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【神】 Il Ritorno di Ulisse ペネロペ>>G7 ルチアーノ 「我らがカポ殿はずいぶん財布の紐が緩かったらしいな? ま、元からカネだのブツだのばら撒くたちではあったか」 もちろんそれは支出であって、浪費ではなかった。 今回のこれも同じ事だろう。 それを受けて周りがどう動くかも含め、 何もかもが計算ずくで行われたこと。 「せっかくの祭りだってんならついでに祝日にして 俺達にも休みをくれてやって欲しいもんだね」 「あーあ。あーあーあー。どーすんだよこれ。 人的被害も物的被害もカチコミにしちゃお遊びみたいなモン。 その『お遊び』で俺達の仕事だけが増えたじゃんか」 件の『襲撃』で死者は出ていない。 損失だって金や時間でじゅうぶんにフォローができる範疇で。 下手人も収束していく先はアレッサンドロ・ルカーニアだけ。 それが全てを物語っている。 「お互い忙しくなるなあ、ルーカス?」 アジトに吹き込む秋風と共に。猫被りはやって来るや否や、 大袈裟にやれやれと両手をあげるポーズを取り、 溜息混じりの言葉を投げ掛けた。 (G8) 2023/10/01(Sun) 2:40:26 |
【独】 歌うのが怖くとも カンターミネ「5番から8番。23から26、拡大。……違うな」「12番のこれは?」「違う、下水はとっくに抜けてるはずだ」「車の事故の報告」「車種は?」「俺が分かると思うか?」「何の為に情報チームやってんだバカ」「『先生』がキレる前に出せ」「……出たぞ、フィアット500」「渋いな……」「待て、フィアット?」「どうした」「確か黒眼鏡の旦那の店から出てった車の映像、監視カメラに」「回せ」「赤の……フィアット500!」「先生の虫を辿れ!」「45ブロックの監視カメラに該当アリ!」「時系列順に!」「中心部から随分離れてくぞ」「……もしかして、"港"じゃないか?」「一番近くのドローン回せ!」「2番ドローンが向かってる」「映ったか?」「いや……」「待った、橋の辺りに確か虫置いてたろ」「それだ、映像は?」「――通ってる!」「来たぞ!時間は!?」「12分前!」「このコースなら港湾倉庫だ!」「空撮は?」「待ってろ……あ!」「居たか!?」「居た居た居た!赤のフィアット500!」「旦那の港湾倉庫かよ!」「あそこかあ」「そりゃ見つからんわ……」「感心してないで連絡しろ!他の奴より先に先生を送り届けるんだ!」「了解」「あいあい」 情報チームの精鋭が目標を捉えるまでかかった時間は、 他の連中に比べれば随分短かった。 その理由があるとすれば、普段から『先生』が、 あちこちにばら撒いていた虫のおかげだろう。 今回の法案の事件のような、特定個人の会話を聞いたり ある一定の人間だけを追い続けるというような 局地的な精度を要する物には効果が薄い一方で。 『何が、どこを、いつ通過したか?』 そういったものの情報に関しては、カンターミネの虫と、 情報チームの連携による『網』は無類の強さを発揮した。 秘匿回線によるメッセージが届けられ、 カンターミネの目に入るまで数秒。 「――来たか。」 少しの不安と、覚悟を混ぜた呟きが小さく漏れる。 気が付けば外は夕陽で赤く染まっている。 顔に不安が出ないよう"王子様"の顔をしてから、 彼女を出来るかぎり優しく起こす。 そうしておよそ15分のラグを経て、 カンターミネとダニエラを乗せた車が、港へと走り出した。 (-372) 2023/10/01(Sun) 2:45:20 |
【神】 口に金貨を ルチアーノ>>G8 ペネロペ 「忙しくなるなあ、ペネロペ。 ……今回の件で俺の取引相手も半壊なんだが? ヴィットーレの店も建て直さなきゃならんし」 同期の声に体ごと視線を向ける、ここ最近は長く見慣れたはずのその容姿がなんだか久し振りに見えた。 それ程までに駆け回っているし、話題の男の残した仕事の後始末が何処をとっても忙しいのだ。 「全く、散歩する隙も無くなりそうだ」 「そうだお前さんは何か報告はあるか? 俺は言っておこうかと思うことが一応ある」 (G9) 2023/10/01(Sun) 2:55:55 |
