245 【R18】×××な部屋に閉じ込められた王子様と騎士の選択
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[わたしが首を縦に振らないでいると、男はさらに調子付いて続ける
]
女の子に振られちゃって、とは。それは、わたしか。
娼館には行ったけど、事を成さなかった?ええッ?!
]
一人で寝るの淋しいって、
わたしを男だと思っていた間は、
一度も言わなかったではないか、……今さら言うな。
[と、わたしは呆れて溜息を吐く。
それから、ふふ、と苦笑を浮かべて小さく吹き出した。
これまでの内容はともかく、
必死なのはヒシヒシと伝わってきたから]
……わたしも、お前に聞きたい事がある。
[目を逸らした男を見守る視線には優しさを込めて、
静かな声で訊ねる]
お前の事は騎士として従者として、とても信頼している。
忠誠心も見上げたものだ。
わたしにずっと仕えてくれて、支えてくれる。
男だと思われていた頃から、変わらない。
……だが、試練の間で交わった後で、
お前はわたしに体を求めるようになった。
[扉が開いた後で、
もう一回と台座の上に押し倒された事を言っている]
男の間はずっと性の対象にならなかったのに、
女になった途端に求めるのは
あの場でたまたま交わって、弾みが付いたのではないのか?
お前の中で、わたしに対する認識がどう変わったのか、
……聞きたい。
[昨夜、試練の間を出た時からずっと頭の中に
浮かんでいた疑問をぶつける。
わたしは、ずっと前からお前に想いを寄せているが、
無論女性としてだ。
今まで男だと思っていた相手が女になったからといって、
急に恋い慕うようになるなんて、本当にあるのだろうか。
肉体を求める欲求に、気持ちは乗っているのか。
ただの性欲対象として見なすのであれば娼館へ行けと、
誇り高い主はそう言外に問うている。**]
| [元々そんなに酒好きという訳でもない。 し、朝方こっそり飲んで来たし…… 主が飲まないのに俺が飲むなんて選択肢、ハナからなくて。 感心された >>23とは露知らず、 俺はぶどうジュースあたりを適当に飲んで、 王子にもきっと勧めただろう。 穏やかな気持ちだったのに、 王子の言葉で食堂を後にする足取りは重く、 部屋で聞いた話は、衝撃をもたらした。 椅子に座る事を断って立っていたけれど、 座っていた方がよかったな、と途中でちょっと思った。 それでもそのまま王子の話を聞き終えて、 扉の方ではなく、王子の方へ向かった。 >>24] (25) 2024/01/26(Fri) 21:35:42 |
[クローゼットの前の王子と距離を詰めると、
少し緊張させてしまった、と感じた。
わざと近すぎるところまで踏み込んだけど……
警戒しないでほしいという気持ちと、
意識してくれるなら嬉しい、という気持ちが混じっていた。
プレゼントを差し出せば一瞬驚いた顔が見えたが、
徐々に強張りが解けて、
美しい栞が王子の手元に収まった。
ああやっぱり、似合う。
これにしてよかったと思ったし、
嬉しそうに胸に抱いて微笑んでくれる姿を見ると、]
……はい。
[俺まで馬鹿みたいに嬉しくて、ちょっと気恥ずかしい。
「光栄です」って言おうと思ったのに、
こんな短い言葉しか出て来なかった]
[それから次の話を持ち出したら、
もう一度椅子に座る様に促された。
流石に二回断る訳にはいかなかったから大人しく座り、
ベッドの縁に腰掛ける王子に目線を向ける。
男と二人きりの部屋でベッドに座るのよくないって、誰も教えてくれなかったのかな……と、彼女の無垢さに心の中でため息をつきつつ。
ともあれ、明かされる内容に
必死で耳と頭をついていかせる。
俺は馬鹿ではないが、王家の内情など知り得ないし、他の国がどうという知識も無い。これが普通なのかどうかと判断ができない。
けどつまりは、サイン王子の代わりに生きる、という事か。
それなら男として、王子として生かされたという事に筋は通る]
―――……いや、
偽ったってもう女が生まれてるじゃねェか……
[王子の意思も聞いた上で、
