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【人】 征伐者 ヴィルヘルム[ 誰かが訊いた。 契約の果たされる時は来たか、と。 ] ( ────否、未だだ。 報せを国に持ち帰る迄。 得た物の処遇と治め方を決める迄。 全て『王』の役割よ。 ) [ 声は脳裏で囁いた。 城に戻れば必ず命を貰う、と。 ] (84) 2020/12/03(Thu) 13:07:56 |
【人】 征伐者 ヴィルヘルム[ 悪夢は完全に消え去り、 一人の脳が抱えるには重すぎる二百年の記憶は 眠る度に少しずつ薄れて往くのだった。 三週間に及ぶ帰郷の中で誰かの名が消える。 今では古き当主の名が思い出せない。 ] [ 幼い頃から夢の中で継承し、植え付けられて来た記憶が 抜け落ちれば、何も知らない子供に戻って行くかの様。 充たされず、飢えと渇きに支配された獣の如く 思考を占めていた 憎 ( 其の憎しみが誰の物であったのか、 影も形もなければ確かめる術もない。 ……そんなものだ。 ) (85) 2020/12/03(Thu) 13:08:17 |
【人】 征伐者 ヴィルヘルム[ ────祝賀に飲み交わす兵達の宴から抜け出して、 砦の暖かな寝室に戻る。 従者に火を焚かせ、灯りを付け、机に向かう。 ] [ “もう下がって良い”と告げれば、 目的のものを執筆する為に羽根ペンへと手を伸ばす。 相続に関しての取り決め、領主の割り当て、 功績を立てた者への褒賞、戦死者の弔い、 やるべき事は山ほどある。そして…… 真実を知らぬ息子に宛て、最期の言葉をしたためようと。 ] ( 何も浮かばないのは 疲労の仕業であって欲しい。 ) (86) 2020/12/03(Thu) 13:08:50 |
【人】 征伐者 ヴィルヘルム[ 考える内に時間は徒らに過ぎ、 窓の外を見遣れば宴の気配も殆ど消えていた。 秋の終わりの長い雨は月の見えぬ晩を一層冷たく、 憂鬱なものに変える。 ] [ 黄金のゴブレットに葡萄酒を注ぐ。 遺書の為にも多少は“馬鹿”になった方が良いだろうと。 薬は既に不要であるから、 代わりにシナモンを加えて温める。 甘く芳醇な味わいが喉を満たした。 ] [ 再び筆を手にしては溜息を吐いた。 背凭れに頭を預け、時折寝室の天井を仰ぐ。 揺れる髪には古びた紙紐。誰かが遺した依代。 彼女の生存を知らせた最も古い手紙の代わり。 ]* (87) 2020/12/03(Thu) 13:09:11 |
【雲】 征伐者 ヴィルヘルム[ 幸福な未来を棄てた事で、 家族の存在が大切なものの中から消えた。 熾烈な闘争によって 唯一の幼馴染の命が失われていった。 民も、美しき国土も、愛しい筈の息子も、 死を前にすれば口惜しさばかりを覚える。 ] ( 一つ、また一つと燃え落ちる様にして消え。 其れでも未だ“大切なもの”として此処に在るのは、 ) (D2) 2020/12/03(Thu) 13:09:37 |
【人】 征伐者 ヴィルヘルム( 冷たい戦乱が心さえ凍らせていたかのように、 凝り固まった情緒は言葉として表すことが出来ない。 揺れる暖炉の炎にもう一つ薪を加えて、 再び机に向かおうとした時だった。 ) [ ────使い鳥の嘴とするには大きい、 硬質的な音色が部屋に反響した。>>99 天候が雹に変わった様子でもない。 敵襲など有り得ない立地と高さだ。 加えて周囲は砦に収容し切れない人員が 軍幕を張っているものだから。 思い当たる前にナイトガウンの裾を翻し、 窓辺へ駆け寄った。 見れば薄闇の中に濡羽色の魚鱗めいたものが光っている。 思わず框に手をかけて、一息に頂点まで押し上げた。 ] (105) 2020/12/03(Thu) 22:07:18 |
【人】 征伐者 ヴィルヘルム[ すると破れた布切れと不規則な黒鱗に覆われた脚が、 それに続いてヒトの輪郭を保った顔が視界に現れる。 血溜まりの如く濁った 瞳 であっても、一度目の当たりにした其の姿を忘れる筈もなく。 吹き込む風に混じる死の匂いは、 彼女が長い長い闘争に身を置いていた事を悟らせた。 ] リヴァイ、お前…… 今晩はまだ三日月の筈──── [ 言い切る前に其れは窓の下枠に脚を掛け、 濡れそぼつ身のまま飛び込んで来た。 寛いだ衣装では一人分の質量以外に抗うものはなく、 衝突した威力に押されるままに後ろ向きに倒れ込んだ。 古びた絨毯から鈍い音が鳴る。 ] (106) 2020/12/03(Thu) 22:08:08 |