【神】 Il Ritorno di Ulisse ペネロペ>>G9 ルチアーノ 「ったく、この件が片付いたら ぜって〜〜休みもぎ取るって決めてたのによ」 法案が撤廃されれば終わり、などという 簡単な話ではないとはわかってはいたが。 それに輪をかけて叶わぬ願いになってしまったらしい。 少なくとも、当面は。 「そりゃ大変だ。デートの時間は取れそうか?」 「俺は暫く纏まった時間は取れないだろうな。 文句と取り立てはあのクソ親父に言ってくれや」 口ではクソ親父、とは言えど。 子どもの頃から面倒を見てもらっていたようなものだ。 少なからず恩はあるし、慕ってもいる。 それが姿を眩ませ、剰え今や『報復』の対象となっている事は 何だかんだと身内に甘い男にとって気の重い事だった。 「言う事と言えばそれくらいだ。そっちは?」 (G10) 2023/10/01(Sun) 3:32:01 |
【秘】 きみのとなり リヴィオ → 月桂樹の花 ニコロ「あぁ、…約束、してくれ」 君には、ちゃんと"幸せになって欲しい"。 そしてこれは、身勝手な願いなんだろうと思う。 しかし、だとして。願わずにはいられない。 これは、仕方のないことだった。 だから、それでいい、そういうように頷いて。 「……君、言っても言わなくても同じじゃないか? 約束してくれと言ったところだろう?」 「精々その時の俺に祈っててくれ。 その約束はあまり、したくない」 君と俺は"対等"で、主と犬じゃあない。 気まぐれに消えた友人か知人か。 それを想って探すなど、やめておいた方がいい。 一方的に、身勝手に。 狡い言葉を並べ続けて、君を縛り付けるやつなんだ。 だけどそれが俺で、この約束を後悔することは一生、ない。 それでもきっとその時、俺は君のことを 考えずにはいられないのだろうなと──そう思うのだ。 「………さて、そろそろ俺は行くよ。 伝えたいことは伝えられた」 (-373) 2023/10/01(Sun) 4:12:10 |
【神】 口に金貨を ルチアーノ>>G10 ペネロペ 「当分それもお預けになるだろうな。 どうしても耐えきれなかったら車出してくれ。 お前も気晴らしに色男の子守唄が聞きたくなったらすぐに言え。 今ほしいのは時間だね、なにもしなくても良い時間だ」 いつものように怠惰を望む。 ドライブもすぐには叶えられないことだとはわかって貴方には甘えている。 それでも随分前よりはあっさりとした声で、そこに執着の色はなかった。 「俺はなあ、ファヴィオを撃ってきた。 あと幼馴染が年単位で病院の厄介になるほどの重症。 それと……ああ、イレネオが死んでたから捨ててきた。 牢屋で過剰な暴行騒ぎがあったの知っとるだろ、被害被ってるのはヴィットーレとカンターミネだけだが報告いると思うかあ?」 (G11) 2023/10/01(Sun) 4:45:49 |
【神】 Il Ritorno di Ulisse ペネロペ>>G11 ルチアーノ 「しょうがねえな。全部投げ出したくなった時は 手の掛かるamoreを連れ去ってやるとするか。 何ならロメオの奴も巻き添えにしてやろう 道連れは多いほど良いからな、抜け出して酒でも飲むか」 どうせ怠惰を望むだけで怠惰に過ごしたいわけではないくせに。 そんなふうに内心勝手な事を思いながら、 シレッと本人の居ない所で勝手に巻き添えを増やした。 「うへえ、まーだやってたのかよあいつ。しかも死んだのか。 要らん要らん、どうせろくでもない事しかやってないだろ もう死んだ奴のやった事なんざ知っても何にもならん」 「あいつもなんであんなになっちまったかね」 イレネオという男とは墓地で出会してからそれっきり。 以降会う事も無かったのは幸運なのか、 或いは聞かずじまいに終わるという不運なのか。 今となっては答えのないことだ。 「ま、荒療治だが結果的には良かったんじゃねえの。 これでお前も漸く前だけ見て生きられるってわけだ」 前だけを見るしかないとも言うが。 あなたにファヴィオ・ビアンコという上司が居た事を知っている。 それを撃ったという事は、 そこに何某かの過去の決別があったのも確かだろうから。 (G12) 2023/10/01(Sun) 5:13:13 |
