【独】 XIV『節制』 シトラ/* もしかして、もしかしてわたし アリアちゃんのところへ行かないと アリアちゃんが動けないのでは……!!!?!!? えっとえっとどうしよう どうしようねえ……! (-43) 2022/12/16(Fri) 19:10:51 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ 羊飼いとして放牧をして 刈り取った毛で編んだ毛織物で 生計を立てていたらしい両親の寝室には、 今思えば辺境の地の酪農家には似つかわしくない 数えきれないほどの書物が並んでいた。 すべてに目を通していたのか、というと 決してそうではなかったようだった。 各地に伝わる箱庭の伝承や聖書を搔き集めて どちらかというとお守りのように位置付けていたのだ。 故郷で暮らしていた頃 両親は、わたしに文字を教えなかった。 本気で必要がないと思っていたのかもしれないし 読めない方が良いと思っていたのかもしれない。 生も死も善悪も何もわからなかった幼い子に 苦しみを負わせまいとしてくれていたのかもしれない。 洋館に来て、文字を教わるようになって 初めて教典の内容を知ったとき、 得体の知れなかった罪悪感がはっきりと形を成して わたしはその場に泣き崩れてしまったから。 ……そういえば、クロさんが洋館にやってきたのは わたしが教典を読める程度の識字力を得て 間もない頃だった。] (148) 2022/12/16(Fri) 20:02:43 |
【人】 XIV『節制』 シトラ──回想・白と黒 …………っ、 ご……ごめん、なさ…… [ 『あんまり泣かないでよね』>>1:322 その一言でまたじわりと視界を滲ませてしまったわたしを、 あの時、彼はどう思ったんだろう。 別に何も思わなかったかもしれないし、 純粋に慰めようとしてくれただけだったのかもしれないし これ見よがしに泣くな、って意味だったなら 呆れられてしまったかもしれない。 改めて尋ねるような勇気は持ち合わせていなかったから 真相はクロさん本人にしかわからない。 ひとつ歳を重ねて、歳ばかり大人へと近付いて ……元々クロさんよりも年上らしいのに みっともない、って思われたかな。 クロさんにも、泣きたい時はあっただろうな。 寿ぎの言葉を一言残して そそくさと去ってしまったクロさんの背中を見送った後。 夜眠る前、一日を振り返る日記に新しい一年の目標として 「あんまり泣かない」を書き加えた。] (149) 2022/12/16(Fri) 20:03:16 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ ──にも関わらず その翌日には何事かでわたしは泣いたし、 ご存知の通り今も泣き癖は治っていない。 けれど、あの日以来 それまでと比較すれば、泣く回数は減ったように思う。 気付くとすれば一番傍に居てくれた アリアちゃんくらいであろう、 ほんの些細な変化でしかなかったかもしれない。 それでも、わたしにとっては革命だった。 わたしの涙を吸い尽くしてくたくたになった白い犬よりも 格段に吸水力の高いもふもふの白ひつじは わたしを見張ると同時に慰めてもくれている気がしたし、 少なくとも彼が同じ場所に居合わせるときには、 可能な限り堪えるようになったのだから。]* (150) 2022/12/16(Fri) 20:04:55 |
【人】 XIV『節制』 シトラ── 回想・もうひとつの居場所 あ、ぅ………… あの、その………… [ 『可愛い』なんて 誰かに言われたのは>>132、 その時が人生初だったんじゃないかな。 村では聴き馴染みのない形容詞だったその言葉が なんだかとても気恥ずかしく感じられたことと、 カルクさんが優しい人で本当に良かった、と 心の底から安堵したのを昨日のことのように憶えている。] ご、ごめん……なさい、本当に では……カルク、さん…………、と。 [ い、言えた……! ……って、顔に出てしまっていたかもしれない。 差し出した掌にカルクさんが乗せてくれた飴玉は、 とびきりあまいとろける林檎の味がした。>>132 その美味しさと、気遣いの言葉と>>133 静謐だけれど温かい祈祷室の空気に それまで堪えていたものが両眼から溢れ出てしまって、 そんなわたしのこともカルクさんは見守ってくれた。] (166) 2022/12/16(Fri) 21:55:23 |
