人狼物語 三日月国


224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】

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【独】 口に金貨を ルチアーノ

「ああ」

目に入った赤。ついでに白と黒。最近よく縁がある配色だ。
この眼鏡もその男の持ち物であったな、と漸く思い当たった。
男の持ち物など覚えて居られなかったから、少しすっきりしたような気持ちになる。

「そうか、お前さんかあ。イレネオ・デ・マリア」

それは酷く冷静で、まるで笑みを携えるような穏やかな声で。
暫く他人事のようにその死体を見つめていれば片手で携帯を取り出し連絡をする。

『……ラウルだな? ゴミが落ちてるんで片づけに来てくれ。
 ああ、絶対誰にも見つからん場所に片づけろ』

その言葉に、同情も憐憫も慈しみの欠片もありはしない。
誰かの縁も絆も配慮する心も用意などはしていなかった。

#AbbaiareAllaLuna
(-284) 2023/09/30(Sat) 7:55:40

【独】 口に金貨を ルチアーノ

「さて、……酷い有様だ、右手はぐっちゃぐちゃだな。
 誰がやったんだ? 直ぐには思いつかんな、恨みが多すぎる。
 大方上が殺し屋でも雇ったか。
 まあなんとも、絶対に死ぬようなことばかりしかされないで。
 顔見ておくか……あ、駄目だこりゃ」

黒いずた袋にその遺体を入れるまで、男はもうしばらく辺りを見回った。
見つけたのは比較的綺麗なままで切り落とされ転がされた、左の手首だ。
持っていけるのはそれぐらいであった、しかし、さて。

「……んー。これを土産に持っていくのは趣味が悪いか」

そうしてやってきた男の部下により遺体は瞬く間に片付けられ。
争いの形跡は最小限に隠滅させられ、残ったのは黒く染みついた血の跡だけ。
結局、小さなずた袋も一つ用意された。

#AbbaiareAllaLuna
(-285) 2023/09/30(Sat) 7:59:45

【人】 口に金貨を ルチアーノ

路地裏の前に用意された二台の車のうち、大きな黒いずた袋を乗せた車が男を乗せずに何処かへと向かっていく。

「うちの犬も仕事が早くなったなあ。
 猫が関わらなければ本当にいい仕事をする。あ。
 ……今日は猫にすれ違わんかったな、エキスパート失格か?
 まあいい」

車が向かう目的地は知っている、だが自分がそこまでついて行ってやる気もなかった。
そこまで自分達は仲もよくなければ情もない。
俺の方で悪かったな、クソガキ。だが別れの挨拶ぐらいは送ってやろう。


Notte notte e sogni belliおやすみなさい、良い夢を,
 それでは御機嫌よう」

#AbbaiareAllaLuna
(93) 2023/09/30(Sat) 8:05:00

【置】 口に金貨を ルチアーノ

路地裏を縄張りのように歩くどら猫は、常に不幸の傍に、何かを奪って去っていく。

どら猫は気にしない、悪意に手を染めることも。善が尊ばれないことも。
そこには常に理由があり、誰かの利益の為に何かが淘汰され続けている。
世界は独りに優しくなく、価値がわからぬものに救いなど手に入らない。

そんな現実をただ見て歩き、通り過ぎてゆくだけの人生。
仕組みさえわかってしまえばそこまで悪い物じゃあない。

今日も男はその道を歩く、止めてしまえばそれこそ生きることをやめてしまうのと同じだから。

#AbbaiareAllaLuna
(L2) 2023/09/30(Sat) 8:06:24
公開: 2023/09/30(Sat) 8:10:00

【秘】 corposant ロメオ → 口に金貨を ルチアーノ

「や」「う……」「は? ズル……何?」

ぐう、と色々を噛み殺した声。
言葉の合間合間に挟まるのは返事にも満たない、
口の中だけで完結したもごもごとした言葉。

急にそんな事を言うのもずるいし、
あの日を引き合いに出すのもずるい。
あれはあの日の頼み事の通りにしただけで、
あの時だけだと自分に言い聞かせてきたのに。

恋でもない、愛でもない、けれどただ本当に好ましかった。
確かに期待をしたのだ。
所有してくれるかもしれないと思ったのだ。
尊敬していた。信頼があった。心を許していた。
この人の頼みなら本当に何でもできると思っていた。