【独】 摘まれた花 ダニエラ>>-372 目覚めてから車に揺られている間も、女はあなたの傍を離れようとしなかった。 どうして港なんだろう。 アジトに置き去りにした荷物のことを思うと、余計な期待をしないでもなかった。 しかし、まあきっと違うだろうなとどこかでそう感じてもいる。だからこれは余計な期待なのだ。 一度の仮眠を経て頭はだいぶスッキリとしている。 スッキリとしたからこそ、これからの意味を考え始めていた。 こんなに慌てなくたって、案外何とかなると思い始めている。 檻の中のあの人に、自分が向けた言葉も思い出していた。 …あの人はあの時、本当に正直だったんだなと今なら思える。 それがこんなに早く来たことに勝手に傷ついているのはきっと自分が悪いと、納得するだけの準備すら整っていた。 多分、このときには感じていた『不安』の意味が変わっていたのだと思う。 ずっとずっと、浮かぶのは、こんなことしてどうするんだろうって逃げるみたいな思考だったから。 …それが逃げだと自覚もある分、やっぱり損をしているのかもしれないけど。 「…。」 女は静かだった。目的地に着くまで、本当に静かなものだった。 それでいてずっと、意味を考えていた。 そんなものなく博打に出たってよかったけれど、博打には最近負けたばかりだから尚更に。 聞きたいことじゃなくて、████ことにしてしまったらどうだろう。 それに至ったのはきっと、車が目的地に到着する、本当にぎりぎりのことだった。 (-374) 2023/10/01(Sun) 5:48:38 |
【神】 口に金貨を ルチアーノ>>G12 ペネロペ 「酒の金は出してやる、お、ロメオか。いいんじゃないか。 あいつもこれを機にちっとは昇格するかね……? 俺が上がりすぎそうになったら推薦して仕事増やしてやる。 同じぐらいに居て貰わんと困るんだ」 貴方に対しては煽りになるような昇格の軽口がロメオに対しては真面目に考えているような口調で振舞う。 此方の話題の彼は自分達とは違い昇進を望んでいるのかもしれないし、結局はこの男の都合かもしれない。 「さあなあ、イレネオという男は存外真面目だったぞ。 俺は嫌いじゃない価値観をしていた。 ただそれが大衆受けするようなもんじゃなかったのと、 童貞らしすぎたのが問題かねえ!」 少々雑に評価しているのは私怨が混ざった結果。 真実なんて知りたいと思わなかったが、それでも、必要になったら思い出してやろうと思う。 そんな奴に幼馴染が心奪われてるなんて思いたくもなかったし言いふらす気にもなれなかったが。 ▼ (G13) 2023/10/01(Sun) 5:52:19 |
【神】 口に金貨を ルチアーノ>>G13 「あいつはなあ……一緒に来るかと言われて、断った。 そして殺し損ねた、次はロメオと仕留めてくる。 外国混じりの挨拶をしやがって……、また明後日なだとよ」 明後日、そんな日は来ない癖に。 自分たちにとって五年など一瞬だったことのように彼は語っていたような気もする。 嫌な話である、早く静かに墓の下に入っていて欲しいと願うその表情は何処となく穏やかだ。 「まあ確かに。 撃てると思った理由はまた別なんだが。 お陰で頭もすっきりで変なもんは見えんくなった。 やっぱり面倒事を断つにはぶっぱなすしかないのかね?」 恐ろしく冷静にそこに愛憎なくとも淡々と告げる姿は珍しいものかもしれない。 件のファヴィオに対しても、ついでに言えば黒眼鏡に対しても既に心から完全な死を願ってお悔やみ申し上げようとしている。 尤も端から失うことが苦手だっただけで、 死によって与えられるものがあると知ってしまえば その価値観は上書きされるぐらいに素直な人間であったのだ。 誰かに似ているとはあまり自分からは考えたくなかったが。 結局は自分の手で始末がつけれてしまえばそれですっきりするような性格だったのかもしれない。 (G14) 2023/10/01(Sun) 5:56:07 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → L’ancora ロメオ「今度からはいくらでも聞かせやれるぞ。 俺は酔ったら口が滑る」 別件でもあまり見せてなかったか、と酒飲みをする知人達を思い出す。 確かに自分は年上とばかり飲んでいた気がするし、目の前の同僚には少し格好つけばかりしていた。 あまり隠しているつもりはなかったのだが。一応は。 一瞬だけ目を離しかけた時に貴方の瞳から零れる涙に視線が奪われてぎょっとする。 何度目だろう、このシチュエーションは。 ここ数日で何人の人間を泣かせてしまったのか片手ほど行きそうなことに、自分でも困惑してしまう。 そこまで女性を泣かせた記憶もないのだ、ましてや成人男性も。 「え。だ、大丈夫か……? だってお前が変なことを言うから。 こんなに最高の男がゴミ畜生ならこの世界に居る人間の大半は一体何なんだ。 チリかカスとでも名乗らせればいいのか、結構な言い分だぞ。 自己評価を少しは改めろ、直ぐに変えろとは言わんがお前ならできるだろう?」 #ReFantasma (-375) 2023/10/01(Sun) 6:21:58 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → L’ancora ロメオ「たとえそこにあった人生が薄汚れたモンでも 俺が磨いて誰にでも認められる存在にしてやる」 掴まれた右手が撫でられ、弄られ、包まれて、まるで大事なもののように扱われる。 なんだか不思議な既視感を感じるのだが、貴方のその表情で憂いはないし、余計なことは消え去った。 そのまま少しだけ体を傾けて、その指先に口づけを落としてやる。 「俺の隣に居るのならそれぐらい、な」 いかないで、傍にいて、置いていかないで。 あの日に言った弱音がまた頭に過って、今は格好つかないと飲み込んで笑い返す。 不安に思っていたことが同じだったとわかってしまえば、もう全て受け入れてしまえばいい。 そして、いつかのその日は――何処までも一緒に連れて行ってしまおうと一人で決めて。 答えは分かり切っているのに、断らないで欲しいと願うのだ。 きっと誰かには文句は言われるだろうが、仕方ない。 みんな俺に気に入られる程価値があるのが悪いのだ。 #ReFantasma (-376) 2023/10/01(Sun) 6:22:28 |
【鳴】 L’ancora ロメオ「お前の事こっちのゴタゴタに巻き込みたくないし」 「どうせだったら マトモ な部分だけ見て欲しくて……」貴方をそういう世界に触れさせたくはなかった。 無かったけれど、貴方がそうやって許すから、 正直に言おうと思えたのだ。 それでもこれは言い辛そうにしていたけれど。 「え」 ──伸ばされる両腕に、ぽんと抱き寄せられる。 抱えられた頭を、自分よりも小さな手が撫でている。 「あ」「…………」「フ、フレッド」 「オレ、」 これは途端に驚いた顔をして、何回も瞬きをし。 ふと弱弱しく名前を呼んで、貴方の胸に頭を押し付ける。 弟に甘えるなんて思っても無かったけれど。 「……きらわれなくてよかった」「安心した……」 「…………あは。オレもお前の事は好きだよ」 今は抱き締め返すよりも、この時間を享受していたかった。 穏やかに目を閉じて、ぽつりと「よかった」とまた言って。 「お前……これからどーすんの」 「他に手伝う事無いの。オレやるから……」 (=13) 2023/10/01(Sun) 6:30:29 |
【神】 Il Ritorno di Ulisse ペネロペ>>G13 >>G14 ルチアーノ 「仕事一筋にはなりたくねえもんだなあ。 真面目が行き過ぎるとどうも融通が利かなくなるらしい」 どうもずいぶん真面目に考えているらしい話に交え、 やや私怨の混ざった評価を笑い飛ばした。 良くも悪くも死者を引き摺るつもりも、 死者を嘲笑う趣味も無いが。 反面教師にくらいはしてもいいだろう。 この首のケロイドが消えるまでは。 「仕留め損ねたねえ、そりゃ残念だ。 次はちゃあんと頭を二回ブチ抜いてやれよ。 この世の面倒事なんざ金と弾丸で9割片が付く」 「殺ったら教えろよ。覚えてたら祝ってやる」 物騒な提案に物騒なお祝いを添えて。 淡々とした言葉には内心珍しいなと思いながら、 物騒な発言とのちぐはぐさにチェシアの猫のように笑った。 きっと互いに人間は案外あっさりと死ぬものだと知っている。 そして、それが小憎たらしい人間であるほど、 死に際はあっけないものだとも。 (G15) 2023/10/01(Sun) 6:32:44 |
【魂】 今更、首輪を外されても エルヴィーノ>>_8 >>_9 「そう……だね」 僕は 確かに運がいい 。ルチアーノが居なければ、遺品の一つ手に入らなかった。 死体は決して見つからず、最後は行方不明で処理されてしまうかもしれない。 死亡したという事実が知れただけ、僕にとってはきっと幸せなことなのだ。 「うん……。 きっと間違えたんだ……」 じゃなきゃ、あの真面目な、真っ直ぐな人がこんな事になるわけがない。 心に巣食う自責の念はまだ小さい。 それはこうして抱きしめてくれる腕が、優しい声が食い止めてくれているかのようで、心地いい。 がらがらと心が崩れていく。 僕が。 僕が何も見ず、あなたの声だけ聞いてあなたの傍にある事が、あなたの幸だというのなら。 僕はもう、きっと他の誰かを見ることはない。 信じるものは、ひとつだけ。 「ルチア……。ルチア……! ごめんね。でも、ルチアが外に出れて、本当によかった……」 だからずっと、強く抱いていて。 僕はもう絶対、その心ごと、キミの傍を離れないから。 (_10) 2023/10/01(Sun) 6:54:49 |
