人狼物語 三日月国


29 【2IDソロル+ペア混合】交換日記【完全RP村】

情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:


到着:部隊長 シュゼット

【人】 部隊長 シュゼット

[地面や壁に咲いている、小さな花をつけた
常に淡く輝く植物の光が、徐々に光度を増していく。
これがこの世界で言う"朝"というものであり、
住民たちは色とりどりに輝く光の満ち引きで、
一日の時間というものを決めて生活している。

辺りを照らす光は自然のものだけではない。
例えば、昼間はどんな光よりも強く輝いて、
夜は地面や土壁で輝く植物と同じように弱く輝く
天上近くにあり『太陽』や『月』なんて呼ばれる人工物。

植物の輝きと同じ周期であることから、
地下世界での生活を前提に作られたものだろうけれど。
それは大昔に作られたロストテクノロジーの産物で、
いつ誰が設置したのか、住民の誰もが知らないのだ。

町を照らす程度の明かりや火の扱いは進歩していて
"夜"になっても人工的な明かりを使って
夜遅くまで活動する者も少なくはないし、
完全に昼夜が逆転している夜行性の者も居たり。]
(21) 2020/05/15(Fri) 2:42:49

【人】 部隊長 シュゼット

[耳や尻尾……それに付随して備わる身体能力の違い。
様々な動物の特徴を持つこの地下世界の住民たちは
些細な見た目の違いなど気にする者も少なく。

地下世界のそこかしこで見つかる
ロストテクノロジーの品々の研究を行ったり、
独自に娯楽や食文化を発展させていったりもして。
何不自由なく、平和に生活を送っていた。]
(22) 2020/05/15(Fri) 2:45:38

【人】 部隊長 シュゼット

[しかし、そんな平和は、脆くも崩れ去ることになる。
地下空間の大地から遥か高く遠く、天に広がる土壁に
突然、巨大な穴が開いたのが……全ての始まりだ。]
(23) 2020/05/15(Fri) 2:45:58

【人】 部隊長 シュゼット

[天高くに開いた、巨大な大穴。
あれが開いたのはだいぶ前のこと。

最初は、調査のために建てられたこの調査拠点も
月日が経つにつれ、状況が変わり。

穴から"外敵"が降りてくるようになってからは
この場所は、調査拠点というよりも、
防衛のための前線基地の役割が強くなってしまった。]
(24) 2020/05/15(Fri) 2:46:26

【人】 部隊長 シュゼット

[当時の『調査拠点』を襲った、一番最初の怪物と戦ったのは
周辺の野生動物から拠点を警備するためだけに雇われた
強大な敵と戦うことなど想定にない、警備隊達だった。

様々な武装と機械を混ぜこぜにして固めたような
機械の獣と呼ぶのが相応しい、そんな怪物は。
当時の警備隊のほぼ全員の命と
逃げ遅れた研究員達の命を引き換えに、
やっと動きを止めたのだという。]
(25) 2020/05/15(Fri) 2:48:50

【人】 部隊長 シュゼット

[……"殆ど"と言うからには理由がある。

その時、包帯ぐるぐる巻きの状態で目が覚めた僕は
聞いた話の意味が分からず、首を捻った。

僕が大怪我をして気を失った後に出来た組織だという
この地下世界の軍の総司令が言うには、
警備隊の中、たった一人だけ生き残ったのがこの僕らしい。

当時の現場は悲惨な状態で、
逃げ伸びた研究員は現場を知るわけもなく、
生き残りは倒れていた一人しかいなかったわけで。
敵や当日の出来事についての情報はゼロに等しかった。

だから。
その豹の耳と尻尾を持つ総司令が
機械獣が襲ってきたときの状況について、
頭を下げて、僕に聞いてきたのは当然の話なのだが。]
(26) 2020/05/15(Fri) 2:55:37

【人】 部隊長 シュゼット

[考えても、考えてもーーー

記憶の中はがらんどうで。
何も、思い出せることなどなかった。]
 
  ……僕。
  …………何も覚えていない…です。
 
[自分でも驚くほど、乾いた声だった。
空っぽの体に響くような、そんな音だ。

自分は何者なのだろうか。
少しでも、思い出せることは無いのだろうか。

右腕の肘から先は銀色の金属でできた義手だというのに
痛み始めた頭を押さえようと手を伸ばした時に、
片手が義手であることに違和感がなかったのは。
生身の腕が片方無いこと以上に、
記憶の欠落に動揺していたからかもしれない。]
(27) 2020/05/15(Fri) 3:06:32

【人】 部隊長 シュゼット

[結局、その時から今までの間に思い出せたことと言えば
自分の名前が『シュゼット』であることぐらい。
昔のことはなんにも思い出せていないし、
元々天涯孤独の身だったのか、身寄りもないのに
この基地の人たちは皆僕に優しくしてくれてーーー

そして。それから今までずっと。
僕は、人並外れた身体能力の高さと、
ロストテクノロジーの遺物が多くあるこの世界においても
軒並み外れて貴重な『戦闘用義手』を
最高の適応力で自在にあやつれることを買われ、
この前線基地の攻撃部隊でお世話になっている。

最初はこの地下世界の常識すら無くしてたのだけど
(食べれる物と食べれない物の違いとか、
 本当にそういう基本的なところからだ)
それも徐々に慣れることができた。と思う。]
(28) 2020/05/15(Fri) 3:21:06

【人】 部隊長 シュゼット

[周りにも馴染めて戦果もあげ、部隊長になった今でも。
常識はなんとか身に着いてきた一方で、
どうも、僕は戦闘以外では抜けていることが多いらしい。
誰かに指摘されてやっと気づくことは、今も珍しくない。

そんな僕の一面が、
ここで働くお手伝い端末のペンギン達と肩を並べて
この緊迫した前線基地を和ませる風景の一つになってるとか。
『第一攻撃部隊の部隊長は普段と戦闘のギャップが凄い』とか。

