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【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → 陽炎 アベラルド君の趣味の調度品。 居心地よく調節された空調。 片付いてはいるが生活感のある部屋。 男はここが好きだった。 そういえば君は、彼の部屋に足を運んだことがない。 従順に口を開けて待つ君はやはり餌を待つ小鳥のようで、 そこに唇を合わせた男は親鳥のようにも見えただろうか。 君はこの男のキスをよく知っている。 この舌がどうやって君を求めて、どうやって暴いていくかを知っている。 腰を下ろしたソファは男二人が寝るには狭い。しかし身を寄せ合えば不可能ではないし、むしろその方がいい時もあるということも、よく知っている。 ほんの一瞬、熱が離れて。 君の腹の上で手が滑った。 「いい?」 返事は多分Beneだろう。 (-15) 2022/08/23(Tue) 23:24:16 |
【秘】 陽炎 アベラルド → 家族愛 サルヴァトーレ進んで誰かの部屋に行くような性分でもない。 元々気が向かなければ、一人でいる時間の方が多い。 貴方の部屋へ行った事が無い事には気付いているけれど、 きっとだからと言って覗いてやろうという事も無かったのだろう。 ぬるい温度。 求めれれば応えたし、暴かれるのならそのままに。 アベラルドの方からこういう事を進んでする事は少ない。 殆どがきっと貴方からで、そしてやっぱり拒まないのだ。 こういう風に。今までみたいに。 そして、今も。 最初はその許容全てが、『嫌ではない』という 消極的で受動的な理由だったかもしれない。 でも、今は貴方の事を受け入れたいからで、甘やかしたいからで、 二人の距離が無くなるこの時間が、無自覚に気に入っていたのだろう。 自覚したところで、そうだと認めることも無いのだろうけど。 「……ああ」 「いいよ。サヴィ」 「好きにしろ」 返事は貴方の予想通りに。断る理由も無かったから。 これからきっと貴方に触れられなくなるのだから。 貴方の熱を覚えるように、この夜を過ごすのだろう。 最後に。 * (-37) 2022/08/24(Wed) 14:00:10 |
【秘】 陽炎 アベラルド → 家族愛 サルヴァトーレ* * * * * * それから。 あの日から二日後の朝にでも、 貴方のスマートフォンにメッセージが来るのだろう。 時間の指定と、場所と。 『よろしく』とだけ添えられた、簡素で短いメッセージが。 貴方があの夜のように、これまで通りに彼の願いを聞き届けるのなら、 アベラルドは夜、約束の場所で待っている。 (-39) 2022/08/24(Wed) 14:03:27 |
【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → 陽炎 アベラルド「ふふ、─────うん」 「愛してるよ、ドニ」 蕩けるように、 甘く、 囁いて。夜を溶かすのだ。二人は。 █ メッセージにはすぐに返事があるだろう。『了解』とこちらも一言。その後に普段通りの天気や食事に関する話題がぽつぽつと寄越される。少なくとも文字の上では、男の振る舞いはいつも通りに見えた。 それからアジトでの報告を聞き、各々自分のすべきことを行う。 そこでもやっぱり男はいつも通りににこにこと皆の顔を見て回っていて、なんの代わりも動揺も見せない。 その平静さを君が疑うことはないのだろう。 そして、夜。 男は約束通り君のもとへと現れる。 普段通りの靴音を鳴らして、普段通りの服を身につけて、普段通りの笑みを携えて。 「やあ、ドニ。早いね」 「わりといい夜だ。祭りもまだ、十分賑わっているようだし」 特別なところは何もない。きっとこれも日常の一場面でしかないのだろう。 (-47) 2022/08/24(Wed) 18:13:03 |
【秘】 陽炎 アベラルド → 家族愛 サルヴァトーレ普段通りのメッセージをこちらも普段通りに返す。 アベラルドが本当にいつも通りなのか、取り繕っているのか。 文字の上では表情も声も分からないのだから判別は付かないだろう。 けれど、恐らく、本当にいつも通りなのだ。 そして貴方もきっとそれを疑いもしない。 特に準備らしい準備はしなかった。 持っているものだって大きく変えはしない。 これからする事はきっと自分の為にしかならない事だ。 家族にとっても損害だし、貴方の死を悲しむ人だって沢山いる。 それでも、アベラルドは取りやめたりはせずに。 靴音で、誰が近づいているのかは分かった。 早くもなく、遅くも無く、本当にいつも通りの音。 声を掛けられる前にそちらを見て、笑う。 こちらも、大きな変わりもなく。 「そりゃ、こっちが呼んでおいて待たせるわけにはいかないだろ」 「向こうで馬鹿みたいに騒いでる奴もいたな。 酒も飲めない奴が浮かれて飲むからああなる」 言葉を交わしながら、手招く。この路地に続く暗がりの方へ。 「こっち」 子供ならば手でも引いたのだろうか。 アベラルドは先に背を向けてそちらの方に歩きはじめる。 ▼ (-50) 2022/08/24(Wed) 18:29:38 |
【秘】 陽炎 アベラルド → 家族愛 サルヴァトーレそれだけ、いつも通りじゃなかった。 いつもは貴方と歩調を合わせでもするはずなのだ。 だから、コレはわざと。 この数秒が今なら逃げられるという、最後の時間だ。 (-51) 2022/08/24(Wed) 18:30:53 |
【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → 陽炎 アベラルド男はアルバの顧問だ。 ファミリーの全てに心を砕き、配り、人となりを知り、交遊する。時にはボスの友人にすらなり、その言葉を否定すらして見せる。その立場は、概して幹部より重い。 であるというのに、男はまるで中間管理職のように熱心に動き回った。その姿はただの善人、或いは各々の兄、親、友人のようにも見えたろう。その親しげな様子を煩わしく思う者も当然いたけれど、概ね好かれている様子だった。 きっとそれは、君から見ても。そして、君も。 二人の振る舞いは思慮に欠けているのかもしれない。 それでも、止めておこうだなんて言わなかった。 「祭りで羽目を外さないなんて損だからなぁ。うっかり危ないところに踏み込まなきゃいいんだけど」 君の気遣いを、 ────それとも最後の畏れを、 男は受け取ったのかどうか。機嫌が良さそうに笑っては歩みを進めた。追いつくように、その歩調を早めて横に並ぶ。 (-70) 2022/08/24(Wed) 19:32:50 |
【秘】 陽炎 アベラルド → 家族愛 サルヴァトーレ「全くだ。ここら辺なんか、特に物騒なのにな」 そう言って、ついてきたのをちらりと見ては一つ浅く息を吐いた。 もう後戻りは出来ない。 暗く細い路地は当然と言うべきか、人の気配一つない。 夏の空気が湿気を伴って、建物の隙間に風となって緩やかに吹いていた。 転がっている何かの瓶を軽く足で横に蹴れば、 コンクリートの上を転がる硬質な音がした。 「ここでいいか」 何度か道を曲がって、進んで、待ち合わせた場所から奥まった位置に立ち止まる。そこだけはさっきまで歩いていた道より小奇麗で、ゴミも落ちちゃいなかった。 「もう少し綺麗な場所にしてやりたかったんだけど、そんなとここんな陰に無いもんな」 貴方に向き直して、気の抜けたように笑った。 その顔は酷く寂しがっているようにも見えるし、 酷く安心したようにも見えるだろうか。 「……傷は付けたくないんだ。銃もナイフも使わない」 ぱ、と顔の横で両手を上げる。 (-75) 2022/08/24(Wed) 19:54:28 |
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