【人】 灯守り 立春[さて、そんな処暑さんを見送ってすぐ後のこと。 突然上がった誰かの悲鳴めいた声に驚いて>>2:141 何事かと慌ててそちらへと視線を向けた。 ──そこにおられたのは いつも小満さんの傍に控えておられる 可愛らしい蛍さん、麦さん。 彼女もまた見たところ同じくらいの歳に見えて ひっそりと親近感を抱いている方のひとりだ。 そんな麦さんが急ぎ駆け寄った先に あったのは自分の和菓子で、 ほっとした表情で小皿にとってゆく姿が見えたから>>2:142 そのあまりの微笑ましさについにっこりしてしまった。 大丈夫。そう簡単に消える数じゃありません。 本日はお留守番中の蛍さんたちや お師匠様が居られる方にはその方の分までも お土産に持ち帰っても十分なくらいの数があります。 ただし、その分、ひとつひとつが お祭りの当日作る予定のものよりも少し小ぶりですが。 小満さんのお店『慈雨』にお邪魔したことはまだない。 お店の評判を風の噂で聞き付けて 料理の研究がてら遊びに行きたがった弟子を、 師匠は悉く止めたのだ。] (42) 2022/01/23(Sun) 18:38:09 |
【人】 灯守り 立春[その当時、珍しく焦った様子の蘭花様いわく] 「駄目だ。絶対駄目。 僕は東風ちゃんを小満に逢わせたくない。 あれは末恐ろしい天然誑しだよ。 啓蟄域の小蝶、 君の目から見ても礼儀正しくて非常に有能な 凛としたお姉さん、って認識だろうけれど 彼を前にすると完全に恋する乙女になってしまうんだ。 あの羞花閉月の傾国美人がね。 本人は上手く隠しているつもりのようだが…… ……そんな奴に会わせてしまったら東風ちゃんも 僕より彼の方がいい、って 言い出してしまうかもしれないだろう? だから駄目。」 [私は今までもこれからも姉一筋です、と正直に答えたら 身内は別だと謎の理論を展開されたのを憶えている。 師匠と小満さんお二人の仲は 特に悪くはなかったようだけれど、 そういう理由で灯守りになるまでお逢いする機会がなかった。 加えて立春域からそちらの方角へ向かう時は大体 その隣の芒種域でお姉ちゃんに甘えて たまの休暇を丸々終えてしまう。かくして、 美味しいと評判のごはんは未だに食べそびれている。] (43) 2022/01/23(Sun) 18:38:31 |
【人】 灯守り 立春[ 『つぶあんが好きか。こしあんが好きか。』 それは我が立春域に於いても古より連綿と 親から子へ、子から孫へと受け継がれてきた ともすれば戦争になりかねない大問題だ。 人の好みは十人十色と思って お祭りの当日も両方を用意するつもりではあるのだけれど。 場合によっては用意する比率を変えた方が 救われる命が増えたりもするのかもしれない。 私自身はと言うと、桜餅と椿餅はこしあんが 黒豆大福やおはぎはつぶあんがいい。 上生菓子の中身はこしあんであって欲しいけれど ぜんざいもおしるこもどちらも美味しい。 だから、どちらかを選べと言われるとむずかしい。]* (45) 2022/01/23(Sun) 18:38:44 |
灯守り 立春は、メモを貼った。 (a25) 2022/01/23(Sun) 18:45:30 |
【赤】 灯守り 立春[パパは、私の知らないことをなんでも知っていた。 ママは、私の出来ないことがなんでも出来た。 お姉ちゃんが現れるまで身近な大人が 両親かご近所のおばさんくらいしか居なかったから、 『大人』はみんなそうなのだと思っていた。 だからお姉ちゃんは、幼かった私にとって 『めずらしい大人』だった。>>*21 お姉ちゃんは、おままごとで 『お料理』を食べるふりをするんじゃなく その『お料理』をきっかけにお話をしてくれた。 ママを真似してどんなに『おいしいお料理』を作っても 『本当のごはんみたいには食べられない』のは 子どもの私もちゃんと理解していたから、 お姉ちゃんが話してくれる色々なお話が 楽しくて、わくわくして、大好きだった。 パパはいつだって私より先に私の気持ちを察そうとして パパの考える最善を尽くそうとしてくれて、 それはそれで優しかったと思っている。 けれど、『ぱぱの役』を担ったお姉ちゃんは 私の気持ちをひとつひとつ根気強く尋ねて、 私自身も上手く言葉にできなかったような私の望みを 丁寧に紐解いてから形にしようとしてくれた。] (*60) 2022/01/23(Sun) 23:04:07 |
