情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新
【秘】 死神 ゲイザー → 夜の一族 チャンドラ……怖さは不思議と、無くなっていた。 死の恐怖を通り過ぎて、奇妙な光景に囲まれて。 リーパーはなんだか笑えてきたのだ。 月の魔力に諭されて。理解不能を、許容する。 月の魔力に酩酊して、饒舌になる。 ああ、わかった。 心の奥底の欠落に気付いてくれたから。 手を差し伸べてくれるあなただから。 あなたのような性格だから。 ──聖なる月の色と、影に生きる血の色。 そのふたつは交わらない。 ……その振る舞い、言葉遣い、指先の仕草ひとつまで。 彼女が信じがたいまでの善人であるのは明白で。 だからこそ、殺人鬼のリーパーとは釣り合わない。 ⇒ (-104) 2021/10/26(Tue) 0:40:46 |
【秘】 死神 ゲイザー → 夜の一族 チャンドラだからリーパーは、べっと舌を出す。 差し伸べられた手を払い除ける。 「バーカ! オマエの言うことなんて聞いてやらねー!」 「オマエと友達になんて、なってやんねェよ!」 「知らなくたっていい。オマエがオレを知る必要はない。 バカはバカ同士仲良くしてな! ゲイザーとチャンドラで!」 ……それは、話の発端── チャンドラとゲイザーが、友達になることの許容だった。 ⇒ (-105) 2021/10/26(Tue) 0:42:40 |
【秘】 死神 ゲイザー → 夜の一族 チャンドラあなたの柔和な笑みが少年を見つめる間際、 リーパーはふいと顔を逸らした。 僅かに、たじろぐ。頬が赤いのは、興奮のせいだ。 「オマエはなんだか気持ち悪いから……。 殺すのはまた今度にしてやる!! 降ろせ!!」 あばれている。 (-106) 2021/10/26(Tue) 0:43:29 |
【秘】 死神 ゲイザー → 夜の一族 チャンドラリーパーは自身に選択権があると思っている。 この夜空で、絶対はあなたにあるというのに。 そして、夜の絶対者は彼を簡単には諦めてくれないらしかった。 それでもリーパーは否定する。 「ハッ! ……いいぜ」 「何度だって、オレに『友達になりましょう』と誘えばいい」 「何度だって、オレをどこかに連れ去ろうとすれば良い」 「オレは、……その度に何度だって。 そんなオマエの魂胆をめちゃくちゃにしてやる!」 ⇒ (-110) 2021/10/26(Tue) 21:21:45 |
【秘】 死神 ゲイザー → 夜の一族 チャンドラ──リーパーは、心底では、 あなたのことを決して嫌ってなどいない。 寧ろ、魅入られてしまった。一目ぼれしてしまった。 リーパーは本当に美しい花は、鑑賞に留めることこそが。 最も尊い愛し方なのだと思っている。 ⇒ (-111) 2021/10/26(Tue) 21:25:00 |
【秘】 死神 ゲイザー → 夜の一族 チャンドラ『ご感想は?』なんて。 ……もちろん、答えはひとつ。 「サイアクだ!」 助けてくれたけれど、ありがとうのひとつだって言ってやらない。 あなたを罵倒し、否定し、距離を取る。 きっとこれは少年にとって、恋だ。 実ることのない、実らせなんかさせない片思い。 どうしたって友達になろうとする夜の魔女。 そして好きだから、近づかない。 その全てを否定し続ける殺人鬼。 歪でおかしなふたりの関係。 でも、どっちも”ヤバいヤツ”なんだから、 これくらい許されるだろう。 今日のところはね。 (-112) 2021/10/26(Tue) 21:26:48 |
【鳴】 死神 ゲイザーその声色にゲイザーは、”まるで憑き物が落ちたみたい”と思った。 同時に、”今のあたしたちの関係のほうが、きっといい”という、 曖昧な印象も。 「あなたってひとは」 「年頃の女の子の、純潔を奪おうとして置いて」 その癖、幾らでも代わりのいる筈の下女を心底心配してしまう。 照れ隠しのような仕草に、ゲイザーはくすりと笑った。 ねえ、あたし。 あなたになら、初めてをあげてもいいと思っていたんですよ。 「ほんとう、憎み切れない、ろくでなし」 ⇒ (=12) 2021/10/27(Wed) 17:15:06 |
