187 『Ambivalence』
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救われてると口にしたくなくて
でも、今一番に私の事を救えるのは
間違いなく、あなたしかいなくて。
否定しようがなくて、黙るしかなかった。
教え込まれたことを必死で覚えて
少しコツを掴むだけで優しく撫でてもらえて。
あなたが差し出していた
愛情に見せかけた猛毒を飲み干す。
そんなことを繰り返して
偶に見せてしまった暗い心に、
あなたはどんな形であれ手を差し伸べてくれた。
抱きしめられて、温もりを感じるその瞬間。
ほんの少しの時間なのに。
その少しの時間に、私は確かに救われていた。
抱きしめられたとき、
放してほしくないって強請るように
必死で抱きついて、求めて。
黙り込んでしまったことへの追及が
たとえ来たとしても、私は何も答えず。
あなたから目を逸らすように時計を見れば
もう、日が沈むくらい遅い時間。
どうせ、私が何時に帰ろうが
親は心配なんてするはずもないから
特に気にもならないけれど。
抱き上げられても抵抗せず、
でも、いつもとの違いに
思わずあなたの方を見つめた。
直接押し当てられたものは
何も隔たるものもないまま、
私の中へと入り込みそうだったから。
熱が直接伝わってくる感覚に
危機感より先に興奮を覚えてしまうあたり、
私は本当に穢れきってた。
続かなかった言葉は、
どうして、避妊具を着けないのか、じゃない。
どうして、名前を呼ぶの。
甘く、優しい声で。
私の名前を呼ぶ人なんて、いなかったのに。
どうして、今、この場所で呼ぶのか。
どうして、欲しいものが、分かるの。
どうして、私に分かる線引きをしていてくれないの。
くしゃりと顔を歪めそうになって。
見られたくなかった私は
あなたに抱きつくようにして顔を隠す。
密着すれば、より深く中にはいるんだから
あなたにだって、メリットはあるでしょう?
薄い膜一枚隔てない交わりは、
いつもよりずっと深い快感をもたらした。
たとえそのまま中に注がれても何も言わなかったし
何より、心を抉るように私に刺さって。
あなたが私の心に巣食ってしまう。
をすくってしまう。
その日起きたことは、
私にとって、W特別W
な思い出になった。**
***
入江先生は生徒をよく見ていると
他の先生から感心されたこともあったっけ。
特に自分が担任に持つ生徒のことは
誰よりも分かっているように見えるらしい。
浅見が聞いたらどう思うんだろうな?
今更聞くまでもないか?
沈黙は肯定と同義だ。
だが違うと見え透いた嘘をつかないのは
幾分か利口でもある。
事実から逃げるように逸らされた目は
日暮れの正確な時刻を捉えていた。
もう帰らなきゃ。
そんな逃げ道、とっくに塞いだ。
いや、そもそもそんな道なかったか?
「あれ?そういう事じゃねぇ?」
どうしての先の言葉が一パターンだけじゃないと
思い至ると浅見の顔を覗く。
けれどそれも叶わずにすぐに浅見の顔が
俺の胸板に隠れて見えなくなった。
ゴム膜のない感触なんて
ただでさえ格別にイイのに
急に深くまで入れば流石に俺も驚いて
これ以上の深追いをする余裕もなくなる。
暖かな浅見の中の圧力と蠢く肉壁に
俺は思わず熱まみれの息を吐いて。
浅見の大きな心に風穴を開けるように
ゆるやかに抽挿を繰り返すと
抱きつく浅見を支えながら
募る絶頂の兆しの赴くままに
浅見を抱きしめると。
一方的に告げたその瞬間
浅見の子宮を穢す音を中で響かせて。
俺のものを咥え込んだ入口から
白濁の液が溢れて滴り落ちる。
それでも俺は抜かないまま。
浅見の唇を吸い続けた。
余韻を味わいながら
浅見の手に、錠剤をひとつ、握らせて。**
***
もう帰らなきゃ、って。
私がその逃げ道を持ってる生徒なら。
あなたは私に目をつけてない。
そんな道がないことくらい
分かり切ってるくせに。
親に名前を呼ばれたことなんてなかった。
考えるのが面倒だから、という理由で
授かった子供が男だったときのために
考えられた名前をそのまま流用された私は
生まれてこなかった男の子を思い起こすからという
理不尽極まりない理由で名前を呼ばれない。
……きっと思い起こさなくとも
生まれることを望まれなかった私は
名前を呼ばれることなんてなかった。
そんなこと、話してないはずなのに。
見透かされてしまった私は、
顔を見られたら誤魔化しきれないと思って
隠してしまったわけだけど。
見られなくて本当によかった。
深くまで入って気持ちいいのはお互い様。
あなたの熱を直接感じて、
たまらなくなって息が上がっていく。
空っぽの心を満たすような、
そんな行為だったらよかったのに。
ゆるやかな抽挿でも
快感は高まっていって。
絶頂に手が届きそうな、そんな状態で
抱きしめられて、一方的に告げられた言葉に
身体は素直に反応してしまい。
びくびくとあなたの熱を締め付けながら
甘く絶頂に導かれてしまう。
どくん、と中に注がれる感覚。
無いものを満たされるような錯覚。
入りきらなかった白濁が制服を汚すのを
厭うことも出来ないまま、
私はあなたと唇を重ね続けていた。
この男は最初から、
こうするつもりでここに呼びつけて。
最初から避妊するつもりもなくて。
面倒が起こらないように錠剤まで用意してた。
分からないほど馬鹿じゃない。
本当に、何処までも腐りきってて
そんな男に弄ばれてるってはっきりわかるから。
私はこの日から今日にいたるまで
あなたに明確な嫌悪をずっと抱いていたし
それなのに離れられなかった。
分かってるはずなのに。
W好きWには何の意味もないことくらい。
何の意味もない言葉を吐く理由は
それが必要だったから。
あなたがいつだったか言ってたことだ。
私には価値がない、愛されるはずがない。
愛されなくて、当たり前。
気を付けたほうがいいですよ、先生。
私みたいな人間は
壊れた瞬間に何するか分かったものじゃない。
何せ私には元から居場所がない。
学校の中での立場なんて、壊れてしまえば些細な事。
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