……よく、部下や他部署の人に言われるんだけど、
研究班の人たちの語る機械類の小難しい研究成果と同じぐらい、
僕は全然理解できてないんだ。]**
(29) 2020/05/15(Fri) 3:38:24
部隊長 シュゼットは、メモを貼った。
(a3) 2020/05/15(Fri) 3:50:25

【人】 部隊長 シュゼット

―― 前線基地外壁の外 ――

>>14けたたましいサイレンの音が響く。
怪物が現れる臭気などを研究している、
研究観測班の読み通りの時刻に、怪物は現れるようだ。

外壁の砲台を主に扱う砲兵部隊や、
遠くから銃を構え、息を殺して待ち構える射撃部隊など。
定位置から迎え撃つ兵達の準備が整えば、
続いて、第一、第二、第三……と、
攻撃部隊が各々の隊長の指示に従い、位置に着く。

攻撃部隊達が持つ獲物は、銃や近接武器など多種多様。
他の隊と違うのは、常に動き回って相手を錯乱しつつ
隙あらば接近して攻撃をしかけることだった。]
(67) 2020/05/15(Fri) 21:18:06

【人】 部隊長 シュゼット

[部隊が数字で分かれているのにも。意味がある。]

  ……皆。固定の砲台と銃器の斜線は把握しているな。
 
  一番近い距離で、敵の弱点をいち早く把握し、
  勝利への近道を作ることができるのは、僕たちだ。
 
[集まった数十名の隊員たちは、
皆、緊張の面持ちで整列し、僕の話を聞いている。

それもそうだ。
僕たちの"第一戦闘部隊"は……超近接部隊。
これからやってくる機械の怪物相手に、
目と鼻の先で戦う、一番危険な部隊なのだから。
少しでも気を抜けば、一瞬で命を刈り取られてしまう。
そのことは、今までの訓練や、実戦での経験もあり、
この場に居る兵士たちはよくわかっていた。

……そう。部隊の数字は単純な話。
戦闘能力が高い精鋭になればなるほど、
若い数字の部隊に入れられて。
若い数字の部隊であればあるほど、
実戦では、怪物から近い距離での戦闘を任されるのだ。]
(68) 2020/05/15(Fri) 21:19:32

【人】 部隊長 シュゼット

  だが、いつでも第一は自分の命。
  訓練を思い出せ。耳を、五感を研ぎ澄ませろ。
  あのデカブツの攻撃が直撃したら、終わりと思え。

[皆の顔を見回す。
僕にはよくわからないけれど、戦場での僕は、
普段、基地内で過ごしている時とは様子が違うらしい。
普段の緩く開かれた瞳は緊張を巡らせた糸のように鋭く
話しぶりも上官に相応しいものに聞こえるようだ。

僕はただ、この基地の人達に傷ついてほしくないんだ。
また、今日の戦闘が終わったら、皆で揃って
基地の食堂で美味しいご飯を食べて、
楽しそうな皆を眺めていたいと、
そう思っているだけ、なんだけれど。]
(69) 2020/05/15(Fri) 21:22:12

【人】 部隊長 シュゼット

[……その一心で、皆に色々話さなきゃと気張るから
戦闘前は、確かにいつもより、
言葉数も多くなっているのかもしれない。]

  わかったな。何かあれば通信機で知らせるんだ。
 
  すぐに、僕が。助けにいくから。

[みんなが頷いたのを見て。
頬を少し緩めると、僕も「よし」と頷いて。
背中に背負っていた、身の丈ほどはある大剣を前へ構えた。]
(70) 2020/05/15(Fri) 21:24:45

【人】 部隊長 シュゼット

[天の岩盤に開いた大穴を見上げる。
>>15黒々とした穴の奥から、
風を切って何かが落ちてくる音がする。

皆、それが聞こえたのか。
手に手に、武器を構え。]

  目標降下!!!

   さあーーー!いくぞ!!!

[耳の良い者であれば、
初めて聞いたら即倒してしまいそうな、金属音。
立っているのも難しい、地響きの中で。
僕は襟元についている通信機のマイクへ合図を出し
大地を強く、高く蹴った。]
(71) 2020/05/15(Fri) 21:25:34

【人】 部隊長 シュゼット

[戦場と化した周囲に、砲撃や銃撃の嵐が降る。
見上げるほどの機械の怪物。今回は四足歩行型だ。
動きは素早くはないけれど、確実に一歩ずつ、
基地へと近づいてくるのをみれば、
悠長に相手はしていられないと、気を引き締める。

黒い軍帽から伸びた髪と兎耳を靡かせて、
怪物の足の一振りを、得意の跳躍で避ける。
避けた先にあった、かつて家の一部だった壁を足が触れば
そこから、もう一度跳躍。

相手が放った銃弾が耳元を通り過ぎていく中で、
怪物の肩のあたりについていた銃器を一つ、
大剣を勢いよく振り抜いて、叩き壊した。

細身の黒の軍服のシルエットは
赤色をふわりと揺らしながら、一度地面へ着地。

そんな戦いぶりを暫く続けーーー
そろそろ倒す手掛かりを見つけないと皆が危ないと
そう、思い始めた頃だった。]
(72) 2020/05/15(Fri) 21:29:29

【人】 部隊長 シュゼット

[ザザッ………]
[通信機に、興奮したような、声が乗る。]

  『隊長!!"コア"、発見しました!!
   ただ、装甲が厚く我々の武器ではとても…、あっ!』

[通信機から、声が届く。
連絡をくれた彼女の方を見れば、
怪物の胸元からせり出したガトリング砲に
狙われているところだった。]
(73) 2020/05/15(Fri) 21:30:14

【人】 部隊長 シュゼット

[隊の中でも目がいいマリーベルは、
こうして、敵の弱点を見つけるのが得意で
その点を買われて第一戦闘部隊配属になった。
しかしまだ、戦闘経験が浅く年も若いため、
気が緩みやすい欠点を持ち合わせている。

泣きそうに顔を歪ませるのが見えて、
仲間を失ってたまるかと、大剣へと目を向ける。

 (こないだ、医務室で、
   暫く撃つなと念を押された直後だが
   ……躊躇なんて、していられるか。)

この戦場から、仲間を生かして返すこと。
それが僕の一番の仕事だと、思っているから。]
(74) 2020/05/15(Fri) 21:31:55

【人】 部隊長 シュゼット

[持っていた大剣は地面に突き刺して。
右腕を、前へ突き出し、掌を敵へ向ける。
大きく、肺へと息を吸い込んで。]

  マリーベル!!伏せろ!!!
 
