10年かけても届かないはずの『美』に確かに届いたのだから。

ただ未練だけがある。
愛するイルムの傍にいつまでも居たい。
人として当然のその想いを男は手にしていたのだ。

それも宿命と男はそれを受け入れていた。
この想いの幾つを己の業によって砕いてきたのか。
いまさら自分だけがそれを享受できるとは思っていないし、だからこそ命を燃やすことができたのだ。
己の命も幸福さえも捧げる覚悟が男にはあった。]
(85) 2022/12/01(Thu) 16:08:06

【人】 大富豪 シメオン

[人は何のために生きる。
世に自分の痕跡を残す為、それが答えの一つだろう。
ならば男ほどこの世に『美』を残した者はおらず、そして己の傍らには最も美しき女がいる。
それはこの目が見出し、この手が花開かせた『美』だ。

悔いはない。
だが未練はある。

故に男は死に足掻気続け、拒み続けるのだ。


   
「その姿を醜いとおもうか?」



明日を決して諦めず。
100年先までイルムと共にある様にと願う。
男はそうして一年を過ごす。
最後の瞬間まで『美』への渇望を抱きながら。*]
(86) 2022/12/01(Thu) 16:09:11

【人】 奏者 イルムヒルト

[命が尽きるその日まで、
戦い続ける貴方に見惚れぬことがあろうか、いやない。
貴方と過ごすたびにより貴方への愛が深くなり
心を奪われて、同時に腹に宿る命を
貴方に逢わせてあげられそうにないことに心を痛ませる。

それでも、私達は出逢えて、幸せだった。
私は、幸せだった。
貴方によって美を花開かせ
その指で、眼差しで愛されたことで

私の美は、満たされながら狂おしく叫ぶ。
それほどまでに渇望するものと出会えた幸福よ。

1年という短い期間の貴方との蜜月は濃密で、熱く、穏やかで。
最後の瞬間まで、貴方は誰よりも美しい>>86
誰よりも私を、魅了する。

未練はあるし、もっと共にありたいと願うけれど。
同時に、限りあるからこそ貴方はその命を燃やし尽くし
美しくあり続けたのだろうとも、思うのだ。


もっとともに居たかった。愛しい、貴方


貴方の躰は朽ちようとも、100年。貴方の存在は
私の、人々の記憶に残り続けるでしょう
私の紡ぐリュートの調べに合わせ、貴方の名はきっと千年、万年。*]
(87) 2022/12/01(Thu) 18:43:24

【人】 奏者 イルムヒルト

― 終幕エピローグ

 「お母様、あの曲を弾いて。」

[幼い息子が、目を輝かせて強請る曲がある。
舞台での演奏や、酒場で踊り子と――偶にその庇護者の歌声とともに演奏するときはあるが
その時は一節だけ。旧いリュートを爪弾いて
貴方の若き日の英雄譚を奏でるけれど

この子と2人だけの時は、
貴方の狂おしい程の美への思い、貴方と紡いだ愛の日々を。
貴方の父親がいかに美しく、尊かったかを奏で、歌う。

我が子は、2人きりのときはよくせがんで
顔も知らぬ父を追憶するのを、母は知っている。


生まれる前に貴方は女神のみもとへ旅立ち、
貴方がこの子に残した名を、愛しげに私は呼んで
子の頭を、柔らかく撫でる

貴方と交わした音と刃の演舞の時に見た若き日の姿に瓜2つのこの子は、
画術師に描いてもらった父の肖像のように育つのでしょうか。
或いは、この子も、この子だけの「美」を見つけるのでしょうか。
そのために、飢えながらも希求していくのでしょうか。


