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人狼物語 三日月国


224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】

情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:


【秘】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ → 口に金貨を ルチアーノ

「あいつなら、俺がどんなふうにスラムで生きてきたか知っているだろうからな。
 客として来たことなんかは流石になかったが。二束三文の餌じゃ釣れん男だ」

唾棄すべきものであるように明らかに皮肉った物言いで言葉は吐き捨てられた。
言外に告げられる捨鉢がどういう意味だか、何に対する侮蔑を表しているのか。
今、この時には関係のないことは、多くはわかりやすく説明されもしない。

「お前を捕まえて俺にどんな利がある? もっと頭の回らねえ奴ならまだしも。
 それに、隠れたって捕まったって、俺は一度目をつけられた時点で終りだ。
 最初からそうだった。ひとたび警察に調べられたと知ったなら俺は確実に消される。
 安心しろよ、坊や。お前が俺を囮にしたから、俺は破滅するわけじゃあない」

ころりと小首を傾げて、ずうっと年下の子供を相手取るように唇が弧を引く。
指先は、開けてみろとばかりにアタッシュケースを指さした。
貴方の気遣いも、慮りも、優しさも。それを見れば全て壊れる。
たった一つで全てを破壊することの出来る、誰にでも利く毒薬だ。

「アレッサンドロが? はっ、あの伽藍堂が俺をどうとも思っているものかよ。
 よしんば情の欠片があったとして、それを見ればすぐに考えを改めるさ」

貴方が中身を検めたなら。或いはそうしないのなら、業を煮やして男は中身を開く。
そこにあったのはここ2年間を中心とした、20年近くにも及ぶ悪行だった。
貴方は知っているだろうか。かの孤児院はここ2年を中心に、引き取り手がたいそう増えたことを。
羽ばたいていった子どもたちは、一体どこへいってしまったのだろう。

(-28) 2023/09/20(Wed) 22:46:02

【秘】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ → 口に金貨を ルチアーノ

帳簿には子供ひとりひとりの値段、どこにどんな部品が売り捌かれたか、
その残渣はどんなふうに処理されたか、そうしたことが載っている。
中には子どもたちが元気な時の写真も、バラバラの死体になった後の写真もあった。
実行犯は誰か。当人ではない。ヴィトーの手先として街のチンピラや、
ノッテのシマを今も荒らす小規模な犯罪グループが協力者として使われ、
警察、引いては貴方がたのれっきとしたファミリーの秩序を掻き乱していた。
確かに警察の手に落ちたなどとしてたなら、彼らはヴィトーの存在を黙ってはいないだろう。
牢屋から、或いはマフィアの拷問部屋からひとあしでも飛び出したなら、
塵芥のようなチンピラたちはこの男を一秒でも早く始末しようとするはずだ。
白い散弾銃lupara biancaを以て、跡形もなく。

上級警部ヴィンセンツィオ・ベルティ・デ・マリアは、よりにもよって、
ノッテファミリーが世話をしている養護院から子どもたちを引き抜いて、
貴方の上司の指揮する港の領分を侵して、臓器売買を行っていた。
20年間。ノッテの膝下で。それも、まだ未成年の未来ある子どもたちばかりを殺して。
理不尽、無罪、無辜の魂など。貴方の視界のどこにあるというのだろう?
(-30) 2023/09/20(Wed) 22:49:29

【秘】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ → 口に金貨を ルチアーノ

/*
追記ですが、運営Mさんにお伺いして、
事後は逮捕されても、許しておけない大逆人としてマフィアに捕まっても、
その辺は事後の交流の仕方を担保できればどっちでも大丈夫だよとのことです。
やった〜。どっちがいいですか?
(-32) 2023/09/20(Wed) 22:51:55

【秘】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ → マスター エリカ

/*
PLにて失礼します。了解いたしました!
諸々ありがとうございます。パンツの情報は思い出にします。
(-38) 2023/09/20(Wed) 23:03:39

【秘】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ → 暗雲の陰に ニーノ

「私だって、優先すべきものの順番くらいはわかっているつもりだよ。
 部下が、君がこうして悩んでいるのをさておいてするような仕事はないさ。
 ……まあちょっと帰りは遅くはなるだろうけどね」

