人狼物語 三日月国


77 【ペアRP】花嫁サクリファイス 弐【R18/R18G】

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【人】 鬼 紅鉄坊



[ 独特の感触を踏みしめ、音を吸い込む世界を征く。

 吐いた息が白く煙のように立ち上り、消える。
 ──どんなに寒い思いをしているだろうか、可哀想に。

 鬼が探しに来ても、きっと迷子は怖がるだろう。
 共に帰るどころか逃げてしまうかもしれない。

 それでも、鬼の歩みは途絶えない。
 恐ろしがるからこそ、在るべき場所に戻さなければならないから。
 誰かに見つけてもらうのは>>34
 とても救われることだと、知っているから。 ]
(50) 2021/07/01(Thu) 1:56:54

【人】 鬼 紅鉄坊

[ だが─── ]
(51) 2021/07/01(Thu) 1:57:06

【人】 鬼 紅鉄坊



……一体、何処に行ったんだ

[ 山は何処までも静まり返っている。
 どれ程歩いても、痕跡は見つけられなかった。

 同胞が騒いでいないのなら、つまり襲ってはいない。
 雪はとうに降り止んでいる、
 途中からでも隠されていない足跡がある筈だ。

 陽の傾き始めた空を木々の合間から確認し、ふと気づく。
 ああ、
そういえば性別も名前も聞いていなかった。
 ]*
(52) 2021/07/01(Thu) 1:57:19

【秘】 鬼の子 千 → 鬼 紅鉄坊



  
俺の命は婆さんのように長くは保たないだろう
 あんたはいずれまた違う人間を迎えるのだろう
 その意思に関わらず、古の約束に基づいて

 分かっている、分かっているから聞かなかった
 優しいあんたを困らせないように
 いつか来る時に寂しさを誰かが忘れさせてくれるように

 それでも……
(-128) 2021/07/01(Thu) 2:00:36

【秘】 鬼の子 千 → 鬼 紅鉄坊




 
せめてもっと一緒に、最期まで生きたかった
(-129) 2021/07/01(Thu) 2:00:53

【人】 鬼 紅鉄坊

「帰れ、今すぐに!」
(58) 2021/07/01(Thu) 2:02:10

【人】 鬼 紅鉄坊



[ 人の善意を信じる鬼は、何の情報もなく未だ彷徨い続けようとしていた

 何処からか怒号のように響き渡る、
 育ての父たる男の声がその歩みを漸く止める。

 直ぐに同胞が狼狽え囁き合うような気配を、あちこちから感じた。 ]

まさか……

[ 鬼は漸く気づく。
 山に棲まう妖らにとっても想定外の、非常事態が起きている。

 迷子など、何処にもいない。 ]
(59) 2021/07/01(Thu) 2:02:28

【人】 鬼 紅鉄坊



[ 輿入れの季から時は過ぎ、
 鬼の知る彼らしい振る舞いをしていた薬屋の店主。

 その傷は決して癒えないものだとしても、
 裏で何を考えていたのか、思いもしなかった。

 体躯に似合わぬ速さの走りが、鬼の焦りをありありと表す。
 己を傷付けることなど無い枝や草など押し退け、
 道無き道を駆け、最悪の想像を払う為に寺を目指す。 ]
(60) 2021/07/01(Thu) 2:02:43

【赤】 鬼 紅鉄坊




なんだ、この匂いは……

[ 酷く食欲を唆る。濃すぎる血の芳香だ。
 門に到達する前から、強く鬼の鼻腔へと届いた。

 ほんの一時、指から流れる一筋を舐めただけの
 千の血を思い出すことは、流石に無い。

 だがこの状況で嗅ぐそれは、不穏を煽るに充分なもの。 ]
(*14) 2021/07/01(Thu) 2:03:02

【赤】 鬼 紅鉄坊

千!!


[ 開かれたままの戸が、淡い希望を握り潰す。
 それでも、それでも、どうか応えてくれと名を叫ぶ。
 何も、返ってはこない。

 駆け上がった石段の先で、見えたもの
 ───季節外れの梔子が、紅い世界に散っていた。>>*13 ]
(*15) 2021/07/01(Thu) 2:04:00

【赤】 鬼 紅鉄坊



千……ああ、千!

何故、どうしてお前が……

[ 衝撃でぐらついた視界、なんとかよろめきを堪えて戸を潜った。

 込み上げる本能への嫌悪で、胃酸がせり上がる。

 抱き上げよく見れば、片目から顔に掛けて傷つけられている。
 外套の前を開けば、白い着物が無残に色を変えている。
 まるで自分と対照にされたような傷の他にも、
 酷く虐げられた跡が身体中に存在していた。

 刃物を使ったのだろう。同胞の所業ではない。
 これはやはり──薬屋の店主からの、村人からの報復だ。 ]
(*16) 2021/07/01(Thu) 2:04:56

