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【人】 盗人 アシュレイ[ じっと館に鋭い視線を差し向ける。 見た所、石造りの邸宅であり 周囲は高い石壁で囲まれている。 古いとも新しいとも言い切れず 建物の壁にはそこかしこに 蔦が這い、灰色味がかった壁を 深い緑で飾り立てていた。 何とも人気がなさそうな屋敷。 けれども何故だろうか。 近付くにつれて、背筋をぞわりと 冷たいものが這い上がっていく。 この建物の中に何があるというのだろう。 頭の奥で警鐘が鳴る。 これ以上足を踏み入れるのは止めろと。 ──────何故?] (85) 2020/11/27(Fri) 1:53:30 |
【人】 盗人 アシュレイ[ これまでに危険な場所に 足を踏み入れたことなど何度だってある。 狂暴な魔物に襲われたことだってある。 それなのに何故、足を進める事を躊躇うのか。 ( 俺は恐れているのだろうか。……何を? ) 頭に考えを巡らせても理由は分からなかった] (86) 2020/11/27(Fri) 1:53:34 |
【人】 盗人 アシュレイ「早くしないと日が暮れちまうぞ。 さっさと行こうぜ」 [ 掛けられた声にはっと意識が浮上する。 背後を振り向けば装備に身を包んだ 屈強そうな男たちが三人。 一人で向かうには危険だと考え 村で声を掛けた冒険者らしき者たちだった] (87) 2020/11/27(Fri) 1:53:38 |
【人】 盗人 アシュレイああ、そうだな……行くか。 [ 頭に浮かんだ考えを振り払うように頭を振り。 ( らしくもない。 侵入する前から戦き戸惑うなどと ) 装備を確認すれば 館へと足を踏み入れるのであった]* (88) 2020/11/27(Fri) 1:53:45 |
【人】 亡国の歴史書むかし、むかし、魔法が日常的に存在する世界の中に、とても大きく偉大な国がありました。 王様は絶対的な権力を持って国の全てを掌握し、 政治、貿易────更には戦争。 圧政に溺れ、財力に溺れ、血にまで浸したその腕は自国のみに留まらず、周りの国々にまで及びます。 千年戦争 אלף שנות מלחמה 永遠に終わらない戦火を恐れ、人々はそんな名称を付けたと言います。 生まれつき魔力の少ない自国民の代わりに、黒煙を吐き出す工業地帯が人工的な魔法武器を生み出し続け、科学技術は神の力を超える勢いで発展を続けます。 ───そんなある時、とある科学者が思わぬ大発明をし、この国を変える転機が訪れました。 「魔力を持った他国に立ち向かうのならば、 同等の強さを此方の兵士も持ち得るべきである。 ───人の力を超越した、獣の遺伝子を注入しよう。 奇襲に最適な夜に…… 満月に反応する怪物を、人から作り出すのです。」 (89) 2020/11/27(Fri) 2:15:18 |
【人】 亡国の歴史書 ──── 月光病。 戦に不利な幼い少年兵を中心に投与され、無敵の戦争大国への礎に…変わり果てた姿へと化したものは、後にそう呼ばれるようになりました。 満月の夜に、人ではない獣に姿を変える。その影響下では猛烈な飢えを引き起こし、周囲の生物を、例え親しい者であらうと食い殺す。 変身するかどうかを自分で決めることはできず、一度変身すると自我を失う傾向にある。 同時開発された薬は気休め程度にしかならず、生物兵器を必要とした国家がそれ以上の研究を進めることなどありません。 最早人間としての扱いすらされなくなった彼等が怪我などしてしまえば、もう用済みとして処分されてもおかしくはなかったのでしょう。 ですが───……歴史に黒い記述を残したくなかった王様は、自らの手を汚すことすら拒否しました。 彼等を故郷に帰し、異常病種の怪物として差別対象になり、周りから迫害を受け、自らに死を望ませる。 悪徳な手法を使って薄暗い歴史を根元から葬り去ってしまったのです。 そこに残るのは、孤独に震える醜い怪物だけでした。 ……それだけのはずでした。 (90) 2020/11/27(Fri) 2:29:11 |