素直な貴方は、ちょっとしたお茶目をそのまま受け取ってしまうかも知れないけど。
それでも空気を緩めるために、そんな軽率に過ぎる軽口が添えられる。
すっかり大人になってしまってはいても、大柄な男からすれば貴方は小柄で、
守るべき子供を見るように、柔らかな視線が投げかけられる。

「少しくらいは咎められないさ。何も職務怠慢を私相手に挙げられるものもあるまい。
 ……市井の見回りも勤めだ。私も外回りの頃は賢くサボる方法を見極めていたよ。
 久々に料理でも作ってあげられたならもっとよかったんだろうけれどね」

仕事の残りは少しの間だけ見ないふり。
コートを取りに行く時間も惜しいと廊下をそのまま外向きに下って、
二人連れ立って外へと出ていくのだろう。道中、店によっていって。
行き先も、話す場所も。貴方が落ち着ける場所ならば男はついていく。
肝心なことを話す用意も、もちろんしっかり携えた上で、だ。
(-46) 2023/09/20(Wed) 23:22:31

【秘】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ → 口に金貨を ルチアーノ

/*
承知いたしました!
こっちはあちこち骨折するくらいまで殴られるくらいのつもりだったのに、
ルチアーノくん……いい子だね……♡

次いで方針なのですが、こちらは警察に情報が多少なりとも渡っているということで、
実のところばりばり醜聞を全て表で吐き散らして笑いものにされるロールをするつもりでした。
あんまりご都合よろしくないようでしたらちょっと考えます。
あとエピローグは事情を聞いて先走ったアソシエーテ連中に捕まる予定です。
あらゆる予定は未定なので、すり合わせ次第で変えるつもりはもちろんありますが!

アタッシュケースについては自由にしていただいて構いません。
そっちは事実上の証拠であるのに加えて、敵対組織への報復だとか、
将来性のある貴方にとって有利に使える道具だろうという見込みもあって持ってきたため……

上記加味し、警察側に捕まって牢屋の中へ〜というのはこちらオッケーです!
諸々ご対応いただきありがとうございます!
(-52) 2023/09/20(Wed) 23:30:17

【秘】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ → 口に金貨を ルチアーノ

/*
大人だね……かわいいね……♡
お声がけいただいて、よかったな〜の気持ちがあります。よかった〜。
大嘘だらけ心の病気の掃き溜めなので最後にはきちんと罰を受けるつもりです。
場合によっては生殺与奪の権は貴方に預けるかも知れません。
改めてよろしくお願いいたします。
(-60) 2023/09/20(Wed) 23:51:52

【秘】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ → 口に金貨を ルチアーノ

/*
取り急ぎ運営さんにも、
逮捕時どういう醜聞がぶちまけられるかは伝えておきました。
運営の地の文を投稿する必要があるかなと思ったので。
タイミングについてはもしそちらが特定のロールをした後がいいなど希望がありましたら、
運営さんとやりとりしてお伝えいただくのが齟齬なく早いかな? と思います。
(-64) 2023/09/21(Thu) 0:06:11

【墓】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ

その日の朝。いくらかの人員と共に並べ連ねられた中に、
ほかのどこか作り物めいた捏造を匂わせるでっちあげとは明らかに異なる罪人の名があった。
その男は警察組織に属していながら、墨色の罪に身を浸していたのだという。

かつて貴方がたの上に立っていた、或いは目の上の瘤であっただろう男は、
或いは犯罪組織に属する人間として敵であった、そして話の通じる窓口であった男は、
その裏で全てを欺いて、幼い子どもたちのの切れっ端を売りさばいていたのだという。
ひとつは、路地裏から。ひとつは、幼い子供の遊び場から。
ひとつは、ノッテファミリーの息の掛かった、彼らの敷地であるはずの養育院から。

手引して手足のように使っていたのは街のチンピラや、ノッテのシマを荒らす輩、
島外から参入してきた小規模な国外犯罪グループなどだった。
警察からしてもノッテからしても、力をつけられてはまずい輩だ。
其々に対する反目であり、裏切りであると、挙げられた証拠の全てが物語っていた。
商品はどこからどこへ渡っていたか。この島から、島の外へ。特に、このニ年間に至っては。
"港"の主を欺いて、その影と背に隠れて利権を吸い上げていたのだと、調査が上がる。
長らく窓口として親しくしていた筈の、今は留置所の中の彼をだ。

