人狼物語 三日月国


74 五月うさぎのカーテンコール

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 ひゃ……、……

[身体を柔らかな檻に囚われて、咄嗟に胸板に手を添える。
寝起きの掠れた声を聞いたなら、目を細めてその様子をみとめながら。]

 アラームが鳴ってないから、
 まだ朝食には早いぐらいだと思います。

[寝る前にセットしたスマホのアラームはまだ大人しい。
朝食を届けてもらうにはまだ早い頃合だろう。
もうしばらくこうして微睡んでいても、怒られることはない。

完全に乗り上げてしまった彼の上で、ぱたぱたと足を遊ばせた。]

[まだ完全に覚醒していないのか。
目が開いてないことにくすくすと笑って、おはようございます。と応えて。
おねだりが受け入れられたなら、目を閉じて唇を受ける。]


 ……ン、


[髪をくしゃくしゃにされながら、触れ合わせるだけのキス。
離れていく間を惜しむように、唇で彼の下唇を挟んで、食んで。離れる。
まだ剃られていない髭が当たって、少しチクチクした。]


 まだ、眠い……?


[尋ねる声は甘さが滲む。
たまには怠惰な朝も、悪くない。*]

うん。

[復唱される勃たなくはなさそう、に肯定を返す。
 生理現象として、可能性はありそうだと思う。]

……それで、麦が嫌じゃないなら?
準備万端じゃなくても凹まない?

[勃つかどうかわからない。ダメかもね、で笑えるというなら。
 正直、俺だったら準備万端でなくても凹む気がする。
 ゆるく太腿に手がかかる。開かせるような圧は感じないが、その先に連想される行為があるから、触れられているその事実だけで、ぞくりとする。
 ただ、それは嫌悪や緊張ではなくて――煽られるような、熱の燻り。]

[責任。
 たとえば想像以上に俺が興奮して、衝動のままにセックスに雪崩れ込む可能性、とか。
 その時にきちんと、男を抱けるかとか。
 俺は俺の理性をあまり信用していないのでそういう最悪を懸念するが、麦の思考回路はそこにはつながらなかったらしい。]

口にかー。
まあうまかないだろうな。

[笑った。
 味は知らないが、人間の体液がうまいという話は聞いたことがない。]

口直し、ね。

[はは、と渇いた音が口を突いた。
 口直しがあるので不味くても大丈夫、と言われてどんな顔をすればいいんだ。
 笑気交じりの息を吐く。これからフェラチオしようって空気じゃない。
 だから、逆に、いいかって思った。]

んじゃ、やってみる?

[腰を浮かして、ジャージを引き下ろす。
 杢グレーの前開きトランクスだけが急所を守っている状態で、浅く、ゆったりとソファに座りなおした*]


 んん”〜〜〜〜
 まだ早いなら、もーちょっと、だらだらしよー?

[無邪気に足をばたつかせたら、寝乱れた浴衣が完全に脱げてしまいそうだと苦笑する。
まあこの姿で過ごす訳じゃなし、脱げたら着替えるだけだが。

瞼はまだ重い。
唇の位置は経験則で。
途中で鼻先に掠めようが顎に当たろうが、それはそれで恋人同士のキスとして間違いではないから、何度も軽く触れさせた。

伸びた髭が刺さっていると気づいたのは、頬にキスをした時に自分の手にも当たったから。
痛い?なんて聞いておいて、態と髭でつんつんしてみたり。

戯れに笑っていると、自分の声で段々覚醒してきた。]

[ゆっくり目を開く。
紫亜と目が合った。]


 いーな、こーゆーの。
 朝起きて一番に目にするのが紫亜っての、毎回幸せだなって思うし……。


[この部屋には誰もいないけれど、少しだけ恥ずかしいことを言うから声を潜めて、耳元で。]


 
……実は毎回どきどきしてる。

 はー、何時慣れんだろうな、これ。


[昨日の彼女よりも今日の彼女をより好きになるからか。
そこまでは言えないまま、照れ隠しにそのまま首筋に顔を埋めた。*]

[うまくはないだろう。
それはそう。それに、いい結果にならなければへこむかも。
でもきっと自分はこの先に何があっても大丈夫だろうと思った。根拠はないけど、だって、好きだから。]


はい、やってみます。


[床に座ったまま、ジャージが下ろされるのを見ていた。]

[浅く座り直した膝の間に、自分。
そっとかけた手の指が内腿の皮膚に軽く窪みを作る。

様子を窺うように表情を見上げたまま、背中を丸めた。
下肢の付け根に顔が近づく。]





[嗅いじゃだめかなと思いつつ、息を吸った。
すぐそばにジンさんがいるのを感じる。体温を手のひらに。

触れられるのが嫌じゃないかどうか。
柔らかな部分に鼻先を軽くうずめた。顔を見上げながら、じゃれつく犬のような仕草ですりすりとトランクスに懐く。
拒絶がないなら、顎を開いた。]


