人狼物語 三日月国


224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】

情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:

全て表示


【影】 うたかたの ダニエラ

ニコロ! いざや恩讐の碧落に絶えよ!
2023/09/20(Wed) 21:00:00

【影】 うたかたの ダニエラ

あるモーテルの入口。
冷えた風が肌を撫でる。女は立ち尽くしていた。


「una regina fulgida e bella al pari d'una fata
 siede accanto alla culla tua dorata...」



口ずさむのは『子守歌Ninna Nanna』。
歌うその声が微かに震えた。
…本当はそんな資格なんてない。自分が1番、分かっている。

誰かを檻に入れただけ、大事な人が檻へ行く。
なんて分かりやすい構造だろう。
世界は案外、そうやって帳尻合わせて回っているのかもしれなかった。
(&0) 2023/09/20(Wed) 21:19:07

【影】 傷入りのネイル ダニエラ

ふと気付くと、左手の小指のエナメルに傷が入っている。
女はそれを見つめた後、愛おしそうに唇を寄せる。

そうしてしばし静寂の間そのモーテルを見つめる。
くるりと踵を返した。約束を胸に。

…あたしは今も、ひとりじゃない。
(&1) 2023/09/20(Wed) 21:24:16

【神】 傷入りのネイル ダニエラ

「………」
……人、少なくなりましたねえ。


小さな声。
誰に聞かせるでもない独り言。
顔色こそ変わらないがミントブルーの瞳はやや憂いを帯びて周囲を見つめた。
どこか薄皮向こうの景色みたいだ。

そんな脳裏に1番鮮烈に色付くのは昔なじみのライムグリーン。
小指のエナメルを、そうっと撫でた。

#警察署_朝礼
(G4) 2023/09/20(Wed) 22:08:17

【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → pasticciona アリーチェ

/*



襲撃予告です。



こんばんは、おさとうかえでです。こたびは
波魔
の役職を賜りました。
日付変更のショック冷めやらぬ中、のっぴきならない事情でアリーチェさんを襲撃せねばならなくなったことをここにご報告致します。

つきましては、初めての絡みが襲撃ロールというのも何ですし、いくらかお話をしませんか?
入村文でお触り頂いたの、とっても嬉しかったですし……(本心)

以上、ぜひ、ご検討いただけますと幸いです。
おさとうかえででした!
(-16) 2023/09/20(Wed) 22:14:50

【念】 傷入りのネイル ダニエラ

――新しいアジト。

そこで男からの留守電を聞いた女は、静かに息を吐き出した。
彼の情報が正しいのならばこれで終わり。
大切なものをどれだけ取りこぼしても、…彼らが大切にしていたものはきっと守ることができる。

それでいて、あのまどろみの中のような日々に戻ることはもうできない。
そのことを嘆く資格もないことなんて分かっているから、ただそっと目を閉じた。

…まあ、仕方がない。
だって最初から。あたしは。

裏切り者
だったのだし。
(!0) 2023/09/20(Wed) 22:30:10

【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → pasticciona アリーチェ

/*
歓迎されてる……!!!
安心しました、是非とも秘話進行で…… とも思いましたが白も捨て難くて今唸り始めました。
いや流石に最終日まで役職の話は伏せた方がいいか……そうか……?

