【教】 裁判官 リーベルト…………っ!! [目にも止まらぬ速さで相手の腕が耳脇を抜けた。>>/3 轟音と共に、パラパラと何かの崩れる音がした。 背筋を冷たい汗が伝う。 並の人間にやられるような軟弱者ではないと自負していたけれど、壁ドンされた瞬間に吹いた頬の切れそうな旋毛風は、人の起こせるものではなかった。] …………器物の損壊にも 許可は降りてるんですか? 職場環境配慮義務違反、使用者責任違反、 安全配慮義務違反……、 脅迫罪も適応されますかね。 [思い浮かんだ法律を適当に並べながら、瞼を持ち上げた。 相手の方が10センチ以上も背が高かったから、どうしても見上げる形になってしまう。 奥歯を噛み締めながら、ピンクに近い赤紫の双眸で、碧の瞳を精一杯冷ややかに睨み付けた。 真正面からまともに彼の顔を見たのは、 その時が初めてだったように思う。 ――成程。 役者を志しているだけあって、端正な顔立ちをしている。] (/9) 2019/04/17(Wed) 5:32:17 |