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【人】 裏切りの勇者 フォルクス──終わり── 陛下!お待ち下さい、陛下! どういうことなのですか? 「奴」が迫っているというのに、 何故貴方を置いて逃げなければならないのですか! 俺は何の為に今まで戦ってきたのですか? 俺はまだ戦える!貴方の為に、死ぬまで抗わせて下さい! [ 仲間の腕が、背後から力強く自分を掴み離さない。 暴れる程に頑なになる拘束が、 傷の癒えていない身体に痛みを感じさせ、血が滲んでも。 納得出来なかった。許せなかった。 ] ──── 魔王様! [ 伸ばした手は魔法陣による障壁に阻まれ、その姿が見えなくなる。 どこか遠くで竜の咆哮が聴こえた気がした。* ] (17) 2020/10/17(Sat) 18:51:59 |
【人】 魔王軍幹部 フォルクス──400年後 魔王城・執務室── 反魔王派によるものとされていた先日の森林火災は、 老齢の火吹きトカゲが原因と分かりました。 火吹きトカゲは岩場に群れで住まうとされていますが、 歴代勇者による虐殺で数は激減、現在は絶滅危惧種指定。 仲間を喪った個体が森に移り住んでいたものと思われます。 幸いにも全焼は避けられたものの 多くのマンドラゴラが住処を失い、 ドリアード数体が火傷で自己治癒が不可能な程に衰弱。 これに人間側から魔女が一人名乗りをあげております。 彼女の暮らす森は魔王領からほど近く、環境も似通っており 当人も魔物の飼育、治療に長けているということです。 [ 紙を捲りながら、淡々と報告を続ける。 この部屋含めた城の殆どには、今やあの頃の面影は無い。 廊下を忙しく行き交う者達も、目の前に座す魔王すらも。 激しい戦いが繰り返されたのだから、当然だ。 その終わりを見ることだけは、許されなかったのだけれど。 ] (19) 2020/10/17(Sat) 18:53:13 |
【人】 魔王 ウロボロス魔女というと、……ああ、やはり彼女か 大魔女殿であれば安心して預けられる。 ただ、あちらもあちらで齢を重ねていらっしゃる。 お一人に任せるわけにはいけないな [告げられた名前にふっと口許を緩め、頷いた。 机上の書類にまた一つサインを記す。 明るい金の前髪が目元に影を作り、先代王に似ないその顔を隠した。] (20) 2020/10/17(Sat) 18:53:53 |
【人】 魔王軍幹部 フォルクスでは、エルフ族から医術師を魔女の元に向かわせましょう。 人数を絞り、優秀な者をと伝達しておきます。 冬期に開催の迫る種族混合医術会議ですが…… ええ、今回も脅迫状が呪いと共に送られてきたと。 反魔王派魔族か……教会残党か、定かではありません。 [ 若王の姿から再び手元へ目を向けた。 今度は少しの重みと躊躇いを乗せ、次の報告へと移る。 遥か永き戦争は、最早両種族にとって日常のようなものであった。 唐突なその終わりに、置いて行かれた者達も存在した。 ] (21) 2020/10/17(Sat) 18:54:20 |
【人】 魔王 ウロボロス前回同様、気配が分かり鼻の効く獣人族を警備に 有翼種も人数に含めておくように。 彼らには申し訳ないが…… 人狼族は除き、魔族だけにはならないよう心配りを [笑みに苦いものを混ぜ、指示は言葉少なく。 濃桃と交差する青紫が、黙して語る。] (22) 2020/10/17(Sat) 18:55:25 |
【人】 魔王軍幹部 フォルクス……承りました。 [ その視線から王の御心を理解し、簡潔な了承だけを声とする。 人間を糧にしていた歴史のある種族は今尚彼らにとっては脅威らしい。 先代王に仕えた幹部を排出した過去があれども、 それはこちら側にとっての事情に過ぎない。 3000年続いた戦争と比べ、400年の歴史などほんの僅かなもの。 我々はかつての敵と歩み寄る努力を止めてはならない。 忠誠心強く優れた種族をぞんざいに扱うことになれども、 例え自分達だけのほうが良い結果となると思っていても。 ] (23) 2020/10/17(Sat) 18:55:57 |
