162 【身内】奇矯の森【R18G】
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「うん…いいよ。あんまり物、ないけどな。」
常に浮いている青年は、殆どの家具がまともに使えない。
椅子にも座れないし、机だって使えない。
高さを調整できないのだ。自力では。
あるのはせいぜい、一応置いてあるベッドだけ。
…というのは、部屋に一度でも来ていれば知ってる事だろう。
「初めてだな、一緒に寝るの。」
二人で、は初めてだ。
そもそも青年はこんな体質だから、
ぎゅっと抱きしめられでもしない限り、一緒に寝ることはできない。
皆で一緒に寝る時も、皆が寝静まるまで宙で子守唄を歌ってたものだ。
そうして君を連れて、部屋まで。
お風呂は済ませた、歯磨きも。きっと後は寝るだけ。
「ノル………抱きしめてくれる?」
両手を伸ばして。
君が受け入れてくれるなら、人肌の温もりを伝えて、
君と同じ高さにまで降りることができるだろう。
「僕の部屋は物ありすぎだよ。狭いかなって」
遊び道具とか置きっぱなしにしちゃうし。他の人用のクッションも転がしてるから。
これだって君はよく知ってるだろうけど。
「ね、初めて。僕のひとり占めなの」
寝る支度も、するならみんなで一緒にするほうが多かった気がする。それも好きだけど、これも好きかもしれない。
「ん、ちゃんと押さえとくからね。
今日は先に寝ちゃっていいよ?」
ぎゅっと受け入れて、掛け布団の中に引っ張り込む。
自分の体温はあまり高くないから、とてもあったかく感じる。
もっと早くこういうこと、しておけばよかったな。眠るまでずっとそこに起きてる人がいるの、いつも安心してた。一人きりじゃないってわかるから。
子守唄はうまく歌える気がしないから、かわりに背中を撫でる。今日は先に寝ちゃわないように。
「いいじゃないか、皆が来たがる部屋さ。」
他の人が来るから、他の人用のクッションがあるのだろう。
遊び道具だって、皆と遊べるタイプのものである事を知っている。
君は少し甘えん坊だけど、ちゃんと下の子達のお世話をしてくれる偉い子な事、青年はしっかり知っている。
「ふふ……今日だけだぞ。
今日だけノルのものだ。」
くすくす、笑って、此方からも手を伸ばす。
抱きしめて、離れないように。
久々の掛布団は、二人分の体温ですぐに暖かくなった。
うと……とする。
色々な事があって、疲れた。
明日から、明日からはちゃんとするから、今だけは……
「…おやすみ、ノル…………」
小さく、呟いて、ひと際強く抱きしめて。
そして。
しばらくすれば、君の耳元で、すぅ、すぅと小さな寝息が聞こえてくることだろう。
「そうだったら、嬉しい。人気者みたい」
でも僕が特別人気者なわけじゃないのを知ってる。みんなが優しいんだ。誘ったら一緒に遊んでくれるんだから。
「おやすみ、ベリ兄」
今日だけ、の心地よさの中。
あなたの寝息を聞いて安心しながら、右手をあなたの背から離してベッドの外へ伸ばす。
透明な手の上にある、4つの小さな足の感触。そこに声をかける。
「チィ、チィ。助けてね。君の友達も……」
……いろんなこと、諦めるのは簡単だ。最初から期待してないから。
でも唯一諦められないのは、この先の不幸。みんながこの先ずっと冷たい場所に追い遣られることだ。もしかしたらバラバラになって。
「……ずっと一緒だよ」
兄の体に顔を埋める。
君を、君たちを早く、誰にも触れられない場所へ。
| >>57 モノオキ 「ん」 見れているようだとわかれば、同じような短い返事を返した。 少しずつ惜しい言葉たちを聞く。花丸も相まって、賛成なのは伝わった。 >>58 ノル 「俺、力はあるから」 こういう計画とかはてんでダメだけど。 抱きかかえるのとか、柵を立てるのとかにはうってつけなんじゃなかろか。 立てられた親指には動作を返しもしない。コルクボードをもう一度眺め。 満更でもなさそうにちょっと笑ってから、のんびりその場を去った。 (60) 2022/07/17(Sun) 1:30:31 |
| クローディオは、冷蔵庫にモモやブルーベリーをしまってある。みんなの分。 鍋に汁も残ってるかもしれない。 (a31) 2022/07/17(Sun) 2:23:52 |
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