俺はただそんな事をぽつりと呟いた]
[けど今話された事について、
俺がどうこう言う事は、今はなかった。
もう夜も更けて来たから。
夜は寝る時間だから……俺はこの、二人で過ごせるだろう最後の夜に、突拍子もない事を提案した。
当然王子は驚いて、
それから痛い所をつく。
ええやだなあ、振られたのが初めてだから一人で寝るの淋しいって言ってるのに。
そんな風に調子よく言い返そうと思ったのに、
思いの外胸を抉られたのか、目線を逸らしたまま]
……なんですか。
[王子の方がため息の後に笑ったと思ったら、
聞きたい事、だって。
何だろうと思って目線を上げて耳を傾ければ、
さっき大声を上げたのとは別人の様な優しい表情と声の王子がいた。
……何だろう。
聞きたい内容はわかったけれど、
そこから何を知りたいのかが、俺は掴みかねた。
けれど黙って全部聴いて……背もたれに少し、体重を預けた]
[キシ、と音が鳴った方を少し見遣って]
認識、ねェ……
[そう繰り返す。
本人に問われて、改めて自分に問うたら、
言葉にするのは結構難しいな、と思った。
それに、言ってしまっていいものか、悩む。
顎に指先を当てて少しだけ思案する]
かわいい、って思いました。
今も 思ってます。
[真面目な話し合いなのに、
この口元にふっと笑みが浮かんだが
王子の顔を見て、かわいいと思って、自然とそうなった]
女の子だってわかってから対象になったのは
俺は男に興味ないんで、そうなんですけど。
[正直、男だったとしてもあのまま抱いてたらきっとかわいいって思ったけど……現実の話じゃないから、これは置いておこう]
交わったのはたまたまですけど、
そのたまたまで、気持ちが生まれちゃ
駄目なんですか?
俺はずっとシール様を尊敬して、
人間として好いていました。
だからきっと……強く思ったんです、
俺は、
[そこまで続ければ、椅子から立ち上がり、
ベッドに腰掛けた王子のもとまで歩み寄る]
あなたを抱いた時、
もう離したくないって思いました。
これからも騎士として、師として、
それからできれば男として、
傍にいたい、と。
……それから、今は
[彼女の顎を持ち上げて、こちらを向かせる]
あなたをもう一度、
女にしたい。
……王子に、戻したくないです。
[話を聞いた後では、そう思ったんだ。
王子は望んでその運命を受け入れているのかもしれない。これまでも、王子を嫌だと言った話は聞かなかったと思う。誇り高い王子の本心は、俺にはまだわからない。
だから切なく告げた後、そっとその唇に口付ける。
抵抗されれば、無理矢理にでも。
俺の体温で、彼女の唇が解けて本心を語ってくれないかと、
祈りを込めて。**]
[男と二人きりの部屋で、ベッドに座ってはならないと
教わらなかったが
従者と部屋で二人きりになるなとは、旅立ちの前に
母からきつく言い渡されていた。
その前提が崩れた後については、無知なままである。
しかし、その位置で語り明かした内容は、
すぐに理解し難いものだったと思う。
彼が漏らした小さな呟きは、こんなに静かな部屋だと
耳に届いてしまう。
わたしは小さく頷いて、薄く苦笑いを浮かべる]
ふふ……真実は、男女の双子だけどな。
けれど話した通り、
今の王家には、世継ぎの王子が二人必要だったんだ。
二人で一人の王として、国を支えていくために。
だから、わたしの独断で
王子をやめるわけにはいかない……。
[ずっとそう言い聞かされ、自分でも言い聞かせて生きてきた。
王家のため、国のためにそうあれと。
なのに、生まれてきてずっと守ってきた信念が、今になって覆されようとしている。目の前にいる男と、彼に対するわたしの気持ちが加速することによって。]
[わたしはこの期に及んで、この男から何を引き出そうとしているのだろう。
これを聞き出して、万が一望む答えを得たとしても、だ。
男として生きよと命じられたわたしに、
女として愛を受け入れ生きる選択肢など、
どこにもないというのに。
……聞くのが怖いが。
一時の弾みで体を求めましたと返答があれば、
わたしは男に戻れる。
仮にそう告げられたとしても、