【人】 征伐者 ヴィルヘルム[ 振動と共に全身へ打ち広がる様な鈍痛。 痛みには慣れてきたが、頭の中が揺れたまま治まらない。 深い瞬きを繰り返して定まらない視界を確かめるが、 一向に効果は出ない。 言うべき事も、迎える言葉も、募る話も、 沢山あった筈なのに。 瞼の裏に文字通り星が散る有り様では、 “ああ”と短く肯定を返すのが精一杯だった。 ] [ その実、狭義的な“無事”とは言い難く。 命を酷使したお陰で身体は重い上に、 受けた矢傷は今も包帯の内側で疼いている。 取引の『刻限』が迫る身体は、 不可逆で緩やかな衰弱の途中に在る。 ] [ 分厚い生地に冷たい雫が染み渡る。 背へ控えめに回る腕があれば体温は尚更混ざり合い、 腕を広げて迎え入れようとした中途半端な格好のまま 疲労困憊への追い打ちとなった眩暈と戦っていた。 ]* (108) 2020/12/03(Thu) 22:09:53 |
【秘】 終焉の獣 リヴァイ → 征伐者 ヴィルヘルム[きつく巻きついた鱗に覆われし尾が、探るように下半身へと伸びていく。 彼女の意図せぬところで本能が暴走を始める。 発熱を更に促すには──快感を求めさせるのが1番早い。 半端に暴かれた身体を這うように足から腰へ───徐々に侵略を進め、遂に臀部に辿り着く。 羽根とは程遠い生々しい鱗でフェザータッチを繰り返しながらまさぐって、ゆっくりとした動きで秘部まで辿り着けたなら。 先端のみは細く都合がいいそれを、つ ぷッ───……と、滑り込むように突き入れようとした。 いまだに乾かぬ雨で鱗は微かにぬるついている。冷えたそれが、都合のいい潤滑油のようになっていたに違いない。] (-33) 2020/12/04(Fri) 0:04:13 |
【人】 征伐者 ヴィルヘルム『他の国家の如何なる法もこの地では無効。 敵意を持たない対象への攻撃は許可しない』 [ いつか戦争が始まる前に敷いた則。 其れは実質的には彼女を保護する為の決まり事で。 獅子の御旗は定めた獲物以外には靡かない。 ────たとえ国際的な指名手配であったとしても。 ] [ どれ程冷たく過酷な闘争であったとしても、 生命の証明は、体温と鼓動は変わりなく其処にある。 本来なら死に至る運命を幾度となく捻じ曲げ、 “違和感の無い程度”に書き換えられた筋書きは 何もかもが悪魔の筋書き通りであるが、 同時に約束を確実に守る動因となった。 床に落ちた黒髪を受けたばかりの雨粒が伝う。 揺れる度に張り付いては触れたものを しっとりと濡らして行くのが擽ったい。>>109 ] (114) 2020/12/04(Fri) 2:14:03 |
【人】 征伐者 ヴィルヘルム[ 碌に身動きの取れないまま放り出されれば、 自ずと暖炉の火に近づく事になる。>>110 気付けば窓はいつの間に閉められていて、 寝室は暖かな空気と橙色の光に満たされつつあった。 ] 四年闘って無傷で済む戦士が居ると思うのか……? だとしたら其奴の度胸を疑った方が良かろうに。 [ 結局、再会して初めてのまともな返答は いつかの日にも似た憎まれ口になってしまう。 回り始めた思考は傷の手当だとか、祝杯だとか、 先程浴びた湯を従者に沸かし直させる事だとか、 ────考えたその全ては再び何処かへ葬られた。 ] [ 漸く平常に戻りつつある視野が最初に捉えたのは 揺れる火に照らされ浮かび上がる女の肢体。 末梢や頬、背と尾を除いてヒトの形を既に取り戻し、 この身を覆い隠す形で寝台に膝を乗り上げていた。 ] (115) 2020/12/04(Fri) 2:14:44 |
【人】 征伐者 ヴィルヘルム[ 艷めく鱗と同じ色合いをした髪が首筋に描く線が、 宗教画じみた非現実的さを孕んでいたものだから。 ] ────おい、 ………… ( 今、“月に頼らず”と言ったか? ) [ その行動に異を唱えようとしていた唇を閉ざした。 壊れ物を扱うかの様に触れた掌は恐ろしいほど冷たく、 同時に零された言葉は最早意味を成してはいない。>>111 安堵の意味を思考し、 手繰り寄せた結論は酷く苦しいものだった。 ] ( 温かな家庭で得られる幸福の選択肢を蹴り、 同胞も、名誉も、故国も、居場所でさえも投げ捨てた。 お前が自ら望んで獣に身を窶す程に、 この 約束 は重かったのか。 )[ 中和されるかのように肌は冷えて行くと言うのに、 長き戦に凍り付いていた情緒は溶け出し始める。 ] (116) 2020/12/04(Fri) 2:16:09 |
