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![]() | 【人】 環 由人[ そんな日々の中で見つけたのだ。 例の、茶封筒を。 無愛想と仏頂面を体現したような 顔をしていると自分でも よくわかっているから、そのおかげで きっと気付かれてないと思ってた。 彼がいつになく、己の料理に 前向きなコメントをくれたのに、 「そう」と頷くことしかできなくて。 どうしても考えてしまう。] (58) 2020/09/13(Sun) 0:47:03 |
![]() | 【人】 環 由人[ またあのラジオの声をひとりで聴きながら、 寂寞に飲まれて潰されそうになる夜を 過ごすことになるのかもしれない、と。 わかってたのに、自分で、蓋をして 見ないフリばかりしていた。 もっとはやくから向き合っていれば 大丈夫だったかもしれないのに、 あまりに訪れがいきなりで。 やっぱりきっと、自惚れてた。 本当は、温もりのなくなる日々を 想定して、あの曖昧な返事を きっぱりとしたものにかえて、 一人で眠ろうかとも思った。 だけど───だけど。 口から出たのは、真反対の言葉だった。] (59) 2020/09/13(Sun) 0:47:40 |
![]() | 【人】 環 由人[ 問いかけられたことにそっと目を伏せて、 それから小さく、頷いた。 嘘はついてない。 たぶん、今日は眠れない。 明日も、明後日も、もしかしたら─── 伏せた瞳を覗き込まれるから、 ゆっくりと瞬きをしながら視線をあげた。] (60) 2020/09/13(Sun) 0:48:04 |
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![]() | 【人】 環 由人───ごめん、 変なこと言った、忘れて。 コンビニ行ってくる、 [ そう落として部屋から出る。 居た堪れなかった。 俺と彼はただの同居人。 友達でもなければ、もちろん恋人でもない。 知り合いの延長線上の、否、ほんとは─── その先を望むのが、怖かった。]* (62) 2020/09/13(Sun) 1:02:16 |
![]() | 【人】 月森 瑛莉咲……まっ、ゃ、だ、 ………………プリンはもう…… ……あれ? [ わんこくんが見送りにきてくれたあたりから 雨足は弱まって。 それ以上は濡れることもなく、無事に一日は終了。 前にも同じような事があった。 もしかしたらわんこくんは かみさまの使いかもしれないね。 だってあんなに綺麗な白わんこだもの。 ほわわんとした気持ちでお布団にインした深夜。 どうしてか、目が覚めた。 とても幸せなプリンの夢をみていた筈なのに。 ] (63) 2020/09/13(Sun) 7:45:32 |
![]() | 【人】 月森 瑛莉咲[ 因みにお住まいは祠よりかは都会寄り。 でも田舎です。 冷蔵庫の水を含み、お花摘みにゆき さあ再びプリン食べ放題の世界へといざゆかん。 なんて心地のひんやりした深夜。 なんとなく気になって部屋の窓を開けば ――人影。] (64) 2020/09/13(Sun) 7:46:35 |
![]() | 【人】 月森 瑛莉咲……え? [ 見間違えた? 月夜に映る後ろ姿。 こんな時間にコスプレだ、なんて茶化せないような 美しい羽衣と、衣装と、それから―― ] (65) 2020/09/13(Sun) 7:47:08 |
![]() | 【人】 月森 瑛莉咲[ 私が玄関へたどり着いた頃には もうその後ろ姿すら見えはしなかったけれど かわりに置かれた赤いシュシュと 夜でも映える黄色の花 ] これは…… [ 手にとった瞬間。 ] (66) 2020/09/13(Sun) 7:48:04 |
![]() | 【人】 月森 瑛莉咲?!! [ あれ。 なんだなんだなんだなんだ?! 死ぬんじゃあないのかなってくらい心臓が跳ねて 熱があるんじゃないかってくらい、 顔に熱が灯って。 自分で何が起きたのかさっぱりさっぱりわからない! ] (67) 2020/09/13(Sun) 7:51:04 |
![]() | 【人】 月森 瑛莉咲[ ただ解るのは、月夜に透けた髪の色と 背中がやけに脳裏に焼き付いて。 痛い。 苦しい。 よくわかんないけど よくわかんないから 眠れなくなっちゃった ] (68) 2020/09/13(Sun) 7:56:18 |
