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サルヴァトーレは、家族を愛している。 (c2) 2022/08/20(Sat) 21:21:56 |
【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → 陽炎 アベラルド「楽しみだ」 ────約束が叶うことはない。 言葉と共に咲う。心底楽しみだ、と表情で語る。 男のかんばせに、言葉に、いつだって嘘はなかった。彼が君に嘘をつくことはなかった。誤魔化すことも、はぐらかすこともなかった。 男が家族を心から愛していたことを、きっと君は知っている。 幼なじみである君には一等心を傾けていたことを────ただ愛し与えるのではなく、与えられることを楽しんでいたことを────君は知っているだろうか。 男が繰り返し言った、「君の好きなものが好きだよ」という言葉は、きっと本心だった。 「おや。ふふ、気が合うね?」 両肘をテーブルだか膝だかに置いて手を組む。その上に顎を乗せる。少し横柄で、リラックスした仕草と言葉。 笑みを含んだ声音で、口元を緩めたまま。どうやら揶揄う材料を見つけた目つきで、彼は首を傾げた。 「……へえ。色々」 「色々、ね。……ふうん?」 グラスを受け取る際に上目遣いで君を見る。 「ぜひ、拝聴したいな。ドニ?」 (-75) 2022/08/20(Sat) 22:57:37 |
【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → 花で語るは ソニー男は家族を愛している。きっと誰よりも。 彼はアルバの名の下に集う全てを愛した。全てに心を割いて本当の家族のように接した。誰よりも彼らを思っていた。 けれどそちら側として身体を許したのは君だけだ。 ぎらぎらと瞳が光を増す。焼き付けるようにゆっくりと瞬くさまは、まるで映画のスローモーション。 ────消える直前の火は、一際強く輝くという。 男は、君の頬に手を伸ばした。 指の背で触れる。右の頬を撫で、それから左の輪郭を同じ優しさでなぞる。 ▼ (-91) 2022/08/20(Sat) 23:43:25 |
【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → 花で語るは ソニー「ソニー」 形のいい唇が君の名を紡ぐ。男は眉を下げて目を細める。 それは眩しさに目を細める表情に似ていた。 或いは痛みに耐えるようでもあった。 「僕は、君のことも愛しているよ」 すり、と撫ぜる手が後頭部に回る。梳かれた髪が軽い音を立てた。風の音だけが聞こえる。地上の喧騒は届かない。 赤に近い紫の瞳。すみれ色の瞳。燃えるような夕焼けの後の、夜闇の一つ手前の色。 ただ穏やかに誘う色が、何もかもを抱いて包む色が、君を見ていた。 (-93) 2022/08/20(Sat) 23:53:31 |
【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → どこにも行けない ヴェルデ「そりゃあそうだ」 声に翳りはない。 「僕の愛は金銭じゃないもの。簡単に買えるわけないだろう?」 そういう意味ではないと、無論わかっている。 わかっているから、わからないふりで否定するのだ。 足並みを揃えて歩き出す。歩幅はあまりに違うのに、君と男が二人でいる時、君が置き去りにされることは一度たりともなかった。近くの席は埋まっているようだから、スープの屋台まで歩こうか。 「ああ、またそんなことを……」 苦笑するようでいて、あえて嘆くようでもある、作った声色を大袈裟に。 「上等かどうかなんて、些細なことだよ」 「僕が見たいんだ。君が思う素敵なものに囲まれている君を」 (-94) 2022/08/21(Sun) 0:25:49 |
【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → 墓場鳥 ビアンカ「ああ、まったく。そんなふうに笑われちゃ敵わないな」 男は笑顔を曇らせない。自然な、あくまで自然な、飾りですらないように笑いながら、降参! そんな仕草で肩を竦める。恋人同士がじゃれ合うような無邪気でおどけた仕草だ。 「そんなこと言って────可愛い子じゃないか」 「最近はよく食べるようになったね。昔と比べれば、だけど」 君が入る前から男はここにいて。 君が入った頃に男は今の地位について。 だからあの子のこともはじめから知っていた。 少年といる時の君のことを、男は喜ばしく見ていた。 「誓いのキスは必要かい? ビアンカ」 かつ、かつ、と石畳を踏む。 君の好む音が導く先は鳥籠だ。それが、そろそろ姿を見せるだろうか。 (-99) 2022/08/21(Sun) 1:03:46 |
