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【人】 ][『月』 エーリク―― 自室にて、チェレスタと ―― [ 沈黙も別に苦には思わなかった。 貴方に"エーリクは自分が消えたらいいと 思っているのでしょう"と言われるよりはよほど。 それでも、ひといきに、怒りと共に 口にしてしまっていたなら、 取り返しがつかないような気がして。 出来得る限り丁寧に、言葉を選び、 ひとつひとつ、否定をし、 ひとつひとつ、己の思うことを口にしたつもりだった。 俯いていた彼女の視線が指先へ集う>>3:385 それが居心地が悪かったわけではないが、 あまりに冷えた指先を憂いて、引き戻し 温くなったカップを覆うように押し付けた。 やがて彼女が口を開けば、どんよりとした気持ちのまま 視線を上げた。 消えることは望まないとそういったのに、 震える指先を見せつけられた相手の気持ちを 写し取ったような気になって。 ] (18) 2022/12/20(Tue) 1:37:29 |
【人】 ][『月』 エーリク ………よかった 自信が、なかった 貴方ときちんと会話をするのも、 貴方に信じてもらえるかどうかも、 [ ああでも少し、羨ましくも眩しくも思う。 あなたは今の今まで誤解していた相手にすら すんなりと、謝罪と感謝を口にできるのだ。 ] 僕も、……その、ごめんね あと、 あ、……ありがとう? [ 猿真似よろしく、あなたの言葉を繰り返そうと するだけで、こちらは錆びた鉄人形のように、 ぎこちないのに。 ] (19) 2022/12/20(Tue) 1:37:46 |
【人】 ][『月』 エーリク ――どうでもいいと、言ったけれど 生きていれば、こんなこともあるのかと思ったら すこし、もったいなく思うな [ 貴方は肩を落とし、笑う。 笑い掛けている、僕に。 そんな瞬間を目の当たりにして、ほんの僅かに 口角が上がる。笑うには少し届かないが。 もっと早く、にはぐ、と言葉を詰まらせてから 心から、 ] 本当にね……でもきっと、 こんな風に追い詰められなければ、 今このときはなかった、と思う。 [ そう口にした。が、次に貴方が口にした わがまま>>3:388とやらには、今度こそ小さく笑って言う。 ] (20) 2022/12/20(Tue) 1:38:15 |
【人】 ][『月』 エーリク 今更だけど、それはちょっと。 だって僕、貴方に嫉妬してるもの。 楽しい話は出来ないはずだよ。 [ 時間が許せば、どうしてと問われても 答えることが出来ただろう。 演じることが、スポットライトを浴びて、 壇上に上がることが、すっかりトラウマになって しまった己からすると、歌を愛し、 歌をなくすことを悲しみとする貴方は、 眩しすぎて。時折は疎ましく、妬ましく思うことを。 けれどそれを話すには、きっと今日では 足りないから。 ] 内緒。 もしも、――世界がこれからも続いたなら その時は、…貴方ともっと話を することも、あるかもしれないね。 (21) 2022/12/20(Tue) 1:39:08 |
【人】 ][『月』 エーリク[ お互い様ではある。けれど。 捨て置いてもよかったはずだ。 世界の崩壊は既に始まり、残された時間は 少ない。その中で、会いたい人だっていただろうに それでも己を選び取り、時間を過ごしたこと。 それが後悔にならねば良いと願った。 ――きっとこういうところ、なんだろうね。 ] (22) 2022/12/20(Tue) 1:39:49 |
【人】 ][『月』 エーリク どういたしまして。 ――うん、気が向いたら"いつでもどうぞ" [ カップの中身は空になる。 貴方は部屋を後にする。引き止める理由もないので、 見送ることはせず、彼女は部屋から出ていく。 どっと噴き出すように背中に汗をかくのを感じた。 ど、ど、と大きな音が己の中でこだまする。 それでもなにか、やり遂げたような気持ちで ベッドに転がった。* ] (23) 2022/12/20(Tue) 1:40:10 |
【教】 ][『月』 エーリク[ 月には友がありました。 友とは互い大事に思い合い成り立つものに ほかなりません。 世話を焼く、焼かれる間柄であったとしても 月もまた、友を大事に思っていました。 行動で示すことは得意ではありませんでしたが その分、ことあるごとに言葉で、 また、不器用ながらに贈り物などをし、 己の気持ちを、伝えていたつもりでおりました。 友の持つ贈り物、ちからが、 いつしか友そのものを塗り替えてしまうと予見 していたとしても 月は教皇の、友であろうとしていたでしょう。 時折思い詰めた表情を見せること>>3:/85があろうとも 苛烈な一面を見せることが>>3:/86あろうとも。 ] (/0) 2022/12/20(Tue) 2:09:48 |