【赤】 灯守り 立春[空を映したような虹色のピクニックシートの上で ほとんど休みなく毎日のように生み出される "ぱぱ"と"まま"とぬいぐるみたちとの物語は、 最初は確かに両親の真似事だったけど そのうちに私達ふたりしか知らない新しい物語になって それがとても楽しかったのを憶えている。 お姉ちゃんが、ごっこ遊びじゃなく現実に 代理を担っていたことを 幼い私はまだ知らなかった。 お姉ちゃんが一体何者なのか、さえも。] (*61) 2022/01/23(Sun) 23:04:15 |
【赤】 灯守り 立春[何の疑問も抱かずに目の前のものを素直に吸収しては 模倣と反復、少しの創造を繰り返していた幼少期は、 やがて身近にあるもの全てに疑問を抱く いわゆるなぜなぜ期へと突入する。 どうして空は青いの? どうして夕やけは赤いの? どうしてお花が枯れると木の実ができるの? どうして土にお水を混ぜると固まるの? どうしてアメンボはお水の上を歩けるの? 世界のありとあらゆる物事が不思議で仕方ない。 最たる謎に包まれていたのは他ならぬお姉ちゃんだった。 どうしてお姉ちゃんは、 まつりにやさしくしてくれるの? どうしてお姉ちゃんは、 まつりのおねがいを何でも叶えてくれるの? どうして、『行かないで』は叶えてくれないの? どうして、どうして、 『行ってきます』じゃなくて 『また遊びに来ます』なの?] (*62) 2022/01/23(Sun) 23:04:20 |
【赤】 灯守り 立春おねえちゃんは、 まつりのほんとのおねえちゃんなんだよね……? どうしてずっといっしょにいられないの? どうしてどこかにいっちゃうの? パパも、まいにち、どこかにいっちゃうの。 なんにちもあえないときもあるの。 おしごとだ、っていってた。 おねえちゃんもおしごとなの? どんなおしごとなの? [お姉ちゃんがどんな想いで私に付き合って どんな想いで私の質問を聴いていたか、知らない。] おしごと、たいへん? あのね、パパもママも、かたをとんとんってしたら よろこんでくれるの。 とってもらくになるんだって。 おねえちゃんも、 とんとんってしたらげんきになれるかな? (*63) 2022/01/23(Sun) 23:04:35 |
【赤】 灯守り 立春[今にも泣き出しそうな笑顔で 私の絵を受け取ってくれたお姉ちゃんが、 どうしてそんな表情をしたのか、知らない。 幼い頃から貰い続けている抱えきれない程の愛情に 感謝の気持ちを返せている気は 大人になった今でも全然していない。 けれど、 お姉ちゃんがどうしたら心から喜んでくれるのかは ずっと、ずっと、今も考え続けている。]** (*64) 2022/01/23(Sun) 23:04:42 |
【人】 灯守り 立春[『あなたはもう大人なのだから お姉ちゃんに甘えるのはやめなさい』と、 直接誰かに言われたことがあるわけじゃない。>>52 お姉ちゃん本人からは言わずもがな、 両親にも、亡き師匠にも、蛍さん達にも。 むしろお姉ちゃんには、離れて暮らすようになってからも 顔を合わせる度にこれでもかとばかりに甘やかしてもらって その心地良さに甘え続けている次第で。 叶うならこの先もずっと甘え続けていたい。 だから、不安だったのは、 心を置き去りに身体だけはいつの間にか すっかり立派な大人になってしまった自分が、 幼い頃と変わらない態度で接し続けることを お姉ちゃんが受け入れてくれるかどうか。 お姉ちゃんに甘え続けることで 限りなく幼稚に、灯守りとして頼りなく見えて そんな私を妹に持つお姉ちゃんにまで私のせいで 要らない心労や迷惑が降り掛かったらどうしよう。 それだけ。] (85) 2022/01/24(Mon) 19:55:33 |
【人】 灯守り 立春[ひとつめの不安は、お姉ちゃんにいつも通りに 抱きしめてもらえたことであっさり飛んでしまった。 どうも最近会えていなかったせいで ちょっぴり情緒不安定になってただけらしい。 ふたつめの不安は、ふたりきりで居られる時なら 何の心配も要らない不安ではある。 公の場では我慢すればいいだけの話だ。 それが出来るなら、だけど。] (86) 2022/01/24(Mon) 19:55:38 |