【鳴】 死神 ゲイザー「良いですよっ。あたし、暫くこの館にいますし。 そう、あたしっ。 お手伝いじゃなくて、正式に雇用されたんですっ」 だからこそ、何度でも次はあるのだ。 ゲイザーは贖罪をする必要が有る。 しばらくこの夢から覚めることはできない。 ……けれど、どうやら退屈はしなさそうだ。 ⇒ (=13) 2021/10/27(Wed) 17:17:51 |
【鳴】 死神 ゲイザー「だから『お誘い』は、いつでも。 あたしももっと、あなたのこと知りたいから。 どうでもいいことをお話しましょう」 「……茶飲み友達して、ね?」 ゲイザーは大人になって、少しだけ悪戯ができるようになった。 『えっ!? オレこいつと茶飲むのなんかゼッタイイヤだぜ。 あとジュースがいい!』 あまのじゃくの騒々しい一声と共に、ゲイザーは通信を切る。 きっと、この通信を使うのは最後になるという予感があった。 だって、普通に顔を合わせればいいのだから。 ⇒ (=14) 2021/10/27(Wed) 17:18:42 |
【鳴】 死神 ゲイザー日の光が降り注ぐ、中庭に隣接した通路で、 ゲイザーとリーパーは”そのあと”の話をしていた。 『あっっっっりえねえ!! オマエ、けっこうアイツのこと”イイ!”って思ってたんだろ。 知らんやつに取られて、それで良いわけ!?』 「良いわ。……だからこそ、良いの。 あたしは、あのひとに光を掴んでほしい。 いつも酒に溺れて、誰でもいいから女のひとに助けを求めて。 そんなあのひとが、あんなに穏やかな声色で言ったんだもの。 あのひとを”悲しい目”から引き揚げてくれるのは、 きっとそのひとだわ」 (=15) 2021/10/27(Wed) 17:28:56 |
【鳴】 死神 ゲイザー「相手が誰だって、あたしは祝福する」 「ああ、でも。──優しい人が良いわ!」 ゲイザーは日の光を眺めて、笑っていた。 『はーぁ。オマエ、マジで救いようのないバカだよな』 『ちょっとは分かるけどさ』 これはきっと、二人だけにしか聞こえない内緒話。 さあ、今日はどんなパイを焼こうか。 (=16) 2021/10/27(Wed) 17:29:36 |
【赤】 パイ焼き ゲイザーリーパーは、館の協力者の役目を終えた。 誰かを襲う画策をすることもない。 館の魔力によるこの声も、もう届くことはない。 それにリーパーはべつに、キエのことを 特別だともなんとも思っちゃいない。 これは、刹那の繋がりだ。 だから、別れを告げなければ。 ⇒ (*0) 2021/10/28(Thu) 16:51:40 |
【赤】 パイ焼き ゲイザー「ようキエ! まだこれ、聞こえてるか? いやあ、オマエには世話になったな。 オマエが居なければ、あんな謎は作れなかった」 ⇒ (*1) 2021/10/28(Thu) 16:52:00 |
【赤】 パイ焼き ゲイザー「それに何より、オマエには恩が有る。 あの時は、オレが”下”だったんだ。 オレは副人格だった。 棄てられて、なかったことにされて。 認識すらされなくて」 「……だからひとときでも あいつの躰を奪ってやれたのはスカっとしたぜ! それに、あのお陰で今みたいに対等になったんだし。 何より、ゲイザーのあの顔! あの悲鳴! ギャハハハハ!!! (*2) 2021/10/28(Thu) 16:52:46 |
【赤】 パイ焼き ゲイザー「でもオマエやっぱムカつくわ」 「いつだって人を食ったようなツラしてさ。 オレは誰のいいなりにだってなりたくない!」 (*3) 2021/10/28(Thu) 16:53:16 |
【赤】 パイ焼き ゲイザー「そういやオマエ、最初は探偵だって名乗ってたよな。笑える!」 「……じゃあ、待宵館殺人事件はこれでおしまい。 オチは探偵と犯人の結託による完全犯罪だ。 陳腐で、趣味の悪い、最高のミステリー!」 (*4) 2021/10/28(Thu) 16:54:07 |
【赤】 パイ焼き ゲイザー「捕まえてみろよ、インチキ探偵!」 さよならなんて素直な言葉、言ってやらない。 リーパーはリーパーらしく。 最後に行ってやるのは捨て台詞。 もう殺人なんてする気はないのだけれど。 統べる者に歯向かうのが愚かな殺人鬼の最後の矜持だ。 ……さて、気に入ってくれただろうか、あなたは。 さあ、ご感想は? (*6) 2021/10/28(Thu) 16:55:45 |
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新