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【秘】 くるみ割り人形 トラヴィス → よいが来ない ミズガネ貴方が、先日と変わらぬ室内をたっぷり探索した後、 男の部屋を出ようかとでも考えた頃。 ───きい、ドアが開いた。 「………おや」 かちり。貴方と 確かに視線が合った。 貴方だとは分からないが、誰か何かが居る事は分かるらしい。 「あ」 一応、表向き、ゆるりと視線を逸らす。 ……知らんふりをするには随分と手遅れだが。 貴方が表向き、この館から姿を消していることは理解していたから。 見えたとして、見えなかったとして、貴方だろうとは想定出来た。 誰かが突然姿を消して、嘆く者、見えないふりをする者──それは酷く苦しいものだと知っているから、嫌だなあとまた独り言つ。 (-248) 2021/10/21(Thu) 13:21:39 |
【秘】 よいが来ない ミズガネ → くるみ割り人形 トラヴィス「っ!」 息を呑む。 人に飢えている男が、ひとりぼっちが何より嫌な男が、視線が合ったことを見逃すはずがない。 「おい、お前!俺が見えるのか?」 噛み付くように問いただす。 「今視線が合っただろう、そして何もないなら扉を開けてそのまま部屋に入ればいいのに、どうして視線をそらした? 何とか言え……、……っ、言ってくれよ。 なあ……お願いだ、トラヴィス……」 神経質そうでいつも不機嫌そうに見えていた男の声にしては、最後の一言はあまりにも弱々しいものだった。 (-257) 2021/10/21(Thu) 14:17:09 |
【秘】 くるみ割り人形 トラヴィス → 技術指揮 シトゥラ「 試したさ。 」貴方の口付けを受け入れて、膝上にある貴方の腰を抱いた。 「───未練がましいもので、死ねなかった。 彼が死んだと決まった訳でもないからね。 たっぷりと後悔をしたところで、気が付けばこの館に居た。 ……はは、そう言うなら、君が私の人生を終わらせておくれよ。」 冗談、と小さく笑ってみせて、 それでもその瞳は真剣であった。 壊れることも、狂うことも、死ぬことだって出来ない哀れな男が、そこに居る。 「……シトゥラ」 「君は私を好いてくれているんだね。 心から嬉しいよ、君の想いは確かに信じられる。 けれどね、いけないよ。 私のような悪い男に、そんな言葉を吐いては。」 そっと頭を撫でて、 優しく頬へ唇を落とす。 その口付けに込められた意味は、親愛だ。 → (-258) 2021/10/21(Thu) 14:20:00 |
【秘】 くるみ割り人形 トラヴィス → 技術指揮 シトゥラ「これ以上は……怖いんだ。 君を求めれば、君を失う恐怖が深く付き纏う。 今よりも、君に執着してしまう。」 示した境界線を、決して超えてくれるなと。 「─────臆病で、ごめんね。」 貴方を抱いているこの手は、容易く解ける程の力加減だ。 「君達を慈しむ気持ちに変わりはないよ。 先日は──久々に眠れたから、本当に悪かったね。 普段はずっと、君達の事ばかり考えているものだから……慢心してしまったよ。」 瞳を細める。 ひとときでも貴方達を忘れたのだと、 言っていることには気付かずに。 「君と──ううん、君とここに居続けるよ。 君に与えられたものだって、失わせない。 約束しよう、シトゥラ。」 (-259) 2021/10/21(Thu) 14:20:40 |
【秘】 くるみ割り人形 トラヴィス → よいが来ない ミズガネ舞台の上では見えないものも、 舞台袖からはよく感じられる。 「………」 どうして、 言ってくれ、 お願いだ、 耳に入る言葉。何よりもその縋るような視線。 大丈夫だと言ってやりたい、じきに終わると告げてやりたいけれど───舞台人への干渉は、禁忌とされている。 けど、けれど、 「………………、」 ゆっくりと、けれど確実に扉を閉めて、今だけは鍵を掛ける。 ぼんやりとしか視認できない輪郭を探るように、 虚空へ手を伸ばす。貴方へ触れることが叶えば、それはすり抜ける事はなくて───ほんの僅かな触感。 温度くらいは感じられた。 「………落ち着いて。深呼吸。 舞台の幕は上がっている。」 貴方に伝わらないような言葉を選ぶ。 それは確かな自己満足だ。 (-262) 2021/10/21(Thu) 14:38:54 |