今の私や、貴方のように]
(88) 2022/12/01(Thu) 18:44:09

【人】 奏者 イルムヒルト

 「お母様。お父様ってすごいねぇ。」

[無邪気に。歌われる父に思いを馳せる我が子へと
私は微笑み、頷く。
この街で有名な奏者ではなく、母としての。妻としての顔で。

もしも私までこの子を置いていくことになったら
私は母を失ったあの日のように、魔女の店に願いを告げに行くかもしれません
愛しい人との結晶を。守れなくなったら。
辛くて胸が張り裂けてしまいそう。
母も、私に対してこの様な気持ちだったのでしょうか。
――あなたも、私や、腹で育まれていたこの子を置いていくとき。
そんな気持ち、だったのでしょうか。]
(89) 2022/12/01(Thu) 18:44:26

【人】 奏者 イルムヒルト

 ええ。お父様は凄いのよ。
 ――誰よりも美しくて。素敵な人なのよ。


 
ね、シメオン様。



[愛しい人。私は貴方のいない世界で、
貴方を心に抱いて生きていく。

友人や、我が子と共に過ごす日々の中でふと、
音とともに華麗に舞う、浮かぶ刃の軌跡を思い浮かべれば

傍で貴方が微笑んでいる、気がして。
私の口元も小さく笑みを、零すのでした**]
(90) 2022/12/01(Thu) 18:45:04

【人】 「邪毒」 スカリオーネ

>>80キッチンへ向かおうとしていた男はその言葉を聞かなかったことにした。
男の術をあれだけ施し『すごかった』で済んだヒトを男はブランシュしか知らない。
知らず知らずの間に新たなる『美』の巨神を生み出してしまったのかと少々不安になる。

男が作ったサンドウィッチはハムとサラダが挟んだものとチーズを交えたものと殻を剥いたゆで卵を雑に砕いたものを挟んだものだった。
サンドウィッチのパンに耳はなく柔らかな触感だけを味わえる。
飲み物は柑橘系の果物を絞ったものを用意してサーバーに乗せて運んで円柱の部屋に戻ると>>82感謝の言葉を好意を投げかけられ男の眉根が僅かに動いた]


俺は自分のなすべきことをなしただけだ。
これはサービスだから好きに食べろ。


[着替えはシャワールームがそのまま更衣室に繋がっていることを伝え、お帰りはそちらからとなるとも教える。
ブランシュがどうしていたかは不明だが男が用意した軽食は二人分ある。

無論、男はパンの耳を食べている**]
(91) 2022/12/01(Thu) 19:12:44

【人】 画術師 リュディガー

>>91
そっけないなあ。まあ、仕事だもんね。
最高の職人だったよ、本当に……
好き。


[相変わらずの様子に、少々不満になりつつも「そういう部分が良い」と思ってしまうのも、惚れた身分なので許してほしい。着替え等の所在を把握したので、少し落ち着いたら行動することにしよう。

運ばれてきたサンドイッチを見て、そういえば空腹だな、と思って一つ手に取る。向こうでいつもの愛想のない表情でパンの耳をかじっている姿に声をかける。]


ねえ、スカリー。サンドイッチはんぶんこしない?
お前もお腹空いてるでしょ。

あとさ……
今日は動けそうにないから、泊めてくんない?*
(92) 2022/12/01(Thu) 19:36:44

【人】 画術師 リュディガー

―フェス・2日目―


>>2:87 そっか、それなら良かった。
そうだね、はじめて、って素敵なことだ。

……おれ?いや、違うよ。……むしろ、悩みが消えたから、かな。こうなってるのは。

じゃあ、残りも楽しんでいって。

[踊っていた男と簡単な会話を交わしたあとは、日が沈むまでぼんやりと広場にいた。

空飛ぶ怪人と踊り子の話や、中央ステージでの奏者と剣聖の交わりなど、人々の話は絶えず続き。

夜になって、各々会場の片付けを始める時間帯に、家族の元へと戻る事にした。]**
(93) 2022/12/01(Thu) 19:44:43

【人】 「邪毒」 スカリオーネ

>>92仕事であれば堕ちぬことを望むことはなかったのだが男はその事も伝えることはなく、淡々とパンの耳を食しては色だけ辛うじて珈琲である可能性が僅かに存在するどす黒い液体を飲んではあまりの苦さに眉を顰めていた]


言っただろう、それはサービスだ。
お前たちは客なんだから客らしく。
食べたらシャワーを浴びて身嗜みを整え帰れ。


[男は店舗に客を止める気はさらさらなかった。
客である以上、そこに譲歩はないが自分の足で歩けないならばと男は手を打つ]


代わりに俺が担いで家まで送ってやる。


[折角磨いた『美』肌なのだ。
女になった姿を早く家族に見てもらえとばかりに帰宅を勧める*]
(94) 2022/12/01(Thu) 20:30:07

【人】 画術師 リュディガー

>>94
えぇ〜……けち。
ちょっとくらいサボったって咎める人いないよ?