だけど自分から手を伸ばせない。人畜生にその権利はない。
せめて道の行く末がどうか善きものになるようにと、
自分はずっとその手伝いをしていようと思っていたのに。

「……遠慮ぉ…………?」

喜んでいる筈なのに、
きっと自分は今随分苦しそうな顔をしているんだろう。


#ReFantasma
(-300) 2023/09/30(Sat) 10:41:49

【秘】 L’ancora ロメオ → 口に金貨を ルチアーノ

「そんなの」「そんなの許されるんならしませんよ」
「そんな事もさせませんよ、
 あんたが居なくなんのが嫌でこっちは、」「……はあ」

噛みつくみたいにそう言って、深く息を吐く。
都合よく誰かの岸辺にある船のようなものでいたかった。
これからもきっとそう在る事は変わらない。
けれど、錨を降ろすのはここがいい。そうしていいのなら。

心の裏側を焦がされるような後ろめたさは今は無かった。
きっと自分がこのままでいいからだ。
これはあの時とはまた別の『許し』だった。

「……欲しがっていいなら」
「そうします。遠慮なく」

裏切るだなんて、可能性の欠片もこれには元より無い。
波の音がやけに遠く感じた。

#ReFantasma
(-301) 2023/09/30(Sat) 10:45:33

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 月桂樹の花 ニコロ

「精神的な方だな、怪我もして余計に弱る。
 お前に会うときも格好つけたがる、
 それが上手くできないと落ち込む、完全に悪循環だ」

どうして自分たちの気にかける彼が落ち込むのか丁寧に説明をする。
理由なんて詳細にはしらないのだ、それでも表面で見えることだけでもある程度の推測はできて。

「破滅云々はしらんが、俺がそうだからよーくわかる。
 こういうときは一人がいい。
 だけど、……誰かに来てくれると救われる。
 そして少しでも自分の事を好きなやつの声が聞けるだけで前を向ける。
 お前が、絶対あいつを離さないってんなら。
 早く怪我を直して引っ張れるぐらいになってやれ。
 無理やりじゃないぞ、全部同意でな。
 ……お前は俺の幼馴染になんとなく似てるからアドバイスだがー」

「簡単に幸せや生きがいを与えられると思わんことだ。
 自分が幸せになって、迷わなくなってから、
 ようやく他人に幸せを与える余裕ができる。

 それができないなら背伸びせずに一緒に歩け、以上。行くぞ」

そういって貴方の痛むであろう体を無理やり持ち上げる。
薬のせいでおかしくなってるかはしらないが、運び出さなければ意味がない。
肩を貸すか、歩けもしないのなら背負って外に向かおうとするだろう。
(-303) 2023/09/30(Sat) 11:48:34

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 花浅葱 エルヴィーノ

>>-282 >>-283

「悪くは、ない……いや……。
 今思えば本当にお前以外見てなかったのが恥ずかしいんだ。
 子供の頃は全部お前優先にしてたから……」

その頃から向けている感情は変わらない。
大事なひとつ下の幼馴染、歳の違いなんて気にしないで。
一緒にいられるために周りの媚を売れた、文句を言ってくるやつの排除もした。
その時から貴方に対する感情はとっくに歪んでいた。
愛でも恋でもなくて、きっと純粋な友情ではなくて、それでも失いたくないものだった。

「まあまあ……守られてるぞ。というか隠されとる。
 厳格に気にしてるのは俺より上の立場のやつだ。
 下の輩はすこーしだけ緩いんでね」

今の地位を保っていたのも、貴方との交流を咎められないためもあった。
血の掟を交わしてしまえば自分はきっとそれに従うようになる、
貴方に会うなと言われるのまでは良い、殺せと言われたらどうすれば良い?
そんな日が訪れてしまうぐらいなら、きっと自分は此度の騒動のような大事を起こさないと言い切れないのだ。
世界と貴方を天秤にかけて釣り合わせることが出来る。
今はそれが落ち着いているからこんなに穏やかでいられるけれど。

(-304) 2023/09/30(Sat) 13:20:38

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 花浅葱 エルヴィーノ

「……
俺はマフィアだからなあ


愛してる、誰にも言えないと思っていた言葉。
あなたにかけられたとき、そのままそっくり返せると思った。
あの牢屋で揃いの首輪をつけられて、
確かにその言葉に懐かしさと切なさを抱いてしまったから。