【秘】 路地の花 フィオレ → 夜明の先へ ニーノ「……フレッドは自分探しをするんでしょ? だったら、やっぱり姉さんは止められないよ」 「寂しいけど、ずっと会えないわけじゃないのよね?」 指先に触れるあなたの体温に、ずっと触れていられたらななんて思うのだけど。 無理をしているわけではない。 今まで気軽に会えた分、会えない時間が増えるのは心配になるというだけで。 「………何で」 知ってるの、と。 あなたの口から出てくるとは思わなかった"マフィア"の言葉に目を見開いて。 驚愕したような様子で、あなたの顔を見ている。 知らないでいてほしかった、なんて言えるわけもなくて。 そのまま目を伏せてしまうのだけど。 うん、と相槌を打った。 自分だって、出来れば殺しはしたくない。 そう思っていたのだけれど。でも、どうしたってマフィアである以上は。 避けては通れない。もう、引き返せない。 胸がぎゅうと痛むのだ。 ▽ (-377) 2023/10/01(Sun) 8:57:33 |
【秘】 路地の花 フィオレ → 夜明の先へ ニーノ「……フレッド」 けれど、あなたがくれたのは否定の言葉ではない。 手に伝わる温もりも、真っ直ぐな言葉も。 自分がいつもそうするみたいに、寄り添うようなそれで。 「そんなこと言われたら……甘えちゃうよ、姉さん」 「忘れない、忘れるわけない。姉さんも、フレッドのこと大好きだもの」 「嫌いにならないでくれて、ありがとう」 だいすきなあなたが、自分を大好きなままでいてくれるというなら。 これ以上のことはない。 その顔は、眉こそ下がってはいるものの 笑みを浮かべていて。 胸を張れるような立場じゃなくてごめんね。 そんな言葉は飲み込まれた。 あなたはそんな言葉を望んでいないとわかっているから。 (-378) 2023/10/01(Sun) 8:58:57 |
【人】 Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ>>113 懐からナイフの一本を取り出す。手入れはされているが汚れているそれは、 おそらく手癖も悪く先の町工場内部から拾ってきたものなんだろう。 ひしゃげた葉巻を乱暴にカットすると、煙草のボタンを押して起動させる。 幸いシガーソケットに歪みは無かった。ライターを取り出して赤熱面に押し当てるも、 直火でないから火がついて炙られるまでにはさんざ苦労をした。 「……初めはお前は随分大人びちまったから、裏切られたと知ったら切り捨てて、 あとはそれきり、自分の部下かなにかにでも始末を任せるものかと思っていたよ」 保管状況も火付けも何もかも悪い葉巻は、パルタガスの良さを台無しにしている。 しばし車に体重を預けながら、夕日が沈んでいくのを見ていた。 こんなところまで追ってくるのがいたとして、アジトやあちこちが散々な今、 痕跡を追ってやってくるとしたって日が昇ってからだろう――唯唯彼を追うふたりは別として。 「何かに付けて突っかかってくるようなガキの時分じゃなきゃ、 自分の手でケリつけようなんざしないだろうと思っていた」 「けれど、お前は追ってきた」 喉の奥から喘鳴混じりの笑い声を吐く。 車を挟んで並ぶ男の顔を見て、目を細めて笑っていた。 遠いものになってしまった景色を眺めるような、懐かしむような目。 ころりと首を傾げて、可笑しそうに、いつかのように頬を緩める。 「 自分を殺す凶器を選べるなら、お前がいいとずっと思っていたよ 」#BlackAndWhiteMovie (114) 2023/10/01(Sun) 9:11:51 |
【人】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡>>114 「そりゃこっちの台詞だ、あんたが大人になっちまう日が来るとは思っちゃいなかった」 車に体重を預けながら、悪餓鬼のような笑みを浮かべる。 怒りと苛立ち、嘲りと――仲間意識。 そういったものがないまぜになって、ぐつぐつと、 耐えがたいはずの悪臭を放ち煮えたぎるような凶相。 なのにそれは、どこまでいっても笑みと表現されるものだ。 「──俺だってガキじゃあいられねえ。ただ、どーでもよくなる時だってある」 はるか遠くを過ぎゆくプレジャーボートのエンジン音が、波を伝い足元にまで響いてくる。 そうして、あなたの漏らした言葉には、一瞬きょとん、と目を丸くして。 「──ハ」 「気色悪いこといってんじゃねえよ」 ははは、ははは、と。