彼が忠誠心高い騎士である事には変わりないのだから]
……。
[わたしの問いに対する返答を探る姿を
祈るような気持ちで見つめる。
問いに含めた単語を繰り返されれば、
真剣に考えてくれている様子が伺える]
[この後でこちらに返す言葉は、きっと本心からだろう。
そう信頼を置いて、続きを待っていたら、]
(
かわいい、
と言われてしまった……。)
[恐れながら待ったのと異なる内容に、
不意を突かれてときめいてしまった。
また、言葉に添えられた笑顔が優しくて、
素敵で
その口元から目が離せなくなってしまう。]
[続く言葉も、もはや冷静には聞けなかった
気持ちが生まれたと聞いてしまって、喜びに胸が打ち震える。
ちゃんと元になる思いがあって、
そこから気持ちが派生したのだと。
問いかけた時に、本心から欲した言葉が聞けて
今度は胸が苦しくなる。
こんなに、嬉しいのに。
素直に、喜びたいのに。
後ろめたさが同時に湧くのは、信念が揺らいでしまうから、か]
…───、
[わたしは両手で胸を抑えながら、俯いた]
[男が椅子から立ち上がると、わたしの目の前に来た。
視線の先に、男の足元が見える。
二つの相反する気持ちがせめぎ合って苦しい。
顔を上げられずにしていると、情熱的な思いがこめられた言葉が、次々と降ってくる
]
……、ぁ…
[顎を取られて上に向かされる。
視線を合わせたまま、一途な思いを告げられる。
その目元が、切なげに揺らいで、]
…───、んっ
[そのまま、二つの唇が重なった]
[唇が触れた拍子に肩が小さく跳ねたら、
その上に手が置かれたかもしれない。
重ねた唇は柔らかくて優しくて、熱い想いが伝わってくる。
試練の間でも最初に口付けを交わしたけど、
あれ以上にゆっくりと時間をかけて、互いの体温を分け合った]
……っ、…エース
[ようやく唇が離れた後で、名前を呼ぶ。
こちらを覗き込むような視線と間近に見つめ合うと、
瞬きと一緒に、大粒の涙が零れて頬を伝った]
……ッ、お前…、さっきの話を聞いた上で、
わたしを女にしたいって、……
それが、…どういうことか、
分かって言ってるのか……?
[一度口を開けば止まらない。
信念が大きく揺らぐ。感情の渦に巻かれるようにしながら、
堰を切ったように言葉が溢れる]
どうするんだ、…?
わたしが王子で、なくなったら、
……王が困る、…国が困る、…民が困る、
みんな、困る……
サインが王になったら、支えてあげないと……
わたしが女になったら、誰がどうするの……?
[男の胸倉を両手で掴んで揺さぶる。
気持ちと一緒に両目から涙が溢れて止まらない。]
わたしを、女にしないで…ッ
でも、……女になりたい……
[二つの想いがぶつかる。更に胸倉を揺さぶったら、
襟元がはだけて揃いのペンダントが目に入った]
…───!
[二つの想いを乗せた天秤が、片側に急激に傾く。
生まれてからずっと、呪縛のようにまとわりついていた信念が、音を立てて崩れていく]
わっ、わたしだって、
お前の事がずっと好きだったんだからなッ
でも、気持ちを認めて向けてしまえば、
わたしは、女になってしまう
女になったら、弱くなってしまう…
側にお前が居て欲しいって、
守られたいって、願ってしまう、
わたしは強くなって、弟を守らないといけないの、に……
[胸元から離した手を差し伸べれば、
強く体を抱き締めてくれただろうか]
……お前のせい、だ
こんなに好きなのは、お前のせいだ……
女にしたいって言われて、
嬉しいに決まってる……どうしてくれるんだ
お前にも責任があるぞ
わたしはもう、……
| (a0) 2024/01/27(Sat) 9:35:46 |
[先程までより距離があるのに、この静かな部屋の中だと俺の小さな呟きも聞こえてしまうらしかった。
何もかも自分で手に入れないとならない代わり、
何にも縛られず自由であった俺とは生きる世界が違う。
わかっていた事だけれど、すぐに理解し難い話だ。
ただ、「独断で王子をやめるわけにはいかない」との言葉が
強く俺の心に残る。
実際やめる訳にいかないかどうかに関わらず、