【人】 灯守り 立春[家を離れて師匠の元で いろいろな人と関わってゆくうちに、 自分がそれまでいかにママやお姉ちゃんに甘えて 頼りきってきたかを思い知った。 蘭花様も、黄鶯さんも氷魚さんもとても親切で 私をまるで実の娘かのように教え導いてくれた。 教わったことは何度だって復習して覚える。 わからないことはすぐに訊ける。 習得スキルに応じて段階を踏みながら 少しずつお仕事も任せてもらえたし、 成果を上げられれば褒めてももらえた。 それでも大事な書類ばかり失くしてしまう悪い癖は 弟子時代からいくら反省しても治らなかった。 師匠と蛍の二人が所用で領域を留守にする間 修行の一環として留守番を任されることは度々あって、 そういう私ひとりしかいない時に限って 手に負えない案件が持ち込まれた時には お姉ちゃんと師匠と蛍さん達の名前を 半泣きになりながら何時間も呼び続けたりもした。] (87) 2022/01/24(Mon) 19:55:42 |
【人】 灯守り 立春[幼い頃は、悩みごとがあればすぐに話を聴いてもらえた。 して欲しいことがあれば望むとおりにしてもらえた。 それは決して当たり前のことじゃなくて 両親とお姉ちゃんの愛情と優しさだったのだと、 気付いたのは師匠に弟子入りして 温かくも厳しい修行が始まってからだった。 いろんな方向から多角的に見て、 より良い結果が得られるように責任を持って 立春の名を背負って決めなければならないとなれば そう簡単には答えを出せない問題がたくさんあった。 師匠は「もっと気楽に考えて良いよ」と言ったけれど 何が『正解』なのかわからなくて。 やっとの思いで導き出した答えにも、 本当にそれで良かったのか自信が持てなくて。 いくら考えても良い策がちっとも思い付かずに お姉ちゃんならどうするかばかりを必死で考えた。 どうしても煮詰まってしまった時には、 お姉ちゃんのところに飛んでいきたい衝動に駆られた。] (88) 2022/01/24(Mon) 19:55:48 |
【人】 灯守り 立春[実際灯守りを引き継いで移動能力を得てすぐは特に、 師匠の居ない心細さと淋しさもあって隙を見ては お姉ちゃんのところに文字通り飛んだ。 弟子として学んできてとっくに 危なげなく出来ていたはずの事柄から、 知識としては学んでいたけれど 実際に直面するとどうしていいかわからないこと、 そもそも教わっていなくてどうしようもないこと。 蛍の二人や近隣地域の大先輩方も頼ったけれど、 どの灯守りにも共通していそうな悩みごとはいつも 一番最初にお姉ちゃんに相談しに行った。 そうしてお姉ちゃんと話しているうちに そもそもの本題をころっとさっぱり忘れて、 全然関係のないとりとめのない話をしたいだけして ごろごろと甘えたいだけ甘えさせてもらう。 そういうことが、数日おきにあった。] (89) 2022/01/24(Mon) 19:55:53 |
【人】 灯守り 立春[もし妹に殺されるなら本望、なんて言われたなら>>49 眉を釣りあげて泣きながら怒ってしまうだろう。 たとえ懇願されたとしてもそれだけは叶えられない。 私の命が尽きると言われたとしても、 お姉ちゃん自身がそれを望まなかったとしても お姉ちゃんがもし死にそうなら迷いなく力を使う。 いつまでもわがままな私で居たら お姉ちゃんは愛想を尽かしてしまうかも、って 思ったことも、なくはなかった。 でも、……他ならぬお姉ちゃん本人が 今のままの私でいいって言ってくれるなら 私は私のまま、変わらない私でいいんだと思える。 少なくとも、今は。] だよね! そうだよね!! さみしいよね! おんなじ気持ちで良かったぁ……!! そう言ってもらえるとすっごく助かる! 頼りにしてるねっ、お姉ちゃん!! [今日はきちんとお仕事をしているところを見せて>>49 たくさん準備を手伝ってくれたお姉ちゃんを安心させたい。 ある意味授業参観のような緊張感もあったのである。] (90) 2022/01/24(Mon) 19:55:57 |
【人】 灯守り 立春[──かくして始まった会合での妹の奮闘ぶりは先述のとおり。 周囲を見渡す余裕が生まれたころには妹は 『しっかり参加している風』を見事に装っている>>59 お姉ちゃんをちらちら盗み見ては、 今日も私のお姉ちゃんは世界一だなぁ……!! お仕事中のお姉ちゃん見るのひさしぶり〜! かっこいい!! 最高!! しあわせ!!! ……と、惚けたり 今の報告書だいじょうぶだった? 私おかしくなかった? ちゃんとやれてた?? お姉ちゃん見てくれてた〜!!? 私がんばったよ!! ……などなど 傍から見てもまるわかりな すべての感情が顔に書かれた目線で訴えたりしていた。 着崩れを知らない着物姿は凛と美しくて ぴっと伸びている居住まいにやっぱり憧れる。 お姉ちゃんが着物を着ている理由は知らず、 背筋が伸びているのが着物の力だとも知らないままに やっぱり今度葵ちゃんに着付けを習おうと心に決めた。 着物姿で遊びに行ってお姉ちゃんをびっくりさせたい。 それでもってそのままお買い物に行きたい。 なおお姉ちゃんもあの端末をねっとり眺めていたのには ぜんぜん気付かなかったよ!>>60]* (91) 2022/01/24(Mon) 19:56:14 |