何だってできる。
死ぬことだって別に怖くない。
貴方が幸せであれば、それだけでいい。

これは我儘なのか? 俺はいくらでもし続けていたいのに。
終りが来るその日まで、穏やかに笑っていたいだけだったのに。
(-305) 2023/09/30(Sat) 13:21:48

【魂】 口に金貨を ルチアーノ

>>-304 >>-305
「……エル」

貴方を誰かに渡したくなどない。
とうに、恋愛感情など抱いていないが。

なんであんな奴に大切な幼馴染をやらなくちゃならんのだ。
それなのに、どうして、
これ
が大切だと思ってしまうのだろう。

この手を離されてしまう、きっと約束以外の心は遠ざかる。
真に俺の手から零れ落ちていくのだと思い知らされる。

「……」

好きだから、貴方が望むものがわかってしまう。

本当に、俺は、誰かの傍にいるだけで何かを奪ってしまう人生を送ってきた。
それでも歩いて進んで、知るものかと。自分の為に生きてきた。
罰をくらうというのなら、今日今この瞬間なのだと思っている。

身体を改めて離せば、
貴方へと紙袋に入っていた小さな包を一つ渡した。
そこには何の変哲もない片方のレンズが割れた眼鏡が入っている。

「見舞いだ、受け取れ」

その声は冷たく。
貴方が望むような幼馴染の声ではなかったかもしれない。
(_4) 2023/09/30(Sat) 13:29:35

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 口に金貨を ルチアーノ

>>-304 >>-305 >>_4

「……ちゃんと気づいていればよかったな」

そうしたらこんなすれ違いなんて、最初からなかったろうに。
あの頃は純粋に幼馴染を慕っていたのだと思うけれど、重い感情に不快感を示すことなどきっとなかっただろうと思うし。

今思えば、初恋はラーラではなかったのだ。
ラーラを好きになって、想いを告げた日。
「私はルチアーノが好き」だと言われ抱いたのは、ラーラに対する嫉妬心だった。
ラーラに振られることよりも、ルチアーノを取られる事が、嫌だった。
それは友情の域をゆうに超えていると指摘できるほどに。

「ふぅん。
 そういえばルチアはまだ血の掟は結んでないんだったね」

それをきちんと守って初めて上に上がれるというのなら、本当は自分たちは会わないほうが良いんだろう。
でもそんな事、出来ないよ。
もう疎遠だった頃みたいには戻れない。
あなたがずっと無事であるように手を回して、見守っていたいと思っている。
あなたの心が、悪いものに囚われてしまわないように。

(-310) 2023/09/30(Sat) 15:52:35

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 口に金貨を ルチアーノ

>>-304 >>-305 >>_4 >>-310

「なにそれ、わかってるよ」

あなたがマフィアであることは、ちゃんと。

でもこの時、まだわかってなかったんだ。
あなたの愛の重さもまた、とっくに歪んでしまっていたんだって。
すれ違った重すぎる心は時に、鋭い刃になって互いを傷つけ合う。

けれども。
その原因を作ってしまったのは、紛れもなく、何も知らなかった愚かな自分だ。

(-311) 2023/09/30(Sat) 15:53:43

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → Il Ritorno di Ulisse ペネロペ

>>5:-513

「知るか、お前には聞きたいことが沢山あったんだ。
 だけどなあ、聞くよりも調べてやった方が、
 "嫌な顔"が見れると思ったんでね」

楽しげな様子なのには少し首をかしげたが、
本当に嫌な様子は見えないので内心はほっとしていた。

「そうだな、覚えてる分を除けば今後も
お前の名前
だけは覚えておこう。
 そろそろ女の名前を覚えるだけで手一杯だったところだ」

全てが貴方自身なのだろう。
そして見えないそこにも貴方がいる。
それをしっかりと自覚できればもう不安なものはない。
いくらでも探してみせるし、いくらでも覚え続けてやる。
人は変わるものと変わらないものがある、
それがちょっとオカシイのが目の前の奴というだけだ。

「大盤振る舞いだな? どうした、今度槍でも振るのか。
 終わったらカンターミネとも食事をする出所パーティーでもする予定なんだ。
 さっさとこの優秀な情報通が解放されるのを待っていてくれよマイハニー」

貴方が自分に向ける感情も自分が貴方に向ける感情も、
何かと比べれば些細な者で、それでもかけがえのない唯一のもの。
逃がそうとしなければ、執着もそこそこに。
犬とはまた違う方法で、猫らしい男は貴方を見つけ続けるのだろう
(-313) 2023/09/30(Sat) 16:26:06

