202 【ペアRP】踊る星影、夢現【R18/R18G】
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| っふ、なにその歌。たまごの歌の仲間? [米を握りながら上機嫌に歌いだすのを見て小さく吹き出した。 たまごの歌とは、子供のころの動画を見る機会があった時、3歳児の柚樹が似たように歌っていた歌のことで。 それもたまごたまごとメロディーに乗せるだけのオリジナルソングで、基本的にテーマの食い物名しか歌詞にはならないようだ。] えっ、それ焼きおにぎりにすんの?めちゃくちゃ美味そう。 [おにぎりはどうやら焼き味噌おにぎりになるらしいことはふき味噌を塗りだしたとこで気づいた。 魚の身と胡麻とおかかを混ぜたやつも絶対美味しいやつだし。 その間までに何度繰り出されたかわからない"とら"呼びにここまで忍耐できてよかった。 多分、食欲に振り切っておこうと思ったんだろう。 網の上で焼かれるおにぎりを見て心頭滅却しよう、と冷静に考えたら意味不明なことを思いながらおにぎりを見ていたのだけど。 唐突な質問に、集中が乱されることにはなった。 >>192] (196) 2023/03/13(Mon) 15:57:08 |
| [───焼き味噌おにぎりの焼ける匂いが漂ってきたら、そっちに意識はいきますよね、わかります。
うん、食べるよ、食べたいし。おにぎりも。 のろのろと体を離して、焼けて良い香りの蒸気を発しているおにぎりを皿に乗せてもらえば受け取った。]
ぁっつ……、 ……う……、すげえ美味い。
[素手で持とうとしたら当たり前だがめちゃくちゃ熱かったので、箸で割って口に運ぶ。 わかってたけど美味い。焼けた味噌の風味と米のカリカリになった部分が嬉しい。
手元の皿の上で少し冷めてきたら結局手で持って齧る方には移行した。 熱々のも良いけど、おにぎりはやっぱ齧った方が美味い気がする。 混ぜご飯になってる方もやばいくらいに美味いな。
残りもだいぶ少なくなった酒をグラスに注いで、熱で痺れた感じのする舌を冷やすついでに流し込む。 酒にも当然のように合うし。飲みの〆にはぴったりだと思う。
おにぎりを食べてる間は集中していたので、大分心頭は滅却できたかもしれない。]* (197) 2023/03/13(Mon) 16:00:11 |
[語りかける声は優しく、穏やかで。彼にそのような安らぎが訪れたことを嬉しく思う。
この場所にきてもうどれだけたったのだろう。
はじめは、二人だった。やがて、ひとりになった。
ひとりでいることはさみしくて、かといっていなくなってしまうこともできなくて、そのうちにどこにも行けなくなってしまった。
ここでたくさんの夢を見た。
こわい夢も、わるい夢も、とてもたくさん。けれど、最後の最後に、あたたかい夢を見ることができた。そして今、夢から覚めても、まだあたたかい。
あとどれだけ自分は生きていられるだろう。少しでも長くいられるといいと思う。そのために、できることはなんだろう。]
あのね、
[首をすこし傾けて、声が彼の耳に届くように顔を向ける。]
おなかがすいたの。
たまごがたべたい。
[“食べるということは、生きることと同義です“
夢の中の自分がそう言った。
きっとそうなのだ。どうあれ、食べることは生きることに繋がっている。
だから、まずはここから、はじめよう。]**
| [帰ったら必殺技みたいなケーキと、お花見と、ホワイトデーってもうそろそろだったよな。 バレンタインのお返しはするつもりなので。
旅行行って温泉入りたいって話の詳細を詰める前に叶ったのはラッキーだったかも。 しかも、想定に入れてなかったキャンプも出来るというおまけつきで。
一緒に食べたいものもたくさんある。 花見の弁当も楽しみだし、頬肉が食えるくらいでかい魚の頭が食えるような旅館とかも行ってみたい。
したいことは増えるばかりで大学の春休みは長いけど、あっという間に過ぎてしまいそうな気がする。]
えっ、オレもそんなにベタベタはしてないが?