抑えきれなくなったような哄笑が、途切れ途切れに漏れ出して。 「──オッサン、コラ。ノンビリ吸ってんじゃねえぞ」 かつては大人と子供ほどに離れていた年齢は、今やすっかりと希釈された。 それなのに、その口調は悪態をつく子供のようだ。 ポケットに片手を突っ込んだまま、車に手をついてゆっくりと回り込む。 おぼつかなかったはずの足取りは、舗装された足元を引きちぎるかのように重く、強い。 ぴりぴりと、引き絞られたか弓矢のように、それは放たれる時を待っている。 #BlackAndWhiteMovie (115) 2023/10/01(Sun) 9:41:54 |
【人】 Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ>>115 「俺は変わっちゃいねえよ。周りが自分よりガキばっかりになっただけだ。 だから面倒を見てやらなきゃいけない数が増えた、それだけの違いしかない」 自分が、自分たちが若い頃も、自分より年少の人間は面倒を見てやった筈だ。 その数が増えただけ。目下のように振る舞う機会なぞありはしない。 それでも、根底にあるものは変わらないままだ。 哄笑を聞いて、ひとたび眉を顰めて。それから、また仕方なさそうに口角を吊り上げた。 次第にそれは同じような高笑いに変わって、港にどうしようもない馬鹿笑いが響いた。 笑えば傷がずきりと痛む。体の震えに伴って新しく血が吹き出した。 そんな無粋の一つ一つが、奇妙な高揚の後ろに押し流されていく。 頭の中が晴れていくような清々しい興奮が、片方だけの瞳を爛々と輝かせた。 「――葉巻はゆっくり吸うもんだろ、小僧。 ……だから此れはお前が台無しにしたことにしてやる」 親指が下から葉巻の胴を弾いた。燻った珈琲やナッツのような香りが舞う。 手元から離れた一本がくるくると回転しながら地面に落ちていき―― トッ、と小さな音を立てて路面にぶつかる。 それを合図とするように、車に体重を殆ど預けて予備動作を消して、 右足を大きく振り上げて蹴り上げた。距離が足りれば体の中央、 そうでなくとも当たれば顎は刈れる。 #BlackAndWhiteMovie (116) 2023/10/01(Sun) 10:14:07 |
【人】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡>>116 「ガキみてえなこと 言ってんじゃ ね ぇえぇえええエエエエエよッ!!!」 葉巻が撃鉄のように落ちて、 そらすら待たずにばねは動いた。 ほぼノーモーションで放たれた蹴りを避けられたのは、同時に動き出していたからにすぎない。 だ、だん、と鋼板をへこませる音と同時に、アレッサンドロの長身が車の天板よりも高く飛び上がる。 大きく孤を描き放たれる、横殴りの足刀。 ──だが本命は、その陰。 先ほどまでポケットに突っ込まれていた拳が緩く握りしめられて、空中に身を躍らせた直後── 蹴りとワンテンポ遅れただけの奇妙なタイミング、そして間合いで突き出される。 当たるはずも牽制になるはずもない、ばたつかせただけのような手。それがぱ、と開かれて、 ばさり 、と。握り込まれていた粉末が、 掠れた音とともにぶちまけられる。 派手な蹴撃に紛れて放たれるそれは、 アルミ片を削った金属の欠片。 粘膜を容易く傷つける無数の礫が、潮風に逆巻きながら、顔面を狙ってぶちまけられた。 #BlackAndWhiteMovie (117) 2023/10/01(Sun) 10:25:28 |
【人】 Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ>>117 躱された脚を引く力に任せて上体を引く。 大仰な動きは、それが本命でないのも相俟って適切な間合いで避けられた。 問題はその次だ。 「っ、」 片目を庇うように瞑る。視界は一時的に制限されはしたものの、恒久的にそうなるよりはいい。 避けようもない攻撃は顔面に降り注ぎ、交通事故にでもあったように傷に金属片が食い込んだ。 見えないものを、やり過ごしきったと判断するのは難しい。 目を開くことが出来るのはもう一手先だ、故に。 見えずとも当たることが予測できるものを狙わなければならない。 流れるように殴りつけにかかったのは足刀、過ぎ去った右足の膝裏だ。 勢い、空中から地面に引きずり下ろすようにしながら自身も背中を丸め、 頭上からの奇襲が追撃されることを防いだ。 握り込めるならばそのまま膝裏の布を引っ掴めたならいい。 そうしたなら落下する体の支点は言いようもなくめちゃくちゃになる。 #BlackAndWhiteMovie (118) 2023/10/01(Sun) 10:39:48 |