【人】 動物擬 リヴァイ[怪物というのは、いつの時代も忌み嫌われる存在だ。 だが、怪物は本当に全てにおいて害悪なのだろうか? 私は生まれてこの方、そうは思わなかった。 苦しむ民から税を搾り取り、悠々と暮らす貴族たち、 叶わぬ妄執に焦れる教会の上層部。 戦から帰還しても尚優しき友に石を投げる元友人。 心の臓まで腐り果てた醜き者を怪物なのだというのなら、 そんな怪物を退治すべきだというのなら、 言葉通り、鉄槌を下すべきなのは寧ろ────……] 『君を見て疑問は確信に変わった。 生きた屍のようにさ迷い続ける君を見る迄は 歴史の暗部等知らずに生きていられたのに!』 (91) 2020/11/27(Fri) 2:38:05 |
【人】 動物擬 リヴァイ 美しき獣 「Behemahに嫉妬しているだけだろう。 あれ程強く優しい存在など居ないと言うのに。」 (怖がるのは噂を鵜呑みにする無学な阿呆共だけ! 君は神の最高傑作、完璧な獣そのものではないか。 他人に慈悲を与える綺麗な心まで持っているのに 分からないやつらの目は節穴以下なのではないか?) [だからこそ、優しき獣の友を支えるために、密かに禁忌の変身術へと手を染めた。 成功したのはひとつの奇跡。変身体に彼が飢えを感じなかったのはふたつめの奇跡。 幸運を重ねて、気休めだとしても薬を運び続けた。地獄のような月夜を二人で乗り越えられるように。] (92) 2020/11/27(Fri) 2:38:21 |
【人】 動物擬 リヴァイ[─────だからこそ。 有象無象に弄ばれ、裏切られ、揺らされたって、君は何も出来やしないんだ。 君の目に浮かぶ絶望が許せなかった。 君の目に浮かぶ涙粒が赦せなかった。 君の目に浮かぶ往生が宥せなかった。 誰も知らない森の奥、2人っきりで過ごす時間。戦の合間に見たという広い世界を語る君は輝きに溢れていたけれど、満月が空に昇る日は実に悲しそうだった。 塵が積もれば山となるように、心に刻み込まれた傷が徐々に血飛沫を上げ、かりそめの笑顔は何時しか苦痛に塗り替えられる。 何度も、何度も、辛そうな顔をする君を見るのが辛かった。 …………故に、その扱いに耐えきれず、断頭台に自ら登ろうとする君をどうしても救いたかったから、私は……、] (93) 2020/11/27(Fri) 2:38:57 |
【人】 終焉の獣 リヴァイ君の呪いを私に喰わせろ。 「תן לי את הקללה שלך.」 [───腐った国家の手に落ちるくらいなら、自分が手をかけた方がマシだと思ったからこそ。 その弱々しい獣の背中に襲いかかり、力尽きるまで引き止め続けた。 眼球からは涙の代わりに血を流し、理性のあるままに貪り食らった動物もどきは、ある日を境にその術が自由に扱えなくなってしまった。……特に満月の綺麗な夜なんかには。] (94) 2020/11/27(Fri) 2:39:22 |