ほそぼそと続いていた罪はこのニ年で拍車が掛かる。
養育院に寂しい風が通り抜けたように思うほどに、子供の数は徐々に減っていた。
表向きには、もしくはノッテファミリー内の監督者への報告では、
彼らの引き取り手として挙手するものが島外から多くなっていた、ということになっていた。
それが意味する真の意味は、もはや言わずもがなであろう。

幾人の、幾十人の子どもたちが、その未来を奪われてきたのだろう。
その醜聞は瞬く間に人の口にのぼり、午前の内に署内を駆け巡った。
勢いは激しく、疾く。ヴィトーと呼ばれた男の信頼が失墜し、嘲弄に変わるのは早かった。
そのうちに誰もが口にする。今までの、男へ対する不平不満。嫉妬。
さもそれが元よりの評価であったかのように塗り替えられる。
心変わりが早い、否。誰もそれが自分より上に立っていた人間だと認めたくないのだ。
(+1) 2023/09/21(Thu) 1:08:55

【墓】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ

そしてそのうちに、歳を重ねた警察官らからある噂が降りて広がっていった。
ヴィンセンツィオ・ベルティ・デ・マリアという男が警察になる前、
彼は一体どこから来たのだろうかということだ。

一人の年老いた警官が言った。
警察などになる前は、あの男はスラムの淫売だったと。
痩せた体に見窄らしい衣服をまとって春を鬻いでいたのを自分は知っていると。
一人が口にすれば、既に真っ赤に焼けた土壌に油を注ぐように嘲弄の炎は大きくなった。
やれ、前々からそうなのじゃないかと疑っていたと。
やれ、今の地位にあるのも体で取り入って寝室で成り上がった功績なのだと。
やれ、これまでの活躍と聞いていたのは全てでっちあげなのではないかと。

一度足元が崩れたからには、もう留まることはない。
まともな者が悪意の波を止めるには、人が人を下に見た時の高揚を鎮める術もなく。
その噂はひょっとしたら、留置所の前でももっともらしく囁かれたかも知れない。
それくらい、衝撃的だったのだ。それくらい、認められないものだったのだ。
噂話をするのは不真面目なものばかりではない。真面目なものもそれに従った。
まるで自分が今まで従ってきたものこそが、嘘の姿であったと目を塞ぐように。

笑いものに石を投げるのは、自らを守るためなのだ。
人はだれもが、強い生き物であるわけではなかった。
(+2) 2023/09/21(Thu) 1:09:05

【秘】 Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ → 黒眼鏡

/*
お疲れ様です。しまむらです。
生殺与奪の権をに握ってくれるんですか!? やったー!
いまいまこちらで考えていたことと照らし合わせると以下の選択肢になります。
というのも警察に悪行が知れ渡った以上、その大小にかかわらず今までに協力したギャングとしては、
ヴィンセンツィオは一秒でも早く始末隠蔽しないといけない存在であるため……
元々瀕死寸前まで破壊するつもりだったので、それを汲んでのぷらんになります。
今のところエンディングの打診というか交流自体あんまりないですね。

@留置所から出された際に小規模な犯罪グループに拉致されかけたところを拾って殺し合いをする
損耗率0〜10% 逃亡パートの後で生殺与奪が挟まります。
A貴方を尊敬するノッテの下っ端に拉致拷問されている途中で介入して持ち出して殺し合いをする
損耗率20〜40% ある程度落とし前はつけておいたほうがプレイヤーの溜飲が下がるかなと
B当初こちらが考えていたパターン 上と状況は同じ
損耗率90% 痛い目にあって欲しいならこちら 最初から生殺与奪の権を握れる

あと殴り合いしてから拷問で帳尻合わせるパターンもなくはないけどなところ。
上記の通りとっとと死んでもらわないと困ると考えるモブが沢山いるのと社会的立場を失っているので、
殺し合いの結果に関わらず後ろ楯がない状態だと島内にいられるとほぼほぼ確実に死ぬだろうなと考えています。
何か聞きたい事や希望などあればお申し付けください〜。
あと多分それなりにグロくなるのでしたような描写が苦手でしたら先に内容お伝えすることもできます。
(-264) 2023/09/21(Thu) 21:23:04

