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【人】 休職中 スピカ【バーチカルタイムのどこか】 [バーチカルタイムと言う理論がある。 これはかつて提唱されたトンデモ理論で、過去・現在・未来が融合して同時に接することができるという理論だ。 このバーチカルタイムと言うものは幻想でもあるらしい。 だから今、私が観測している事象は過去・現在・未来のどれかに当てはまる事象かもしれないし、どこにも当てはまらない幻想なのかもしれない。 そんなことを娘のドリルの採点をしながら思う] [親馬鹿と思われるかもしれないが、娘は大変優秀だと思う。 初等課程にありながら、今手掛けているのは中等課程のもので、 「お医者さんになって、自分の病院を持ちたい」 から 「公費で行ける医学部のある大学に入るためにはこれくらいできないとダメ」 なのだそうだ] (533) 2022/07/24(Sun) 21:42:31 |
【人】 生物学者 アマノ【〜1年とほんの少し後〜】 [青い空の下、チャンドラを見送った。 それは終わりと始まりの1つの区切りの日で、特に"所属"を移ることになったバーナードとその身柄を預かる身になった俺はそれから暫くは多忙な日々、落ち着く暇も無かった。 チャンドラの事を思い出す余裕もないまま、幾日かが過ぎたある日。 ミスティックアンテナ号の運航会社から私物の残りを引き取りに来て欲しいとの旨の連絡が入った。] ────残り? [俺のものは特にこれというものは無いはず。 お前は何か連絡があったかと、傍らのラサルハグと顔を見合わせる。 研究用機材の類は所有者が明確とのことで比較的早々に返却されていたし、歳月を経たことで既に壊れたもの──残念ながら愛用のコーヒーサーバーは壊れていた──は処分して貰っていた。 書類か何か残っていただろうかと、翌日、指定された場所を訪れたわけだけど。] (534) 2022/07/24(Sun) 21:42:57 |
【人】 生物学者 アマノ[渡された紙袋には、幾冊かの医療書籍が入っていた。 あの時 >>2:235 に貸して貰った再生医療の専門書。 チャンドラが、俺に譲り渡すよう、遺書に記していたそうだ。 そのうちの何冊かはタイトルを覚えていたから帰還してから改めて購入したものもある。 あれから5年以上経っても時代遅れになっていないその教本は、未だに再生医療従事者が指南書として扱う極めて専門的な内容も含まれていて。 チャンドラという医師の聡明さ、真面目さがそのまま現れているような蔵書だった。 勿論いただいて帰ります、と受け取ったところ、こちらの本は貴方の私物で宜しいですか────と、もう1冊の本が渡された。 家のキッチンに置いてある、買い替えた新しい本とは違う、表紙の端が少し折れて黄ばんだ、中のページあちこちに染みがある、『はじめての一人暮らしごはん』 >>2:236。] (535) 2022/07/24(Sun) 21:44:01 |
【人】 生物学者 アマノ────いえ、これは、 [チャンドラの本ですと言いかける前に、眼前の担当者から謝罪され、言葉を飲み込んだ。 曰く、サインがあったものの共通言語での記載ではなかったから選定が伸びて返却が遅れた、申し訳ない、と。 それなら尚更チャンドラのものと判るだろうと首を傾げた視線の先には、慣れない筆致での俺の名が──滅多には使わない、母国語での名前が──記されていた。天野大海、と。 それは、チャンドラからのメッセージ。 "ノーコメントで"持って行って欲しいという、無言の、秘密の形見分け。 確かに俺のです、ありがとうございます、と呟いて、汚れのない白い表紙の医学書が詰まった袋にそれも詰めた。 その後は、どう帰宅したのか、あまり覚えていない。] (536) 2022/07/24(Sun) 21:45:05 |
【人】 生物学者 アマノ[玄関に辿り着いて、閉じた扉に背をつけるまでが、限界で。] ────だ、から、嫌だったんだよ…………っ。 [扉に凭れるようにずるずるとしゃがみ込むと、床にいくつもの水滴も落ちてきて、なんだ、これ、と思いながら、呟いた。 先に帰宅していたラサルハグが何事かと出てきてくれたけど、俺は、"ただいま"の一言も言えないまま、ラサルハグに向かって口走る。 畜生、泣くのは嫌なんだよ。やたら疲れるし、ラサルハグ曰く"ひどい顔"らしいし。 けど、涙は全然、止まらなくて。] 知らない奴が勝手に死んだのなら、こんなに辛くなかった。 親しくもない奴が、コールドスリープの"椅子取りゲーム"に負けただけだったら、こんなに苦しくなかった。 こんな気持ち、全部要らなかった……っ。 (537) 2022/07/24(Sun) 21:46:52 |