【秘】 月桂樹の花 ニコロ → きみのとなり リヴィオ「…同じじゃねえよ。」 唇を少し尖らせて。 ほんのちょっぴり、拗ねた顔。 「分かってて見送るのと 知らないうちに居なくなってるんじゃ、全然違う。 好きな奴が急に居なくなったら、心配する。それだけだ。」 そもそも、貴方が気づいたら居なくなるなんて 考えたくも無いのが本音だ。 それくらいには貴方の事を好いている。 守りたくて、笑っていて欲しくて、自分は此処に居ていいと そう思って欲しいと願っている。 だからこれは、我が侭。 (-379) 2023/10/01(Sun) 10:59:18 |
【人】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡>>118 爪先が何かを掠めて、あるいはまったく空振りをして、 けれどそんなものはどうでもいいと引き戻す。 格闘戦において、自らの肉体を伸ばしたまんま相手の射程内に置いておくほど愚かしいことはない。 ──そんなものを分かっているとばかり、即座に叩きつけられた拳と脚刀がぶつかりあう。 「っ、っだ、」 膝裏を鉤のようにひっかける指を上から押しつぶすように、 器用に全身のばねをたわませてもう片方の足を叩きつける。 技術というにはあまりにも稚拙で力任せなそれが、 もつれあうようにして互いの手足をはじき合った。 人間が滞空していられる時間は、そう長くはない。 アレッサンドロが辛うじて両足を地面に着地した時には、 そんな一瞬の攻防を経て、互いが姿勢を崩したままだった。 否。 僅かに、無茶な動きをしたアレッサンドロの方が姿勢が悪い。 それを補うように、咄嗟に距離を埋めるように左手の拳が突き出される。 ──ちか、と。 金属の輝き。 握り締めた拳の指と指の隙間、 そこに握り込むように金属片。 拳から突き出す先端は猛獣の爪のように、防御すれば肉を裂き骨を打つ。 距離と間隙を埋めるように鋭く二度、三度、狙うは当然顔面、あるいは傷を負った胸元や肩口。 #BlackAndWhiteMovie (119) 2023/10/01(Sun) 11:03:51 |
【秘】 月桂樹の花 ニコロ → きみのとなり リヴィオ「怪我が治ったら、酒でも飲もうぜ。 ルチアーノを誘っても良い。」 貴方が去るのならば 男は見送る。次の約束を取り付けながら。 「その時には、色々片付けておくからさ。」 警察は辞めないだろう。 まだやり残したことが多くあるし、何より―― そうしろと、背を押されたような気がしたから。 (-380) 2023/10/01(Sun) 11:07:39 |
【人】 Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ>>119 引っ掴んで頭を地面に叩きつけさせてやるには至らず、指はぱっと離される。 その代わり、指が潰れるほどではなかったのが幸いだ。 相手の不利を狙って畳み掛けるのが承知の人間が着地を見守っているか。 そんな筈はない。地面に落ちた雁を狙わない銃口は無い。 追う脚が一歩を大きく切り詰める。 互いに考えることは同じらしかった。 息をする間も与えまいと、両拳を使って顎下から肩、肋の合わせ、 そうでなければそれこそ向かってくる拳に平然と合わせて殴打を叩き込む。 それでもどうしたって肩の潰れた左腕は動きも鈍く痛みも走る。 右拳のように、相手の卑怯をお構い無しに血を上げながら迎え打つなんてのは出来ない。 そうしている間にも相手の左拳に挟んだ鈍い刃は己の拳や顔面を裂いていた。 新しく出来た傷口にまで、先に降り注がれたアルミ片が皮膚から剥がれ落ちて潜り込む。 いずれは勢いを失わざるを得ないのは必至だった。 だからそれを補うものが必要だ。 シガーカッター代わりのナイフはまだ左手にぶら下げられている。 勢いの無い左拳は代わりに、右拳に紛れて相手の上体を裂きに掛かる。 別段手段を選ばないのはそちらばかりでもない。 そして連撃の迫間、左手が引きに入った瞬間を見計らうと、 点対称の右足は視界の外より、相手の左足の肘を踏み付けにするように蹴り込んだ。 次に何が来るか予測するように、僅かに長身の背が曲がる。 #BlackAndWhiteMovie (120) 2023/10/01(Sun) 11:23:16 |