【秘】 Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ → 口に金貨を ルチアーノ

「――あっははははは!」

ソファに沈み込んだ体がくつくつとした笑いで揺れる。
悲痛、義憤。そうしたものを滲ませるような態度を目の前にして、男は笑った。
嬌声めいた声を上げて、見たこともないくらいに大口を開けて。
侮蔑と呼ばず何と呼ぶか、そういう態度だ。仮にもマフィアを相手取ってのものではない。
恐れを知らぬような尊大は、ソファに体を預けるように力を抜いた。

「金のためだとでも言えば、お前は安心して怒りを抱けるかもな」

本当のことを口にする気のない軽口が向けられる。まともに取り合うつもりはないらしい。
こうして目の前を訪れ洗い浚いに己の罪を明かしたというのに。
そこで、終わる。理由、言い逃れをひけらかすわけでもない。
貴方の前に怒る理由だけを放り出して、男は目を細めて貴方を見上げる。

「殴るか? 別にいい、気が済むまでやりゃあいい。
 今更誰に何をされたところで、俺は何とも思わん」

もしもその退廃を蠱惑と称するのなら、そうも見えるかもしれない。
誘うように低い声を転がし、貴方の涙や吐き気を軽々に扱って笑い飛ばす。
非道な人間であるとはっきり決めつけられたならば、
貴方の体も油を差したように動き始めるんだろうか。

「殺すか?」

抑揚のない声だった。当たり前に、ぽろ、と溢れたかのような。
そういう末路が当然と――覚悟ではなく、両手両足を投げ出したかのような諦念と共在するのだ。
貴方の目の前にあるのは、歩いて息をするだけの唯の死体、掃き溜めの痰壺だ。
からっぽの器に失うものもなければ、恐れるものもあるはずもない。
何も持っていないのだから、当たり前のことだ。
(-282) 2023/09/21(Thu) 23:40:20

【秘】 Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ → 暗雲の陰に ニーノ

サルタナレーズンとピスタチオを練り込んだデニッシュを手に店を出る。
夕日を浴びて街に馴染んだ公園を見て懐かしむように目を細める様子は、
いつかの記憶を思い出しているかのようにも見えた。
ベンチに浅く腰掛けてなるべく視線のよく通うようにしながら貴方の言葉を聴く。
ひとたび問いかけに突き当たるまで、話し終えて満足するくらいまで。
そこに作意はない、おそらくは。長い睫毛が、相槌の代わりに何度も合わせられた。

「うん。……うん」

「いま、かつての実効支配があった時代とは違って、
 大きなマフィアのファミリーも富裕層めいた暮らしをするものではなくなっている。
 みかじめピッツォを払わなくとも殺されるようなことは殆どないし、
 大手を振ってメディアが彼らと取り上げられるくらいに、力は小さくなった。
 それでも彼らを恐れる人は多い。彼らを取り締まる方法は今も常に新たにされている」

大きな手の中に包まれたデニッシュは、ひとかじりもされないまま小麦の匂いを漂わせる。
朝も早く閉まるのも早いパン屋の商品は、朝日の中ほど芳しいわけではないが。
秋めいた枯れた芳香と相まってどことなく郷愁を抱かせるような、そういう匂いだ。

「けれども、彼らを取り締まるのはあくまで市民の為だ。
 弱く、力を持たない人々が自由に生きることのできる社会を作るために、
 今回の法案や、私みたいなマフィア対策部署の人間がある。それは、其れ以上ではない。
 だから、何も力を持たないひとびとを怯えさせるような方法を振りかざすのは、
 私は……間違っている、というふうに感じている。
 みながどう思うかは、それぞれに違うだろう。だからあくまで一つの、参考にしておくんだよ」」

貴方の言葉を聞き、己の考えをゆっくりと話す目は。貴方を慈しんで心配するようなものだった。
変わらない、ずうっと。小さな貴方を、保護するもののように愛している。
後ろから見守って、歩き出す勇気が足りなかったり道を迷う時に、
そっと支えるように傍にある――そういう、穏やかな顔だった。
(-285) 2023/09/22(Fri) 0:08:24

【秘】 Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ → 花浅葱 エルヴィーノ

貴方が此処まで来るにあたって、見知った顔とはすれ違わなかった。
留置所の一角、周りは空き部屋だらけ。人がいればすぐにわかる。
隣をすり抜けたものがあったとすれば見覚えもない一般職員で、
誰ぞに聞いても名前の上がるような――まあ、立場ある警察官でもマフィアでもないもの。
此度の法案でどこが浮足立とうと名を挙げ連ねられたりはしない無名の誰かくらい。
ぱたぱたと、知らない顔が貴方の視線から逃れるみたいに駆け足気味に留置所を上がっていく。