【人】 征伐者 ヴィルヘルム( 立場が異なるからこそ、 同情は叶っても共感は出来ぬ。 だが、憐れみに混じる喜びに似たこの感情は何だ? ……奴は血に染まるのが喜ばしい、 これまでの復讐相手とはまるで違う筈なのに。 ) [ ────不理解。空白感。 掴み所のない感情の出処を知らないのは 彼が精神的充足と共にある『恋』を 経た過去がまるでないからだった。 ] (117) 2020/12/04(Fri) 2:20:56 |
【人】 征伐者 ヴィルヘルム 守るべき平民 [ 唯の田舎娘にそこまでさせる程の呪いを投げ掛けた。 互いに律し、戒め合ったこの運命は 漸く終局に差し掛かろうとしている。 戦を終えれば、心を奮い立たせる理由も 慈悲や情けを殺して埋める必要もなく。 奇運に振り回され続けた少女のこれまでを思えば、 ] ■かな■り ( せめて安らぎを、と思わずには居られまい。 ) [ いつかの様に凭れ掛かる身体を受け止めて、 “今度は”紛れも無く自らの意志で華奢な背に腕を回した。 体長の半分はあろうかという尾が 応えるように巻き付けば、体温は更に奪われる。>>112 ] (119) 2020/12/04(Fri) 2:21:55 |
【人】 征伐者 ヴィルヘルム[ 微かな震えが起こるのも厭わずに、 唯々凍え切った身を温めようときつく抱き締めた。 濡れて張り付いた衣服の残骸など投げ捨てて、 人と獣の合間に在り、倒錯的ですらある肉体の 薄い肩をさすっては、髪を梳いて退かしてやる。 ] ……幾ら祝賀とは言え、女など頼んでおらんわ。 ( お前はもう“物”から脱却したのだから ) [ ずっと前に教わった抱き締め合う事の喜びを実践し、 やはりと言うべきか、突っ慳貪に吐き捨てたのは 彼なりの“逢いたかった”の感情表現だった。 ] (120) 2020/12/04(Fri) 2:22:19 |
【人】 征伐者 ヴィルヘルム[ 縛り付けられて来た心が、愛されなかった子供が、 本当は心の中で何を求めていたのか。 其れを表現する術を持たない儘触れ合って、 名前も知らない“与え与えられる喜び”に溺れていく。 枷の外れた心は二十余年未知だった領域に踏み入っても もう、どんな恐怖を覚えることもなかった。 ……総ては雨の降り頻る、長い夜の秘め事の中に。 ]* (121) 2020/12/04(Fri) 2:23:48 |
【秘】 征伐者 ヴィルヘルム → 終焉の獣 リヴァイ[ ……暖を取る為のその行為は一筋縄ではいかなかった。 崩された衣服の下に侵入したものの感触は 明らかにヒトの持ち得る器官のそれではなく。 体温を上げる手筈を知るのは、獣の本能故か。 尾の先が内股をまさぐったかと思えば、 冷たい雫を閉じた蕾に塗り付ける様に触れた。 ] …………待て、其れは [ 異性として明確に見た事もなければ、 色めいた噂を聞いた試しもない女が 其の場所に触れる理由など想像出来る筈もなく。 然し、拒絶の台詞を選ぶ事も有り得ない。 抱き締めた上から巻き付けられた尾のせいで 背に触れた手で続きを制することも叶わず。 ] (-37) 2020/12/04(Fri) 2:24:37 |
【秘】 征伐者 ヴィルヘルム → 終焉の獣 リヴァイう、…… [ 繊細な鱗の隙間に染み込んだ雨を潤滑剤に、 先細りの尾は存外容易く秘めた場所の守りを破った。 戦時中では使う事のなかった其処が、 深く挿入する程に少しずつ押し広げられていく。 細やかな表面が与える感覚は形容し難く、 探り当てる様な仕草で蠢く先端が 不意に柔らかな弱点を掠めた。 ] ────ッ、 は、あ [ 随分と久しい感覚を未知の器官で与えられれば、 痺れが走ると共に声音を伴った熱い息が漏れる。 逃げ場がない故に、思わず傾らかな背に爪を立てた。 それも直ぐに和らいで、傷付けぬように関節を丸める。 最も弱い場所を知られてしまった事実と、 つい甘い声を上げた羞恥によって 混乱の中、耳の先まで赤くするのは直後の話。 ] [ 其れが獣の本能の更なる加速に繋がるとは思いもせず。 ]* (-38) 2020/12/04(Fri) 2:26:57 |
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