【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → ザ・フォーホースメン マキアート「そうだね、めでたいことだ。僕も心から嬉しい」 「今度、子どもに会わせてくれるってさ────泣かせないようにしないとね」 男の気さくさを煩わしく思うものがいないわけではない。 けれどそのまめさは、親しげな様子は、優しげな態度は、概して好かれているようだった。中枢の動きを知らされず、不安を募らせがちな末端には尚更。 サルヴァトーレは、不思議な程に裏表のない男だった。心に引っ掛かりを残さない男だった。ただの善人、或いは兄、親、友人のように大抵の者が思った。そしてその印象を利用する素振りも、一切なかった。 「太刀打ちが出来ることは不安に思わないことにはならないだろ?」 「君が傷つけられでもしたら僕は耐えられない────もちろん、身体だけの話ではなくてね」 その頬はやや紅潮しただろうか。していても、青みを帯びた空間では気づきにくいかもしれない。 男の指先が、擽るように撫でる。 (-107) 2022/08/21(Sun) 1:25:03 |
【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → 陽炎 アベラルド「そうだねぇ。僕も、見なければいけない相手が増えたし」 「────もちろん幸福なことだ。家族が増えるのは。……けど、ふふ」 楽しみが増えた、と君の言葉尻。そこを捕まえて、男は気分を良くしたようだった。 片眉を上げて口の端を持ち上げる。前傾していた身体を伸ばし、背もたれに遠慮なく体重を預ける。それから君を真っ直ぐ見据えて、見せつけるように足を組んだ。喉で笑いを転がして問う。 「僕が恋しかったかい、ドニ?」 君が恋しかったよ、と。 普段なら、その言葉を吐くのはこちらの方。寂しいのは自分の方で、会いたいのは自分の方で、愛したいのは自分の方だ。それを、男はよくわかっている。 ささやかな乾杯が行われるのであれば男も従うだろう。丸みのあるボディを軽く触れ合わせれば小さく音が立ち、透明な液体がグラスの中で踊った。その液面が静まる前に、君と同じように一つ口を付ける。気に入ったらしく、満足そうに頷いた。 「ああ。……そうだったの。道理で君に懐いてる」 「そりゃあ、可愛いわけだ。大切にしてあげなきゃね」 ▼ (-120) 2022/08/21(Sun) 3:25:43 |
【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → 陽炎 アベラルド合点がいったともう一度頷く。それからもう一人の子どもの方のことを思い出した。 アルバファミリーは横の繋がりを大事にする、家族のようなマフィアだ。だからだろうか、拾った拾われたがとかく多い。それ自体はほかのマフィアでもありうる話だが、拾われる側が本当に子どもであることが多いように思う。大抵はもっと年齢がいった半グレのような連中が、使い捨ての即戦力として連れてこられるものだ。 家族が増えることは男にとって好ましい。だからじわりとした満足げな心地のまま君の言葉を聞いて、その視線の先を同じに追った。 「へえ。それは」 「さぞかし可愛い子だったんだろうね」 ワインをもう一口。 緩やかな相槌は話を促すだろうか。閉じてしまうなら、それはそれで。 (-121) 2022/08/21(Sun) 3:27:52 |
【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → 陽炎 アベラルド「もちろん恋しかったさ。当然だろ?」 なぞるように言葉を返す。小気味いい笑いが零れる。 「素直で可愛いね、ドニ。おいで」 言って、男は腕を軽く広げた。左の手首に巻かれた時計が室内灯の光を弾く。光を吸うような重い色の衣服を纏った男の身体で、唯一明るい色をしているのがそれだった。嫌味のないゴールド。 「大切なものが出来ると、欲が出るものだね」 「幸せにしてやりたいんだ。いくらあげても足りない。もっと幸せになってほしい、苦しまないで笑っていてほしい────」 男は家族を愛している。 だからだろうか、愛を語る時彼は少し饒舌になった。自分の愛を示すように、或いは確かめるように、間違いを探すように。それは語るようでも独り言のようでもあった。 不器用に言葉を紡ぐ君に向けられる目は優しい。慈愛に満ちた赤みの紫。 「今度、ルチアの顔をよく見てご覧」 「悲しい顔をしていたら、足りない顔をしていたら────言っておあげよ。愛してるって。抱きしめて、花のひとつでもあげて」 「……いいや、君だと頭を撫でるくらいが関の山かな? あは」 こんな風に、と君の髪を撫ぜる手つきは普段より少し乱雑だった。君のそれを真似たつもりなのだろう。 ▼ (-137) 2022/08/21(Sun) 12:09:11 |
【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → 陽炎 アベラルド「全くだよ。誰が死んでも僕は悲しい」 「家族を失うのは、辛いからね」 誰が死んでも僕は悲しい。 昨日見た顔がいない。今朝会ったやつがいない。そんなことは、日常茶飯事だ。誰かがいなくなれば新しい誰かがやってきて、その誰かも結局またすぐいなくなったりする。この社会の常だった。 だから男の言葉は甘い。 ────甘い。 (-138) 2022/08/21(Sun) 12:12:35 |