そんな冷たい廊下を抜けた先に、男の居所はあった。
罪状を思えばいっそ、デスクの前よりもこの場所のほうがいっそうにふさわしい。

「……まだ君は、私を警部と呼ぶんだな。
 何か用事かな、ああ。そういえばデスクの上の書類はそのままか。
 今度こそ仕事を押し付けられでもしたのかい、エル」

貴方を見れば、寝台に座り込んだ男はゆっくりと顔を向けた。
以前と変わらない穏やかな表情は、差し込む光のせいか僅かばかり翳りがあった。
或いは。光の内でしか貴方が垣間見る機会がなかっただけで、元からこうだったか?
特異な拘束もされていない男は両手両足を投げ出し、何の動きもなく貴方を待つ。
足の先には、やけにぱっと目立つ赤いルージュ・カザックが彩られていた。

わずかに。湿ったような生っぽい匂いが香った。
気づいたように男は口元を拭って、かすかな汚れが残っていたのを消した。
(-288) 2023/09/22(Fri) 0:24:28

【秘】 Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ → 花浅葱 エルヴィーノ

「いいや、何も。
 憂さ晴らしに来る人間がたまに来るんだ」

睫で翳った目は、それを大したことでもないように流した。
実際、檻の中の男にとってはどうでもいいことだった。他人からどうだかは知らない。
貴方に視線を投げかける以外は、靄めいた汚れでくすんだ壁をぼんやりと見ているだけ。
もしも貴方がよくよく男の様子を見るならば其れ以外にも、
服から見えないような位置に隠された青痣なんかも見つけられるかも知れない。
それでも、隠すでもなくどうでもいいように体を投げ出していた。

「それは困ったね。仕事の少しでも持ってきてもらうべきか、なんて。
 今こんな状況で私に内部の仕事を手伝わせるわけにもいかないか」

貴方にかける言葉は以前と代わり映えもしなかった。
おそらくは、貴方があくまで上司としてのこの男に会いに来たからなのだろう。
今更なことと開き直ったりするわけでもなく、至って自然な様子だった。
申し訳無さそうに、整った眉が軽く下ある。

「君たちには迷惑をかけるね。すまないな、こんな時に」
(-304) 2023/09/22(Fri) 3:28:06

【秘】 Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ → 黒眼鏡

/*
エーッ死ぬの 嫌だ 死なないで欲しい 悲しい
相打ちで一緒に死にませんか? もしくは俺の死体ごと蜂の巣にされてくれ

承知いたしました!
本当は両目抉り出そうと思ってたんですがもうちょっとマイルドにしておこうと思います。
片肺逝くくらいだったら多少息はしていられるかな。肺だけに。
こちらもその時々のアドリブや生合成を取る為に多少ブレが生じるかと思われますが、
基本は今回の話し合いをベースにやっていく予定となります。
いつもありがとうございます。

あとパンツの情報定期便を貰っているのはPCが普通に性的な願望を持って見ているからです。
(-329) 2023/09/22(Fri) 8:53:43

【秘】 Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ → 花浅葱 エルヴィーノ

「被疑者に問うか上司に問うかどっちかにしなさい。
 私もそれではどう振る舞ったものだか、わからないよ……ああ」

翳った目が貴方の動きを追い、指の行き先をぼんやりと見ている。
混乱したような問いが向けられるのを聞きながら、ふと。
慣れたローテーションのように、ありふれたものに合点があったようにその先を思い描いた。
たぶんこうして整理のつかない頭の中の考えをぶつけてきた人間は他にもいくらかいたのだ。
当然、混乱するような事態を生んでいるのだから貴方の行動はおかしくない。
ただ、貴方よりも混乱した人間のいくらかは、それ以上先の鬱憤の晴らし方を求めたのだろう。

「はい」

次にどう来るか、予見したような物言い。
顔を見上げて顎を逸らし、軽く口を開けて舌を出す。
そこには期待も失望もなく、ただ無感情な声だけがあった。
(-332) 2023/09/22(Fri) 9:05:41