![]() | 【人】 月森 瑛莉咲[ そのまま、陽はのぼり。 いつもより早くに、 眠気まなこの女子はあの祠にやってきた。 わんこくんはもう来てたかな。 朝ごはんにしようとしたサンドイッチ やけに食べ物喜んでたから今日は君にあげよう。 ぼんやり手を伸ばし、 いつものようにわしゃり、わしゃり きっと撫でまわしていたはず ] (69) 2020/09/13(Sun) 7:58:37 |
![]() | 【人】 月森 瑛莉咲[ うつらうつら、ぼんやり。 石に腰掛けて、ひとりごとのように 祠へとむかって話しかけて。 ] かみさま どうしよう 私、しんじゃうかもしれない。 昨日の夜から心臓がおかしくて すごく変。 [ 左手首には赤いシュシュ。 いつもなら供える花は手の中に残ったまま。 ぽやんと頭のなかに残る後ろ姿を思えば また心臓が痛い。 ] (70) 2020/09/13(Sun) 8:13:10 |
![]() | 【人】 月森 瑛莉咲ここで死ねるなら、 私きっと幸せだとおもうの。 ……でも、かみさまには迷惑ね。 [ 睡眠不足に耐えきれそうもなく、 お年頃の娘さんが地面に横たわってしまった。 ご両親が知れば泣いてしまうような光景ですね。 おまわりさんの巡回に鉢合わせたことはないから だれかが来ることなんて考えてすらいないのです。 ] (71) 2020/09/13(Sun) 8:15:32 |
![]() | 【人】 月森 瑛莉咲[ ちなみに心臓に全く異変はなく。 脳裏に異常もなければ、悪い病気でもまったくなし。 健康はお墨付きであります。 強いて言うのであれば 月森 瑛莉咲という娘御は、 高鳴る鼓動や、 灯る熱の意味を、 まだ知らなかっただけで。 ] (72) 2020/09/13(Sun) 8:33:22 |
![]() | 【人】 月森 瑛莉咲へい……でゅーす たいまーせっと じゅっぷん…… [ スマホの音声認識ソフトに声をかけられるくらいには まだ理性はありました。 でももうだめだ。 次にはすやりすやり、寝息が響く **] (73) 2020/09/13(Sun) 8:36:06 |
月森 瑛莉咲は、メモを貼った。 ![]() (a6) 2020/09/13(Sun) 8:38:05 |
![]() | 【人】 やる気のないアルバイト でゅーーす[肉が欲しい、なんて不思議なリクエストだったけど 望み通りにソーセージをたっぷり入れた ナポリタンにしてやろう、と 長い尾をしゅるり、と引きずりながら 奥へと引っ込んでいくのだった。 下半身が蛇であること、別に隠しちゃいない。 たまに失礼な輩から「異形」と言われるけれど 此方からすればこれが通常なわけで。 そうして湯気の立つひと皿を 青年の前に持ってきて───── 無邪気な笑みを見たならば>>36] きしし……ごゆっくり。 [そう、また尾を揺らすのだ。] (74) 2020/09/13(Sun) 8:47:18 |
![]() | 【人】 やる気のないアルバイト でゅーーす[けれども、それからしばらくの後 フォークが床を叩く音に顔を上げれば そこにいたのは無邪気な青年じゃなく さっきよりグロッキーな顔した男>>48] 個室使うのは大丈夫スけど…… アンタ、本当に大丈夫ッスか? 顔色、すげえ悪いけど……。 [調子悪いならちゃんと言うんスよ、と きちんと言い含めた上で 個室に消える青年の背中を見守るだろう。 何度も読み返した万葉集も 一句一句、頭の中を滑っていく。] (75) 2020/09/13(Sun) 8:47:54 |
![]() | 【人】 やる気のないアルバイト でゅーーす[まあ、ここは漫画を読むために オーナーが作った空間ではあるけれど、 休みたい人は休むだろうし ただ友達と語らいたいだけの人もいる。 何処でどう過ごそうと、自由な空間。 ─────ああ、だけど、ご覧! ここにある一冊一冊は、 君を決して孤独にしない! アルバイトがかつて「客」として この店を訪れた時に出逢った本のことは 今でも鮮明に覚えている。 ろくな娯楽もない世界でただ真面目に 与えられた課題をこなすだけだった男の前に ある日突然この店は姿を現して たくさんの本で男を魅了したのだ。] (76) 2020/09/13(Sun) 8:48:19 |
![]() | 【人】 やる気のないアルバイト でゅーーす[これだけある中の一つくらい、 俺だけのものにしたっていいだろ? ─────そう思って、漫画を一冊、 ジャケットの内側へと忍ばせた。 あの日から男はずっとここに居る。] (77) 2020/09/13(Sun) 8:50:44 |