[施術中は少しは優しかったというのに、と名残惜しさを感じつつも「こういう人だもんね」と納得する。
おれの方は、この一連でやっと一歩踏み出したけれど。向こうにとってはそうでもないわけで。一回、体を重ねた程度では変わるものではないのだ。]


……え、おんぶしてくれるの?マジ?
…………なら、いいよ。

[直後の発言であっさりと掌を返してしまうのだから、我ながらチョロいと思う。その理由がなんであれ、また触れられるのは、嬉しいから。]
(95) 2022/12/01(Thu) 20:40:01

【人】 画術師 リュディガー

[軽食を取ったあとは、気力が戻るまでぼんやりと余韻に浸りながら、内側に芽生えていた数々の『感情』をまたじんわり噛みしめていた。

その後、起き上がってシャワー室で身を清めた後に、着替えて画材道具やクロッキー帳をまとめ帰り支度をする。

夕日が沈む頃に、店を出て家路を担がれながら進んだ。]*
(96) 2022/12/01(Thu) 20:44:48

【人】 「邪毒」 スカリオーネ

少しの慢心が技術を停滞させ衰退させるんだ。
日々の研鑽が大切なのだから。
他人がどう言おうが関係ないことだな。


[男は至極真面目に己の『美』学に則り生きている。
しっかりとした信念と理念を元に結果として星の卵を喰い潰しているわけなので性質が悪いことは確かである]


……ああ、そうだな。


>>95おんぶという言葉には曖昧に返答を重ね、帰宅準備が整えば男はリュディガーを担ぎ彼女の家に送り届けるべく歩いていく。
幸いにも中央広場の方に人手は集まっているので影街に近い店舗からであれば早々人目には付かないだろう。

担ぐ、と男は言い、おんぶとは言わなかった。
男はリュディガーを肩に担ぎあげると大荷物を担ぐように家まで運んでやるのである。

途中抗議があれば運び方を変える努力をするがされなければそのまま家前まで連れていった*]
(97) 2022/12/01(Thu) 21:23:36

【人】 画術師 リュディガー

>>97

……真面目だね、本当に。

[おれの方はというと、持て余した技術を振るって好きに生きているだけなので上昇志向という物はあまり持ち合わせていなかった。磨かなくても生きていけるほど、恵まれていたともいう。

でも自分の技術に過信せず、上を見るのは『美しい』のだと思うようになったから。今後は少しづつ技術研鑽も真面目にやるか、と思った。
この間じーさんに殴り返されたの悔しかったし。


自分の道を歩む男は、その裏に何があっても『美しい。』]
(98) 2022/12/01(Thu) 21:36:26

【人】 画術師 リュディガー

ちょっと!?女の子運ぶのにコレはなくなあい!?

[いざ担がれたらまるで荷物でも運ぶように抱えられたので、流石に抗議した、けど。]

……あ、でも接触面積多くて温かいや……これはこれで……

いやダメダメ。ちゃんとした運び方にして。見られたら多分、家族がうるさいからさ〜


[……こんな事でも喜べてしまうので重症である。

そういえば。スカリーには実家のこと一言も喋ったことがなかった。初めて会った時は身分を隠しての来訪だったし、それ以降もとくに必要がないので「ドメネク家」の名前を出したことがなかった。

思い直してちゃんと抱えるように進言した。荷物のように運ばれる末娘の姿を見たら、倒れちゃうかもしれないので。]
(99) 2022/12/01(Thu) 21:41:20

