人狼物語 三日月国


224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】

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リヴィオは、まだ、笑っている。
(a15) 2023/09/29(Fri) 2:32:39

【秘】 幕の中で イレネオ → リヴィオ

楽しいか、と問うたなら。
かかる力は強くなったことだろう。それは男にとって侮辱だった。
暴力を好む野蛮人。そう評されることを、男は好まない。
だから一層静かになった。
淡々と、粛々と、機械のように。貴方の身体を、悪いとも思わず痛めつけて。

そうして一際大きくなった声に嘆息した後、
男は、その頭に手を伸ばした。

金糸の髪に指を通す。
その下の頭皮に指を添わせる。無理矢理こちらを向けと首を回させる。
青い瞳は未だ閉じているだろうか。
閉じているならそれを無理矢理開かせることはしなかった。
男は自身の欲求を知覚していない。

浅い金色。月の色に似た瞳が、やや遠巻いて貴方のかんばせを眺めてから。

「楽しいわけがないでしょう。」

さて。
そう言った男は、どんな顔をしていただろう。
(-165) 2023/09/29(Fri) 3:10:21

【秘】 リヴィオ → 月桂樹の花 ニコロ



「はは、なんの事だか分からないな」

左腕は治療すれば治るし、指先は動く。
右手も同じ。…いや、こちらは動かすのは辛いが。
左耳は半分もいかないくらい削がれただけだ。
人間の体というのは便利で、きっと何とかなる。
ということにしている。医者にも見せているので。


戻ろうと藻掻く君の体重を片足で受け止め、
笑顔は徐々に引き攣りを増す。
ようやく戻り離れようとする頃には、

「…………だから、近付きたくなかったんだ」

掴まれている。ついでに引っ張られている。
やれやれというように
首を横に振るのはさて、何を思ってか。

「…それで、目的ってのは何だい?
 もしかしてお見舞い品のことかな?
 それなら両手が塞がっていてね、俺としたことが」

「あー……。……… やめよう、まずは素直に聞くから
 とりあえずその手を離すのとその目はやめよう」

個室の中、閉まった扉は外との隔たりで。
貼り付けていた笑みをふっと落とし、
ひとつ、大きなため息を吐き出すのだった。
(-166) 2023/09/29(Fri) 4:08:49

【秘】 リヴィオ → 口に金貨を ルチアーノ



「…そうかい、それは残念だ。
 もう少し、いい夢を見続けていたかったものだが……」

医者嫌いと言われれば、
否定しない代わりに小さく笑みを零す音。
概ね正解だが、"医者"自体は『きらい』じゃない。

何やら聞こえる呟きに耳を傾けながら、
掴んだ君の手を軽くふにふにと摘んでみたり。
しかし、夢の話を問われればその動きを止め、
悩むように少しの間を置いた後。

「………ひとつだけ、聞かせてくれ。
 俺の可愛い後輩達は、無事、外に出られた……かな」

それは、今一番確かめるべき事柄で。
それを聞かねば自分のことを考えられそうにもなかった。
助けを求めたのは、確かな事実なのだけども。
ロクに回らない頭でも、考えずにはいられなかった。

そうして答えがどうあれ、一度頷いてから。

「…何、大したことじゃない。いつもの夢だ。
 ……『要らない』『死んでしまえ』と
 存在を否定されるだけの、くだらない、夢だ」

そんな夢に、もう何十年も囚われ続けている。
だから男は、要らない者、だった。
(-167) 2023/09/29(Fri) 4:42:54

【秘】 リヴィオ → 幕の中で イレネオ



意識を落としてしまえたなら、楽だったんだろう。
しかしそうならないからまだ続く。
しかし抵抗する気力もないほどに、弱っているのは確かだ。


目を閉じ、顔を逸らす男では伸ばされる手に気付けない。
最も気付いていたとしてもその手を避けることはなかった。
君の指先が己の髪に触れ、頭皮を添い、
君に与えるのは、熱や苦痛による汗ばんだその感触で。

無理やりに向かされるその行いまでを感じてから
閉じていた海にも似た翠眼を僅かに開いて。

「………そうか」

たった一言。どんな表情であれその一言だけを返し、
汗に濡れる額を、張り付いた髪を、火照る頬を、
涙の滲む瞳を、唾液に濡れた唇を君に向け、
小さく吐息を零しながら緩やかに、微笑んでみせるのだ。

