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【人】 電球 フィラメント「………」 「――はぁ〜……」 *電球の彼は、自分が埋葬されていく様を眺めます。 *なんとも奇妙な感覚ですが、それはそれ。 *溜息の所以はそこにはないようです。 「……リディ、なんとなく勘付いているのでしょう?」 「……私の遺体など放っておいて、すぐにでも逃げて欲しいのですが」 *電球の彼は、明かりを小さく落とします。 「――伝わるわけも、ないですもんねぇ」 「…………………」 「迎えるの、嫌ですねぇ」 (6) 2022/07/25(Mon) 19:07:00 |
【人】 電球 フィラメント「私も好きだったんですけどね〜、ノル」 「勿論今もですが」 *届くことはない独り言です。 「だ〜れも嫌いにはなれませんよ、私は」 「皆好きだったので」 「………どうしてこうなるんですかね〜、本当に」 *せめて、せめて。 *私が生きていれば、どうにかできたのでしょうか。 *これは、言葉には出来ず。ただ留めておくだけでした。 (10) 2022/07/26(Tue) 0:59:23 |
【人】 電球 フィラメント「――――」 *もう、とうに死んでいるのに。 *生きている頃も、何処から行っているか分からなかったのに。 *それでも、ひゅっと。息を飲みました。 *それは正しく、目を逸らしたくなる様な、最悪の光景でしたが。 *電球の彼は、目を逸らしませんでした。 「…………、見届けなければ」 【私は、……私は、早々とそこから居なくなってしまったから。 生きていられなかったから】 【……だから、守れなかったから】 【この現実から、…………目を逸らしては、いけない】 *涙を流すこともできない電球の彼は、 *ただただ、そのこうけいをみていました。 (15) 2022/07/26(Tue) 15:59:59 |
【人】 電球 フィラメント「………――」 *電球の彼は、 *そこまでを見届けてから、その場から離れます。 *向かった先は、館の方向。 *自分の部屋へと、向かいしました。 (44) 2022/07/28(Thu) 1:40:29 |
【独】 電球 フィラメント*電球の彼は、自室にある机に向かって座っています。 *机の上には、死ぬ間際に開いていた本が、そのままに。 「…………」 「ふふ」 「――この本の、彼のようにはなれませんでしたねぇ」 *もう触れられない本を、撫でるかのように右手を添わせて。 「……もしも」 「もしも来世なんてものがあるのであれば」 「今度こそは、あなたのようになれるといいのですが」 *開かれたページには、 *傷つき、打ちのめされ、志半ばに折れてしまいそうな勇者を、 *賢者の少年が、背中を押すというシーンが描かれていました。 『大丈夫だよ、勇者』 『キミは勇気ある者で』 『怒りに乱されず、常に先を見据える力がある』 『冷静に、周囲を確りと見抜く力がある』 『……皆を導く、確かな力がある』 『だから、勇者。大丈夫だよ』 『僕や、仲間の皆がキミを支えるから』 『キミは、キミの正しいと思ったことを』 *電球の彼は、捲れないそのページを、 *ただただ、眺めるばかりでした。 (-20) 2022/07/28(Thu) 21:34:27 |
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