【人】 画術師 リュディガー

[家まで案内してから、スカリーにちょっと文句を言われたとか、言われなかったとか。]**
(100) 2022/12/01(Thu) 21:41:49

【人】 人造生物 ユスターシュ

[その頼みは聞けないね>>81
そう言われて掌中の石を胸の中へと戻されればいけないとわかっていても、しゅん、とわかりやすく俯いてしまう。
それはある意味彼の在り方をわかっていないからというのもあるが。

だが、続く言葉には顔を上げて。>>81>>83
そうしてまじまじと彼の顔を見つめることだろう]


…いいんですか?


[死ぬというのは、消えることだと思っていた。

主様と同じところに行きたいと願っていた。
でも、心の何処かでこうも思っていた。
『失敗作』の僕に健やかな、全うな魂があるわけがないと>>0:-118
主様の許へ行きたいと願う気持ちは本物なのに、
その願いが叶う光景がどうしても思い浮ばなかった。


いつか消えゆく命と心であるならば。
だったらいっそ、どれほど短くとも人に寄り添って、素敵なもの、温かなものを心に焼きつけて。
そうして悔いなく生きて、尊い思い出を抱えたまま消えることができたらどんなに幸せだろうと、ずっと、思っていた。]
(101) 2022/12/01(Thu) 21:53:50

【人】 人造生物 ユスターシュ



……僕は、


[ずっと、人間になりたかった。

誰かの傍にいたかった。
陽のあたる温かな世界をみてみたかった。
たとえ自分がどんな願いから生まれたものだとしても、
それでも、自分が存在するこの世界はとても美しいものだと、
そう信じたかった。

そんな願いを叶えてくれた、
この街の人たちに――自分も、何かを返したい。

彼の言葉は>>83
この街にやってきて新しく生まれた願いも、
それまでの願いも肯定してくれるものだった。]
(102) 2022/12/01(Thu) 21:55:50

【人】 人造生物 ユスターシュ

[胸の奥に戻された赤い石と、瞼の奥が熱い。
じわじわと視界が、双眸から零れる温かい水に歪んでいく。

いつか主様の仇を討つことができなくて零したときの水に似たそれは、だけどあのときよりもずっと温かくて、胸の内が切なくなる。]


―――…はい。


[くい、と袖で目元と頬を拭ってから踵を返して歩く彼の後を追いかけた。

これからのことは、まだ自分にもわからない。
だけど、彼らがくれたこの温かな気持ちに報いることができるのなら。僕は彼の言葉に応じよう]*
(103) 2022/12/01(Thu) 21:59:58

【人】 「邪毒」 スカリオーネ

[真面目かと面と向かって言われると真面目で何が悪いと返すのがこの男である。
真面目に下衆な行為に及んでいるがそれらの行動信念を美しいと思われているとは世の中分からないものである。

>>99抗議の声はあがるが下ろして欲しいのか別の運び方がいいのかそのままでいいのかが曖昧でありその間も男は歩を進めるため何やらもにょもにょ動くものを運んでいる変な男を言う感じになっていた。
リュディガーの家は知らないが担いでいるのだから案内くらいはしてくれるだろうし迷わず家に到着すると大きなには一言『……そうか』と口にしただけで驚きの表情は浮かべてはいなかった]


ドメネク家のお嬢様がな。
俺の店に入り浸っていたら問題だろう。
今度からちゃんと予約をして客として来いよ。


[店員として正しい対応を取り中から誰か出てきても大丈夫なようにする。
表通りで文句を言う程ではなかったというだけで、次に普通に来店すれば『この野郎』からまた始まるのは確かである**]
(104) 2022/12/01(Thu) 22:22:57

【人】 画術師 リュディガー

[>>104 運び方はもう少し丁寧にしてほしいけれど、それはそれとしてこのままでもいいか、なんて複雑な心境のまま家へと導いて、表情は変えていないが恐らく驚愕しているだろう男へ告げる。]