[マリーベルは、僕の声を聞くと
すぐに、頭を抱えてしゃがみ込んだ。

掌の中央がスライドして、穴が開き。
そして穴は急速に、急速に。白く、白く。
『太陽』と見間違えるほどに、輝きを強めていく。]
(75) 2020/05/15(Fri) 21:34:27

【人】 部隊長 シュゼット

[限界まで膨れ上がった輝きは、一気に放たれる。
そうして、光の光線は一直線に
機械の化物の心臓とも言える器官を貫いた。


巨体がぐらりと揺れて、その場に倒れていく。
義手砲(センスが無いだの必殺技感が無いだのよく怒られるのだが、面倒なのでずっとこう呼んでいる。)を撃った後の僕は、衝撃で後ろに吹っ飛んでいた。

思いっきり、背中から地面に叩きつけられる。
痛覚にはめっぽう強いから(寧ろ、鈍い方だ)、
これしきのことは何でもないのだが。

……どういう仕組みか、これを撃つと、
暫く体が使い物にならなくなるのが常であり。
今日も、体力を根こそぎ義手砲に持っていかれて、
大地の上で大の字になって動けなくなっていた。]
(76) 2020/05/15(Fri) 21:51:46

【人】 部隊長 シュゼット

[機械の獣を倒せたことで、
一層騒がしくなってきた周囲の声を
帽子から垂れさがったロップイヤーは良く拾う。
シュゼット隊長を医務室へ運べだとか、
そんな言葉を聞いて、僕は力なく息をついた。]

  ……怒られる、かなぁ。
   それとも……また、研究対象か。

[こういうときにいつも貰う苦い栄養剤(AME015とかいう名前の薬らしい。)は、これが苺飴なら喜んで食べるのにと前に言ったら、逆に多めに飲まされた経験がある。
確かに、飲むとすぐ動けるようにはなるのだが、
本当は意地でも飲みたくないぐらい嫌いだ。

疲れで遠のく意識の中。
この後目が覚めた時に……今日は話のわかる、薬を患者の希望で買えてくれる医者でありますようにと願ったのだけど。
さて。ベッドへ運ばれた僕を迎えたのは、
どの医者だったのだろう。]*
(77) 2020/05/15(Fri) 21:52:41
部隊長 シュゼットは、メモを貼った。
(a9) 2020/05/15(Fri) 21:56:20

部隊長 シュゼットは、メモを貼った。
(a15) 2020/05/15(Fri) 23:40:55

【人】 部隊長 シュゼット

―― 医務室 ――

[右肘から先は鉛のように重く、
指を動かすことはおろか、持ち上げることも無理そうだ。
右腕以外の体の部位はなんとか動くみたいだけれど
右腕程ではないにしろ、ずしりと重いのは変わりない。

僅かに感じる、消毒薬のにおい。
左手の甲に細く硬い何かが刺さっているような違和感。]

  (医務室、か)
 
[この場所は慣れたもので、
目を閉じていても、聞こえてくる周囲の音から
ここは一番奥の寝台だということがわかった。]

[頬やら体のそこかしこやらには、
戦闘中に隊員達をを庇ったり、攻撃をギリギリで躱した時についた、細かい傷が沢山ついてしまっているが。
派手に打ち付けた背中側の擦傷や腫れは酷く、
そもそも、今日の戦いで動けないほど
体力を消耗したのはきっと僕だけで。
『重症』と判断されるには申し分ない状態だろう。
 ……重症、という言葉の指す先は、
   現在の体調に対してのみではないかもしれないけど。]
(156) 2020/05/16(Sat) 13:19:11

【人】 部隊長 シュゼット

[そのまま大人しく今日はここで寝てようとも思ったが
>>90『今日の軍医』の声が聞こえて、両耳が震えた。
僕は基地でも最古参だ。ここの軍医の顔は全員知っている。
中でもルークは……根も葉もない噂のほとんどについて、
僕はあまり信用していないのでいいとしても。
医者としての腕は信頼できるが、その、容赦がないのだ。

……点滴が刺さってるからとか、
背中の消毒や治療をしなきゃとか、知ったことか。
もぞもぞと、重い足や左腕を動かしてみて、
なんとか動けそうだというのを確認し。
重い瞼を開いて、窓の方をチラ見。]

  (よし。  にげよう。)

[脳内シミュレーションではこうだ。
ここは医務室の一番奥のベッドで、
横には壁があり、大きめの窓がある。
ベッドの左側から降りて、窓から逃げてしまえば
あの軍医の小言を聞くこともなく、
僕は戦闘ではなくこの苦さで死ぬんじゃないかって程の
苦い薬を飲まされることもなくなる……という寸法だ。]
(157) 2020/05/16(Sat) 13:22:12

【人】 部隊長 シュゼット

− これまでの医務室通い ―

[僕は、定期的にこの医務室に通っては、
薬を貰い、治療を受けている身分だった。
部隊の隊長が医務室通いだなんて聞いたら
不安がる部下も居るかと思って。
こういう戦闘後の治療以外で医務室に来るのは、
人目を避けるため……一日が終わる、夜も更けた時間だった。

新薬を試すモルモットかというぐらい
投薬される薬は数日ごとに変えられる。
注射や飲み薬は慣れたもの。
投薬後、脳波を測られながらの経過観測もざらだ。

薬の効果を試されているのは本当。
でも、モルモットという表現は語弊がある。

そうーーー
 全ては僕の、記憶の復活のためだ。]
(158) 2020/05/16(Sat) 13:23:52

【人】 部隊長 シュゼット

[なにやら、僕の記憶を戻すことに、
 軍の上層部は躍起になっているらしく。

個人的には、綺麗さっぱり無くしてしまった昔のことなど
今更思い出してもとは思うんだけども。
 思い出してはいけない……そんな警告が、
 からっぽの記憶の隅から聞こえる気もするんだけれど