ということで秘話にしておきましょう。
これよりお話をしに伺いますのでしばしお待ちくださいませ!
(-24) 2023/09/20(Wed) 22:34:22

【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → pasticciona アリーチェ

そうっと、朝礼の終わりあなたに近寄る女の姿があった。

「…アリーチェさあん」
「……ええとお」

――どの口が、と真っ先に浮かぶ。


「顔色、悪いですよお。」
「…大丈夫、ですかあ……?」
(-26) 2023/09/20(Wed) 22:39:10

【神】 傷入りのネイル ダニエラ

「あははぁ。大丈夫、ですよお。」

――へらり。先輩に緩んだ笑みを向ける。
『隙』の文字が皮を被って歩いているような女だ。

「エルヴィーノさんこそお。ええとお」
「…気をつけて、どうにかなるんですかあ、これ……」

#警察署_朝礼
(G9) 2023/09/20(Wed) 22:44:37

【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → pasticciona アリーチェ

対する女の顔色はほぼ平常通り。
元より感情が顔色に出る方ではあまりない。
それでも笑ってみせるのは得意だった。


「ふふー。うんー。」
「あたしはあ、大丈夫ですよお。丈夫なのでえ」

緩んだ口元。
細めた瞳の上を前髪が揺れる。

「……でも、少し寂しいですねえ。」
「こんなに人が、いなくなっちゃうとお。」
(-41) 2023/09/20(Wed) 23:13:16

【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → pasticciona アリーチェ

「協力者…【A.C.A】、ですかあ。」
「んー。分かりませんけどお」

「…あたしも」

「なにか事情があるんじゃないかなあって。」
「そおだといいなあって、思いますよお。」

甘いですかねえ、と眉を下げ。
それでも笑顔は笑顔のまま。
誰かが好感を抱いた朗らかさのままに。

「…でも、そおじゃなかったら」

それが私利私欲のためであったなら。

「アリーチェさんはあ、…どおしますかあ?」
(-55) 2023/09/20(Wed) 23:39:07

【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → pasticciona アリーチェ

「あたし、ですかあ?」
「……あたしはあ」

む、と口を尖らせて、一考。

「…あんまり考えたく、ないですねえ。」
「難しいこと、面倒くさいですしい…。」

「悪い人がいるなら憎んだ方がラクかなあってえ。」
「だからちゃあんと向き合うのは立派だなあって、思いまあす」

向き合った結果、色良い解答が返るとも分からないのに。
もしくはそれすら騙されて、利用されるだけかもしれないのに。
そう思いながら、思ってもいないことを言う。
優しい人間というのは、本当に損だ。
(-67) 2023/09/21(Thu) 0:09:03

【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → 黒眼鏡

それは何より。肩を竦めて。
やっぱりオッサンの気持ちは若者にはよく分からない。

「なあにが授業参観ですかあ。」
「あたしの努力が水の泡ですよお、そんなことしたらあ。」

それよりも、役得に同意されわかりやすく口を閉ざす。
…そこは肯定しないで欲しかった。全部軽口の冗談だと流して貰えた方が、というかそれを想定していたのに。渋い顔。



「んふふ、そおですかあ。」

言われなくとも。女は笑んだ。

「好きにしますよお。その時はあ。」
「もう子供じゃありませんしい。」
「…それにそれなら、あたしだけの責任だと思いませんかあ?」

そう扱って欲しい、と隠しもしない意図が滲む。
だから、きっと本当は――手助けを求めることだって、そう良しとしていなかった。
(-77) 2023/09/21(Thu) 1:06:01

【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → pasticciona アリーチェ

「……はあ、なるほどお。」

何とも微妙な声が出た。
だけどこれに関しては、あなたが悪いわけじゃない。

「アリーチェさん…苦労しそおですねえ。」

後輩に抱いたものと全く同じ感想を抱いた。
そうやって女に上手く嵌められた彼は今檻の中にいる。


「…………。」
「なあんの話、でしたっけえ。」

不自然に生まれた間を誤魔化して首を傾げる。
難しい話は苦手。ダニエラ・エーコは、その設定で、合っているし。
(-81) 2023/09/21(Thu) 1:13:16

【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → コピーキャット ペネロペ

「んー?」
「はあい。何でしょ ――」

見回りの足を止め、振り返る。
このとき女は珍しく、咄嗟に取り繕うことができなかった。

鮮やかなライムグリーン。
それだけがまず目に留まって。
『一般市民』の姿すら、一時として目に入らない。
(-122) 2023/09/21(Thu) 5:31:57