[服に手を突っ込んだりもしてないし。ちゃんとキスもしてないし。
柚樹の方は物理的にベタベタしてないとしても呼び方……!! とは何度も思ったが、結局指摘はできそうになかった。
それに、おにぎりの歌を歌いだすのは酔っ払いだと思うんだが。] (202) 2023/03/13(Mon) 19:18:54 |
| じゃあ、食い物の種類の歌がこれからも増えるんだな。 [柚樹は好きな食べ物いろいろあるし、レパートリーが増えるのを楽しみにしとく、と笑って返す。 >>199食い物限定だと思っていたので、続けられた宣言に、うぐ、と変な声が出た。魚の骨は詰まってない。 歌の法則だと、とらとら連呼する歌になるわけで。 即死呪文を詠唱され続けるようなものだ、死ぬかもしれない。 起きた時には忘れてることを願っておこう。 酔いが覚めたらそんな歌を作ろうとはしないと思うが。] (203) 2023/03/13(Mon) 19:19:17 |
| [当初の質問の返答としては正しくないことを二回も返したのに、柚樹の方がご機嫌だったからまあいいか。 >>-403やっぱりオレは間違えたことは言ってなかったようだ。] うん、柚樹の勝ちだよ。おめでとう。 ご褒美いる? [肩口に顔を埋めたまま、柚樹の腕が動く気配に抱き寄せようとしたところで、伸ばした手が空を切った。] 上手に焼けたね、おめでと……。うん、食べる。 [上機嫌のまま網の上から焼きおにぎりを皿に移すのを見て脱力しながら、おにぎりはちゃんと全部食べた。 酒も綺麗に飲み切れたし、後片付けは楽そうかな。] はー……、美味かった。 ごちそうさま……、っと、大丈夫? [立ち上がった瞬間、柚樹の頭が一瞬下方に傾ぐのを見て体を支えた。 >>201大丈夫と言ってはいるけど、酔ってはいるよね。] (204) 2023/03/13(Mon) 19:20:21 |
[彼女が食事を乞う。その言葉がとても嬉しかった。
声はまだ弱々しいけれど]
卵か……、鶏飼ってたりしねェよな?
買ってこようか。
[小屋がこの有様では、ろくに食料が保存されていると思えなかった。
村まで行って食料を買う生活が続けば、森の中に住んでいる人がいると知れる可能性は気にかかったが……。
食べないわけにはいかない。特に今の彼女は。
二人とも“狼”として食べたいものが別途あるとはいえ、ヒトとしての食事もまた生きるために必要なのだから。
こうして、この地での彼女との二人暮らしが始まった。
これは彼女が旅に出られるほど回復するまでの一時的なもの。楓はそう思ってはいたけれど、それが結構な長期間になりそうなことは予想できていた]
[共に暮らし始めて間もない頃、彼女が無理なく会話できるようになった頃合いに、楓がふと脈絡無く紡いだ言葉があった]
なあ、椿……
“いらないもの”なら後に残るはずねェよな?
後に残るのって、それだけ重要なもの……、
存在の核とか、柱や基盤とか……
そういうものなんじゃねェのか……?
[それは確信というより、そうであってほしいという祈りだけれど。
あの夢から覚めた後、彼女に思いを馳せる間に考えついたことだった。
たましいを善と悪のふたつに分けて、悪を滅する。それが彼女が生み出された過程で、彼女は滅せられる側──不要物と扱われた側だった。
それなら、どうして先にもう片方が消えたのか? どうして滅せられる側だったはずの彼女が後に残ったのか?