僕を基地に置いて働かせてくれている、上の命令でもあるし
もし、実は僕に家族が居たとか、親しい者が居たなら
何の連絡も寄越さずのうのうとしているのは
申し訳ないんじゃないか、とも、一応思ったりはして。

とどのつまり。
記憶を戻すための研究やそれに付随する投薬に、
……逆らう理由は、僕には無いわけだ。]
(159) 2020/05/16(Sat) 13:25:53

【人】 部隊長 シュゼット

− 現在 ー

[………と、いうのは、夜に医務室に来るときの話。
運悪く、今日は怖い軍医が居るっていうのに、
今ここで大人しくしている理由などないわけで。

計画を実行に移すべく、
僕は、ベッドから降りようと左側に身体を捻り、]

  ………ん?

[ふにゅっと。
>>90柔らかくもふっとした何かに腕が触れた。

そこでやっと、布団の方へと視線を落とせば、
なんとそこには。
布団の中からこっちをじーーっと見ている、
ぺんぎんのくりくりの目が。]
(160) 2020/05/16(Sat) 13:27:22

【人】 部隊長 シュゼット

  わぁ……

[そういや前も医務室で見かけたな、この子。
前は丁度、軍医がいないときに遭遇して、
……その時は、どうしたんだっけ。

暫くそのまま、互いに見つめあう状況でフリーズ。
少しして一つ思い出して、布団の中でごそごそと、
服のポケットを漁り、見つけたそれをその子の前へ。]

  これ、……たべるか?
  
[包み紙を開けて、差し出したそれを
その子はふんふんと匂いを嗅ぐようにしてから、
それは嬉しそうに、口をぱかりと開けた。

口の中へと、りんご味の飴玉を投げ入れてやる。
もむもむと、味わって食べている様子のペンギン。
可愛いなあと思うままに、頭をひとつ撫で。

さあ、ベッドからの脱出だと、布団から起き上がった時。
>>91こちらに来た軍医、ルークの言葉に固まった。]
(161) 2020/05/16(Sat) 13:28:18

【人】 部隊長 シュゼット

  …………。

[何も聞かなかったことにして、
身体を起こした姿勢のまま、頭のてっぺんまで布団をかぶる。

全て聞こえないフリだ。
僕は今ここにはいない。
居るのはこのペンギンだけだぞ、と。
一緒に布団の中に抱き込んでしまったペンギンを
左手でひっつかみ、ぐいぐいと顔の前へ。
ペンギンはというと、飴玉を美味しそうにもぐもぐしながら
軍医の方をくりくりの目で見ていただろう。]
(162) 2020/05/16(Sat) 13:28:57

【人】 部隊長 シュゼット

>>92いないフリをする僕を無視して、
聞こえてくるのは、地獄のような三択だ。
考えるだけでも口の中がしびれてきて、
逃げ出したい気持ちになってくる。

答えなければ、本当に苦すぎる薬が出るかもしれない。
この軍医…ルークはそういうやつだ。
前も、散々苦い薬を嫌がった結果、超苦いのを飲まされて
その日は一日中、口の中が苦い状態になってしまった。
(体力を回復させる、薬の効果は抜群だった)]

  四番目……甘い、やつ…。

[恐ろしさに縮こまりながら
布団から頭を出して、震える声で言った。
垂れた瞳は涙目で、苦さを想像した口はきゅっと窄まる。

戦闘の機敏な動きや、的確な指示出しを見てる部下たちが
もし、今の僕を見たら、別人と思うかもしれない。
でもしょうがないだろう。
こういうときのルークは怖いし、
苦いお薬を飲むのはもっと恐ろしいのだから。]
(163) 2020/05/16(Sat) 13:31:31

【人】 部隊長 シュゼット

>>93痛みには強いと自負してるのだけど
どうしても体は痛い部分をかばうようで。
自分では全く意識していないレベルではあるが、
僅かに、背中がいつもより丸まっていたりして。
痛みを庇っているのは、軍医から見れば一目瞭然だ。

阿呆……その言葉が、何に対することかはよくわかる。

  ―――撃つと体力を殆ど使い果たす。
   今はそれだけでいいかもしれないが、
   蓄積されたダメージがいつ、
   後遺症として突然現れるかわからない。
   義手の構造が解析できるまでは、
   闇雲に使うべき代物ではないーーー

ルークは色々と悪い噂の絶えない軍医ではあったけれど
そんな内容の忠告をしてくれたのも、彼だった。
その通りだとは、僕も思う。けれど。]
(164) 2020/05/16(Sat) 13:34:17

【人】 部隊長 シュゼット

  ……戦場で一番の阿呆が僕なら
   僕は、それで、いいよ。

[彼へ向ける緩い笑顔は、
今日の襲撃を乗り切れた安堵だ。

今、僕の耳には、負傷者についての話は聞こえていても、
戦死者の話は、聞こえていない。
死者が出ることも珍しくない、この場所で、
戦いの後、一人も欠けることが無かったということが
今の僕には一番大きいことだった。]

  それで。うちの、隊の子たちは……?
  