【秘】 よいが来ない ミズガネ → くるみ割り人形 トラヴィス「……っ」 吐き出された息に滲む驚きの色。 貴方の手が、確かに己に触れている。くるみ割り人形の指先には死体にも似た冷たさが齎されるだろう。 自分は、透明なんかじゃなかった。 そう理解した瞬間胸が苦しくなって、泣き出しそうになって、それでも目の前の相手は自分を襲った相手なのだから完全に素直になりきれない。 だから、目を閉じて貴方の手の方へと頭を傾けた。 「……探偵のことを調べようと思って、仲が良いらしいお前の部屋に来たけど。何にも分かりやしなかった。 …………それ以上の、俺にとって大きなものが見つかったけどな。 …………お前のことは気に食わないし、今でも恨んでいるけど」 ありがとう、とかすかに唇が震えた。 そう口から出た悪態は、全く棘なんて含まれていなかった。 (-277) 2021/10/21(Thu) 16:25:08 |
【見】 くるみ割り人形 トラヴィス>>@22 シトゥラ/プルー 貴方の笑顔に、言葉に、つられて笑う。 へにゃりと歪んだそれは、 優雅さとは程遠いいびつなものだけれど。 心からの、素直な笑顔だった。 「………叶うといいね。」 それだけ答えて、「風に当たって来る」と告げて、席を立つ。 去り際、二人の頭を軽く撫でて、この場を後にした。 (@23) 2021/10/21(Thu) 17:05:30 |
【秘】 浮遊想 テラ → くるみ割り人形 トラヴィス「 お褒めに預かり光栄ですよ、 いつかどこかにいらっしゃった 、座長殿 」「 ──は役者のつもりはないけれど、 今 舞台の上にいるつもりはあるからね 」「 戯曲は知っていますよ〜〜 オペラ座の怪人の方が、耳に馴染みがあるかもな。 ……ああ、そっちの方が馴染みがあるんだね、──って 。すぅ、一呼吸の間。 「 国が違えば言葉も変わる。好む音も色も変わる。 」革袋からカシミールサファイアgemが取り出されます。 転がされました。それだけでした。 ナニカ は、色のある物が好きです。 白も含めて。 「 あなたの好むモノが見えて、気分がいいな。 誰かのそれが見えるのは好きだ。そう思う。 」「 幻影とか、そういう言葉は、 実は普段は好かないのだけれども ……今のこれは、嫌じゃなかったなぁ 」「 見てくれているからが理由で出たのがよくわかる。 ありがとう うれしい 」 ナニカ の口は 三日月の弧 。こほん、咳払いをひとつ。 (-283) 2021/10/21(Thu) 18:09:24 |
【秘】 浮遊想 テラ → くるみ割り人形 トラヴィス「 “ 気分良く御観劇いただいているようで、何よりだ ” “ 観客を巻き込むのも程々に、館のファントムは ” “ 舞 台 へ戻るとさせていただこう? ” 」 (-284) 2021/10/21(Thu) 18:10:17 |
【秘】 くるみ割り人形 トラヴィス → よいが来ない ミズガネ冷えたそれに、まるで温度を奪われていくような感覚。 離そうとして───辞めた。 触れたまま、不鮮明な存在へ意識を向ける。 「そう」 貴方が声を届けたいと願い、 自分がそれを受け取りたいと願っているから、 こうして会話が叶うのだろう。 「『辞めたほうがいい』。 この館の性質とキエは、やけに相性が良いらしい。 観客席に降ろされた君は、大人しく見上げているのが良いよ。 ……悪いことは言わないから、ね。」 かつての自分を見ているようで───貴方を無視することが、どうしても出来なかった。 舞台人失格だ、と、かぶりを振る。 「君自体には触れられないから、 『前みたいなこと』は出来ないね。残念だ。」 自己満足なのだから、礼を言われる筋合いは無い、と そうして冗談めかして笑ってやった。 (-286) 2021/10/21(Thu) 18:18:01 |
【秘】 くるみ割り人形 トラヴィス → 浮遊想 テラ「はは、比喩表現さ。 私からすれば、この館という舞台に上がった──歌い唄われ、踊り踊られ、翻弄され、翻弄する役者の一人だ。 あまり干渉をするつもりは無かったのだけどね。」 転がる音を一瞥。 それは反射的なものだった。 なので、次の瞬間にはやっぱり貴方の気配の方を向いている。 「そうかい? じゃあ、君のことはエリックとでも呼ぶとしよう。 あまり幸福な結末ではない役名だけれど…… 人間らしく行動を起こす様は、君のようだと思うよ。私はね。」 貴方が音を発さない声は、届かない。 けれど、何だか、嬉しそうに思えた。 舞台へ戻ると告げる言葉はやっぱり聞こえないけれど、 ただ、この時間は幕間で、 次の章へ切り替わる場面なのだとは察せた。 余裕を含んで君へ手を振る。 舞台へ自慢の役者を見送る、座長のように。 「………いってらっしゃい、君。」 (-320) 2021/10/21(Thu) 20:40:53 |
トラヴィスは、一人の役者を見送った。 (t10) 2021/10/21(Thu) 20:53:03 |
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