……あむ


[首を傾け、歯を出さないよう唇で柔らかな膨らみを食む。
内腿を軽く撫でながら、股座に人がいる状態を馴染ませるみたいに。]

は、ふ。


[竿の形を確かめるようにしばらくはむはむしていると、唇だけでも少し湿度が増して布地のグレーが濃くなってくる。
目線を上げて表情を見て、トランクスの前開きに指をかけた。]


……ジンさん、目、瞑っててもいいですよ。


[女の子ともやる行為だけど、女の子には見えないだろうから。]


でも出来れば、撫でてて欲しい。
やっぱりだめって、言わないで。ください。


[布の合わせから取りだして、また顔を寄せた。
吐息一つさえかけてしまう距離、今度は唇を閉じたまま。シュークリームの食べ始めみたいに、宝物に額ずくみたいに、そっと先端にキスをする。
痺れるような甘怠い感覚が腰に走って、ふわんと目を細めた。]

[誘われてしまえば断れるはずもなく。
笑って抵抗しなければ、それは彼にも伝わるだろう。
抱き上げられた際に少し浮いてしまった襟元も、今は彼しか見る人も居ない。

鼻先にから頬にかけて、唇や顎先まで。
落とされる唇に、くすぐったい。と笑いながら身を捩らせて。
髭が痛いかと聞かれたら眉尻が下がる。]

 ……ちょっとだけ。
 でも、いやじゃないです。

[接客業も兼ねているから身の回りはいつも綺麗にしている彼のこと。
こういった姿を見れるのが自分だけかもしれないと思うと、それすらも愛おしくて眦が緩んだ。]

[次第に眼差しも声も、いつもの調子を取り戻していく。
ふと混じり合った視線の先、密やかに落とされた声に耳を傾けたら、きゅうと胸が疼いた。]


 ………基依さん、可愛い、 


[ぽろ、と口から零れ落ちたものは取り消せない。
首筋に隠れてしまった顔は見えないけれど、その代わりにぎゅっと抱き込んでしまう。
緩く髪を撫でて、お互いの顔が見えないことをいいことに。

赤らんだ耳朶へと吐息を乗せて囁いた。]



  
私も毎日、どきどきしてます。
基依さんのことしか考えられなくなっちゃうくらい。


 
………もっと、いっぱい。どきどきさせて?
*

 

[触れるだけの淡いキスを何度か落として、
それから舌先でちろりと舐めた。
指を添えて、窪ませた舌を触れさせる。頬が熱くなるのを感じた。]


……、


[問いかけるみたいに顔をじっと見上げたまま、むずむずする腰を一度床からあげて、座り直した。*]

[「可愛い」と言われたら「でしょ〜♡」とノるのが卯田基依という男だ。
けれど今は、紫亜のくちびるから零れた、心から愛おし気な声に、どうしようもなく照れてしまって顔が上げられなかった。

溺れている。彼女に。]


 ……。


[何か言おうと思っても気の利いたことが出てこない。
本当に溺れているみたいにはくはくと口を動かしたら彼女の首筋が唇に触れて、反射的にまた痕をつけた。]


 ……がんばる。


[結局小学生男子のような拙い誓いをして、埋めていた顔を漸く起こす。
ふへっと笑って]


 手始めに、朝飯食って。
 昨日行けなかったとこまで散歩しようか。

 ……それとも、どこにも行かずにずーっとこうしててもいーけど。


[抱き締めた彼女を左右にゆらゆら揺らす。
完全に浴衣が脱げてほぼ裸になってしまったが、こんなだらしない姿、彼女にしか見せないのだから許されたい。*]

[ゆっくりと抱き込んだ頭を撫でる。
いつもならすぐに返事が返ってきそうなものなのに、今日はなかなか反応がない。
代わりに与えられたのは、チリ、と焼け付くような痛み。

 ンッ……、

 あ、……また、痕……
 隠せなくなっちゃう。

[元はと言えばおねだりしたのは自分だけれど。
季節柄、首筋を隠せるような服は持ってきていない。
絆創膏で覆い隠すしかなさそうだと、痕のついた箇所を指先でなぞる。]

[ジト目で見つめれば、幼く見えた笑い方に毒気を抜かれて。
ちゅっ、と音を立てるだけのキスを目尻へと贈る。

身体を揺すられたら、ンッと声を漏らして身じろいで。
はだけた浴衣が朝から目に毒で、眼のやり場に困る。
それに何より、さっきから気にしないようにしていたけれど。
生理現象で兆したものが下腹部を擦るから。]


 ……こうしてたら、
 
また欲しくなっちゃうから、だめ……



[気恥ずかしさに視線を反らして、そっと瞳を伏せた。*]