【人】 XIV『節制』 シトラあ……、 ……ありがとう……ござい、ます お世話に、なります………… [ もし何か辛いことがあっても、 悲しいことがあっても、 敢えて口に出すつもりは最初はなかった。 涙は止められなくても、弱音を吐く資格は わたしにはないと思っていたから。 話すのは得意じゃなかったから 無理に話さなくてもいい、の一言が 祈祷室の敷居を跨ぐ難易度を下げてくれた。 わたしが悲しい顔をすることで 本当にみんなを悲しませてしまうのなら、 それはとても申し訳ないと思った。 だからといって、 喜怒哀楽すべてが涙に直結してしまう性格は そう簡単に治るものでもなかった。] (167) 2022/12/16(Fri) 21:55:37 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ いつから、だっただろう。 アリアちゃんのお土産をお使いしながら お土産話も一緒にするようになったのは。 沈んでいる日には決まって面白いお話をしてくれた。 そうして話してもらったお話は、 次にやってみたいことを決めるきっかけにもなった。 悪夢に魘された夜は、 落ち着いたら部屋に戻ろうと思っていたのに。 柔らかなお香の香りと、 頭や背中を撫でてくれる大きな手の温もりは 元々睡眠の不足していた身にそれはもうよく効いた。 ふっと気付けば窓から陽の光が射していて心底驚く、 そういうことが、一度や二度じゃなかった。 初めて悪戦苦闘しながら淹れた紅茶は>>134、 初めてにしては概ね上手く淹れられていたと思う。 というのもカルク先生が横に立っていてくれて、 危なっかしい場面はすべて回避できたからだ。 食堂で一人で復習を試みてみれば 熱湯をポットから溢れさせて ちょっとした騒ぎになってしまったり、 まともにお湯を沸かせるようになっても今度は 何かが物足りない味わいに仕上がってしまったり、と 満足のいく、美味しい紅茶への道程は長かった。] (168) 2022/12/16(Fri) 21:55:48 |
【人】 XIV『節制』 シトラあっ、あの……今日は わたしが、紅茶を……淹れて、みても いいですか…………? [ そんな申し出を思いきってしてみたのは 陽が高くなるまで祈祷室で眠り込んでしまった、 ある昼下がりのこと。 ティーセットを借りて、練習通りに紅茶を淹れて 仕上げに、メルロンをカップの上に乗せた。 その下には、輪切りにしたシトラスと 薬草園で摘ませてもらったローズマリー ] (169) 2022/12/16(Fri) 21:56:55 |
【人】 XIV『節制』 シトラ……ど………… どう、ですか…………? [ 組み合わせは、本を読んで学んだものをベースに アリアちゃんの薬草園を眺めて思い付いたものだ。 つい一週間前に開かれたチェレスタさんを囲むお茶会で 紅茶を淹れる役をしたい、と思えたのは この時の経験が少なからず自信に繋がっていたからだった。]* (170) 2022/12/16(Fri) 21:57:27 |
XIV『節制』 シトラは、メモを貼った。 (a38) 2022/12/16(Fri) 22:04:42 |
【独】 XIV『節制』 シトラ/* ユグさん あたまがいい とてもとても言語化力が高い すごい 尊敬のまなざし ユグさんのおかげで整理できている事柄がすごく多い気がする……拝み倒します………… (-50) 2022/12/16(Fri) 22:15:22 |
【人】 XIV『節制』 シトラ──現在・玄関ホール ありがとう、ございました エーリクさん わたしと、お話……してくれて おかげで、すこし 気持ち……落ち着け、られました ……わたし、 [ 期限は刻々と迫り来る。 エーリクさんも、話しておきたいひとが居るはずだ。 お話がひと段落ついたところで、そっと手を離した。 顔を上げれば、視界が広がる。 常と何ひとつ変わらない笑顔のシンさんが>>1:436 カルクさんの手を取っているのが目に入る。>>139 いつか眠れなかったわたしを 優しく撫でてくれたそのひとが、 今は何故だか小さく見えた。 その柔和な笑みの底にどんな想いを秘めていたか まだ何も知らないわたしは、 世界の醜さも美しさも まだそのすべては知らない、わたしは。] (203) 2022/12/16(Fri) 23:24:08 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ 俄かに、先程より館内が騒々しくなったのを感じた。 お世話になってきた職員さんたちが 険しい表情で洋館内を駆け回っている。 何でも、火急の報せが入った、とか。] …………それ、って、 [ とてつもなく悪い予感がして 思いきり床を蹴って真っすぐに駆け出した。 広間の方へと向かう途中、 ヒナギクさんとはすれ違えただろうか。>>202 向かう先は薬草園、あの子の、アリアちゃんの元へ ]** (205) 2022/12/16(Fri) 23:24:28 |
XIV『節制』 シトラは、メモを貼った。 (a44) 2022/12/16(Fri) 23:28:04 |