立春は、ええっ可愛い……と思いながら麦さんを眺めた。 2022/01/24(Mon) 20:50:09 |
【人】 灯守り 立春[すらすらと無事に報告書を読み上げられた私を 隣席の雨水さんが尊敬してくれていたと知ったなら>>2:109、 はにかんで照れながらも素直に喜んだと思う。 そして、 『立春域の未来を想って』というよりは 『大好きなお姉ちゃんにがんばる自分を見てもらいたい』という 限りなく私欲に傾いた理由で練習を重ねていた自分を ちょっと反省したと思う。 ちなみに眠気を覚ますために刺したペンは、 さすがにちょっとどころでなく痛かった。 次回眠気に襲われたときは別の手を考えたいと思う。 立春域のお祝いの時期には観光に訪れるお客さんも多く、 お隣同士の雨水域・大寒域は特に頼ることになるだろう。] 今年は例年に比べて立春域も積雪が多く、 会場に使う予定の施設の雪が 祭事までに解けきらない恐れがあります。 もしもの時には雨水さんにお願いするかもしれません。 その際には、御協力いただけますと…… [とは、会合の報告書に盛り込んだ希望のひとつ。] (99) 2022/01/24(Mon) 20:51:27 |
【人】 灯守り 立春[さて無事に会合が終わった後、 差し入れの和菓子を並べ終えてから 可愛い人に可愛いしろいのと可愛い橙のが乗ってるのが見えた。 う、うらやましい。 心から、心の底から羨ましい…………!! ……と口には出さなかったけれど 可愛いの大洪水地帯はそれはもう眼福でした。 ごちそうさまです。 そんな雨水さんが和菓子を 二人分手に取ってくださっているのに気付いた。>>48 きっと片方は、村雨様に渡されるのでしょう。 蘭花様が、作った和菓子を よく村雨様にお裾分けなさっていたのは 弟子の私も傍で見ていたので良く知っています。 渡すたびに村雨様が喜んでくださるから 作り甲斐があると、師匠も嬉しそうでした。 そんな村雨様ならばきっと本家本元師匠作の 桜餅・椿餅・黒豆大福を召し上がったこともあるはず。 弟子の作った和菓子にどんなご感想を抱かれるか…… ……考えたら少し緊張してきた。やめよう。 もしアンケートに第三勢力 ]*『白あん』の項目が追加されたなら…… 行方を、見てみたくもあるかもしれない。 (100) 2022/01/24(Mon) 20:51:34 |
【人】 灯守り 立春[雨水さんは積極的にいろんな方々と 物怖じなさらずに交流を深めているようだ。すごい。 こういった一面も、 『大物』と呼ばれる所以なのかもしれない。 そんなことを思いながら雨水さんのお手元の とろけるチョコレートの掛かった苺を眺める。>>80 あんなの絶対美味しいに決まってるじゃないですか! そういえば和菓子の売れ行きを見守るのに夢中で まだ何も食べられていない。 焼売foodでも食べようかな? と、手に取ったところで 見慣れた美しい色の灯りを視界の端に捉えた。>>6 春分の頃に咲く青い花に似た、 綺麗で落ち着く色の 灯り 。一生に一度は見たい 世界の風景ベスト3に毎年ランクインする 春分域の名勝の桜と同じくらいに、 私はネモフィラの花がとても好きなのでして] (103) 2022/01/24(Mon) 21:11:38 |
【人】 灯守り 立春雀さん……! こんにちは! 先程は会合お疲れ様でした。 お隣、お邪魔しても構いませんか? [用意した和菓子を三種類ともお手に取ってくださり 緑茶と共に腰を下ろされた彼女にお声掛けしてみる。 お近くに春分さんもおられたならば、同じようにご挨拶を。 いつもは紅茶を召し上がっておられるイメージの雀さんが 珍しく緑茶を手にされているのに気付くと、 ペアリングまで大切にしてくださっていることに 心の中でひっそり感銘を受けた。 お許しが得られたなら、 ご感想を伺いがてらしばし談笑を。]* (104) 2022/01/24(Mon) 21:11:45 |
(a44) 2022/01/24(Mon) 21:27:30 |
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