【赤】 環 由人[ 聞くからきちんと答えたのに、 揶揄うような笑みを浮かべる恋人に もうひとつ、教えて差し上げよう。 短い口づけの後、さらに深くして絡んだ舌。 その瞳が笑うのが見えた。 ぞく、としたものが背筋を這う。 それは、熱へと変わって。 小さな水音を立てながら、その口内の 甘さを確かめるように味わえば、 彼の右手の指先が耳殻を這う。 漏れ出る声にかすかに色が乗った。 両耳を塞がれて、吸われた舌先。] (*46) 2020/09/18(Fri) 4:23:45 |
【赤】 環 由人ッン、……ぅ [ 彼の指先を流れる血の音。 同時に聞こえるのは互いの唾液が 混ざり、熱が絡んでたてる水音。 己の息遣いも、かすかな声も、 全てが返ってくるから、 羞恥が煽られてしまう。 上気した頬。 唇が離れれば「はふ」と息を吐く。 とろりとした視線をそちらに向けて、 赤い舌で口端にこぼれた、 どちらのものかもわからない唾液を 舐めとって、飲み込んだ。 足が割り開かれ、体がねじ込まれる。 そのまま折るようにして足が 持ち上げられれば、そのまま脛に舌先が這う。 そのまま甲へと降りていくから。] (*47) 2020/09/18(Fri) 4:24:17 |
【赤】 環 由人ッぁ、まっ、て…! 風呂、入ってないから汚、っン、 [ その舌が足の甲から指にかけてを なぞれば、かすかに声が漏れて、 びくびく、と体が震えた。 彼の体から離れた手は、片方はシーツを握り、 もう片方は声を抑えるべく口元へ。] ン、ぁっ、 指先も、いい、けど、 [ 口元に寄せた手を、足を押さえる 彼の手に重ねて握り、そのまま つう、と引き寄せて。] (*48) 2020/09/18(Fri) 4:24:39 |
【赤】 環 由人内腿、とか、膝裏とか、よわい、 [ と囁いて笑って見せようか。 その舌先がそこに到達すれば、 熱はより一層怒張を増して、 唇からかすかに吐息が漏れる。 ぴり、とした痛みが走れば、 眉尻を下げたままそちらを見つめる。 彼の目が細まる。嬉しそうに、満足げに、 散ったのであろう花弁に視線が注がれる。 とくん、と小さく心臓がひとつ打って、 それからきゅ、と締まるように痛んだ。] (*49) 2020/09/18(Fri) 4:24:57 |
【赤】 環 由人…そ?───…まあ今は、 雅治のもの、みたいなもんだから [ 手を伸ばして髪に触れる。 差し入れて、くしゃ、と撫でるように握った。] でも、明日は温泉だし、 ひとつ、にしてよ。 ───帰ったらいくらでも……ッん、 [ 這った指先に小さく声が漏れる。 反射で閉じたまぶたをゆったり開き、 舌先で唇を少し濡らした。] (*50) 2020/09/18(Fri) 4:25:22 |