人狼物語 三日月国


105 身内村

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視点:




 ───彼は、私の知らないことを、
 たくさん知っていて、教えてくれた。
 わたしのことを見てくれる人だった。
 だから、好きになった。
 かけたところを埋めてくれるパーツみたいに
 優しい人だった。

 掛け違えてしまった。
 どちらが、とはわからない。
 きっとふたりの、どちらともが、歪んで。
 パーツが、合わなくなってしまったけれど
 今なら、今の彼ならば、合うだろうか。

 






 ねえ、清正くん。

 わたしね、あなたのこと、ちゃんと、
 本当の意味できちんと、知ろうと
 してなかったのかも、しれないね。

 しらなかったんじゃない。
 知ろうとしてなかった。

 すれ違ってたんだろうね、わたしたち。

 あなたも私もきっと、お互いに
 お互いのことを愛していたのに。

 そんなことも、ちゃんと話せなくて。
 自分のことで精一杯で。
 子供すぎたのかもしれないね。
 わたしも、あなたも。



【人】 ろぼ先生 夏越 清正

[出来るだけくわっと目を見開いて
 後ろのねぶた山車と同じ顔を作ってみせて。

 だけど、カメラを構える清華の顔は
 引き攣るどころかほろりと綻んだのがうれしくて。]


  ちゃんとカッコよく撮れた?


[男も顰めた顔をすぐに綻ばせ、
 ててっと清華の隣に戻る頃には
 いつもの顔に戻っているはず。]
(6) 2021/11/03(Wed) 17:49:28

【人】 ろぼ先生 夏越 清正

[潤んだ目元を瞬かせた清華の瞳を見下ろして
 その奥の気持ちに触れようとする。
 どうしたらいいんだろう。
 抱き寄せて、抱きしめて……

 色々思考を巡らせた後、男は結局
 何も聞かず、彼女の望みを叶えることにした。]


  そしたら…………あっ、すみません、
  写真一枚いいですか。


[近くにいた係の人を呼んで、
 ねぶたを背に、一枚。
 「ご夫婦で旅行ですか?いいですね」って
 人の良さそうな係の人の言葉には曖昧に微笑んだが
 フレームに収まる時には、清華の肩にそっと手を乗せて
 この一歩進めた喜びを浮かべていられたらいい。]
(7) 2021/11/03(Wed) 18:01:26

【人】 ろぼ先生 夏越 清正

[そこでねぶたを見たり、三味線を聞いたり
 のんびりとした空気ごと楽しんだら
 そろそろ宿のある方へ移動しよう。

 弘前駅周辺はおしゃれなカフェや雑貨屋があったが
 電車を乗り進めると、次第に景色の中の
 りんご畑の割合が増えていき─────]


  ……さっきの弘前駅と比べると
  すごく、静かだ。


[駅前に大きな道の駅と温泉を兼ねた施設があって
 小さなロータリーがあって……
 コンビニやファストフード店も見当たらない、
 なんだかそれが新鮮で、自然と笑みがこぼれる。]


  早いけど、宿行って荷物置く?
  それとも周りを少し見ていこうか。


[温泉施設を見下ろすように、茶臼山という
 小高い山がそびえたっていて、
 そこなら紅葉も綺麗だろう、と。]*
(8) 2021/11/03(Wed) 18:28:49

【人】 ろぼ先生 夏越 清正



  りんご、食べたとは思うんだけど。


[“僕”としての記憶の大半は、
 予めインプリントされたもので
 “僕”として生きた中で印象が強いのは
 やはり桃だったかもしれない。
 木からもいだものを「お父さんには内緒」だと
 息子さんがそっと手渡してくれて、
 それが何より味が濃くて美味しくて……

 微かにりんごの香りが漂う街を、
 そんな思い出話とともに男は清華と歩く。

 確かに山梨で暮らす中、
 りんごを食べたことはあると思うが
 強く「好き」という印象に残らなかったのは
 やはりもぎたての桃の鮮烈さに勝らなかったからか。]
(12) 2021/11/04(Thu) 15:48:53

【人】 ろぼ先生 夏越 清正

[……しかしりんご畑の中を歩いている訳でもないのに
 このりんごの爽やかな香りがするのは何故だろう。
 見れば道のあちらこちらで木箱に山盛りのりんごが
 彩りも鮮やかに並んでいる。]


  ……スーパーで売ってるやつの
  1.5倍くらいの大きさに見える。


[お昼に食べたほたてもそうだったけれど。
 なんだか何もかもが大きく見える。
 男の拳のもう一回りより大きなそれが幾つも集まって
 街にほのかな果実の香りを齎しているのだろう。

 しかもスーパーで買うより、安い。
 立派で艶の良い果実なのに、
 価値というものが分からなくなる。]
(13) 2021/11/04(Thu) 15:54:55

【人】 ろぼ先生 夏越 清正



  “僕”の記憶は、まだたくさん知らないことがあって
  ちゃんと自分のものにするために、知りたいのかも。


[だから、ここで美味しいりんごに出逢えたなら
 前よりずっと好きになれるかもしれない。
 そのための、旅なのだ。
 
清華からの質問も、同じ意味だといいな。


 何気なく覗いたりんご屋さんには
 ものすごい種類のりんごが並んでいる。]


  もぎたてが美味しいのかもしれないけど……
  ねえ、帰る時に買って帰ろうよ。


[いつぞやの山梨旅行みたいに、果物の匂いに包まれて。]
(14) 2021/11/04(Thu) 16:04:46

【人】 ろぼ先生 夏越 清正



  そういえば、清華は何が好き?
  フルーツでも、普通のご飯でも。


[こんなの聞くのは、今更すぎるかもしれないけれど。
 けれど“僕”の記憶として覚えておきたいと
 思ってしまうのだから、許して欲しい。

 そんな話をしながら宿までの道を歩く。
 手はしっかりポケットの中で握りあったまま。
 どちらの温もりも溶け合っているような
 二人の温度が嬉しいのだけれど、
 口に出すとおかしいかもしれないから、
 まだ黙っていよう。]
(15) 2021/11/04(Thu) 16:13:45

【人】 ろぼ先生 夏越 清正

[そんなことを話しながら歩いていれば
 ちらり、ほらり、鈍色の空から
 真っ白な粒がはらはらと落ちてくる。]


  わ、雪……!


[繋いでいない方の指を差しのべてみれば
 指先に小さな結晶が止まる。
 こんな綺麗な雪を見たのは初めてのことで
 つい男の顔に喜色が浮かぶ。]


  こんなの、初めて見た。
  “僕”も……きっと「オリジナル」も。

  清華は、見たことあった?


[知っていたら、驚異に目を見張るだろうし
 同じ初めての体験をしているなら
 初遭遇する現象を共に出来たことに
 にや、と頬を緩ませるだろう。

 そうして寒くなる前に、風情溢れる旅館の中へ
 二人で一緒に逃げ込もうか。]*
(16) 2021/11/04(Thu) 16:44:46