【人】 終末論ハルマゲドン この国の終焉を望むかのように、二対の獣が交わり、互いを喰らい、殺し合い、ひとだったものが新たな化け物へと姿を変えていく。 月光病の遺伝子が含まれた血液は、少女の傷口から直に流れ込み、まだ人間であった遺伝子と結合し合い、月夜に怒りの咆哮をあげさせる。 ───それは、全ての歯車を狂わせた全ての元凶へと矛先が向けられていた。 そして呪いは繰り返す והקללה חוזרת על עצמה その口を、鋭い牙を、愛しい親友──同胞──の血で染めた少女の身体は、硬い鱗で覆われている。澄んだ青眼は憤怒と狂気の混じった濁った赤に埋め尽くされて、夜の闇に一筋の光を放っていた。 ────そこに立っているのは、いかなる武器も通用しない、終末を表す獣その物であった。 (95) 2020/11/27(Fri) 3:04:29 |
【人】 終焉の獣 リヴァイ[孤独の牢獄に閉じ込められていた君を「守った」あの日から、二人で歩いた緑の小道を傷だらけの素足が踏むことはなくなった。 君が歩む筈だった永久の地獄を身体ごと喰らってしまった後は、この胸に宿る使命は、湧き出る飢餓の対象は、たったひとつだけ。 君の歯車を狂わせたこの国を───全て 喰 らい尽くすこと。ただそれだけを胸に、必要知識を詰め込む目的で学び舎に足を踏み入れていた。] 無二の親友は喰らってしまった。 慕ってくれた後輩の背中を黙って押して、 寮の中の喧しい絵画との糸は絶ってしまった。 最後に焦れていた恋心さえも燃やし尽くして “首席兼寮長”の少女は今、この場で“死んだ”。 [それで、良かったのだ。 月夜の冷たい光に当てられた凍土が溶けてしまえばこの決心もきっと揺らいでしまうから。 この孤独は、私の望んだものだった。 私は、誰とも寄り添えずに狂ってしまっても構わなかった。] (これは始まる前から既に定められていたラグナロク。 赤獅子の出逢いはただの一夜の幻で、 重なった影は一夜の瞞しに過ぎないのだと───…… ) (96) 2020/11/27(Fri) 3:16:34 |
【人】 終焉の獣 リヴァイ[────そんなことでは済まされなかった。] [たった2人で明かした夜は、話す内容こそかけ離れていれど、あの日目を輝かせて過ごした夜に酷似している。 得体の知れぬものにその身を蝕まれながらもたち続ける神経は必死に笑顔を保ち続ける誰かの姿と重なってしまう。 まぼろしとするには輪郭が成り立ちすぎていて、まやかしとするには現実性がありすぎる。 全て指の隙間から零れ落ちる筈だった掌の上に、たったひとつの「約束」が残されることを、少女はまだ知らない。]* (97) 2020/11/27(Fri) 3:25:11 |
終末論 は、メモを貼った。 (a12) 2020/11/27(Fri) 3:29:41 |
Conqueror リヴァイは、メモを貼った。 (a13) 2020/11/27(Fri) 4:03:45 |
【人】 帝王学部3年 ヴィルヘルム( 何時からだろう。 少しはまともな“甘え方”を覚えたのと、 其れを向けるべき相手が彼ではない事を 薄々感じ取る様になっていったのは。 ) (98) 2020/11/27(Fri) 4:15:33 |
【人】 帝王学部3年 ヴィルヘルム[ 保健室の隠されたドアを超えた先、 他者の視線も月光も通さない秘密の一室。 知る人も極僅かなその場所に重なる影が二つ。 ついて離れてを緩やかに繰り返すシルエットが ランプの不安定な灯りの対照方向に浮かんでいる。 ] [ 彼等が関係を持ったのは半年以上前のこと。 復讐鬼が見る悪夢は“渡る”には凄惨過ぎるから、 こうして肌を重ね、寄り添って眠る事で 其れを遠くへ追いやろうとしたのが始まり。 教員と生徒という間柄、学部寮へ招く訳にも行かず 夜這いを掛けるのはいつも此方から。 身体の空く夜を予め確かめて、 逢えなければベッドで無防備に横たわり彼を待つ。 ] (99) 2020/11/27(Fri) 4:16:09 |