【教】 ][『月』 エーリク 煮えきりませんね はっきりおっしゃいなさいな。 [ ある時、語り合いのなか決意に満ちた表情で あなたは語ってくれようとしたのに、どこか 煮えきらないまま。取り出そうとした仕草を 見せるも、結局は出てくることはありませんでした。 ] ――違えてはいけないと誰が言ったのですか? もういちど言うわ はっきりおっしゃいなさいな。 貴方の願いなのでしょう 友たるわたくしが、無下にしないと わかっていて、言うのであれば 覚悟を持って、おっしゃいなさい。 貴方とならば、刺し違える覚悟だって わたくしには持ち合わせがありましてよ。 [ だって、貴方がそう育ててくれたのでしょう。 まるで、朝露に濡れる薔薇がきれいだったのよ、 とでも言うように、さらりとそう口にした。 ] (/1) 2022/12/20(Tue) 2:10:23 |
【教】 ][『月』 エーリク[ 花の世話をしたいの。 ああでも、わたくしときたら、 枯らすばかりで、ねえどうしたらいいかしら。 髪の毛が汚れてしまったの。 切ってしまおうとおもって。 え?切らずとも洗えばいいの? じゃあ、お願いしてもいいかしら。 あなたと、わたくし。 あげればきりがないほど。 これまで話してきたじゃないの。 思い合ってきたじゃないの。 何を今更迷うことがあって? 月は呑気に微笑んでいました。 ] (/2) 2022/12/20(Tue) 2:10:44 |
【教】 ][『月』 エーリク[ 貴方の葛藤も、ささいな変化も、 教皇たる貴方をかたちづくるものなれば 受け入れ、たっとび、 貴方を愛した。 箱庭に住まう他の者同様 ――いいえ、やはり貴方はいくらか特別に。 ] (/3) 2022/12/20(Tue) 2:11:01 |
【教】 ][『月』 エーリク[ ――だけど、ごめんなさいね。 わたくしは貴方を残し、死んでしまった。 死にゆく中で、貴方の言葉が うかんでうかんで、 浮かばれなかった。 ] (/4) 2022/12/20(Tue) 2:11:16 |
【教】 ][『月』 エーリク ねぇ教皇、貴方はわたくしに何をねがい なにを託したかったの ……私を、どうか 止めて欲しい? ごめんなさいね、それはできそうにないわ 諌めて欲しい? ごめんなさいね、それもできそうにないの ころしてほしい? ……もっと早く、そう言ってくれれば きっと叶えて差し上げられたのに [ 薄れゆく意識、泥水に沈むように、 身動きが取れなくなっていく手足。 それでも最後まで、わたくしは貴方に 届かないと知って、手を伸ばしたわ。 すこしだけ、うらめしそうにね。 ] (/5) 2022/12/20(Tue) 2:13:56 |
【教】 ][『月』 エーリク (/7) 2022/12/20(Tue) 2:14:49 |
][『月』 エーリクは、メモを貼った。 (a14) 2022/12/20(Tue) 2:21:00 |
【独】 ][『月』 エーリク/* 死にゆくロルを書いて落としたら 殺されゆくロルが落ちてきた。そうなんだよね 「審判」が「月」を殺したのって、 「月」のためだと言って、 ってPからの指示書(?) に書いてあったもんね。 (-23) 2022/12/20(Tue) 2:24:56 |
【独】 ][『月』 エーリク/* 私とどうか――って言われていたら 残るのは、一緒に行けなくてごめんねという罪悪感 だったとおもうので、私を、どうかっていうのは 大正解なんだよなぁ。さすがの教皇様。 その未練故に 「おいていかないで」「ここにいて」って 情緒不安定になるようになったのだな。すばらしい。 完璧につなげてくれている (-25) 2022/12/20(Tue) 2:30:18 |
【人】 ][『月』 エーリク[ 言い表せない、天地がひっくり返るほどの 多幸感を味わった事、少し後悔している。 離れがたくなってしまう。だが、こうなると 知っていても尚、僕は貴方様の胸にすり寄って>>0 いただろう。 そっと御手が、肌に触れる。 途端に、溢れ出した涙は 久方ぶりに、悲壮や悲観、不安からではなく 幸せの色をしていた。 言いたいことも聞きたいことも山ほど あったはずなのに。今この時、 それらはすべてどうでもいいことのように 思えた。 さようならを口にしたことすら、悔いている。 その背を追いたい。やはり間違っていたと 手のひらを返したい。 それでも 呼び止める声は出なかった。 ] (91) 2022/12/20(Tue) 17:26:45 |
【人】 ][『月』 エーリク[ ぽたり ぽたり 素足に落ちる頃に、涙は温度を失って 冷たくなっている。 ついていけたなら、きっと楽なのだろう。 己の抱える苦しみなど、塵のような些事に 様変わりするのだろう。 それでも、崩壊を願わない 誰かがいる。 では、その誰かのために? ――否である。 ] (92) 2022/12/20(Tue) 17:27:02 |