苦痛に歪む顔など、そこにはない。
ただぼんやりと両手が自由でない不便さと、
君の表情についてだけを考えている。

そうして再び、どこか気怠そうにも見える緩慢さで
もう一度、翠を閉じていこうとする。

ここに君が望む答えはない。
あるのは無駄な時間と、意味のない暴力だけだ。
答えられることなど何もない男は、ただ、笑っている。
(-171) 2023/09/29(Fri) 7:20:03

【秘】 月桂樹の花 ニコロ → リヴィオ

まるでその様は大型犬のようだったかもしれない。
貴方が仮面をかぶる手を少し緩めたのが見えたら
ようやっと、手は離して。

「俺が見舞い品を強請る為にわざわざ引き止める
がめつい男に見えるか?」

可笑しそうに笑いながら、けれどとても嬉しそうなのだった。

「ずっと会いたかったんだ。
一人にしちまったし、手が届かない場所に居るのって
こんなに不安なんだなって初めて思った。」

自分が受けた時点で
拷問を貴方が受ける事自体は想定内だった。

だけど、離れている以上
知らない間に何処か遠くへ行ってしまう可能性を
ほんのちょっぴりだけ考えると心配で。

会いたかったし、こうして会いに来てくれて
本当に心の底から安堵したし、嬉しかったのだ。

「リヴィが生きててくれて良かった。
終わったな、俺たちの“仕事”。」

本音を言えば、拷問を受けている間、牢に居る間は
酷く心細くて、気を張り詰めていて。
貴方の前でくらい、抜いても良いだろうか、と思うけれど。
つい、兄貴面をしてしまいそうになるのは、性だろう。
(-178) 2023/09/29(Fri) 9:25:48

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → リヴィオ



手を弄られている様子を見て小さく笑い声を零す。
自分が訪れた時には既に目の前の貴方は魘されていて地面には既に血が滲んでいた。
さて無理やり起こしてもよかったが、体力が弱ってる友人を眠らせてやりたかったこともあり怪我を減らす方向に動いたのだ。
結果は、まあ今このようになっているのだが。

「ん? 後輩たち……あー。どれぐらいの数かね。
 それぞれ連れが居たから見送ったり、案内したり。
 俺が話聞いて病院に投げ込んだり、……ほぼ全員無事だ」

少し思い出すように目を伏せてからいくつか名前を告げてやる、男の名前は忘れがちだった。
そして大体が出ていったから貴方を迎えに来たのだとも重ねて。
ほぼ、というのは確認できていない人間もいるということだがこの状況なら仕方ないだろう。

「いつもの夢っていうにしたらハードすぎるだろそれ。
 なんだ、こどもの頃の夢かあ? 随分嫌なことをいう親だな。
 今も言ってるなら侮辱罪か名誉棄損で訴えてやったらどうだ?
 町の宝がそんな謂れのない批判を受ける方がおかしいだろう」

「存在否定なんてもの、個人の私怨以外、なんも正当性はないんだからな」

お可哀想に、同情もしていないようなわざとらしい言い方をすれば貴方の頭を撫でまわしてくる。
嫌だったなー。と笑って髪を乱せば貴方が眠らないように時々こめかみの近くを押してやったりなどした。
(-185) 2023/09/29(Fri) 12:20:48

【秘】 夜明の先へ ニーノ → リヴィオ

「昼に歩いたら目立つね、目立つよ。
 でもオレが言いたいのはそうじゃなくてぇ〜……」

鉄格子越しに面会をしたときより、貴方の口振りは普段通りだった。
それでもそんな姿でこんな時間に歩いていることを思えば、だ。

「……どう見たって重体なんだから。
 ちゃんと寝ていた方がいいってこと」

じっとするのを苦痛に思う何かがあるとは察せられた。
もう一度突いて唇を尖らせてみたが、ぱ、と話せば溜息ひとつ。
そうしてフードを取り去って笑う。

「会えたからうれしいけれどね。
 昼空の下だったらもっとうれしかったけれど」

「オレ、警察官やめたんです。そういうのって聞いてるのかな……。
 だからせんぱいにもどうやって会おうかって考えてたところ。
 まだ散歩は続けるつもりですか?」

ニーノ・サヴィアは死んだことになったから、実際に署で伝えられるのは訃報だが。
やめたのはやめたで事実だから、口調が砕けているのもそのせいだった。貴方も気にしないのだろうなと甘えて。
多分Uターンさせるべきなんだろうが、Uターンしたくなくてここにいるのだろうなと思う。
なら最後の問いは"話す時間がありますか"と同義だ、肯定が返るのなら場所を変えようと思って。
(-188) 2023/09/29(Fri) 12:49:47