あれ、言ってなかったっけ?
おれん家の事。

へーき、ヘーキ。芸術家はちょっと悪いヤツとつるんでるくらいでいいって、祖父さん言ってるし……
……予約は、気が向いたらね。


[その場では玄関前で姿勢を正され小言をいわれた程度で済んだが、次に店へと来たときに苦々しい顔で小言どころじゃない言葉が飛び交うであろうことは想像に難くない。

だけど、そんなやり取りですらやっぱり嬉しくて。

人を好きになること、も。
初めて知った。]
(105) 2022/12/01(Thu) 22:44:53

【人】 画術師 リュディガー

スカリー、送ってくれてありがとな〜。
また遊びに行くから、その時はよろしくね。

……大好き!


[夕焼けの中、帰っていく男に投げかけた。]**
(106) 2022/12/01(Thu) 22:46:17

【人】 「邪毒」 スカリオーネ

>>105明日ではなく現在時点で『この野郎』と男は表情も変えずにリュディガーの頭をガシガシと撫でてやる。
悪いヤツの中に男が含まれていることは確実で彼女にとって男は悪いヤツなのだろう。
何故にその悪いヤツを好き、大好きというのかは一切理解できないのだが、予約してくれるならば客だなと少しばかり満足そうに頷こう]


そうだ……。
次に公共の場でスカリーだの小声でのことを言ってみろ。
出禁にするからな。


[公では男の様にしゃんとしろと伝えると掌をひらりと振り、夕焼けに向かって進みだした。
明日も祭典は続き、明日以降も男の『美』への探求は終わらない。
陽が沈んでもまた昇るように男はどうやっても不死鳥のように蘇る。
心の炎は永遠に、消えない**]
(107) 2022/12/01(Thu) 23:13:31

【人】 画術師 リュディガー

―フェス終了後、ある日―


[ここは美と芸能の街、「ラ・コスタ」。
『美』が尊ばれ、全ての基準になる街。

……そんな街に産まれたのに、『美』を理解できなくて。
ただ恵まれた家と、才能を持っていたから。それだけの理由だけで生きていた。

今まで、ずっと。

フェスの日から、自覚のなかった思いを沢山見つけて、今まで理解できなかった『美』を見つけて。
少しだけ何かが変わったように思う。まだ、端っこを見つけたばかりではあるのだけど。

あちこち放浪していた日々よりも、今のほうがずっと楽しくて仕方がない。]
(108) 2022/12/01(Thu) 23:30:50

【人】 画術師 リュディガー

[他にも最近気になることは増えた。
バーの歌姫の恋の行く末だとか、知人の男の新妻の話だとか、怪人と踊り子と奇妙な青年の話だとか。
……裏路地にいる魔女との話とか。


沢山あるけれど、中心で輝いているものはずっと変わらない。]


スカリー、いる〜?
……やっぱり今日も、綺麗だなぁ。


[店に顔を出せば、いつもの愛想のない苦々しい顔と、容赦のない言葉が飛んでくる。

以前よりも色鮮やかに見える世界で、おれは生きていくのだ。]**
(109) 2022/12/01(Thu) 23:31:31

【人】 看板娘 シュゼット

―数年後―

――中央広場、その一角に大きな人だかりが出来ている。
何故なら、今日はラ・コスタを代表する歌姫――かつては、バーでひっそりと歌っていた少女――と、「エース」と呼ばれた演者が結ばれる日であるからだ。

人だかりの真ん中では、純白のドレスをまとった女性が今まさに声をあげようとしていた。
(110) 2022/12/02(Fri) 0:00:30

【置】 看板娘 シュゼット

C'era una volta un uomo che sognava di diventare un uomo.

かつて、人になる事を夢見る者がいた。

Ha realizzato il suo desiderio e ha scambiato parole con molte persone.

彼は願いを叶えて、多くの人々と言葉を交わした。



C'era una strega che concedeva desideri in cambio di giovinezza.

若さと引き換えに願いを叶える魔女がいた。

C'era una donna che era terribile, eppure più bella di ogni altra cosa.

