人狼物語 三日月国


77 【ペアRP】花嫁サクリファイス 弐【R18/R18G】

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 …かんぅの方こそ
 愛を知らなんだのかもしれぬな。


[この愛を。
婿殿が知らぬものを教えたいと思っていた。
其れからどれ程歩いただろうか、気づかされた事気づいたことが多くあった。魔物の花嫁になりたいとはもう言わない。

己は、彼のただ一人でありたい。]



 ふむ、もっと知りたいぞ。
  ヤオディ。


[主のことを。
交わるだけではなく、言葉を交わし
愛を交わし、全てを知りたい。気を失った彼を抱きあげてまずは汚れを落とそうか。丹寧に丁寧に、洗い身を清めていく。何、時は長くあるのだ。主がくれたときを精一杯。愛し愛されて生きていたい。そんな思いを込めて、愛おしい身を抱きしめた。彼の生が終わるそのときまで彼が隠し事をしていたとしても

倖せであったと言ってほしい*]

  それは予にもわからぬことよ。
  何せ未だ天狗の類は見たことがない。


[瞼を閉じるが浮かぶは物語に聞く赤鼻の物の怪であった]


  噂によるとあれは相当に長いらしい。
  問題は揺れるかどうかだが確かめて見ぬとわからんな。
  とは言え予では会えぬ気がするが。


[薄らと瞼を開くと手はそのまま動かしていたからかリンが暴れ始めているところであった。
よいせと暴れる身体を抱き寄せると湯に尻と腰だけ浸かる高さまで引揚げてやり背筋を擽るではなく優しく撫でてやる]


  ほれ、鼻に入ると痛かろう。
  鼻を摘まんでやるから、ふん、とするのだ。


[男はリンの鼻を片方だけ空気が通るように摘まむと先ほど自身がしてみせたようにしてみよと謂う]

  すまぬ、流石に擽った過ぎたか。
  しかしな、お主が弄っておったのは真に鋭敏なのだ。
  強くしすぎてはいかんし優しくしすぎてもいかん。


[片方でふんすとできたらもう片方が通ずるように鼻を摘まんでやろう]


  一度興ればしばらくは萎えぬし。
  弄りすぎれば先端から白いねばねばの液体が出る。


[それは宛ら――]


  そう、女子は大きくなり子を成すと胸から乳が出るが。
  男児は此処を大きくすると先端から汁が出るのだ。

  それなりに生臭いものだぞ。


[じたばたしたことで丁度リンの股間に直立したそれが挟まり先端だけが頭を覗かせていたようで、ほれ、ここからだと男は先端を示した]

  お主がもう少し成長したらな。
  もう少し詳しく教えてやろう。
  お主が言うように知り合うには色々とやり方がある。


[リンが落ち着いたら肩まで湯に浸かろう]


  逆上せぬ間に温まれば上がるとしよう。
  今宵は眠りの詩を聞かせてやろう。


[そう頭を優しく撫でてやる*]


[ これ程までに声を上げ身に触れても、目一つ開けず反応も無い千
 暮らしの中健康的に変わった筈の肌は、また白くなってしまった。

 取り戻してしまった記憶が、
 目前で大切なものを喪う悲劇が三度目であることを理解させる。

 戦慄く唇、震える身体。
 かっと見開いた紅の目尻に水が溜まっていた。

 喪いたくない、喪いたくない、……喪いたくない。
 直ぐ其処にある終わりの前で、
 尽くす手も見つからず、それでも諦められない鬼は

 ──やがて、気づきに至る。 ]



[ 
ならば此処にあるじゃないか。

 山の獣の命を啜り得てきた、潤沢な
 六尺の身体を動かせる程のそれが!