【赤】 鬼 紅鉄坊



お前は何も悪くないのに
全て、これからの筈だったのに……

[ かつて同じであった人の子を喰らい続ける同胞と、
 彼らを見捨てられず約束を取り付けた自分に罪はあろう。

 それでも千は無関係だ。
 村で千が何をしていても、鬼子と呼ばれるに相応しい悪人でも
 花嫁たちは彼のせいで死んだわけではない。

 報いを受けるべきは自分だ。
 村人を飼い殺すような契を押し付け、長きに渡り花嫁を送り
 今更全て捨てて千と外の世界へ向かおうとしていた鬼だ。 ]
(*17) 2021/07/01(Thu) 2:05:20

【赤】 鬼 紅鉄坊



千、死ぬな……
私を置いて行かないでくれ……


[ 微かに息があることに気づいても、鬼の声は絶望に震えている。

 血が足りない。傷が多すぎる。

 収穫した実は全て薬屋に渡した。
 対価は後日、寺まで届けられる筈であった。

 約束の傷薬も、“これからの為”求めた止血の生薬
 ──梔子の薬も此処にはない。

 血に塗れた愛しい唯一に、何も出来ない。

 命が、消えてゆく。このままでは、千は死ぬ。 ]**
(*18) 2021/07/01(Thu) 2:06:01

【赤】 鬼 紅鉄坊


[ これ程までに声を上げ身に触れても、目一つ開けず反応も無い千
 暮らしの中健康的に変わった筈の肌は、また白くなってしまった。

 取り戻してしまった記憶が、
 目前で大切なものを喪う悲劇が三度目であることを理解させる。

 戦慄く唇、震える身体。
 かっと見開いた紅の目尻に水が溜まっていた。

 喪いたくない、喪いたくない、……喪いたくない。
 直ぐ其処にある終わりの前で、
 尽くす手も見つからず、それでも諦められない鬼は

 ──やがて、気づきに至る。 ]
(*19) 2021/07/02(Fri) 2:30:57

【赤】 鬼 紅鉄坊



[ 
ならば此処にあるじゃないか。

 山の獣の命を啜り得てきた、潤沢な
 六尺の身体を動かせる程のそれが!

 鬼は笑みを浮かべていた。
 それは日常の中、千の隣で時折緩んだ表情とよく似たもの。

 抱くのは村人への憎悪ではなく、愛した者を守れる喜び。
 常軌を逸した思考に至っても、鬼は花嫁の愛した鬼のままでいる。 ]
(*20) 2021/07/02(Fri) 2:31:15

【赤】 鬼 紅鉄坊




待っていろ、千

[ 上向きに千を横たえ開いた大口は、無論彼に牙を剥きはしない。

 持ち上げた自らの逞しい腕の、太く血管が流れる手首へ
 ──鋭い犬歯を突き立て、一気に噛み切った。 ]

ぐ……っ


[ 堪らず漏れる呻き声。
 躊躇いの無い自傷行為は外敵に与えられるのとは違う痛みを齎す。
 それでも、止まることは無い。

 顎を持って口を開かせ、押し当てるように傷口を触れさせる。
 その喉に鬼の血が流れ込んでゆく。 ]
(*21) 2021/07/02(Fri) 2:31:33

【赤】 鬼 紅鉄坊



生きろ、未だ死んではならない
どうか目を開けてくれ……、私の元へ戻ってきてくれ

[ 急激な失血とこの場に漂い続けている濃厚な血の芳香
 この人間を喰らえと、足りぬものを補えと叫ぶ本能。

 その一切を無視し抗いながら、
 鬼はひたすらに血を注ぎ、呼び掛け続けた。 ]*
(*22) 2021/07/02(Fri) 2:31:47

【赤】 鬼 紅鉄坊



よし、よし……もっと飲め

[ 目から耳から伝わる明らかな変化は、鬼の心に再び希望を灯した。>>*23

 すぐに潰えそうだった息は、耳に届きやすく強くなる。
 咽れば上体を上げ、背を軽く叩いてやる。
 明らかに血を求めている様子が、
 この行いが間違いではないと示していると鬼に感じさせた。

 その思考は──ある意味では正しく、一方ではそうではない。 ]
(*28) 2021/07/02(Fri) 2:34:53

【赤】 鬼 紅鉄坊



千!   ……?

どうした、私が分からないというのか!?
血なら幾らでも飲んで構わない、だから落ち着け!

[ やっと開いた目に喜んだのも早々、異様な様子に気づく。>>*24

 人道を踏み外し、暗がりの世界へと堕とされた千
 もしかしたらかつてより力を増していたのかもしれないが、

 そこは腕っぷしと頑丈な身体を取り柄として生きてきた鬼
 引き倒されることはなく、
 むしろ片腕で抱くように捕まえることに成功する。 ]
(*29) 2021/07/02(Fri) 2:35:25

【赤】 鬼 紅鉄坊



まさか、私は……

[ 警戒し攻撃を仕掛けてきた様子から一転
 或いはそんなこと気にもしていないかのように、
 一心不乱に啜り上げる姿に漸く気づきが及ぶ。

 自ら千を同胞へと変えてしまったのだ、と。>>*25 ]