【人】 魔王 ウロボロスしかしこの時期に、困ったものだね [逸れた視線、気紛れのように立ち上がり部下に背を向けた。 大きな窓の向こうには、雪の積もる大地に常緑樹が立ち並ぶ。] (24) 2020/10/17(Sat) 18:56:40 |
【人】 魔王軍幹部 フォルクスええ、なんせ明日は…… [ ハロウィーン、終戦記念式典の日であった。 静かに王の傍らへ歩み、共に白銀を少しの間眺めていた。 万年雪に閉ざされた領土の風景は、どれ程時が経てども変わらないが。 世界はあるべき形を見つけるまで、変動を続けることだろう。** ] (25) 2020/10/17(Sat) 18:57:21 |
魔王軍幹部 フォルクスは、メモを貼った。 (a2) 2020/10/17(Sat) 18:59:24 |
魔王 ウロボロスは、メモを貼った。 (a3) 2020/10/17(Sat) 19:00:55 |
アクスルは、メモを貼った。 (a4) 2020/10/17(Sat) 21:43:46 |
在原 治人は、メモを貼った。 (a5) 2020/10/17(Sat) 21:45:03 |
【人】 琴羽の天狗 時見[嗤う様に、囁く様に。 口の端をにやり持ち上げて。 もう何度目かも分からない口付けを、 彼女の口元から首筋へと降ろし重ねようか。 唇を伝せるその度毎に、 一糸纏わぬ互いの肌もまた、触れ合い。 薄闇の中、新雪を思わせる琴羽のやわ肌を 少しばかり汗ばんだ俺の体躯が床へと押し付ける。 やがて悪戯な瞳は紅く輝き。 腕の中の彼女の腋に舌を這わせた。 両腕を頭上に縫い止められたままが故に、 きっと彼女から見えるのは、揺れる俺の髪と その背から伸びる二人を覆う翼のみで] (27) 2020/10/18(Sun) 0:42:31 |
【人】 琴羽の天狗 時見[それでもきっと、 ぎちりと根元まで埋め込まれた屹立の硬さと 拘束する手首の力強さから "逃さない"という意思は伝わった事だろう] 琴羽は――…… 俺の嫁は。 本当に、可愛らしいな……? [くつくつと喉奥から漏らす吐息すら 今や甘美な責め苦となって。 鼻先で、舌で。彼女の弱い部分を擽りながら 揺すりあげる様に腰を突き上げていく。 琴羽の表情が。 耐え漏れる喘ぎ声が。 切なげに締め付ける濡れた花弁が。 極上の霊力と共に味わうそのすべてが、 獣の如き悦びを俺の全身に満たし そして――――……] (28) 2020/10/18(Sun) 0:44:44 |
【人】 琴羽の天狗 時見―朝ぼらけ 夜伽の後に 散れる白雪― ま…… またやってしまった…… [琴羽と暮らし始めた新居の二階。 帝都を照らす朝の光が薄く窓より射し込めば、 共に眠る布団より身を起こして。 翼を仕舞い、剥き身のままで髪を掻き上げる。 そうして隣を見下ろせば、 ……それはもう、燦々たる有り様で。 真白な素肌のあちらこちらには 桜の花吹雪の如き鬱血痕が残り。 寝乱れた琴羽の両脚の間のみならず、 布団の各所にもまた、真新しい体液の染みが 歪んだ楕円を描いていた。 まぁ、つまりは。 毎度の事ながら、 ついやり過ぎてしてしまったらしい] (29) 2020/10/18(Sun) 0:49:04 |