王子はそう思っている事を、俺は理解する]
[王子の話をひとまず聞き終えたら、
今度は俺が話を引き出される番だった。
あんなに凛とした態度で聞いてくるから、
俺はちょっと尋問されている様な心地だった。
答えを聞くのが怖いと思われているとか、祈る様な気持ちだったなんて、露知らず]
……、
[別に機嫌をとろうとか、
口説こうとかいうつもりはなかった。
俺の「かわいい」にはそんな気持ちは含まれてなかったから、
笑顔はなくとも、彼女が纏う空気が変わって、
俺は笑みを崩さないまま、内心胸が思い切り擽られた]
[もう気持ちを告げる事は止められない。
否、止めようという気すら起きなかった。
このまま予定通り、
王都に向かうのが正しいと思っていた。
今夜だけ、交わらずとも一緒に寝て、
その思い出を今後抱いて生きて行けるのではないかと。
でも彼女がそんな、
嬉しそうでいて苦し気で、
恐れを抱いていそうで、希望を見ている様な顔をするから。
俺の言葉に、
心を乱されてくれるから。]
[苦しそうに胸を抑える彼女のもとまで近付いて、
顔を上げてくれなくても、
目の前の少女に俺の気持ちを降らせる。
もう一度、立場とか試練とかそういうのを全部取り払って俺が女にしたいと告げて、唇を重ねた。
その間際に情けない目をしているのが彼女の瞳に映ったかもしれないが、そんな事より、振り払われなかった事が……嬉しかった]
[俺の言葉に乱される姿も、
顎を取られて小さく漏れた声も、
キスを受け入れる唇も、小さく震えた肩も、
もうどうしようもなく女の子だけど。
大きめの服に隠れても細いと知っているその肩に手を置き、
想いを伝える為のキスを彼女に贈る。
無駄に吸ったり舐めたりしないで、
ただゆっくりと触れ合わせて―――、
俺の理性が残っている内に、ふっと唇を離す]
シール様…… ……?!
[彼女に応える様に名前を呼び返したけど、
そんな風に見つめ合ったのは少しの間だけで。
瞬きをしたと思ったら、その大きな瞳から涙が零れ落ちて、
俺は動揺してしまった。
肩に置いた手はそのままに、
彼女の涙の理由に耳を傾ける]
……シール様
[どういう事かわかっているのか、と。
勿論、わかっている。
……わかった気になっているだけかもしれないけれど、
少なくとも、考え無しではない。
洞窟を出たあたりから考えていたけれど、
実際にそうするかは、決められなかった事。
彼女は王や国や民が困る、と泣いている。
本当に、他人想いの立派な王子だ……
でもそんなの、彼女だけが背負わなくていい事だ]
シールさま……
[そう説得しようとしたけれど、
取り乱した彼女は俺の胸倉を掴んで身体を揺する。
大の男をこんなに揺さぶる事ができるなんて、
彼女は本当に真面目に鍛錬をこなしてきたんだ……。
けど……、]
[女にしないでほしいと言うのに、
女になりたいと言う。
悲痛な願いを聞いて、俺は思わず眉を顰める。
それなら俺の手で無理矢理女にして、
全部俺のせいにしてしまえばいい。
そんな仄暗い気持ちが噴き出して来るくらいに、
男として育てられた彼女の運命を呪った。
けれど、
激しく揺さぶる彼女の手が俺の襟元を肌蹴させて、
そこに彼女の視線が、気持ちが注がれる]
シール様……?
[はっとした様な顔の彼女を見つめれば、
更に吐露された彼女の秘密と本音に、
え、と唇だけ象って、声を失ってしまう]
(……シール様が、俺の事……?)
[そんな思いもよらなかった事に気を取られそうになって、
彼女の話をちゃんと聴かなければと、意識を彼女の心に向けた]
[でも、ずっと好きだったなんて、
傍に居てほしいって、
守られたいって願ってくれるなんて……、
夢の様に嬉しくて堪らない。
彼女からこんな言葉を聴けると思ってなくて、
差し伸べられた手に俺は、自分の震える手を伸ばして、
彼女を強く、強く抱きしめた。
腕の中で彼女は尚も俺に心を向けてくれる。
それは悲しくて切なくて、
でも、無垢な想い、そして、]
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