【秘】 月桂樹の花 ニコロ → 口に金貨を ルチアーノ

「そっか。
ああいや、無理に会おうとは思ってねえよ。」

素直に貴方の言葉を聞いて。
頷いている。

「ハハ、手厳しいな。
無理矢理引っ張った覚えはないが、心に留めておくよ。
…幸せで満ち溢れた人間なんて居るのかね。」

自分の幸せなど長らく考えていなかったから
そんな風に零す。

無理矢理体を持ち上げられると
痛みに呻くだろう。

肋骨と足が特に痛むが
肩を借りれば何とか気合いで動くことは出来そうだ。
(-315) 2023/09/30(Sat) 17:01:28

【人】 口に金貨を ルチアーノ

薄く太陽に陰りをもたらす空の下。
ルチアーノは片手にブーゲンビリアの花束を持ち何度も足を運んだガレージの前に居た。
そこに同じく見飽きるほど身近に感じていた赤のフィアット500チンクェチェントが収まることは二度とない。

鍵のかかっていない扉を開ければ真っ直ぐいつもの場所へ。
ここは誰が入ってくるかもすぐわかる席で、カウンターに立つ長躯も良く見えた。


「あんたにじゃないぞ」


花束を置いてから店をじっくりと見渡して、一つ息を吐く。
もうこの空間が無くなるのは時間の問題だ、珈琲は飲めなくなるし、皆でたまに顔を合わせた時間もなくなる。
暫くしてからテーブルにうつ伏せ目を閉じた、ここでもやっぱり眠れそうだ、今はとても疲れていたし誰も来なければ許されるだろう。

何処か穏やかな気持ちで別れを受け入れることができている。
怒りや殺意がないとは言わないが、楽しそうであったのだ、
そんな男の姿が見れて自分が嬉しくないわけがない。

ただ今は静かに休んでいたい。
大好きだったこの場所で、彼の愛したものへの想いが籠もったこの場所で。

#Mazzetto
(94) 2023/09/30(Sat) 18:15:27
ルチアーノは、「爆破でもしてやろうかと思ったんだがなあ」#Mazzetto
(a33) 2023/09/30(Sat) 18:15:48

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → L’ancora ロメオ

「ズルいってなんだ、変なやつだな」

この空いてる距離が少しもどかしいな、
普段なら丁度良いと思えるのだが。
貴方が手を差し伸べられないというのならまた一歩近づいてやろう。

もう、あなたの言葉からは問題ないと思ってはいるのだが。
触れ合ってやるのもいいかと思って。

「俺はこの間のことで引かれてないかと心配していてな。
 そんな様子もなかったんで、もう、いい。我慢をやめた」


#ReFantasma
(-332) 2023/09/30(Sat) 19:21:43

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → L’ancora ロメオ

「もう俺には遠慮はいらん」

同時に貴方にだけは遠慮をやめよう。
諸刃の剣かもしれないがなんとなくうまくいく気はしている。
現に、何も気にせず話せるような友人たちはできたのだ。
ほんの少し秘密や頼み事が多い縁であるだけ、
たまに、ティラミスを溶かしてしまうかもしれないほどの。

「俺はお前に……楽にして欲しい。
 それでいて、お前を大事にしてやりたいと思った。
 本物の役立たずゴミになるまでは俺の宝だぞ?
 そうならないようにするんだったら、」

「俺を離すな、幾らでも求めていい」



「そうしたいほどお前のことが好きだ」

顔を覗き込むように貴方を見上げ、変わらぬ笑みを携えて。
波の音に混ぜるように言葉が、どれほどシンプルでも通じるだろう。
自分はもうこれ以上ないほどに信頼してしまっているのだ。

#ReFantasma
(-334) 2023/09/30(Sat) 19:23:16

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 月桂樹の花 ニコロ

「会うのは平気だ、どうせいつになっても変わらん。
 ただお前が励ましてやればいいんだよ」

ただ知ってると知らないでは気遣い方は変わるだろう、と。
貴方が貴方らしくいるのが誰かの救いになることは自分が良く知っている。
現にこうして自分達も仲良く話せているのだから。

