［　君が手を伸ばしてくれるうちは
　　俺は時折立ち止まって後ろを見ているから
　　今回だって俺の手は捕まった。

　　青汁を飲んだ後まだ喉乾いてたから
　　昇降口でカフェオレ^drink買ったりしてね。
　　傘、持ってたかな？今日は忘れちゃったかも。
　　残念、りんご味は1個しかなかったみたい。
　　ぶどう味の方を口に放り込んだ。

　　走り出したらまだ大きい飴を
　　歯で割って食べきってしまう。

　

　　思わず繋いでいなかった片手は耳を塞いでいた。　］
　

　

　　　誰にも 言ったことないよ
　　　こんなの、さ……そりゃ、ね



　

　　　逃げるなんて考えてもなかった
　　　
　　　…俺の願いは 俺の望みは


　　　逃げないよ …
　　　それが俺の望みだから


［　肩口に顔を押し付けて
　　くぐもった声で呟いた。

　　泣きたいのに涙は出なくて
　　流し尽くして枯れてしまったのかな


　　
　　心臓をずっと締め付けていた何かが、
　　少しだけ緩んだ気がした。
　　背に手を回して、縋るように添える　］
　

　　　……そんなことだろーと思った、
　　　馬鹿壮真。ばーか。


　　　これは俺の罪だから …俺が償うべきもの


　　　これが俺が決めた、願い事

　　　世界が決めた結果を狂わせた代償は
　　　俺が背負うことで収束するはず
　　　だから 壮真に背負わせることは無い

　　　…でも 頼れって言ってくれるなら
　　　少しだけ 頼っても、いいかな
　　　
　

　　　

［　と。>>390
　　それだけ言って、目を閉じた。

　　熱を交わしている額が熱くて
　　波の音が聞こえるようになった耳に
　　ゆっくり、流れ込んでくる君の声を聞いていた。

　　どれだけ重くたって受け取るよ
　　痛いくらいに分かってしまう何もかも
　　俺たちは寂しさを一度分け合ったんだから　］
　

　　

　　　……頑張ったね
　　　重たいもの、沢山背負って
　　　話す勇気もだしてくれて



　　　俺も逃げないでここにいるから
　　　


　　　

　　　今も逃げないで助けようとする壮真のこと
　　　俺は、否定しないよ
　　　俺だって兄だから ね

　　　でも 肯定もしてあげられそうにないな


　　　だから俺の罪ごと奪うなんていうなら

　　　けど、それを君は拒むだろ
　　　俺に頼れ、なんて言ってくれるんだから

　　　

　　　


　　　怪我を移す、か…その話なら
　　　横断歩道に近づく前に弟と一緒に立ち止まれば
　　　轢かれなくて済む…ってことはないのか
　　　…それか走って渡りきってしまうか。


　　　


　　　

　　　






　　　

　　　───…うん、家には帰ろっか

　　　壮真、一緒に来てくれる？


［　俺は君にも風邪引かせたくないんだよ。
　　だから上着はちゃんと自分で着ておいて
　　その代わりに俺も努力するからさ。
　　
　　こてりと首を傾けて
　　繋いだままの手を軽く握る。