【人】 帝王学部3年 ヴィルヘルム[ 新年度の慌ただしさが鳴りを潜め、 多少は穏やかな日々が続いていた故にか。 卒業式の日に受け取った手紙の話を 夢渡りが不意に言葉に零す夜があった。 差出人がよく知った卒業生であると聞けば、 内容を訊ねる事は到底憚られた。 読み終えた途端に燃え尽きたとなれば尚更。>>33 ] [ 託されたメッセージがどうであれ、 彼女が一体どんな想いで其れを出したのか。 想像は出来ても、測り知る事は出来ない……が。 これから戻れない路を往くと知っていて、 それでも尚伝えずにいられなかった時点で 其れが大きな感情を含んでいるのは明らかだ。 ────不思議と苛立ちの様な、胸の痛みの様な。 経験のない感覚に陥ったのをよく覚えている。 ] (100) 2020/11/27(Fri) 4:17:03 |
【人】 帝王学部3年 ヴィルヘルム[ 橙色の光に柔らかく照らされた肌に触れ、 少し伸びた髪を掻き上げながら唇を這わせた。 妨げになる細身のボトムスは脱ぎ去ってしまったから、 薄手のシャツだけが秘めた欲を瀬戸際で覆っている。 生白く伸びる素足は「青年」と呼ぶには僅かに不完全。 而して「おとな」の身体の上をなぞる指先が奏でる仕草は 学びの場には到底相応しくないもの。 成長期を厳しい鍛錬の中で過ごした肉体に 無駄な組織や器官など何一つないが、 それでいて華奢に見えるのは年齢由来なのだろう。 ────“彼女は今どうしているだろうね” 他者の名が挙がるのは、利害の一致からの関係故にか。 続けたくない話題には口を閉ざして下肢を押し付ける。 柔らかな素肌同士が擦れ合い、互いに小さな火を灯しても 気も漫ろと言った様子では赤獅子の機嫌を損ねるだけ。 ] (101) 2020/11/27(Fri) 4:17:54 |
【人】 帝王学部3年 ヴィルヘルム……彼奴の故郷も家柄も委細迄は知らん。 寧ろお前の方が通じているのではないか? [ 刺々しい声色で告げながら腰を前後に揺するのは、 飢えた雛が餌を強請るのに似ている。 薄く色付いた釁隙で熱を帯びた其の場所をなぞり上げ。 擡げた鋒を窄まりへ宛てがいながら後ろ手に触れれば、 視覚効果も相俟ってか、みるみる内に芯が鮮明になる。 見下ろしたかんばせに抗議の色が浮かんだように見えて、 唇が紡ぎかけたのを遮り、乱暴に腰を沈めてしまった。 ] (102) 2020/11/27(Fri) 4:19:01 |
【人】 帝王学部3年 ヴィルヘルム[ 既に学園を去った彼女の話題を懐かしむ事が出来ないのは、 苛立ちを先に覚えるのは、どうしてなのか。 ────自覚することはない。 先生は体温を分け合う事による安らぎも、 相手を穏やかな心地にさせる触れ方も教えてくれたが、 何処かがずれた儘に思えるのは何故なのか。 ────問い掛けることもない。 其れも其のはず、親が子に与える様な無償の愛は 齎す側の想いが永遠であったとしても、 受け取る者はいつか旅立っていくものだ。 名残惜しさはあっても、離れ難いとは思わない。 彼女の背が遠ざかって行った時覚えた痛みに 熱に酔った夜が明ける際の侘しさが勝ることもない。 今は未だ、明確な線引きにまでは至れないとしても。 ] (103) 2020/11/27(Fri) 4:19:53 |
【人】 帝王学部3年 ヴィルヘルム[ 優しく触れて欲しいと頼んだ事もなく、 心を持って接してくれとせがんだ事もない。 それなのに。 医療行為と呼ぶには施されたものが多く、 混乱に打ち震えた夜もあった程。 得たものは即物的に限らない他者への触れ方と、 運命の相手に向ける物とは言えない程度の思い遣り。 愛 を排除されて生まれた獅子は無知で、故にそれ以上を望むことはしなかった。 ]* (104) 2020/11/27(Fri) 4:26:46 |