【人】 生物学者 アマノ[要らないから。こんなの要らないから。 ────どうかチャンドラを返してください。 支離滅裂な事を口走る俺に、全部わかってるから、という風にラサルハグの手が触れてくる。 ああ、もう俺は、チャンドラの手の温かさも知ることが出来ないんだ。 もう二度と。 そう思ったらまた泣けてきた。 大事なものが増えるのは嬉しいこと。失うのは悲しいこと。 情緒13歳は、そんな至極単純な事をこの日初めて思い知ったのだった。*] (538) 2022/07/24(Sun) 21:47:35 |
【人】 休職中 スピカ[物心ついたころから娘の夢は お医者さん で、どうしてか聞いても 「内緒」 としか言ってくれない] [この頑なさは今は(私は勝手にそう思っている)友達によく似ているなと思っている] ケートゥはどうしてお医者さんになりたいの? [何度目かの質問、いつもは「内緒」としか言ってくれないのに今日に限って、もじもじしながら教えてくれた。 「お医者さんになって船に乗りたい。宇宙船で働くお医者さんになりたい」 聞き間違えではなく、確かにそう言った] (539) 2022/07/24(Sun) 21:49:32 |
【人】 休職中 スピカそうか、そう来たか。 [思わず頭を抱えた。 きっと、たまたま偶然、そうなっただけだとはわかっている。 昔見たチャンドラのドキュメンタリーに影響されただけだ、そうだと言うことはわかっている] [それなのに、どうしてか娘の発言が、ついにチャンドラが喧嘩を買ってようやく会いに来た、としか思えなかった] ……そっか、そうなのか……。 [あの時はチャンドラに向かって「拳も辞さない」と言った記憶がある] [いいだろう、売った喧嘩が買われたのなら受けて立つほかあるまい。 私は親として、チャンドラ……いや、娘の夢に真っ向、向き合うことにした。当然、拳も辞さない覚悟だ**] (それはそれとして、面白かったのでパパには「ケートゥがチャンドラみたいなこと言ってた」と教えてやった) (540) 2022/07/24(Sun) 21:58:21 |
【人】 機関士長 ラサルハグ>>534 [ヒロミに私物の引き取りの連絡が入った] いや、俺にはないな。 工具も本も、所有権は放棄した。 [原則自分は失くしてはいけないような私物は持ち込まない。 理由は想像にまかせるが、そういうことだ] まぁ、忘れてるぐらいだから、 そのまま処分してもらってもいいんじゃないか? [とは言ったものの、ヒロミのことだから取にいくだろうとは思ったし、 案の定翌日取にいったらしい] (541) 2022/07/24(Sun) 22:04:26 |
【人】 機関士長 ラサルハグ>>535>>536>>537>>538 ヒロミ? [そして、号泣しなから帰ってくる。 たまらず吐き出した言葉は帰り路ずっと我慢していたものであるのはあきらかだった] それは、ドクトルのものか? [口走った言葉から、死んだ、という言葉から、 ドクトルの何かだっただろうことは察しはついて、 泣き続けるヒロミに手の伸ばし、その頭を抱きしめた] ………お前に覚えてほしかったんだな。 よかったな。 [きっと、こんな風にぐじぐじ泣くことくらい、 チャンドラはお見通しだろう。 でも、それでも、と残した何か。 それ以上の慰めの言葉は何も浮かばなかったので、 ただ、抱きしめたまま、ソファまで連れていって、座らせる] 今はドクトルのために泣くといい。 今日は俺がコーヒー淹れてやるから [そして、タオルをその顔に投げた]** (542) 2022/07/24(Sun) 22:04:44 |
【人】 調査員 ルヴァ― 1年後/告別式 ― [告別式の日は青々と晴れていた。 白い花に包まれた棺の中で眠るチャンドラは まだどこか眠っているようで――― けれど、痩せた頬と生気のない肌が もう目覚めることはないのだと 確かに告げているようだった。] ………、 [喪服で彼女の前に立った時、 もっと平常ではいられないと思っていた。 けれど、心はずいぶんと凪いでいて。 医療ポッドで眠る彼女の元に何度も通い 人知れず涙するのを繰り返すうち 自分なりに心の整理が進んでいたのだ、と思った。] (543) 2022/07/24(Sun) 22:44:36 |
【人】 調査員 ルヴァ……チャンドラ先生。 沢山、たくさんお世話になりました。 僕、…ちゃんと生きていきます。 あなたに助けてもらった命を。 [涙は流さず、凛と告げる。 眠る彼女にごめん、は もう数えきれないほど言ったから 最期に告げるのはこの言葉でありたかった。 死者をどう扱うかは、生者の権利。 そして与えられた生をどう使うかも。 きっと自分の知っている彼女なら 罪悪感に押し潰されてしまうことも 悲嘆にくれて留まり続けることも望まない。そう思う。] (544) 2022/07/24(Sun) 22:45:15 |
