人狼物語 三日月国


224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】

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視点:


【人】 新芽 テオドロ

ギプスと包帯にまみれた手指を引き摺るように。
それでも曲がることのない背筋が、
漫然と人混みをかき分けて歩いていた。

迎えに来るような人間に覚えはない。
人々の顔を一切見遣ることはなく、ただ足を進めていく。
当てもない、というのは少々正確ではなく。

心配をかけさせないために、この顔なんかを見たい奴らのために、暫し寄り道でもしてそれからどこに行くかを決めるつもりだった。順序が逆な気がするがまあいい。

そこまでなら、まあよかった。



───パン、


その音に、警鐘であるはずの声に、つい顔を向けてしまった。

何の冗談だと思う。否、それが冗談でないということは、
きっと人一倍知っていることだった。誰よりも、なんてのは恐れ多くて思ったりできなかったが。
故にホワイダニットを一瞬で理解する。凄腕の探偵でさえここまで早く答えを出せることもそうそうないだろう。

「…………」

ただ、自分は警察だ。

だから、知らないことにした・・・・・・・・・・
見なかったことにした、聞かなかったことにした。
全部は痛む身体と喧騒の中に紛れてしまったことにした。
#BlackAndWhiteMovie
(35) backador 2023/09/27(Wed) 6:18:35