【秘】 Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ → 花浅葱 エルヴィーノ

「憂さ晴らしに来る人間がたまにいるんだ、って言っただろう。
 別に、なんとも。大したことじゃない」

大したことじゃない、なんてことはない。あってはならないことだ。
けれども男はぼんやりとした目を貴方に向けるだけで、喜色も嫌悪もどちらも抱かない。
大きな川の前で流れが過ぎていくのを待つような、どうでもよさそうな目をするたけだ。

「……ああ君には、不思議に見えるんだろうな。
 彼らは弱くて、今までこの法案のもとで無実であるかもしれない人たちを捕らえて、
 不確かな正義にあやふやなままに従わされて、自分の職分を見失いかけているんだ。
 そこに、確かな罪人が現れた、それも自分という個人を欺く形で」

訥々と語る。他人事のような口ぶりだった。
遠いものをゆったりと喩えを交えて語るような言葉は、いつかデスクの前で話した時とも変わらなかった。
一人一人を慮るかのように語る様子は、肩書きにふさわしく振る舞っていた時と違えも無い。
はだけた肌の上に骨に至るまで打ったような痣を備えていてもだ。

「君は壊れてはいけないよ、エル」

以前と何も変わらないのなら、いつから壊れているのだろう?
(-433) 2023/09/22(Fri) 21:21:59

【秘】 Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ → 暗雲の陰に ニーノ

貴方が頷いて、安心を得てからにようやく男はデニッシュにかぶりついた。
複雑でしかしすっきりとした甘さが舌の上に沁みる。
五十年前、マフィアの勢いの強かったいつかと比べれば街の様子は変わった。
どちらが豊かであるかを示すものではない。ただ、変わった。
その片鱗の一つが、法案の形としていま表れているだけ、なのかもしれない。

「正直な話、私も彼らは好きではない。非合法の手段を取っているのには変わりない。
 いずれ衰退して街の産業や活気の中へ落ち延びていってほしいものだ。
 ……人としてそこにある人々を排斥して済まそうとは思わない。
 正しく、歩み寄れる隣人となれるように、徐々に解体されてほしいところだ」

マフィアなんていなくなってしまえばいい、端的にはそういう話だ。
けれどもそれは、彼らの死や破滅を望むのとは違う形だった。

「フレッドが自分の道や、自分の目の前にあるものを見ることができたならいい。
 君が目を塞いでしまわざるをえないことが、私は一番悲しいよ」

服の袖に掛かる僅かな重みを払い除けたりはしなかった。
そこにあるものを、そこにあるように。
されるがままの腕が、貴方へと預けられた。

「革新的に変えるのは難しい話だ、私でもそうだ。
 けれども其れ以外のことをしてはいけないわけではないし、そうだな。
 街の見回りでもして、店の人達やおじいさんおばあさんたちとたくさん話をしなさい。
 彼らにとって、安心できるお巡りさんであるようにね」
(-630) 2023/09/23(Sat) 14:35:27

【秘】 Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ → 花浅葱 エルヴィーノ

「いいや。壊れないために、やっていることなんだろう。
 でなければ明日、罪もない人を捕らえるのは自分かもしれない、なんて。
 そんな状況には耐えられもしないさ」

法案を嘆くのは他人事だ。けれど、手を尽くすのは現場の彼らだ。
彼らは己の声も届かない高みからの命を受けて、曖昧な罪を裁きに己の足を運ぶのだ。
とても正気ではいられない。
哀れむように、スカイブルーは長い睫毛を伏せた。

「生きて罪を償うべきを望むなら――……それこそ此処がちょうどいいということになる。
 調書には目を通したかな。なら、わかるだろう。
 私が口の利ける状態で生きていることを望まない連中は大勢いる。
 島内のマフィアの根絶は目指せても、島外よりの者となると不可能な話だ。
 生きて、を望むならばそれこそ、此処から一歩とて出ることはできないんだよ」

貴方の目の前にいるのは上級警部ではなく罪人だ。
故に、一度咎を受けたならば二度と元のようにはならない。
貴方の目の前にあるのが現実であり、真実だ。
(-638) 2023/09/23(Sat) 15:38:28