【秘】 夜明の先へ ニーノ → きみのとなり リヴィオどうやら貴方も同じように街を出るつもりらしい。 そんなところまでお揃いなんだなあって不思議な心地に微笑んでいたのだが。 躊躇いがちに何か言葉を続けようとしているの気付けば、なあにとでも言うみたいにその瞳を覗き込む。 なんでも言ってくれて構わない。 なんだって受け止めるつもりだ。 どんな言葉だって、隠さずにおしえて。 そう願い、続きを待っていた……ら。 「────……、……」 刹那、双眸がまあるく見開かれる。 何も言えず、貴方を見つめたまま、固まってしまって。 ……思い出し、過る。 家を出たあの瞬間、どこまでも続く星空に。 途方のない孤独を感じたことを、寂しさを。 それでもおまじないを繰り返し、歩こうとしたことを。 提案が嫌だったわけじゃない。 むしろとてもうれしくて、堪らなくて、だからこそ。 ──『大丈夫』がほどけてゆく。 あの夜みたいに一粒、また涙が落ちていった。 [1/2] (-381) 2023/10/01(Sun) 11:25:18 |
【秘】 夜明の先へ ニーノ → きみのとなり リヴィオ「…………く、らす」 夜空を覆う厚い雲はもうないのに、 ぽたぽたと零れ行くそれは通り雨のよう。 「……せんぱいと、暮らし、たい」 感情が形となり溢れてからようやくに気付く。 本当はずっと、ずっと、苦しくて哀しかったんだ。 「オレ、……オレ、ほんとは、」 おまじないが解けた先にあるのはちっぽけな自分。 誰かの人生をなぞるために置き去りにされた、小さなこども。 そのありのままを隠さずに貴方に見せながら。 「………………ひとり、さみしくて、やだ……」 縋る先をようやくに見つけた指先は、 貴方の服の裾を強く握っていた。 [2/2] (-382) 2023/10/01(Sun) 11:27:01 |
ニーノは、あなたと同じ空を見続けていたい。 (a38) 2023/10/01(Sun) 11:27:22 |
ニーノは、だから、「いっしょにいて」とねだった。 (a39) 2023/10/01(Sun) 11:27:27 |
【人】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡>>120 極至近距離での白兵戦で、完全に攻撃を避けることなど不可能だ。 姿勢を僅かに整えるまでの数瞬に、 殴打は筋肉と骨で、刃は服の表面で受ける。 みしりという音が体内で響いて、足先が思わず溢れ、 それでも牽制を幾度と放ち、 そのまま押し込まれることを防ぎ切る。 体躯では負けている。 体重というものは格闘戦において絶対だ。 それでも、正面からぶつかり合う。僅かでも腕のうちに潜り込むように身をかがめて、 「っ、づ」 抉りこむような蹴りが、突然そこに現れたかのように肉を打つ。 ばぢん、という音を遠くに聞きながら僅かに体を引いて、 じんと痺れる足をかばうよう片足でかるくステップを踏みながら、ノックするような軽く早い拳を叩きつける。 体力と血液を絞り出すかのように打ち、打たれ、削り合う。 喧嘩でも殺し合いでもある、それはひどく原始的な闘争だった。。 #BlackAndWhiteMovie (121) 2023/10/01(Sun) 11:39:49 |
【秘】 L’ancora ロメオ → 口に金貨を ルチアーノ「へ。なんだそれ、酔ったあんたに褒めちぎられるって? それも面白いかもなぁ……」 今まで生きていた分よりお釣りが出るくらいに、 これからも貴方に言葉を貰うのだろうか。 それもそれでむず痒い話だった。 粒になって転がる涙はすぐに止まって、 自分でも不思議な気持ちになった。 目尻を手で拭って、スン、と鼻を鳴らす。 「や……これ嬉し泣きなんで。オレ泣けたんすね、初めて知った。 俺がゴミなのは……多分元からだし……」 「直せって言われるなら直します。うん」 「あんたが磨いてくれるなら、もうゴミじゃないな」 指先に落ちる口付けを見て、口の端をきゅっと上げて笑む。 気持ちが落ち着けば言葉は素直に受け止められるようになっていた。それでもまだ、不思議な気持ちはあるけれど。 嬉しかった。なんだか自分の今までが、報われてしまった気分だ。 自分は人畜生だけれど、大事にしてくれる人がいるらしい。 それなら一層報いたい。応えたい。 「……ね、ルチアーノさん」 ▷ #ReFantasma (-383) 2023/10/01(Sun) 11:44:56 |