(a12) 2020/06/14(Sun) 11:46:48
| /* 先生にエンカすればよかったかな 教室着いちゃったからしゃあねえな いっか (-33) 2020/06/14(Sun) 11:48:40 |
| /* 時間空いたからどっか拾って行こうかな (-38) 2020/06/14(Sun) 13:53:35 |
| /* あっ先生にエンカしようとしてたらかぶった (-40) 2020/06/14(Sun) 14:32:57 |
| [ 小さく挨拶をして気まずげに 足音を立てぬようそうっと 入った教室だったけれど、 すぐに近くにいた女子生徒に捕まった。
やっとクラスメイトの名前を 覚えてきたところなのだ。 彼女はそう、たしか…]
田中さん…
「おはよう、遅刻の矢川くん」
…すんません…
[ そう小さく謝ると彼女は困ったように 片眉をあげて、肩を上げて、下げて、 ふう、と小さくため息をついた。]
(46) 2020/06/14(Sun) 15:30:54 |
|
「とりあえず。職員室には行った?」
いや、まだ…
「なら先に行ってきなよ。 届出出してから帰ってきて。」
…ごめん…
「いーからはやくね!」
[ そういって頷く彼女に一礼して 一度教室をでる。でる、つもりだった。]
(47) 2020/06/14(Sun) 15:31:10 |
| 「あ、ちょっと待って」 [ そう呼び止められて差し出されたのは 一枚のプリント。そうそれは、先ほど 同じくクラスメイトの雨宮くんが渡されて いたものと全く同じ紙。 >>30嫌な汗が背をつつう、と伝う。] え、あの、おれ裏方じゃ 「もうほとんど終わったの。 わかる?読んでおいてね。」 [ そういってくるりと踵を返した 田中さんのスカートがふわりと揺れる。 その背中に向かって吐いた 「でも、バンドが…あって…」は きっと小さすぎて届いていない。 弁解を聞いてもらうことや、 慈悲を請うことはどうやら許されないらしい。] (48) 2020/06/14(Sun) 15:31:41 |
|
[ まあ、弁解という弁解もないから 仕方のない話ではあるのだが。
ちら、と目線を落とした。]
せっ きゃく まにゅ ある…
[ 小さく唸りそうになるのを、 こぼれそうなため息を、堪えて。]
(49) 2020/06/14(Sun) 15:32:11 |
| *
[ ひとまず職員室へ向かうことを 許されたのだから、その通りにしよう。 接客などやったことがないし無理だと 伝えるのはそのあとにしたほうがいい。 どうせ今断ってもすぐに却下される。
───参加しないという選択肢がなかったわけではない。
準備にはじめから参加していたわけでもないし ものすごく中途半端な時期に、その上 3年に上がってからの編入生なんて。 編入後1ヶ月で文化祭なんて。 物好きだと思われたって仕方ない。
だけど、参加したかった。 人生で限られた数しかないから。
それが思い入れのあるものでも、 ないものでも、構わない。
その場所に自分がいた、それだけで。]
(50) 2020/06/14(Sun) 15:33:55 |
| [ それに、今回は、ステージに立つことも 決まっているのだ。 急遽メンバーが抜けたという理由でも 誘ってくれたのはうれしかった。 きっと、最高の思い出にする。 あの時は楽しかったと、いつかまた 今日のことを思い出せるように。] はーー… [ だが、しかし。 それとこれとは話が別である。 コーヒーのいい香りがした。 >>40この学園の文化祭はどうやら 比較的模擬店が多いらしい。 もしかしたら本格派コーヒーを 出す店なんかもあるのかもしれない。] (51) 2020/06/14(Sun) 15:34:42 |
|
[ ああ、接客じゃなくてせめて キッチンスタッフにしてくれないだろうか。 そんなことを考えながらぼんやり歩く。
廊下から覗き見えるさまざまな 教室には展示も準備されているらしい。
とても広い学園だし、きっと 全てを見ることは叶わないんだろうなと 思いながら、背中に負ったベースのケースの 肩紐をくい、と引いた。]*
(52) 2020/06/14(Sun) 15:35:14 |
| ──職員室── うげ… [ 職員室に到着すれば、なにやらそこには 列ができていた。それも外まで。 >>58遅刻するたびにお世話になっている この場所であるから、馴染みはあるが、 こんなにひとが並んでいるのは正直 今まで見たことがないから、驚く。 だが、仕方ない。 この図体で目立たないなんていうのは むずかしい話ではあるが、ひとまず そっと最後尾につけた。 ポケットでスマートフォンが震える。 右手で取り出して、すう、とその 無骨で長い指を画面に滑らせる。 バンドのメンバーで構成されている グループにメッセージが届いたという通知。 数度タップしてみてみれば、どうやら トラブルがあって、リハーサルの時間が 予定より遅れそうだという連絡だった。] (85) 2020/06/14(Sun) 20:47:33 |