![]() | 【人】 やる気のないアルバイト でゅーーす[本当に、ここにはたくさんの本がある。 そこには描き手の描いた空想や思想、 誰かに分かってもらいたい気持ちが 所狭しと店内を埋めつくしている。 たったひとりぼっち、空腹に耐えて それでもより良く生きようと 足掻いて生きようとした異形の者の物語も もしかしたら─────? カウンターへと戻ったアルバイトの目に 棚から一冊転げ落ちた漫画が止まる。 『ポーの一族』と書かれたその漫画を 棚に戻すと、男はまたカウンターでとぐろを巻いた。]* (78) 2020/09/13(Sun) 8:51:37 |
![]() | 【人】 科学者 アーニャふぁぁぁぁ……あにゃ [欠伸が漏れた。 助手の動作テストやら助手以外の研究やら やりたいことは沢山あるが――、 どれも期限が存在しないと思えば 肉体の欲求を優先することにする。] (79) 2020/09/13(Sun) 12:45:27 |
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![]() | 【人】 科学者 アーニャ[読み手のいないレポートは 後でゆっくり纏めれば良い。 背凭れに預けていた身体を起こし 両腕を広げた。] ボクはお昼寝……じゃない 仮眠をとることにした 隣の部屋のベッドに運んでくれ給え えっとね、お姫様抱っこでだぞ! [助手に軽々と抱え上げられ腕の中に収まり 人肌と同じに作った熱に包まれれば 猫のように目を細くして運ばれる。 良いものを得た。] (81) 2020/09/13(Sun) 12:46:10 |
![]() | 【人】 科学者 アーニャ[誰も、小さな科学者の言葉を信じなかった。 高名な科学者であった両親を含めて、誰一人。 廊下の窓は外に通じているが 惑星中に蔓延した毒が入ってこないよう 分厚いシャッターで塞いであり薄暗い。 助手の規則的に動かされる靴底だけが音を響かせ] (82) 2020/09/13(Sun) 12:46:24 |
![]() | 【人】 科学者 アーニャ[ヒーターで作り出した人工のものとはいえ 、、、 記憶にある限り初めての人肌の体温は 酷く安心を覚えるものだった。] ぁ……むにゃ…… [ただ睡眠を取るためだけに作られた 生活感の低い白の部屋。 ベッドに下ろされたときにはもう 半分以上眠りの世界に旅立っていた。**] (83) 2020/09/13(Sun) 12:47:02 |
![]() | 【人】 マリィ[一番拒まれたくない人に去られた衝撃は ゆっくりじわじわ、ざわつく心に染みていって] ─────は、 [自嘲の笑みが、零れた。 由人が帰ってきた頃には、ソファーの上に でかい図体を丸めて寝ているアタシがいるでしょう。 寝るには狭い座面に、 人と分け合える空間なんかない。 だけど朝が来れば由人は何事もなく お店に立つでしょうし、アタシも同じ。 家に帰れば何も無かったみたいに 「まあ相変わらず茶色い食卓ね!」なんて 褒めもせずにご相伴預かるのよ。] (85) 2020/09/13(Sun) 13:07:15 |
![]() | 【人】 マリィ[結局、シェアハウスの話をしに 営業マンは時折店に顔を出すから 毎回曖昧に答えて終わる。 いっそ「じゃあ機会があれば……」って 引いてくれてもいいのに。 それを見たお店の子にも 「ママ、これ今誰も幸せにならないパターンよ」って 目も合わせずそっと囁き落とされたりして。 アタシは聞こえないふりして OLちゃんの愚痴に相槌を打つの。] (86) 2020/09/13(Sun) 13:07:44 |
![]() | 【人】 マリィ [例えば───── 「美味しい」って言っちゃったら 由人はきっと嬉しいでしょう? あの無愛想な顔に笑みっぽいのを浮かべて 耳の端とかちょっと染めちゃったり、ね。 それを毎日言って、 ある日突然アタシが消えてしまったら その後どうやって生きていくのよ。 「愛してる」って言っちゃったら 由人はなんて言うかしら? キスは受け入れてくれたけど 結局、ダメだったじゃない。 アタシは何言われても平気。 そう、言い聞かせているうちは。 ……だけど、人間だから傷付くし血も出るわ。 もし「無理」って言われたら アタシこの先どうやって生きていけばいいのよ。] (87) 2020/09/13(Sun) 13:08:45 |
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