「……無理やり引っ張ってない、ねえ?
 心中までしそうだったやつが言っても説得力はないな。
 俺にも警戒心を見せてきてた奴が何を言ってるんだか。

 相当な感じだったぞお前らは、今はぼこぼこにされて気が抜けてるのかもしれんが」

今は力が抜けたか? と笑いかけてやって。そのまま外に運び出す。
車に乗せれば病院に行くだけ。あとは自力でやれ俺は帰る、と言いながら。

「そんなの早々いるわけねえだろお。
 だからなー、高望みするなってことだ。簡単にできやしない。
 それでもいつかそんな日は来るって望むぐらいで丁度いい」

「お前も早くそうなって俺を安心させてくれえ」
(-340) 2023/09/30(Sat) 19:59:27

【秘】 L’ancora ロメオ → 口に金貨を ルチアーノ

「……ズルいでしょ、だって」
「引いて無いよ……オレだって、嬉し、かったし」

いつか貴方に齎した甘言の分が返って来ているような心地。
本当に欲しい言葉を、貴方は全部くれていた。
一歩分の足音に、近付いた距離に、
いつの間にか足元をうろついていた視線を上げる。
その拍子にころりと一滴だけ、涙の粒が零れた。
泣いたのは久しぶりだった。何年泣いていなかったろうか。
涙の出し方を忘れていたようで、たった今思い出したようでもあった。


「……宝なんて」「初めて言われた」

ぱち。また目を閉じる。また零れる。
白い砂に吸い込まれて、涙の粒は消えていく。

「オレにね、そんな事言っちゃダメですよ。
 本当にそうなるんだからさ……」

ゆるりと貴方の右手を掴んだ。
両手で手のひらを持って、強く握るでも握手をするでもない。
緩く握って、指の形を確かめて、手の甲を撫でて。
手のひらを揉んで、それから包んだ。

それから恐る恐る貴方の顔を見て。
「あは、」と蕩けるみたいに笑った。
初めてこんな笑い方をした気がした。

#ReFantasma
(-346) 2023/09/30(Sat) 20:36:43

【魂】 口に金貨を ルチアーノ

>>_5

「……」

若干驚いたように体を揺らしたが文句は言わなかった。
遠くから駆けつけようとする看護師に手を振って、
大丈夫だ、と口元に人差し指を当て笑ってみせる。

貴方の背中を撫でつつ、優しく軽く叩けば、
ゆっくりと息を吐くように促していく。
自分たちに向けられていた視線は段々と減っていき、
また此処は二人きりとなった。

「驚くじゃないか、……まあ。俺の用はこれでおりだ。
 ……まだ片付けないとならんことがある。」

目を伏せて。開けて。貴方を見つめる。

「お前は立てるか?」
(_6) 2023/09/30(Sat) 21:05:01

【秘】 月桂樹の花 ニコロ → 口に金貨を ルチアーノ

お前がマフィアだってこの間まで知らなかったんだぞ。

警戒もするだろそりゃ。法律が施行されてる只中だったしさ。」

マフィアというものを身に染みて知っているから
例え友人だろうと警戒したのは許されたい。
それをリークしたのは彼のアリソン女史なのだが。

「心中って、そんなにか…?
今は、まあ、そうだな。
そこまで思い詰めたりはしてねえけど。
いってえ。ちょ、ヤバイ、いてぇ…!」

あちこち骨折しているせいで
ぎゃあぎゃあ喚きながらも車に押し込まれた。
全治するにはかなりの時間を要しそうだ。

「…頑張って探してみるさ。
アイツの手を引っ張ったんだからな。
そのくらいは、やらねえと。」

男としてダサいだろう、と思うし
引っ張った責任もある。
貴方の言葉に頷いて、最後に。

「今度カンターミネ…いや、先生と飯行くんだけどさ。
お前も来いよな。」

何処かの先生が巻き込んだお食事会。
貴方も来るだろう?と笑う。未来の約束だ。
(-358) 2023/09/30(Sat) 22:24:32

【魂】 口に金貨を ルチアーノ

「知るわけ無いだろう他人が死ぬ理由なんて」

貴方を突き放すような言い方であった。
過去の亡霊になど囚われてほしくない、されどこの胸のつっかかりが酷く痛みはじめている。

「……殺し屋のような連中に殺されていた。
 無事な部分なんて残ってなくてな。
 持ってこれるのがこれだけだった」

本当は手首もあったが、これはボスへの手土産だ。
わざわざ入れなくとも良いだろう情報以外素直に告げてやる。
値段はただで、入院中で幼馴染の貴方へのサービスだった。

その実、便利屋として確実性のある情報などどこにもなかった。
目の前の幼馴染は彼が殺された理由が知りたいのだ。
知るわけがない、過去に恨まれることがあったのか。
痴情のもつれか、私怨か、ファミリーからの刺客か。

