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人狼物語 三日月国


224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】

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視点:


【独】 歌うのが怖くとも カンターミネ

>>-374
ずっと傍にいた女は、静かなあなたを見ていたけれど。
ふと、端末の時間を見てああ、と声を上げた。

「……エーコ、肩の鎮痛薬そろそろ切れるから。
 新しい軟膏使うな?脱ぐの大変だろうし
 勝手に手ぇ突っ込むから、痛かったら――」

固まったように。1秒か、もう少し。空白のあと、口を開く。

「――我慢せずに、言ってくれ」

それが、女にとって今一番口から出て欲しかった言葉、なのかもしれない。襟の辺りからそうっと、震える手を入れる。なんだか、悪い事を言ってしまった子供のように、あなたの表情を窺った。
それで肩になるべく負担のないように留めていたガーゼを少しだけ捲って、一度抜いて。それから軟膏を指にとって、また入れて……。無言のままに、治療を施した。

それから、目的地に到着する前の頃までは、
あなたの手を握ったまま、端末からの報告を読んでいた。
中身はまるで頭に入って来なかったが。


そうしてふと、口火を切る。

「……エリー。ひとつ「お願い」があるんだけどさ」

切り出した一言は、長年の付き合いでも珍しい言葉だった。
(-403) 2023/10/01(Sun) 18:00:26

【独】 歌うのが怖くとも カンターミネ

>>-374 >>-403

「もう何も、一切、全部、
我慢しないでほしい
ん、だけど……」

言葉尻を濁すのもまた、珍しいもので。

「いやその……伝わり辛いよな、えーっと……なんて言ったらいいんだろ……エリーさ、脱獄の時とかそうだったけどちゃんと……そう、わがままっていうか、自分の言いたい事?やだとか、一緒にいて、ってのを言ってくれたじゃんか。俺、あれすっげー嬉しくて……だから、えーと……他のさ。例えば痛いとか、辛いとか、やだとか怖いとかお仕事休みたいとか、そういう細かいのもデッカイのもぜーんぶ、……言ってくれたらなー、とか、思ってたり、するん、だ……よな」

とつとつと語る。ちらと顔を盗み見るような仕草。
やっぱり、悪い事をした子供のように。

「……いや、突然言われても難しいし、『今?』って感じだよな、ごめん。……でもほら、真面目な話って中々しないだろ?それに……その、今の内に少しでも言いたい事を言う練習が出来たら、って思ってたんだけど……」

窓の外を見やる。夕陽が創る海上の赤い世界が揺れていた。

「……まあ、なんだ。俺の為だと思ってさ。言いたい事あったら、言ってよ。なんでも……それこそ、夜ごはん何がいいとか……あー……そう、結婚式いつがいいとか、あればさ」

場を和ませるため、とばかりにそんな事を言って。
言っている内に、車は緩やかに停車する。

「……練習、してくか?その……俺で。
 何か言いたい事とか……我慢してる事とか……」

今言った、お願いの内容を。これからする、『お話』を前に。
口を滑らかにする作業は必要だろうか?
あなたからの返事があればそのようにしたあとで。
ないのなら、少し待ってから。
わかった、と口にして、車を降りる事だろう。
(-404) 2023/10/01(Sun) 18:03:42

【独】 歌うのが怖くとも カンターミネ

>>-410 >>-411

額を合わせて言葉を聞けば、常とは逆に。
今度は、こちらが笑顔を張り付かせた。
あなたほどは上手くない。眉は八の字だし、口角だって
上を向いたり、下を向いたり。震えてすらいる。
本当を言えば、あなたの真似は無理だと確信している。

だって、そんな本音が現実になる予感だって消えてない。
信じてはいる、きっと間に合う、あの男がそんな、
と思ってはいるが。保証がないのは、どちらの可能性も同じ。

「……」

お喋りが静かになる。なんとか笑顔を作らないと。
『お姫様の王子様』らしく。せめて、この件が終わるまでは。
(-412) 2023/10/01(Sun) 19:28:08

【独】 歌うのが怖くとも カンターミネ

>>-410 >>-411 >>412

「……任せとけよ、エリー。
 その為に俺がいるんだ」

そう言って、手を取って、車を出た。
その先には、――きっともう、誰もいなかったんだけれど。

後には血の跡さっきまでそこにいた証だとか、壊れた赤い車その結末を暗示するような物だとかばっかりで。
きっとそこには、ここにいた男と、もう一人の誰か以外、
誰の入る余地もなかったんだから、しょうがない。

しょうがないけど、しょうがないけれど、
(-413) 2023/10/01(Sun) 19:34:39

【独】 歌うのが怖くとも カンターミネ

>>-410 >>-411 >>-412 >>-413

「……ッの……」


ほんのひと時、ざわりと逆立ったライムグリーンは、
きっと父親のように思っていたからこそ、

達の話くらい聞いて死ねよ、クソバカオヤジーーーーーッ!!!!」


夕陽が去るのと一緒に黒くなっていく、
海に向かってそう叫んだ。

ぜえ、はあ、と息を切らして、……そこでやめた。
空撮ドローンの音がする。間もなくここは
夕陽の代わりに、ドローンの投射光で照らされるだろう。

或いは、それが何かされた物を照らす事も、あるのかもしれない。
(-416) 2023/10/01(Sun) 19:40:20

【独】 歌うのが怖くとも カンターミネ

>>140

言いたい事もなにもかも、色々あったけど。
結局その役も『父親』に取られたみたいだし。

「はーぁ」

なんて零すため息は少し自信を無くしたような。
でもまあ、それもいいだろ?
だって、一番は俺が『王子様』である事じゃなくて。
彼女が前を向いて、歩いて行けるって事なんだから。

「……よっし!叫んだらすっきりしたわ、俺は。あはは!
 あ、今度さあ、他の奴とメシ食いに行くんだよ。
 そこで俺達の結婚発表しちゃおうぜ。
 ……あでもエーコがいるのバレていいんかな。
 まあ、ダメだったら適当にボカして言うわ。
 そもそもそいつら全員、バラしたらどうなるかくらい
 よーくわかってる奴らだろうしな。さーて、じゃあ――」

「エーコ、帰ろうぜ!」
(-429) 2023/10/01(Sun) 20:50:29