【人】 琴羽の天狗 時見ええとその……、体調は大丈夫か……? [餌付け、というわけでは無いが。 腰が辛いかも知れない琴羽の枕元に 小さめの鮭おにぎりを三つ程そっと御供えして。 指についた飯粒を舌で食みつつ、 あぐら座に座り様子を伺った。 一応、記憶が飛んだ訳ではない故、 ナニをしてしまったかはよく覚えている。 普通の人間よりは回復が早いだろうとはいえ 休みの前の日毎にこの有り様というのは あまりよろしく無いだろうというのは 流石に人ならぬ俺でも分かる、と、思う。 我慢せねばと思いつつ、 どうにもその、琴羽を抱いていると 歯止めが効かなくなるというか 理性がふらいあうぇいしてしまうと言うか……] (30) 2020/10/18(Sun) 0:51:11 |
【人】 琴羽の天狗 時見[俺にできるのはただ、 彼女の身体を気遣う事くらいなのだった。 事後に。 ……いや、それで琴羽に愛想を尽かされたらどうすると 内なる俺が抗議の声を上げる。 確かにそれは不味い。 揺れまくった視線がふと、 先日古本屋で購入した古本の束に止まった。 そう言えばあの中に──…] 琴羽。その…… [人間社会の勉強用に買った書籍が さっそく役に立つ時がきたらしい。 (俺は天狗だし、琴羽も箱入り巫女である) 何事も転ばぬ先の杖である] …───湯治で、身体を癒やしてみるか?* (31) 2020/10/18(Sun) 1:03:28 |
琴羽の天狗 時見は、メモを貼った。 (a6) 2020/10/18(Sun) 1:22:27 |
【人】 魔王 ウロボロス君が先代に下ってから、今年で何年だったかな? そうか、それ程の間君は…… [少しの間執務室に訪れた沈黙を破ったのは、こちら。 不意に声を掛け、横目で隣のフォルクスを捉えた。 返った数字を噛み締める如く、細くなり消えた声。数度の頷き。] もう戦争は終わったんだ。たまには休暇を取っても良いんだよ。 君達の発祥だろう、あの祭りは? [そして。 態とらしい程に口角を吊り上げると、牙が覗く。 人の姿を取っている間は、それは殆ど八重歯と変わらなく見える。] (32) 2020/10/18(Sun) 2:36:36 |
【人】 魔王軍幹部 フォルクスクビの宣告でしたら、もう少し分かりやすく伝えて下さい。 ただでさえ手の足りない我らに、そのような余裕があればの話ですが。 [ 問われた月日の数にも、慣れきったからかいの色にも 間を開けずに、変わらない声色で答える。 静かな濃桃が眺めていたのは、覗いた一対の牙。 この方が幼い頃は腕に巻き付き、戯れのように噛まれたものだが。 今や美貌を少しも損なわせることなく、その一部分と化している。 400年、それは終戦だけを意味する数字ではない。 先代王が崩御してからの年月、今代の魔王の齢。 時折幼子の心を見せ、我々を親しみを持って言葉で弄ぶことこそが 生まれてから今迄、民のような穏やかな日々など与えられていない 多くを背負った王にとっての楽しみと知っていても。 成長を見守った記憶を思えば思う程に、 人類の集う式典に一人向かわせるくらいならば 死んだほうがマシであるとすら感じる。休暇など不要だ。 ……そういう性質だから「仕事人間」だと王は言いたいのだろう。 ] (33) 2020/10/18(Sun) 2:38:27 |
【人】 魔王軍幹部 フォルクス[ しかし、過剰な保護ではない筈だ。 やっと人型になり戴冠式を迎えて以降、未だ戦火の名残のある頃。 情勢が落ち着くまで何度王の命を狙う輩が現れたことか。 一部では何処から流れたのか肖像画の複製が取引され、 麗しの魔が君だなどと謳われているそうだが、 それは恋に恋して美男子に焦がれる娘達の話だ。 全ての人類が彼女らのように歴史や種族の差を気にせず、 現在と自身が目にするものだけを心に留めてくれたのなら──── 汚れた手の裏切り者が何の努力もせず願っていいことでは無い。 ] (34) 2020/10/18(Sun) 2:38:55 |