【人】 調査員 ルヴァ[告別式の頃には既に アンテナの解体作業は終わっている。>>429 つまりはゾズマとちゃんと会って話した後だったので、 泣きじゃくりながらチャンドラを見送る彼女>>426が 落ち着くまで肩を抱いて寄り添っていただろう。 と言っても思ったよりも気丈そうで安心したし、 あちこちあいさつ回りに行く彼女を 眺めながら久しい面々と会話をした。 久しいと言ってもちょくちょく会っている面子もいるので そこまで目新しさはなかったけれど――― 喪主をやっていたバーナードは 流石に少し沈んでいるように見えたが 今どこでどうしてるの、位は聞いたかも。 (ラサルハグたちの所に居ると知ったら なんで?????って言ったと思う) とはいえ今は喪に服す席だから。 積もる話はサダル幹事の同窓会に持ち越して、 皆とも別れたんだったかな。**] (546) 2022/07/24(Sun) 22:51:39 |
【人】 求職中 ダビー[その後] [あれから随分月日が経った。 スピカの療養施設退所>>442に合わせて新居(と言っても借家だったが)へと連れ出し、見切りで住み始めた。 スピカはしばらく療養のため仕事への復帰は難しそうだったが、自分はほどなく新しい仕事を始めた。 運送業務…と言っても中距離の航空機運送、毎日家に戻れる程度の業務。報酬は前職とは比べ物にならないほどだが、生活に困るものではなかった。 仕事を続けるうちに子供も生まれ、そちらに関わる時間も増えた。 そのうちには故郷の星へ向かいスピカに母と姉を紹介することもあり、自分達の家を持ったり、遅ればせながらどこかに旅行に行ったりしたかもしれない。 自分達の話が話題に上がることもなくなり、スピカはクルー達と関わりを保っていたかもしれないが、自分は日々の仕事も忙しく、連絡を取ることは減っていただろう。] (547) 2022/07/24(Sun) 22:59:15 |
【人】 休職中 スピカ【一年とちょっと後】 [協会のだだっ広い施設の奥に向かう。 再び宙に飛び立つ皆を見送ってから、一人でここに来た] [施設の奥まった場所、青々とした枯れぬことのない人造植物に囲まれた場所に、それはある] 彼らはここで地を踏む。 [碑に書かれた文字を声に出す。 ここに眠っているのは地を踏むことなく、宇宙で命を落とした者たちの名だ] [碑の裏に回り、ここ最近彫られたばかりの名を指でなぞる。 チャンドラ・L・セリーニ スピカはようやく猫が入った箱を開けることができた] [箱の中で眠っていたチャンドラは、最後に会ったあの日の姿ではなく、コールドスリープに向かうスピカを抱きしめてくれた時の姿で、苦しむことはなかったのだなと、何故か安堵したのだった] (548) 2022/07/24(Sun) 23:01:25 |
【人】 求職中 ダビー……そうか。ケートゥ、そんな事言ってたのか。 [いつものような仕事終わり、家に帰るとスピカから子供の話を聞かされる。 チャンドラのような宇宙船の船医になりたいという夢を語る子を、彼女の生まれ変わりだとは特に思ったりしていないけれど、ちらと見た彼女のドキュメンタリーは自分達が体験したものよりはずっと番組としてうまく編集されていて、綺麗なものに思えた。 彼女の顔も、思い出しても曖昧になってきているのを感じる。 それは残念でもあり、人が生きていくには必要なことなのだろうと思いもする。] (549) 2022/07/24(Sun) 23:05:10 |
【人】 求職中 ダビー…そうだ。今日は渡すものがある。 [スピカの前に差し出すのは、手のひらに乗るほどのサイズの小さな箱。 親指で開くと、中に銀色の小さな指輪が入っているのがわかるだろう] 俺の星にはこれを渡す風習はないし、したい事を聞かれたときにバーナードに一番に報告するというくらいだったからそのままになっていたが…どうもそれはあまり良くないらしい。 [職場の同僚にダメ出しされたことは伏せておいてもいいだろう。 ともかく、スピカの指を差し出してもらい、銀色の指輪をはめて] (550) 2022/07/24(Sun) 23:09:11 |
【人】 休職中 スピカ[碑の正面に戻り、どれを買えばいいのかわからないからと花屋の店員に聞いて買った、色とりどりのネリネの花束を供えた] 来たよ。 [皆と一緒に送ることができなかった、それを気に病んでいたのだが、ある日を境に別の考えを持つようになっていった。 浮かぶ言葉はただ一つ、皆と見送るときには絶対にかけられない言葉] おかえり、チャンドラ。 [彼女は帰って来たのだ。だからスピカはこの言葉をどうしても、チャンドラにかけたかった] [さようならでも、お疲れさまでもない、彼女の帰還を待ち望んだ者として、おかえり、と**] (551) 2022/07/24(Sun) 23:09:41 |