……それでもいい、生きていてくれたら、それでいい

[ 幾分かの動揺を与えられたが、振り払う。

 命すら啜られているような容赦のなさに痛みを堪えながら、笑った。>>*26
 鬼が望んだのは花嫁が生き長らえることであり、
 人間であり続けることではない。

 どんな存在になろうと千は千に違いなかった。 ]
(*30) 2021/07/02(Fri) 2:36:11

【赤】 鬼 紅鉄坊




…………ああ、ああ、嗚呼

[ いつしか降りていた闇の中、全ての変化を捉えることは
 視界からも余裕からも叶わなかったが

 知性の光が一つ紅に灯る瞬間を、その目は間近で視た。
 それは鬼から言葉を奪い取る程の光景。>>*27
 あれ程苛み続けていた痛みと食欲が、今は全く感じられない。 ]

お前は、助かったんだ
今はそれだけ分かればいい

 [先程までの姿を想えば、戸惑う千に記憶がないことは察せられる。

 しかし今は多くの説明はせず、掌に齎される感触をただ受け入れた。
 背にしていた壁に千を抱えたままで寄りかかり、
 力を抜いて腰を落ち着かせ、それから。 ]
(*31) 2021/07/02(Fri) 2:36:50

【秘】 鬼 紅鉄坊 → 吸血鬼 千



愛している
全て捨てて、共に旅立とう


       ────二人で自由になろう

[自分を取り戻した日、いつか伝えると決めた言葉を告げた。

予定より早くなったが、今こそその時。
奪われかけた命を、二度と喪わぬ為に。 ]**
(-165) 2021/07/02(Fri) 2:37:14

【赤】      紅鉄坊

「……当然だ。
 この名の一つ一つ、決して忘れられやしない」
(*33) 2021/07/02(Fri) 23:07:29

【人】      紅鉄坊




 男が二人、何かを話している。
 息を殺し足音を潜め近づき、様子を覗っているが
 その内容が聞き取れる位置に来ても、意味がよく分からない。

 こんな寂れた資料館なんかに、強盗が入ったというのか。
 どれ程建物が新しく見えても、金があるわけがないだろう。

 大昔は山ばかりだったという、過疎化の進んだ田舎町だが
 夜遅くだって、いくらでもコンビニやガソリンスタンドがあるのに。

 自分から見て正面に開け放たれた窓、左右に展示物が置かれている
 差し込む光により、それを眺める男達の輪郭が浮かび上がる。

 一人は黒い短髪の大柄な男、青緑色の上着越しにも筋肉が分かる。
 もう一人は脱色したのか白い髪の小柄な男で、やけに着込んでいた。
(106) 2021/07/02(Fri) 23:07:44

【人】      紅鉄坊



 侵入経路は明確だが、窓に鍵を忘れていたのだろうか。
 今までそんなことは一度も無かったし、
 警報装置が起動していないのも奇妙だ。

 だが、凶器の類は見当たらない。
 懐にあるとしても、こちらは直ぐに然るべき場所へ連絡が出来る。
 何が目的かは未だ検討も付かないが、
 その現代社会を舐めた行いをすぐ後悔することになるだろう。

 踏み込み、彼らを手持ちのライトで照らしながら叫ぶように言った。
(107) 2021/07/02(Fri) 23:07:57

【人】      紅鉄坊

「────ここで何をしている!」
(108) 2021/07/02(Fri) 23:08:10

【人】      紅鉄坊




 驚いたように両者の身体が反応し、こちらへと振り返った。

 そして、そして──……これはなんだ?
 続ける言葉も思考も足も、何もかもが停止してしまう。

 自分は休憩室の机に突っ伏して、居眠りでもしているのか?
 そう思ってしまう程、信じられないことだった。
(109) 2021/07/02(Fri) 23:08:22

【人】 異形 紅鉄坊

「ッ、すまない。私たちは怪しい者ではない。ただ、その……」
(110) 2021/07/02(Fri) 23:08:47

【人】 異形 紅鉄坊



 男達が一瞬で、まるで普通の人と思えない姿に変わったなどと。
 奇特なコスプレイヤーという言い訳すら出来ないじゃないか!

 勇敢な警備員ぶろうとしていた筈が、腰を抜かして座り込む。

 大柄な──より異形が強い方が何か弁明する言葉など、
 耳にも入らないどころか、必死に距離を取ろうとしてしまう。

 その時、小柄で白い方が動いた。
 一歩、一歩。この状況など意に介さないような軽い足取り
 目前まで近づいて、屈んでこちらを紅い片目が凝視した。

 男達はどちらも片方しか目が開いていなくて、
 紅色をしていることも同じらしい。

 補い合うように左右対称のそれの意味を考えてしまったのは、
 恐ろしさでついに後退ることも出来なくなった現実逃避なのか。
(111) 2021/07/02(Fri) 23:09:03

【人】 鬼 紅鉄坊




 ────鬼がいたみたいじゃないか。*
(119) 2021/07/02(Fri) 23:15:06
 




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