【秘】 幕の中で イレネオ → リヴィオ

開いて閉じかける双の眼。一部始終を見届けて、男はふんと鼻を鳴らした。
それは酷く従順な様だ。
そうして男にとってはつまらない様だった。


ぐん。既に傷んだ・・・腕を強く引く。折れた箇所が更に引きちぎられて周囲さえも傷つけただろうが、そんなこと男にとってはどうでもいいことだった。
抵抗しない貴方を引きずり上げるように椅子に座らせようとする。一度。二度。貴方がそれでもずり落ちるなら、ようやく諦めて手を離すだろう。それだって当然丁寧なものではないから、貴方は力の入らない腕を床に叩きつけることになるはずで。

その痛みに悶えている間に。
男は何かを取りに壁際に寄った。金属製のものが仕切り板に擦れる軽い音。顔を上げても背に隠れて見えないが────さて。器具を使う拷問と言えば、最もわかりやすいものがひとつ、脳裏を過ったかもしれない。
(-189) 2023/09/29(Fri) 13:02:06

【秘】 リヴィオ → 月桂樹の花 ニコロ



見える
、ということにしておこうと思って。
 その方が帰りやすいだろう」

男の目的は既に果たされ、ここにもう用はない。
冷たいようにも見えるが、単に、
追われると逃げたくなる性質が出てしまっているだけの話。
それでも、男がここへ訪れる選択をしたのは確かだった。

「……その台詞は幼馴染に言うべきものじゃないか?
 それに俺は別に不安じゃなかったよ、俺はね」

本当は君が出てくるよりも前に姿を眩ませて、
それで、居なくなるつもりだったのはひとつの道で。
予定が狂ったのは君と友人の
物好き
さのせいだ。

同僚とはいえ、友人とも言えなかった関係で。
今回もただ、同じ立場で"仕事"をしていただけで。
それなのに、手を掴もうとする君の心が分からなかった。
そしてそれはきっと、今後も曖昧な形のままなんだろう。

だからこそやはり、どうしてだと思う心は消えない。
そんなにも誰かを思える人間は、
その人を思える誰かと幸せになるべきだと考えているからこそ。

「…本当に君は、まんまとやられてしまったものだ」

「………あぁ、だけど。お疲れ様と返しておこうか。
 "運命共同体"ってのもこれで終わりだね」
(-222) 2023/09/29(Fri) 21:02:11

【秘】 リヴィオ → 口に金貨を ルチアーノ



手を掴み、摘むのはその存在を確かめるため。
確かにここにいるのだと、
夢ではないのだと、感じたかったからだ。


「そうか。…うん、なら……良かった」

後輩の話を聞けば安堵の息を吐き出して、
まずはダニエラ、そしてニーノ。アリーチェと。
次から次に後輩の姿を思い浮かべ、そして、
名前のあがらなかった一人も、ほんの一瞬思い浮かべた。
恨むことはないだろう。ただ、思う所があるだけで。