何も理解なんてしてやらないしわかりたくもない。
(_8) 2023/10/01(Sun) 0:22:56

【魂】 口に金貨を ルチアーノ

「エル」

だけど自分は貴方には優しく語りかけてやる。
もうきっとその心はボロボロで、自分が何もせずとも傷だらけ。

「この世に死んで良い人間なんて早々いない。
 奴のことは本当に
わからない
、だから。
 こうして彼のものが残ってたことも、運が良かったと思ってくれ」

いつか、彼の罪というものが誰かに提示されるのであれば。
俺だってそれを知りたいぐらいだ、この事件で本当に罪を犯していたものがどれぐらいいたのか。
彼は本当に私刑ではなかったのか、証明できたものはいたのか。

ただ唯一わかることは。

「ただ、そうだな。
 間違えたんじゃないか」

その方法を。信じるものを。取るべき行動を。
何かを間違えた、殺されてしまった理由なんてきっとそれだけ。


「…………。エルが無事で良かった! 心配したんだ。
 俺はお前まで居なくなっていたらどうしようかと」

あなたの背に手を回し抱きしめれば、穏やかにリズム良く宥めるように動かして。
そうして何度も何度でも、優しいあなたの幼馴染は嘯いた。
(_9) 2023/10/01(Sun) 0:31:44

【神】 口に金貨を ルチアーノ

金の出費が激しいなあ、アレッサンドロ


赤字にならないスレスレを狙った被害。
既に片付けられつつも瓦礫が残る爆破された場所は風通しが良くなって外の爽やかな空気をアジトへと迎え入れる。

負傷による人員の損失だけが一番デカいと感じる、
労働的にも、精神面のフォローに関してもだ。

「無駄遣いのし過ぎなんだ、最後の祭りだからって。
 せめて旨いもんを部下全員に奢るぐらいしてからいけ」

#アジト
(G7) 2023/10/01(Sun) 2:10:08

【神】 口に金貨を ルチアーノ

>>G8 ペネロペ

「忙しくなるなあ、ペネロペ。
 ……今回の件で俺の取引相手お友達も半壊なんだが?
 ヴィットーレの店も建て直さなきゃならんし」

同期の声に体ごと視線を向ける、ここ最近は長く見慣れたはずのその容姿がなんだか久し振りに見えた。
それ程までに駆け回っているし、話題の男の残した仕事の後始末が何処をとっても忙しいのだ。

「全く、散歩する隙も無くなりそうだ」
「そうだお前さんは何か報告はあるか?
 俺は言っておこうかと思うことが一応ある」
(G9) 2023/10/01(Sun) 2:55:55

【神】 口に金貨を ルチアーノ

>>G10 ペネロペ

「当分それもお預けになるだろうな。
 どうしても耐えきれなかったら車出してくれ。
 お前も気晴らしに色男の子守唄が聞きたくなったらすぐに言え。
 今ほしいのは時間だね、なにもしなくても良い時間だ」

いつものように怠惰を望む。
ドライブもすぐには叶えられないことだとはわかって貴方には甘えている。
それでも随分前よりはあっさりとした声で、そこに執着の色はなかった。
  
「俺はなあ、ファヴィオを撃ってきた。
 あと幼馴染が年単位で病院の厄介になるほどの重症。
 それと……ああ、イレネオが死んでたから捨ててきた。
 牢屋で過剰な暴行騒ぎがあったの知っとるだろ、被害被ってるのはヴィットーレとカンターミネだけだが報告いると思うかあ?」
(G11) 2023/10/01(Sun) 4:45:49

【神】 口に金貨を ルチアーノ

>>G12 ペネロペ

「酒の金は出してやる、お、ロメオか。いいんじゃないか。
 あいつもこれを機にちっとは昇格するかね……?
 俺が上がりすぎそうになったら推薦して仕事増やしてやる。
 同じぐらいに居て貰わんと困るんだ」

