人狼物語 三日月国

70 【第36回TRPG村】百鬼夜行綺譚


【人】 京職 一葉

その直ぐ後に訪れた百鬼夜行で、その娘を助けようと思った事。
街を駆け、娘を探すために、妖共に襲われていた民を"利用"した事。
あるいは助けることも出来たやもしれないその者の、"がわ"を。容貌を髪を声を、その態の諸々を奪い、己のものとした事。

「かの娘は、結局、見つけること叶いませんでした」

妖を見、言葉を交わす能のあった娘はきっと連れ去られたのだ。百鬼夜行に。

あの時から己は、人の世を妖から守りたいと願うようになった。
2つの世界が交わるから斯様な事になる。人は人の世に。妖は、妖の。

何よりの災厄、百鬼夜行は阻止すべきもの、と。

「私……は、百継様の憎しみの対象でございますか……?」

それも当然の事と思う。

「この一葉、百継様に一度たりとも嘘は申しておりませぬ」

言えなかった真実があっただけ。
ただ、その真実が、この方にとっては、最大の禁忌だった。ゆえに、ずっと言えずにいた。

香を吸いずきずきと脈打って痛む身体が限界を越え、身体がぐらりと傾いでいく。

「どうか。……どうか百鬼夜行を御封じ下さい。百継、さま」

望むのは、本当に、只それだけ。
それでも許せぬならどうぞ私を御討取りをと、私はゆっくり眼を閉じた。

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(19) Valkyrie 2021/04/23(Fri) 8:14:50