【人】 教会住みの娘 エヴィ[ 教会が近づくにつれ、足取りは鉛を携えた ように重くなりました。 空にはもう、いくつもの星が煌めいていて、 神父様が戻っていないという可能性は 随分と低くなっていましたから。 それでも、今日のひとときが私の心に 灯してくれた 火 は、顔を上げて歩を進めるには充分。 意を決して、教会の扉を開けた私の前には、 やはり、と言うか、残念ながらと言うべきか。 表面だけは普段と変わらぬ笑みを浮かべて、 瞳の奥にはぞっとするほどの冷たさを秘めた、 神父様が静かに立っているのでした。 ] (22) 2020/09/24(Thu) 8:05:09 |
【人】 教会住みの娘 エヴィ…遅くなって申し訳 [ 謝罪の言葉すら、最後までは言えません。 胸元を掴まれてぐいと引かれ、 おかえり、エヴィ、 と耳元で囁くその声は、まるで地獄から這い出るように 不気味に穏やかでした。 そこからは、普段と同じ、俗世の禍々しいものを 祓うための指導と言う名の 私はただ頭を抱えて蹲るだけ。 骨の軋む音が革靴の下で聞こえても、 唇を、奥歯を噛みしめて声を出さぬよう。 だって今日は、大丈夫。 頭の中には、今日の夢のような出来事。 メイレン様の笑顔が過ぎり、 消えてはまた浮かんで。 ] (23) 2020/09/24(Thu) 8:08:47 |
【人】 教会住みの娘 エヴィ[ ふ、と鼻に触れる、微かな、ごく微かな 柔らかく甘い香り… 愛しいこれは、これは何処かで ぐわんと歪む頭で、記憶の糸を 懸命に手繰ります。 司祭杖で身体中を打たれながらも、 妙な胸騒ぎのほうが気になって、 どくん、どくん、と心臓が奏でる音が、 静かな教会内に響くよう。 ] ……!! (これは、まさか、そんなはずは……) [ 先程大勢の前で歌った時とは比べ物にならない ほどがくがくと震えだす身体を懸命に叱り付けて ] (24) 2020/09/24(Thu) 8:13:10 |
【人】 教会住みの娘 エヴィ……どなたか、ここへいらしたのですか…? [ 途切れ途切れになる息をどうにか繋げて、 絞り出すようにそう尋ねます。 どうか、勘違いであって欲しい、 そう願いながら。 ] …その方は、いま、どちらに…!? [ ぎり、と下から睨みつければ、少し 驚いたような神父様の顔が見えました。 それはすぐに、からからと笑むものへと変わり、 私の頭を足蹴にしながら口を開きました。 ] 『お前は声だけでなく鼻も、そして観察力も 良いのだな。お前の大切な御友人に 俺は 手は出しておらん。教会には金が要るのだ。 俺はお前を愛してやっているだけなのに、 そのことをコソコソと嗅ぎ回るような真似を 見過ごす訳にはいかんのでなぁ。』 (25) 2020/09/24(Thu) 8:18:11 |
【人】 教会住みの娘 エヴィ[ 抑揚の無い声が、私の耳に突き刺さります。 ひとまず手を出していないと言う声に、 気づかれぬようほっと息を吐きました。 ] 『まぁ、俺が手を出さずともどうにか なりそうな随分とお身体の丈夫でない ご様子であった。 お前はなにも心配せず、開かれた世界 などにうつつを抜かさずに、ここで、 俺の為だけに歌っていれば良いのだ…』 [ 私の髪を掴んでは、ぐいと近づいて。 囁くように笑うその顔目掛けて、私は、 ぺっ、 と唾を吐きつけて差し上げました。上手く頬を汚すことが出来たら、 にっこりと笑うでしょう。 思えばそれは、初めての、私の抗議。 ] (26) 2020/09/24(Thu) 8:23:13 |
【人】 教会住みの娘 エヴィ[ 思い出せないのですが、 げほ、と吐き出した息に赤い物が混じって いるのが見えて、意識が遠くなるのを感じながら ただ祈ること 願わくば、ああどうか 神様 コンセールカリヨンの音楽の神様 私ならどうなっても構わない あの方は、 アメリア様だけは、どうかご無事で ** (27) 2020/09/24(Thu) 8:26:27 |