[そんな僕にとっては、
暫く安静が必須の、自分の体については二の次で。
自分の部隊の兵達の負傷状況について
ルークへ聞く声は不安げに、おずおずと。]*
(165) 2020/05/16(Sat) 13:42:38
部隊長 シュゼットは、メモを貼った。
(a32) 2020/05/16(Sat) 13:45:09

【人】 部隊長 シュゼット

[僕へ向ける感情が、嗜虐心……!?
>>173そんな言葉が聞こえて、
思わず顔も強張り耳も震える。
左手で掴んでいた、この医務室の住民を
思わずそのままぬいぐるみかのように抱きしめた。]

  なぁ。君も、
  薬は甘い方が、いいと思うだろ

[怖がって、いつも以上にもふもふの玉のようになっている
そんなペンギンを味方につけるべく、聞いてみたけど。
非情にも、軍医の彼が告げるカウントダウンは
刻一刻と数字を刻んでいって。

……聞き入れてもらえないと思っていたから、
>>174僕の意見があっさり通った時は、
驚きもしたが、一気に安心したっていうのに!]
(220) 2020/05/16(Sat) 20:18:17

【人】 部隊長 シュゼット

[胸元のペンギンの視線など、今の僕は気にしていない。
向こうの方で混ぜられていく薬についても
珍しく親切に、甘い薬を作ってくれてるのだとばかり。]

  あ。……ありがとう。
  これで、皆の様子、見に行って。
  報告と見張り、しにいかないと、…
  
[渡された薬を、素直に受け取った僕は、
>>176ルークの微笑みが、ただの親切心だと信じたまま
何も考えず。体力が戻った後のことを呑気に話し、
一気にそれを口の中に流し込んだ。]
(221) 2020/05/16(Sat) 20:18:57

【人】 部隊長 シュゼット

  甘い薬かぁ……楽しみだなぁ……、ぶっ!!
  げ、げほっ!!……ぅ、うぇぇ……

[一気に飲み込んだのは悪くなかった。
だってこんなの、一度味を知ってしまったら、
飲み終わるまで滅茶苦茶に苦労するやつだ。

ただ……口の中を過ぎ去って、
喉の奥まで流れていった液体の苦みは計り知れない程で。
僕はコップをサイドテーブルに置き、
口元を押さえて、布団に蹲るように突っ伏した。

痺れるような苦みとえぐみが、喉から上を攻撃してくる。
お腹の中だって、すごく辛い物を食べた時のように、
熱くなったり痛くなったり。

本当は、今すぐ吐き出したい気分なんだけど、
はた迷惑なことに、そこは良く出来ているみたいで。
患者が飲んですぐ吐かないように、
薬の作用で色んな味や症状を感じたとしても、
吐き気だけは催さないような作りになってるらしい。]
(222) 2020/05/16(Sat) 20:19:28

【人】 部隊長 シュゼット

[この体制じゃ、>>179相手の顔も見えやしない。
ただ、僕のせいで、何か怒らせてしまったみたいだ。
言葉の節々から、そんな気配を感じるような気がして。]

  よふ、ひほえへ、ふ……
   (よく、きこえてる…)
  だはら、おほらないれ、かひゃむふび、は、やめへ
   (だから、おこらないで、かたむすびは、やめて)

[上手く喋れないなりに、顔をあげて必死に伝えるさまは、
やっぱりまだ涙目で、首をふるふると震わせて。
……>>171子供かと言われても反論できないな、と。
客観的に考えてそう思うが、
だからと言って止められるものでもない。
医者は怖いし薬は苦い。無理なものは無理なのだ。]
(223) 2020/05/16(Sat) 20:20:22

【人】 部隊長 シュゼット

[どうせ、痛いのはどうってことはない。
僕は、まだにがにがする口を半開きにして、
眉を寄せ、うえー、と舌を出した状態で。
軍服の上着を脱げば、
のそのそと、ルークの方へ背中を向けた。

上着まではあまり染みていなかったようだが、
その下に来ていたシャツの被害は深刻である。
全体的に赤がじわりと滲んでいて。
所々生地が切れていたり。
もしシャツを捲るなら、高所から背中を打ち付けて
そのまま数メートル地面に擦ったのがよくわかるような、
酷い傷跡が、露わになることだろう。

……今回のものだけじゃない。
体中のそこかしこには、もう完治した後ではあるが、
消えずに残ってしまった傷跡が至る所についていた。]
(224) 2020/05/16(Sat) 20:22:19

【人】 部隊長 シュゼット

[背中の治療が始まって少し経てば、
やっと口の中のにがにがも落ち着いてきて。

自分から喋る元気も戻ってきたところで
ふと、思い出し。前を向いたままぽつりと。]

  そうだ……ルークは、さっき。どうだった?
  
[語彙を持たないわけでは決してないのだが、
普段は、人と話すことにリソースをあまり割かないから
言葉数が少なく、何を聞いているのかもわかりにくい。

もし何か聞かれたなら。
質問の内容を説明するでもなく、ただ、ペンギンを撫で。
医務室の天井の方へ向けられた目は少し細くなり。
戦場の光景を思い出しながら、伝えた。]

  僕は……近くに居たから。
  前のより大きくて、地面の凹みも、重そうだった。

>>178彼は怪物が見える位置にいたようだから。
きっとある程度安全な場所に居たのだろうと予想して、
どこに居たのか……というより、何を見たのかが気になった。
自分は近くに居たものだから。
他の場所から見た機械の怪物について
どんなだったのか、聞いてみたくなったんだ。
―――そんな意図では、あったのだけど。

ルークは何を見てどう思ったのだろう、と。
そこでやっと、後ろを振り返ってみた。]*
(225) 2020/05/16(Sat) 20:26:28
部隊長 シュゼットは、メモを貼った。
(a40) 2020/05/16(Sat) 20:29:34

部隊長 シュゼットは、メモを貼った。
(a41) 2020/05/16(Sat) 20:46:35

【人】 部隊長 シュゼット

>>242僕が彼を怒らせてしまっているのかと思ってて。
だから今度はこちらがわからずに、首を傾げた。]

  ひはっは…?…………ん。
  (ちがった?)

[いつも以上に当たりが強いような気がしたのだが。
違うと言うなら、これ以上深く問うものでもないか、と。

>>243言われるがままに、無遠慮にシャツを脱ぐ。
背中からぱりぱりと聞こえる音は、
乾きかけた血液でシャツと肌がひっついてたのが
乱暴に剥げてゆく音だ。]

  は、剥ぐ……僕の、部下の前で、!?
  