|
『りょーかい』
[ と一言送る。
バンドのメンバーはいい奴ばかりだった。 ベースは、ずっと前からやっている。 幼い頃から転勤族で、色んな場所を 転々としていた自分にとって、 人と距離を詰めるためのツールであり 拠り所のような存在。
今のメンバーに声をかけられたのは たまたまだった。 この街に引っ越してきてすぐ。 弦を買おうと楽器屋に行った。 その場所で「ベースが、受験を理由に 3年に上がってすぐやめてしまった」と 愚痴っているこの学園の生徒を見たのだ。]
(86) 2020/06/14(Sun) 20:48:00 |
|
[ 仕方ないとはわかっていた。 だからこそ、引き留めることも できなくて、くやしい、悲しいと。
ああ、そうだよなあ、と ぼんやり上部だけで話を聞いていて。 まさか、そのあと学園で再開して。 その上向こうがこちらを覚えていて。 入ってくれと頼まれるなんて思っていなかった。
元ベース担当のやつにも会ったし、 話をしてきちんと引き継いだ。 で、即席ながら無事バンドメンバーと なったわけなのだけれど。
今日が、最後になるんだろうか。
腐っても受験生だ。 あまり長く続けられないことは 重々承知だけれど。
やはり、一人で弾くよりも断然 誰かと演奏する方が楽しいし、 誰かに聞いてもらえるのも嬉しい。
最後は、寂しいな、なんて。 自分が言えたことではないのだろうけれど。]
(87) 2020/06/14(Sun) 20:48:31 |
| はぁ… [ 小さく息を吐く。 そのときだった。後ろから声がかかると 同時に肩を叩かれたのは。 >>59びくっと体が跳ねる。そっとそちらに 目を向けると、己と同じく、ここ最近 この学校にきた実習生の先生が立っていた。] え、ぁ、はい、大丈夫…す [ 己の顔にはそんなに暗かったの だろうか。思い詰めていたのだろうか。 心配されたらしい、ということくらい 安易に想像がつくからぺこりと頭を下げ。] (88) 2020/06/14(Sun) 20:48:57 |
|
あー……いや、 なんかこう、最後なんだなって ちょっと思っただけです、
俺が、感傷に浸るのも変すけど
[ と続けて。くしゃ、と手の中で 音を立てた紙に目線をやる。
そして、思い出した。 ああ、うん、バンドの方に意識が 向いてはいたがそうだった。
もっと憂鬱なのはこちらだったな、と。]
……最後に、恥は残したくないっす…ね…
[ そんな呟きを落とし。]*
(89) 2020/06/14(Sun) 20:50:05 |
| ──少し前の話・教室── [ 教室に足を踏み入れた、その瞬間。 己が覗き込んだ反対方向から まさかクラスメイトが逃げようと するなんて想像もついておらず。 >>68「うわっと」と微かに驚く声が聞こえると 同時についぶつかりそうになってしまう。 瞬間聞こえるのは「捕まえて」という指示。 だが人間そんなに素早く動けるはずもなく。 そもそも、ぶつかりそうになる前に 目の前のクラスメイトは両手を 降参といわんばかりに上げて、 小さな声で謝りながら離れていく。] (92) 2020/06/14(Sun) 21:53:24 |
|
…あ、いや、こちらこそ…
[ そうこちらからも一言謝って、 教室の中へと足を踏み入れる。 そこでちょうど田中さんに捕まったのだった。
彼がした提案をまだ知ることはない。 知っていたなら、こちらからも 提案したはずだ。自分も楽器ができるの だから、ぜひ演奏側に回らせてくれと。
そうすればきっと、今こんなふうに 接客マニュアルを見ては 不安を煽られることはなかっただろう。]*
(93) 2020/06/14(Sun) 21:53:50 |
| ──職員室── [ なんていうか、自分の居場所なんてものは きっと今この世にはっきり存在してなくて いつだって通う場所は仮の居場所にしか 過ぎなかった己にとって、 目の前の人の笑顔が、言葉が、 >>101なんだか安心して、うれしかった。 眉尻を下げて笑う。] …そういうもん、ですかね んじゃ、そう思っときます [ と返した。 手のひらの中でプリントが悲鳴を上げる。 上がりかけた心がまたすう、と下がる。] (106) 2020/06/14(Sun) 23:56:25 |
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