 旅行の間どころか、帰ってからの服装も困るよな?
 夏の間は首は我慢しなきゃ駄目か〜


[名残惜し気に言って、内出血をぺろりと舐めた。
汗ばむ季節、絆創膏だらけだと蒸れてしまいそうで申し訳ないし。]


 水着も見たいしな……。


[海なり、プールなり。
彼女がどんなデザインのものを着るのかにも興味があるから。]

[……想像したら、収まるどころか益々硬度を増したのは仕方がないとして。
夜中に風呂に入った時に怠惰にも下着をつけなかった、その全裸が居た堪れないのか目を伏せた彼女に、しゅんとした声を出した。]


 ……だめかぁ。
 じゃーちょっと収まるまで、じっとしてよう。


[素数を数えろって言うよな。
学が無いから素数が何かもわからないけれど。*]

……、

[浅くソファにかけて、視線を下ろす。
 そこには麦がいる。股の間、座っている。
 触れるだけだった指先に圧がかかって、やわらかい腿が窪む。]

はー……

[深く息を吐く。
 不思議な気分だ。ほんの数日前までは、ただのオーナーとスタッフの関係だったのに。
 緊張のような、興奮のような。
 このふたつはどちらも脳の作用は似たようなものだと聞いたことがあるな、などと頭のどこかが逃避のように思考する。
 なら、これは興奮なのだろう。背徳と、興奮。]

くは、

[敏感なところに頬ずりされて、もぞもぞとくすぐったい。
 なのに、吐息がかかって熱い。
 この熱は、覚えがある。劣情にまみれた、ほの昏い熱。]

ん――

[布の上から食まれて、その感覚にかすか、甘い色が鼻から抜けた。
 それが繰り返し、繰り返し。呼気で下着が湿るまで。
 もどかしい、刺激にもならない何かが、そこから背筋を這い上がる。]

……平気。
目、開けてらんなくなるまで、見てたい。

[目を瞑って、脳裏に女の痴態を描くことは可能だろう。
 その映像を使って雄を勃てることも。
 けれどそれは、違うものだ。]

へーき。
へーきだから。

[そろ、と片手を上げて、麦の後頭部を撫ぜる。
 押さえ込んでしまわないように、乗せている程度。]

ッ、ふ……

[まだ芯のない竿が、合わせからまろび出る。
 やさしい、やさしい口づけが落ちて、ぞくりと震える。
 それが拒絶や嫌悪でないのは、先端まで伝わるほどにひとつ脈打ったことから、わかるだろう。
 乗せた手がくしゃ、と髪先を捕らえた*]


 う。
 見えないところなら、
 全然構わないんですけど……

[さすがに夏の間ずっと詰襟のシャツを着るわけにもいかない。
絆創膏は返って目立つとも同僚にも言われてしまって、立つ瀬がなかった。
水着と聞こえて、視線を向ければ。]


 ……あ、えっちな顔してる。
 

[む、と眉根を寄せて。きゅ、と窘めるように彼の鼻先を摘む。
海もプールも、長らく足を運んでいないけれど。
でも、彼が見たいというのなら、それとなくどんな水着が好きなのかリサーチしておこう。とひっそりと計画を立てる。]

[消沈した声には、ドスッと胸を突かれた。
そんな顔をされると弱いのを知っているくせにずるい。
そもそも、本当に嫌ならとっくに身体を離しているのに。]

 
 …………。


[断りの言葉を今更撤回するわけにもいかずに、もじもじと腰だけが物足りなく揺れる。
昨日もあれだけ愛してもらったはずなのに。
己のはしたなさに顔を覆いたくなる。

アラームはまだ鳴らない。
そろそろ身支度を整えないといけないのに、離れがたくて。
はだけられた胸板を、そっと指先でなぞりあげた。*]


 そーやって甘やかすから俺が調子に乗るんだろ〜?


[見えないところを考えて、そういえば背中にはまだつけていなかったな、と。
後ろからすると彼女の顔が見えないのが寂しくて何となくいつも前からはいっていた。

そんなことまで思っていたから、水着の想像をしたら元々苦手なポーカーフェイスなどできる筈もなく。
鼻先を摘ままれてぎゅっと顔のパーツを中央に寄せた。
ばれたか、と舌を出したが、表情以上にやらしい反応がずっと彼女に当たっているというのは棚に上げている。]


 ……だめ、なんじゃなかった?


[言い訳すると、本当に素数を数えようとしていた。
1、3、5、7、11、13、17……までは。

身体が揺れるのは、紫亜がもじもじしている所為。
胸筋がぴくりと動く。]


 あんまり揺れるとはいっちゃうかもよ?


[偶然そんなことにはならないのをわかっていて揶揄うように言うけれど、声が欲情に掠れるのは誤魔化し切れなかった。*]

 




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