【秘】 Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ → 口に金貨を ルチアーノ

「なんだ」

拍子抜けしたような声がソファに落ちた。
僅かばかりの期待があったのかもしれない。わかりやすい終りのある事への。
組んだ手が腹の上に置かれ、虚脱したようにソファの背もたれに体を預ける。
とても貴方の期待に値する価値のあるような人間とは思えない。
貴方が男の顔を視たならば、貴方を見上げるスカイブルーには薄く冬の雲が掛かっている。
今、ではない。会ったときから。おそらくはずっと何年もそうなのだろう。

「お前にできることなど何もないさ。
 失われたものを探し出すのは途方もない時間が掛かる。
 ようやく見つけたところで、そこには手遅れって名前の裏切りが横たわっているだけだ」

淡々と物語を口にするように、切り捨てる言葉が向けられる。
貴方の"光"に照らし出されるものなどない。無いものは照らせない。
そしてその結果を告げる意図は、今しがたの会話による影響さえもない。
貴方のことをどう思っているか、どういう期待や勘定を向けているか、
それとは無関係にただそこには閉じられた扉があるだけだった。
扉は、壁は、ふと。流れた風で木の葉が動いたのをみるような気まぐれに口を開く。

「憂さ晴らしがしたいのなら手を貸してやろうか。
 頼み事があるんだ、ルチアーノ」
(-642) 2023/09/23(Sat) 16:07:12

【独】 Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ

/*
このロールは個人的な演出の為のものであり、NPCの傾向を決定づけるものではありません。
全てのネームド、及びNPCに対する印象操作のためのものではなく、
極々一部の個人だけを指すものであるということをご理解ください。


夜は誰の気も知らぬように更けていく。
秋めいてきた空気を吸った冷たい壁は、留置所に少しの冷え込みを落としていた。
こうした施設は留置する人間を苦しめるためにあるわけではなく、福祉の面は配慮される。
とはいえ申し分ないほどにとはいかず、暖を取るには寝具にしがみつくほかなかった。
鍵の開く音でヴィトーは目を覚ます。誰かが入ってきたようだった。
気づいて目を覚まさぬほど男は場数を踏んでいないわけでもなかったが、敢えて知らぬふりをする。
聞けば、入ってきたのは数人ほどのようだった。
慎重に足音を消そうとしているにも関わらず、各々の号令を待つように囁き声が聞こえる。
真っ直ぐに足音は寝台の横に並んだ。こんな場所に盗みに入るはずもない。
根の愚直さが為なのだろうか。そのうちの一人がヴィトーの背に手を当てて揺り動かした。
起きてください、という声を聞けばさすがに寝た振りもできない。
今しがた起きたかのように振る舞って見上げると、すぐに一人が手を、一人が足をと取り押さえた。
業務では普段一切使うことのないだろう縄の類いが手首に掛けられる。
「何のつもりだ」ヴィトーは言った。見上げた先の顔が怯んだ気がした。
明かりもなく互いの人相もほとんどわからないのに、ヴィトーは声で相手が何者かに気づいた。
いくらか声を交わし、多少仕事も共にしただろう遠い立場の部下たちだった。
彼らの形相は怒りと悲哀が混じり、こうしたことに及んでまで未だ混乱を湛えていた。
腕を頭の後ろまで抑えこんで、一人が覆い被さる。何が行われるかは明白だった。
よくて暴力、過ぎれば暴行。ともすればここで誤って殺されることもないとはいえない。
そうした状況にありながらも、ヴィトーは普段のように少しの動揺もなく見上げていた。
仮にも昨日までは己の頭上にあった声を聞いて侵入者たちは僅かな怯みを覚えたようだったが、
同時にかつての面影をにじませることが、余計に苦しかったらしかった。一人の涙が、腹の上に落ちた。
どうしてあんなことをしたんですか。自分たちを騙していたんですか。そう声が言う。
(-694) 2023/09/23(Sat) 20:58:15

