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【人】 マリィ[身寄りのないゲイ……しかも水商売のアタシが 新しい部屋を借りるのにどれだけ大変か きっとこの大家さんだけじゃない、 タワーマンションの住人も、誰も知らない。 収入があっても審査が通らない。 家を買うどころか、部屋を貸してもくれない。 半年以内に、と言われても すぐに次が見つかる保証も何も、無い。 自分のセクシャリティに気が付いたのは 中学生の時───── 「何となく」覚えた違和感を確かめるために 「何となく」出会い系サイトを使って 悪い大人と身体を交えたら、 思ったよりしっくりきて。 そのまま自分をひた隠しに生きるより ゲイコミュニティで生きたいのだ、と この道に入って13年。 あの時は、こんな茨の道だと知らなかった。] (28) 2020/09/10(Thu) 20:22:26 |
【人】 マリィ[だから、ほんのちょっとでもいいから 今の状況を笑い飛ばして欲しくって、 お店でこの話をお客さんに話したの。] マジ、酷いったら無いじゃない?! オカマ路頭に迷わせてさぁ…… 街の風紀がどうとか言うなら アタシみたいないい女はキチンと 家ん中仕舞っとかないと。 [あはは、なんて笑って見せたら カウンターに身を乗り出して、 空いたシャツの襟からそっと 平らな胸元を寄せてみせて…… 常連客にいつものおねだりしてみせるの。] (29) 2020/09/10(Thu) 20:23:57 |
【人】 マリィアタシを飼ってくれる人、 どっかに居ないかしら、ね? ……家賃?アタシが身体で払ったら お釣りを払うのはアンタの方よ?……なんて。 [強欲なオカマなんか、誰も親身になって 懐に招き入れようとはしてくれなくて 常連の建設会社の社長さんだけが アタシの髪をひと房すくって] 「じゃあ、払うんだったら ガッツリ楽しまないと、損かな?」 [なんて、冗談めかして笑ってくれた。] (30) 2020/09/10(Thu) 20:24:43 |
【人】 マリィ[正直、この五十絡みのオジサンに しこたま抱かれるくらいなら 一人で死んだ方がマシかもしれない。 女言葉を使って、しなを作ってみせたって アタシはどうしようもなく『男』だった。 アタシの立たされている苦境の話は いつしか何も解決しないまま ずるずると鉄板ネタになっていった。 笑うだけじゃ、何も解決しない。 でも、道をひらくだけの脳みそもない。 明るい未来も無ければ、夢もない。 そのくせ、オカマの仮面を脱ぎ捨てて 誰かに必死に助けを求める勇気もなければ、 その先を生きる気力もとっくに無かったの。 そうして、期日の一週間前になっても 夢も希望も、アパートの一部屋すらも アタシには見つけられなかった。] (31) 2020/09/10(Thu) 20:27:55 |
【人】 マリィ[必死で部屋を見つけるのと、 ここで全部終わりにするの、 ……一体、どっちが楽かなって。 店から家に帰る途中、 夜の公園でぼんやりブランコを漕ぎながら アタシはぼんやり考えていたの。 十二時なんかとっくに過ぎた真夜中に 王子様なんか現れるわけがないのだもの。]* (32) 2020/09/10(Thu) 20:31:10 |
【人】 マリィ[「こんばんわ」なんて挨拶だったから>>39 アタシはてっきりお巡りさんかと思ったの。 あー、久々の職質かぁ……なんて 嫌な顔して振り向いたら、 何度か見かけたような顔がそこにあった>>39] あ、え……っと……、 [何度か、お店に来てくれた人。 だけどいつもカウンターの片隅にいて>>35 最初、どんな風に話しかけたらいいのか よく分からなかったのよ。 ……だけど、誰かとの話の会話の端々に 少し笑っていたりして ようやく「この人、場所が欲しいのかな」って 思い至ったの。 明日をよりよく生きるために 笑いたい人もいれば、自分より下の生き物を 見て安心したい人もいる。 多分この人はどれでも無くて、 安心して居られる場所が欲しいのかなって。 笑った顔は優しかったし、 おしゃべりは……壊滅的かもしれないけど でも、嘲笑うような感情も見えなかったから。] (40) 2020/09/11(Fri) 0:07:11 |