【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → 黒眼鏡

「いやあ。無理があると思いますけどお…。」

それで『冷やかしに来た』とでも言う気だろうか。
1つ分かるのは、その日は定時で帰れそうにないことくらい。


「んー。あー。」
「…まあまあ。それはそれ、これはこれぇ…」

…これは誤魔化す気などなさそうだ。
その気になればいくらでもどうにでもなるのだし。

「……もー。酷い上司ですねえ。」

口を尖らせ、文字通り嘆息。
そうしてその顔の傷がひとつでも増えるだけで、こちらがどんな気持ちになるかなんて考えてもくれないのだ。

「わかりましたあ。…そんなこと、させませんからあ」
「要はあたしがうまくやればいいんですしい…。」

そうして小さな失敗だってできやしなくなる。
…本当に、なんて上司だ。
(-124) 2023/09/21(Thu) 6:22:19

【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → 黒眼鏡

「…コーヒー1杯じゃ済みませんよお、それはあ。」

だからって高価なもので済む話でもない。
そもそももし本当に
終わったら
、…その話はその時、行うとしてだ。


「さあー。何のことでしょお」

誤魔化す気はないまま、小癪にもはぐらかしにかかる。
…結果放り出されるとして。生意気に慕うのも行動の源流もきっと変化はないから些事なのかもしれなかった。


「自覚あるならあ、…あー。いいです、もお。」

別に説教をしにきたわけでも、ないし。
本当はこの惨状について問い詰めたってよかったんだ。

「……外はあ。」

報告に上がるのはここまでの逮捕者の名前。
あとは女の協力者がルチアーノ・ガッティ・マンチーニであるということ。
金で雇ったとのことだが、未だ彼には自分とあなたの関係は伝えていないこと。

「…怒ってましたよお。アレッサンドロさんのこと。」
「くそ旦那あ、って。」

そして、彼が今は姿を晦ましていること。そのくらいだろうか。
(-128) 2023/09/21(Thu) 7:25:31

【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → 黒眼鏡

ふうーん、と意味深な感嘆符。
言質はとったしそれじゃあたくさん『恩返し』してもらうとしよう。
何についての『恩』か、全く分からないけど。

「そんなことに全力にならないでくださあい。」

巻き込まれる人間の身にもなってやってほしい。


「…もっと迅速に、どうにかできればよかったんですけどお」

すみません、とその時ばかりは項垂れて。
もたつく間に取りこぼした物の数は多い。

「リヴィオさん…ですかあ。」

その名を呼ぶ時、どこか複雑そうな感情の色が言葉に乗った。
調べたくないというわけではないが。…何故、彼なのだろう。

「わかりましたあ。」

但しそこは従順な部下だった。
幸い彼には、いつでも能動的に仕掛けられる。…上手く情報を取れるかは、また別として。
(-138) 2023/09/21(Thu) 8:13:12

【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → 黒眼鏡

「ありますねえ。」

あるらしいので。


「なら、…いいんですけどお…」

少なくとも、意図的に警察ばかりを摘発させていた自チームはその件には貢献していそうだが。
動けば動くほど、渡る橋を繋ぐロープが擦り切れていくのを感じる。
きっと長くは保たないだろう。だから早くの収束を願う。


リヴィオの件には間延びした返事。
ということは、雑貨屋に行かないと。忙しいなと浮かべていた頃。

「ええ?何ですかあ…?目え…?」

意味不明な指示すぎる。
困惑しつつも指示に従い目を閉じる。
…どこまで顔を近づければいいんだろう。まあ、いっぱいか。
(-189) 2023/09/21(Thu) 12:59:13

【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → 月桂樹の花 ニコロ

女――ダニエラ・エーコは、この日まで、あなたを摘発するための理由づくりを考えていた。
街のおまわりさん。――それを利用する?
時折立ち寄るガンショップ。――そこに難癖をつける?
あのハーモニカの音色は、何かの符牒なのかもだとか。

さあ果たして、どうすればあなたを牢へ送れるだろう?

…そんな、時の事だった。
これ以上ないほどの『理由』が齎されたのは。


エーコは俺をよく知ってるからな。
俺のチームがどうするかはわかるだろ?