【人】 求職中 ダビースピカ。今日はスピカが俺の家族になりたいと言ってくれた日だ。 あの日からずっと、俺の家族になって、側にいてくれてありがとう。 …これからも良ければ…ずっと、一緒にいてほしい。 [そう告げて、やはりあの時からずっとそうであるように、気恥ずかしげに精一杯笑ってみせた**] (552) 2022/07/24(Sun) 23:12:14 |
スピカは、ダビー!ダビーに抱きついたの!!!! (a60) 2022/07/24(Sun) 23:15:11 |
【人】 調査員 ルヴァ― その後の話 ― [ルヴァ・ルロットに帰るべき故郷はない。 宇宙こそが自由の象徴であり、自分の生きる場所だった。 療養生活が終わり、すっかり日常に戻った後は また元通り調査員に復帰しようと考えていた。 別段調査員という職に拘るわけではないし また今回のような事故が起きたらと思わないでもないけれど そんなこと言ってたら何もできないしなあ、とも思う。 何だかんだこの生き方が性に合っている気もして。] (553) 2022/07/24(Sun) 23:17:00 |
【人】 調査員 ルヴァまあ〜〜〜……そうだなあ…… キミのママの言い分もわかるし 大事にしてあげてほしいけど。 ゾズマはやっぱりメカ触ってる時が 一番生き生きしてると思うからさ。 辞めたくないって言うなら応援するし。 [何も宇宙船の整備士、という形でなくても。 何かしら機械に携わる者として、 その情熱を生かしてほしい所。] まあ、どんな形にせよ、 キミの納得いくようにしなね。 [説得が必要そうなら加勢するし? なんて半分冗談めいた口調で告げた後 改まって彼女に向き合って。] (555) 2022/07/24(Sun) 23:19:31 |
【人】 船医 チャンドラ[それと共に、不要となるものもある] [臓器の為に売られてゆく者、移植の為だけに生み出されたクローンや、便利に利用されていた実験体など。 そういった者達の受け入れには、大きくなりゆく研究所から独立した保護施設が充てられた] [その頃から、それ以前にあった制限の緩和>>266と併せ、彼等の人権について取り沙汰され。 中には人間と同じように扱うべきだという声も上がり始めている] [これから5年、10年、或いはもっと先―― いつの日にか、彼等が人と同じように暮らせる日が来るのかもしれない] [生きていさえすれば、『希望』はあるのだから――*] (558) 2022/07/24(Sun) 23:22:22 |
【人】 調査員 ルヴァね、ゾズマ。 今度キミのママに会わせてよ。 一度ちゃんと挨拶しとこっかなって。いい機会だしさ。 [話を聞いている限り、 なかなか肝の据わった女性のようだから 不義理はしないぞというケジメの意味でも。 それに。 あの夢の中でラサルハグとした話を 僕は最近、よく思い出すんだ。>>3:+74 ちゃんと結ばれて、家族になって、法的に認めてもらうこと。 僕にはいまいちまだ馴染みがないものだけれど キミが語る両親の話を聞いていたら そういうのも悪くないなって思うんだ。 キミを支え、頼り、愛し合ってともに生きていくこと。 これからもそう在りたい。その決意の証明として。] (559) 2022/07/24(Sun) 23:22:54 |
【人】 機関士長 ラサルハグ【また宇宙に行く日】 [短期の惑星探査の任務のメカニックとして、再び、船に乗り込む日がきた。 久しぶりということもあり、すぐに戻る任務ではあるけれど、 といっても、思えば長かった。 自分の脚といえど、神経がつなげる手術は長時間だったし、 それからのリハビリの日々と、またトレーニングの日々。 ヒロミやバーナードの助けがあり、やっと立てるようになり、歩けるようになり、 そして、また宇宙に帰れるまでとなったと感じる。 その間にまたいろんなことが起きていた。 ダビーとスピカは結婚し、子供がいる。 ルヴァとゾズマもおそらくは。ゾズマはまたメカニックとして頑張ってほしいので、 チャンドラの葬儀の時にもらった手紙の返事は返しておいただろう。 何かあれば相談してくれと。 ゲイザーはどうやら小さな菓子屋をはじめたらしい。アマランサスの実からのクッキーが好評とのこと。 サダル先生ものんびりカウンセラーの仕事は続けているようにきいた] さて、行くか。 [そして、港から橋を渡り向かう船。 びっくりするくらい、あの船とよく似た構造だから、 我が家のように歩き、たどり着く先] (560) 2022/07/24(Sun) 23:48:59 |
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