恐ろしく、けれど何者より美しい女性であった。
(L0) 2022/12/02(Fri) 0:06:22
公開: 2022/12/02(Fri) 0:20:00

【置】 看板娘 シュゼット

C'era una donna che suonava il liuto e un uomo che inseguiva la "bellezza".

リュートを弾く女と、『美』を追い求める男がいた。

Erano attratti l'uno dall'altro e hanno fatto l'amore.

彼らは互いに惹かれあい、愛を契った。



C'era una ragazza che dipingeva e un uomo con il volto bruciato.

画術師の少女と、顔の灼けた男がいた。

L'uomo disse alla ragazza cos'era la bellezza.

男は少女に美とは何かを伝えた。
(L1) 2022/12/02(Fri) 0:06:44
公開: 2022/12/02(Fri) 0:20:00

【置】 看板娘 シュゼット

C'erano una bella ballerina e un mostro.

可憐な踊り子と、怪人がいた。

Il mostro desiderava la libertà della ballerina e la ballerina rispondeva.

怪人は踊り子の自由を願い、踊り子は応えた。



Volevamo la "bellezza" e abbiamo vissuto i nostri sogni.

私達は『美』を求め、夢に生きた。

Anche se dovessimo lasciare questa città, che i nostri ricordi rimangano con voi.

たとえ、この街を離れる事になっても、想い出が貴方に残りますように。
(L2) 2022/12/02(Fri) 0:07:05
公開: 2022/12/02(Fri) 0:20:00

【人】 看板娘 シュゼット

歌が終わり、大きな歓声があがる。
――ここは美と芸能の街、ラ・コスタ。
また誰かが、この街に夢を見て訪れる。
その結末がどうなるにせよ、どうか一筋の幸せがありますように。
(111) 2022/12/02(Fri) 0:07:14

【置】 「怪人」 ファントム

/*
直接お礼を言う事が叶わず、置き手紙にて失礼致します。

何度目かになりますが、プロから長時間のお付き合いを頂き大変嬉しく思っています。
毎度お返事させて頂く事が楽しく、止め時を見失ってしまう程でした。

リリーさんは、自分とのロルをお楽しみいただけたでしょうか?
もしそうであれば、幸いです。

ファントムはリリーに出会う事ができ、彼女の為に歌う事ができた事、大変嬉しく思います。
彼の物語にリリーがいてくれた事は、とても幸せでした。

どうかリリーの物語が、彼女にとって良い結末を迎えられる事を願っております。
(L3) 2022/12/02(Fri) 2:32:58
公開: 2022/12/02(Fri) 3:30:00
 




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生存者 (8)

ファントム
8回 残 たくさん

おやすみなさい

スカリオーネ
5回 残 たくさん

オフりそう

リリー
1回 残 たくさん

ねむり

リュディガー
14回 残 たくさん

お疲れ様でした

シメオン
20回 残 たくさん

眠気

イルムヒルト
13回 残 たくさん

ゆるく

ブランシュ
6回 残 たくさん

着席

ユスターシュ
43回 残 たくさん

少し低速。

犠牲者 (1)

エース(2d)
0回 残 たくさん

 

処刑者 (1)

シュゼット(3d)
2回 残 たくさん

 

突然死者 (0)

舞台 (0)

発言種別

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ようちえんせんき かりんか / ハロリンカ / 凍れる水車 by かえるぴょこぴょこ/あさくら
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メトロポリス / バビロン / ギルガメッシュ / Valhalla by すむろ水
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外道大戦 by mtmt
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Cathedral / 学園Cathedral / Grand Cathedral / 学園Grand Cathedral by Izuya
夜月町 by 夜月けい
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IRO-COLORE(いろころる) by Izuya, 南
お茶会 / 演奏会 / 花見会 by ゆひろ
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シキメグリ by afinter
-汝人狼也-人物画 by 878, かんこ
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Emoricu / Cumorie / 黎明街 by milk_sugar
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噛志野医院 by manamiz
メギド人狼 by メギドチップ企画
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