しかし、それに浸るのはもう少し後。
君は先程ゆっくりは寝れないと言っていたから、
話が一段落つけば移動のため身を起こさなくてはならない。

「…いや、"赤子"の頃の記憶ってやつかな。
 俺は案外、記憶力が悪い方ではなくてね。
 まぁ、なんだ。……覚えているから、繰り返し見るんだ」

「あぁ、行方は知らないし訴えようとは思わない。
 街の宝ってやつはそれなりに寛大なんだ」

わざとらしい言い方は逆に男の心を落ち着ける。
髪を乱され、こめかみの近くを押されても苛立つ心はない。
ただ友人とじゃれ合い、笑っているだけだ。

夢の残像は消えないが、それでも、顔色はずっとマシで。
(-223) 2023/09/29(Fri) 21:02:57

【秘】 リヴィオ → 夜明の先へ ニーノ



言いたいことはそうじゃない。
それはそうだろうねと口にせずに笑うのは、
恐らく確信犯故のこと。

「…眠っていたが目が覚めてしまってね。
 気晴らしの散歩ってやつだ、
 ずっと家にいると頭にキノコが生えてしまうよ」

嘘。君は察しているのだろうから、
敢えて今、嘘をついてまた笑う。
隠したい訳じゃないというのはその笑顔が物語っていた。

そうして、警察を辞めたと聞けば知っているよと頷いて。
実は俺も、有給届とともに叩きつけてきたよなんて、
自分の話はさらっと終わらせてしまう。

「俺も丁度、君に会いたいと考えていたところだった。
 これって運命ってやつかな?…なんてね」

「そして勿論、散歩はまだ続けるつもりだ。
 眠るにはまだ、早すぎる時間だからね」

君の無事は友人から聞いていたんだ。
だから、訃報を聞いたところで動揺ひとつもない。
理由を察することは難しいが、
どこかで元気にしているはずだと、その無事を祈っていた。
(-224) 2023/09/29(Fri) 21:04:05

【秘】 リヴィオ → 幕の中で イレネオ



まるで子供のようだと頭に過ぎったのは、
目を閉じるよりも前のこと。
そして次に考えたのは、
目を閉じたのは
失敗
だったということだ。

「ッ……あ、ぐ…………………」

強く引かれ、己の関節から嫌な音がまた響く。
無理やりに半身起きた体はそのまま引きずり上げられて、
呻く男の表情は先よりも余裕を失っているのが見えるだろう。
少し離れた位置にある椅子は
随分と遠くにあるよう感じられる。


「君、な………ッ」

最早言葉はないこの空間で、何が取調だと言うのか。
色々と言ってやりたい気持ちは山々だが、
無理やりにも椅子に座らせようとする君に着いて歩くのだ。
覚束ない足を動かすのにそれなりに必死になっていた。

だから。──
ガシャン!

と、椅子を蹴り飛ばしてしまうのも仕方のないこと。

そこで君が手を離してくれるのなら有難い話だが、
勿論、君が支えのようになっている今に離れてしまえば
体が、腕が床に叩きつけられることは目に見えていた。

(-225) 2023/09/29(Fri) 21:05:30

【秘】 リヴィオ → 幕の中で イレネオ



…あるいは、もう一度座らせることを試みるだろうか?
そうであれば今度は何とかその思惑を叶えることが叶うが、
しかし、どちらにしてもだ。

男は、君から表情を隠すように体を内側に曲げる。
きっと、自分は今、酷い顔をしているはずだから。

「…ふ、………ふ、ふッ…………」

笑いか、あるいは呻きを堪える声か。その両方か。
男の口から漏れるのはそんな音。
病院へ行き、多少眠る時間も確保したとはいえ、
かなり無理をしていた体は、鋭く痛みを訴えている。

「………………………イレネ、オ」

名を呼ぶ。

「君、……何人を、
こう
やった……?」

そして問う。
それが何であるかより、

右手を腫らした後輩の姿が脳裏に過ぎる。
そして次に過ぎるのは、


「ダニエラ君にも──何かをするつもり、か?」

男は知らない。既に一度は彼女の番が済んでいることを。
そしてそれを問うことが、自らの"隙"になるのだと。
(-226) 2023/09/29(Fri) 21:06:59

【秘】 月桂樹の花 ニコロ → リヴィオ

「アイツらのこともそれなりに心配はしてたけどな。
それ以上に、お前のことが心配だったんだよ。
拷問の事より、どっか行っちまわないかなって。」

変わらない言い草に何故か安心しつつ。
まあそうだよな、とも思う。

「ま、想定内と想定外、半々だが。そうだな。
A.C.Aとして運命共同体になるのはこれで終いだ。
なあ、これからどうするつもりだ?」

だから貴方とお別れだ、なんて
その表情は語っていない。

今度の休みどうする?くらいの気軽さで
貴方に尋ねるだろう。
(-227) 2023/09/29(Fri) 21:29:40

【秘】 夜明の先へ ニーノ → リヴィオ

>>-224

「大丈夫だよ、キノコが生えてもせんぱいはかっこいい」

敢えてのそれであるとは理解できているから、こちらが返すのも軽口……ではなく普通に本心だった。
今でもやっぱり貴方のことをかっこいいと思っている、本当のこと。
さらっと伝えられた言葉には瞬きを一回、二回。
とはいえその簡潔さもまた敢えて選ばれたのだとしたら、「そっかぁ」と笑った。

