［　上着を君へかけ直して
　　冷えた手に手を重ねた。


　　

　

　　　　
　　　　ごめんね そろそろ行こっか
　　　　


　

　─　旧校舎　─



　

　　　　俺の願いは今言ったのであってるよ

　　　　…叶えて、もらえる？幽霊さん。


［　「本当に」と確認されたならまた改めて頷いて。
　　叶えられたのか すぐにはわからない。
　　俺に確認することは出来ないから
　　幽霊から俯いた君へ視線を戻した。

　　視線が合えば >>404
　　ゆっくりと、まばたきをひとつして。
　　息を吐いた。
　　君の言葉の途中で何も吐き出さないように。　］
　

　

［　…狡いことをしたんだ。




　

　　　もうひとつ、って、



　

　　　っ、欲張り




［　じり、と無意識に足が後退する。



　　立ち止まる。
　　わからない、ただ拒んでもいいのかどうか。
　　わからないまま、君との距離が近づく。　］
　

　　　俺はこれ以上何を覚悟したらいいの
　　　壮真に忘れられないとか
　　　そんなんならとっくにしてるよ
　　
　　　……………



　

［　一瞬時が止まったような気がした。
　　君の顔が近づいて
　　紡ごうとした言葉ごと奪われて引き戻される。

　　俺の抵抗は間に合った？
　　全て押し込められる前には君の手首を掴んだ。　］
　

　　　…俺もね 今こうして俺の目の前にいる


　　　壮真が俺を想ってくれるように
　　　俺だって同じこと考えてるんだ

　

　　　だから全部返しはしないよ


　　　俺から渡せない分は
　　　これからにして返すから
　　　

［　半分に出来るならもう一度割るくらい出来るよね？
　　俺が貰うのは25%だけ。
　　それ以上は戻すように
　　掴んだ手を君の胸に押し付けた。　］
　

　　　俺は幸せだよ 壮真のおかげで
　　　未来はもう変わってるんだ


　　　…俺は壮真が不運になったら悲しいよ
　　　どれだけ他が幸せだったとしても1番にはならない
　　　それくらい壮真が大切
　　　壮真の幸せが俺の中では大きな幸せのひとつなの


　　　
　

　　　




　

　─　三日後:昇降口　─


　　　行くべきか 行かないべきか
　　　コーラを買うか　いちごオレ^drinkを買うか………

　　　…人生は二択の連続だ
　　　君もそう思わない？自販機くん


［　皆も帰りがけたこんな時間に
　　何やってるんだって？

　　自販機の前で2つの悩み事をしてる。
　　ひとつはすっごいどうでもよくて、
　　もうひとつはけっこう、かなり、大事なこと。　］
　

［　2日目の昼以来見ていなかった彼女は、
　　期限がすぎて3日経っても学校を休んでいる。
　　聞くところによると高熱で入院したとかいうんだ、


　　個別のメッセージ画面を開いて、
　　お見舞い行っていい？とか、
　　調子どう？とか、
　　思いついた数々の言葉を
　　打っては消して、打っては消して。

　　　…仕方ない 天に任せようか

　　　
［　コーラが出たらチュッパチャプス、
　　いちごオレが出たらアイスを買ってく。

　　行くか行かないかじゃないのかって、
　　それはまあ ご愛嬌
　　行きたいけど行きたくないから悩むんだ
　　ならちょっといい逃げ道があったらいい。

　　俺は出来たらアイスが食べたい。
　　散々悩んで同時押し、
　　当たったのはいちごオレ。

　　俺の運は────。　］
　

　─　三日後：病室 未國　─


［　何にもメッセージなんか送らずに
　　誰かいるかもとか考えもせずに
　　病院で許されるくらいの勢いでドアを開けて
　　多分誰もいなかったな、いなかった。

　　一瞬君の顔色を伺った後
　　当たりくじ付きの棒付きアイスを差し出して
　　言うんだ、　］
　　　

　　　サボり？───寒くなってきたもんね


［　多分、この3日間何でもなかった顔で。
　　季節感のないお土産を君に。　］**
　

　　─　4day　─

［　壮真のいう慎之介、と大地の言う慎ちゃんが
　　元副会長大木慎之介の事だと気づいたのは
　　あまりにもら目まぐるしい
　　この3日間を終えた後の事だった────