教会住みの娘 エヴィは、メモを貼った。 (a6) 2020/09/24(Thu) 8:53:10 |
【人】 教会住みの娘 エヴィ[ …遠のいていく意識の中で、メイレン様の 奏でるピアノの旋律がやけにクリアに 思い返されては響いていました。 心優しい方が、私を案じて跡をつけてくれていた ことなど知らずに>>36。 もう何も感じなくなった頃に響いたノックの 音は>>37、私には聞こえないまま。 ] (38) 2020/09/24(Thu) 11:03:12 |
【人】 教会住みの娘 エヴィ[ そのままどれくらい時間が過ぎたのか、 ふわり吹く風と、私を呼ぶ声>>31 瞼を上げるのにも苦労しましたが、 その声には、聞き覚えがある気がして、 それが正しければ一筋の光さえ感じて、 目線を上げた先には、ああやはり… ] [ アメリア様は、と私が口を開くより先に、 ヨシュア様の刺すような問いが飛びました>>32 やはり、やはりアメリア様になにかあったのだ、 と思えば、歯の根が合わぬほどががたがたと 震え出す身体。 それでも、どうにか上体を起こして。 ] ち、地下に… 地下に続く、階段が、そこに。 その先に、だれも知らぬ部屋が。>>@4 * (39) 2020/09/24(Thu) 11:08:19 |
教会住みの娘 エヴィは、メモを貼った。 (a8) 2020/09/24(Thu) 11:11:00 |
【人】 教会住みの娘 エヴィ[ なにかあるとすればそこしか無い、 と確信していました。 私のせいで、なにかとんでもないことに 皆様を巻き込んでしまったと、 起こった事件の詳細などわからないままに、 絞り出すようにそう伝えます。 そうすればヨシュア様から伝えられる、 言葉>>33 どんなに執拗な暴力を受けても流すことの なかった涙が一筋、つうと頬を伝うのが わかりました。 頬も腫れているのか、それはじんと滲みて。 痛みは、私がまだ生きていることの証のようで けれどすぐに返事をすることもできず、 縋るようにヨシュア様を見つめていたでしょう。 ] (43) 2020/09/24(Thu) 11:29:47 |
【人】 教会住みの娘 エヴィ光 の、あたる、道…>>35[ 紡がれる、言の葉。 そんなものがあると、私は知らなかった。 信じてなどいなかった……昨日までは。 気づいてしまった。 本当は、私が一番、欲していたのに 臆病で、卑屈で、こうして皆を 傷つけてしまった… ぼたぼたと流れる滴は、冷たい床を濡らして。 こちらを見やるヨシュア様の、笑顔というには あまりにぎこちない表情>>35に気づけば あぁこの方にもなにか心に終うものが あるのかもしれない…と推し量るには充分 (44) 2020/09/24(Thu) 11:33:55 |
【人】 教会住みの娘 エヴィ……私は、大丈夫です。 とにかく、早く、アメリア様を どうか、お願い、 あの方を助けて…… [ 色々な液体で汚れた顔を拭うこともせずに ぎりと顔上げて。 ヨシュア様がアメリア様のもとへ向かえるよう、 どうか大事に至っていないよう、 私はまだ神に祈りながら そう口にするのでした。 ]** (45) 2020/09/24(Thu) 11:36:48 |
【独】 教会住みの娘 エヴィ/* なんとかハピエンに持っていってくださろうとする 気概を感じます が、多少事故ってますよねこれ すみません原因はわたしです (-28) 2020/09/24(Thu) 14:28:01 |