 鬼は笑みを浮かべていた。
 それは日常の中、千の隣で時折緩んだ表情とよく似たもの。

 抱くのは村人への憎悪ではなく、愛した者を守れる喜び。
 常軌を逸した思考に至っても、鬼は花嫁の愛した鬼のままでいる。 ]




待っていろ、千

[ 上向きに千を横たえ開いた大口は、無論彼に牙を剥きはしない。

 持ち上げた自らの逞しい腕の、太く血管が流れる手首へ
 ──鋭い犬歯を突き立て、一気に噛み切った。 ]

ぐ……っ


[ 堪らず漏れる呻き声。
 躊躇いの無い自傷行為は外敵に与えられるのとは違う痛みを齎す。
 それでも、止まることは無い。

 顎を持って口を開かせ、押し当てるように傷口を触れさせる。
 その喉に鬼の血が流れ込んでゆく。 ]



生きろ、未だ死んではならない
どうか目を開けてくれ……、私の元へ戻ってきてくれ

[ 急激な失血とこの場に漂い続けている濃厚な血の芳香
 この人間を喰らえと、足りぬものを補えと叫ぶ本能。

 その一切を無視し抗いながら、
 鬼はひたすらに血を注ぎ、呼び掛け続けた。 ]*


[鬼の行ったことは、花嫁の死を前に冷静さを失ったとしか言えないもの

だがその行為は確かに、直ぐ途絶える筈だった呼吸を繋いだ。
されるがまま流し込まれている内にその音は大きくなり、やがて噎せ、吐き出す動作を挟むようになる。
しかし厭がるような素振りは無く、苦しみながら自ら喉を鳴らして取り込んでいった。

狂気的な救命が続き、外がすっかりと宵闇に閉ざされた頃
残された片目がゆっくりと開き、目前の男とよく似た彩りを晒す。]



[そして相手を退けるように起き上がり、素早く距離を取る。

汚れた床に両の腕をつき、膝をついたまま腰を軽く上げたような姿勢
荒い呼吸音を響かせながら睨みつける姿は、領域を侵された獣に似ている。

獣じみたその者は紅鉄坊に飛び掛かり、太い手首を掴んで引き倒そうとした。
もし体躯の差でそれが叶わなくとも、糧を求める本能は血を流す部位だけは離さないだろう。]

[地獄じみた血潮の世界、
        最早此処には鬼しかおらぬ。

浄土へ旅立つ人の子留めるならば、
        同じ道へと堕とすしかない。]


[血に塗れた、死装束に似た白い着物姿に、乾いた紅がこびりついた幽鬼のような色の顔。
手首に食らい付く勢いで命を啜り上げる白髪の男。

一体どちらが鬼なのか分かったものではない光景。いや、もう既にどちらも鬼なのだ。
なり方が特殊だった故か肉は全く喰らおうとしないが、似た存在と化したことに変わりはないだろう。

理性に欠いた獣の如く果てた存在を、紅鉄坊がどう扱っても
やがて肩の動きは安定し、瞳に知性の光が宿る。
いつの間にか新しい血は流れなくなり、着物の下で全ての傷が塞がっていた。]



 ……紅鉄様、俺は

[紅い左目が困惑を宿し、紅鉄坊を見上げる。
覚えているのは死に瀕し力なく目を閉じるまでの出来事。少なくとも、今は。

半分になった視界に未だ慣れないのか、目元に触れたりあちこちに目線を滑らせた。
惨い傷を目にし痛ましげに表情を歪めて、許されるなら腕を取り掌に頬を擦り寄せる。

労るように、許しを乞うように、──再会を喜ぶように。*]



よし、よし……もっと飲め

[ 目から耳から伝わる明らかな変化は、鬼の心に再び希望を灯した。

 すぐに潰えそうだった息は、耳に届きやすく強くなる。
 咽れば上体を上げ、背を軽く叩いてやる。
 明らかに血を求めている様子が、
 この行いが間違いではないと示していると鬼に感じさせた。

 その思考は──ある意味では正しく、一方ではそうではない。 ]



千!   ……?

どうした、私が分からないというのか!?
血なら幾らでも飲んで構わない、だから落ち着け!