【人】 マリィや、やだァ……えっと、 ちゃんマキ、 だったかしら。 こんばんわ、どうしたの? [一度だけ呼んだきりのあだ名を 記憶の中から引っ張り出して アタシはアイライナーの滲んだ顔で どうにか笑って見せたでしょう。 「どうしたの?」って、 深夜にコンビニ行きました、って格好の人と 無人の公園でブランコ漕いでるオカマとじゃ どうしたの?選手権は勝負にもならない。 ……ああ、気の利いた逃げの文句が もう、なんにも思いつかないのよ!] (41) 2020/09/11(Fri) 0:08:05 |
【人】 マリィ[結局、少し迷った挙句、アタシは 砂のついた革靴に視線を落としながら 静かに口を開くでしょう。] …………アパートの退去期限、 次が決まらないうちに、来週になっちゃってさ。 「何とかなる」って生きてきたけど 本格的に店に寝泊まりするか いいチンコに飼われるかしないと どうにもならないところまで、来ちゃって。 [ここで笑ってもらえたら、 少しは気が楽になるかも……って思ったのに どうにも声が震えてしまって、 いつも通りに笑えなかった。 こんな、常連でもない客に ガチな悩みを見せるのは、正直 裸になるより恥ずかしい。 ざざ……と足元の砂に線を描きながら アタシは自分のつま先ばかり見つめている。] (42) 2020/09/11(Fri) 0:09:10 |
【人】 マリィ……真っ当な道からは自分から離れたんだもの 今更陽向に生きられる気はしないけど それでも、時々夜の闇に押し潰されて 本当に、気が狂いそうになってしまうの。 [多分この人は昼に生きている人。 ノンケかゲイかも分からない。 言ったって、仕方ない。 ─────分かって、いるのに。 剥げかかった赤い唇が、ゆがんで、 笑みにもなれない曲線を描く。] ……なんて、こんな厚化粧のオカマが言っても 元から狂ってるって感じだっつーの。 [だから、この醜態を一笑に付して頂戴。 アタシの願いを余所に、ぐう、と 空気を読まない腹の虫が鳴いた。]* (43) 2020/09/11(Fri) 0:10:34 |
【独】 マリィ/* 環さんのコミュ障が頑張ってる感がすごい…… 勇気振り絞ってる感、と言っても良い。 一言出てくるまでのモノローグの量よ……わかる…… (-20) 2020/09/11(Fri) 10:35:45 |
【人】 マリィ[あんまり話したこと無かったけれど 随分と一言一言、絞り出すみたいに 話す人だなっていうのが、アタシの印象。 胸中に渦巻く膨大な意志の中から おっかなびっくり、最良っぽいものを 懸命に吟味するみたいな。 それでも、ちゃんマキから隣に座ってくれたのは ちょっと意外だった、かも。 こういうタイプって慰め下手だから、って 自分から身を引くタイプが多いと思ってたから。 ただただ黙って隣にいてくれるちゃんマキが それでも、本音では、ちょっと怖かった。 笑うでもなし、慰めでもなし、 隣でブランコを揺らすだけの彼の顔を アタシは、どうしても見られなくって。 ぎい、と二人分の大人を載せたブランコの 苦情をどこか遠くに聴きながら アタシはじっと、足元に引かれた 二人分の軌跡を見つめていた。] (88) 2020/09/11(Fri) 18:50:38 |
【人】 マリィ[漸く口を開いたちゃんマキが 何を言うかと思ったら─────] へ、おそうざいやさん? [思わずびっくりして、漸くアタシは 隣の男をまじまじと見つめ返した。 なんか、お惣菜屋さんは年季の入った おばさんのイメージがあったから…… 隣にいるこの口下手な男がカウンターに立って 接客してるのが想像出来なくて。] (89) 2020/09/11(Fri) 18:51:06 |
【人】 マリィ[だけど、その目から見える景色は 全然違うけど、アタシのそれと少し似てる。 どんなに望んでも「普通」にはなれなくて 蚊帳の外から眺めるだけ。 他の人の暮らしている「当たり前」すら 手の届かない帳の向こう。 ─────ああ、もしかしたら この人も同類なのしから、って 深く話したことも無いくせに 何となく、匂いで分かっちゃった。 口下手なわりに顔悪くないしね。 ]母性本能くすぐるタイプっぽいけど 女の影はないし、ね。 (90) 2020/09/11(Fri) 18:51:36 |