「……じゃあ、運命ってことにしよっか」

「運命なので残りの散歩の時間をオレにちょうだい。
 せんぱいと話したいです」

あそこ行こう、あそこ、と貴方を連れて行こうとするのは二人で食事をした夜のベンチ。
今の状態で立ち話はさせたくなかった、場所もそう離れていなかったので丁度いい。

そうして歩調は貴方に合わせて、人の少ない夜道を二人で歩いて行く。
直にそこへと辿り着けば先に貴方を座らせたことだろう。
で、ちゃんと座ってくれたのを確認したらこちらも隣に腰掛ける。子猫をパーカーから出すとよいしょと膝の上に載せて、好きなようにさせながら。

「……せんぱい、なんで警察やめたんですか?」
(-233) 2023/09/29(Fri) 21:53:56

【秘】 リヴィオ → 月桂樹の花 ニコロ



心配されるような人間ではないと、
喉まで出かかってしまうのは変えられない性分で。
僅かに口ごもって、また、ため息ひとつ吐き出した。

「……こうして生きている、それが答えだよ。
 でもね、ニコ。君は俺よりもまず、彼らを心配するべきだ。
 それに君が色々と話をするのは大事だと思うんだが」

話したかい?話せたかい?
これからのこと、今回のこと。どうするのかって話。
俺に問うよりもと思うのは少しのお節介。

だから、これから先を当たり前に語る君にもう一度、
深めのため息を敢えて零すのは、仕方のないこと。

「…さぁ、特に何も考えていないよ。
 適当にもう暫く──…生きてみる、だけだ」

それが長く保てるかと言えば、分からない。
だけど出来れば、
その時は誰も彼もが手を離して欲しいと思う。
首にかかった縄はいつだって、ここにあるままだ。

誰かとともに落ちるのはきっと、耐えられないから。
(-254) 2023/09/30(Sat) 1:52:03

【秘】 リヴィオ → 夜明の先へ ニーノ



かっこいいと返されて僅かに言葉に詰まったのは確か。
それが照れなのか、動揺なのかは不明だが、ともかく。
確かに男は君にそんな様子を見せて、
手が自由であれば頬でもかいているんではないか?
と思えるような形で少しそわそわと体を揺らす。

咳払いという誤魔化しをひとつ。
格好悪いなとは思うのだが、これが俺だった。
自分が言う分には何ら、そんな感情を抱くことがないのに。

「…あぁ、俺も。君の時間をもう少し欲しいと考えていた」

行こうかと、緩やかな足取りで君を追いかける。
追いかける、とは言ってもだ。きっと君は隣を歩く。
同じ速度で、人の少ない夜道を歩いていくのだ。
辿り着けば促されるままに先に座って、
次に君が座るのを見届けてから口を開いた。

「…この怪我が治った後、復帰したいかどうかを考えた。
 だけど、どうしてもその気持ちは湧いてこなくてね」

「…警察だとか、マフィアだとか。隔たりにも疲れた。
 あとはそうだね、……少し、自分の道を歩こうと思って。
 何がしたいとか、何をしていきたいとか、
 そういうものがあってのことじゃあないんだが」

もう少し生きようと思えるうちは、
レールを外れて歩くのも悪くはないかなって考えたんだ。
(-256) 2023/09/30(Sat) 2:18:28

【秘】 幕の中で イレネオ → リヴィオ

男はこの仕事が好きだった。
人を助けることが好きだった。
悪い人間から人を守れるのが好きだった。
純粋な誇りに、今は既に別のものが滲んでいる。

椅子を蹴飛ばした貴方を、男は怪訝そうな瞳で見つめた。
随分と悪そうな具合を不審に感じた。殺すつもりはない。
身体を折るその仕草だって、一応の心配を誘っただろう。
だから。
だからこそ。

男はその実際・・を見ようとする。
掴んだ手は離さないまま、もう片方で上半身を軽く押す。それは顔を見せろという合図だ。
従わないならそのまま再び床に押さえつけられることになるだろう。強制的に背を床に付けさせてしまえば、背ける以外の抵抗はできなくなる。