ある日の言葉が浮かんで消える。
うん、そうだ。彼女はただ黙って捕まるような人じゃない。



「…………ミネ…。」


ただ一言、その名を呟いたきり。
それ以上のことが自分に許されるとは思っていなかった。

今は、ただ。
彼女が最後に残した『理由』を手に、その下手人――あなたの元へ向かう。
市民の通報よりも、ずっと速く。
(-192) 2023/09/21(Thu) 13:13:51

【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → コピーキャット ペネロペ

「…………………、あー。」

あなたが告げ終えるだけの時間ほぼ全てを、気を立て直すのに使った女は間の抜けた声を出す。

「…はあい。ふふー。」
「そおいうことでしたらあ、お供しますよお。お姉さん。」

そうしてからの持ち直しの速さはなかなかだった。
頬を緩めてふにゃりと笑い、あなたに付き従うことだろう。
(-203) 2023/09/21(Thu) 15:53:37

【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → 黒眼鏡

「……。」
「…はあい。」

沈黙の後、肩を竦める。すまし顔。
任されましたあ。…そうやって、先送り。


んー、と足音を聞きながら。
こう言うのを素直に聞くのが良くないのかもしれないと今更。
まあでも、相手が相手だしなあとその辺りまで思考が飛んだ頃。

「――!?」

口の中に酸味のある甘い塊が捩じ込まれ。
流石に、驚く。ただすぐに持ち直すだけで。
ころころと飴玉を口の中で転がしながら、共に押し込められたものを選り分けるまでは多分数秒くらいだった。

「あのお。」

でも、文句くらい言っていい気がする。

「……。」
「なんでもないですう。」

…つい最近似たようなことがあったのを思い出した。
あれはトリュフチョコレートだったけど。
美味しかったし、飴もおいしい。
(-207) 2023/09/21(Thu) 16:37:23

【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → 黒眼鏡

「えー。」
「そんな昔のこと覚えてませえん」

爆弾発言だったかもしれない。

「特にありませえん。」
「それどころか、
用事
を思い出したのでえ。」
「お暇しましょおか、そろそろお」

かつ、と革靴の底が鳴る。

「あー。また」
「気が向いたらあ、様子見に来まあす。」

「……………………
心配、なのでえ。


蚊の鳴くほどの声で添えて。
その靴の音が、離れていく。
(-215) 2023/09/21(Thu) 17:04:42

【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → コピーキャット ペネロペ

連れられた先、勧められた席に女は座る。
どこか弛緩した雰囲気の女だ。
あなたの変貌ぶりすら、意に介さずに。

「あー。お兄さんでしたかあ。」

これである。

ふうむと話の中を聞き。
なるほど、お兄さんルチアーノの言っていた人だったか。
そう何の心配も懸念さえも抱いていなさそうな顔。
そこだけ見ればまるで、陽の当たる喫茶店のテラス席のような。

ただ。

「……。」

テディベアが鳴くと、微かに眉間に皺を刻む。
戴きますう、と心のまま。要らないなんて、言えるわけがない。
(-220) 2023/09/21(Thu) 17:31:46

【念】 傷入りのネイル ダニエラ

ここ暫くの女といえば。
警察署とホテルの往復。
惰性のように続ける食べ歩きのルーチン。
奇数日はサンドイッチ。偶数日はベーカリー。
まるで何も変わりなかったかのように、…その頻度こそ多少落ちるが勤務後の食べ歩きも続けるほどだった。
ダニエラ・エーコという巡査はそうあるものだから。


「……。」

さて、そして、そんな帰り道だろうか。
何故か猫に懐かれた女は足を止めている。
…いつかパン屋のお兄さんが困り果てていたのを思い出す。
確かに間違えて蹴飛ばしてしまいそうだ。動けない。