[言葉の鋭さに、つい、驚く声が上がる。
でもすぐに、理由がわかってしまって。
耳を揺らして、バツの悪さに下を向く。]

  ……え、と。ハイ。
  次は怪我、すぐに言います……逃げません…。

[そうして。
普通の人なら、顔を歪めて痛みに声をあげるのだろうが。
怪我についてはけろりとした顔で、表情一つ変えずに、
僕はルークが治療を始めるのを待っていた。]
(275) 2020/05/17(Sun) 0:21:29

【人】 部隊長 シュゼット

[僕は……僕がここまで、痛みに鈍い理由がわからない。
戦闘中に傷を負っても(少し怪我をしたな)と思うぐらいで
傷に構うことなく動くことができるのは
僕としては、ありがたさしかないのだけれど。

ただ。我慢できるのは痛いことだけ。
背中に冷たい手が触れた時は、肩がびくりと持ち上がり。]

  つ、めた……っ!!

[未だに動かない右腕はだらりと垂れ下がったまま。
目をぎゅっと瞑って冷たさに耐える。]
[消毒や破片の除去には全く反応を示さないくせに
それ以外のことには人並み以上の感覚を持っている。
そんな特異体質なものだから、
僕のことを不気味がる基地の者も少なくない。

第一戦闘部隊含め、兵士たちからの信頼は厚いが、
僕より上官や、研究班や医療班からの評価は、
僕が聞く限りでは、良い話ばかりではなかった。

記憶を戻すための『検査』のついでに
この体質についての調査もされてるのだろうと
そう、予想もつけているのだけど。
……実際はそんなことはないのか、はたまた。
  真相は僕にはわからないのだった。]
(276) 2020/05/17(Sun) 0:22:35

【人】 部隊長 シュゼット

>>245下された判断に、「えぇ」と声が出る。
見張りは非戦闘の日常の中でも好きな仕事の一つだ。
夜中、外壁の上に据えられた見張り台から
危険な野生動物が近くに来ていないか、
天の『穴』の様子に変化がないか、見張る仕事。
夜のあの静かな空気感が、僕はとても気に入っている。]

  確かに……暫く襲撃も無いとは聞いてる、けど。
  でも僕、毎日東棟側の外壁から、
  見張りの、仕事を任されて、て
  部下の様子も、ほんとはすぐにでも、……ぅ。

[けれど。耳をじーーーと見られれば、
垂れ下がった赤い兎耳耳を左手で弄り。
ごにょごにょと、言葉にならない声を漏らした後。]

  検査も……ん。わかった、よ。

[検査についても、次こそは何かわかるかと
そんな期待もあったから、残念に眉を下げる。

結局。こういう時にこの軍医には敵わないのだ。
せめて早く動くようにならないかなあ、と。
左手で、銀色の右手を撫でたりして。
こりゃあ義手もまともに動くようになるのは数日後かと
ようやく、己の惨状を認め、肩を竦めて
重々しいため息をついたりして。]
(277) 2020/05/17(Sun) 0:25:27

【人】 部隊長 シュゼット

>>246>>247―――我々の技術では再現不可能。
軍医の所感は全て同意だった。]
  
  ん。……その通りだとおもう。
  もっと、色々話せればいいのだけど、
  戦闘中は必死だから……これ以上は僕もわからない。

[ゆっくりと頷いて。
あそこから見た戦場はどう見えるのだろうと、
一度目を閉じて、そんなことを想像してから。
髪色と同じ赤い瞳は、ルークを見据えた。]

  外壁は、僕の好きな場所だ。
  この基地の周りが、良く見える。
  怪物もそこまでは、これからもいかないだろう。

[今までそこまで怪物が近づいたこともない。
そこで見ているなら安全だろうと、そう伝え。]

  奴らのこと、少しでもわかれば……
  いつか。状況を変える手だても、きっと。
  
[それは、皆が望むことだ。
だから、早く怪物の正体についてわかればいい。
そのためには僕が皆の力にならないといけない、
そう思うと自然と、左手はまた義手を撫でていた。
 なんだろう。これで、いいはずなのに。
 こういう時になると、僕の中から僕に向かって、
 違うだろうと囁く声がする気がするのだ。
(278) 2020/05/17(Sun) 0:30:02

【人】 部隊長 シュゼット

[解析作業には彼も加わるのだろうと知っていた。
僕に伝わってくるのは、彼らの仕事の成果だから。
背中から腹にかけてぐるぐる巻かれた包帯を
左掌でぺたぺたと触って、緩く笑った。]

  解析の結果、待ってるよ。

[物の解析なんて作業に疎い僕は、
ただ、ルーク達を信じて結果を待つだけだ。
信頼を込めて、それだけを伝えると。
背中の治療が終わったら、
もう何も文句は言わずに、ベッドへと潜る。
これ以上何か言うと、彼からだけでなく、
部下達からも心配されてしまうかもしれないから。

それに、これまで僕は軍医の下す判断については
いつも文句を言いつつも従って来た方なのだ。]
[でも。布団に潜って彼に背中を向ける前に一言だけ]

  次こそは、甘いやつがいい。

[あんな苦い薬、できればもう二度と飲みたくないから。
往生際が悪いと思われようが。
僕は何度でも、頼んでやるのだ。]
(279) 2020/05/17(Sun) 0:37:23

【人】 部隊長 シュゼット

[その後。僕は医務室から逃げ出すことはなく、
数日は大人しく医務室のベッドの中で過ごした。

定期的に与えられる薬はやっぱり苦くて、
毎回、嫌だ嫌だと文句を言って、
飲んだ後は暫くベッドの上に丸まって動かなくなり。

医務室に缶詰になっている間は
自分よりも早く回復した部下達がお見舞いに来る。
必要以上に心配して隊長のベッドに群がる者や
甘いものの差し入れをする者や、
隊長のふわふわの兎耳をふにふに触っていく者。

部下に慕われつつも遊ばれたりもしてる様子が
毎日、見られたことだろう。]**
(280) 2020/05/17(Sun) 0:39:01
部隊長 シュゼットは、メモを貼った。
(a46) 2020/05/17(Sun) 0:41:35

【人】 部隊長 シュゼット

― 退院前日の医務室 ―

>>305その日も、医務室には部下たちが来ていた。
―――隊長が居ないと鍛錬にも力が入らないんですよ。
 だから早く復帰して、私たちの相手をしてください!
―――今日、甘いクリームの乗ったパンが食堂で出たんです。
 本当は持ってこようと思ったんですが……軍医が怖くて。
―――今日こそは、その義手砲の出し方の秘密、
 ぼくたちにも教えてください!
 