貴方に対しては煽りになるような昇格の軽口がロメオに対しては真面目に考えているような口調で振舞う。
此方の話題の彼は自分達とは違い昇進を望んでいるのかもしれないし、結局はこの男の都合かもしれない。

「さあなあ、イレネオという男は存外真面目だったぞ。
 俺は嫌いじゃない価値観をしていた。
 ただそれが大衆受けするようなもんじゃなかったのと、
 童貞らしすぎたのが問題かねえ!」

少々雑に評価しているのは私怨が混ざった結果。
真実なんて知りたいと思わなかったが、それでも、必要になったら思い出してやろうと思う。
そんな奴に幼馴染が心奪われてるなんて思いたくもなかったし言いふらす気にもなれなかったが。
(G13) 2023/10/01(Sun) 5:52:19

【神】 口に金貨を ルチアーノ

>>G13

「あいつはなあ……一緒に来るかと言われて、断った。
 そして殺し損ねた、次はロメオと仕留めてくる。
 外国混じりの挨拶をしやがって……、また明後日なだとよ」

明後日、そんな日は来ない癖に。
自分たちにとって五年など一瞬だったことのように彼は語っていたような気もする。
嫌な話である、早く静かに墓の下に入っていて欲しいと願うその表情は何処となく穏やかだ。

「まあ確かに。
撃てると思った理由はまた別なんだが。

 お陰で頭もすっきりで変なもんは見えんくなった。
 やっぱり面倒事を断つにはぶっぱなすしかないのかね?」

恐ろしく冷静にそこに愛憎なくとも淡々と告げる姿は珍しいものかもしれない。
件のファヴィオに対しても、ついでに言えば黒眼鏡に対しても既に心から完全な死を願ってお悔やみ申し上げようとしている。

尤も端から失うことが苦手だっただけで、
死によって与えられるものがあると知ってしまえば
その価値観は上書きされるぐらいに素直な人間であったのだ。

誰かに似ているとはあまり自分からは考えたくなかったが。
結局は自分の手で始末がつけれてしまえばそれですっきりするような性格だったのかもしれない。
(G14) 2023/10/01(Sun) 5:56:07

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → L’ancora ロメオ

「今度からはいくらでも聞かせやれるぞ。
 俺は酔ったら口が滑る」

別件でもあまり見せてなかったか、と酒飲みをする知人達を思い出す。
確かに自分は年上とばかり飲んでいた気がするし、目の前の同僚には少し格好つけばかりしていた。
あまり隠しているつもりはなかったのだが。一応は。

一瞬だけ目を離しかけた時に貴方の瞳から零れる涙に視線が奪われてぎょっとする。
何度目だろう、このシチュエーションは。
ここ数日で何人の人間を泣かせてしまったのか片手ほど行きそうなことに、自分でも困惑してしまう。
そこまで女性を泣かせた記憶もないのだ、ましてや成人男性も。

「え。だ、大丈夫か……? だってお前が変なことを言うから。
 こんなに最高の男がゴミ畜生ならこの世界に居る人間の大半は一体何なんだ。
 チリかカスとでも名乗らせればいいのか、結構な言い分だぞ。
 自己評価を少しは改めろ、直ぐに変えろとは言わんがお前ならできるだろう?」

#ReFantasma
(-375) 2023/10/01(Sun) 6:21:58

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → L’ancora ロメオ


「たとえそこにあった人生が薄汚れたモンでも
 俺が磨いて誰にでも認められる存在にしてやる」

掴まれた右手が撫でられ、弄られ、包まれて、まるで大事なもののように扱われる。
なんだか不思議な既視感を感じるのだが、貴方のその表情で憂いはないし、余計なことは消え去った。

そのまま少しだけ体を傾けて、その指先に口づけを落としてやる。


「俺の隣に居るのならそれぐらい、な」


いかないで、傍にいて、置いていかないで。
あの日に言った弱音がまた頭に過って、今は格好つかないと飲み込んで笑い返す。
不安に思っていたことが同じだったとわかってしまえば、もう全て受け入れてしまえばいい。
そして、いつかのその日は――何処までも一緒に連れて行ってしまおうと一人で決めて。
答えは分かり切っているのに、断らないで欲しいと願うのだ。

きっと誰かには文句は言われるだろうが、仕方ない。
みんな俺に気に入られる程価値がある光っているのが悪いのだ。



#ReFantasma
(-376) 2023/10/01(Sun) 6:22:28
 


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