ならば抱き上げればいいのだと、割と真っ当な結論に至った女はしゃがみ込む。
そこでもう一度動けなくなった。猫とはどのように抱くものだろう。

「…………。」

諦めて、ゆっくりその手を伸ばしてみる。
右手だ。腕には時計がついている。
触れるというにはおっかなびっくりなしぐさでその身体についた葉や土を払おうとする。

女はこの歳にして猫に触れたことがなかった。
(!2) 2023/09/21(Thu) 17:50:53

【念】 傷入りのネイル ダニエラ

葉っぱを払い、ついでにふうわりその背を撫でる。
嫌がる様子を見せない猫の様子を見て、戯れるように指先が額や喉元へと伸びていく。

少し触れてみると、あっという間だった。
元から遠目に眺める猫のことは好きだったのもあるかもしれない。
そうして首筋にその指先が伸びたとき、柔らかな毛に埋もれた首輪に気付いた。
…このケーキ屋の猫だろうか。

迷うような素振りのあと、遂に意を決した。
そうっと猫の身体の下に手を差し込むと、背を撫でたよりずっと柔らかな手触りと体温が伝わってくる。
ゆっくり抱き上げたところでどう落ち着けたらいいのか分からなくて暫くぶらん。
…下手くそな抱き方だったけど、それからどうにかこうにか形にはした。

首輪の住所に向かう。
革靴がいつもより少し控えめに、こつこつ。
(!4) 2023/09/21(Thu) 19:00:32

【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → コピーキャット ペネロペ

受け取ったテディベアを見つめると、人目もはばからずやおらに抱き締める。

「…はあい。」
「ありがとうございますう…」

そうして諸々については承諾した。
お茶なんて。このテディベアだけで十分だったのだけれど。

あなたがそうして立ち去ったあとも、短い時間だけ女はその場に残る。
同じ色のウィッグに少しだけ顔をうずめて、微かにその肩を震わせた。
(-232) 2023/09/21(Thu) 19:15:50

【影】 傷入りのネイル ダニエラ

勤務帰り、女は必ず自宅のアパルトメントに立ち寄る。
根城としているアジトはここより少し遠く、前あったアジトより更に遠くなったが、それでもここに立寄ることだけは欠かさなかった。

部屋にはかなりの数のダンボールが積まれている。
地震でも起きれば雪崩が起きそうなもの。イタリアは地震の多い土地だ。
そのダンボールの、真ん中で。

「…はあ。」

呆れだか溜め息だか、どちらとも取れない声を上げる。
……多分両方、しっかり含有していそうだ。
そうして疲れた眉間を揉みほぐし、ぱたんと端末を片付けた。

「…まあ」
「いいですけどお。」

そう呟く口許が微かに緩む。
べちゃりとデスクに頬を預けると、それも歪み冷たさだけが頬に移った。
…そうやって90度回転した視界に何かが映る。
ダンボールの山の中に少しも紛れられていない、ボストンバッグにスーツケースだ。
(&2) 2023/09/21(Thu) 20:51:30

【影】 傷入りのネイル ダニエラ

……。
身体を起こす。重いんだ。これは。
結局、中身は何なんだろう。

「……。」

また眉間に皺が寄るのに気付く。
持ち帰る間の、墨を落としたような心地がにわかに思い出された。
あれから、別に状況は何ひとつとしてよくなってはいない。
寧ろ悪くなっているはずだ。
…現実だけをただ見つめれば、もうこの手の中には何も残っていやしない。
(&3) 2023/09/21(Thu) 21:28:58

【影】 傷入りのネイル ダニエラ

「………。」

考えないようにしていたことが、すうと脳裏を横切っていく。
バッグの隣に膝を抱えて、ミントブルーの瞳を伏せた。

日差しが傾き、窓から差し込む赤い光に照らされる。
小波の音が聞こえる気がした。
瞼が少しずつ、重くなる。
そういえばここ数日は、あんまりしっかり眠れていない。
波の音に紛れ、歌声も聞こえるような気がしてきた。
髪を撫でる手が、ひとつ、ふたつ。…みっつ。

そして。





……寝息が、微かに聞こえている。
膝を抱えていた手がゆっくり、ことり、と床に落ちた。
(&4) 2023/09/21(Thu) 23:06:05