【人】 魔王軍幹部 フォルクス俺が人間だった頃のハロウィーンは、 楽しい祭りと呼べるものではありませんでした。 [ ハロウィーンは人類に古くから伝わる風習だ。 秋の実りの時期に農村を襲う魔物らから、力無い民が逃れる為に 獣の皮を被り臭いを誤魔化して過ごしたことが始まりとされる。 それが代を重ね勇者の力が強まり、豊かで魔の脅威から遠い村では 収穫祭の間子供が攫われないよう魔物の格好をさせるようになって、 今ではその姿で菓子を貰いに家々を回らせたり 都で大規模な祝祭と化していたりもするのだが。 何しろ、奇しくもこの日が終戦記念日となったのだから。] いえ、聖都に近い土地では既に収穫祭は行われていたらしいです。 生まれ育ったのは辺境の寒村でしたから…… [ この風習は各国に名を変えて、殆ど変わらない内容で存在する。 他にも多くの文化、祭りや宗教的思想などが 遠く離れ、肌の色も土地の気候も違う人々の間で共有されていた。 世界の中心に存在し、いずれの国にも属さない女神の教会。 彼らが実質的に人類を統べていたことも理由の一つだろう。 ] (35) 2020/10/18(Sun) 2:39:25 |
【人】 魔王軍幹部 フォルクスでも、よく覚えておりますよ。 あれは、16の頃のハロウィーンだった。 街の教会の使徒が、俺の村にやって来まして。 皆の家を訪問した後、最後に孤児院に。 [ 各国各地に小さな教会が点在し、 使徒と呼ばれる聖職者が不定期に周辺の村々に足を運ぶ。 民の話を聞き、祈りを捧げ、魔物除けを施す。 常は怒りっぽく孤児に当たる老人も、 村を捨てることばかり口にする若い大人達も、皆涙して喜んでいた。 あの頃の教会への信仰は、どれだけ貧しい者にとっても最優先な程。 勇者だけではなく、人間に扱える魔法を創り上げたのも教会。 それが世界の常識とされていた世では、彼らは神にも等しかった。 ] (36) 2020/10/18(Sun) 2:39:43 |
【人】 魔王軍幹部 フォルクスその翌日に……発現していました。 [ 右手甲に残り消えることのない痣が、強く熱を帯びた。 痛いほどの感覚はこの瞬間、我に返る作用を齎すこととなる。 「すみません、要らない話でしたね。」そう付け加え目を逸らす。 話を切り替えようと仕事に戻るように促した。 今や人なのか魔なのかも分からない身は、 あの頃思っていたよりもずっと長く生き続けて、終わりが見えない。 変わらない姿のまま、中身だけが老いてしまったのだろうか。 今だけは有難い、いつからか忌々しき跡に起こるようになった現象は ここ最近、目に見えて間隔が短くなっている。** ] (37) 2020/10/18(Sun) 2:40:01 |
【人】 在原 治人取り乱して、…… ごめん アクスルがあんな風に 動かなくなって ものも言わなくなって、って想像したら なんか、もう、…無理だった、 [音にしたら、また 畏れが這い上がって来そうになって 掻き抱いたまま、鼻梁と頬を擦り付ける。 あなたが、どれだけ俺にとって大切で 決して失えない存在なのかを 痛いほどに自覚した瞬間だった。]* (40) 2020/10/18(Sun) 10:31:39 |
【人】 アクスル[人は老いれば、醜くなってしまう。 W死Wこそが美の完成と 安寧を齎してくれる唯一の救いだ。 そう信じていたから、母は。 そう信じていたから、この手は母を。 ────違うのか?] (42) 2020/10/18(Sun) 12:19:50 |
【人】 アクスル[黒いレースに包まれた手で 剥がすように両肩を押し 不安げに覗き込んで、訊ねる。] 仕上げて ……治人は、僕を殺してくれないの? [寄る辺を求める子供のよう、幼げな声色で。*] (43) 2020/10/18(Sun) 12:19:55 |
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