ぐ。押す。彼女にも先程も聞かれた問いだ。

「五人ですよ。」

ぐ。押す。彼女にも先程も明かした答えだ。

「そうですね。」

ぐ。押す。もう終わった話だ。

「それがどうかしましたか。」

さて。
顔は見えただろうか。
(-259) 2023/09/30(Sat) 2:20:59

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → リヴィオ



「……本当に大事なんだな」

なんだか自分が警察にいたらそんな事を言っただろうか。
少しぐらい責任感がついて、後輩たちを思いやって、
格好つけて、無理をして、笑って、辛い姿なんて見せずに。

無茶をして、いつかその終わりを夢見て。
けれどそんな悪夢の中に貴方は囚われていて、助かり方が分からなくなっている。

「リヴィオ。
 俺は……お前が望まなくとも俺はお前の家族を調べようと思う。
 この間も言ったとおりな、だから。 
 今後、彼らについて知りたくなったら、
 見られるようになったら俺に声をかけろ。
 そして、一緒にぶっ飛ばしに行くぞ。
 お前が行かないなら一人でいってくる」

全く笑えない話を楽しげに話す。
もう死んでいるというのなら墓石でも蹴りに行ってやろうか、なんて。
(-260) 2023/09/30(Sat) 2:48:42

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → リヴィオ



「それまでは俺がたまに夢の番でもしてやる。子守唄を歌おう。
 声をかけてやる、お前は確かにその時は憎まれていたが……
 今はこんなに望まれて、愛されて、必要とされている」

「それを隣で教え続けてやる。友達として、ずっと変わらない」

俺はお前のことを本当に助けたいと思っている。
一人で助けきれない分は他の誰かの手をいくらでも使ってでも、
何人もの絆を用意してお前を勝手に何処かに行かせんと心に誓った。

「な、リヴィオ」

似た者同士なのだ、いつかの終わりを求めるものとして。
それを否定などしないが、せめて今はもう少し。
終わりの日が来るまで緩やかに、平和に過ごして、酒を一杯また飲もうじゃないか。
(-261) 2023/09/30(Sat) 2:50:50

【秘】 リヴィオ → 幕の中で イレネオ



保っていただけだ、不完全な仮面を被り直して。
保とうとしていただけだ、そうでなければ自らを守れない。

がくりと折った膝と曲げた体が掴む腕を離さない君と
反発し、折れた腕に相当な負担をかけていく。
離してくれた方がまだ、マシだった。

「ッ……なんだ、…そんなに、俺の、顔が……見たいかい」

照れてしまうなぁ、そんな軽口を返すものの。
あからさまに苦痛の声が混じっているのは確かだった。
動く右手で君の行いを止めようとする。
弱さを見せるのは苦手だ、笑顔で隠すのは得意だ。
だけど。
守るべき
がない分、体調が崩れている分、
守るべきものがある彼女より
脆さは出てしまう。

「う、ぁッ……は、………そう、か」

ドッ
と音を立てて背が床に付けられる。
背けた顔は、抵抗する右手は君の力に敵いそうにもない。

「……いや、何…っ、流石にそれは、許せなくてね……ッ」

なんせこちらは病人だ。ここまで保っているのが異常で。
人の内を覗こうとするなんて無遠慮だなと笑いが込み上げた。
しかしその抵抗も長くは続かない。
君に見えるのは余裕もなく、苦しげに顔を歪め、
それでも笑っていようとする弱い男ひとりの人間の姿だっただろう。
(-262) 2023/09/30(Sat) 2:56:31

【秘】 幕の中で イレネオ → リヴィオ

絶え絶えの息に気を惹かれる・・・・
様子を確認するだけ、それ以外の何かが男の瞳で閃く。

ぐ。幾度目かの力比べの結果は見えていた。力尽きるように倒れた貴方の腕から男はようやく手を離し、そのまま顎へと移動させる。
背けようとするのを無理矢理上向かせれば寄せた眉根の下の瞳に目が合った。
見たことのない歪み方をした貴方の表情が、男にとっては。

「ふ、」

愉快だった。

男は、貴方のことをよく知らない。
男にとっての貴方は、いつも何かよくわからないことに気を遣って、それでいて楽しそうでいる手のかからない・・・・・・・先輩だ。
だから分からない。だから興味がない。
何故彼女を気にするかなんて気にならない。

