【人】 従業員 ルミ[ 作られた運命でも、気付かなければ贋作じゃない。 偽物でも、思い至らなければそれは本物じゃない? 精密に。緻密に。秘密裏に。 現実はおとぎ話ほど優しくも綺麗でもないけれど、 だからこそそれを演出しても良いでしょう? 貴方が気を付けていることすら、 あまり気を配らない同僚がいて大変ね。>>14 貴方のアカウントだけでは特定しきれないことも、 他のフォロワーが載せた情報から探ることが出来る。 少しずつ、少しずつ。 急いては事を仕損じる……って昔の人が言ってるもの。 私はいきなり毒林檎を食べさせるような馬鹿じゃない。 ────だから。 ] (18) 鬼葉 2024/05/05(Sun) 11:31:03 |
【人】 従業員 ルミ[ ねえお兄さん、私知ってるよ。 誰といつ飲みに行ったのか。 どこに遊びに行ったのか。 恋人はどんな人で、いつ付き合って、いつ別れたか そのひとが、誰なのかまで、ぜんぶ。 ] (19) 鬼葉 2024/05/05(Sun) 11:31:17 |
【人】 従業員 ルミ……ううん、大丈夫です ごめんなさい。 履き慣れてない靴だから…… [ ゆっくり、早まる心臓を抑えるように顔を上げた。 いきなり自分の近くで人が転んで、 すぐに立ち上がろうとしない不自然さを覆うように。 はにかんで彼を見上げ、立ち上がる。 ] ………… [ 白い、雪の結晶をモチーフにした髪飾り。 靴のビジューは街灯を反射して煌めいている。 膝上丈の黒いワンピースをふわりと揺らして。 私はお兄さんを、じ、と見つめた。 ] (20) 鬼葉 2024/05/05(Sun) 11:32:09 |
【人】 従業員 ルミ[ 公園でひとりぼっちだったあの頃は。 こんな綺麗な格好は出来ていなかったけれど。 明らかな問題物件と見てわかる私と、 関わろうとした人なんていなかった。 ──あの、たった一人を除いて。 それは最後まで続いてはくれないやさしさで。 でも、それでも、わたしは── ] (23) 鬼葉 2024/05/05(Sun) 11:40:57 |
【人】 従業員 ルミ………………お兄さんって 私の昔の知り合いに、少し似てるかも。 [ 気のせいかな、と笑ってみせた。 貴方の記憶の芥になって、 もうそこに私がいないのかを探る為に。** ] (24) 鬼葉 2024/05/05(Sun) 11:43:02 |
【人】 従業員 ルミ怪我……んー。たぶん、大丈夫……。 ……ふふ、お兄さん、身長高い。 [ " あの頃 "はどうだったかな。 今ほど身長差がまだ無かったかな。 時間が経って、もう並んだ時の差は忘れてしまった。 人は声から忘れて、思い出を失くして、 最後に匂いを手離してしまうらしいけれど。 ────貴方はどうだろう。 ] そうかな。 わたしが優しいと思ったら、それが正解なんだよ だからありがとう、お兄さん [ にこ、と微笑んで髪を揺らした。 ここまでならきっと、よくある話 ] (31) 鬼葉 2024/05/05(Sun) 23:07:19 |
【人】 従業員 ルミ[ ありふれた、明日になれば忘れるような一幕 思い出にすら残らない記憶の残留。 ────彩った爪先が掌に食い込んだ。 ] (32) 鬼葉 2024/05/05(Sun) 23:07:24 |
【人】 従業員 ルミ[ 物心ついた頃から、わたしは飢えた存在だった。 喧嘩ばかりの両親に外へ放り出され、 公園で毎日ひとりぼっちで砂に絵を描いているような。 ほとぼりが冷めただろう頃にこっそり帰って 置かれてあるパンを食べる。 友達もいなくて、大人は遠巻きで、わたしはひとりで。 でも、そんなくだらないだけのわたしの世界には、 ある時から貴方がいた。 手を引いて、家に連れ帰ってくれたこと 公園でたくさん遊んでくれたこと ────わたしに笑い方を教えてくれたこと。 わたしの全てを作った、貴方との過去。 ] (35) 鬼葉 2024/05/05(Sun) 23:07:40 |
【人】 従業員 ルミ[ かわいそうな生き物を見捨てられなかったのか。 或いはもっと別の何かか。 でも、貴方はわたしの傷を癒した。 孤独以外の味を教えて、体温を分けた。 まるでずっとこの日々が続くように錯覚すらさせて。 あれが愛じゃ無かったなら何だった? 成長するにつれて、公園を避け始めた貴方 ──恋人すらも作っていた、お兄さん 明確なさよならも言わずに 新しい傷だけ残して大人になった、わたしの運命。 ] (36) 鬼葉 2024/05/05(Sun) 23:07:59 |
【人】 従業員 ルミ[ ねえ、わたし可愛いでしょう? 手入れした髪も女の子らしい服も、このメイクも。 SNSで見かけた貴方の恋人よりもずっと、ずっと。 わたしは保冷剤──ではなく それを差し出す彼の手へ、そっと触れた。 ] あの、……お兄さん わたしの家、すぐ近くなんです 足、挫いちゃったかもしれなくて。 夜だと何かあるかもしれないし…… 家まで送ってくれませんか……? [ あ、これもナンパになっちゃいますか? そう言って首を傾げる。 会釈して通り過ぎて、はいさようなら、だとか 一晩だけの善行の思い出になんか、させやしない。 ] (37) 鬼葉 2024/05/05(Sun) 23:08:07 |
【人】 従業員 ルミあ。わたし、ルミっていいます 普段はカフェで働いてて…… 最近ストーカーっぽいお客さんがいて、怖くて。 ……お兄さんなら、変なことしなさそうだし。 [ 全部、ぜんぶ。 美しい過去の思い出になんか、させられない。 ────させてあげられないよ、お兄さん。* ] (38) 鬼葉 2024/05/05(Sun) 23:10:06 |
【人】 従業員 ルミ[ 欠けた器を完全な状態に戻せるのは、 それはきっと誰かの優しさや愛だけだ。>>40 痛いと泣く幼子の頭を撫でるように 転んだ相手を気遣って保冷剤を渡す、その甘さ。 完璧だけで我慢出来ない己さえいなければ これはただの、夜の一幕で終われたのに。 ] えへへ…… 少し動かしてみたらやっぱり痛いかなって。 [ きちんと「たぶん」の予防線を張ったんだもの。 これは罠だけれど、明らかな嘘じゃない。 痛い、だって虚偽というわけでもないのだから。 ────過去を大事に抱えているのが自分だけだって 思い知らされたこの心臓がいたいだけ。 ] (45) 鬼葉 2024/05/06(Mon) 1:09:33 |
【人】 従業員 ルミ[ 連絡を入れたいと言われれば、笑顔で頷いた。>>42 スマホを操作する指先を盗み見る。 バレないように、けれど見逃さないように。 彼の過去の中の幼子はこんなことをしない。 私の記憶の中の貴方は──── ] ……やっぱり雷恩お兄さんなんだ! うん、ルミだよ。 昔の知り合いなんて、お兄さんしかいないもの。 [ 名前すらトリガーとしては危ういかと思ったけれど、 どうやら貴方の記憶の撃鉄を起こすに成功したらしい。 にこにこ笑って、会えて嬉しい、と微笑んだ。 屈託のない笑みの鏡写し。>>42 そのまま彼の言葉を聞き続ける。>>43 ] (46) 鬼葉 2024/05/06(Mon) 1:09:40 |
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