【人】 ][『月』 エーリク[ 苦しみを捨てることよりも、 苦しみと共に生きることでしか、 なし得ないなにかがあると、 身をもって教えてくれた人がいる。 苦しみを乗り越えること、罷りならずとも 苦しみを伴っていたからこそ、 過ごせた時間がある。 それらを全部なかったことにしてしまうには この生命を、謳歌し過ぎた。 ] (93) 2022/12/20(Tue) 17:27:22 |
【人】 ][『月』 エーリク[ 壊れてほしくないものがある では、生きよう。彼らと共に。 なくしてほしくないものがある。 なら、生きよう。彼女らと共に。 実にシンプルな答えを得てしまった故に、 僕は貴方様の背を追えない。 涙に彩られたまま、 月 夜の散歩へ戻るとしよう。なにせ今夜は、月が綺麗に 見える夜だ。* ] (94) 2022/12/20(Tue) 17:28:31 |
【人】 ][『月』 エーリク―― 翌朝のこと ―― [ もしかしたらその後か、 集められる前に、誰かと喋ったりしたかもしれない。 細かな傷を拵えた素足を、 薬師に自ら診てもらいにいったりも、 したことだろう。 再び玄関ホールに集まるようにとの達しが 届けば、重い足取りで玄関ホールへ向かうだろう。 ――どのような結果になるやら、 神妙な面持ちで。 皆が揃った後に、神が呆れたように 口を開いた。滅ぼすのはやめにしよう>>3、と。 ] (95) 2022/12/20(Tue) 17:29:23 |
【人】 ][『月』 エーリク[ どうしてだ、と問うような声に、 返す言葉は持ち合わせていない。 きっと、何を言ったとしても、 選択が覆る事はなく、また 貴方の思いも変わることはないのだろうと 思った故に。 ] ……共が必要ならば そう言えば良かったのです。 ――けれど、全員でないと、 きっと貴方は満足しないのでしょうね 誰でもいいなら、 一人でいいなら、僕などいかがです [ そうすると思わなかったからこそ、 口にした言葉を誰かに咎められる事は あっただろうか、あったとしたら バツの悪そうな顔をしてみせた。 ] (96) 2022/12/20(Tue) 17:29:48 |
【人】 ][『月』 エーリク そうですか――……… [ いらないと神が言う。 ずきり、と心の奥で破裂音がする。 こころがいたい。 けれどきっと、貴方のほうがもっと痛いの ではないだろうか。 やがて貴方がさようなら>>7、を口にする。 昨晩己も言った言葉であるというのに、 貴方からそう言われると、身を引き裂かれるような 心地がした。 ] ――ああ!! [ そうして彼の体が崩れ落ちる。 側近くにいれたなら、その体を支える手伝いを 申し出た事だろう。* ] (97) 2022/12/20(Tue) 17:30:09 |
][『月』 エーリクは、メモを貼った。 (a28) 2022/12/20(Tue) 21:59:40 |
【人】 ][『月』 エーリク―― 玄関ホールからヴェルト氏の部屋へ ―― [ カルクドラにとって、ヴェルトがどんな存在か、 またヴェルトの姿をした神に、何を思うか。 多少なりとも察することは出来ていただろうか。 兎にも角にも、傾いだ体を支えることは間に合ったが、 力は少し足りておらず、彼の手>>116があったのは 大いに助かったことだろう。 ] 慎重に運ぼう。 衰弱しているかもしれない。 [ 二人がかり――もしかしたら他にも手伝う手は あったのかもしれないが。で彼を、私室に運び、 部屋を出た後>>117のこと。 ] (118) 2022/12/20(Tue) 22:21:07 |
【人】 ][『月』 エーリク どういたしまして――恩人、そう それは心配だね [ なにせ神の器になっていた、というような 状況である。その上、カルクドラにとっては 恩人、らしい。 何事もなく、おはようを言えればいいが。] 僕にとってのあなたみたいに? [ だとしたらなおのこと、己もまた心配そうな視線を 閉じた扉に一度向けた。 ] ……僕と? いいけれど。 [ 自分と、と聞いたのは、前から思っている通り 貴方を必要としてる人も、貴方が必要としてる人も いるのでは、という多少の遠慮と卑屈があったゆえに。 人はそうそう、変われるものではないのだ。 それでも迷うことなくうなずくと、 ] (119) 2022/12/20(Tue) 22:21:34 |
【人】 ][『月』 エーリク 茶菓子はなに? [ いつものようでいて、少しだけ 見上げる視線の色味が変わったことに、 貴方は気づいただろうか。 ――なくすことに怯える目から、 寄り添うような、ほんのりと優しい色を携えたことにも。* ] (120) 2022/12/20(Tue) 22:21:52 |
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