【独】 Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ

今にも殴りかかりそうな雰囲気でありながら、彼は敬語を崩すことが出来なかったらしい。
「そうだ」逡巡も無く男は言葉を向ける。途端に、頬に鉄拳での一撃が飛んだ。
口の中に歯の刺さるような厭な感触を覚えながら、ヴィトーはゆっくり顔を戻した。
効いていないのだとわかると、更にもう一撃が飛んだ。それを予期していながら避けなかった。
どうして、と問い詰める人間が欲しいのは相手に訴えが伝わることだ。伝えたいのだ。
だから、取り付く島もないとわかれば苦しみが募る。仕方のないことだった。
拳の主は震える手で首根っこを掴み、ヴィトーに何度もいつかの栄華と失墜を聞かせた。
言葉にしてしまえば楽になる、などということばかりではない。
己の言葉に表してしまった声は耳から入り、彼ら自身を苛んだ。
理不尽に壊れそうな心を鎮める手段は、時間が無いほどに手段もなくなる。
侵入者はヴィトーの服に手を掛けて、薄い着衣を一気に剥いだ。その下には幾つか痣があった。
無抵抗の人間を殴りつけたのだろう痕を見て、侵入者は気が大きくなったらしかった。
自分たちばかりが指さしているのではないという、見えない誰かへの連帯感だ。
肩から足元まで肌が露わにされ、荒れた掌を這わされる。弾力のある生きた感覚に僅かに息を漏らした。
艶を帯びた吐息に、指の主が息を呑む。勢いがつえば止まらないように、胸板に手を乗せる。
「ん、」鼻を抜ける息が冷たい空気に混じった。鍛えた体は色めいたものとは異なっている。
過去の捜査で負ったのだろう傷もあれば、年を取って水気は失われつつあった。
働き者といったほうが近い体の上を幾つかの手が這い回る度に、肩に僅かに赤みがさす。
丁度明り取りから月光が差して、ヴィトーの体を照らした。引き締まった体に皮膚が張る体だ。
行き場のない感情をより集めたような高揚の息が、覆い被さる者から吹きかけられた。
着衣を緩め、両足を広げた間に入り込む。固くなり始めた幹を擦り、裸の膚に押し付けた。
体液の匂いと温度を、上昇する体温とは裏腹に無感動な目が睨めつける。
今起こっていることに対して、なんとも心の動きを持っていないかのようだった。
女に同じようにするにしたって乏しい体液が侵入者の掌に集められ、ぬるりと幹を支える。
(-695) 2023/09/23(Sat) 20:58:42

【独】 Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ

同じ性別同士だから持ち得る性器同士をすり合わせて体を必死に動かすのを見上げて、
「それで気が済むのか」と嘆息するようにヴィトーが呟いたのを聞けば、空気が変わる。
侮蔑めいた態度を向けられたことは、漂う狂気に拍車をかけた。
もう一発、腹に拳が振り下ろされる。げうと息を吐いてのたうち回った。
やっとそれらしい動きのあることに安堵めいた声を侵入者は挙げた。彼は男を責める。
貴方は罪人で、肩書にふさわしくない人で、ずっと不満を持っていたのだと。
きっと彼らは自分のこれまでの恩を塗り替えてしまわないと耐えられないくらい、
ありふれた普通の、正義を信じる人間だったのだ。
その手が赤黒く腫れた肉の塊を包んで、ヴィトーの足の間に充てがわれる。
みちりと、膚の引き切れてしまいそうな音を立てて暴行が始められた。
初めはその手なりを全く知らないような杜撰な有様で、徐々に暴力に慣れはじめて。
数人分の精が体の中へ、外へと吐き出されて、それの何倍もの数の痣が膚に刻まれた。
何度も打たれた皮膚はところどころ擦り切れてしまって血の匂いを漂わせる。
殴られて腫れた頬の内側にできた傷を抉るように性器をねじ込まれて咳き込んで、
悲鳴どころが健康な呼吸の一つも出ないほどに腹を蹴り抉られ、内側から膨らすように犯された。
短くも長い強姦の最中、ただのひとつも、ヴィトーは彼らを責めなかった。
哀れんでさえいるような視線が投げかけられて、なすがままにされていた。
抵抗のないことが彼らの無力感を刺激し、弱い人間の心を苛むたびに暴行はエスカレートした。
それでも、誰ぞに露見するよりも前に彼らはやっと己の心の内の鬱憤を吐き出して、
どうにかこうにか留置所を後にすることが出来た。

足音が遠ざかってしまってからやっと、ヴィトーは体を起こして。
この部屋では何事もなかったのだというように、汚れた着衣を正した。
唯のそれだけのことでしかなかった。
(-696) 2023/09/23(Sat) 20:59:09
ヴィンセンツィオは、揺さぶられながらも己を責める声をただじっと聞いていた。
(c31) 2023/09/23(Sat) 20:59:53

 




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