【墓】 無明長夜 ヌイバリ>>+4 今だ。 今だ。 殺せ! 青年はほんとうにほんとうの殺意を持って、あなたに襲い掛かる。 姿勢を低くして水を被らないように、できる限りの全力でもって。 それでも背中には少しかかってしまっただろうか。今は無視した。 ぞるり、と腹に生えたナイフを抜く。 ぐじゅぐじゅ、と致命的な肉を切り裂いた感触がした。 血液とよく分からない何かが混ざった液体が滴る。今は無視した。 そうして、あなたの足元へ。 膝、大腿部と、二度。 ナイフを突き立てる。 半ばぶつかるように突き立てたナイフはそのままに、少しでも体勢を崩したのであれば。 あなたの喉元へと、手が伸びる。 (+5) 2022/06/04(Sat) 20:32:45 |
【墓】 無明長夜 ヌイバリ>>L11 「 ……ねッ 死ねっ、 死ねっ!!」ペットボトルの中身を判別して避けている暇なんてなかった。 もし分かっていたとしても、避ける余裕なんてなかったかもしれない。 右半分の視界を奪われ、それでもこの機を流すまいとあなたの喉へ手をかけた。そうして半ば無意識に、能力を発動する。 あなたは死ななければならない。 謝ってほしいだけなのに。 あなたは罪深い人間だから。 俺だってそうなのに。 今、幸せ? 憂鬱と悲哀と、すこしのよく分からない感情。 ぐちゃぐちゃに想起させられた脳内は無理矢理に蹂躙され、あなたの精神を蝕む。 無茶苦茶な使用によって、青年もまた。 (+7) 2022/06/05(Sun) 7:55:52 |
ヌイバリは、その場を逃げ出した。 (c4) 2022/06/05(Sun) 8:15:59 |
【墓】 無明長夜 ヌイバリ「あ"ーー……、っ"う"……」 右目が開かない。 痛みを殺して、半ば触覚の死んだ頭を抱えて、人気のない廊下に座り込んだ。 腹から血と一緒に熱が逃げていくような気がする。 手足の先が痺れて意味もなく廊下に血の筋を残した。 無茶苦茶に走って逃げた廊下には血と汗と、溶けた肉が点々と跡を残している。 だめだ。こんなのじゃ。 だれかにみつかったらしんでしまう。 でもみんなにちこくするっていわないと。 でも、でも、でも。 こんなすがたででていったら、こわがるかなあ。 みんなも、みんなが、 ……だれだっ け ? (+8) 2022/06/05(Sun) 21:37:11 |
【墓】 無明長夜 ヌイバリ>>L16 あなたの支払った労力なんて知らない顔をして、青年はそこにいた。 もし仮に起きていれば探すの大変だったろう、そっちも大丈夫だったのか、なんて宣ったことだろう。 そうして、皆にどう警告をすべきなのか相談に乗ってもらって、それから―― そうはならなかったのだけれども。 近寄れば濃い血の匂いと、溶けた皮膚や髪の匂いがむっと強く香る。 顔の右半分……特に目の周辺が酷い火傷のように引き攣れ皮膚が癒着してしまっている。 右目は開かない状態かもしれない、と一目見るだけでわかるだろう。 それに加えて腹部も、腹部を抑えたままだった腕も真っ赤に染まっている。 弱弱しく踏み躙られた虫のような姿になっても、青年はまだ生きていた。 出血はもう止まっている。 (+10) 2022/06/06(Mon) 0:01:41 |
【墓】 無明長夜 ヌイバリ>>L18 果たして、青年は傷付いただろうか。 ひどいものを見せてごめんな、隠さなきゃな。 俺が集めたシーツならちょっとくらい破いて貰ってもいいよな、なんて。 自分が好き勝手やった結果についた傷なのだから、怖がるのも勝手だろう。見せないようにするのもまた。 そんな言葉を返したであろう口は薄く開き、浅い呼吸を繰り返すのみだ。 夢もない無防備な眠りを昏昏と晒し続けている。 青年に触れた指先が、すこしあたたかく感じたかもしれない。 それは無意識に漏れ出した残滓。 敵対者に向けるものとは違うやわらかなもの。 少しだけあなたに触れて、明確な意思ともならずにすぐに霧散した。 意識を取り戻すまで着いているにしても、 このまま青年を置いていくにしても。 誰かが、何かが通りすがらないとは限らない。 どちらを選ぼうともあなたを責める人間はいないだろう。 (+14) 2022/06/06(Mon) 12:04:46 |
【墓】 無明長夜 ヌイバリ>>L20 それは、なんて寂しいことだろう。 「そんなに寂しいこと言ってくれるなよ、泣いちゃうだろ」 「忘れろ、なんて言うなよ。 せっかく愛施が助けてくれようとしてるのに、その原因をなかったことにしちゃうなんて」 「それに、俺が抱いてやらなきゃあ、この痛みも苦しみもどこにいっちゃうのさ。 代わりに背負うなんて言ったら怒るからな」 「痛いのも、辛いのも、全部連れていって生きたいんだ」 それは、なんとも自分勝手な宣言だった。 今にも止まりそうな呼吸をしているくせに、全身を汗で濡らしているくせに、塞がった片目からはくっきりと涙の筋が浮かんでいるくせに。 青年は、生きることを諦めてはいない。 踏み躙られた事実はそのままに。 今は閉じられたふたつの瞳は爛々と 焔 を宿し、全てのものを焼き尽くさんとするばかりに燃えている。本当に、自分勝手だ。 (+16) 2022/06/06(Mon) 18:30:01 |
【墓】 無明長夜 ヌイバリ>>L26 「……ごめんな」 あなたはやっぱり優しいのだ。 青年はそう思った。 訴えを全て捨て去って好き勝手することだってできたのだ。 『意思』を尊重し、問い掛け、全てを理解することができなくとも。 あなたはそうしてくれた。 青年は弱い人間だ。 一つさえ取りこぼすことを自分に許せなくて、全てを失って、何かを抱きしめたくともからっぽの腕の中を独り抱えているだけの人間だった。 これはきっと強がりで、青年が自分自身に恰好をつけているに過ぎないのかもしれない。それでも。 「……ははっ、じゃあ神様の慈愛、断っちゃった……? 怒んないでよ、愛施。 俺から奪ったこと、忘れないで……」 やっぱり嘘。 耐えられないのなら、忘れてもいいよ。 俺がその分覚えてるから、いいよ。 腕はだらりと抵抗せずに落ち、傷はそこにある。 望み通りの口付けを受け入れて、そうして、 頭の中が全部痛みで塗りつぶされた。 (+18) 2022/06/06(Mon) 20:50:28 |
【墓】 無明長夜 ヌイバリ「あ"、あ"っ"、お"ぇ"ッ……ぐ、う"〜〜…… か"っ、ぎ……ぉ"……」 涙がぼたぼた垂れる。 両の目が開く。 痛い。 (+19) 2022/06/06(Mon) 20:55:45 |
ヌイバリは、死にそうなくらい、痛い。 (c10) 2022/06/06(Mon) 20:55:58 |
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新