【人】 マリィ[ぐぎゅる、と間抜けに鳴いた 腹の虫に答えるように ちゃんマキは静かに口を開いたの。] ……なによ、それ。 [慰めでも笑いでもなく、 この状況からの解決策が帰ってきて ……しかも、悔しいけど、ちょっと魅力的。 アタシはくるくる視線をさまよわせて 何かひとつでもケチつけてやろうと 文句の付け所を探したんだけど またひとつ、腹の虫が「それどころじゃない」って ぐぅぅ、と唸った。] (91) 2020/09/11(Fri) 18:52:00 |
【人】 マリィ─────お酒、温くなるわよ。 [じんわり汗をかいたコンビニの袋が ちゃんマキの部屋着の端を染めるのを見て アタシはそっと口元を緩めた。 ぎし、と鎖をきしませ立ち上がって 酷く痛む尻を摩ると、 ちゃんマキを振り返って笑ってみせるの。] どっちに行けばいいの? ちゃんとエスコートして頂戴。 [「不束者ですが……」なんて 三指つくのも柄じゃない。 頬の上に黒く、涙の跡をひいた化け物と 歩くのがお嫌でなければ、って 手を差し伸べて。 今の話を聞いてなお 「はい物件決まりましたサヨナラ」って 言うのは多分心苦しいと思うけど……] (92) 2020/09/11(Fri) 18:53:19 |
【人】 マリィ[でも、どうしたってアタシ達は 「普通」になんかなれやしない。 だから、アタシにはアタシの、 あなたにはあなたの生き方があるでしょう。 日陰者として、あなたの生き方に お邪魔をするつもりは、ないわ……]* (93) 2020/09/11(Fri) 18:53:50 |
【人】 マリィ ー 現在・食卓にて ー [あっという間に空になってしまった小鉢を ぼんやり手に持ったまま] ……もう、無くなっちゃった……! [ちょっと恨みがましい視線を 本を読む由人に向けてやるの。 何が余り物よ、そんなに余らないじゃない! しかもアタシの好きなものから 売り切れてくのはなんで??] 明日の胡瓜の梅かつお和えと きのこのあんかけハンバーグは キープしといて頂戴。絶対! [みょうがのおにぎりを崩した上に 夏野菜たっぷりのカレーをかけながら 当初の条件を越えた要求を繰り出すと、 酸味のきいたルーをご飯にたっぷり絡ませる。 口の臭いおじさんの軽口とか 金魚のフンより長いOLの愚痴とか そんな一日の思い出を描き消すように、 クミンの香りが鼻から脳天へ抜けていった。] (94) 2020/09/11(Fri) 18:54:34 |
【人】 マリィ[こうしてアタシ達のひとときは 深夜のラジオ番組と共に終わる。 粗方空になったお惣菜の残りは アタシの昼食か、お店の賄いになって さっきまで余り物が占拠していたタッパーには また明日、新しい料理が詰められる。] ちゃんと今日眠れそう? [夜明けと共に眠りにつくアタシは 毎日由人に同じことを聞くの。 眠りの浅い同居人が、ほんの束の間でも 安心して寝られるように、って。 眠れないなら、ほんの数時間でもいい。 狭いベッドに身を寄せあって 優しくハグしてあげるの。] (96) 2020/09/11(Fri) 18:55:35 |
【秘】 橋本 雅治 → 環 由人[たったひとり、 家に住まわせてくれて ご飯を食べる時一緒にいてくれて ─────時々、人肌恋しい時に ベッドを共にしてくれる人が出来ただけ。 たったそれだけ。 それだけのことなのに、 俺はまた今日も死ねなくなった。]* (-31) 2020/09/11(Fri) 18:57:44 |
【秘】 環 由人 → マリィ[ 己が目の前の人にとって、 死ねない理由になっていることも 目の前の人がいることが 己が生きる理由の重要な 一つになっていることも 今はまだ、気づかないまま。]* (-44) 2020/09/12(Sat) 0:35:25 |
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