気になるのはその顔色だけだ。
それがどう移り変わるのかは、興味があった。


(-265) 2023/09/30(Sat) 4:11:38

【秘】 幕の中で イレネオ → リヴィオ

更に、更に抑え込む。それ以上の抵抗がないように。貴方が目を逸らさないように。
それが叶ったなら、男は自らの顔を貴方の方へと寄せいって。

こつん、と。
額と額を触れ合わせた。

「許せない?」
「ダニエラのことが?」
「どうして?」

話してみろ。
聞かせてみろ。
眼前に迫った金色は、そう急かす。
(-266) 2023/09/30(Sat) 4:11:52

【秘】 リヴィオ → 幕の中で イレネオ



折れて動かない左も、力比べによる消耗で落ちた右も。
まるで壊れた人形のようだと思考出来るだけまだマシだ。
そうして君
顔を
見せない
よう背け続けるが、
顎に伸ばされ無理やりに向かされるようであれば、
それも結局、見え透いた結果しか齎さない。

「…………は、」

愉快そうな君に、精一杯の笑顔を返す。
それでも苦痛に歪む顔も余裕のなさも隠しきれはしない。
無駄な抵抗と言われればそれまでだが、
笑顔それは己の心を守るための砦だからこそ崩せない。

せめてと、視線だけでもと逸らすことを試みるが
それもまた、結局は無駄な抵抗となってしまう。

揺れる海が君の月に映し出される。
隠しきれない弱さが、間近で、
自らにも見える形で映されている。

男の部屋にある鏡は洗面台に取り付けられたものだけ。
本当はずっと、弱さ虚像を映すその存在がとても、苦手だった。


(-276) 2023/09/30(Sat) 5:22:38

【秘】 リヴィオ → 幕の中で イレネオ



触れ合う額はきっと君に、男の異様な熱を伝えてしまう。
滲む汗だって触れ合うことになるだろう。
男にとってそれもまた、顔を歪めるひとつの要因。

気丈に振舞っていたのだと知られてしまうことが嫌だ。
己の弱さを暴かれていくことから、逃げ出したかった。


話し方を忘れてしまったかのように一度言葉を詰まらせ、
代わりに吐き出すのは熱い吐息だ。
それでも、急かす君に伝えなければならないのは、

「……ち、がう。許せない、のは……俺自身、だよ……っ」

それ以上に話すことはない。言っても分かるはずがない。
問われれば答える男ではあったが、
今この時だけは、その全てを晒け出すことはなかった。

男は、察しが悪い訳ではない。
だから、もしかするともう既に……と。
そう考えてしまう頭を、止めることが出来なかった。

それがより一層仮面を保つに障害となると知りながら、
どうしたって、自分よりも彼女を考えてしまうのだ。


笑顔がふ、と──ほんの一瞬、掻き消えた。
(-277) 2023/09/30(Sat) 5:23:41

【秘】 リヴィオ → 口に金貨を ルチアーノ



ヒュッと、自分の喉から聞いたことのない音が出た。
翠眼は緩やかにさまよって、そうしてもう一度、君を見る。

「……止めても、無駄なんだろうね」

出来れば、知りたくない。そして、知られたくもない。
聞かれれば答える男ではあったが、
知らない答えまでは君に渡せないからこそ
そうするしかないのだと、理解はしているが。

声をかける日なんて、あるのだろうか。
知りたいと思える日なんて、来るのだろうか。

お互いにその領域を侵さなければ、まだ。
何も変わらず、今と同じ"平和"で居られるはずだって。
悪夢を見ることの何が平和か。
そうでないことくらい、もうとっくに知っている。

それでも別に、恨んでいる訳じゃない。
だって顔は知らない、声だけの存在だ。
亡霊を恨んだって何も変わることなんてない。

…だからこそ、


この苦しみを向ける場所はどこにもなかった。


(-278) 2023/09/30(Sat) 5:52:44

【秘】 リヴィオ → 口に金貨を ルチアーノ



望まれて生まれたかった。
愛されて生まれたかった。
必要とされて生まれたかった。

ずっと、ずっと──生きていくのが、苦しかった。

涙は出ない。泣き方の辞書なんてとっくの昔に置いてきた。
代わりに浮かぶのは、泣きそうなほど顔を歪めた笑顔だ。

俺は要らないものだった。もうずっと、昔から。
ようやく手に入れた居場所でも結局また、
必要とされない、価値のない存在だった。
それでも生きてきたのはきっと、
本当は誰かに、その言葉を否定して欲しかったのだろう。