【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → 陽炎 アベラルド男の手が衣服の上から肌を撫でる。大きく、性別なりに硬いその手のひらで、指先で、素肌に触れられたこともあった。腰、背中、肩、項。 「恋人扱いの方が好みかい? ハニー」 笑みを交えて耳元で囁く。耳朶に軽く口づける。整えた端からまた乱す。 こうやって言葉で、態度で、体温で、男はいつも愛を伝えた。後から後から絶え間なく溢れ続けるものを注ぐように、そうしていないと死んでしまうかのように。 「伝えるべきことは伝えるべき時に伝えなきゃ。そうだろ?」 「家族なんだから追い出せやしない。でも、いついなくなるとも限らないんだから」 男は確信している。君があの子を愛していることを。 「騎士でいるのもいいけれど、王子様に掠め取られてから後悔しても遅い」 その形が、内容がどうであっても、愛であると。 男もまた、君を愛おしむ。 「────……」 「やっぱり、張り合いがない? 彼がいないと────」 (-141) 2022/08/21(Sun) 15:12:08 |
サルヴァトーレは、家族を愛している。 (c23) 2022/08/21(Sun) 23:41:28 |
【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → 永遠の夢見人 ロッシ【3日目:夜】 男は、家族を愛している。 その想いに揺るぎはない。その想いに嘘はない。その想いに果てはない。 例え自分が裏切られていようと、騙されていようと、隠されていようと、嘘を吐かれていようと、 傷つけられようと、憎まれようと、疎まれようと、嫌われようと、嗤われようと、 殺されようと、 男は家族を愛している。それだけが、真実だった。 それだけが、真実だ。 それだけが、真実だから。 男が情報を望んだことはない。 男が戯言を聞いたことはない。 男が迷言を欲したことはない。 (────あの子は) こと切れる意識の隙間で可愛いあの子のことを思う。 (あの子は、何を────) 男は、家族を愛している。 だから望んだ。朦朧とする思考の間際に手を伸ばした。 探ったのでもなく、疑ったのでもなく、勘繰ったのでもなく、怪しんだのでもなく、 ただ知りたいと、 最期に 望んだ。ジェイドの瞳を持つ彼の、指先や襟元から香る僅かな甘さが、行き過ぎた気がした。 (-188) 2022/08/21(Sun) 23:42:11 |
サルヴァトーレは、家族を愛している。 (c24) 2022/08/21(Sun) 23:42:29 |
【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → 永遠の夢見人 ロッシ/* こんばんは。 ソニーくんの情報をいただきたく参りました。 @ソニーくんのロール(役職) Aソニーくんの所属(ファミリーや組織) 死の間際の走馬灯、白昼夢、末後の夢ということでお願い出来ませんでしょうか。 一度の夢につき情報は一つという決まりがあるなら、@を優先して教えていただきたいです。 (-190) 2022/08/21(Sun) 23:43:19 |
【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → 永遠の夢見人 ロッシ/* お返事、ご対応ありがとうございます。かしこまりました。 正座してお待ちしております。 (-195) 2022/08/22(Mon) 0:18:47 |
【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → 永遠の夢見人 ロッシ末後のあえかな息を吐く。 ぬるく乾いたそれが魂を奪い取っていく。飲みすぎた頭が酒浸るように思考がずぶりと溶けていく。自然に漏れた吐息はあまりに弱々しく、最早空気を揺らすことすらなかった。 けれど、そこに感情が乗っていたとしたなら。 まずそれは安堵だったのだろう。 (────ああ) そうだ、愛しているとも。 間違いなく、後悔なく、迷いなく、愛しているのだ。 何者であれど。何処に所以を持てど。如何な秘密を持てど。 愛しているのだ。────いるのだ。 望みはひとつ叶えば次の欲が出る。未練と寂寥が顔を出す。 この手が夢だけでなく、彼にも届けばいいと僅かに願った。 蕩けた頭ではそんな想いも直ぐ溶け出して霧散していった。 (-214) 2022/08/22(Mon) 3:15:09 |
【独】 家族愛 サルヴァトーレ(愛してるよ) (愛してる────) きっとおしまいのその時まで、男は。 いつまでも幻影に手を伸ばしていたのだろう。 (-213) 2022/08/22(Mon) 3:15:36 |
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