【人】 教会住みの娘 エヴィ[ こんな時でさえハンカチを持っていないことを 詫びるバツの悪そうな顔>>46は、 それどころではないと言うのに、 あぁこんな少年のような表情もなさるのだと、 張り詰めた空気が一瞬だけ、緩んだ気がしました。 けれどもその顔は何かを思い詰めたような 表情へとすぐに変わって、告げられる言葉>>47。 はっ、と息を飲めば、ヨシュア様の身を 包むお姿に、いつものハイアーム家のものと わかるものは何一つ無いことに気づいたでしょう。 止めなければ、この美しい心の方にまで、 罪を背負わせることをしてはいけない そう強く思うのに、その眼差しが射抜くように 私の瞳を貫いて、目を逸らすことも、 何かを言うことも出来なくて。 ] (62) 2020/09/24(Thu) 16:28:29 |
【人】 教会住みの娘 エヴィ[ 言うことを聞いてくれない身体を なんとか動かすより先に、彼の願い>>48。 待って、とようやく伸ばすことが出来た腕は、 彼の背中には届きません。 その揺るがぬ意思を持った背中が 見えなくなると、私は声を上げて。 まるで迷子の幼子のようにぼろぼろと 泣くのを止めることは出来ませんでした。 ] (63) 2020/09/24(Thu) 16:31:08 |
【人】 教会住みの娘 エヴィ[ 差し込む光が、もう朝になっていることを 知らせてくれて。 ようやく顔を上げて、立ち上がります。 上手く動かない足を引き摺りながら、 大切な家族 いる部屋へ ヨシュア様の言う通りなら、この子たちは ここにいてはいけない。 少なくとも、この子たちにとって、 あの人は、心優しい神父様だったのだから。 …そう言えば、その神父様は、今、 何処にいるのでしょう。 ここまでくる間にも、姿は見えず。 それでも、子どもたちの部屋へ入れば、 いつものようににっこり笑って。 ] ……皆、おはよう。 今日は、皆で、この国の音楽祭を見に、 この教会を出ましょう ** (64) 2020/09/24(Thu) 16:35:31 |
教会住みの娘 エヴィは、メモを貼った。 (a15) 2020/09/24(Thu) 16:38:21 |
【人】 教会住みの娘 エヴィ[ 私の愛しい兄弟は、妹が4人、弟が3人。 一番大きな子でも十歳に足りず、 一番のおちびちゃんはまだ四つ。 私のただならぬ様子に驚いた子もいる でしょうが、ともかく手早く身の回りの ものを纏めて(と言ってもほとんど何も ありませんが) 半ば飛び出すように教会を後にしました。 急ぎ、ハイアーム家を目指して。 ヨシュア様は、アメリア様は、ご無事だろうか。 そればかりが頭をぐるぐると過るので 外の爽やかなそよ風に吹かれて尚、 私の心は曇天のまま、 気を抜けばすぐに瞳に水膜が張る有様でした。 ] (73) 2020/09/24(Thu) 20:47:50 |
【人】 教会住みの娘 エヴィ[ 何も知らない小さい子たちは 無邪気に歌を口遊んでいます。 ] いつくしみふかき ともなるイエスは つみとがうれいを とりさりたもう こころのなげきを つつまずのべて などかはくださぬ おえるおもにを [ あぁ、今頃は、音楽祭の2日目が また盛大に行われていることでしょうか。 ハイアーム家への道のりは、 宮廷のある通りを過ぎた先。 ] (74) 2020/09/24(Thu) 20:50:59 |
【人】 教会住みの娘 エヴィ[ 息をするだけで身体中が軋んで、 足は自分のものでは無い重い棒のよう。 逸る気持ちと裏腹に、進まない歩み。 苛立ちながらも歩を止めれば、 ふいに甘さを含んだ風が吹きました。 細い路地の先には、生き生きと揺れる 沢山の花に囲まれてひっそり佇む、 お花屋さんがあったのかも知れません。>>0:12 視線を上げればそっと繋がれる、 小さな家族の手。 ほわりと暖かい掌に、堪えた涙がまた 沸いてしまいそうで、無理矢理微笑んで ぎゅ、と握り返しました。 教会を出て、私は、この子たちは これからどうなるのか、 どうするべきなのか、 未来の音は何も聞こえないままに。 ] (75) 2020/09/24(Thu) 20:53:18 |