XIV『節制』 シトラは、メモを貼った。 (a61) 2022/12/17(Sat) 5:56:51 |
【独】 XIV『節制』 シトラ/* >>251>>252 わ〜〜〜〜〜!!(´°̥̥ω°̥̥`) よよよかったあ.......っ 楽しい感覚.......思い出して、もらえた.............っ >>248らすと3行&>>249 すきだ〜〜〜!!(´°̥̥ω°̥̥`) ありがとう.......ございます.............っ拝む (-71) 2022/12/17(Sat) 6:01:58 |
【独】 XIV『節制』 シトラ/* くくく クロさんが.......っ!! アリアちゃあああぁんわぁぁぁんいつも会えない.......!!!(( しかし節制と運命の輪はほんとに意見が合わなかったのかな.......ってくらい、クロさんは話せばシトラとわかりあえるひとな気が(なかのひとは)しています.......でも魂まで焼き付いてるころころしちゃったトラウマがあるからな............. (-79) 2022/12/17(Sat) 13:48:13 |
【独】 XIV『節制』 シトラ (-83) 2022/12/17(Sat) 18:10:47 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ 一分でも、一秒でも早く会いに行きたい。 傍に行って、顔を見て、話をしたい。 アリアちゃんはどうしたいと考えているのか、 どうしてフォルスさんの答えに興味を持ったのか。 たとえ選ぼうとする道がわたしと違ったとしても アリアちゃんの想いだけは、知らないままで居たくない。 わたしの気持ちも、選びたい答えも あなたには伝えておきたい。 伝えておかなければいけない。 わたしが今こうしてここに居られるのは アリアちゃんがずっと傍に居てくれたからなの。 ] (377) 2022/12/17(Sat) 22:52:23 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ お世話係のひとたちやメイドさんたちに 時折ぶつかってしまいそうになりながら 磨き上げられた廊下を駆けた。 ……誰かから逃げ出そうとするではなく 追いかけるために走ろうとするのは、 わたしとしては珍しい行いだったと思う。 洋館で暮らすようになるまで 閉じた箱の中で暮らしてきたわたしは、 走る、という行為をほとんどしたことがなかった。 ゆえに、走ろうとすればすぐに転びそうになった。 転んでしまえば人を巻き添えにしてしまうか 調度品を壊してしまうかで誰かに迷惑を掛けてしまう。 そう思うからこそ、進んで屋内を走ろうとはしなかったし そもそも走る必要がなかった。 わたしが傍に行きたいひとは、いつだって わたしに歩幅を合わせてくれていた。] (378) 2022/12/17(Sat) 22:52:35 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ 彼女の居る薬草園を目指して見据えた前方 不意に、鮮やかなオレンジが迫ってくるのが見えた。 少し前、 怯えていたアリスさんと一緒にどこかへ行く姿を 滲んだ視界の端で捉えてはいた。 アリスさんは大丈夫かな。 ヒナギクさんは、どうしたいと思っているんだろう。 彼女とも話をしなければ、と意を決して わたしが息を吸い込むより、 あちらの呼び掛けの方が早かった。>>238 ] ヒナギクさん……! わ、わたしは、薬草園へ アリアちゃんの、ところに 行こうと……っ ……してた、んですが [ 勢いに気圧されるがまま質問に答えつつ 足を止めて乱れた呼吸を整える。] (379) 2022/12/17(Sat) 22:53:27 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ わたしも急いではいたけれど、彼女の焦りようからは ただならない気配が感じられて ] ……な 何か…………あった、の? [ アリアちゃん以外には滅多に出ない 素の口調になってしまった。 異常気象、地震、陥没、建物の倒壊、津波、嵐。 世界をその目で見てきた彼女の口から伝えられる、 いま世界中で起こり始めている崩壊の序章。 背筋に、冷たい汗が流れ落ちてゆく ] そんな………… もう、……始まって、いるの [ 絶望的な気持ちで窓の外へと視線を移す。声が、震えた。] (380) 2022/12/17(Sat) 22:54:21 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ それなら猶更早く行かなきゃ。 何もかもが手遅れになってしまう前に。 ヒナギクさんが他のみんなにも 報せを伝えて回ろうとしているのを知れば、 出会えたひとにはわたしも伝えます、と言い添えて ] は、い また、後で…………! [ 彼女と別れ、再び廊下を駆け出し始めてから ヒナギクさんの言葉が一週間前に聴いたそれと 同じだったことにふと気付く。>>241 あのときは、 こんな気持ちで同じ言葉を聴くことになるなんて 少しも思ってはいなかったのに。 ]* (381) 2022/12/17(Sat) 22:54:26 |