[ やっと開いた目に喜んだのも早々、異様な様子に気づく。

 人道を踏み外し、暗がりの世界へと堕とされた千
 もしかしたらかつてより力を増していたのかもしれないが、

 そこは腕っぷしと頑丈な身体を取り柄として生きてきた鬼
 引き倒されることはなく、
 むしろ片腕で抱くように捕まえることに成功する。 ]



まさか、私は……

[ 警戒し攻撃を仕掛けてきた様子から一転
 或いはそんなこと気にもしていないかのように、
 一心不乱に啜り上げる姿に漸く気づきが及ぶ。

 自ら千を同胞へと変えてしまったのだ、と。 ]

……それでもいい、生きていてくれたら、それでいい

[ 幾分かの動揺を与えられたが、振り払う。

 命すら啜られているような容赦のなさに痛みを堪えながら、笑った。
 鬼が望んだのは花嫁が生き長らえることであり、
 人間であり続けることではない。

 どんな存在になろうと千は千に違いなかった。 ]




…………ああ、ああ、嗚呼

[ いつしか降りていた闇の中、全ての変化を捉えることは
 視界からも余裕からも叶わなかったが

 知性の光が一つ紅に灯る瞬間を、その目は間近で視た。
 それは鬼から言葉を奪い取る程の光景。
 あれ程苛み続けていた痛みと食欲が、今は全く感じられない。 ]

お前は、助かったんだ
今はそれだけ分かればいい

 [先程までの姿を想えば、戸惑う千に記憶がないことは察せられる。

 しかし今は多くの説明はせず、掌に齎される感触をただ受け入れた。
 背にしていた壁に千を抱えたままで寄りかかり、
 力を抜いて腰を落ち着かせ、それから。 ]




   契りを守る義理など元来ラサルハグにはなく
   一方的に反故にすることも厭わない。

   しかし直ぐに村に伝えることは無いだろう。

   契りを反故にされた事を
   直ぐに伝えられた村人は何を思うか

   忌み嫌うにも一定の理解が必要なのだ。
   故に人間を忌み嫌う蛇にはその愚かな道程を
   想像するのは難しいことではない。






   本当の愚か者は己が愚かであることにも
   気づくことがない。

   朽ち果てる寸前になって尚も喚き続けるだろう。
   自身が何に守られているかも忘れ。







         
 ソフィア

    「「「「「あの女のせいだ!」」」」」











      そう、喚き続けるのだ。










   しかし村の行末を見守るのもまた新たな契り。
   村を滅ぼすのは彼女の本意ではないのだから。




          ならばラサルハグの取る手段が
          一つに定まってくるのは自明であろう。




   




 ***

   己の行動は彼女を幾度か驚かせたらしい。
   その度に大丈夫だと告げることになるだろうが
   それも繰り返せば慣れてくれたようだ。

   ソフィアを娶ると決めた日から
   ラサルハグは人の姿で隣の村に足を運んでいる。

   彼女が生活が出来るように。
   そして己が彼女の様式美を知るために。
   しかし実際に必要なものは彼女がここに来て
   初めて知ることになるだろう。
   本人にしか分からないことなのだから。









      「お前に出会わなければ知ることも
       決してなかったのだろうな。」


   彼女が村に閉じこもったままでは
   知ることが出来なかったというのならば

   洞窟に一人閉じこもったままでは
   ラサルハグは知ることが出来なかっただろう。

   それもまた運命と呼べるのだろうか。







           ────犠牲を忘れることなかれ。



   己の願いを叶えた彼女を
   ラサルハグが生涯忘れることはない。

   彼女が全てを忘れなかったのに同じ。

   ラサルハグはソフィアという賢者の歩み。
   その歴史の語り部となることを決断する。

   




   時の刻みは種族の壁を超える。
   普遍の真理の前には全てが無力のまま
   長い時の中で朽ちていくのが摂理。

   しかし、無力でありながら無価値ではないと
   ラサルハグにその気付きを与えたのは
   紛れもなく彼女である。

   今宵もまた互いの選ぶ道が重なろう。

   ラサルハグは柔らかに微笑み
   裏葉柳に水を与えるがごとく彼女に語りかける。




 

  『賢く強く、育ちますように。』

  あなた達に与えられた名前に恥じない人間に

  私はなれているだろうか。



── ▷ epilogue  ──   

 



  フライパンに被せた蓋を開ければ
  もわ、と湯気が立ち上がり、
  美味しそうな匂いを辺りに振りまいた。

  すっかりと出来た移住スペースで調理中。
  焼けたものをお皿に載せると
  クリームを全体に塗り、果物を飾り付けていく。


   「 出来たわ! 」