夢は終わらない。
これからもまだ、変わらない時間が続いていく。
それでももう少し、生きようと思えたのは───。


「……本当に君は、俺のことが……好き、だね」

破滅この願望はきっと消えない。
いつかにきっとまた、終わりを求めてしまうのだろう。
それを否定されることは望めないし、変えられない。
それでもまだ少し、あと少しこれから先の未来を、
友人と、君達と、緩やかに、平和に過ごすとしようか。

「……ここを出たら、酒が飲みたい気分だ」
(-279) 2023/09/30(Sat) 5:55:54
リヴィオは、君と友人であるリヴィオは、柔く微笑み君との未来を思い描いた。
(a27) 2023/09/30(Sat) 5:58:09

【秘】 月桂樹の花 ニコロ → リヴィオ

「大丈夫だよ、あいつらは。」

此処に来ていても、来ていなくても
話をしていても、していなくても。
同じ言葉が、男からは返ってくる。

もう彼らは上手くやれるから。
そこに己は関係ない。いや、関係ない側に置いて欲しい。
A.C.Aに身を置く時に既に決めていた事だ。
大切ではあるが、手を離れて欲しいからこそ、なのだろう。

「むしろ今の俺に、あいつらは関わるべきじゃない。
余計なもんが降り掛かりかねんだろ。」

何を選ぶにせよ、どうするにせよ、だ。

「そうか。適当にもう暫く、な。
警察…は続けなさそうだよな。やっぱり辞めるのか?」

きっとルチアーノ色男が何か言ったのだろう。
少なくとも死ぬ気が今はなさそうであることにホッとする。

緩みそうになる本音を、そっと抑え込んだ。
(-287) 2023/09/30(Sat) 9:15:58

【秘】 リヴィオ → 月桂樹の花 ニコロ



「……いいことを教えてあげよう、ニコ。
 大丈夫だと、そう決めるのは君じゃない」

何を思うであれ、アリーチェの姿を見ていた男は、
あれを大丈夫などと口にしたくなかった。
だから話せ、そう言っている。言わなければならない。

「上手くやれるから話さなくていい、それは違う。
 だからこそ、話をしておくべきだって言ってるんだよ」

と、そこまで言って男は右手をぶん!と横に振る。
避けなければ君の頭にヒットする予定だ。
ついでに言うと痛み分け、男も自らの傷で顔を顰める。
その場合はかなりの間を置くのだが。

「………あぁ、そうか。それなら俺が彼らに話しかけるか。
 今の俺は本当に無敵だよ、何せ肯定されまくってるからね。
 A.C.Aだった俺を肯定する甘い人間が多いんだ」

困ったものだね。そう口にする男の口調は柔らかいものだ。
上手くいかないなと何度思ったことか。

「で、警察を辞めるかどうかだったか。
 …もうとっくに辞めてるよ、有給届と叩き付けてきた」

真っ当に警察をやってきた男は、
去り際に真っ当ではない辞め方をしてきたらしい。
当然色々とあったがどうせ、この腕では暫く働けそうにもないのだ。
(-298) 2023/09/30(Sat) 10:32:51

【秘】 月桂樹の花 ニコロ → リヴィオ

「そりゃどういう…
あだっ!?


言葉を返す前に、頭に貴方の右手がヒットした。
思わず、という様子で頭を抑えるその表情は
何とも訝し気な様子だ。

この男は、頑張る、と前を向いたアリーチェしか知らない。
止めるなよ、と足を踏み出したテオドロしか知らない。
だから大丈夫だ、と思っている。

右手の薬指に、目線が落ちた。
ネイビーブルーはまだ、そこにある。

「ちょっと見ない間にそんなことになってるのか。
馬鹿だなぁ…首謀じゃないとはいえ
街中を混乱させた法に従った奴らだってのに。」

苦笑いが零れ落ちる。

「分かった、分かったよ。
後でちゃんと様子を見に行く。
けど、ままならねえな。」

「お前じゃないが、俺も消えるつもりで居たってのにさ。
そんな風に言われたら、おじゃんだ。」

貴方の前では、ただのニコロでも許されるだろうか。
(-302) 2023/09/30(Sat) 11:31:40
 




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