【人】 XIV『節制』 シトラ── 薬草園 アリアちゃん……!! アリアちゃん、あのね、わたし……! ……あれ、……いない…………? [ 息を切らして辿り着いた生い茂る緑の中、 探し人の姿はどこにも見当たらない。 いつも彼女が座っている椅子には、彼女の代わりに 小さな黒板が立てかけてあった。>>126 ] …………どこに行っちゃったのかな 探しに……ううん、 また入れ違いになっちゃうかもしれないし ……入れ違って、ばっかりだね [ メッセージを信じて、迷いながらも腰を下ろす。 まだ名前と効能を覚えきれていない薬草達からは アリアちゃんの部屋と同じ匂いがした。] (382) 2022/12/17(Sat) 23:06:12 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ もしかすると、あのひとの あのひとたちのところに行ったのかもしれない。 一番に思い浮かんだのはクリスタベルさんの顔だった。 クリスタベルさんに出会って アリアちゃんの背に隠れつつ初めましてをしたとき、 その挨拶に衝撃を受けたのは今でも忘れない。 穏やかな笑みを湛えたそのひとは それまでのわたしが思いも寄らなかったような存在で、 自分の生きてきた世界の小ささを 思い知るきっかけのひとつともなった。 ──クリスタベルさんが倒れたときのアリアちゃんは わたしがそれまで知らなかった表情をしていて、 彼女の為に何もできない自分の無力さを ]殊更に歯痒く思ったのも、忘れない。 (383) 2022/12/17(Sat) 23:06:56 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ 玄関ホールで神様の声を聴いた後、 クリスタベルさんとゼロさんが話しているのは見ていた。 けれど、その会話の内容は頭に入っては来なかった。 わたしが呆然としている間に 気付いたらクリスタベルさんの姿は消えていた。 その身を案じたアリアちゃんが 様子を見に行ったのだとしても、何も不思議はない。 ──そう、アリアちゃんには アリアちゃんのやりたいこと、すべきことがあるはずで。 限られた時間をわたしにばかり使わせることを 申し訳なく思いながら、 ずっとその優しさに甘えてきてしまった。] ………………、 [ こうしてひとりで緑に囲まれていると 世界の崩壊が始まっているなんて嘘みたいだ。 いくつもの想い出が詰まったこの場所も、 明日には崩れ落ちてしまうのかな。 ここは静かだな、と現実から逃避しかけたそのとき 背後からひぇ、と声が聴こえた。>>269] (384) 2022/12/17(Sat) 23:07:45 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ 振り向いて目に飛び込んできたその姿に 反射的に、鼓動が跳ねる。] …………っ、クロさん [ 声にこそ出さなかったものの わたしの内心も「ひぇ……」だった。 どうして。彼が。ここに居るのか。 咄嗟に身構えて表情を強張らせた後で 用があるのはアリアちゃんではないかと思い至れば、] ……え わたし、……ですか? 構いません…………が [ 驚きに見開いた瞳を大きく瞬いて向き直った。 一度きちんと向き合って話をすべきだと、 頭ではずっとわかっていた。 魂を揺さぶるこの感情は わたしの知らない誰かのもので、 わたしは、クロさんのことを クロさん自身のことを何ひとつ知らない。] (385) 2022/12/17(Sat) 23:08:51 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ 本当は話したいことも 尋ねたいことも、いくらでもあった。 もしも解りあえないとしても だからこそ話をすべきだとも思っていた。 こんな状況に置かれるまで、勇気が出なかっただけ。] えと…… あの…… その ──何から、お話しましょうか [ 窺うように、彼の方をじっと見つめる。 きちんと揃えた両膝に両手を置いて。]** (386) 2022/12/17(Sat) 23:09:09 |
(a90) 2022/12/17(Sat) 23:15:33 |
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