義手も自分で動かせるようになって
もう明日には通常勤務に戻れるまで回復したからか。
最初は過保護なぐらい心配してくれた部下たちは
鍛錬や見張りや武具の手入れといった日々の業務を
疎かにしてないか不安になるぐらい、
楽しそうな報告ばかりを僕にしてくれるようになった。]

  暫く怪物が来ないからって、
  毎日の演習は、気を抜かないで。
 
  秘密……は。
  僕にも、研究班の人達にもわからないんだけど。
  ……そうだ。持ってみる?
 
[肘のあたりの繋ぎ目にあるロックを外して回転させると、
かちり、と音を立てて、銀色の右腕が取れる。
―――ばちん、と。
神経を千切られるような痛みと衝撃を、
殆ど表情を変えずにやり過ごして。
それを布団の上に置いて、さあどうぞと目配せ。]
(341) 2020/05/17(Sun) 16:52:00

【人】 部隊長 シュゼット

[僕の腕が外れるのは部下の中でも見たことある者は少なく、
突然上司の右腕が肘までになって、辺りにどよめきが走る。
でも皆、"外すことができる"ことはわかっているから
どよめきはすぐに、腕への興味へと変わっていった。

そうして。戦闘当日は軽い手当のみで済んだマリーベルが、
恐る恐る、僕の腕を持ち上げようとした。]
[……彼女は確かに、持ち上げようとしたんだ。]

 「……ううう〜〜……!!!
  た、隊長、これ、毎日つけてるんですか……!?
  こんなの……私なら、右腕が壊れちゃいそうです。」

[顔が真っ赤になるほどに力を籠めてみたけど、駄目。
(僕の見立てでは、彼女の力はそこそこあるのだけど)
もっと力がある奴じゃないと駄目だ!ということになり、
若い部下たちは代わる代わる、
僕の腕を持ち上げようと頑張ったのだが……]
(342) 2020/05/17(Sun) 16:53:19

【人】 部隊長 シュゼット

  ……やっぱり、重いか。
  ごめんね、気に病まないで。
  研究班の人にも、細身の癖に馬鹿力の怪力兎め、
  ってよく言われるから。

[結局。誰も持ち上げることができないのを見て。
僕は苦笑しながら、義手を右腕に接続し直したのだった。
再接続したときも義手へ腕の神経が繋がる感覚はしたが、
流石の僕でも『痛い』と感じるそれをやり過ごして、
部下達にはただ、笑って右手を動かして見せたのだ。

皆から、尊敬の眼差しと感嘆の声が上がる。
僕は、ちょっと照れくさい気持ちになって、頬を掻いた。
違う話題に話を変えたくて、辺りを見回してみたけど
あの医務室のペンギンは人が多いからか
丸いもふもふのあの姿は、どこにも見当たらなかった。]
(343) 2020/05/17(Sun) 16:53:57

【人】 部隊長 シュゼット

[過去があり、大事な家族や友人もいる。
そんな彼らが僕は大切でもあり、羨ましくもあり。
彼らが楽しそうにしているのを見るのは大好きなんだけど、
力のこととか痛みのこととか、些細なことで
僕は皆とは違うんだと痛感してしまう。

部下達には笑っていてほしい。
戦場では、なるべく傷ついてほしくない。
僕のことで、心配などかけたくはない。
彼らには、不気味な者を見る目で、僕を見て欲しくない。

義手をいつから持っていたのかも。
接続したときの痛みも、後遺症の危険性も。
僕の記憶が、ある時点を境にさっぱり無いことも。
最近見るようになった、"夢"のことも。

僕自身のことについて隠せることは極力、
彼らには、話さないまま。今に至る。]
(344) 2020/05/17(Sun) 16:54:36

【人】 部隊長 シュゼット

[義手砲の出し方の秘密についても、
これは研究班すら、なんで出せるのか不明らしくて
何度も、僕に聞かれた事だった。

でも、僕の答えはいつも同じ。
 「仲間を守ろうと思ったら出せる」

研究班の人たちはそれで納得してくれたけど。
その時総司令には、推し量るような視線を向けられた。
それ以上、その時は追及されなくて本当によかったと思う。
……実は、出せる理由が少し違うことだって。
僕は今まで、誰にも話していない。
 ……いや。話せて、いないんだ。]
(345) 2020/05/17(Sun) 16:55:54

【人】 部隊長 シュゼット

[―――翌日で退院だという話だったから。
次の日、部下達もおらず部屋に軍医と二人になれば、
右腕を回したり指を動かして見せたりして。
部下が居るときにはしない話を、少し声を潜めて聞く。]

  ありがとう。
  おかげで、もう万全だと思うよ。
  あとは……『検査』は、……いつから?
  
[今日からと言われたら、指示通り来るつもり。
まだ暫く先と言われればその通りにする。
僕は検査についてはいつでも命令通り従うのみだが
本音を言えば、薬はできれば飲みたくないし
延期でいいならそれが一番だとも思っている。]

  またね。次は…うん。ぶどう味かな。
  
[ててて、と。
遠慮がちに近寄って来たペンギンの方へ
しゃがんで、もふもふの頭を撫でる。
"次"があればきっと、検査の時。
この子は何味が一番好きなのかわからないので、
これからも色んな味をあげて、反応を見るつもりだ。
苦い薬は嫌だけど、この子に会えるのは楽しみで。]
(346) 2020/05/17(Sun) 16:56:13

【人】 部隊長 シュゼット

[でもやっぱり苦い薬は……と考えて。
医務室を出る前に最後に一言。]