真に滅せられるべきは向こうだったのか、それともどちらかを滅するという考え自体が誤っていたのか……そこまでは楓に理解の及ばないことだが。
楓にとって、彼女は間違いなく『存在していてほしいひと』だ。それを補強する理屈がどうしても欲しかったのだ]*
[初めのうちは楓が食事を作ろうとしただろうけれど、そのうちに彼女が作ってくれるようになったのだろうか。
彼女が歩けるようになったなら、短い時間でも共に散歩しようと誘っただろう。
楓は彼女と一緒にできることが増えるたびに喜び、彼女が望むことを果たす助けであろうとした。寄り添い、支え、尽くし、触れ合った。連理の如く]**
[やわらかな温度が、いつもの温度が。
待ち望んでいたぬくもりが触れてまた涙が零れていく。
瞼を伏せていて気づけなかったけれど、それはきっと、アスルが零した想いとともに風に攫われ湖へ落ちるのだ。]
なぁに、アスル。
[言えなかったこと。
不思議そうにも、予感しているかのようにも微笑む。
そうして彼の言葉にふわりと瞳に光が灯る。
たくさん見つめ、映し続けてきた群青色と空の色に近づいた瞳。
銀白色に憧れた月のような色の髪が彼の風をはらんで揺れる。
腕を伸ばして包むように抱きしめて。
まつげが触れ合うほど近くで見つめ、幸せを笑みにした。]
私は、ペルラ・ルーチェは、あなたを愛し続けます。
ずっと一緒ね。私のアスル。
[結婚し家族になって、寄り添いながら年を重ねていこう。
今、月明かりに照らされる姿も、ともに。]
[そうして抱きしめ合って。
ふと、目を瞬かせる。]
アスル、やっぱり、随分待たせてしまったのね?
[前髪が伸びてる、と指先で額にかかる髪にそっと触れる。
彼に出会ってからなんとなく感じていたことだが、あの狭間の世界とこちらは時間の流れが異なっていたのだろう。
話したいことがたくさんある。
今の巫女はどうなっているのか、今の島の状況、お互いの家族の話、何より彼のこと――将来の話だって、したい。
でも、今は思うままに。]
アスル、今夜はゆっくりしていても、いい?
話したいこともたくさんあるし、あそこの小屋で。
…………儀式のお役目の後みたいにも、ね?
[耳元で囁く声に、彼しか知らない色。
これからもアスルにしか聞かせない声を紡ぐと、]
――愛してる。
アスルは私だけの風で、自由な鳥で、ずっと大好きな人。
[それは永遠に。**]
一生が何度もあるってすごいじゃないですか……
ん……上手。
タマの方も舐めて?
[まるで心が読まれていたかのように、ビデオカメラのことを言われて苦笑してしまう。
でもそれだからこそ一瞬を切り取ろうとムキになってしまう。
鎖でわずかばかりに余裕があるとはいえ、いつもよりも自由がきかない両手。
彼は唇、口腔、舌、吐息だけを上手く使って、彼の雄を制御する。
そんな彼の髪を優しく撫でて乱し、もっとして? と指先だけでねだろう。
自分に奉仕しているだけでも感じているのか、きついのだろうか、彼の腰が揺れているのが分かる。
彼の喉仏が嚥下するかのように動く。
真空をつくられ、硬くそそり立った箇所が彼の上顎裏のざらついた箇所をこすって。
軽いタッチでシャッターが切れるはずなのに、それがひどく重い。
はぁ、はぁ、と上がる息の中、目の前が白く飛びそうなのを必死にこらえながら、シャッターを切り続けて]
んぅぅっ!!
[立ったままだから、思わず身体をそらして、彼の方に腰を突き出してしまった。
我慢しきれず、放つそれ。
思わず彼の口から引き抜いてしまって、その美しい顔にどろり、とかかった白。それは彼の口元のほくろを隠す。まるで化粧をしているかのように。
見慣れているほくろが、それが消えているのが自分が放った欲の多さを表しているかのようで。
彼を縛るボンテージのエナメルの艶にも白がかかり、光が反射している箇所すら自分の慾が飛んだように見える。
穢されてなお美しい人。
奉仕のせいでこすれて唇が紅くなっているのが、艶やかでますます色っぽい。
ああ、抱きたい。
このままめちゃくちゃに犯したい。
しかし、それは我慢だ]
…………最高の一枚が撮れたと思います。
[そんな風に言って、自分の中の欲を押し殺して隠してごまかして。
しかし、今撮ったこの写真を見るだけで、何度でもきっと自分は一人寝の夜に困ることはないだろう。
そして己ばかり欲を満たしたが]
要さんは、お預け、ですからね。
[片目をつぶって、ボンテージスーツの中の熱を持て余しているだろう恋人にそう言い放つ。
それは意地悪なつもりでもなく……いや、実際少しそういう気持ちがあったのは否めないが……彼が“欲しい”という飢餓感があった方がいい写真が撮れそうだから。
終わったら、いっぱい甘やかしてあげるから我慢して?