　　……なんて
　　いや、大木くんってイメージはあったんだけどね？


　　こっちから大地に用があってB組に
　　我が物顔で行ってみたか
　　壮真に用があった？のかな
　　A組に来てたんだったか まあどっちでもいっか
　　同じ同じ。　］
　

［　俺はあの雑談っきりろくに話したこともない彼と
　　3日ぶりに顔を合わせたのだ。
　　そして知った、下の名前を…

　　ついでに俺の友人たちとの関係を知った。

　　逆に共通の友達2人もいて
　　3年間も知り合えないって凄くない？


　　行けるとこまでぐいぐいいった。
　　だってあと半年もないんだから
　　この3日間のこと、気兼ねなく話せるくらいに
　　声の聞こえるとこまでは距離詰めないと。

　

　　　俺さぁ、幽霊に会ったら
　　　色々あって運が良くなったの


［　慎之介はどう？会えた？面白かった？

　　なんて
　　色々に全部を詰め込んで
　　続きは次の休み時間にでもしようよ、ね。　］**
　

［　何事もなかったみたいに、朝が来る
　　けれどいつもとは、今までとはきっと違う一日が続く

　　朝起きて、トースターで焼いただけだけど
　　一応朝ごはん食べて、
　　余裕があったらメッセージアプリを開いて、
　　『おはよう』とか他愛ないやり取りをしてみる

　　やっぱり眠たい目を擦って
　　教室でHRがはじまるまで二度寝して
　　たぶんつつかれて起こされる
　　4日目の朝だけは寝ないで屋上に向かった。

　　期末近いなーなんて、
　　あんまり出来ないお勉強に思いを馳せて
　　散っていく葉を窓の外に眺めて
　　季節の終わりと始まりを感じる。　］
　

［　寒いのにアイスを渡した病室
　　俺は深呼吸なんてものには気が付かなかった
　　冷たかったから息一瞬止まっちゃった？

　　
　　いつもの未國ちゃんだな、って思ったんだ、
　　ピースサインから一本増えて綺麗な3。
　　記憶喪失、なんて言っちゃう割には。
　　俺とのあの会話も忘れてるかな


　　でも、いつもの未國ちゃんは
　　3日前の君は、それを知らないから。
　　俺は少し驚いて、でもいつも通りに笑うんだ

　　今度は肉まんでも食べ行きたいな
　　サボり過ぎもよくないから放課後とかでもいいし。
　　　
　　なんてね。でも本気で思ってるよ。>>788　］
　

［　名字でいいよってにっこり笑って
　　多分3日前とはちょっと違う笑顔で。
　　


　　

　　本人曰く普通の卵焼きに
　　慎之介…出来る奴だな…！？
　　と謎の対抗心湧いたとか湧いてないとか。
　　嘘です湧きました。

　　美味しかったので争奪戦になったら頑張った。　］
　

［　離れないで巻き込まれよう
　　食らわされるのがダブルラリアットでも 甘んじて？


　　俺はまた明日、って伝えられなかったから。
　　昨日はありがと、と、おはよう、を一緒に。
　　
　　負けないジンクス、俺にも有効だったみたい。
　　25%教入信しようかな。そういうもんじゃない？


　　『今だけ』じゃない運も胸に抱えて、息を吸った。　］
　

　

　


　　俺は壮真のために、幸せで笑っていたいと思う。

　

　



　

［　愛していると伝えよう
　　不安定な未来の道の上で踊るように跳ねて

　　いつかそらへ手が届いたらいい

　　　　　　　　　　　繋いだ手に口付けて謳おう
　　　　　　　　　　　次は俺が君を幸せにする番だ　］