  ……確認、なんだけど。
  次の検査は、注射だけ、ってわけには……
  
[機嫌を伺うように、彼の真っ白な狐耳を見る。
表情からあまり機微がわからないものだから
せめて耳の動きで何かわからないかと思ったのだが。

そんな自分の方が、首を恐々と竦めて、
耳をぷるぷると揺らしているものだから
見た目でわかりやすいのは、どう見ても僕の方
……というのは、僕自身では気づいていないこと。]*
(347) 2020/05/17(Sun) 16:56:36
部隊長 シュゼットは、メモを貼った。
(a54) 2020/05/17(Sun) 17:01:33

【人】 部隊長 シュゼット

− 退院当日の夜:外壁の見張り台 ―

[こつ、こつ、と。石の階段を上っていく。
砲台が設置されている小部屋を通り過ぎて、
さらに上へと階段を上る。
外はもう夜になり、外壁内の所々に灯る明かりと、
右手に携えたランタンが頼りだった。]

  よい、しょっと。

[一番上に据えられた見張り台まで登ってしまえば
まずはお役目。周囲をぐるりと一望。
地面や天の岩壁でぽつぽつと輝く草が、
この夜中でも動いている生き物の影を照らし出す。
僕は夜目が利く方だから、
少しの光と、後は音さえ聞こえれば見張りには十分だ。
この静かで、辺りを見渡すことができる空間が大好きで
僕は地下世界の発光植物の光が幻想的に輝く光景を、
暫くそこから、身を乗り出して外を眺めていた。

危険な生き物が近くにいないことをよく確認したら
見張り台に備え付けてある椅子に座って、
記録をつけるためにある机の、引き出しを開く。
ノートには、本日の日付と"異常なし"の言葉を書いて、
すぐにノートを仕舞い、更に奥を漁る。]
(367) 2020/05/17(Sun) 19:45:40

【人】 部隊長 シュゼット

[ここには見張りの当番が書くためのノートの他に、
個人の私物が色々入ってたりする。
誰かが吸う煙草だの、古びた双眼鏡だの。
色んなものが入っていているから、
その中になにがあっても、誰も気に留めない。

だから誰にもとられてないだろうとは思ってたけど
実際、ちゃんとここに残って居たのを見て、口元が綻ぶ。]

  うん。あった。

[引き出しの奥の方から取り出した、
色褪せた赤い布の袋を開ければ、
中から出てきたのは、つるりとしたディスプレイを持つ、
頑丈そうなタブレットだった。]
(368) 2020/05/17(Sun) 19:46:44

【人】 部隊長 シュゼット

[基地の者に支給されているタブレット。
世界のそこらで見つかるロストテクノロジーの産物の一つで
あるとき、大量に発掘されたそれを、
司令官が「皆に配って活用しよう」と決めたのだ。

僕の黒色のそれに暗証コードを入れて起動させれば、
ノートのようにして使える機能を開いた。
……実は、他にもいろんな機能があって、
解析班の解析が終わっていて使用許可が出ているものも
この中には沢山あることを知っている。

でも、それらは大抵、調査や研究に役立つ物ばかり。
そもそも、タブレットに最近まで興味もなかった僕は、
風景を画像にして保存できる(写真というらしい)機能も
簡単な文章を手紙のように誰かと送受信できる機能も、
一度だって、使ったことが無かった。]
(369) 2020/05/17(Sun) 19:48:50

【人】 部隊長 シュゼット

["過去の記憶を思い出す前に、
今の記憶をなくしてしまうのが怖い。"
また、突然記憶をなくしてしまうことがあるのでは、と
それが怖くて、昔に、上官に尋ねたことがある。

そうしたら上官は、「日々の記録をつけると良い」
と言って、自分の日記帳を僕に見せてくれた。

……とはいえ、何か書こうとしても
初めてのことであり、中々、内容に困る。
……基地の皆と戦闘の訓練をしたこととか、
今日食べたごはんが美味しかったこととか。
そんなことは、毎日、部下と体験していることだ。
もし記憶が無くなったとしても、誰かが教えてくれる。

なら―――この、僕のタブレットには、
僕だけしか知らないことを書くべきなんじゃないか。

軍の機密のようなことを書くわけにはいかないけど
誰に話せばいいかわからないことを
後々のために、書き留めておくにはちょうどいい。
そう思い立って自分用のタブレットを引っ張り出してきたのは
ごくごく最近……医務室から出てきたあたりのことだった。]
(370) 2020/05/17(Sun) 19:52:30

【人】 部隊長 シュゼット

[タップして現れたキーボードから、文字を打ち込む。
纏まりがない日記になってしまったきがするけれど
打ち終わって読み返してみれば、
達成感というか満足感というか。
やり切った気持ちが胸に沸き上がる。]

  ……ふふ。結構楽しいかも。

[タブレットはまた、机の奥に。
自分の部屋に置いておくのも考えたが
部屋では文字を書く気になれない気もしたし、
暗証コードもしっかり設定したから大丈夫だろう。

暗証コードは、きっとこれから先忘れることのない物。
今まで口にしたものの中で一番嫌な味を持つ『AME015』。
好きなものと嫌いなものぐらいは、
これから先も覚えてられるだろうという安直な期待と。
もし、万が一。誰かにこの中身を見られたとしても、
医務室勤務の誰かのタブレットだと思ってほしい。
……コードには、そんな保険も込めて。]
(371) 2020/05/17(Sun) 19:58:23

【人】 部隊長 シュゼット

  ……もう少し、見張りの時間はあるな。
  
[そうして僕は、見張りを続行する。
初めて、日記を書いてみたことで、
なんだかいつもより機嫌もいい。

次に『検査』の時の手土産にと思って手に入れた
ブドウ味の飴玉を一つ、口の中へ投げ入れて。
その日自分に割り当てられた見張りの時間が終わるまで
見張り台から外の、襲撃がない平和な一日の終わりを
兎はずっと、眺めていた。]*
(372) 2020/05/17(Sun) 20:01:07
部隊長 シュゼットは、メモを貼った。
(a56) 2020/05/17(Sun) 20:37:56