心の中で、ごめんね、と謝った*]
ああ、三か月ほどな。
っていうことはペルラはそうでもなかったのか?
[そう聞くと時間の流れが異なっているという風なことを聞くが、プロポーズを受け入れてもらった熱い気持ちと再会できた喜びに、多少待っていた面での辛さなど気にも留めなかった。]
そうだな…俺も話したいこともあるしな。
[彼女が去ったあとどう過ごしていたかとか、二人のこれからこととか。
それに…会えなかった時間と体温を埋め合わせる時間も必要だ。もう慌てなくていいなどといっても、急いた気持ちになるのは熱情故。]
愛してる…ペルラ・ルーチェ…
[彼女だけを永遠に*]
[それから、彼女、元巫女であるペルラが帰ってきたことを伝えにいった。
力を使い果たしたら消えるといういわれる巫女が帰ってきたことへの反響などを考えてこっそりと、村のまとめ役の長老へと伝えにいったわけだが]
「おぉ、新婚旅行から帰ってきたか?」
[第一声はそれであった。は?となったわけだ。
そこから色々と色々と話し合ったが、どうも色々と相違があったらしい。
一番の要因である、巫女が消える。ということに関しては―――だいたいが嫁入りしていく。ということらしい。]
[そこからは長い話が繰り広げられたが大雑把にいうと。相当前の巫女が役目を終えたときのこと、その巫女にちょうどいい年齢の結婚相手がいないということが判明した。
元々浮遊都市という閉じた世界。結婚適齢期から考えても過ぎており、そしてその時代、ちょうど奇数で余ってしまったのだ。
その頃の巫女はここまで特別扱いするという形ではなく、同年代の人と接触が多かったのも悪かったらしい、なんでも夫婦生活を自慢されたりしていたようだ。
そんな役目を終えた巫女の不満のため、婿探しに奔走したという大変な過去があったようだ。
そりゃまぁ巫女になって、自分の意志でならばともかく結婚願望や青春したい!と不満たらたらで人生を終えるなど悪いし、そんなことが広まっては醜聞になるので隠す必要があったようだ。次代巫女居なくなっても困るし、後の婿取りにも響くしな。ということらしい。
ちなみに先代巫女が消えたという件についても、行商人の人と結婚予定だったらしいが、力を使い果たした直後、旅立つ直前だったらしく、このままだと数か月は会えなくなるのが嫌になって飛び出していった、ということらしい。
ペルラとアスルもそれだと思っていて帰ってきたという認識でいたらしい]
じゃあ…消えるってこう、泡になって消えるとか、死んでしまうみたいものじゃなくてってことなのか?
「そんなおかしなこと起きるわけないじゃろ。」
[まさかの全否定であった。
だがまぁ、要するにペルラは戻っても特に問題なかったらしい。なんだったら自分もペルラの両親もこっそり知ってるとのことだ。
ちなみに守り人というのもそれっぽい理由をつけて巫女の退職後の付き合い先とかを用意していたという裏話も聞かされるが、非常に疲れた心地であった。
だが、あの現象って結局なんだったのか。という謎は抱えたものの、まさか現代側のほうが異世界と通じる原因になっていたなど二人には知る由もないのであった。]
[そして]
準備できたか?ペルラ…
[アスルはやり残したことを遂げるために戻ってきた。そして今、それを叶える日だ。
彼は別れていた間、色んな島を巡り、そして他の島にある産物を持ち帰った。――それはゴムとそれを得るための苗木であった。]
…いくぞ。
[蒼色に銀のラインが引かれたそれ鳥のような形に上部と下部に翼が広げられた、現代で言うところの複葉機に近い形のもの。操縦席の隣にペルラを乗せ、ベルトがまかれているのをチェックする。
エンジン音が響き、前部のプロペラがゆっくりと周り、異常の動きがないのを確認すると、発着所の面々へと親指をたてて合図を送り、固定されていた翼の支えが外される。
そして発着所からゆっくり走り空へと浮き上がっていく]
…やっと…やっとできるようになったな。
[今回目指すのはペルラの故郷。高度が足りないからとすぐにはいけないといっていたあの山である。
時間さえかければ前からいくことはできたが、中心部から直でいけるようになりたい。とそう考えてしまっていた。