【人】 教会住みの娘 エヴィ[ それでも少なくともこの国に生まれた 運命ならば、どうか心を拠せる音に 出会って貰いたい。 それさえあれば、前を向いて歩いて 行けるような、強く生きて行けるような、 そんな音にどうか触れて貰いたい。 左手につけたままだった番号札が、 かさりと音を立てました。 この子たちは、どうにか一時だけ 宮廷へ置いてもらえないだろうか。 それが叶うなら、その間に自分は ハイアーム家に向かい、大切な方々の 無事を確認することが出来るだろうに。 私の頭には、あの母のような、>>1:273 メイレン様の笑みが一筋の 光 のように浮かんでは消えるのでした。 ]* (76) 2020/09/24(Thu) 20:57:57 |
教会住みの娘 エヴィ(匿名)は、メモを貼った。 2020/09/25(Fri) 10:45:00 |
教会住みの娘 エヴィ(匿名)は、メモを貼った。 2020/09/25(Fri) 10:46:06 |
教会住みの娘 エヴィ(匿名)は、メモを貼った。 2020/09/25(Fri) 11:28:46 |
【独】 教会住みの娘 エヴィ/* いやー、よっぽどじゃなきゃこーゆーの蛇足感すごくて嫌なんだけどさー 齟齬ってたら動きづらいかな?と思ってやったら 皆様さすがちゃんと読み取りされてて わたしだけ恥ずかしくなったやつでした(爆) (-82) 2020/09/25(Fri) 11:34:47 |
【人】 教会住みの娘 エヴィ[ 宮廷が近づいても、今日は昨日のように 心踊る音が漏れ聞こえることは無くて>>1 あぁそうか、今日は屋内での舞台になるのだ と思い出しました。 ヨシュア様の御覚悟や、その後の出来事>>118、 また偶然にも同じ場所へ向かっておられる ことはわからないまま。>>119 ただただお二人の安否が気になって 仕方がないのに、反して身体は重く、熱く、 一歩を進めるのがやっと。 目を閉じて息を大きく吐いて汗を拭いました。 賑やかな露店や、大道芸>>2に、 子どもたちはすっかり夢中になっていて、 その声>>83が、私達に寄せられたものだと 気付くのには少し時間がかかりました。 ] (120) 2020/09/25(Fri) 13:06:19 |
【人】 教会住みの娘 エヴィあ…昨夜の。 [ 声を掛けて下さったその方>>83が、 ゆうべどのようなことをして下さったのか >>53、>>61など知る由もなく、 小さな会釈をして俯きました。 腫れて、傷だらけの、 酷い顔をしているでしょうから。 ] いえ、迷子と言う事ではないのですが…。 あ、この子たちは、教会の子です。 私の、妹や弟で。 神父様が、あの、音楽祭を皆で 見ておいでなさいと仰って下さったので、 それで…。 [ 昨晩の悍しい出来事を伝えることは出来ず、 詰まりながらそう答えました。 既に、ご存知のこととは思いも寄らず。>>36 ] あの、音楽祭へ行かれるのですか?* (121) 2020/09/25(Fri) 13:10:28 |
【独】 教会住みの娘 エヴィ/* メイレンさんの文章いつもすっごいなぁ…! あれだけ書くのにどれくらいかかるのかな? (私は超遅筆、推敲厨) ヨシュアさんのロルはとっても美しい… わかりやすく、端的で、綺麗… (-89) 2020/09/25(Fri) 13:58:32 |
【独】 教会住みの娘 エヴィ/* 気になってるんだけど、このシリーズって 中世の感じじゃなかったかなぁ 確か前村では馬車とかだったし… 電気あるのかな?() (-90) 2020/09/25(Fri) 14:00:00 |
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