あれから月日が流れ形がつくられていったが、そして一番の問題となっていたのは着地の点。それを解決するのがゴムなのであった。]
[風を受け揺れる隣の月色の髪は美しく、高度をあげていった飛行機はハンドルを引くことで角度を変えて身体が真後ろに倒れるような圧を受けながら、中天まで伸びやか登り詰めていく。
この高さならば中央部から真っ直ぐにペルラの故郷へと迎えるだろう。]
はぁ…無事いけそうだが、これからペルラの両親への挨拶のほうが緊張しそうだな。
[そんな軽口を叩くような余裕はあった。それは隣に彼女がいるという精神的な余裕でもあっただろう。まだ着地が残っているけれど、自分ならやり遂げられる。
翼が雲を引くように少し機体の制動を確かめるためのテスト飛行をいくつかこなし――というのも建前にして、彼女と空を楽しみながら、ペルラの里帰りへと向かうのであった**]
……どうかしら。
元々の“わたし”は、知っていたのかもしれないけれど。
[彼女も全てを知っているわけではない。自分のことのはずなのに、まるで知らない他人のような気がするのだ。]
たぶん、いなくなろうとしたのね。“わたし”は。
——本当に、お馬鹿さん。
[伝わりそうにはない、曖昧な言葉で語る。
はじめにいた“彼女”が何をどう考えたのかは椿にはわからない。
ただ、“彼女”は“自分”を消して正しく生まれ変わろうとしたのだと思う。それに従って、片割れは正しくあろうとした。
しかし、人間の存在なんて、そう簡単に根本から変えられるものではないのだ。だから、失敗した。もう少し考えるべきだったのだ。古い書物にすでに“それは禁術とされている”と記されていた意味を。]
でも、いいの。
いまの私は、ちゃんとここにいるから。
貴方が、ここにいていいと言ってくれるから。
[そう言って、椿は楓の頬に両手を伸ばす。今では随分、おねだりが上手になった。]**
| [鼻歌混じりくらいなら聴いたことはあるが、柚樹が素面でも料理している時に謎のオリジナルソングを歌うことがあるとは知らない話だ。 >>209長編もあるとはもっと知らない話で、でもきっと、そのうち知る機会はあるんだろう。 いつか一緒に暮らすようになってからかもしれないし、ほんの数か月以内かもしれない。 料理中に歌うとして、"とらの歌"を歌う機会ってどんな時なのかとは思わないでもないが。 忘れた頃に歌いだされたりしたらやっぱり死にそうになる気がする。 終始ご機嫌な様子で微笑ましくはあったのだけど、随所で挙動不審になっていたのは酔ってるせいじゃない。 多少酔ってるのは認めるけど、素面だとしても似たような反応はしていたと思う。] (215) 2023/03/13(Mon) 22:06:02 |
[彼女の答えを聞きながら、考えた。
元々の“彼女”──その人が男か女かさえ知らないのだけれど]
自分が……嫌いだったのかな。
[『たましいから不要なものを取り除きたい』
その欲求はつまり、自己否定から生じるものだろう。誰か受け入れてくれる人がいたら、そんな考えは抱かなかったのではないか。
もっとも、その結果やっと椿が生まれたのだから、その行動を否定できはしないが。
自分の存在を許さないような自己否定は、かつて夢の中で彼女が思い悩みながら伝えてくれた言葉の内容に通じるものがあった]
[だから今の彼女を見ているだけで楓は幸福だった。
頬に両手が伸びてくると、彼女の腰に腕を回して抱き寄せた]
うん。
……傍にいてくれ、椿。
[甘える彼女に甘え返して、くちづける。
愛など、もうわかりはしないと思っていた。
全て食欲に塗り替えられてしまったと。
けれど“食べたい”という衝動にはいくつか種類があって、彼女に抱くのは特別なものだった。
もしかしたらこの先、他にも見つけることがあるのかもしれない。失くしたと思っていた人間らしい感情を。
見つけたところで人間に戻っていいと思える日は来ないだろうが、長らく感じていた絶望は少しずつ和らいでいくだろう。大切な人たちに抱く思いを噛み砕くにつれて]**
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